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JP5206074B2 - 燃料電池用膜・電極接合体およびその製造方法 - Google Patents
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燃料電池用膜・電極接合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は燃料電池用膜・電極接合体およびその製造方法に関する。
燃料電池を構成する燃料電池用膜・電極接合体(以下、単に「膜・電極接合体」と称する場合もある。)のうち、電解質膜の両主面側に触媒層を配置したもの(即ち、触媒層/電解質膜/触媒層の層構成のもの)は、3層MEAと称されており、さらに、その3層MEAの両主面側に電極基材を配置したもの(即ち、電極基材/触媒層/電解質膜/触媒層/電極基材の層構成のもの)は、5層MEAと称されている。
燃料電池の性能向上においては、これらの膜・電極接合体の構造の最適化が鍵となっている。膜・電極接合体の製造過程では、例えば、下記(1)〜(3)の方法が採用されている。
(1)ガス拡散層(Gas Diffusion Layer、GDL)とも呼ばれる電極基材に触媒層を塗工により形成する方法
(2)デカール法(フィルム上に形成した触媒層を電解質膜に転写する方法)
(3)電解質膜に触媒含有ペーストを直接塗工する方法
方法(1)では、多孔質体のGDLに、触媒と電解質バインダーとを含む触媒含有ペーストを塗工するため、GDLへの触媒のしみ込みによる、触媒の無駄発生およびGDLの通気度の低下等の問題がある。
方法(2)では、形状が安定な2つのフィルム上に各々触媒層を塗工により形成した後、各触媒層を電解質膜に熱プレスにより転写するので、上記GDLへの触媒のしみ込みがなく、触媒と電解質バインダーの分散状態が良好で、細孔構造が均質な触媒層を形成できる。しかし、各フィルム上に形成された触媒層を電解質膜に転写した後、各触媒層からフィルムを剥離しなければならないので、工程数が多い。また、高い性能を確保する観点から最適な、触媒/電解質バインダー配合比率があるが、その値は転写性および量産時の歩留まりの向上の観点から最適な触媒/電解質バインダー配合比率とは一致しない。そのため、高い性能の確保を優先させれば、転写性および量産時の歩留まりの向上を犠牲にしなければならないし、転写性および量産時の歩留まりの向上を優先させれば、高い性能の確保を犠牲にすることになる。また、方法(2)では、固体高分子形燃料電池の一種である直接メタノール型燃料電池(DMFC)の触媒層、特に、触媒の担持量が3〜6mg/cm2程度と多いアノードの触媒層を形成する場合、転写の際に触媒の欠落が生じやすいという問題がある。
方法(3)では、電解質膜の両面に各々触媒含有ペーストを直接塗るので、工程数が他の方法よりも少なくてすむ。しかし、電解質膜として一般的に用いられるNafion(登録商標)膜等のパーフルオロスルホン酸系の電解質膜を用いた場合、触媒含有ペースト中の溶媒が原因で電解質膜が著しく膨潤し、良好な電解質膜を備えた膜・電極接合体が得られないという問題がある。
また、膜・電極接合体のその他の製造方法が特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1に記載の膜・電極接合体の製造過程では、下記のようにして3層MEAが形成される。
1)電解質膜を寸法が安定な第1暫定基板に支持させる。
2)電解質膜の第1暫定基板側の面の反対面(第1表面)に電気触媒コーティング組成物を直接塗工して、第1触媒層を形成する。
3)第1触媒層上に寸法が安定な第2暫定基板を配置し電解質膜を第1触媒層が形成された面側から支持する。
4)第1暫定基板を電解質膜から剥離する。
5)第1暫定基板側の剥離により露出した電解質膜の表面(第2表面)に電気触媒コーティング組成物を直接塗工して第2触媒層を形成する。
特許文献2に記載の膜・電極接合体の製造過程では、下記のようにして3層MEAが形成される。
1)寸法が安定な仮基板上に印刷により第1触媒層を形成する。
2)仮基板の両主面のうちの第1触媒層が形成されている側の面および第1触媒層に、電解質膜形成液を塗工し、塗工された電解質膜形成液を乾燥して、電解質膜を形成する。
3)電解質膜上に印刷により第2触媒層を形成する。
特許文献3では、支持体上に触媒層および電解質膜をこの順で形成した積層体を2つ用意し、それぞれの電解質膜が向かい合うように積層体を貼りあわせた後、各触媒層から支持体を剥離する。
