JP5195837B2 - 熱交換器用アルミニウム合金フィン材 - Google Patents
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Description
Siは、Fe、Mnと共存してろう付け時にサブミクロンレベルのAl−(Fe・Mn)−Si系の化合物を生成し、強度を向上させ、同時にMnの固溶量を減少させて熱伝導率を向上させる。Siの含有量が0.8wt%未満ではその効果が十分でなく、1.4wt%を超えると、ろう付け時にフィン材の溶融を生じるおそれがある。従って、好ましい含有範囲は0.8〜1.4wt%である。Siのさらに好ましい含有量は0.9〜1.4wt%の範囲である。
Feは、Mn、Siと共存してろう付け時にサブミクロンレベルのAl−(Fe・Mn)−Si系の化合物を生成し、強度を向上させるとともに、Mnの固溶量を減少させて熱伝導率を向上させる。Feの含有量が0.15wt%未満では高純度の地金を必要とするため製造コストが高くなり好ましくない。0.7wt%を超えると合金の鋳造時に粗大なAl−(Fe・Mn)−Si系晶出物が生成して板材の製造が困難となる。従って、好ましい含有範囲は0.15〜0.7wt%である。Feのさらに好ましい含有量は0.17〜0.6wt%の範囲である。
Mnは、Fe、Siと共存させることによりろう付け時にサブミクロンレベルのAl−(Fe・Mn)−Si系化合物として高密度に析出して、ろう付け後の合金材の強度を向上させる。また、サブミクロンレベルのAl−(Fe・Mn)−Si系析出物は強い再結晶阻止作用を有するため再結晶粒が500μm以上と粗大になり、耐サグ性と耐エロージョン性が向上する。Mnが1.5wt%未満ではその効果が十分でなく、3.0wt%を超えると合金の鋳造時に粗大なAl−(Fe・Mn)−Si系晶出物が生成して板材の製造が困難となるとともに、Mnの固溶量が増加して熱伝導率が低下する。従って、好ましい含有範囲は1.5〜3.0wt%である。Mnのさらに好ましい含有量は1.8〜3.0wt%である。
Znは、フィン材の電位を卑にし、犠牲陽極効果を与える。含有量が0.5wt%未満ではその効果が十分でなく、2.5wt%を超えると材料の自己耐食性が劣化し、また、Znの固溶によって熱伝導率が低下する。従って、好ましい含有範囲は0.5〜2.5wt%である。Znのさらに好ましい含有量は1.0〜1.5wt%の範囲である。
Mgは、ろう付け性に影響し、含有量が0.05wt%を超えるとろう付け性を害するおそれがある。とくにフッ化物系フラックスろう付けの場合、フラックスの成分であるフッ素(F)と合金中のMgとが反応し易くなり、MgF2 などの化合物が生成することに起因してろう付け時に有効に作用するフラックスの絶対量が不足し、ろう付け不良が生じ易くなる。従って、不純物としてのMgの含有量は0.05wt%以下に限定する。
双ベルト鋳造法は、上下に対峙し水冷されている回転ベルト間に溶湯を注湯してベルト面からの冷却で溶湯を凝固させてスラブとし、ベルトの反注湯側より該スラブを連続して引き出してコイル状に巻き取る連続鋳造方法である。
本発明においては、鋳造するスラブの厚さは5〜10mmが好ましい。この厚さであると板厚中央部の凝固速度も速く、均一組織でしかも本発明範囲の組成であると粗大な化合物の少ない、およびろう付け後において結晶粒径の大きい優れた諸性質を有するフィン材とすることができる。
中間焼鈍の保持温度は350〜500°Cが好ましい。中間焼鈍の保持温度が350°C未満の場合、十分な軟化状態を得ることができない。しかし、中間焼鈍の保持温度が500°Cを超えると、ろう付け時に析出する固溶Mnの多くが高温での中間焼鈍時に比較的大きなAl−(Fe・Mn)−Si系化合物として析出してしまうため、ろう付け時の再結晶阻止作用が弱まって再結晶粒径が500μm未満となり、耐サグ性と耐エロージョン性が低下する。
最終冷延率は10〜96%が好ましい。最終冷延率が10%未満の場合、冷間圧延で蓄積される歪エネルギーが少なく、ろう付け時の昇温過程で再結晶が完了しないため、耐サグ性と耐エロージョン性が低下する。最終冷延率が96%を超えると圧延時の耳割れが顕著になり歩留まりが低下する。なお、組成によっては製品強度が高くなり過ぎて、フィン成形において所定のフィン形状を得ることが困難になるときには、最終冷延板に保持温度300〜400°Cで1〜3時間程度の最終焼鈍(軟化処理)を行っても諸特性を損なうことはない。特に連続焼鈍炉により中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延された板に、更に保持温度300〜400°Cで1〜3時間程度の最終焼鈍(軟化処理)を施したフィン材は、フィン成形性に優れており、しかもろう付け後の強度も高く、耐サグ性に優れている。
〔実施例1〕
本発明例および比較例として、表1に示した合金番号1から13の組成の合金溶湯を溶製し、セラミックス製フィルターを通過させて双ベルト鋳造鋳型に注湯し、鋳造速度8m/分 で厚さ7mmのスラブを得た。溶湯の凝固時冷却速度は50°C/秒 であった。該スラブを表2に示した板厚まで冷間圧延して板状とし、昇温速度50°C/時間、表2に示した各温度で2時間保持、冷却速度50°C/時間(100°Cまで)の中間焼鈍を施して軟化させた。次いでこの板を冷間圧延して厚さ50μmのフィン材とした。
