JP5180184B2 - 不織布 - Google Patents
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Description
本発明の不織布は、高吸水性繊維と湿熱接着性繊維とで構成され、高温水蒸気を作用させて繊維同士を湿熱接着性繊維との交点において接着させることで、いわば「スクラム」を組むと共に高吸水性繊維が固定されている。このような構造により、本発明の不織布は、所望の吸水量及び吸水性を確保でき、吸水による寸法変化が厚み方向において大きく発現するとともに、不織布面方向への寸法変化が非常に小さい。すなわち、本発明の不織布は、軽量性と吸水性および吸水時の形態安定性と、加圧等による速やかな排水性とを確保した不織布である。
本発明に用いる湿熱接着性繊維は、少なくとも湿熱接着性樹脂で構成されていればよい。本発明において、湿熱接着性樹脂とは、高温水蒸気により容易に実現できる温湿度において、吸水して軟化し、粘着性を発現可能な樹脂を意味する。具体的には、熱水又は高温水蒸気(例えば、80〜150℃、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは90〜110℃程度の水蒸気)で軟化して自己接着または他の繊維に接着可能な熱可塑性樹脂、例えば、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシC2-3アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1-3アルキルセルロース又はその塩など)、ポリアルキレングリコール樹脂(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2-4アルキレンオキサイドなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニルアルコール系重合体、ポリビニルアセタールなど)、アクリル系重合体及びその塩[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなどのアクリル系単量体で構成された単位を含む共重合体又はそのアルカリ金属塩など]、変性ビニル系共重合体(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体又はその塩など)、親水性の置換基を導入したポリマー(スルホン酸基やカルボキシル基、ヒドロキシル基などを導入したポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン又はその塩など)、脂肪族ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸系樹脂など)などが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー又はゴム(スチレン系エラストマーなど)などのうち、熱水(高温水蒸気)の温度で軟化して接着機能を発現可能な樹脂も含まれる。
本発明の不織布の目的とする、吸水時の寸法変化を確保するためには、湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とを併用することが必要であり、この高吸水性繊維は、優れた吸水性と吸水により膨張する性質を有する樹脂で構成された繊維であれば特に限定は無いが、親水性基を有する重合体を含む繊維が好適に用いられる。
本発明の不織布においては、必要に応じてウェブを製造する際に既に述べた繊維以外の他の繊維を混合してもよい。他の繊維としては、前記高吸水性繊維以外の非湿熱接着性繊維、例えば、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの芳香族ポリエステル繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612などの脂肪族ポリアミド系繊維、脂環式ポリアミド系繊維、半芳香族ポリアミド系繊維、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリC2-4オレフィン繊維など)、アクリル系繊維(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系繊維など)、ポリビニル系繊維(ポリビニルアセタール系繊維など)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体の繊維など)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体などの繊維)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、セルロース系繊維(例えば、レーヨン繊維、アセテート繊維など)などが挙げられる。これら他の繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの他の繊維のうち、風合い、あるいは吸水性を制御する場合やコストを低く抑える必要がある時などは、コットン、羊毛などの天然繊維、レーヨン等の再生セルロース繊維、あるいはポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維などの合成繊維が挙げられる。しかしながら、これらの繊維は、不織布が所望の性質を維持する事が前提条件であるため、その混率は不織布全体に対して0〜30質量%(例えば、0.1〜20質量%)程度である。30質量%を超えて、これら繊維を混合してしまうと、目的の吸水膨張性を著しく低下させてしまうため好ましくない。
本発明に用いる繊維(湿熱接着性繊維、高吸水性繊維、他の繊維)の平均繊度としては、それぞれ、0.01〜100dtex程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜50dtex、好ましくは0.3〜30dtex、さらに好ましくは0.5〜10dtex(特に1〜10dtex)程度であり、湿熱接着性繊維は、例えば、1〜5dtex、好ましくは1.5〜3.5dtex程度であってもよい。繊維の繊度が細いと、繊維そのものの製造が難しくなる事に加え、充分な繊維強度を確保し難くなるため、吸水により本発明の不織布が膨張する際に、長さ方向への膨張を制限する事が困難になる。