特許文献4では、まず、支持体上にカソード触媒層を形成する。一方で、シリコン−ンオイル上に電解質膜を形成する。この電解質膜に、カソード触媒層が形成された支持体を、カソード触媒層が電解質膜に接するように重ね、これらを加熱することによりカソード触媒層と電解質膜とを接合する。次いで、電解質膜のカソード触媒層と接合した面の反対面にスクリーン印刷によりアノード触媒層を形成する。
特表2006−507623号公報 特表2005−507150号公報 特開2000−285932号公報 特開2002−280014号公報
特許文献1に記載された方法では、第2暫定基板の電解質膜と向かい合う表面のうちの第1触媒層に接した部分の周囲と電解質膜の第1表面との間に空隙が存在する状態で電解質膜の第2表面に電気触媒コーティング組成物を直接塗工して、第2触媒層を形成するので、上記電解質膜のうちの上記空隙の近傍部分(第1触媒層の周囲)が膨潤する可能性がある。
特許文献2に記載された方法では、触媒層上に電解質膜溶液を塗工するので、触媒層に電解質膜溶液がしみ込み、触媒と電解質とガスの3相がともに接触する界面(いわゆる3相界面)が減少したり、ガス拡散性が低減するなどの問題が生じる。
特許文献3に記載された方法では、積層ムラを生じさせることなく電解質膜同士を貼りあわせることは容易ではない。上記積層ムラが生じると、プロトン伝導パスが遮断される等のおそれがある。ここで積層ムラとは、積層体の貼り合わせの際に気泡が混入して、電解質膜同士が接触していない部分が生じたり、ローラー治具の微細な凹凸により電解質膜に凹凸が生じることである。
特許文献4に記載された方法では、特許文献1に記載された方法と同様に、支持体の表面のうちの第1触媒層に接した部分の周囲と電解質膜の支持体と向かい合う面との間に空隙が存在する状態で、電解質膜の上記面の反対面に印刷によりアノード用触媒層が形成される。そのため、上記電解質膜のうちの上記空隙の近傍部分(第1触媒層の周囲)が膨潤する可能性がある。また、電解質膜に付着したシリコン−ンオイルが抵抗成分となるおそれがある。
本発明では、電解質膜の膨潤を抑制しながら、触媒層を容易に形成可能とする、燃料電池用膜・電極接合体およびその製造方法を提供する。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、
支持基材に第1触媒含有ペーストを塗工し、塗工された第1触媒含有ペーストを乾燥して、第1触媒層を形成する工程と、
電解質膜内に前記第1触媒層が埋め込まれ、かつ、前記支持基材と前記第1触媒層とからなる積層体と前記電解質膜との間に空隙が生じないように、前記電解質膜を前記積層体に熱圧着させるとともに、前記電解質膜と前記第1触媒層とを接合させる工程と、
前記電解質膜の前記支持基材側の面の反対面に、第2触媒含有ペーストを塗工し、塗工された第2触媒含有ペーストを乾燥して、第2触媒層を形成する工程と、
前記第1触媒層から前記支持基材を剥離する工程と、を含む。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体は、本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法により形成された燃料電池用膜・電極接合体であって、
前記電解質膜と、
前記電解質膜の一方の主平面に接して配置された前記第2触媒層と、
前記電解質膜の前記第2触媒層側の反対側から前記電解質膜内に埋め込まれた前記第1触媒層とを含み、
前記電解質膜の前記一方の主平面の反対面と、前記1触媒層の前記第2触媒層と向かい合う面の反対面とがほぼ同一平面内にある。
本発明によれば、電解質膜の膨潤を抑制しながら、触媒層を容易に形成可能とする、燃料電池用膜・電極接合体およびその製造方法を提供できる。
図1は、本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法によって作製される5層MEAの一例の模式断面図であり、図2は、図1に示した5層MEAを構成する3層MEAの模式断面図である。なお、図1を用いて説明する本発明の膜・電極接合体の一例は、5層MEAであるが、本発明の膜・電極接合体は、3層MEAをも含む。
