特許文献2に記載された電波方式のRFIDタグは、半導体回路に接続したアンテナ素子の他に導波用や反射用のアンテナ素子を配列する必要があるので、個々の物品またはその包装物に装着されるRFIDタグが高価で寸法の大きなものとなる問題がある。また、RFIDタグに配列できる導波用や反射用のアンテナ素子の本数は制約されるので、通信距離もそれほど延長することはできない。
そこで、本発明の課題は、電波方式のRFIDタグシステムにおける通信距離を大幅に延長できるようにすることである。
上記の課題を解決するために、本発明のRFIDタグ用ブースタアンテナは、質問器であるリーダのアンテナからの回転する円偏波成分を有する電波を受けて応答する電波方式のRFIDタグのICチップに接続され、長さHと中心Cが下記のように定義されるアンテナと離間させて、前記リーダのアンテナに対して前記RFIDタグのアンテナと同じ側で対向する一つの平面上に配置される少なくとも2個の直線、開曲線、閉曲線またはこれらの直線もしくは曲線が交叉したものとした線状のアンテナ素子からなり、これらの線状のアンテナ素子の長さL、幅Wおよび重心Gを下記のように定義したときに、各アンテナ素子の長さLと幅Wの比L/Wが2以上で、下記の長さLの定義におけるアンテナ素子の長さ方向の両端の点a1、a2が1組だけ存在し、前記リーダのアンテナからの電波の波長λに対する長さLが0.2λ〜0.9λの範囲に入るようにして、前記2個のアンテナ素子のいずれについても、一方のアンテナ素子自身の前記両端の点a1、a2のうちの一端の点を基端点、他端の点を先端点として、前記基端点から他方のアンテナ素子の前記両端の点a1、a2のいずれかの点を結ぶように延ばした4通りの相手間線分の向きに対する、前記基端点から自身の前記先端点を結ぶように延ばした自身間線分の向きの、前記電波の回転方向への傾斜角φが、少なくとも前記4通りの相手間線分のいずれかの特定相手間線分に対して、15°以上で120°以下となる構成を採用した。
(RFIDタグのアンテナに関する定義)
・長さH:ICチップに接続されたアンテナ上の任意の2点間の直線距離の最大値を長さHとする。
・中心C:長さHの定義において直線距離が最大値となる2点間の中点を中心Cとする。
(アンテナ素子に関する定義)
・長さL:線状のアンテナ素子上に任意の2点i、jを選び、点iから点jに向かうベクトルVijに対して、アンテナ素子に沿う点iから点jへの経路の進行方向の向きとベクトルVijの向きのなす角度が経路内の全ての点で±90°以内であるときに、点iと点jは戻らずに繋がっているとし、このように戻らずに繋がっている任意の2点i、jの組み合わせのうち、2点i、j間の直線距離が最も長くなる2点を長さ方向の両端の点a1、a2として、これらの点a1、a2間のアンテナ素子に沿う最短経路の長さを長さLとする。
・幅W:長さLの定義における両端の点a1、a2を結ぶ直線と垂直方向(幅方向)に平行な任意の直線上にアンテナ素子の複数の点があるときに、これらの複数の点のうちの幅方向の距離が最も長くなる2点を幅方向の両端の点b1、b2として、これらの点b1、b2間のアンテナ素子に沿う最短経路の長さ、点b1、b2間の直線距離のπ/2倍の長さ、および長さLのうちの最小値をw1とし、両端の点a1、a2を結ぶ直線と平行で、アンテナ素子と交わる任意の2本の直線について、これらの2直線間の距離の最大値と長さLのうちの小さい方の値をw2としたときに、w1とw2のうちの大きい方の値を幅Wとする。
・重心G:長さLの定義における両端の点a1、a2間の全ての最短経路に存在する素線の重心を重心Gとする。
図8(a)〜(f)は、前記長さ方向の両端の点a1、a2が1組だけ存在する各種の例の線状のアンテナ素子について、前記長さLと幅Wの定義と重心Gの位置を具体的に説明する。図8(a)は、最も単純な直線のアンテナ素子であり、両端の点が長さ方向の両端の点a1、a2となって、直線の長さがそのままアンテナ素子の長さLとなり、幅方向の両端の点b1、b2間の距離、すなわち、直線素子の幅がアンテナ素子の幅Wとなる。また、重心Gの位置は、1つの最短経路を形成する全素線の重心と合致し、点a1、a2間の中点となる。
図8(b)は、円弧の開曲線のアンテナ素子であり、両端の点が長さ方向の両端の点a1、a2となって、円弧曲線に沿った長さがアンテナ素子の長さLとなる。また、幅方向の両端の点b1、b2間の距離、すなわち、円弧のアンテナ素子のw1は十分小さいので、点a1、a2を結ぶ直線m0と、これと平行で円弧曲線の接線となる直線m1との2直線間の距離w2がアンテナ素子の幅Wとなる。この場合も、重心Gの位置は、1つの最短経路を形成する全素線の重心と合致し、点a1、a2間の中点から円弧曲線側へ偏った位置となる。
図8(c)は、振幅が一定な波状の開曲線のアンテナ素子であり、両端の点が長さ方向の両端の点a1、a2となって、波状曲線に沿った長さがアンテナ素子の長さLとなる。また、幅方向の両端の点b1、b2間の距離、すなわち、波状のアンテナ素子のw1は十分小さいので、点a1、a2を結ぶ直線m0と平行で、波状曲線の両側の波の頂点を通る2本の直線m1、m2間の距離w2がアンテナ素子の幅Wとなる。この場合も、重心Gの位置は、1つの最短経路を形成する全素線の重心と合致する。
図8(d)は、L字状の開曲線のアンテナ素子であり、L字の両端の2点が点a1、a2となって、点a1からL字に沿って点a2に至る経路の長さがアンテナ素子の長さLとなる。この例でも、幅方向の両端の点b1、b2間の距離、すなわち、L字状のアンテナ素子のw1は十分小さいので、点a1、a2を結ぶ直線m0と、これと平行なL字のコーナ点を通る接線m1との2直線間の距離w2がアンテナ素子の幅Wとなる。この場合も、重心Gの位置は、1つの最短経路を形成する全素線の重心と合致し、点a1、a2間の中点近傍からL字のコーナ点側へ偏った位置となる。
図8(e)は、J字状の開曲線のアンテナ素子であり、J字の上端の点が点a1、J字の底の点が点a2となって、点a1から点a2に至る経路の長さがアンテナ素子の長さLとなる。幅Wについては、点a1、a2を結ぶ直線m0と垂直な直線のうち、J字の下側の先端の点を通る直線n1上にある2点が点b1、b2となり、これらの点b1、b2間の直線距離のπ/2倍の長さ、すなわち、線分b1b2を直径とする半円弧の長さが、点b1、b2間の最短経路の長さと長さLよりも小さくなってw1となる。また、直線m0と平行で、点b1を通る直線m1と、点b2を通る直線m2との距離が、長さLより小さいので、w2となる。この場合は、w2よりも大きくなるw1がアンテナ素子の幅Wとなる。重心Gの位置は、1つの最短経路を形成する点a1、a2間の素線の重心と合致する。
図8(f)は、長円の閉曲線のアンテナ素子であり、長円の長軸上の2点がアンテナ素子の両端の点a1、a2となって、点a1から点a2に至る2つの等しい経路の長さがアンテナ素子の長さLとなる。幅Wについては、点a1、a2を結ぶ直線m0と垂直方向に平行な任意の直線のうち、長円の平行部を通る直線n1上にある2点が点b1、b2となって、点b1、b2間の直線距離のπ/2倍の長さが、点b1、b2間の最短経路の長さと比べて等しいかまたは小さく、長さLよりも小さくなってw1となる。また、直線m0と平行で点b1、b2を通る2本の直線m1、m2間の距離が、長さLより小さいので、w2となり、w2よりも大きいw1がアンテナ素子の幅Wとなる。重心Gの位置は、2つの最短経路を形成する全素線の重心と合致し、長円の中心となる。