次に、本発明の不織布の製造法について説明する。
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚さを測定し、この値と(1)の方法で測定した目付とから密度を算出した。
JIS L1096に準じ、フラジール形法にて測定した。
不織布試料を5cm×5cmのサイズにカットし、標準状態(20±2℃、65±4%R.H.)の環境下で24時間放置したサンプルの重量を測定(W1)した。このサンプルを完全に覆うことのできる量の蒸留水中に5分間浸漬した後、これを引き上げ、1分間、垂直に吊り下げる事により水切りした後の試料重量(W2)を測定した。これらの測定結果から、次式に従い吸水率を算出した。各測定値は、5サンプルについて測定した値の平均値を用いた。
(5)吸水膨張性
不織布試料を吸水性測定用サンプルと同じサイズにカットし、同じ条件下で24時間放置した後に、長さ方向、幅方向そして厚み方向について、標準状態下寸法(L1)をそれぞれ測定した。このサンプルを完全に覆うことのできる量の蒸留水中に5分間浸漬した後、これを引き上げ、1分間、垂直に吊り下げる事により水切りした後、同様に試料の長さ方向、幅方向、及び厚み方向について吸水後の寸法(L2)を測定し、次式に従い寸法変化率を算出した。各測定値は、5サンプルについて測定した値の平均値を用いた。
(6)繊維接着率(%)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布断面を100倍に拡大した写真を撮影した。撮影した不織布の厚み方向における断面写真を厚み方向に3等分し、3等分した各領域(表面、内部(中央)、裏面(反対面))において、そこに見出せる繊維切断面(繊維端面)の数に対する別の切断面と接触している切断面の数の割合を求めた。各領域に見出せる全切断数のうち、2本以上の繊維が接着した状態の断面の数の占める割合を以下の式に基づいて、百分率で表した。なお、繊維同士が接触する部分には、融着することなく単に接触している部分と、融着により接着している部分とがある。但し、顕微鏡撮影のために不織布を切断することにより、不織布の切断面においては、各繊維が有する応力によって、単に接触している繊維同士は分離する。従って、断面写真において、接触している繊維同士は、接着していると判断できる。
ただし、各写真について、断面の見える繊維は全て計数し、繊維断面数100以下の場合は、観察する写真を追加して全繊維断面数が100を超えるようにした。なお、3等分した各領域についてそれぞれ繊維接着率を求め、その最大値と最小値との差、最大値に対する最小値の割合(最小値/最大値)も併せて求め、繊維接着率の厚み方向の均一性の指標とした。
不織布試料を5mm角の立方体形状にカットし、50cm3の水を入れた三角フラスコ(100cm3)の中に投入し、1分間放置し、この時の形状を処理前の形状とした。このフラスコを振とう器(ヤマト科学社製、「MK160型」)に装着し、振幅30mmの旋回方式にて60rpmの速度で30分間振とうさせた。振とう後、形態変化及び形態保持状態を目視確認し、以下に示す3段階評価を行った。
○:大きく欠落した部分は見られないが、形態の変形が見られる
×:欠落部分の発生が見られる。
湿熱接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%)である芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ」、3.3dtex、51mm長、芯鞘質量比=50/50、捲縮数21個/25mm、捲縮率13.5%)を準備した。更に、高吸水性繊維として東洋紡績社製高吸水性繊維「ランシール(登録商標)F」(5.6dtex、51mm長)を準備した。
実施例1で使用した湿熱接着性繊維を40質量%、高吸水性繊維を60質量%で混綿する以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。得られた不織布の物性測定結果を表1に示す。得られた不織布は実施例1の不織布より柔軟で、より高い吸水率を有していた。また、形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、概ね形態は保持されていた。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
不織布の目付を約280g/m2とする以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。得られた不織布の物性測定結果を表1に示す。得られた不織布は実施例1の不織布より柔軟で、より高い吸水率を示した。また、形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、概ね形態は保持されていた。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
水蒸気噴射装置における水蒸気噴射圧力を0.8MPaとし、コンベアベルト間隔を2mmとする以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。得られた不織布の物性測定結果を表1に示す。得られた不織布は、実施例1の不織布より低い吸水率を示していたが、目的の吸水性能を有していると共に、優れた形態保持性を示した。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
2.2dtexの繊維径を有する湿熱接着性繊維を用いる以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。得られた不織布の物性測定結果を表1に示す。得られた不織布は実施例1の不織布に比べてやや高密度であり、やや低い吸水率を有していた。また、形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、概ね形態は保持されていた。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
