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JP5189795B2 - 摩擦ダンパー - Google Patents
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JP5189795B2 - 摩擦ダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、建築構造物の揺れを低減する摩擦ダンパーに関する。
地震等による建築構造物の揺れを低減するため、建築構造物の梁又はブレースに摩擦ダンパーが設けられている。摩擦ダンパーは、相対変位する2部材の一方の部材に滑り板を設け、当該滑り板と他方の部材の接触面で発生する摩擦力によって揺れを減衰させる機構となっている。
ここで、摩擦ダンパーの一例として、振動により相対変位する2部材にそれぞれ第1圧接板、第2圧接板を設け、第1圧接板と第2圧接板の間に摩擦板及び滑動板を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の摩擦ダンパーは、摩擦板が樹脂等で構成され、滑動板がステンレス又はチタンからなる金属で構成されている。そして、第2圧接板と摩擦板の間の摩擦係数を、第1圧接板と滑動板の間の摩擦係数よりも大きくすることで、摩擦板の接着固定を不要としている。
しかし、特許文献1の摩擦ダンパーは、ステンレス又はチタンの熱伝導率が小さいために滑動板の熱が逃げにくく、相手材である摩擦板の温度が急激に上昇してダンパー特性が変化しやすい状態となっていた。
特開2003−307253
本発明は、滑り材の熱を逃がすことができる摩擦ダンパーを得ることを目的とする。
本発明の請求項1に係る摩擦ダンパーは、一の建築構造体から突設された板材と、厚さが1mm以下のフッ素系樹脂又はフェノール樹脂で構成され、バックメタルで構成される裏打ち材が装着され、前記板材に固定された滑り材と、前記滑り材に当接させて、前記一の建築構造体と相対移動する他の建築構造体に取り付けられ、熱伝導率が、80W/m・K・秒以上の相手板材と、を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、相手板材として、熱伝導率が80W/m・K・秒以上(一般的にSUS304のステンレス板の5倍以上)の素材を用いることで、滑り材と相手板材の間の摩擦面に発生する熱が、速やかに摩擦面外部に逃げる。
このため、滑り材が熱で変質することがなく、短時間の地震応答に対しては摩擦力が低下せず、長時間の地震応答に対しては滑り材が溶融したり破壊したりすることがないので、摩擦ダンパーの制震効果を維持できる。
上記構成によれば、滑り材が、厚さが1mm以下のフッ素系樹脂又はフェノール樹脂で構成され、バックメタルで構成される裏打ち材が装着されているので、熱拡散させることで変質しにくくすることができる。このため、短時間の地震応答に対しては、滑り材の摩擦力が低下せず、長時間の地震応答に対しては滑り材が溶融したり破壊したりすることがないので、摩擦ダンパーの制震効果を維持できる。
本発明の請求項に係る摩擦ダンパーは、前記板材に溝部が形成され、該溝部に前記滑り材を嵌合したことを特徴としている。
上記構成によれば、溝部に滑り材が嵌合すると、滑り材側面と溝部側面の接触部分の支圧によって摩擦力が伝達される。摩擦面下面と板材平面の接触部分は摩擦による熱が主として伝達されるので、熱による接着剤の変質や、ビス止め部での温度応力の発生などによる応力集中が起こりにくい。このため、滑り材への局部的な応力集中を緩和させることができる。
本発明の請求項に係る摩擦ダンパーは、両面に前記滑り材を固定した前記板材を上下に複数枚設け、上下に配置された前記板材に固定された前記滑り材の間へ前記相手板材を挿入して前記滑り材に当接させると共に、最上部の前記滑り材に当接する前記相手板材と最下部の前記滑り材に当接する前記相手板材とを設けたことを特徴としている。
上記構成によれば、板材、滑り材、相手板材を複数積層し、多段の摩擦面を形成することにより、1段当りの摩擦面積を小さくすることができる。これにより、摩擦ダンパーをコンパクト化でき、一の建築構造体と二の建築構造体の隙間が狭くても摩擦ダンパーを設置可能となる。
本発明は、上記構成としたので、滑り材の熱を逃がすことができ、滑り材が溶融したり破壊したりすることがなくなり、摩擦ダンパーの制震効果を維持できる。