図9は、前記2個のアンテナ素子の相手間線分e、自身間線分f、および、相手間線分eの向きに対する自身間線分fの向きの電波の回転方向への傾斜角φを、2個のアンテナ素子を同一形状のL字状のものとした例について説明する。図9(a)〜(d)に示すように、一方のアンテナ素子の両端の点a1、a2のいずれかを基端点として、他方のアンテナ素子の両端の点a1、a2のいずれかと結ぶ相手間線分eは4通り存在し、各アンテナ素子の両端の点a1、a2同士を結ぶ自身間線分fは1通りずつである。各図中には、電波の回転方向が反時計回りの場合の傾斜角をφ1、電波の回転方向が時計回りの場合の傾斜角をφ2として示すが、4通りの各相手間線分eの向きに対する、各自身間線分fの向きの電波の回転方向への傾斜角φ1、φ2も、各アンテナ素子について4通り存在する。
本発明は、このような4通りの相手間線分eのうちの特定相手間線分e1、e2の向きに対する、各アンテナ素子の自身間線分fの向きの電波の回転方向への傾斜角φ1、φ2を、15°以上で120°以下となるように範囲を規制したものである。相手間線分eが特定相手間線分e1、e2となるのは、図9(b)、(d)に示したように、2個のアンテナ素子が装着面内で相手間線分eを延長した直線に対して互いに反対側に位置するときであり、電波の回転方向が反時計回りの場合は、図9(b)に示したものが、傾斜角φ1が上記範囲に入る特定相手間線分e1となり、電波の回転方向が時計回りの場合は図9(d)で、傾斜角φ2が上記範囲に入る特定相手間線分e2となる。つまり、この図9の配置では、電波の回転方向に関らず、特定相手間線分e1、e2が存在する。このように、一方の電波の回転方向で特定相手間線分が存在すれば、他方の電波の回転方向でも特定相手間線分が存在することが多い。なお、2個のアンテナ素子は、長さ方向の両端の点a1、a2が1組だけ存在し、前記長さLと電波の波長λとの比L/λが0.2〜0.9の範囲に入るものであればよく、必ずしも寸法や形状が同じものでなくてもよい。
本発明者は、回転する円偏波成分を有する電波を発信するリーダのアンテナに対して、電波方式のRFIDタグのアンテナと離間させて、このアンテナと同じ側で対向する一つの平面上に、上述したような2個の線状のアンテナ素子を配置し、各アンテナ素子の長さLを変化させて通信実験を行い、前記特定相手間線分の向きに対する自身間線分の向きの電波の回転方向への傾斜角φを15°以上で120°以下となるように規制すると、アンテナ素子の長さLを、電波の波長λとの比L/λが0.2〜0.9となる範囲で、通信距離を延長できることを知見した。従来は、特許文献2にも記載されるように、通信距離を延長するのに好適なアンテナ素子の長さLは電波の半波長λ/2の整数倍、すなわち、最も短くて好適なアンテナ素子の長さLは0.5λと考えられている。
このようにアンテナ素子の長さLを、比L/λが0.2〜0.9となる範囲で変化させても通信距離を延長できた理由は明確ではないが、以下のように考えられる。リーダのアンテナに対して、ブースタアンテナをRFIDタグのアンテナと離間させて同じ側に配置する場合は、リーダのアンテナから直接RFIDタグのアンテナに到達する1次電波と、ブースタアンテナを経由してRFIDタグのアンテナに到達する2次電波との間には位相ずれδが生じ、この位相ずれδが電波の周期の整数倍±0.2倍程度の範囲であれば、1次電波と2次電波の山同士の重なり代が多くなり、電波が強められて通信距離が長くなり、位相ずれδがこの範囲を越えると、1次電波と2次電波の山と谷の重なり代が多くなり、電波が弱められて通信距離が短くなる。
前記1次電波と2次電波の間に生じる位相ずれδの要因としては、アンテナ素子の長さLによるブースタアンテナの受信波と発信波の位相ずれのほかに、電波の光路差による位相ずれ、および、リーダのアンテナから送信される電波が回転する円偏波成分を有する場合は、電波の回転方向に対するRFIDタグのアンテナの向きとアンテナ素子の向きとの傾斜角度による位相ずれが考えられる。このため、前記傾斜角φを15°以上で120°以下となるように規制したときに、アンテナ素子の長さLを0.5λから離れる範囲で変化させても、これらの要因で構成される全体の位相ずれδが、上記のような電波を強める範囲となり、通信距離が延長されたものと思われる。
上述した知見に基づいて、2個のアンテナ素子の長さLと電波の波長λとの比L/λが0.2〜0.9の範囲に入るようにして、前記特定相手間線分に対する各アンテナ素子の自身間線分fの向きの電波の回転方向への傾斜角φを、15°以上で120°以下、好ましくは25°以上で90°以下、さらに好ましくは40°以上で75°以下とすることにより、電波方式のRFIDタグシステムにおける通信距離を延長できるようにした。
なお、電波の回転方向が反時計回りと時計回りの両方のリーダを用いる場合は、2個のアンテナ素子の図9に示した傾斜角φ1、φ2のいずれかが上記傾斜角φの範囲に入ればよく、通信距離を延長できる2個のアンテナ素子に対する配置等の自由度を拡げることができる。
前記特定相手間線分の長さをMとしたときに、この特定相手間線分の長さMと前記RFIDタグのアンテナの長さHとの長さの差M−Hが、前記電波の波長λに対して−0.4λ〜0.7λの範囲、好ましくは−0.3λ〜0.5λの範囲、さらに好ましくは−0.2λ〜0.4λの範囲に入るようにすることにより、通信距離をより延長することができる。
前記RFIDタグのアンテナの長さHが、前記電波の波長λに対して0.2λ未満であるときは、前記電波の波長λに対して、前記長さLが0.2λ〜0.4λの範囲に入り、前記長さの差M−Hが−0.2λ〜0.2λの範囲に入るようにするとよい。小さな物品やCD、DVDのようにRFIDタグを装着する部位が限定される物品のように、アンテナの長さHが0.2λ未満と短くなるものには、そのケース等にこのようなブースタアンテナのアンテナ素子を装着するとよい。
前記RFIDタグのアンテナの中心Cから、前記アンテナ素子が配置された平面までの距離Zが、前記電波の波長λに対して0.3λ以下の範囲、好ましくは0.2λ以下の範囲、さらに好ましくは0.1λ以下の範囲となるようにすることによっても、通信距離をより延長することができる。
前記RFIDタグのアンテナの中心Cから、前記特定相手間線分の中点までの距離Rが、前記電波の波長λに対して0.3λ以下の範囲、好ましくは0.2λ以下の範囲、さらに好ましくは0.1λ以下の範囲となるようにすることによっても、通信距離をより延長することができる。
前記RFIDタグのアンテナが、前記長さHを決める2点が1組だけ存在して、長手方向の向きを有するときは、前記特定相手間線分の向きと、前記アンテナ素子が配置された平面に投影した前記RFIDタグのアンテナの長手方向の向きとの成す角度αの絶対値を70°以下、好ましくは45°以下、さらに好ましくは30°以下とすることにより、通信距離をより延長することができる。