図1および図2に示すように、電解質膜1の一方の主平面1a上に第2触媒層4’と第2電極基材5とからなる燃料極6が配置されている。第1触媒層4と第1電極基材7とからなる空気極8のうちの第1触媒層4は、電解質膜1の第2触媒層4’側の反対側から電解質膜1内に埋め込まれており、電解質膜1の上記一方の主平面1aの反対面1bと、第1触媒層4の第2触媒層4’と向かい合う面4aの反対面4bとが同一平面内にある。電解質膜1と燃料極6と空気極8とからなる積層体(5層MEA)の両主面側に各々リブ付きセパレータおよび集電板(図示せず)がこの順で配置されることによって、単セル(燃料電池)が構成される。プロトンは燃料極6から電解質膜1内を通過して空気極8に流れる。また、電子は燃料極6から外部回路を介して空気極8に流れる。これにより燃料極6と空気極8との間に電気が流れる。
次に、図1に示した5層MEAの製造方法について、図3を用いて説明する。
図3Aおよび図3Bに示されるように、まず、支持基材2を用意し、支持基材2の一方の主面に第1触媒含有ペーストを塗工し、次いで、支持基材2に塗工された第1触媒含有ペーストを乾燥させて、第1触媒層4を得る。
次に、図3Cに示されるように、電解質膜1を、第1触媒層4と支持基材2とからなる積層体10に熱圧着させる。第1触媒層4は電解質膜1内に埋込され、積層体10と電解質膜1とは空隙を生じさせることなく互いに密着し、熱により電解質膜1と第1触媒層4とが接合される。支持基材2が長尺な帯状シートであり、支持基材2の一方の主面に複数の第1触媒層4が所定間隔ごとに形成される場合、隣り合う第1触媒層4の間が、電解質膜1の一部によって充填されるように、積層体10に電解質膜1が密着される。
次に、図3Dに示されるように、電解質膜1の支持基材2側の面の反対面に、第2触媒含有ペーストを塗工し、塗工された第2触媒含有ペーストを乾燥して、第2触媒層4’を形成する。次いで、第1触媒層4から支持基材2を剥離すれば、3層MEAが得られる。次いで、3層MEAの両主面側に第1電極基材7および第2電極基材5を公知の方法にて接合することにより、5層MEAが得られる。
本発明の膜・電極接合体の製造方法では、追従性のよい電解質膜1を積層体10に熱圧着させるので積層体10と電解質膜1の間に空隙を生じさせること無く両者を密着させる事ができる。それゆえ、第2触媒層4'の形成の際に、電解質膜1と支持基材2との間に空隙が存在することに起因して生じうる電解質膜の膨潤を抑制できる。
第1触媒層4および第2触媒層4’は、ともに触媒粒子を担持させた炭素粒子(触媒担持炭素粒子)と、水素イオン伝導性高分子電解質とを含有している。触媒粒子としては、例えば、白金、白金化合物等が挙げられる。白金化合物としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄、コバルト等からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と白金との合金等が挙げられる。
水素イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。上記触媒担持炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質の配合比は、固形分量の重量比率で1:0.1〜1:1であると好ましく、1:0.2〜1:0.5であるとより好ましい。
第1触媒層4および第2触媒層4’の形成には、触媒担持炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質とを適当な溶剤中で混合し分散することにより得られる、触媒含有ペーストを用いる。
上記溶剤としては、例えば、各種アルコール類、各種エーテル類、各種ジアルキルスルホキシド類、水又はこれらの混合物等が挙げられる。
触媒含有ペーストの塗工方法については、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
膜・電極接合体が固体高分子型燃料電池用(PEFC)である場合は、第1触媒層4および第2触媒層4'の厚さは、通常、10〜50μmであると好ましく、15〜30μmであるとより好ましい。膜・電極接合体が直接型燃料電池(DMFC)用であり、第1触媒層4がカソードの触媒層、第2触媒層4'がアノードの触媒層である場合、第1触媒層4の厚さは、10〜100μmであると好ましく、15〜50μmであるとより好ましい。第2触媒層4'の厚さは、20〜200μmであると好ましく、30〜100μmであるとより好ましい。