本発明の摩擦ダンパーの第1実施形態を図面に基づき説明する。
図1aに示すように、地盤108上に、高層の建物100が構築されている。
建物100は、地盤108の鉛直方向にコンクリート等で構成される図示しない杭が形成され、この杭上に、複数の柱からなる柱部102と、複数の梁104が組み上げられ固定されることで構築される。
また、建物100の一部の階層には、揺れ等に対する補強部としてトラス構造部106が設けられている。
図1bに示すように、トラス構造部106は、略水平方向に延設された上弦材110と、上弦材110の下方で上弦材110と平行に配設された下弦材112と、上弦材110の両端部から下弦材112の略中央部へ向けて配設された斜材114と、上弦材110の略中央部に一端が固定され、他端が下弦材112の略中央部に固定された柱材116と、で構成されている。
上弦材110、下弦材112、斜材114、及び柱材116は、それぞれ図示しないボルト及びナットにより締結されている。
上弦材110の一端は、柱部102の側面から外方向へ突設された接続板118に、図示しないボルト及びナットにより締結されている。また、下弦材112の一端は、接続板118の下方側で柱部102の側面から外方向へ突設された接続板120に、図示しないボルト及びナットにより締結されている。
ここで、下弦材112の一部には、摩擦力を発生させて建物100(図1a参照)の制震を行う摩擦ダンパー10が設けられている。
図2a及び図2bに示すように、摩擦ダンパー10は、主に、鋼板からなる板材12と、板材12に取り付けられた滑り材14と、板材12と相対移動して滑り材14との間で摩擦力を発生させる相手板16、18と、で構成されている。
板材12の一方端は、前述の接続板120(図1参照)の先端部と共に、鋼板からなる一対の押え板20、22で挟持されている。
押え板20、接続板120、板材12、及び押え板22には、押え板20の上面から押え板22の下面へ貫通する貫通孔24、25が形成されている。この貫通孔24、25に、ボルト30が挿通され、ナット32で締結されることで、接続板120に板材12の一方端が固定されている。
板材12の略中央部から他方端までの上面及び下面には、フッ素系樹脂又はフェノール樹脂で構成された板状の滑り材14が、板材12の上面及び下面に沿って所定間隔で複数箇所に貼り付けられている。
滑り材14は、板材12に接着剤で貼り付けられているかビス止めされているが、滑り材14の裏側にバックメタルで構成されるライナー(裏打ち材)を貼り付けて、このライナーを板材12に切削した溝部に嵌合した上で貼り付けるかビス止めするようにしてもよい。このようにすることで、滑り材14への局部的な応力集中を緩和させることができる。
各滑り材14の上面又は下面には、板材12を挟んで所定距離離間して平行に配置された一対の相手板16、18の下面又は上面が当接されている。
相手板16、18の一方端から略中央部までは、滑り材14に当接している。また、相手板16、18の他方端は、前述の下弦材112(図1参照)の一部を構成するとともに中央部近傍に設けられた接続板122の上面、下面に当接され、接続板122を挟持している。
相手板16、接続板122、及び相手板18には、相手板16の上面から相手板18の下面へ貫通する貫通孔40、41が形成されている。この貫通孔40、41に、ボルト34が挿通され、ナット36で締結されることで、接続板122に相手板16及び相手板18の一方端が固定されている。
以上の構成により、板材12及び滑り材14が一体となって移動し、相手板16、18が滑り材14の上面又は下面を摺擦移動して、板材12と相手板16、18が相対移動可能となっている。
相手板16、18は、熱伝導率(λ)が80W/m・K・秒以上で、厚さ(t)が1.9cmの鉄板で構成されている。相手板16、18は、アルミニウム、黄銅、銅であってもよい。
ここで、相手板16、18の材質及び板厚tの選択について説明する。
相手板16、18の板厚tは、経過時間による当該相手板16、18の局部的な熱拡散を考慮して定められる。
摩擦ダンパー10の地震挙動時の温度上昇は、摩擦ダンパー10全体の熱容量による蓄熱と、温度上昇を評価する相手板16、18の局部的な熱容量による蓄熱と、経過時間による摩擦ダンパー10全体の平均的な熱拡散と、経過時間による相手板16、18の局部的な熱拡散と、に支配され、(1)式の回帰式で表現できる。
Figure 0005189795