前記RFIDタグのアンテナが、前記長さHを決める2点が1組だけ存在して、長手方向の向きを有するときに、前記アンテナ素子が配置された平面に投影した前記RFIDタグのアンテナの長手方向の向きに対する、前記基端点から自身の前記先端点を結ぶように延ばした自身間線分の向きの、前記電波の回転方向への傾斜角βを10°以上で130°以下、好ましくは25°以上で90°以下、さらに好ましくは40°以上で75°以下とすることによっても、通信距離をより延長することができる。
前記2個の各アンテナ素子の重心Gは、それぞれの自身間線分を延長した直線に対して、各アンテナ素子を配置した面内で、前記特定相手間線分と反対側に位置するか、または、前記自身間線分上に位置するようにするとよい。
前記RFIDタグが電波を透過するケースに収納された物品または前記ケースに装着される場合は、前記2個のアンテナ素子を前記ケースに装着されて配置されるものとすることができる。
前記RFIDタグが前記物品またはケースに複数個装着され、少なくとも1個のRFIDタグのアンテナの中心Cが、前記2個のアンテナ素子の特定相手間線分の中点から、前記電波の波長λに対して0.3λ以下の距離の位置にあり、この位置以外にある他のRFIDタグのアンテナに対して、前記リーダのアンテナからの電波の通信を阻害する手段を設けることにより、所望のRFIDタグとの通信を特定することができる。他のRFIDタグのアンテナに対して通信を阻害する手段としては、特に限定しないが、他のRFIDタグのアンテナとリーダのアンテナとの間に板状の導電体を配置して1次電波を遮る方法、他のRFIDタグのアンテナとリーダのアンテナとの間に長さが電波の波長の1/2程度の円形、矩形等の環状や十字等のクロス状の導電体を配置して、2次電波と1次電波の干渉によりRFIDタグが受信する電波を弱める方法、その他の手法によって1次電波を弱める2次電波を発する導電体を配置する方法等を採用することができる。
前記電波を透過するケースは段ボール箱とすることができる。
前記アンテナ素子を、前記段ボール箱を形成する段ボールシートのフラップ部、継ぎ代部または継ぎ代の延長部の、段ボールシートとの重ね面側に装着することにより、アンテナ素子が製函後の段ボール箱の段ボールシートで挟まれる位置に配置されるようにし、物品等との接触や摩擦による剥がれを防止することができる。
前記アンテナ素子は、前記ケースの封緘用テープ等の副資材に装着することもできる。
前記アンテナ素子は、導電インクまたは導電ペーストを塗工して形成したものとすることができる。
本発明のRFIDタグ用ブースタアンテナは、質問器であるリーダのアンテナからの回転する円偏波成分を有する電波を受けて応答する電波方式のRFIDタグのICチップに接続され、長さHと中心Cが下記のように定義されるアンテナと離間させて、リーダのアンテナに対してRFIDタグのアンテナと同じ側で対向する一つの平面上に配置される少なくとも2個の直線、開曲線、閉曲線またはこれらの直線もしくは曲線が交叉したものとした線状のアンテナ素子からなり、これらの線状のアンテナ素子の長さL、幅Wおよび重心Gを下記のように定義したときに、各アンテナ素子の長さLと幅Wの比L/Wが2以上で、下記の長さLの定義におけるアンテナ素子の長さ方向の両端の点a1、a2が1組だけ存在し、リーダのアンテナからの電波の波長λに対する長さLが0.2λ〜0.9λの範囲に入るようにして、2個のアンテナ素子のいずれについても、一方のアンテナ素子自身の両端の点a1、a2のうちの一端の点を基端点、他端の点を先端点として、基端点から他方のアンテナ素子の両端の点a1、a2のいずれかの点を結ぶように延ばした4通りの相手間線分の向きに対する、基端点から自身の前記先端点を結ぶように延ばした自身間線分の向きの、電波の回転方向への傾斜角φが、少なくとも4通りの相手間線分のいずれかの特定相手間線分に対して、15°以上で120°以下となるようにしたので、電波方式のRFIDタグシステムにおける通信距離を大幅に延長することができる。
(RFIDタグのアンテナに関する定義)
・長さH:ICチップに接続されたアンテナ上の任意の2点間の直線距離の最大値を長さHとする。
・中心C:長さHの定義において直線距離が最大値となる2点間の中点を中心Cとする。
(アンテナ素子に関する定義)
・長さL:線状のアンテナ素子上に任意の2点i、jを選び、点iから点jに向かうベクトルVijに対して、アンテナ素子に沿う点iから点jへの経路の進行方向の向きとベクトルVijの向きのなす角度が経路内の全ての点で±90°以内であるときに、点iと点jは戻らずに繋がっているとし、このように戻らずに繋がっている任意の2点i、jの組み合わせのうち、2点i、j間の直線距離が最も長くなる2点を長さ方向の両端の点a1、a2として、これらの点a1、a2間のアンテナ素子に沿う最短経路の長さを長さLとする。
・幅W:長さLの定義における両端の点a1、a2を結ぶ直線と垂直方向(幅方向)に平行な任意の直線上にアンテナ素子の複数の点があるときに、これらの複数の点のうちの幅方向の距離が最も長くなる2点を幅方向の両端の点b1、b2として、これらの点b1、b2間のアンテナ素子に沿う最短経路の長さ、点b1、b2間の直線距離のπ/2倍の長さ、および長さLのうちの最小値をw1とし、両端の点a1、a2を結ぶ直線と平行で、アンテナ素子と交わる任意の2本の直線について、これらの2直線間の距離の最大値と長さLのうちの小さい方の値をw2としたときに、w1とw2のうちの大きい方の値を幅Wとする。
・重心G:長さLの定義における両端の点a1、a2間の全ての最短経路に存在する素線の重心を重心Gとする。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図3は、第1の実施形態を示す。図1は、RFIDタグ1が装着された物品11を収納したケース12に、本発明に係るRFIDタグ用ブースタアンテナ2を配置した電波方式のRFIDタグシステムの概略図である。この概略図は、説明を分かりやすくするために、ケース12の中に1つの物品11のみを表示し、RFIDタグ1のアンテナ1aは、ICチップ1bに接続されて、リーダ3のアンテナ3aからの電波の放射方向と対向する物品11の前面11aに装着され、ブースタアンテナ2は、同じく電波の放射方向と対向するケース12の前面12aに配置されている。リーダ3のアンテナ3aからは、回転する円偏波成分を有し、周波数が2.4GHzのマイクロ波、または周波数が900MHzの極超短波の電波がRFIDタグ1に向けて送信される。
前記ケース12は電波を透過する段ボール箱とされ、ブースタアンテナ2は、その前面12aの内面または外面に導電インクまたは導電ペーストの塗工で形成された線状のアンテナ素子2aで形成されている。アンテナ素子2aは、アルミニウム等の導電性の金属線で形成してもよく、後述するように、段ボール箱のフラップ部、継ぎ代部、継ぎ代の延長部等に装着して配置してもよい。
この実施形態では、図2に拡大して示すように、前記ケース12の前面12aに配置されたアンテナ素子2aは、2個の同じ長さLと幅Wの直線のアンテナ素子2aで形成され、その後方のICチップ1bに接続された直線状のアンテナ1aの両側に近接させて、互いに平行に配置されている。アンテナ素子2aの両端の点a1、a2間の最短経路の長さとして定義される長さLは、リーダ3のアンテナ3aからの電波の波長λに対して0.2λ〜0.9λの範囲に入り、前述したように定義される幅Wは素線の幅と等しくなり、長さLと幅Wの比L/Wは2よりも十分大きい値となっている。