また、膜・電極接合体が固体高分子型燃料電池用(PEFC)である場合、第1触媒層4および第2触媒層4'における触媒の担持量は、ともに、0.2〜1.0Pt mg/cm2であると好ましく、0.3〜0.6Pt mg/cm2であるとより好ましい。膜・電極接合体が直接型燃料電池(DMFC)用であり、第1触媒層4がカソードの触媒層、第2触媒層4'がアノードの触媒層である場合、第1触媒層4における触媒の担持量は、0.5〜5.0Pt mg/cm2であると好ましく、0.8〜3.0Pt mg/cm2であるとより好ましい。第2触媒層4'における触媒の担持量は、2.0〜8.0Pt−Ru mg/cm2であると好ましく、3.0〜7.0Pt−Ru mg/cm2であるとより好ましい。
本発明の製造方法において、第1触媒層4は支持基材2が有する平坦な表面上に形成され、第2触媒層4'は、やわらかく追従性を有する電解質膜1上に直接塗工することに形成される。そのため、第1触媒層4の電解質膜1と接する面4aの反対面4bの表面粗さは、第2触媒層4'の電解質膜1に接した面の反対面の表面粗さよりも小さい。第1触媒層4の上記反対面4bの表面粗さ(Ra)は、通常、0.05〜2.0μmであり、第2触媒層の上記反対面の表面粗さ(Ra)は、通常、2.5〜10.0μmである。表面粗さ(Ra)は、例えば、実施例に記載の装置を用いて測定できる。
電解質膜1には、公知のものを用いることができるが、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂膜、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等の、プロトン伝導性高分子電解質からなる膜が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなプロトン伝導性高分子電解質膜の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。
膜・電極接合体の製造に用いられる電解質膜の膜厚は、10〜250μmであると好ましく、PEFCの場合は10〜80μmであるとより好ましい。本発明によって製造される膜・電極接合体が直接型燃料電池(DMFC)用である場合、電解質膜の膜厚は、10〜200μmであると好ましく、14〜100μmであるとより好ましい。
支持基材2としては、表面に大きな凸凹を有しておらず、平坦な表面を有する、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、アセタール樹脂、ポリフェニレンオキシドポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂等からなる樹脂シート、または、ゴム状弾性体を含むシート等が挙げられるが、ゴム状弾性体を含むシートが好ましい。支持基材がゴム状弾性を有していると、第1触媒層4と支持基材2とからなる積層体10と電解質膜1との間に空隙を生じさせることなく、積層体10を電解質膜1により密着させやすい。また、ゴム状弾性体が有するタック性により比較的小さな加重により電解質膜1を積層体10に固定できる。
上記ゴム状弾性体の材料としては、天然ゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム等が挙げられる。なかでも、化学的に活性な第1触媒層と接触しても分解産物を生成することなく、分解産物の第1触媒層への移行により、電池性能および耐久性を劣化させる事がない、化学的に安定な、シリコンゴムまたはフッ素ゴムがより好ましい。支持基材2がゴム状弾性体を含むシートである場合、その全体がゴム状弾性体からなっていてもよいが、シート状ゴム状弾性体とフィルム等との積層体でもよい。また、支持基材2がシリコンゴムまたはフッ素ゴムを含む場合、その全体がシリコンゴムまたはフッ素ゴムから形成されていてもよいが、支持基材2の少なくとも上記第1触媒層4と接する面が、シリコンゴム又はフッ素ゴムを含んでいればよい。
支持基材2の第1触媒含有ペーストが塗工される面の表面粗さ(Ra)は、通常、0.05〜2.0μmであると好ましく、0.5〜1.5μmであるとより好ましい。表面粗さ(Ra)は、例えば、実施例に記載の装置を用いて測定できる。
支持基材2の厚さは、取り扱い性およびRoll to Roll対応巻取装置への適応性が良好であるという理由から、20μm〜1000μmが好ましく、50μm〜300μmがより好ましい。
