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JP5206584B2 - 連続鋳造用タンディッシュ及び連続鋳造方法 - Google Patents
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連続鋳造用タンディッシュ及び連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、取鍋から鋳型に溶鋼を供給する際に用いられる連続鋳造用タンディッシュ及び当該タンディッシュを用いた連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造においては、精錬工程で成分と温度を調整された溶鋼は、取鍋内に貯留された状態で、連続鋳造工程を実施する連続鋳造機まで輸送される。輸送された溶鋼は、連続鋳造機の鋳型に注入されるが、取鍋から直接鋳型に注入すると、溶鋼の流量の制御が難しい。またその一方で、取鍋を交換しつつ、鋳型に継続的に溶鋼を供給して、鋳造を連続的に行う必要がある。このため、一般的に、取鍋の溶鋼は、注入ノズルなどを通じて一旦タンディッシュと呼ばれる中間容器内に注入され、タンディッシュ内で流量調整された後、鋳型内に供給されている。
上述のタンディッシュは、種々の形のものが存在するが、いわゆる舟型のものが多く用いられている。このようなタンディッシュによれば、注入ノズルからタンディッシュの中央部に溶鋼が供給され、舟の舳先に相当する両端部の流出口から連続鋳造機の鋳型に耐火物のノズルを通じて溶鋼が流出される。タンディッシュの両端部の流出口には、例えば上下に移動して流出口の開口面積を調整する棒状のストッパーが設けられており、このストッパーによりタンディッシュ内の溶鋼の流量制御が行われている。
タンディッシュは、上述のように流量を制御しつつ溶鋼を鋳型に供給する機能を持つほかに、鋼の精錬時に不可避的に混入した酸化物であるスラグや、脱酸のために添加されたアルミから生成されるアルミナなどの非金属介在物を、その比重が鋼の比重よりも小さいことを利用してタンディッシュ内で浮上分離させる機能を有している。これにより、溶鋼中の非金属介在物などがそのまま鋳型内に供給されることが防止されて鋳片に混入することがなく、非金属介在物などが原因で生じる圧延時の疵などを抑制できる。
タンディッシュから鋳型に供給される溶鋼中の介在物は、少なければ少ないほどよい。このため、従来よりタンディッシュにおける介在物の浮上分離機能を向上させるために、タンディッシュ内に堰を設けることが行われている。例えば特許文献1に開示されているように、タンディッシュ内の溶鋼流路の同じ位置に上下方向に上堰と下堰を設け、これら上堰と下堰の間に、最大の溶鋼流路断面積の20%以下の開口面積を有し、溶鋼を通過させるためのスリットを形成している。そして、上堰と下堰の上流側で溶鋼の攪拌流を形成し、溶鋼中の微小な介在物を凝集粗大化させる。こうして、介在物を浮上させ易くして、介在物を溶鋼から分離除去している。
またさらに、注入ノズルによってタンディッシュ内に溶鋼が注入された際の渦や乱流の発生を抑制するために、タンディッシュの底面における注入ノズル直下に、ストッパーや衝撃パッドと称される上面が開口した容器を設置することも提案されている(非特許文献1、特許文献2)。
特開2007−90424号公報 特表2004−525775号公報
H-.J. Odenthal et al. "OPTIMISATION OF THEFLUID FLOW IN A CONTINUOUS CASTING TUNDISH BY PHYSICAL AND NUMERICAL MODELLING",Proceeding of 4th European Continuous Casting Conferenece,Vol.1,IOM Communications, (2002),513.