図2(a)は、前記2個の平行なアンテナ素子2aは右下がりに傾斜し、右側のアンテナ素子2aの上端の点a1と、左側のアンテナ素子2aの下端の点a2とを結ぶ相手間線分eが、前面12aに投影されたアンテナ1aと重なっている状態を示す。この状態では、電波の回転方向が反時計回りのときに、この相手間線分eが特定相手間線分e1となって、各アンテナ素子2aの両端の点a1、a2同士を結ぶ自身間線分fの向きの特定相手間線分e1の向きに対する電波の回転方向への傾斜角φ1が、15°以上で120°以下になっている。電波の回転方向が時計回りのときは、右側のアンテナ素子2aの下端の点a2と、左側のアンテナ素子2aの上端の点a1とを結ぶ相手間線分eが特定相手間線分e2となって、各自身間線分fの向きの特定相手間線分e2の向きに対する電波の回転方向への傾斜角φ2が、15°以上で120°以下になっている。なお、直線の各アンテナ素子2aの重心Gは、それぞれの自身間線分f上に位置する。
図2(b)は、前記2個の平行なアンテナ素子2aが右上がりに傾斜し、右側のアンテナ素子2aの下端の点a2と、左側のアンテナ素子2aの上端の点a1とを結ぶ相手間線分eが、前面12aに投影されたアンテナ1aと重なっている状態を示す。この状態では、電波の回転方向が時計回りのときに、この相手間線分eが特定相手間線分e2となって、各アンテナ素子2aの両端の点a1、a2同士を結ぶ自身間線分fの向きの特定相手間線分e2の向きに対する電波の回転方向への傾斜角φ2が、15°以上で120°以下になっている。また、電波の回転方向が反時計回りのときは、右側のアンテナ素子2aの上端の点a1と、左側のアンテナ素子2aの下端の点a2とを結ぶ相手間線分eが特定相手間線分e1となって、各自身間線分fの向きの特定相手間線分e1の向きに対する電波の回転方向への傾斜角φ1が、15°以上で120°以下になっている。
図2(a)、(b)は、それぞれ前記ICチップ1bに接続されたアンテナ1aが上下方向に延び、前面12aに投影されたアンテナ1aが特定相手間線分e1、e2と重なって、その中心Cが特定相手間線分e1、e2の中点と合致する基準回転位置にある状態を示す。このアンテナ1aが基準回転位置にある状態では、図2(a)の場合は、特定相手間線分e1の向きとアンテナ1aの長手方向の向きと成す角度αは0°、アンテナ1aの長手方向の向きに対する各自身間線分fの向きの、電波の反時計回りの回転方向への傾斜角βは傾斜角φ1と等しくなり、図2(b)の場合は、特定相手間線分e2の向きとアンテナ1aの長手方向の向きと成す角度αは0°、アンテナ1aの長手方向の向きに対する各自身間線分fの向きの、電波の時計回りの回転方向への傾斜角βは傾斜角φ2と等しくなる。
図3は、前記アンテナ1aの中心Cからアンテナ素子2aを配置したケース12の前面12aまでの距離Zを説明する模式図である。アンテナ1aは、距離Z=0mm、すなわち、アンテナ1aが装着された物品11の前面11aがケース12の前面12aに重ね合わされた状態を基準前後位置とする。アンテナ1aが基準回転位置、かつ基準前後位置にある状態では、アンテナ1aの中心Cから特定相手間線分e1、e2の中点までの距離Rも0mmとなる。
以下に述べる各実施例の通信試験では、特に断りのない限り、アンテナ1aは基準回転位置、かつ基準前後位置とし、一部の通信試験のみで、アンテナ1aを基準回転位置から中心Cの回りに左右へ回転移動させたり、基準前後位置から後方へ移動(Z>0mm)または前方へ移動(Z<0mm)させたりした。以下の各通信試験で使用した直線のアンテナ素子2aの素線の幅は0.5mmとした。
前記リーダ3のアンテナ3aからの電波を、反時計回りに回転する円偏波のマイクロ波とし、図2に示したように、2個の直線のアンテナ素子2aを前面12aに配置して、リーダ3とRFIDタグ1間の通信距離を調査する第1通信試験を行った。リーダ3のアンテナ3aは、図1に示したように、ケース12の正面方向の位置、正面方向から上下方向に±45°の位置、および正面方向から左右方向に±45°の位置に移動させ、これらの各移動位置での通信距離を平均した平均通信距離を求めて、ブースタアンテナがない場合を1とする通信距離の倍率で、通信距離の延長度合いを評価した。ただし、通信距離が短い一部の条件では、リーダ3のアンテナ3aを正面方向の位置としたときの正面通信距離のみを測定し、ブースタアンテナがない場合の通信距離が0cmに近かったものは、通信距離の倍率を省略した。
まず、前記2個のアンテナ素子2aを回転させて、傾斜角φ1を変化させた第1−1通信試験を行った。この傾斜角φ1の大きさによっては、各アンテナ素子2aの傾斜は右上りにもなる。第1−1通信試験では、RFIDタグ1のアンテナ1aの長さHを、56mm、34mm、11mmの3段階に変え、長さHを56mmとしたものについては、各アンテナ素子2aの長さLを、マイクロ波の波長λ(=125mm)に対して0.2λ〜0.9λとなる範囲で3段階に変えた。また、各アンテナ1aの長さHに応じて、特定相手間線分e1の長さMを、長さHが0.2λ以上のときは、長さの差M−Hが−0.4λ〜0.7λの範囲に入るようにし、長さHが0.2λ未満のときは、長さの差M−Hが−0.2λ〜0.2λの範囲に入るようにした。
表1(a)〜(c)に、第1−1通信試験の結果を示す。表1(a)はH=56mm(0.45λ)、M=60mm、M−H=4mm(0.03λ)の場合、表1(b)はH=34mm(0.27λ)、M=40mm、M−H=6mm(0.05λ)の場合、表1(c)はH=11mm(0.09λ)、M=8mm、M−H=−3mm(−0.02λ)の場合である。アンテナ1aの長さHを11mmとした表1(c)については、通信距離を正面通信距離で評価し、ブースタアンテナがない場合の通信距離が0cmに近かったので、通信距離の倍率を省略した。なお、以降の各表中の長さLと長さの差M−Hについては、電波の波長λに対する長さもカッコ内に併記した。
この試験結果より、アンテナ1aの長さHがいずれの場合も、傾斜角φを15°以上で120°以下とした実施例のものは、いずれも通信距離が延長され、このうち、傾斜角φ1を25°以上で90°以下としたものは通信距離が顕著に延長され、40°以上で75°以下としたものは、通信距離がさらに延長されている。一方、傾斜角φ1が上記範囲を外れる比較例のものは、通信距離が延長されていないか、または、延長される場合でも延長の程度が小さい。なお、第1−1通信試験では、アンテナ素子2aの素線の幅を0.1〜0.2mmと5mm以上に変えた試験も行ったが、表1(a)〜(c)に示した素線の幅を0.5mmとした場合と同様の通信結果が得られた。
つぎに、前記傾斜角φ1を15°以上で120°以下として、2個の直線のアンテナ素子2aの長さLを変化させた第1−2通信試験を行った。第1−2通信試験では、アンテナ1aの長さHを56mm、34mm、11mm、5mmの4段階に変え、長さHを56mm、34mmとしたものについては、傾斜角φ1を45°および63°とし、長さHを11mm、5mmとしたものについては、傾斜角φ1を45°とした。また、特定相手間線分e1の長さMとアンテナ1aの長さHとの長さの差M−Hは、長さHを0.2λ以上の56mm(0.45λ)、34mm(0.27λ)としたものは、−0.4λ〜0.7λの範囲に入るようにし、長さHを0.2λ未満の11mm(0.09λ)、5mm(0.04λ)としたものは、−0.2λ〜0.2λの範囲に入るようにした。
