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JP5197136B2 - 染色プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents
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JP5197136B2 - 染色プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、染色プラスチックレンズの製造方法に関するものであり、より詳しくは、染色ムラが低減ないしは抑制された高品質なプラスチックレンズを得ることができる染色プラスチックレンズの製造方法に関するものである。
プラスチックはガラスと比べて軽量で割れにくいという利点を有するため、眼鏡レンズ等のレンズ素材として広く用いられている。近年、市場に流通するプラスチックレンズの多くは、ファッション性、遮光性付与等を目的として染色が施されている。
プラスチックをレンズ形状に成形してプラスチックレンズを得る方法としては、成形型内でプラスチックレンズ原料液の重合を行う注型重合法が挙げられる。しかし、注型重合法により成形されたプラスチックレンズに染色を施すと、染色ムラが起こり得られるレンズの品質が低下するという問題があった。
染色ムラ低減手段として、例えば特許文献1には、注型重合後にプラスチックレンズを成形型から取り出す離型工程において、プラスチックレンズを40℃以上ガラス転移点以下に加熱することが提案されている。一方、特許文献2には、染色プラスチックレンズの色抜けや変色防止、耐光性向上を目的として、染色したプラスチックレンズをアニールすることが提案されている。
特開2002−113726号公報 特開2000−273773号公報
しかし離型工程で加熱処理を施す特許文献1に記載の方法は、加熱状態で離型するための特別な加熱装置が必要である、ワークが高温になるため手作業での離型が困難である、といった問題がある。一方、特許文献2に記載の方法は染色工程後に加熱処理を施すため、変色や染料の色持ち低下が起こるおそれがある。
そこで本発明の目的は、色ムラが低減ないしは抑制された高品質な染色レンズを得ることができる染色プラスチックレンズの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
注型重合後の離型工程では、一般に、まずガスケットまたは粘着テープをモールド周面から取り外した後、上型と下型との間に、両型に同時に接触する楔状の治工具を挿入して力を加える等して、プラスチックレンズから上下型をほぼ同時に剥離する(例えば特開2000−210951号公報参照)。しかし驚くべきことに、本発明者らの検討の結果、プラスチックレンズから上下型を順次剥離すると、その後の染色工程において、最初に剥離した側の面において色ムラが顕著に発生し、次に剥離した側の面では色ムラは殆ど観察されないことが判明した。この理由は明らかではないが、本発明者らは、色ムラは、モールド剥離時に何らかの力(例えば応力)を受けることによりレンズ表層部の状態が変化することに起因して発生し、上下型を順次剥離すると、その力が最初に剥離される側に集中するからではないかと推察している。更に、本発明者らの検討の結果、上記色ムラは、離型後にレンズ表面を1ミクロン程度研磨することによって低減できることも判明した。これは、剥離時に何らかの力を受けるのはレンズの極表層部であり、上記研磨により該表層部を除去できるからと考えられる。
しかし、注型重合により両面光学面のフィニッシュドレンズを製造する場合、離型したレンズを研磨し表層部を除去することは、注型重合により研磨工程が不要なフィニッシュドレンズを得るという本来の目的に反することとなる。また、フィニッシュドレンズを研磨すれば、光学特性が設計値からずれることになるため好ましくない。
これに対し、セミフィニッシュドレンズは、一方の面が非光学面であり、注型重合後に処方に応じて研磨等が行われ光学面が形成される。
そこで本発明者らは、上記現象とセミフィニッシュドレンズ特有の後工程(研磨等)に着目し、セミフィニッシュドレンズから染色プラスチックレンズを製造する際、離型工程において非光学面側から先にモールドを分離すれば、色ムラを起こし得る表層部は光学面形成時に除去できるため、工程を増やすことなく色ムラが低減ないしは抑制された染色プラスチックレンズを得ることができることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]所定の間隔をもって対向する2つのモールドと、上記間隔を閉塞することにより形成されるキャビティを有する成形型の、上記キャビティへ硬化性成分を含むプラスチックレンズ原料液を注入すること、