ここで、ΔK:温度上昇(K)、W:発生熱量(J)、τ:経過時間(sec)、Q:摩擦ダンパーの熱容量(J/K)、λ:相手板の熱伝導率(W/m・K)、t:温度上昇を評価する相手板の板厚(m)、Q´1:温度上昇を評価する板材の熱容量(J/K)、α1〜α4:回帰係数である。
なお、(1)式は、滑り材14の材質形状を与条件として、相手板16、18及び摩擦ダンパー10全体のサイズを定めるための回帰式なので、滑り材14をパラメータとしていない。滑り材14の材質形状構成ごとに(1)式の回帰係数を定めることになる。
(1)式の右辺第1項は、時間経過と共に熱が拡散する状況を、第2項は、時間経過に加え評価対象部分の板厚と熱伝導率により局部的な熱が拡散する状況を、第3項及び第4項は、局部および全体の熱容量によって定常的に熱が蓄積される状況を表現している。
摩擦ダンパー10について、長時間の地震応答を考慮した繰返し試験によって得られた発生熱量の時刻履歴と、相手板16、18の材質をパラメータとした解析結果に基づくと、例えば以下のような回帰係数の例が得られる。
なお、温度上昇の評価点は、滑り材14に接する相手板16、18表面の中央点であり、その点の温度は、接している滑り材14の温度であると見なせる。回帰の際には、短時間の地震応答に対する性能安定を設計対象とする経過時間40秒(10サイクル)における温度上昇と、長時間の地震応答に対する健全性を設計対象とする経過時間300秒(75サイクル)における温度上昇とを対象とした。
滑り材14を厚さ1mmのフッ素系樹脂(バックメタルの厚さ1mm)として、さらに、Qとしてダンパー全体の熱容量を用いたとき、α1=27.05、α2=6.660、α3=0.01188、α4=0.3950と求められる。
一方、Qとして相手板16、18の熱容量の合計を用いたとき、α1=11.90、α2=3.525、α3=0.01150、α4=0.1997と求められる。
ここで、相関係数は、それぞれ0.935、0.939となり、ほぼ同等であるので、Qとして、ダンパー全体の熱容量を用いることにする。
(1)式の回帰式の構成から、摩擦ダンパー10の温度上昇の抑制に効果がある要因として、摩擦ダンパー10全体の熱容量Qを向上させること(第1項、第2項、第4項)、温度上昇を評価する板材12の熱容量Q´1を向上させること(第3項)、温度上昇を評価する板材12の局部的な熱拡散を促すこと(第2項)が挙げられる。
摩擦ダンパー10全体の熱容量Qは(2)式で表現される。
Figure 0005189795

ここで、Ci:i部分の材料の比熱容量(J/kg・K)、ρi:i部分の材料の密度(kg/m)、Vi:i部分の体積(m)である。
主な金属材料の比熱容量と密度を表1に示す。
Figure 0005189795

比熱容量と密度の積は、アルミニウムが他の金属材料に比べやや小さいことを除けば、材料による違いは殆ど無い。また、摩擦ダンパー10全体または相手板16、18のサイズ(体積)を著しく大きくすることはできない。このため、摩擦ダンパー10全体又は相手板16、18の熱容量を向上させることによる摩擦ダンパー10の温度上昇の抑制は困難である((1)式の第1項、第4項に相当)。
一方、板材12の熱容量Q´1による摩擦ダンパー10の温度上昇抑制効果については、式の形式から、定常的な熱の蓄積を表すものであり、地震応答の時間経過に伴う温度上昇を抑制する項ではないことが分かる((1)式の第3項に相当)。
従って、地震応答の時間経過に伴う摩擦ダンパー10の温度上昇を抑制するためには、温度上昇を評価する板材12の局部的な熱拡散を促すことが有効であることになる((1)式の第2項に相当)。
ここで、主な金属材料の熱伝導率λを表2に示す。
Figure 0005189795

材料によって熱伝導率は大きく異なる。相手板16、18としてよく使われるステンレスに対して、鉄は約5倍、銅は20倍以上の数値であり、材料の違いが有意な差となることが分かる。
λおよびtに適当な値を代入して、(1)式の第2項の係数を求めると表3のようになる。なお、表3のλは表2の数値を工学的に丸めた値である。
Figure 0005189795

前述のように、平均的な熱拡散に関わる第1項の係数は27.05/τであるので、80W/m・K程度以上の熱伝導率λを有する材料を用い、板厚tを適切に選ぶことで、(1)式の第2項の係数を、第1項に比べて十分小さくできる。すなわち、相手板16、18の局所的な熱の集中が速やかに緩和され、平均的な熱拡散の状態に近づけることができる。