表2(a)〜(d)に、第1−2通信試験の結果を示す。表2(a)はH=56mm、M=60mmの場合、表2(b)はH=34mm、M=40mmの場合、表2(c)はH=11mm、M=8mmの場合、表2(d)はH=5mm、M=4mmの場合である。アンテナ1aの長さHを11mm、5mmとした表2(c)、(d)については、正面通信距離で評価し、通信距離の倍率を省略した。
この試験結果より、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上の場合は、マイクロ波の波長λに対するアンテナ素子2aの長さLが0.2λ〜0.9λの広範囲で通信距離が延長されていることが分かる。また、アンテナ1aの長さHが0.2λ未満の場合は、長さLが0.5λを外れる0.2λ〜0.4λの範囲で通信距離が大きく延長されている。
つぎに、前記アンテナ素子2aの長さLを0.2λ〜0.9λの範囲とし、特定相手間線分e1の長さMとアンテナ1aの長さHとの長さの差M−Hを変化させた第1−3通信試験を行った。第1−3通信試験では、アンテナ1aの長さHを56mm、34mm、11mm、5mmの4段階に変え、それぞれの長さHに対して特定相手間線分e1の長さMを変化させた。また、傾斜角φ1は45°とし、アンテナ1aの長さHを56mmとしたものだけ、90°の傾斜角φ1を追加した。
表3(a)〜(d)に、第1−3通信試験の結果を示す。表3(a)はH=56mm、L=60mm、表3(b)はH=34mm、L=60mm、表3(c)はH=11mm、L=40mm、表3(d)はH=5mm、L=40mmの場合である。アンテナ1aの長さHを11mm、5mmとした表3(c)、(d)については、通信距離を正面通信距離で評価し、通信距離の倍率を省略した。
この試験結果より、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上の場合は、長さの差M−Hが−0.4λ〜0.7λの範囲で通信距離が延長され、アンテナ1aの長さHが0.2λ未満の場合は、長さの差M−Hが−0.2λ〜0.2λの範囲で通信距離が延長されていることが分かる。
つぎに、前記アンテナ1aを基準前後位置(Z=0mm)から前後方向(後方向を正)に移動させて、その中心Cからアンテナ素子2aを配置したケース12の前面12aまでの距離Zを変化させた第1−4通信試験を行った。第1−4通信試験では、アンテナ1aの長さHを56mm、アンテナ素子2aの長さLを60mm、特定相手間線分e1の長さMを60mmとし、傾斜角φ1を45°、90°の2段階に変えた。また、アンテナ1aは、図1に示した左右のX方向と上下のY方向にも移動させた。
表4に、第1−4通信試験の結果を示す。表中には、X方向(右方向を正)およびY方向(上方向を正)の移動位置と、アンテナ1aの中心Cから特定相手間線分e1の中点までの距離Rも併記した。この試験結果より、アンテナ1aの中心Cからアンテナ素子2aを配置した平面までの距離Zの絶対値、および、アンテナ1aの中心Cから特定相手間線分e1の中点までの距離Rが0.3λ(=37.5mm)以下のときに、通信距離が延長されていることが分かる。
つぎに、前記アンテナ1aを基準回転位置から中心Cの回りに回転移動させて、アンテナ1aの向きと特定相手間線分e1との成す角度αを変化させた第1−5通信試験を行った。第1−5通信試験では、アンテナ1aの長さHを56mm、アンテナ素子2aの長さLを60mm、特定相手間線分e1の長さMを60mm、傾斜角φ1を63°とした。
表5に、第1−5通信試験の結果を示す。表中には、前記アンテナ素子2aが配置された前面12aに投影したアンテナ1aの長手方向の向きに対する、前記基端点から自身の前記先端点を結ぶように延ばした自身間線分fの向きの、電波の回転方向への傾斜角βも併記した。この試験結果より、角度α(アンテナ1aを反時計回りに回転させたときを正)の絶対値を70°以下、傾斜角βを10°以上で130°以下としたものは、通信距離が延長されていることが分かる。
前記リーダ3のアンテナ3aからの電波を、反時計回りに回転する円偏波の極超短波(λ=333mm)とし、図2に示したように、2個の直線のアンテナ素子2aを前面12aに配置して、リーダ3とRFIDタグ1間の通信距離を調査する第2通信試験を行った。第2通信試験では、リーダ3のアンテナ3aを、図1に示したケース12の正面方向で、前面12aから20cm離れた位置に固定し、RFIDタグ1のアンテナ1aが受信する電波の強さを測定して、ブースタアンテナがない場合を1とする電波の強さの倍率で、通信距離の延長度合いを評価した。
まず、前記2個のアンテナ素子2aを回転させて、傾斜角φ1を変化させた第2−1通信試験を行った。第2−1通信試験では、RFIDタグ1のアンテナ1aの長さHを68mm(0.20λ)、アンテナ素子2aの長さLを160mm(0.48λ)、特定相手間線分e1の長さMを60mmとした。
表6に、第2−1通信試験の結果を示す。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を極超短波としたときも、傾斜角φ1を15°以上で120°以下とした実施例のものは、いずれも電波の強さが強くなって通信距離が延長されている。一方、傾斜角φ1が上記範囲を外れる比較例のものは、電波の強さがあまり強くなっていない。
つぎに、前記2個の直線のアンテナ素子2aの長さLを変化させた第2−2通信試験を行った。第2−2通信試験では、アンテナ1aの長さHを68mm、傾斜角φ1を45°、特定相手間線分e1の長さMを60mmとした。
表7に、第2−2通信試験の結果を示す。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を極超短波としたときも、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上の場合は、極超短波の波長λに対するアンテナ素子2aの長さLが0.2λ〜0.9λの範囲内で電波の強さが強くなっている。
つぎに、前記特定相手間線分e1の長さMとアンテナ1aの長さHとの長さの差M−Hを変化させた第2−3通信試験を行った。第2−3通信試験では、アンテナ1aの長さHを68mm、アンテナ素子2aの長さLを160mm、傾斜角φ1を45°とし、特定相手間線分e1の長さMを変化させた。
表8に、第2−3通信試験の結果を示す。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を極超短波としたときも、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上の場合は、長さの差M−Hが−0.4λ〜0.7λの範囲で電波の強さが強くなっている。
