JP5200734B2 - 車両のクラッチ制御装置 - Google Patents
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Description
前記モータのトルク値を検出するモータトルク値検出手段を設ける。
そして、前記クラッチ制御手段は、前記クラッチを滑りが無い締結状態とするモータ走行から、徐々にクラッチ締結力を下げてスリップ締結状態へ移行するとき、前記クラッチがスリップ中であり、かつ、前記クラッチの差回転を維持しながらの走行中であるというスリップ維持条件の成立によりスリップ締結状態が安定化するとクラッチ伝達トルク推定値の演算を許可する推定値演算許可判定部と、前記推定値演算許可判定部によりクラッチ伝達トルク推定値の演算を許可された際に検出されたモータトルク値に基づき、前記クラッチのクラッチ伝達トルク推定値を演算するクラッチ伝達トルク推定値演算部を有する。
すなわち、クラッチ伝達トルク推定値を演算するに際し、モータ走行状態からクラッチをスリップ締結状態とし、クラッチ伝達トルクを駆動力として走行する状態に移行するだけである。このため、車両走行を維持したままでクラッチ伝達トルク推定値の演算環境を作ることができる。
また、モータのみを動力源とし、クラッチ伝達トルクを駆動力として走行するクラッチのスリップ締結状態で検出されるモータトルク値は、イナーシャやフリクション等の影響を無視すると、クラッチ伝達トルクに相当する値となる。
この結果、走行中にトルク推定環境を作ることを可能としながら、モータと駆動輪の間に介装されたクラッチの伝達トルクを精度良く推定することができる。
図1は、実施例1のクラッチ制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(車両の一例)を示す全体システム図である。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。
さらに、走行モード切り替え制御時等において、統合コントローラ10から目標変速段指令を入力した場合、通常の自動変速制御での変速指令に優先し、目標変速段への変速制御や目標変速段を維持する変速段固定制御を行う。
ここで、第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2は、モータジェネレータMGのMGトルク値に基づいて推定演算される。第2クラッチ油圧値PCL2は、第2クラッチ油圧センサ18からのセンサ値に基づき演算される。
なお、第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2の詳しい演算手法については、後述する。
実施例1のFR車両のクラッチ制御装置における作用を、「第2クラッチCL2のクラッチ容量学習補正について」、「エンジン始動シーンでの駆動系構成要素の状態変遷作用」、「学習許可判定作用」、「第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2の演算手法」、「学習補正制御作用」に分けて説明する。
図6は、ハイブリッド車両の駆動系に有する第2クラッチの指示油圧とクラッチ伝達トルクの関係特性の劣化によるオフセット変化および傾き変化を示す図である。図7は、ハイブリッド車両の駆動系に有する第2クラッチをスリップ締結させての駆動力コントロール走行から完全締結による駆動力コントロール走行へと移行する際の駆動力段差を示す駆動力特性図である。図8は、ハイブリッド車両の駆動系に有する第2クラッチのクラッチ伝達トルクと駆動力段差による前後Gの許容範囲とバラツキ範囲を含めた関係特性を示す図である。
すなわち、駆動力段差によるG特性は、図8に示すように、例えば、組み付け段階で許容範囲のA点に存在していたにもかかわらず劣化を放置した場合、B点に移動して許容範囲から外れてしまうことになり、駆動力段差が拡大する。また、第2クラッチCL2が、組み付け段階でバラツキ範囲の限界領域(許容範囲とバラツキ範囲の間の領域)にある場合には、既に許容範囲から外れていることになる。
この目的を達成するため、下記の(μスリップ)・(μスリップCL2容量学習)・(学習値補正場所)・(補正対象のハード)を採用した。なお、学習許可条件については下記の「学習許可判定作用」にて述べる。また、学習作用については下記の「学習補正制御作用」にて述べる。