ここで、例えば文献 T.Tanaka, S.Taniguchi,
K.Matsumoto and S.T.Johansen:
ISIJ-int., 41(2001), 1103.に記載されているように、介在物の凝集は、乱流エネルギーの平方根に比例することが知られている。
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたタンディッシュを用いた場合、タンディッシュ内に流入した直後の溶鋼は高い乱流エネルギーを有しているが、その後、タンディッシュの底面に衝突した後、上堰と下堰の上流側で攪拌される間に、溶鋼の乱流エネルギーは急激に減少する。そうすると、介在物の凝集が十分に行われず、凝集されない微小な介在物を十分に分離除去することができない。そして、介在物を含む溶鋼が鋳型に流れてしまい、最終的に製造される鋼の品質が低下する。
また非特許文献1、特許文献2に開示された容器では、そもそも渦や乱流の発生を抑制することが目的であるため、発明者らが調べた限りでは、溶鋼中の微小な介在物を凝集させて浮上させるには、十分ではなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、連続鋳造用のタンディッシュにおいて、溶鋼中の微小な介在物をも十分に分離除去することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、鋼の連続鋳造用のタンディッシュであって、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を流入させる注入ノズルと、タンディッシュから鋳型へ溶鋼を流出させる流出口との間の溶鋼流路には、上堰と下堰が設けられ、前記上堰と前記下堰は、溶鋼流路上の同じ位置にスリットを介して上下方向に対向して配置され、前記スリットの開口面積は、最大の溶鋼流路断面積の20%以下に設定され、前記下堰の上端部には、前記注入ノズル側に張り出した張出部が設けられ、前記張出部の長さX(m)は下記式(1)を満たし、前記下堰の高さH(m)と前記張出部の厚みh(m)は下記式(2)を満たすことを特徴としている。なお、張出部の長さXとは、張出部における下堰側の端部と注入ノズル側の端部間の距離をいう。また、最大の溶鋼流路断面積とは、定常操業時における最大流量時の溶鋼流路断面積をいう。
0.1≦X<L−D・・・・(1)
0.1≦H−h・・・・(2)
但し、L:注入ノズルの中心と下堰の注入ノズル側の側面間の距離(m)、D:注入ノズルの外径(m)
本発明によれば、下堰の上端部に張出部が設けられているので、定常操業時において、タンディッシュ内に流入した溶鋼は、下堰と張出部によって下流側への流れを阻まれ、張出部より下方の下堰の上流側の領域(以下、「攪拌領域」という場合がある。)において対流し攪拌される。そして、発明者らが調べたところ、実施例に記載したように、張出部の長さと、張出部より下方の下堰の高さは、介在物の凝集を十分に実現する上で重要な要因であることが分かった(この点、非特許文献1、特許文献2には何ら記載がない。)。この点を鑑みて、本発明の張出部は上記式(1)における下限値以上に張り出して設けられ、また、本発明の張出部より下方の下堰の高さは上記式(2)における下限値以上に設けられているので、タンディッシュ内に流入した溶鋼を確実に張出部に衝突させて、攪拌領域で適切に攪拌流を形成することができる。このように溶鋼の攪拌流は、タンディッシュ内に流入直後の狭い攪拌領域で形成されるので、攪拌中の溶鋼は、タンディッシュ内に流入した直後の溶鋼が有する高い乱流エネルギーを維持することができる。そうすると、溶鋼中の微小な介在物は、この高い乱流エネルギーによって十分に凝集され粗大化する。粗大化した介在物は浮上し易くなるため、その後流出口に流れる間に、溶鋼中の介在物は分離除去される。したがって、本発明のタンディッシュを用いた場合、溶鋼中の微小な介在物をも十分に分離除去することができる。