前記リーダ3のアンテナ3aからの電波を、時計回りに回転する円偏波のマイクロ波とし、図2に示したように、2個の直線のアンテナ素子2aを前面12aに配置して、リーダ3とRFIDタグ1間の通信距離を調査する第3通信試験を行った。第3通信試験では、リーダ3のアンテナ3aを、図1に示したケース12の正面方向の位置として正面通信距離を測定し、ブースタアンテナがない場合を1とする正面通信距離の倍率で、通信距離の延長度合いを評価した。
まず、前記2個のアンテナ素子2aを回転させて、傾斜角φ2を変化させた第3−1通信試験を行った。第3−1通信試験では、RFIDタグ1のアンテナ1aの長さHを51mm、アンテナ素子2aの長さLを60mm(0.48λ)、特定相手間線分e2の長さMを80mmとした。
表9に、第3−1通信試験の結果を示す。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を時計回りに回転するマイクロ波としたときも、傾斜角φ2を15°以上で120°以下とした実施例のものは、いずれも通信距離が延長され、傾斜角φ2が上記範囲を外れる比較例のものは、通信距離が延長されていない。
つぎに、前記2個の直線のアンテナ素子2aの長さLを変化させた第3−2通信試験を行った。第3−2通信試験では、アンテナ1aの長さHを51mm(0.41λ)、傾斜角φ2を45°、特定相手間線分e2の長さMを60mmとした。
表10に、第3−2通信試験の結果を示す。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を時計回りに回転するマイクロ波としたときも、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上の場合は、マイクロ波の波長λに対するアンテナ素子2aの長さLが0.2λ〜0.9λの範囲内で通信距離が延長されている。
つぎに、前記特定相手間線分e2の長さMとアンテナ1aの長さHとの長さの差M−Hを変化させた第3−3通信試験を行った。第3−3通信試験では、アンテナ1aの長さHを51mm、アンテナ素子2aの長さLを60mm、傾斜角φ1を45°とし、特定相手間線分e2の長さMを変化させた。
表11に、第3−3通信試験の結果を示す。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を時計回りに回転するマイクロ波としたときも、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上の場合は、長さの差M−Hが−0.4λ〜0.7λの範囲で通信距離が延長されている。
図4は、第2の実施形態を示す。この実施形態では、図4(a)、(b)に拡大して示すように、前記前面12aに配置されたアンテナ素子2aが、2個の同じ長さLと幅WのL字状のアンテナ素子2aで形成され、その後方のICチップ1bに接続された直線状のアンテナ1aの中心Cに対して点対称に配置されて、各L字の一方の辺が互いに平行な縦向きの縦辺(長さL1)、他方の辺が互いに平行な横向きの横辺(長さL2)とされている。アンテナ素子2aの両端の点a1、a2間の最短経路の長さとして定義される長さL(=L1+L2)は、リーダ3のアンテナ3aからの電波の波長λに対して0.2λ〜0.9λの範囲に入り、前述したように定義される幅Wとの比L/Wは2以上の値となっている。
図4(a)は、前記2個のL字状のアンテナ素子2aが、アンテナ1aに対して、右側のアンテナ素子2aの横辺が右上、左側のアンテナ素子2aの横辺が左下に配置され、それぞれの縦辺が横辺のアンテナ1aに対する遠端から上下に延出して、各アンテナ素子2aの横辺のアンテナ1aに対する近端の点a1を結ぶ相手間線分eが、前面12aに投影されたアンテナ1aと重なっている状態である。この状態では、電波の回転方向が反時計回りの場合に、この相手間線分eが特定相手間線分e1となって、各アンテナ素子2aの両端の点a1、a2同士を結ぶ自身間線分fの向きの特定相手間線分e1の向きに対する電波の回転方向への傾斜角φ1が、15°以上で120°以下になっている。また、電波の回転方向が時計回りの場合は、右側のアンテナ素子2aの縦辺端の点a2と、左側のアンテナ素子2aの縦辺端の点a2とを結ぶ相手間線分eが特定相手間線分e2となって、各自身間線分fの向きの特定相手間線分e2の向きに対する電波の回転方向への傾斜角φ2が、15°以上で120°以下になっている。いずれの場合も、各アンテナ素子2aの重心Gは、それぞれの自身間線分fを延長した直線に対して、各アンテナ素子2aを配置した前面12a内で、特定相手間線分e1、e2と反対側に位置している。
図4(b)は、前記2個のL字状のアンテナ素子2aが、アンテナ1aに対して、右側のアンテナ素子2aの横辺が右下、左側のアンテナ素子2aの横辺が左上に配置され、それぞれの縦辺が横辺のアンテナ1aに対する遠端から上下に延出して、各アンテナ素子2aの横辺のアンテナ1aに対する近端の点a1を結ぶ相手間線分eが、前面12aに投影されたアンテナ1aと重なっている状態である。この状態では、電波の回転方向が時計回りの場合に、この相手間線分eが特定相手間線分e2となって、各アンテナ素子2aの両端の点a1、a2同士を結ぶ自身間線分fの向きの特定相手間線分e2の向きに対する電波の回転方向への傾斜角φ2が、15°以上で120°以下になっている。また、電波の回転方向が反時計回りの場合は、右側のアンテナ素子2aの縦辺端の点a2と、左側のアンテナ素子2aの縦辺端の点a2とを結ぶ相手間線分eが特定相手間線分e1となって、各自身間線分fの向きの特定相手間線分e1の向きに対する電波の回転方向への傾斜角φ1が、15°以上で120°以下になっている。この変形例の場合も、各アンテナ素子2aの重心Gは、それぞれの自身間線分fを延長した直線に対して、各アンテナ素子2aを配置した前面12a内で、特定相手間線分e1、e2と反対側に位置している。
図4(a)、(b)は、それぞれ前記ICチップ1bに接続されたアンテナ1aが上下方向に延び、前面12aに投影されたアンテナ1aが特定相手間線分e1、e2と重なって、その中心Cが特定相手間線分e1、e2の中点と合致する基準回転位置にある状態を示す。このアンテナ1aが基準回転位置にある状態では、図4(a)の場合は、特定相手間線分e1の向きとアンテナ1aの長手方向の向きと成す角度αは0°、アンテナ1aの長手方向の向きに対する各自身間線分fの向きの、電波の反時計回りの回転方向への傾斜角βは傾斜角φ1と等しくなり、図4(b)の場合は、特定相手間線分e2の向きとアンテナ1aの長手方向の向きと成す角度αは0°、アンテナ1aの長手方向の向きに対する各自身間線分fの向きの、電波の時計回りの回転方向への傾斜角βは傾斜角φ2と等しくなる。また、図示は省略するが、第1の実施形態と同様に、アンテナ1aの基準前後位置は、その中心Cからアンテナ素子2aを配置したケース12の前面12aまでの距離Zが0mmとなる位置とした。
この実施形態でも、以下に述べる各実施例の通信試験では、特に断りのない限り、アンテナ1aは基準回転位置、かつ基準前後位置とし、一部の通信試験のみで、アンテナ1aを基準回転位置から中心Cの回りに左右へ回転移動させたり、基準前後位置から後方へ移動(Z>0mm)または前方へ移動(Z<0mm)させたりした。以下の各通信試験で使用したL字状のアンテナ素子2aの素線の幅は5mmとした。