上記キャビティ内で上記硬化性成分の硬化反応を行いプラスチックレンズを得ること、
上記プラスチックレンズを成形型から離型すること、
離型されたプラスチックレンズを染色すること、
を含む染色プラスチックレンズの製造方法であって、
上記離型されたプラスチックレンズは、一方の面が光学面であり、他方の面が非光学面であるセミフィニッシュドレンズであり、
前記離型において、上記非光学面と該面と接するモールドを該非光学面とモールドとの界面端部に治具を差し込み力を加えて分離し、次いで上記光学面と該面と接するモールドを該光学面とモールドとの界面端部に治具を差し込み力を加えて分離し、かつ、
離型されたプラスチックレンズの非光学面を光学面に加工し、次いで前記染色を行うことを特徴とする染色プラスチックレンズの製造方法。
[2]上記加工により、プラスチックレンズの厚みを1μm以上低減させる[1]に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
[3]前記キャビティは、上記2つのモールドと該モールドの端面を取り囲む筒状のガスケットにより形成され、
上記硬化反応により、上記2つのモールドの端面と略同一円筒状の端面を有するプラスチックレンズを得る[1]または[2]に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
[4]前記ガスケットは、少なくともセミフィニッシュドレンズの光学面側の筒状内面に突起を有する[3]に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
[5]上記非光学面と該面と接するモールドの分離を、先端部が金属であり、かつ先端を除く基部が樹脂製の楔状刃具の上記先端を、上記モールド端面とプラスチックレンズ端面の境界部に押圧して行う[1]〜[4]のいずれかに記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
[6]前記染色プラスチックレンズは、光学面の平均曲率が5以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
[7]前記硬化性成分は、ウレタン系硬化性成分である[1]〜[6]のいずれかに記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
[8]前記ウレタン系硬化性成分は、ポリイソシアネート化合物、ポリチオール化合物、およびエピチオ化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む[7]に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
本発明によれば、色ムラの低減された高品質な染色プラスチックレンズを得ることができる。
本発明は、以下の工程を含む染色プラスチックレンズの製造方法に関する。
所定の間隔をもって対向する2つのモールドと、上記間隔を閉塞することにより形成されるキャビティを有する成形型の、上記キャビティへ硬化性成分を含むプラスチックレンズ原料液を注入すること(以下、「注入工程」ともいう)、
上記キャビティ内で上記硬化性成分の硬化反応を行いプラスチックレンズを得ること(以下、「重合工程」ともいう)、
上記プラスチックレンズを成形型から離型すること(以下、「離型工程」ともいう)、
離型されたプラスチックレンズを染色すること(以下、「染色工程」ともいう)。
本発明の製造方法では、上記離型されたプラスチックレンズは、一方の面が光学面であり、他方の面が非光学面であるセミフィニッシュドレンズであり、離型工程において、上記非光学面と該面と接するモールドを分離し、次いで上記光学面と該面と接するモールドを分離し、かつ、離型されたプラスチックレンズの非光学面を光学面に加工し、ついで染色工程を行う。これにより、染色ムラが低減ないしは抑制された高品質な染色プラスチックレンズが得られる理由は、先に説明した通りである。本発明の染色プラスチックレンズの製造方法の操作フローを図4に示す。
以下、本発明の染色プラスチックレンズの製造方法の各工程について、更に詳細に説明する。
注入工程