支持基材2がゴム状弾性を有する場合、支持基材2のJIS K 6253に準拠して測定されるゴム硬度は、20〜80が好ましく、40〜60であるとより好ましい。支持基材2のゴム硬度が20〜80であると、支持基材2は、電解質膜1を支持基材2に固定可能とする適度なタック性を備えるとともに、第2触媒含有ペーストが塗工された電解質膜1に膨張しようとする張力が生じても、電解質膜1の支持基材2からの剥離や、シワの発生等を防止できる。
第1電極基材7および第2電極基材5としては、公知のものを用いることができる。例えば、燃料である燃料ガス等を効率よく第1触媒層4および第2触媒層4'に供給可能な、多孔質の導電性基材、より具体的には、カーボンペーパーまたはカーボンクロス等を用いることができる。
電解質膜1の積層体10への熱圧着(ホットプレス)は、例えば、ロールプレス、平面プレスを用いて、電解質膜1を、加熱しながら加圧して、積層体10に押し付けることにより行える。熱圧着の際に第1触媒層に加わる圧力は、1〜100kgf/cm2であると好ましく、10〜50kgf/cm2であるとより好ましい。プレス機表面の温度は、80〜200℃であると好ましく、100〜170℃であるとより好ましい。
本発明の膜・電極接合体の製造方法は、固体高分子型燃料電池(PEFC)の膜・電極接合体、直接型燃料電池(DMFC)の膜・電極接合体等の製造に適応できるが、特に、DMFCの膜・電極接合体の製造に好適に適用できる。下記にその理由を説明する。
DMFCのカソードの触媒層は、ガス拡散性の良好な構造を有する必要がある。また、カソードの触媒層の厚みは比較的薄い。そのため、カソードの触媒層は、やわらかく追従性を有する電解質膜上に形成されるよりも、形状安定性の良い支持基材が有する平坦な表面上に形成されるほうが、好ましい。
一方、DMFCのアノードは、液体と反応するものであるためカソードほどには高いガス拡散性は要求されないが、プロトンを生成する反応が行われるので、プロトン伝導パスが良好に形成される必要がある。また、アノードの触媒層は触媒の担持量が多いので、例えば、支持基材上に形成されたアノードの触媒層を電解質膜に転写させると、触媒の欠落が生じる恐れがある。さらに、アノードの触媒層に含まれる触媒には、転写性が悪い、例えば、ルテニウム、ロジウム,パラジウム、鉄、ニッケル、コバルト、金等からなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属と白金との合金が好適であり、白金−ルテニウムが特に好適に用いられる。
以上のことから、支持基材が有する平坦な表面にカソードの触媒層(第1触媒層)を形成してから、当該触媒層を電解質膜に転写し、アノードの触媒層(第2触媒層)を直接塗工により電解質膜に形成する、本発明の製造方法は、直接型燃料電池(DMFC)の膜・電極接合体の製造に特に好ましく適用できる。
以下に実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、表面粗さ(Ra)は、ZYGO社(米国)非接触3次元表面粗さ計(New View5032)を用いて測定した。
[実施例1]
PET支持基材(東レ(株)S10,厚さ180μm)の一方の主面(表面粗さ(Ra)0.2μm)に、その一部が第1触媒層の平面形状に対応して切り抜かれたテンシルマスクを重ね、上記PET支持基材の露出部分に下記組成のカソード触媒含有ペーストをスプレーで塗工した後、塗工されたカソード触媒含有ペーストを乾燥して、第1触媒層(厚さ82μm)を形成した。カソード触媒含有ペーストは、Pt担持量が1.0mg/cm2となるよう塗工した。PET支持基材の厚さは、デジタルメーターM−30(ソニー(株)製)を用いて測定した。
[カソード触媒含有ペーストの組成]
触媒(TEC10E50E、田中貴金属(株)製) 1重量部
電解質(NafionDE2020CS、デュポン社製) 0.5重量部
水 3重量部
イソプロパノール 3重量部
1−ブタノール 3重量部
次に、電解質膜(Nafion117、デュポン社製)を、第1触媒層上に配置し、熱プレス(110℃、30kgf/cm2)により電解質膜内に第1触媒層を埋め込み、かつ、PET支持基材と第1触媒層とからなる積層体と電解質膜との間に空隙が生じないように、電解質膜を積層体に熱圧着させるとともに、電解質膜と第1触媒層とを接合させた。