摩擦ダンパー10の滑り材14として代表的に用いられる樹脂系滑り材について、温度上昇クライテリアの設定例を表4に示す。(1)式の回帰式に基づいて、温度上昇のクライテリアを満たすように相手板16、18の材質や板厚を定めればよい。
Figure 0005189795

なお、表5に、樹脂の厚さを1mmとしたときの熱伝導率λ、板厚t、経過時間τ、各熱容量、発生熱量W、温度上昇ΔKの値を示す。また、表6に、樹脂の厚さを2mmとしたときの熱伝導率λ、板厚t、経過時間τ、各熱容量、発生熱量W、温度上昇ΔKの値を示す。
樹脂の厚さを1mmより大きくすると、特に板厚が小さなときに温度上昇の値が大きくなるので、樹脂の厚さは1mm以下とすることが望ましい。
Figure 0005189795
Figure 0005189795

次に、本発明の第1実施形態の作用について説明する。
図3は、板材12と相手板16、18の相対移動の状態を示したものである。なお、図3では、説明の都合上、相手板16、18側を基準(固定)として、板材12の移動量を示している。
図3aに示すように、建物100(図1参照)に地震等の揺れが生じていない場合は、板材12及び相手板16、18は静止している。
続いて、図3bに示すように、地震等の揺れが生じて、板材12が相手板16、18に対して矢印−X方向へ距離d1で相対移動すると、滑り材14は、板材12と一体で矢印−X方向へ移動する。このため、滑り材14と相手板16、18との界面(摩擦面)で摩擦力が発生する。
この摩擦力をF1とすると、揺れの振動エネルギーは、F1×d1に相当するエネルギー分だけ減衰することになる。
続いて、図3cに示すように、板材12が相手板16、18に対して矢印+X方向へd1の位置から距離d2で相対移動すると、滑り材14は、板材12と一体で矢印+X方向へ移動する。このため、滑り材14と相手板16、18との界面で摩擦力が発生する。
この摩擦力は、大きさが概略F1に等しく向きが逆な力となる。これをF2とすると、揺れの振動エネルギーは、F2×d2に相当するエネルギー分だけ減衰することになる。
このように、滑り材14と相手板16、18との摩擦面で発生する摩擦力F1又はF2により、揺れの振動エネルギーが徐々に減衰し、建物100の制震が行われる。
ここで、滑り材14と相手板16、18との摩擦面で摩擦力が発生するとき、摩擦エネルギーにより、滑り材14又は相手板16、18が発熱する。
摩擦力が大きいと、振動エネルギーの減衰量が大きくなるが、一方で、滑り材14の発熱量は増加する。この発熱量があまりに大きいと、滑り材14が、溶融して破壊されやすくなったり、変質して摩擦面の摩擦力が低下するなどして、制震効果が十分に得られなくなる。
しかし、本実施形態では、相手板16、18として、熱伝導率が80W/m・K・秒以上で、厚さ1.9cmの鉄板を用いており、局部的な熱拡散の程度が平均的な熱拡散の程度に比して十分大きくなっている。これにより、滑り材14と相手板16、18の間の摩擦面に発生する熱が、相手板16、18及び接続板122を介して、建物100の躯体へ速やかに放散する。
このため、滑り材14が熱で変質することがない。また、短時間の地震応答に対しては摩擦力が低下せず、長時間の地震応答に対しては滑り材14が溶融したり破壊したりすることがないので、摩擦ダンパー10の制震効果を維持できる。
さらに、滑り材14が、フッ素系樹脂又はフェノール樹脂で構成されており、熱で変質しにくくなっているので、摩擦ダンパーの制震効果を維持できる。
次に、本発明の摩擦ダンパーの第2実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一のものには、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図4aは、多段構造の摩擦ダンパー50の断面を示している。摩擦ダンパー50は、前述の建物100の下弦材112(図1参照)の一部に設けられている。
図4aに示すように、摩擦ダンパー50は、主に、鋼板からなる板材52、54、56と、板材52、54、56に取り付けられた滑り材55と、板材52、54、56と相対移動して滑り材55との間で摩擦力を発生させる相手板58、60、62、64と、で構成されている。