湿熱接着性繊維80質量%、高吸水性繊維20質量%の割合で混綿する以外は、実施例1と同様にして、不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布は、実施例4の不織布よりも更に低い吸水率を示したが、目的の吸水性能を有していると共に、優れた形態保持性を示した。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
湿熱接着性繊維を20質量%、高吸水性繊維を80質量%の割合で混綿する以外は、実施例1と同様にして、不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布は、実施例1の不織布に比べ、よりボード状の形態を有しており、他の実施例のサンプルに比べ厚み方向の吸水時の寸法変化率、吸水率が高く、膨潤後のサンプルは繊維の脱落や形状の崩壊といった現象は見られなかった。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
湿熱接着性繊維10質量%、高吸水性繊維90質量%の割合で混綿する以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布は実施例1の不織布に比べて非常に柔軟であり、良好な吸水性を示したが、厚さ中央部の繊維接着率が低く、飽和状態まで吸水したところ大きく膨張し、表面部の構成繊維が脱落し、一部形態が崩れてしまった。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
実施例1において、ウェブを蒸気噴射装置に導き形態確保する代わりに、上下ともに120℃のロール温度に設定したフラットカレンダー装置にてカレンダー加工を行なった。さらに、ロール間のクリアランスを5mmとし、速度5m/分で加工する以外は実施例1と同様にして不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
湿熱接着性繊維90質量%、高吸水性繊維10質量%の割合で混綿するとともに、水蒸気噴射装置におけるコンベアベルト間の間隔を1.5mmとする以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布は、吸水率及び吸水膨張率ともに低かった。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
Claims (12)
- 湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とで構成され、前記湿熱接着性繊維と前記高吸水性繊維との割合(質量比)が、湿熱接着性繊維/高吸水性繊維=20/80〜80/20である不織布であって、湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とを、混合ウェブとした後、混合ウェブを搬送しながら高温水蒸気流で加熱処理して得られ、前記不織布を構成する繊維が配向しており、かつ前記不織布の断面における繊維接着率が厚み方向に沿って概ね均一で、5〜50%である不織布。
- 乾燥状態から吸水させた際に、吸水による寸法変化率が、不織布の長さ方向において5.0%以下であり、かつ厚み方向において50%以上である請求項1に記載の不織布。
- 乾燥状態の密度が0.03〜0.3g/cm3である請求項1または2に記載の不織布。
- 吸水率が500質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
- 厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合が50%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
- 高吸水性繊維が、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はその塩基、スルホン酸基又はその塩基、及びエーテル基からなる群から選択された少なくとも一種の親水性基を有する重合体で構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
- 高吸水性繊維がポリ(メタ)アクリル酸系重合体又はその塩を含む成分で構成されている請求項1〜6のいずれかに記載の不織布。
- 湿熱接着性繊維が、エチレン単位の含有量が10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体と、非湿熱接着性樹脂とで構成され、前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体と前記非湿熱接着性樹脂との割合(質量比)が、前者/後者=90/10〜10/90であり、かつ前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、前記湿熱接着性繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して占める請求項1〜7のいずれかに記載の不織布。
- 湿熱接着性繊維が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体で構成された鞘部と、ポリエステル系樹脂で構成された芯部とで形成された芯鞘型複合繊維である請求項1〜8のいずれかに記載の不織布。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布で構成された水土嚢。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の不織布で構成された保水シート。
- 湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とを混合ウェブ化する工程と、生成した混合ウェブを搬送しながら高温水蒸気で加熱処理して繊維を融着する工程とを含む請求項1〜9のいずれかに記載の不織布の製造方法。
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