しかも、張出部は上記式(1)における上限値より短く張り出すように設けられているので、張出部と注入ノズル間の距離を十分に確保することができ、溶鋼は適切な流速で攪拌領域から張出部の上方に流れる。そうすると、溶鋼は、上堰の上流側の湯面に浮遊している介在物を巻き込むことなく、スリットを通過して整流化され流出口に流れる。
なお、スリットの開口面積を最大の溶鋼流路断面積の20%以下に設定したのは、本発明者らが実験等を行い、スリットにより溶鋼の整流化を実現することが可能な上限値であることを確認したことに基づいている。
一対の前記上堰と前記下堰は、前記注入ノズルを挟んで対向するように2箇所にそれぞれ配置され、前記張出部は、前記注入ノズルを囲むように、前記下堰の上端部及びタンディッシュの側壁から前記注入ノズル側に張り出して設けられ、前記張出部は、前記式(1)及び前記式(2)を満たし、かつ前記タンディッシュの側壁からの張出部の長さY(m)が下記式(3)を満たすようにしてもよい。なお、タンディッシュの側壁からの張出部の長さYとは、張出部におけるタンディッシュの側壁側の端部と注入ノズル側の端部間の距離をいう。
0.1≦Y<W/2−D・・・・(3)
但し、W:張出部が設けられた位置におけるタンディシュの側壁間の距離(m)、D:注入ノズルの外径(m)
前記張出部の内周形状は、平面視において四角形状であってもよい。また、前記張出部の内周形状は、平面視において円形状であってもよい。なお、前記張出部の内周形状は、平面視において円形状の場合、前記張出部の長さXが前記下堰の上端部から前記注入ノズル側に張り出した張出部の最小長さであり、前記張出部の長さYが前記タンディッシュの側壁からの張出部の最小長さである。
別な観点による本発明は、前記タンディッシュを用いた鋼の連続鋳造方法であって、前記注入ノズル内を流れる溶鋼に非酸化性ガスを注入し、当該非酸化性ガスが注入された溶鋼をタンディッシュに流入させることを特徴としている。
本発明によれば、溶鋼中の微小な介在物をも十分に分離除去することができる。
本実施の形態にかかるタンディッシュの構成の概略を示す縦断面の説明図である。 本実施の形態にかかるタンディッシュの構成の概略を示す横断面の説明図である。 本実施の形態にかかるタンディッシュの構成の概略を示す縦断面の説明図である。 張出部の寸法を示したタンディッシュの縦断面の説明図である。 定常操業時のタンディッシュ内の溶鋼の流れの様子を示すタンディッシュの縦断面の説明図である。 定常操業時の張出部付近の溶鋼の流れの様子を示すタンディッシュの縦断面の説明図である。 他の実施の形態にかかるタンディッシュの構成の概略を示す横断面の説明図である。 他の実施の形態にかかるタンディッシュの構成の概略を示す縦断面の説明図である。 他の実施の形態にかかるタンディッシュの構成の概略を示す横断面の説明図である。 注入ノズル内を流れる溶鋼に非酸化性ガスを注入した様子を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるタンディッシュ1の構成の概略を示す縦断面の説明図である。図2は、タンディッシュ1の構成の概略を示す横断面の説明図である。
タンディッシュ1は、図1及び図2に示すように、一対の長辺壁10、10と一対の短辺壁11、11を備え、平面形状が四角形状に形成さている。また、タンディッシュ1は、天井面12と底面13を備え、内部に溶鋼Mを貯留することができる。
タンディッシュ1の中央付近の天井面12には、図1に示すように、注入ノズル20が下方向に向けて挿入されている。この注入ノズル20により、上方の取鍋21からタンディッシュ1内に溶鋼Mを流入させることができる。タンディッシュ1の短辺壁11、11付近の底面13には、流出口22、22が2箇所に形成されている。各流出口22には、図示しない連続鋳造機の鋳型に連通するノズル23が接続されている。この流出口22とノズル23により、タンディッシュ1内の溶鋼Mを鋳型に供給することができる。タンディッシュ1内には、注入ノズル20から溶鋼Mが流入され、流出口22から排出されるので、注入ノズル20側(上流側)から流出口22側(下流側)に向かって溶鋼Mの流れ(以下、「溶鋼流路F」という場合がある。)が形成される。