前記リーダ3のアンテナ3aからの電波を、反時計回りに回転する円偏波のマイクロ波とし、図4(a)に示した状態のように、2個のL字状のアンテナ素子2aを前面12aに配置して、リーダ3とRFIDタグ1間の通信距離を調査する第4通信試験を行った。リーダ3のアンテナ3aは、図1に示したように、ケース12の正面方向の位置、正面方向から上下方向に±45°の位置、および正面方向から左右方向に±45°の位置に移動させ、これらの各移動位置での通信距離を平均した平均通信距離を求めて、ブースタアンテナがない場合を1とする通信距離の倍率で、通信距離の延長度合いを評価した。ただし、一部の条件では、リーダ3のアンテナ3aを正面方向の位置としたときの正面通信距離のみを測定し、ブースタアンテナがない場合の通信距離が0cmに近かったものは、通信距離の倍率を省略した。
まず、前記2個のアンテナ素子2aの傾斜角φ1を変化させた第4−1通信試験を行った。傾斜角φ1は、L字の縦辺と横辺の長さL1、L2の組合せと縦辺の上下の延出方向を変えることにより変化させた。第4−1通信試験では、RFIDタグ1のアンテナ1aの長さHを56mm(0.45λ)、特定相手間線分e1の長さMを60mmとし、アンテナ素子2aの長さLを56mm(0.45λ)、71mm(0.57λ)の2段階に変えた。
表12に、第4−1通信試験の結果を示す。表中には、アンテナ素子2aのL字の縦辺と横辺の長さL1、L2と縦辺の延出方向も併記した。縦辺の延出方向はL1の符号で表示され、負の符号はアンテナ1aから遠ざかる方向に延出することを意味している。この試験結果より、アンテナ素子2aをL字状のものとした場合も、傾斜角φ1を15°以上で120°以下とした実施例のものは、いずれも通信距離が延長され、傾斜角φ1が上記範囲を外れる比較例のものは、通信距離が延長されていない。なお、第4−1通信試験では、アンテナ素子2aの素線の幅を0.1〜0.2mm、0.5mmおよび10mm以上に変えた試験も行ったが、表12に示した素線の幅を5mmとした場合と同様の通信結果が得られた。
つぎに、前記2個の直線のアンテナ素子2aの長さLを変化させた第4−2通信試験を行った。傾斜角φが15°以上で120°以下となる範囲で、L字の縦辺と横辺の長さL1、L2の組合せを変えることにより、長さLを変化させた。第4−2通信試験では、アンテナ1aの長さHを56mm(0.45λ)、特定相手間線分e1の長さMを60mmとした。
表13に、第4−2通信試験の結果を示す。この試験結果より、アンテナ素子2aをL字状のものとした場合も、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上のときは、マイクロ波の波長λに対するアンテナ素子2aの長さLが0.2λ〜0.9λの広範囲で通信距離が延長されている。
つぎに、前記特定相手間線分e1の長さMとアンテナ1aの長さHとの長さの差M−Hを変化させた第4−3通信試験を行った。第4−3通信試験では、アンテナ1aの長さHを56mm(0.45λ)、11mm(0.09λ)とし、特定相手間線分e1の長さMを変化させた。なお、アンテナ1aの長さHが56mmのときは、アンテナ素子2aの長さLを55mm(0.44λ;L1=35mm、L2=20mm)、傾斜角φ1を42°とし、アンテナ1aの長さHが11mmのときは、アンテナ素子2aの長さLを37mm(0.30λ;L1=16mm、L2=21mm)、傾斜角φ1を51°とした。
表14(a)、(b)に、第4−3通信試験の結果を示す。表14(a)はH=56mm、L=55mmの場合、表14(b)はH=11mm、L=37mmの場合であり、表14(b)については、通信距離を正面通信距離で評価し、通信距離の倍率を省略した。この試験結果より、アンテナ素子2aをL字状のものとした場合も、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上のときは、長さの差M−Hが−0.4λ〜0.7λの範囲で通信距離が延長され、長さHが0.2λ未満のときは、長さの差M−Hが−0.2λ〜0.2λの範囲で通信距離が延長されている。
つぎに、前記アンテナ1aを基準前後位置(Z=0mm)から前後方向(後方向を正)に移動させて、その中心Cからアンテナ素子2aを配置したケース12の前面12aまでの距離Zを変化させた第4−4通信試験を行った。第4−4通信試験では、アンテナ1aの長さHを56mm、34mmの2段階に変え、アンテナ素子2aの長さLを56mm(0.45λ;L1=21mm、L2=35mm)、傾斜角φ1を58°とした。特定相手間線分e1の長さMは、60mm、40mmとした。また、アンテナ1aは、図1に示した左右のX方向と上下のY方向にも移動させた。
表15(a)、(b)に、第4−4通信試験の結果を示す。表15(a)はH=56mm、M=60mmの場合、表15(b)はH=34mm、M=40mmの場合であり、表中には、X方向およびY方向の移動位置と、アンテナ1aの中心Cから特定相手間線分e1の中点までの距離Rも併記した。この試験結果より、アンテナ素子2aをL字状のものとした場合も、アンテナ1aの中心Cからアンテナ素子2aを配置した平面までの距離Zの絶対値、および、アンテナ1aの中心Cから特定相手間線分e1の中点までの距離Rが0.3λ(=37.5mm)以下のときに、通信距離が延長されている。
つぎに、前記アンテナ1aを基準回転位置から中心Cの回りに回転移動させて、アンテナ1aの向きと特定相手間線分e1との成す角度αを変化させた第4−5通信試験を行った。第4−5通信試験では、アンテナ1aの長さHを56mm、34mmの2段階に変え、アンテナ素子2aの長さLを56mm(0.45λ;L1=21mm、L2=35mm)、傾斜角φ1を58°とした。特定相手間線分e1の長さMは、60mm、40mmとした。
表16(a)、(b)に、第4−5通信試験の結果を示す。表16(a)はH=56mm、M=60mmの場合、表16(b)はH=34mm、M=40mmの場合であり、表中には、アンテナ1aの向きに対する自身間線分fの向きの電波の回転方向への傾斜角βも併記した。この試験結果より、アンテナ素子2aをL字状のものとした場合も、角度αの絶対値を70°以下、傾斜角βを10°以上で130°以下としたものは、通信距離が延長されている。
前記リーダ3のアンテナ3aからの電波を、反時計回りに回転する円偏波の極超短波(λ=333mm)とし、図4(a)に示した状態のように、2個のL字状のアンテナ素子2aを前面12aに配置して、リーダ3とRFIDタグ1間の通信距離を調査する第5通信試験を行った。第5通信試験では、リーダ3のアンテナ3aを、図1に示したケース12の正面方向で、前面12aから300mm離れた位置に固定し、RFIDタグ1のアンテナ1aが受信する電波の強さを測定して、ブースタアンテナがない場合を1とする電波の強さの倍率で、通信距離の延長度合いを評価した。
まず、前記特定相手間線分e1の長さMとアンテナ1aの長さHとの長さの差M−Hを変化させた第5−1通信試験を行った。第5−1通信試験では、アンテナ1aの長さHを140mm(0.42λ)、120mm(0.36λ)、68mm(0.20λ)の3段階に変え、アンテナ素子2aの長さLを160mm(0.48λ;L1=70mm、L2=90mm)、傾斜角φ1を56°とし、特定相手間線分e1の長さMを変化させた。