板材54の一方端は、前述の接続板120の先端部と共に、鋼板からなる一対の押え板129、131で挟持されている。押え板129、接続板120、及び押え板131は、押え板129の上面から押え板131の下面へ貫通する貫通孔135、136が形成されている。この貫通孔135、136に、ボルト133が挿通され、ナット134で締結されることで、接続板120に押え板129、131が固定されている。
また、押え板129、131は、鋼板からなる一対の押え板66、68で挟持されている。さらに、押え板66、68は、板材52、56で挟持されている。
ここで、板材52、押え板66、押え板129、板材54、押え板131、押え板68、及び板材56には、板材52の上面から板材56の下面へ貫通する貫通孔70、71が形成されている。この貫通孔70、71に、ボルト72が挿通され、ナット74で締結されることで、接続板120に板材52、54、56の一方端が固定されている。
板材52、54、56の略中央部から他方端までの上面及び下面には、フッ素系樹脂又はフェノール樹脂を基材とする積層型の樹脂で構成された板状の滑り材55が、板材52、54、56の上面及び下面に沿って所定間隔で複数箇所に貼り付けられている。
滑り材55は、板材52、54、56に接着剤で貼り付けられているかビス止めされているが、滑り材55の裏側にバックメタルで構成されるライナー(裏打ち材)を貼り付けて、このライナーを板材52、54、56に切削した溝部に嵌合した上で貼り付けるかビス止めするようにしてもよい。このようにすることで、滑り材55への局部的な応力集中を緩和させることができる。
各滑り材55の上面又は下面には、板材52、54、56を挟んで所定距離離間して平行に配置された相手板58、60、62、64の下面又は上面が当接されている。
相手板58、60、62、64の一方端から略中央部までは、滑り材55に当接している。また、相手板60、62の他方端は、前述の接続板122の上面、下面に当接され、接続板122を挟持している。
相手板60、62は、鋼板からなる一対の押え板78、80で挟持されている。さらに、押え板78、80は、板材58、64で挟持されている。
ここで、相手板58、押え板78、相手板60、接続板122、相手板62、押え板80、及び相手板64には、相手板58の上面から相手板64の下面へ貫通する貫通孔76、77が形成されている。この貫通孔76、77に、ボルト82が挿通され、ナット84で締結されることで、接続板122に相手板58、60、62、及び64の他方端が固定されている。
以上の構成により、多段に形成された板材52、54、56及び滑り材55が一体となって移動し、相手板58、60、62、64が滑り材55の上面又は下面を摺擦移動して、板材52、54、56と相手板58、60、62、64が相対移動可能となっている。
相手板58、60、62、64は、熱伝導率(λ)が80W/m・K・秒以上で、厚さ(t)が1.9cmの鉄板で構成されている。相手板58、60、62、64は、アルミニウム、黄銅、銅であってもよい。
次に、本発明の第2実施形態の作用について説明する。
図4a〜図4cは、板材52、54、56と相手板58、60、62、64の相対移動の状態を示している。なお、説明の都合上、相手板58、60、62、64側を基準(固定)として、板材52、54、56の移動量を示している。
図4aに示すように、建物100(図1参照)に地震等の揺れが生じていない場合は、板材52、54、56及び相手板58、60、62、64は静止している。
続いて、図4bに示すように、地震等の揺れが生じて、板材52、54、56が相手板58、60、62、64に対して矢印−X方向へ距離d3で相対移動すると、滑り材55は、板材52、54、56と一体で矢印−X方向へ移動する。このため、滑り材55と相手板58、60、62、64との界面(摩擦面)で摩擦力が発生する。
この摩擦力をF3とすると、揺れの振動エネルギーは、F3×d3に相当するエネルギー分だけ減衰することになる。
続いて、図4cに示すように、板材52、54、56が相手板58、60、62、64に対して矢印+X方向へd3の位置から距離d4で移動すると、滑り材55は、板材52、54、56と一体で矢印+X方向へ移動する。このため、滑り材55と相手板58、60、62、64との界面で摩擦力が発生する。
この摩擦力は大きさが概略F3に等しく向きが逆な力となる。これをF4とすると、揺れの振動エネルギーは、F4×d4に相当するエネルギー分だけ減衰することになる。
このように、滑り材55と相手板58、60、62、64との摩擦面で発生する摩擦力F3又はF4により、揺れの振動エネルギーが徐々に減衰し、建物100の制震が行われる。