流出口22の上方には、流量調節棒24が設けられている。流量調節棒24は、上下動することで流出口22の開口面積を変えて、タンディッシュ1内の溶鋼Mの流量を調整することができる。
タンディッシュ1内であって、注入ノズル20と流出口22との間には、板状の耐火物で構成された上堰30と下堰31が設けられている。一対の上堰30と下堰31は、注入ノズル20を挟んで対向するように2箇所にそれぞれ配置されている。また、上堰30と下堰31は、溶鋼流路F上の同じ位置に上下方向に配置されている。上堰30は、例えばタンディッシュ1の長辺壁10に固定されて、形成されている。これにより、例えば上堰30の上流側で浮上した介在物を上堰30により的確に捕集できる。下堰31は、タンディッシュ1の底面13に固定され、底面13から上方向に向けて形成され、上堰30と対向している。これにより、注入ノズル20から供給された溶鋼Mの流れが下堰31により十分に堰き止められるので、流速の速い溶鋼Mがそのまま後述するスリット32に流れ込むことを防止できる。
図1に示すように上堰30と下堰31との間には、溶鋼Mが通過するスリット32が形成されている。スリット32は、定常操業時のタンディッシュ1内の溶鋼Mの湯面Mよりも下に形成されている。スリット32は、図3に示すように例えばタンディッシュ1の長辺壁10、10間にわたり略長方形又は略台形に形成されている。スリット32は、開口面積が例えば最大の溶鋼流路断面積(最大流量時の溶鋼流路断面積)の20%以下になるように形成されている。すなわち、湯面Mが安定する定常操業時に、上堰30、下堰31及びスリット32の溶鋼Mに浸かる部分の総面積の20%以下になるように、スリット32の開口面積が設定されている。スリット32の開口面積を最大溶鋼流路断面積の20%以下としたのは、本発明者が実験等を行い、スリット32により溶鋼Mの整流化を実現することが可能な上限値であることを確認したことに基づいている。なお、スリット32の開口面積の下限値は特に規定するものではないが、鋳型への溶鋼Mの供給を充分に確保する場合は、スリット32の開口面積を最大の溶鋼流路断面積の5%以上とすることが好ましい。
図1及び図3に示すように、下堰31の上端部には、注入ノズル20側に張り出した張出部33が設けられている。張出部33は、例えばタンディッシュ1の長辺壁10、10間にわたり略長方形又は略台形に設けられている。また、張出部33は、図4に示す張出部の長さX(m)(以下、「張出長さX」という場合がある。)が下記式(1)を満たすように形成されている。なお、張出長さXは、下堰31側の端部と注入ノズル20側の端部間の距離である。
0.1≦X<L−D・・・・(1)
但し、L:注入ノズル20の中心と下堰31の注入ノズル20側の側面間の距離(m)、D:注入ノズル20の外径(m)
また、下堰31の高さH(m)と張出部33の厚みh(m)は下記式(2)を満たすように形成されている。
0.1≦H−h・・・・(2)
上記式(1)における張出長さXの下限値、及び上記式(2)における張出部33より下方の下堰31の高さ(H−h)の下限値は、後述するようにタンディッシュ1内に供給された溶鋼Mを確実に張出部33に衝突させて、張出部33より下方の下堰31の上流側の領域S(以下、「攪拌領域S」という場合がある。)において溶鋼Mを確実に攪拌させるために必要な最小の長さである。すなわち、注入ノズル20から流出した溶鋼Mが底面13に到達した後、底面13に沿って下堰31に向かって水平方向に流れる溶鋼Mの流路幅は例えば0.1m程度であり、また、下堰31に沿って張出部33に向かって上昇する溶鋼Mの流路幅も例えば0.1m程度であることを、本発明者は別途の検討(例えば、流体解析汎用ソフト「FLUENT」を用いた計算)により知見していたため、張出長さX、及び張出部33より下方の下堰31の高さ(H−h)は、この溶鋼Mの流路幅以上に設定されている。