EV走行中のガクガク振動吸収・スリップイン早期化によるエンジン始動時間の短縮を狙い、EV走行中に第2クラッチCL2の油圧を徐徐に下げ、微小スリップを生成し、それを維持する制御を行う。
μスリップを行う際、モータジェネレータMGでトルクをコントロールし、第2クラッチCL2で微小スリップを生成する制御を行う。この制御により、モータジェネレータトルクとクラッチ伝達トルクの平衡点を確認できる効果も持つ。そして、モータジェネレータトルクを正とすることで、ATコントローラ7内の計算を制御できるため、μスリップ中、かつ、学習許可の環境となったところで、モータジェネレータトルクとクラッチ伝達トルクの差異を埋める学習補正を行う。
学習値補正場所としては、信頼性の高い、線形に近い部分に対し補正をかける。そして、ロバスト性を確保するため、トルク→油圧変換を行う部分に対して補正をかける。
補正対象のハードは、摩擦材のμ変化、ATF劣化、ソレノイドバルブによる油圧絶対値変動(ソレノイドスプリング、バルブスプリング)、クラッチスプリングの劣化である。
図9は、実施例1のFR車両のクラッチ制御装置においてエンジン始動シーンでのモード選択特性・学習許可フラグ特性・Eng回転特性・MG目標回転特性・MG回転特性・MGトルク特性・変速段特性・CL1ストローク特性(CL1トルク特性)・CL2トルク特性・CL2差回転特性の一例を示すタイムチャートである。
第1クラッチCL1は、時刻t1までの「EVモード」では開放、時刻t1〜t2間は開放(ストローク中)、時刻t2〜t3間は中間容量、時刻t3〜t4間は中間容量、時刻t4〜t5間は中間容量、時刻t5以降は完全締結へ移行し、「HEVモード」で締結される。
第2クラッチCL2は、時刻t1までの「EVモード」では締結、時刻t1〜t2間はスリップ締結、時刻t2〜t3間はスリップ締結、時刻t3〜t4間はスリップ締結、時刻t4〜t5間はスリップ締結、時刻t5以降は締結へ移行し、「HEVモード」で締結される。
エンジンEngは、時刻t1までの「EVモード」では停止、時刻t1〜t2間は停止、時刻t2〜t3間は停止であるが第1クラッチCL1からトルク受け取り中、時刻t3〜t4間はクランキング中、時刻t4〜t5間は運転へ移行、時刻t5以降は「HEVモード」を含めて運転状態とされる。
モータジェネレータMGは、時刻t1までの「EVモード」では目標トルクを得るトルク制御、時刻t1〜t2間は目標回転数を得る回転数制御、時刻t2〜t3間は回転数制御、時刻t3〜t4間は回転数制御、時刻t4〜t5間は回転数制御、時刻t5以降は回転数制御から「HEVモード」での目標トルクを得るトルク制御に移行する。
図5のフローチャートにおいて、ステップS105で学習許可判断がOKとならない限り、ステップS106に進むことが無い。つまり、図4の学習許可判定ブロック71から学習許可フラグが出ない限り、学習値演算ブロック72にて第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2の演算等が行われることがない。以下、学習許可判定ブロック71での学習許可判定作用について説明する。
・第2クラッチCL2がスリップ中であり、かつ、第2クラッチCL2の差回転を維持しながらの走行中(スリップ維持条件)。
・第2クラッチCL2のスリップが安定化し、かつ、第2クラッチCL2の差回転が規定幅以内(図9のC)で、かつ、ドライバーもしくはシステムによる過渡駆動力の変化が一定幅以内(図9のD)である(駆動系学習許可条件)。
・車両外部環境・車両内部状況・各コントローラの制御状態・フェイル状態等が学習に適した車両状態(車両状態学習許可条件)。
という3つの条件が判断され、図5のフローチャートにおいて、ステップS103→ステップS104→ステップS105へと進み、例えば、図9の時刻t1'にてスリップ維持条件と駆動系学習許可条件と車両状態学習許可条件の全てが成立すると、学習許可フラグが立てられることになる。
ここで、スリップ維持条件が成立しない領域で学習許可を出さないのは、第2クラッチCL2の伝達トルクにより駆動力をコントロールし、モータジェネレータトルクTMGと第2クラッチ伝達トルクが平衡関係を持つWSC走行でないためである。また、駆動系学習許可条件が成立しない過渡領域で学習許可を出さないのは、計測誤差が大きいためである。