ここで、滑り材55と相手板58、60、62、64との摩擦面で摩擦力が発生するとき、摩擦エネルギーにより、滑り材55又は相手板58、60、62、64が発熱する。
摩擦力が大きいと、振動エネルギーの減衰量が大きくなるが、一方で、滑り材55の発熱量は増加する。この発熱量があまりに大きいと、滑り材55が、溶融して破壊されやすくなったり、変質して摩擦面の摩擦力が低下するなどして、制震効果が十分に得られなくなる。
しかし、本実施形態では、相手板58、60、62、64として、熱伝導率が80W/m・K・秒で、厚さ1.9cmの鉄板を用いており、局部的な熱拡散の程度が平均的な熱拡散の程度に比して十分大きくなっている。これにより、滑り材55と相手板58、60、62、64の間の摩擦面に発生する熱が、相手板58、60、62、64及び接続板122を介して、建物100の躯体へ速やかに放散する。
このため、滑り材55が熱で変質することがない。また、短時間の地震応答に対しては摩擦力が低下せず、長時間の地震応答に対しては滑り材55が溶融したり破壊したりすることがないので、摩擦ダンパー50の制震効果を維持できる。
さらに、板材52、54、56、滑り材55、相手板58、60、62、64を複数積層して、多段の摩擦面を形成しているので、1段当りの摩擦面積を小さくすることができる。これにより、摩擦ダンパー50をコンパクト化でき、接続板120と接続板122の隙間が狭くても、建物100に摩擦ダンパー50を設置可能となる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。
摩擦ダンパー10、50は、板材と滑り材の間の摩擦面を地面と略垂直となるように配置するだけでなく、略平行になるように配置してもよい。
また、摩擦ダンパー10、50は、建物100の梁部104に設けてもよい。
板材及び相手板は、1枚、3枚、4枚だけでなく、複数枚で適宜枚数選択できる。また、板材及び相手板の厚さは、同一であってもよく、片方が厚くてもよい。
滑り材は、板材の移動方向に沿って3箇所設けるだけでなく、1箇所で面積の広いものを取り付けてもよく、また、2箇所以上の複数個所で取り付けてもよい。
(a)本発明の第1実施形態に係る摩擦ダンパーが設けられた建物の全体図である。(b)本発明の第1実施形態に係る摩擦ダンパーが設けられた建物の部分拡大図である。 (a)本発明の第1実施形態に係る摩擦ダンパーの正面図である。(b)本発明の第1実施形態に係る摩擦ダンパーの断面図である。 本発明の第1実施形態に係る摩擦ダンパーの移動状態を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る摩擦ダンパーの移動状態を示す模式図である。
符号の説明
10 摩擦ダンパー(摩擦ダンパー)
12 板材(板材)
14 滑り材(滑り材)
16 相手板(相手板材)
18 相手板(相手板材)
50 摩擦ダンパー(摩擦ダンパー)
52 板材(板材)
54 板材(板材)
55 滑り材(滑り材)
56 板材(板材)
58 相手板(相手板材)
60 相手板(相手板材)
62 相手板(相手板材)
64 相手板(相手板材)
100 建物
120 接続板(一の建築構造体)
122 接続板(他の建築構造体)

Claims (3)

  1. 一の建築構造体から突設された板材と、
    厚さが1mm以下のフッ素系樹脂又はフェノール樹脂で構成され、バックメタルで構成される裏打ち材が装着され、前記板材に固定された滑り材と、
    前記滑り材に当接させて、前記一の建築構造体と相対移動する他の建築構造体に取り付けられ、熱伝導率が、80W/m・K・秒以上の相手板材と、
    を備えたことを特徴とする摩擦ダンパー。
  2. 前記板材に溝部が形成され、該溝部に前記滑り材を嵌合したことを特徴とする請求項1に記載の摩擦ダンパー。
  3. 両面に前記滑り材を固定した前記板材を上下に複数枚設け、
    上下に配置された前記板材に固定された前記滑り材の間へ前記相手板材を挿入して前記滑り材に当接させると共に、最上部の前記滑り材に当接する前記相手板材と最下部の前記滑り材に当接する前記相手板材とを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦ダンパー。
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