本工程は、注型重合によりレンズ形状の成形体を得るため、成形型内へプラスチックレンズ原料液を注入する工程である。本発明において使用される成形型は、所定の間隔をもって対向する2つのモールドと、上記間隔を閉塞することにより形成されるキャビティを有する成形型であればよく、通常の注型重合で使用される成形型を何ら制限なく使用することができる。上記2つのモールドが有する転写面の一方は光学面を形成するための成形面であり、本工程後に離型工程においてプラスチックレンズを成形型から離型することにより、一方の面が光学面であり、他方の面が非光学面であるセミフィニッシュドレンズが得られる。
上記2つのモールドの間隔は、円筒状のガスケットによって閉塞してもよく、ガスケットの代わりに粘着テープを2つのモールドの側面に巻きつけることによって閉塞してもよい。以下、図1に基づいて本発明において使用可能な成形型について説明するが、本発明において使用される成形型は図1に示す態様に限定されるものではない。
図1中、レンズ鋳型10は、レンズの前面(凸面)を形成すべく凹面側に成形面を有する凹面型である第一モールド11、レンズの後面(凹面)を形成すべく凸面側に成形面を有する凸面側に成形面を有する第二モールド12、および円筒状のガスケット13が両モールドの端面を取り囲むことによって内部にキャビティ14が形成されている。ガスケット13は、ガスケットの外周ホルダーとして機能し、レンズの厚さを決める役割を果たす。なお、本発明では注型重合によりセミフィニッシュドレンズを成形するため、ここで決定される肉厚は仕上げ寸法よりも厚くなる。肉厚は、非光学面を光学面に加工する工程での除去量を考慮し設定することが好ましい。
第一モールドおよび第二モールドは、製造治具にて取り扱い可能な非転写面(非使用面17)とレンズの光学表面を転写させるための転写面(使用面16)を有する。使用面16はレンズの光学面形状および表面状態を転写する面である。
前記成形型のキャビティへ注入されるプラスチックレンズ原料液は、硬化性成分を含むものであり、通常プラスチックレンズ基材を構成する各種ポリマーの原料モノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーを含むことができ、共重合体を形成するために2種以上のモノマーの混合物を含むことができる。上記硬化性成分は、熱硬化性成分であっても光硬化性成分であってもよいが、注型重合では通常、熱硬化性成分が使用される。レンズ原料液には、必要があればモノマーの種類に応じて選択した触媒を添加することもできる。また、レンズ原料液には、通常使用される各種添加剤を含むこともできる。
前記プラスチックレンズ原料液の具体例としては、例えば、メチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリウレタンとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エン−チオール反応を利用したスルフィド樹脂、硫黄を含むビニル重合体等を重合可能な原料液が挙げられる。上記中、硬化性成分としてはウレタン系が適しており、特にポリイソシアネート化合物、ポリチオール化合物、およびエピチオ化合物のうち少なくともいずれか1つを含むと好適であるが、これらに限定されるものではない。キャビティへのプラスチックレンズ原料液の注入は、通常の注型重合と同様に行うことができる。
重合工程
本工程は、前述の注入工程でキャビティ内へ注入されたプラスチックレンズ原料液に加熱、光照射等を施すことにより、レンズ原料液に含まれる硬化性成分の硬化反応を行いレンズ形状の成形体を得る工程である。硬化反応条件(例えば加熱昇温プログラム)は、特に限定されるものではなく、使用するプラスチックレンズ原料液の種類に応じて決定すればよい。
離型工程
本工程では、重合工程により得られたレンズ形状の成形体(プラスチックレンズ)を成形型から離型する。本工程において、重合工程が終了し、プラスチックレンズと密着している2つのモールドを、まずプラスチックレンズの非光学面と接するモールドを分離し、次いで、プラスチックレンズの光学面と接するモールドを分離する。この順序で分離を行うことにより、後で分離された光学面における色ムラを低減ないしは抑制することができる。例えば図1に示す態様において、第一モールドの使用面17が光学面を形成するための成形面であり、第二モールドの使用面17が非光学面を形成するための成形面である場合、プラスチックレンズから第二モールド12を分離し、次いで第一モールド11を分離する。モールドの分離方法は、上記順序で行うことができれば特に限定されるものではないが、例えば、成形体からガスケットまたは粘着シールを除去して2つのモールドとプラスチックレンズの三層体の状態とし、この三層体のプラスチックレンズと一方のモールドとの界面端部に楔状の治具を差し込み力を加えて剥離する等の方法を用いることができる。