表17に、第5−1通信試験の結果を示す。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を極超短波としたときも、アンテナ1aの長さHが0.2λ以上の場合は、長さの差M−Hが−0.4λ〜0.7λの範囲で電波の強さが強くなっている。
つぎに、前記アンテナ1aを基準前後位置(Z=0mm)から後方向に移動させて、その中心Cからアンテナ素子2aを配置したケース12の前面12aまでの距離Zを変化させた第5−2通信試験を行った。第5−2通信試験では、アンテナ1aの長さHを68mm、アンテナ素子2aの長さLを160mm(0.48λ;L1=70mm、L2=90mm)、傾斜角φ1を56°とし、Z=3mmとしたものでは、アンテナ1aを図1に示した左右のX方向と上下のY方向にも移動させた。特定相手間線分e1の長さMは60mmとした。
表18に、第5−2通信試験の結果を示す。表中には、X方向およびY方向の移動位置と、アンテナ1aの中心Cから特定相手間線分e1の中点までの距離Rも併記した。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を極超短波としたときも、アンテナ1aの中心Cからアンテナ素子2aを配置した平面までの距離Z、および、アンテナ1aの中心Cから特定相手間線分e1の中点までの距離Rが0.3λ(=100mm)以下のときに、通信距離が延長されている。
前記リーダ3のアンテナ3aからの電波を、時計回りに回転する円偏波のマイクロ波とし、図4(b)に示した状態のように、2個のL字状のアンテナ素子2aを前面12aに配置し、2個のアンテナ素子2aの傾斜角φ2を変化させて、リーダ3とRFIDタグ1間の通信距離を調査する第6通信試験を行った。傾斜角φ2は、アンテナ素子2aのL字の縦辺と横辺の長さL1、L2の組合せを変えることにより変化させた。第6通信試験では、リーダ3のアンテナ3aを、図1に示したケース12の正面方向の位置とした正面通信距離を測定し、ブースタアンテナがない場合を1とする通信距離の倍率で、通信距離の延長度合いを評価した。
第6通信試験では、RFIDタグ1のアンテナ1aの長さHを51mm、アンテナ素子2aの長さLを56mm(0.45λ)、特定相手間線分e2の長さMを80mmとし、L字の縦辺と横辺の長さL1、L2の組合せを変えることにより、傾斜角φ2を変化させた。
表19に、第6通信試験の結果を示す。この試験結果より、リーダ3のアンテナ3aからの電波を時計回りに回転するマイクロ波としたときも、傾斜角φ2を15°以上で120°以下とした実施例のものは、いずれも通信距離が延長され、傾斜角φ2が上記範囲を外れる比較例のものは、通信距離が延長されていない。
図5(a)、(b)は、第3の実施形態を示す。図5(a)は、図2(a)に示したように、前面12aに配置した元の2個の直線のアンテナ素子2aの両側に、1個ずつの直線のアンテナ素子2aを追加し、これらの追加したアンテナ素子2aをアンテナ1aと平行に配置したもの、図5(b)は、図4(a)に示したように、前面12aに配置した元の2個のL字状のアンテナ素子2aの両側に、1個ずつの直線のアンテナ素子2aを追加し、追加したアンテナ素子2aを、アンテナ1aと平行に配置したものである。
前記リーダ3のアンテナ3aからの電波を、反時計回りに回転する円偏波のマイクロ波とし、図5(a)に示したように、4個の直線のアンテナ素子2aを前面12aに配置し
た場合と、図5(b)に示したように、2個のL字状のアンテナ素子2aと2個の直線のアンテナ素子2a前面12aに配置した場合とについて、リーダ3とRFIDタグ1間の通信距離を調査する第7通信試験を行った。リーダ3のアンテナ3aは、図1に示したように、ケース12の正面方向の位置、正面方向から上下方向に±45°の位置、および正面方向から左右方向に±45°の位置に移動させ、これらの各移動位置での平均通信距離と正面通信距離とについて、ブースタアンテナがない場合を1とする通信距離の倍率で、通信距離の延長度合いを評価した。
図5(a)、(b)におけるアンテナ1aの長さHは56mm、追加の直線の各アンテナ素子2aは、長さLが50mmで、前面12aに投影されたアンテナ1aからの距離が75mm、特定相手間線分e1の長さMは60mmと共通とし、図5(a)の場合は、元の直線の各アンテナ素子2aの長さLを60mm(0.48λ)、傾斜角φ1を54°とし、図5(b)の場合は、元のL字状のアンテナ素子2aの長さLを56mm(0.45λ;L1=21mm、L2=35mm)、傾斜角φ1を58°とした。
表20に、第7通信試験の結果を示す。表中には、追加のアンテナ素子2aを配置しない場合の通信距離と倍率も併記した。この試験結果より、いずれの場合も、追加のアンテナ素子2aを配置したものは、追加のアンテナ素子2aがないものよりも通信距離が延長され、特に、正面通信距離の延長度合いが大きいことが分かる。追加のアンテナ素子2aの個数は2個以上とするのが好ましい。
図6は、第4の実施形態を示す。この実施形態では、前記ケース12に、部分的に同じ情報が記録されたRFIDタグ1を装着した複数の物品11が収納されている。第1の実施形態のものと同様に、リーダ3のアンテナ3aからの電波の放射方向と対向するケース12の前面12aにブースタアンテナ2の2個のアンテナ素子2aが装着されており、ケース12の内側には、ブースタアンテナ2の直ぐ後方の物品11を除く他の物品11に装着されたRFIDタグ1に対して、リーダ3のアンテナ3aからの電波の通信を阻害する手段として、これらのRFIDタグ1のアンテナ1aへのリーダ3のアンテナ3aからの電波を遮断する板状の導電体4が配置されている。このリーダ3のアンテナ3aからの電波の通信を阻害する手段としては、他のRFIDタグ1のアンテナ1aとリーダ3のアンテナ3aとの間に、長さが電波の波長の1/2程度の円形、矩形等の環状や十字等のクロス状の導電体を配置して2次電波と1次電波との干渉により、RFIDタグ1のアンテナ1aが受信する電波を弱める方法、その他の手法によって、1次電波を弱める2次電波を発する導電体を配置する方法等を採用することもできる。
図7(a)〜(d)は、それぞれ、図1に示した段ボール箱のケース12へのブースタアンテナ2の装着位置の変形例を示す。図7(a)は、ブースタアンテナ2を段ボール箱を形成する段ボールシート13のフラップ部13aに装着した例、図7(b)は、段ボールシート13の継ぎ代部13bに装着した例、図7(c)は、段ボールシート13の継ぎ代の延長部13cに装着した例であり、いずれも段ボール箱が形成されたときの重ね面側に装着されている。図7(b)、(c)の段ボールシート13に点線で示したように、継ぎ代部13や継ぎ代の延長部13cが重ね合わされる部分にブースタアンテナ2を装着することもできる。また、図7(d)は、段ボール箱のケース12の副資材としての封緘テープ12bの裏面または表面側に装着した例である。
上述した各実施形態では、ブースタアンテナの2個のアンテナ素子を、直線またはL字状で同一寸法形状のものとしたが、これらのアンテナ素子の形状は、両端の点a1、a2が1組だけ存在する線状のものであればよく、2個のアンテナ素子は寸法または形状が互いに異なるものであってもよい。