また、発明者らが調べたところ、攪拌領域Sから張出部33の上方に溶鋼Mが流れる際には、張出部33と注入ノズル20間の距離が短い場合、溶鋼Mの流速が速くなり、上堰30の上流側の湯面Mに浮遊している介在物を巻き込む場合があることが分かった。そこで、発明者らは実験等を行い、下記式(4)に示すように、張出部33と注入ノズル20間の距離(L−X−D/2)が注入ノズル20の外径の半分(D/2)より大きければ、溶鋼Mの流速が適切な流速に十分に抑えられ、溶鋼Mが上堰30の上流側の湯面Mに浮遊している介在物を巻き込まないことが分かった。なお、外径の半分(D/2)を指標としたのは、注入ノズル20から流出した溶鋼Mは、注入ノズル20を挟んで、両側の下堰31へ分岐することに加えて、外径のサイズと注入ノズル20からの溶鋼Mの流量は相関があり、すなわち、外径のサイズが大きいほど溶鋼Mの流量も大きく、一方、外径のサイズが小さいほど溶鋼Mの流量も小さくなることから、注入ノズル20の外径の半分(D/2)に対応して、張出部33と注入ノズル20間の距離(L−X−D/2)も調整すれば良いということを実験等により知見したことに基づく。そして、下記式(4)に基づいて、上記式(1)における張出長さXの上限値を導出した。
L−X−D/2>D/2・・・・(4)
なお、張出部33より下方の下堰31の高さ(H−h)の上限は、特に規定するものではないが、注入ノズル20の溶鋼吐出口、すなわち注入ノズル20の下端の高さ方向の位置に対して、(H−h)の方が高い場合、注入ノズル20から吐出された溶鋼Mがより確実に攪拌領域Sで攪拌されるため、注入ノズル20の溶鋼吐出口の高さ方向の位置に対して、(H−h)の方が高いことが好ましい。
次に、以上のように構成されたタンディッシュ1の作用について、図5及び図6に基づいて説明する。
先ず、取鍋21から注入ノズル20を介してタンディッシュ1内に溶鋼Mが供給される。そして定常操業時において、溶鋼Mの湯面Mの位置が所定の高さで安定する。注入ノズルから供給された溶鋼Mは、図6に示すようにタンディッシュ1の底面13に衝突し、下堰31に向かって流れる。溶鋼Mは、下堰31に衝突した後、下堰31の側面に沿って上昇し、張出部33に衝突する。このとき、底面13に沿って下堰31に向かって水平方向に流れる溶鋼Mの流路幅、及び下堰31に沿って上昇する溶鋼Mの流路幅は、いずれも0.1m程度であり、張出部33は、その張出長さXが上記式(1)の下限値である0.1m以上、かつ、張出部33より下方の下堰31の高さ(H−h)が上記式(2)の下限値である0.1mに形成されているので、溶鋼Mを確実に張出部33に衝突させることができる。その後、溶鋼Mは、注入ノズル20側に流れ、攪拌領域S内において上下方向に対流して攪拌され攪拌流Fが形成される。この溶鋼Mの攪拌流Fにより、溶鋼M中の微小な介在物が、相互に凝集して粗大化する。しかも、攪拌流Fは、タンディッシュ1内に流入直後の狭い攪拌領域Sで形成されるので、攪拌中の溶鋼Mは、タンディッシュ1内に流入した直後の溶鋼Mが有する高い乱流エネルギーを維持することができる。そうすると、この溶鋼M中の微小な介在物は、この高い乱流エネルギーによって十分に凝集され粗大化する。
攪拌された溶鋼Mは、攪拌領域Sから張出部33の上方に流出する。このとき、溶鋼Mは張出部33と注入ノズル20の間から流出するが、張出部33は、その張出長さXが上記式(1)の上限値未満に形成されている。そうすると、張出部33と注入ノズル20の間の距離を十分に確保できるので、溶鋼Mの上昇流Fは適切な流速を有し、上堰30の上流側の湯面Mに浮遊している介在物を巻き込むことがない。また、上昇流Fの溶鋼M中に含まれる介在物は、粗大化して浮力が大きくなっているため、その一部が上堰30の上流側の湯面Mに浮上し上堰30に捕集される。
その後、溶鋼Mは、図5に示すようにスリット32を通過し整流化されて流出口22に流れる。溶鋼M中の残りの介在物は、スリット32から流出口22に到達するまでの間に浮上し分離される。
そして、介在物が除去された溶鋼Mは、流出口22から流出し、ノズル23を通じて連続鋳造機の鋳型に供給される。