ここで、従来の離型方法について説明する。
ガスケットを用いてレンズのキャビティを形成する場合、一般に、凹凸どちらかのモールドを先行して位置決めし、キャビティの中心肉厚がレンズの中心肉厚と対応するように対となるモールドの配置位置を決定する。特に先行してガスケットにアセンブルする凸面(光学面)の位置決めにはガスケット内側に突起部分を設けてモールドが固定されるようにする。通常は、光学面側のシール性を優先して確保するために光学面側(非光学面よりも光学面に近い位置)に突起部を設ける。この場合、非光学面側のモールドはガスケットの突起部ではなくモールド端面でシールを行う。一般的な眼鏡レンズの凸面は複雑な形状であり、凹面側は比較的単純な形状であることが多い。このため、セミフィニッシュドレンズの光学面としては、通常凸面が選択され、単純形状の凹面を非光学面とし、受注後に速やかに加工することとなる。すなわちガスケットには通常、レンズ凸面側になるモールドを組み付ける側に突起部がストッパーとして設けられモールドを固定しレンズの肉厚を決定する。凹面側は、同一のガスケットで多種多様なレンズの肉厚に対応するために任意の位置でモールドを固定することを可能にするために、通常内側は突起部のない円筒状になる。
さらに凹面側モールドはモールドの非使用面側にフランジ構造を構築しやすいが凸面側はフランジ構造を形成しにくく、かつフランジ付き凸面側モールドを押圧するよりも凹面側モールドを押圧することが容易である。したがって、通常の注型重合では、セミフィニッシュドレンズの凸面側を光学面、凹面側を非光学面として選択し、凹面側モールドの非使用面側にフランジ形成して凹面側モールドの押し込み量を調節する。従って、重合が終了しガスケットを除去すると、レンズの凸面側のモールドとレンズの境目にはガスケットの突起部の凹みがあり、凹面側のモールドとレンズの境目には段差は形成されない。この場合、離型工程では、図2に示すように、端面の筒状ガスケットを除去した後、モールド(光学面側)とレンズの境界にある前記突起部がある位置に刃具を押圧して片面のモールドを離型し、しかる後対面するモールド(非光学面側)とレンズ基材の境界に刃具を押圧して離型する。まず凸面側の凹み部に楔状の離型用刃具を押し込み凸面側をレンズより離型する。次いで、凹面側のモールドを離型するがその際はすでに凸面側モールドを離型した際にレンズは収縮しているために、モールドとレンズの間には僅かだが段差が出来ている。凹面側モールドを剥がす際にはその段差に刃具を当て楔の要領で離型することができる。このように、ガスケットを用いて成形したプラスチックレンズは凸面側モールドから離型するのは容易であるが、凹面側モールドから離型することは刃具を押し込むきっかけがないために非常に困難でありモールド、レンズの割れ不良に繋がることがあった。
これに対し、前述のように本発明では、非光学面側のモールドを分離し、次いで光学面側のモールドを分離する。図1に示すように筒状のガスケットによりモールド端面を取り囲みキャビティを形成すると、キャビティに注入されたプラスチックレンズ原料液はキャビティ内に隙間なく広がるためキャビティ内で成形されたプラスチックレンズの端面は、モールド端面と略同一円筒状の形状となる。すなわち、ガスケットを除去して得られる2つのモールドとプラスチックレンズの三層体は、前記突起部を除き端面に段差のない状態となる。これでは非光学面側のモールドの端面とプラスチックレンズの端面との境界部に離型用刃具を押し込むことは難しく、仮に押し込むことができたとしてもレンズの割れ等の不具合が生じる可能性がある。このような場合、本発明では、先端(例えば0.5mm以上)を金属(例えばアルミニウム等)で形成し、基部を樹脂製(例えばアクリル、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン等)で形成した楔状の刃具を使用することが好適である。そのような離型刃具の一例をとしては、図3に示すように、2枚の樹脂層と該層の間に位置する金属層からなり先端をテーパー状にした刃具を挙げることができる。金属製で高硬度の先端を非光学面側のモールド端面とプラスチックレンズ端面との境界部に押圧することにより、離型の際にガスケットの突起部に対応するレンズ端面凹部が形成されていなくともモールドとレンズ基材の境界位置に刃具の押圧力を確実に加えることが容易になる。更に、刃具の先端以外の基部を樹脂製とすることにより刃具とモールド転写面の接触によるモールドの破損を回避することができる。ただし図3に示すように、上記刃具の基部は、離型時にモールド転写面と接触し得る表層部が樹脂製であればよく、基部全体が樹脂製であることは必須ではない。