次に、電解質膜のPET支持基材側の面の反対面に、その一部が第2触媒層の平面形状に対応して切り抜かれたテンシルマスクを重ね、上記電解質膜の露出部分に下記組成のアノード触媒含有ペーストをスプレーで塗工した後、塗工されたアノード触媒含有ペーストを乾燥して、第2触媒層(厚さ170μm)を形成した。アノード触媒含有ペーストは、Pt−Ru担持量が3.0mg/cm2となるよう塗工した。次に、第1触媒層からPET支持基材を剥離した。第1触媒層の電解質膜と接する面の反対面の表面粗さ(Ra)は、0.6μmであり、第2触媒層の電解質膜に接した面の反対面の表面粗さ(Ra)は、3μmであった。
[アノード触媒含有ペーストの組成]
触媒(TEC81E81、田中貴金属(株)製) 1重量部
電解質(NafionDE2020CS、デュポン社製) 0.5重量部
水 3重量部
n−ブタノール 6重量部
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法によれば、電解質膜の膨潤を抑制しながら、触媒層を容易に形成可能とする、燃料電池用膜・電極接合体を提供でき、本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、特に、直接メタノール型燃料電池を構成する膜・電極接合体の製造に有用である。
図1は、本発明の膜・電極接合体の一例の模式断面図 図2は、図1に示した膜・電極接合体を構成する3層MEAの模式断面図 図3のA〜Eは、本発明の燃料電池用の膜・電極接合体の製造方法の一例を説明する工程模式断面図
符号の説明
1 電解質膜
2 支持基材
4 第1触媒層
4’ 第2触媒層
5 第2電極基材
7 第1電極基材
8 空気極
6 燃料極
10 積層体

Claims (8)

  1. 支持基材に第1触媒含有ペーストを塗工し、塗工された第1触媒含有ペーストを乾燥して、第1触媒層を形成する工程と、
    電解質膜内に前記第1触媒層が埋め込まれ、かつ、前記支持基材と前記第1触媒層とからなる積層体と前記電解質膜との間に空隙が生じないように、前記電解質膜を前記積層体に熱圧着させるとともに、前記電解質膜と前記第1触媒層とを接合させる工程と、
    前記電解質膜の前記支持基材側の面の反対面に、第2触媒含有ペーストを塗工し、塗工された第2触媒含有ペーストを乾燥して、第2触媒層を形成する工程と、
    前記第1触媒層から前記支持基材を剥離する工程と、を含む燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  2. 前記第1触媒層がカソードの触媒層であり、第2触媒層がアノードの触媒層である請求項1に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  3. 前記支持基材がゴム状弾性体を含む請求項1又は2に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  4. 前記支持基材のJIS K 6253に準拠して測定されたゴム硬度が、20〜80である請求項1〜3のいずれかの項に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  5. 前記支持基材の前記第1触媒層と接する面が、シリコンゴムまたはフッ素ゴムを含む請求項1〜4のいずれかの項に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  6. 前記支持基材の厚さが、20μm〜1000μmである請求項1〜5のいずれかの項に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの項に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法により形成された燃料電池用膜・電極接合体であって、
    前記電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の主平面に接して配置された前記第2触媒層と、
    前記電解質膜の前記第2触媒層側の反対側から前記電解質膜内に埋め込まれた前記第1触媒層とを含み、
    前記電解質膜の前記一方の主平面の反対面と、前記1触媒層の前記第2触媒層と向かい合う面の反対面とがほぼ同一平面内にある燃料電池用膜・電極接合体。
  8. 前記第1触媒層の前記電解質膜と接する面の反対面の表面粗さは、第2触媒層の電解質膜に接した面の反対面の表面粗さよりも小さい請求項7に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
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