図5のフローチャートにおいて、ステップS105で学習許可フラグが立てられると、ステップS106→ステップS107へと進み、第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2の演算が実行される。つまり、図4の学習許可判定ブロック71から学習許可フラグが出たことで、学習値演算ブロック72にて第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2の演算が行われる。以下、学習値演算ブロック72での第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2の演算手法について説明する。
TMG=TCL2+I・ω'MG+FMG …(1)
但し、TMG:MGトルク値、TCL2:第2クラッチ伝達トルク推定値、I:変速段毎のイナーシャ、ω'MG:モータジェネレータMGの回転角加速度、FMG:モータフリクション
であらわされる。
したがって、上記(1)式は、
TCL2=TMG−I・ω'MG−FMG …(1')
であらわされる。
なお、モータフリクションは微小なので、(FMG)の項を無視した場合、上記(1')式は、
TCL2=TMG−I・ω'MG …(1")
であらわされる。
ここで、TMG(MGトルク値)は、時刻t1'〜時刻t2の学習補正時間で得られたMGトルクであり、また、変速段毎のイナーシャIは、変速段情報が分かれば既知であり、ω'MGは、MGトルク値前後でのモータジェネレータMGの回転差により演算できる。
ちなみに、時刻t2〜t4の時間領域での運動方程式は、
TMG=TCL1+TCL2+I・ω'MG+FMG …(2)
であらわされ、時刻t1〜時刻t2とは異なり、第1クラッチ伝達トルク推定値TCL1を求める必要があり、CL2容量学習制御の対象外領域となる。
すなわち、モータジェネレータMGのみを動力源とし、第2クラッチCL2のクラッチ伝達トルクを駆動力としてWSC走行する際の第2クラッチCL2のスリップ締結状態で検出されるモータトルク値は、イナーシャやフリクション等の影響を無視すると、第2クラッチ伝達トルクに相当する値となる。
したがって、WSC走行を維持したままでトルク推定環境を作ることができる。そして、走行領域を使用しての推定であるため、MGトルク値からイナーシャIによる損失部分を減算する上記(1')式または(1")式を用いることで、走行によるイナーシャ影響を考慮し、第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2を正確に推定することができる。
現状のハイブリッド車両は、第2クラッチの伝達駆動トルクをコントロールすることにより、ドライバーのアクセル操作の応答をする領域(ウェット・スタート・クラッチ制御領域:WSC制御領域)がある。このWSC制御領域が存在するために、車両の駆動モードとしては、「モータジェネレータのみによる電気自動車走行モード」、「エンジンとモータジェネレータを駆動力とするハイブリッド車走行モード」、そして「第2クラッチをスリップさせながらクラッチで駆動力をコントロールするWSC走行モード」が存在する。このそれぞれの制御のドライバーからの応答を同一のものとするためには、第2クラッチのクラッチ伝達駆動トルクを、使用領域でモータトルクをベースに統一することが必要となる。
すなわち、第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2を演算するに際し、電気自動車走行モードによるモータ走行状態から第2クラッチCL2をスリップ締結状態とし、第2クラッチCL2のクラッチ伝達トルクを駆動力として走行するWSC走行状態に移行するだけである。このため、従来技術の「一定回転数」というしばりが外され、車両走行を維持したままの多くの領域で第2クラッチ伝達トルク推定値TCL2の演算し、学習を許可できる環境を作ることができる。
すなわち、上記のように、走行中に環境が作ることができること、かつ、イナーシャ補正を加えることによって、駆動力の過渡変化が大きすぎる領域を除いて学習が可能となり、学習機会を大幅に上げることができると共に、走行領域を使用することを考慮し、イナーシャによるロスの部分を補正値から減算することで、学習結果の精度向上を図ることができる。
すなわち、学習環境が、スリップ締結状態の第2クラッチCL2のクラッチ伝達トルクを駆動力として走行するWSC走行状態であり、図6に示すように、計測可能なポイントが大きく広がる。このため、計測結果より、「CL2トルク→指示油圧マップ」の線形特性に対して、オフセット変化に対する補正ばかりでなく、傾き変化の補正を加えることができ、第2クラッチCL2のμ劣化への補正も可能となる。