光学面形成工程
上記離型工程後に得られるプラスチックレンズは、一方の面が光学面、他方の面が非光学面であるセミフィニッシュドレンズであるため、上記非光学面には、処方に基づき光学面に加工するための光学面形成加工が施される。上記加工は、処方に応じて、セミフィニッシュドレンズをフィニッシュドレンズに加工する際に通常行われる方法で行うことができ、例えば、切削加工、研磨加工、研磨加工、またはそれらの組み合わせにより行うことができる。例えば、球面レンズであればセミフィニッシュドレンズの凹面側をほぼ所望の球面に、乱視レンズであればセミフィニッシュドレンズの凹面側をほぼ所望のトーリック面形状となるように荒削りした後、ラッピング加工に似た砂掛け加工と研磨加工を施し、レンズの光学面を精密に仕上げることができる。この砂掛け工程と研磨工程では専用の治具に保持されたレンズを、予め形状あるいは曲率が定まった加工皿に載せ、ラップ材をレンズ加工面に注水しながらレンズと加工皿を相対的に摺り動かすことによりレンズ表面を加工する。砂掛け工程ではレンズ表面の凸凹を小さくし、また研磨工程では所望の外観が得られる精度まで仕上げる。この荒削り、砂掛け、研磨という一連の加工方法は総称して研磨加工と呼ばれている。
荒削り加工を行う装置は、一定の曲率の面を削りだしできる、いわゆるカーブジェネレータやこれを発展させ擬似的なトーリック面も加工できるジェネレータを用いることができ、処方に応じ、また後工程での加工しろを考慮した厚みで所望の形状に近い球面、あるいはトーリック面に研削または切削加工することができる。砂掛け加工と研磨加工を行う装置は、通常、基本的には同じ機構であり、いずれも加工皿とレンズを相対的に摺り動かす機構と、加工皿とレンズとの間に圧力を発生させる手段および研磨材を供給する手段とを備えている。この機構については、例えばレンズの三角運動と加工皿の回転を行うものや、レンズの円運動と加工皿の回転を行うものが知られているが、本発明ではいずれの機構を用いてもよい。
プラスチックレンズの非光学面側の色ムラが発生し得る表層部を除去し、レンズ両面で色ムラを低減ないしは抑制するためには、上記研磨によりプラスチックレンズの厚みが1μm以上低減するように、非光学面側の表層部を除去することが好ましい。非光学面側表層部を1μm以上除去すれば、色ムラが発生しやすい部分を効果的に取り除くことができる。光学面側表層部の除去量は加工方法にもより、上限値は特に限定されるものではないが、例えば、除去する厚みは500000μm以下である。
染色工程
本工程では、上記工程で得られたプラスチックレンズ(フィニッシュレンズ)を染色し、染色プラスチックレンズを得る。染色方法としては、染色剤を含む染料液(染浴)中にプラスチックレンズを浸漬する方法が好適である。上記染料液は、好ましくは染料を含有する水溶液である。使用する染料は、得られる染色プラスチックレンズの用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば分散染料を挙げることができる。分散染料としては、分散染料としては、アンスラキノン系やアゾ系等の分散染料、具体的にはC.Iディスパーズイエロー3、4、5、7、33、42等、C.Iディスパーズオレンジ1、3、11等、C.Iディスパーズレッド1、4、5、11、17、58等、C.Iディスパーズブルー1、3、7、43等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの染料は、所望の色にプラスチックレンズを染色できるように、単独又は2種以上配合して使用される。染浴中の染料濃度は、所望の色調に応じて設定すればよいが、通常約1〜20g/リットルの範囲である。一般に、染色濃度が高くなるほど色ムラが顕在する傾向があるが、本発明によれば色ムラを効果的に低減できるため、本発明の方法は、特に染色濃度として視感透過率が50〜80%の染色レンズを得る方法として好適である。
染浴へは、染料のほかに界面活性剤、染色促進剤などの添加剤を必要に応じて添加することもできる。上記添加剤については、例えば特開2003−177204号公報を参照できる。
前記染浴中にプラスチックレンズを所定時間浸漬して染色を行うことができる。染色の温度および時間は、必要とする染色濃度に応じて適宜変更することができるが、通常は70〜95℃で1分〜1時間程度である。