以上の実施の形態によれば、下堰31の上端部に、上記式(1)における下限値以上の張出長さX、及び上記式(2)における下限値以上の張出部33より下方の下堰31の高さ(H−h)を有する張出部33が設けられているので、定常操業時において、攪拌領域Sにおいて溶鋼Mの攪拌流Fを形成することができる。この攪拌流Fの溶鋼Mは高い乱流エネルギーを有しているので、溶鋼M中の微小な介在物は十分に凝集され粗大化する。粗大化した介在物は浮上し易くなるため、その後溶鋼Mが流出口22に流れる間に、当該溶鋼M中の介在物は分離除去される。したがって、本実施の形態のタンディッシュ1を用いた場合、溶鋼M中の微小な介在物をも十分に分離除去することができる。この結果、鋳型に介在物が入り込むことを防止でき、品質が高い鋼を製造することができる。
しかも、張出部33は、その張出長さXが上記式(1)の上限値未満に形成されているので、張出部33と注入ノズル20間の距離を十分に確保することができ、溶鋼Mは適切な流速で攪拌領域Sから張出部33の上方に流れる。そうすると、溶鋼Mは、上堰30の上流側の湯面Mに浮遊している介在物を巻き込むことなく、スリット32を通過して整流化され流出口22に流れる。
以上の実施の形態では、張出部33は下堰31の上端部のみから張り出して設けられていたが、図7及び図8に示すように、注入ノズル20を囲むように張出部40を設けてもよい。張出部40は、下堰31の上端部及びタンディッシュ1の長辺壁10から注入ノズル20側に張り出して設けられている。また、張出部33の注入ノズル20側の内周形状は、平面視において四角形状になっている。
張出部40は、張出長さXが上記式(1)及び上記式(2)を満たすように形成されている。また、張出部40は、長辺壁10からの長さY(m)(以下、「張出幅Y」という場合がある。)が下記式(3)を満たすように形成されている。なお、張出幅Yは、長辺壁10側の端部と注入ノズル20側の端部間の距離である。
0.1≦Y<W/2−D・・・・(3)
但し、W:張出部40が設けられた位置における長辺壁10、10間の距離(m)、D:注入ノズルの外径(m)
上記式(3)における張出幅Yの下限値の根拠は、上記式(1)における張出長さXの下限値と同様である。すなわち、タンディッシュ1内に供給された溶鋼Mを確実に張出部40に衝突させて、攪拌領域Sにおいて溶鋼Mを確実に攪拌させるために必要な最小の長さである。
また、上記式(3)における張出幅Yの上限値の根拠についても、上記式(1)における張出長さXの上限値と同様である。すなわち、下記式(5)に示すように、張出部40と注入ノズル20間の距離(W/2−Y−D/2)が注入ノズル20の外径の半分(D/2)より大きければ、溶鋼Mの流速が適切な流速に十分に抑えられ、溶鋼Mが上堰30の上流側の湯面Mに浮遊している介在物を巻き込まない。そして、下記式(5)に基づいて、上記式(3)における張出幅Yの上限値を導出した。
W/2−Y−D/2>D/2・・・・(5)
以上の実施の形態によれば、張出部40が注入ノズル20を囲むように、下堰31の上端部及び長辺壁10から張り出して設けられているので、タンディッシュ1内に供給された溶鋼Mは底面13に衝突した後、一部の溶鋼Mは下堰31に向かって流れ、残りの溶鋼Mは長辺壁10に向かって流れる。そして、溶鋼Mは下堰31に沿って上昇して張出部40に衝突すると共に、長辺壁10に沿って上昇して張出部40に衝突する。そうすると、攪拌領域Sにおける溶鋼Mの攪拌をより促進することができる。したがって、溶鋼M中の微小な介在物がより確実に凝集され粗大化するため、当該溶鋼M中の介在物をより確実に分離除去することができる。
以上の実施の形態では、張出部40の内周形状は四角形状であったが、図9に示すように、注入ノズル20側の内周形状が平面視において円形状である張出部50を設けてもよい。但し、張出部50が円形状であるため、張出部50の張出長さXは張出部50の最小長さとして上記式(1)を満たしている。また、張出部50の張出幅Yも張出部50の最小長さとして上記式(2)を満たしている。かかる場合でも、攪拌領域Sにおける溶鋼Mの攪拌をより促進することができ、溶鋼M中の微小な介在物がより確実に凝集され粗大化するため、当該溶鋼M中の介在物をより確実に分離除去することができる。