実施例1のFRハイブリッド車両のクラッチ制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ(クラッチ)
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪
RR 右後輪
FL 左前輪
FR 右前輪
7 ATコントローラ(クラッチ制御手段)
71 学習許可判定ブロック(推定値演算許可判定部)
72 学習値演算ブロック(クラッチ伝達トルク推定値演算部)
73 マップ学習補正ブロック(トルク-指示油圧マップ学習補正部)
18 第2クラッチ油圧センサ(クラッチ油圧検出手段)
PCL2 第2クラッチ油圧値(クラッチ油圧値)
TCL2 第2クラッチ伝達トルク推定値(クラッチ伝達トルク推定値)
Claims (6)
- モータと駆動輪の間にクラッチを介装した駆動系と、前記クラッチの締結開放を制御するクラッチ制御手段と、を備えた車両のクラッチ制御装置において、
前記モータのトルク値を検出するモータトルク値検出手段を設け、
前記クラッチ制御手段は、前記クラッチを滑りが無い締結状態とするモータ走行から、徐々にクラッチ締結力を下げてスリップ締結状態へ移行するとき、前記クラッチがスリップ中であり、かつ、前記クラッチの差回転を維持しながらの走行中であるというスリップ維持条件の成立によりスリップ締結状態が安定化するとクラッチ伝達トルク推定値の演算を許可する推定値演算許可判定部と、
前記推定値演算許可判定部によりクラッチ伝達トルク推定値の演算を許可された際に検出されたモータトルク値に基づき、前記クラッチのクラッチ伝達トルク推定値を演算するクラッチ伝達トルク推定値演算部を有することを特徴とする車両のクラッチ制御装置。 - 請求項1に記載された車両のクラッチ制御装置において、
前記クラッチは、締結・開放制御を行う油圧アクチュエータを備え、
前記クラッチの締結制御油圧系に、クラッチ油圧を検出するクラッチ油圧検出手段を設け、
前記クラッチ伝達トルク推定値演算部は、前記モータトルク値を検出する時、同時タイミングでクラッチ油圧値を検出し、クラッチ油圧値と対応させてクラッチ伝達トルク推定値を演算することを特徴とする車両のクラッチ制御装置。 - 請求項2に記載された車両のクラッチ制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、前記クラッチのクラッチトルクと指示油圧の関係を特性化したトルク-指示油圧マップを設定すると共に、前記クラッチ伝達トルク推定値演算部により取得された情報を学習値とし、前記トルク-指示油圧マップに反映させるトルク-指示油圧マップ学習補正部を有することを特徴とする車両のクラッチ制御装置。 - 請求項1から3までの何れか1項に記載された車両のクラッチ制御装置において、
前記クラッチ伝達トルク推定値演算部は、検出されたモータトルク値から、イナーシャによる損失分を減算し、前記クラッチのクラッチ伝達トルク推定値を演算することを特徴とする車両のクラッチ制御装置。 - 請求項1から4までの何れか1項に記載された車両のクラッチ制御装置において、
前記推定値演算許可判定部は、前記スリップ維持条件の成立に加え、前記クラッチの入出力差回転が一定幅回転域に収束安定している差回転安定条件と、ドライバーもしくはシステムによる過渡駆動力の変化が一定幅以内であるという過渡駆動力安定条件が共に成立すると、前記クラッチ伝達トルク推定値演算部によるクラッチ伝達トルク推定値の演算を許可することを特徴とする車両のクラッチ制御装置。 - 請求項1から5までの何れか1項に記載された車両のクラッチ制御装置において、
前記車両は、エンジンとモータの間に第1クラッチを介装し、前記モータと駆動輪の間に第2クラッチを介装した駆動系を有し、走行モードとして、前記第1クラッチを開放した電気自動車走行モードと、前記第1クラッチを締結したハイブリッド車走行モードを有するハイブリッド車両であり、
前記推定値演算許可判定部は、前記電気自動車走行モードから前記ハイブリッド車走行モードへの切り替え過渡期であって、前記第1クラッチを開放し、前記第2クラッチをスリップ締結し、停止状態の前記エンジンに始動指令が出力されるエンジン始動中モードのとき、前記クラッチ伝達トルク推定値演算部によるクラッチ伝達トルク推定値の演算許可判定を行うことを特徴とする車両のクラッチ制御装置。
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