上記染色工程後、得られたレンズはそのまま製品レンズとして出荷することもできるが、公知の方法でアニールを行うことや、ハードコート層、反射防止層等の機能性層を積層することももちろん可能である。
以下、本発明を実施例により更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
上型、下型および筒状のガスケットを図1に示すように組み合わせ、内部にキャビティを有する成形型を組み立てた。上型(図1中の第一モールド11に相当)の転写面はプラスチックレンズの光学面を形成する成形面であり、下型(図1中の第二モールド12に相当)の転写面はプラスチックレンズの非光学面を形成する成形面である。
上記キャビティ内に熱硬化性ウレタン系モノマーを含むプラスチックレンズ原料液1(HOYA株式会社製NE17の原料液)を注入し、所定の昇温プログラムでキャビティ内の原料液を加熱し、重合反応を進行させた。
昇温プログラム終了後、成形型を放冷しガスケットを取り除いた。その後、プラスチックレンズと下型との界面端部に、図3に示す楔状の治具(先端部はアルミニウム、基部はポリアセタール)を差込み力を加えてプラスチックレンズから下型を剥離した。次いで、同様の方法でプラスチックレンズから上型を除去した。これにより一方が光学面、他方が非光学面であるセミフィニッシュドレンズが得られた。
次いで、上記セミフィニッシュドレンズの非光学面に光学面形成のための切削加工または研削加工を行い非光学面の表面を2〜5mm除去した。その後研磨加工を施し、非光学面側の表層部を1μm除去しフィニッシュドレンズを得た。なお染色ムラ低減のためには研磨により非光学面の表層部1μm程度を除去するのみでも好適である。
次いで、分散染料と界面活性剤とを所定量含有する染浴を調製し、染色温度に保ち、ついで染色促進剤として予め染色温度と同じ温度の水に溶かしたベンゾフェノン系化合物を所定量添加して染浴を調製した。前記染浴中に、得られたフィニッシュドレンズを所定時間浸漬して染色を行った。染色の温度および時間は、必要とする染色濃度によって適宜変更することができ、通常は70〜95℃で1分〜1時間程度である。なお染浴中に加圧を行い圧力を加えた状態での染色も好適である。尚、ベンゾフェノン系化合物は、水に対する溶解性が非常に低い。そのため、使用に際し予めベンゾフェノン系化合物を染浴温度と同じ温度の水に溶かした液を一定量染浴に添加した。または、少量の有機溶媒にベンゾフェノン系化合物を溶かしたものを一定量染浴に添加することもできる。なお、ベンゾフェノン系化合物の使用量は、使用するベンゾフェノン系化合物等により適宜決定することができ、例えば染浴1リットル当たりベンゾフェノン系化合物の染色温度での飽和水溶液10〜300mlとすることが好ましい。ベンゾフェノン系化合物の使用量が染浴1リットル当たり10ml以上であれば、染色促進剤としての効果を効果的に得ることができる。ただしベンゾフェノン系化合物の使用量を染浴1リットル当たり300ml以上としても染色促進剤としての効果は頭打ちとなる。
以上の工程により、染色プラスチックレンズを得た。
[比較例1]
上下型の剥離順序を、上型、下型の順に変更した点以外は実施例1と同様の方法で染色プラスチックレンズを得た。
色ムラの評価
目視の方法により、色ムラの有無および程度を評価したところ、実施例1の染色プラスチックレンズでは色ムラは観察されなかったのに対し、比較例1の染色プラスチックレンズでは、眼鏡レンズとして使用できないほど色ムラが顕著であった。
[実施例2]
表1に示すようにプラスチックレンズ原料液や染料を変えた点以外は実施例1と同様の方法で、合計86枚の染色プラスチックレンズを製造し、良品率を評価したところ、色ムラが発生したものはわずか1枚であり、良品率は98.8%であった。表1に示す結果から、各種染料および原料液を使用した場合にも、非光学面側からモールドを剥離するとともに、非光学面側表層部を研磨除去することにより、色ムラを防止できることがわかる。
1) HOYA株式会社製凹凸両面非球面屈折力レンズ(屈折率1.7)
2) HOYA株式会社製凸面非球面屈折力レンズ(屈折率1.7)
3) HOYA株式会社製凸面累進屈折力レンズ(屈折率1.7)
4) HOYA株式会社製球面屈折力レンズ(屈折率1.7)
5) HOYA株式会社製凸面累進屈折力レンズ(屈折率1.7)
6) 同一染浴に投入し染色を行ったレンズ枚数
7) 目視により色ムラを検査し、色ムラの識別可否により良否判定を行った。
[実施例3]