得られた本発明例および比較例のフィン材について下記(1)〜(3)の測定を行なった。
(2)ろう付け温度を想定して600〜605°C×3.5分間加熱し、冷却後下記項目を測定した。
[1] 抗張力(MPa )
[2] 表面を電解研磨してバーカー法で再結晶粒組織を現出後、切断法で圧延方向に平行な再結晶粒径(μm)
[3] 銀塩化銀電極を照合電極として、5%食塩水中で60分浸漬後の自然電位(mV)
[4] 銀塩化銀電極を照合電極として、5%食塩水中で電位掃引速度20mV/分で行ったカソード分極より求めた腐食電流密度(μA/cm2 )
[5] JIS−H0505記載の導電性試験法で導電率[%IACS]
(4)コルゲート状に加工したフィン材を非腐食性弗化物系フラックスを塗布した厚さ0.25mmのブレージングシート(ろう材4045合金クラッド率8%)のろう材面上に載置(負荷荷重324g)し、昇温速度50°C/分 で605°Cまで加熱して5分間保持した。冷却後、ろう付け断面を観察し、フィン材再結晶粒界のエロージョンが軽微なものを良(○印)とし、エロージョンが激しくフィン材の溶融が顕著なものを不良(×印)とした。なおコルゲート形状は下記のとおりとした。
コルゲート形状:高さ2.3mm×幅21mm×ピッチ3.4mm、10山
結果を表3に示す。
実施例および比較例として実施例1で得られた表1に示した合金番号1および2の組成の溶製双ベルト鋳造スラブを分割し、表4に示した各製板条件で中間焼鈍板厚まで冷間圧延した後、連続焼鈍炉において昇温速度100°C/秒で加熱し、450°C保持なしで、水冷却により中間焼鈍を施して軟化させた。次いで該板を表4に示した最終冷延率で冷間圧延して厚さ50μmとした。さらに、実施例のフィン材番号21〜23および比較例のフィン材番号27〜30については、昇温速度50°C/時間、表4に示した各温度で2時間保持、冷却速度50°C/時間(100°Cまで)の最終焼鈍を施して軟化させフィン材とした。これらフィン材について、実施例1に示した方法で、ろう付け前の抗張力、ろう付け後の抗張力、ろう付け後の再結晶粒径、耐エロージョン性、耐サグ性、犠牲陽極効果および自己耐食性を評価した結果を表4に示す。
(発明の効果)
Claims (3)
- Si:0.8〜1.4wt%、Fe:0.15〜0.7wt%、Mn:1.5〜3.0wt%、Zn:0.5〜2.5wt%を含み、さらに不純物としてのMgを0.05wt%以下に限定し、不純物としてのCuを0.02wt%以下に制限し、残部が通常の不純物とAlからなるアルミニウム合金のみからなる熱交換器用アルミニウム合金フィン材であって、
ろう付前の抗張力が240MPa以下であり、更に
加熱温度600〜605℃で3.5分間保持し冷却後に測定したときの抗張力が150MPa以上であり且つ圧延方向に平行な平均再結晶粒径が500〜5000μmであることを特徴とする、
高強度で且つ伝熱特性、耐エロージョン性、耐サグ性、犠牲陽極効果、自己耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材。 - Si:1.0〜1.4wt%、Fe:0.15〜0.55wt%、Mn:1.8〜3.0wt%、Zn:0.5〜2.5wt%を含み、さらに不純物としてのMgを0.05wt%以下に限定し、不純物としてのCuを0.2wt%以下に制限し、残部が通常の不純物とAlからなるアルミニウム合金のみからなる熱交換器用アルミニウム合金フィン材であって、
ろう付前の抗張力が240MPa以下であり、更に
加熱温度600〜605℃で3.5分間保持し冷却後に測定したときの抗張力が150MPa以上であり且つ圧延方向に平行な平均再結晶粒径が500〜5000μmであることを特徴とする、
高強度で且つ伝熱特性、耐エロージョン性、耐サグ性、犠牲陽極効果、自己耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材。 - Si:0.8〜1.4wt%、Fe:0.15〜0.7wt%、Mn:2.2〜3.0wt%、Zn:0.5〜2.5wt%を含み、さらに不純物としてのMgを0.05wt%以下に限定し、不純物としてのCuを0.2wt%以下に制限し、残部が通常の不純物とAlからなるアルミニウム合金のみからなる熱交換器用アルミニウム合金フィン材であって、
ろう付前の抗張力が240MPa以下であり、更に
加熱温度600〜605℃で3.5分間保持し冷却後に測定したときの抗張力が150MPa以上であり且つ圧延方向に平行な平均再結晶粒径が500〜5000μmであることを特徴とする、
高強度で且つ伝熱特性、耐エロージョン性、耐サグ性、犠牲陽極効果、自己耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
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