以上の実施の形態のタンディッシュ1を用いる際、図10に示すように、注入ノズル20内を流れる溶鋼Mに非酸化性ガスG、例えばアルゴンガスを注入してもよい。非酸化性ガスGは、直径サブミリからミリ単位の微小な気泡であり、例えば注入ノズル20に接続された図示しないガス供給管を介して注入される。そして、非酸化性ガスGが注入された溶鋼Mはタンディッシュ1に流入する。
かかる場合、溶鋼Mに注入された非酸化性ガスGに、当該溶鋼M中の微細な介在物が付着する。そうすると、介在物と溶鋼Mの比重差が大きくなるため、溶鋼M中の微細な介在物をより確実に分離除去することができる。
以下、本発明のタンディッシュを用いた場合の介在物の除去効果について説明する。本実施例においては、先に図1〜図4で示したタンディッシュ1を用い、下記の条件において、タンディッシュ1を通過して鋳型に流出した溶鋼M中の介在物の個数を調査する実験を行った。
タンディッシュ1には、長辺壁10の長さが7m、湯面Mの高さが1.1m、湯面Mの幅が1.2m、底面13の幅が0.6mの2ストランド用タンディッシュを用いている。なお、湯面Mは定常操業時の湯面であって、かつ、最大流量時の湯面である。上堰30と下堰31の厚さは0.1mであって、上堰30と下堰31は注入ノズル20の中心からの距離Lが0.5mの位置に配置されている。下堰31の上端部の高さHは底面13から0.5mであって、上堰30の下端部の高さは底面から0.7mである。すなわち、スリット32の開口部の高さは0.2mである(スリット32の開口面積は、最大の溶鋼流路断面積に対して約18.7%程度となる。)。また、注入ノズル20の外径Dは0.2mである。また、張出部33の厚みhは0.1mである。したがって、張出部33より下方の下堰31の高さ(H−h)は0.4mとなり、上記式(2)を満たしている。そして、1ストランド当たり5ton/分の流入量で溶鋼Mをタンディッシュ1内へ流入させた。ちなみに、寸法が外寸基準と内寸基準で相違する場合は、内寸基準を採用している。
本実施例では、張出部33の張出長さXとして、0m、0.05m、0.1m、0.15m、0.2m、0.26m、0.32mの7通りの条件で実験を行った。また、張出長さXが0.2mの場合においては、図10に示したように注入ノズル20内を流れる溶鋼M中に、非酸化性ガスGであるアルゴンガスを10リットル/分で注入した場合についても、併せて実験を行った。なお、張出長さXが0mとは、下堰31に張出部33を設けていないことを示している。
そして、介在物の個数の調査では、スリット32の出側で採取した溶鋼サンプルから電解抽出法により介在物のみを抽出し、介在物の個数を計測した。そして、計測した介在物を、直径が10μm〜30μm、30μm〜70μm、70μm〜150μmの3つの範囲に分けて評価した。本実施例では、直径150μm以下の介在物が鋼の品質に悪影響を及ぼすことを、通常の操業で確認していたことから、かかる直径の介在物の個数を計測した。
以上の条件で実験を行った結果を表1に示す。張出部33の張出長さXが上記式(1)を満たしていれば「○」が示され、式(1)を満たしていなければ「×」が示されている。なお、表1中の介在物個数指標は、張出部33の張出長さXが0mの場合の介在物の個数を1として、各条件における介在物の個数の比率を示している。そして、介在物個数指標が0.50以下であれば、介在物が十分に除去されていると評価できる。
表1を参照すると、張出長さXが上記式(1)を満たしていない0mの場合や、0.05mの場合(非特許文献1)、いずれの直径の介在物個数指標も1.00となり、介在物を十分に除去できなかった。また、張出長さXが上記式(1)を満たしていない0.32mの場合、直径が10μm〜30μm、30μm〜70μmの介在物個数指標は0.28〜0.30となったが、直径が70μm〜150μmの介在物個数指標は2.00となり、介在物を十分に除去できなかった。これは、張出長さXが長過ぎて、張出部33と注入ノズル20間の距離を十分に確保できないため、攪拌領域Sから流出する溶鋼Mの流速が速くなり過ぎ、上堰30の上流側の湯面Mに浮遊している介在物を巻き込んだためである。