レンズ光学面の平均曲率を様々に変更した以外は実施例1と同様の方法で染色プラスチックレンズを複数枚製造した。
[比較例2]
レンズ光学面の平均曲率を様々に変更した以外は比較例1と同様の方法で染色プラスチックレンズを複数枚製造した。
比較例2では、光学面の平均曲率が5〜10の場合、染色の色ムラはほぼすべてのレンズにおいて発生し、平均曲率0.1〜5でも50%以上の高確率で色ムラが発生した。一方、実施例3では、平均曲率0.5〜9.75の範囲で色ムラ発生率は1.2%に減少した。この結果から、本発明によれば、従来の方法では色ムラが顕著に発生する傾向がある平均曲率5以上の光学面を有するレンズにおいて、色ムラを低減ないしは抑制できることがわかる。なお、わずか1.2%ではあるが、実施例3で色ムラの発生した平均曲率は5未満(4.5)であった。以上の結果から、本発明は、平均曲率5以上の染色プラスチックレンズの製造方法として特に好適であることがわかる。
本発明の染色レンズは、色ムラが低減ないしは抑制された高品質なレンズであるため、高度な光学特性が求められる眼鏡レンズとして好適である。
本発明において使用可能な成形型の一例を示す概略断面図である。 従来の離型方法の説明図である。 本発明において使用可能な離型用刃具の一例を示す。 本発明の染色プラスチックレンズの製造方法の操作フローを示す。

Claims (8)

  1. 所定の間隔をもって対向する2つのモールドと、上記間隔を閉塞することにより形成されるキャビティを有する成形型の、上記キャビティへ硬化性成分を含むプラスチックレンズ原料液を注入すること、
    上記キャビティ内で上記硬化性成分の硬化反応を行いプラスチックレンズを得ること、
    上記プラスチックレンズを成形型から離型すること、
    離型されたプラスチックレンズを染色すること、
    を含む染色プラスチックレンズの製造方法であって、
    上記離型されたプラスチックレンズは、一方の面が光学面であり、他方の面が非光学面であるセミフィニッシュドレンズであり、
    前記離型において、上記非光学面と該面と接するモールドを該非光学面とモールドとの界面端部に治具を差し込み力を加えて分離し、次いで上記光学面と該面と接するモールドを該光学面とモールドとの界面端部に治具を差し込み力を加えて分離し、かつ、
    離型されたプラスチックレンズの非光学面を光学面に加工し、次いで前記染色を行うことを特徴とする染色プラスチックレンズの製造方法。
  2. 上記加工により、プラスチックレンズの厚みを1μm以上低減させる請求項1に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
  3. 前記キャビティは、上記2つのモールドと該モールドの端面を取り囲む筒状のガスケットにより形成され、
    上記硬化反応により、上記2つのモールドの端面と略同一円筒状の端面を有するプラスチックレンズを得る請求項1または2に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
  4. 前記ガスケットは、少なくともセミフィニッシュドレンズの光学面側の筒状内面に突起を有する請求項3に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
  5. 上記非光学面と該面と接するモールドの分離を、先端部が金属であり、かつ先端を除く基部が樹脂製の楔状刃具の上記先端を、上記モールド端面とプラスチックレンズ端面の境界部に押圧して行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
  6. 前記染色プラスチックレンズは、光学面の平均曲率が5以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
  7. 前記硬化性成分は、ウレタン系硬化性成分である請求項1〜6のいずれか1項に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
  8. 前記ウレタン系硬化性成分は、ポリイソシアネート化合物、ポリチオール化合物、およびエピチオ化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む請求項7に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
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