これに対して、張出長さXが上記式(1)を満たす0.1m、0.15m、0.2m、0.26mの場合、いずれの直径の介在物個数指標も0.50以下となり、介在物を十分に除去できた。したがって、本発明のタンディッシュを用いた場合、介在物を十分に除去できることが分かった。
また、張出長さXが上記式(1)を満たす0.2mの場合に、溶鋼M中にアルゴンガスを注入した場合、いずれの直径の介在物個数指標も0.20以下となり、さらに介在物の除去効果が高まることが分かった。
また、張出長さXが上記式(1)を満たす0.2mで、アルゴンガス注入が無しの場合について、さらに、図7〜図8で示したように、注入ノズル20を囲むように張出部40を設けた場合について、同様に実験を行った。張出部40の高さと厚みは、上記の張出部33と同様とし、上記式(2)を満たしている。また、張出部40をタンディッシュ1の長辺壁10から注入ノズル20側に張り出して設け、張出部40の注入ノズル20側の内周形状は、平面視において四角形状とし、タンディッシュの側壁からの張出部40の長さYを0.2mとした。ちなみに、張出部40が設けられた位置におけるタンディシュの側壁間の距離Wは、0.87mであり、張出長さYは上記式(3)を満たす。
以上の条件で実験を行った結果を表2に示す。なお、表2中の介在物個数指標の基準は、上記表1と同様である。表2を参照すると、直径が10μm〜30μm、30μm〜70μm、70μm〜150μmのそれぞれの介在物個数指標は、いずれも0.24〜0.25となり、下堰31からのみ張出部33がある場合に比べて、さらに介在物の除去効果が高まることが分かった。
さらに、図9で示したように、注入ノズル20側の内周形状が平面視において円形状である張出部50を設け、張出部50の張出長さX、Yを共に、0.2mとした場合についても、同様に実験を行った。したがって、張出長さX、Yは、それぞれ上記式(1)及び上記式(3)を満たしている。また、張出部50の高さと厚みは、上記の張出部33と同様とし、上記式(2)を満たしている。
以上の条件で実験を行った結果を表3に示す。なお、表3中の介在物個数指標の基準は、上記表1と同様である。表3を参照すると、直径が10μm〜30μm、30μm〜70μm、70μm〜150μmのそれぞれの介在物個数指標は、いずれも0.22〜0.24となり、上記の四角形状の張出部40の場合と同様に、下堰31からのみ張出部33がある場合に比べて、さらに介在物の除去効果が高まることが分かった。
Figure 0005206584
Figure 0005206584
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本発明は、連続鋳造用のタンディッシュを用いて、取鍋から鋳型に溶鋼を供給する際に有用である。
1 タンディッシュ
10 長辺壁
11 短辺壁
12 天井面
13 底面
20 注入ノズル
21 取鍋
22 流出口
23 ノズル
24 流量調節棒
30 上堰
31 下堰
32 スリット
33、40、50 張出部
G 非酸化性ガス
M 溶鋼
S 攪拌領域

Claims (5)

  1. 鋼の連続鋳造用のタンディッシュであって、
    取鍋からタンディッシュへ溶鋼を流入させる注入ノズルと、タンディッシュから鋳型へ溶鋼を流出させる流出口との間の溶鋼流路には、上堰と下堰が設けられ、
    前記上堰と前記下堰は、溶鋼流路上の同じ位置にスリットを介して上下方向に対向して配置され、
    前記スリットの開口面積は、最大の溶鋼流路断面積の20%以下に設定され、
    前記下堰の上端部には、前記注入ノズル側に張り出した張出部が設けられ、
    前記張出部の長さX(m)は下記式(1)を満たし、
    前記下堰の高さH(m)と前記張出部の厚みh(m)は下記式(2)を満たすことを特徴とする、連続鋳造用タンディッシュ。
    0.1≦X<L−D・・・・(1)
    0.1≦H−h・・・・(2)
    但し、L:注入ノズルの中心と下堰の注入ノズル側の側面間の距離(m)、D:注入ノズルの外径(m)
  2. 一対の前記上堰と前記下堰は、前記注入ノズルを挟んで対向するように2箇所にそれぞれ配置され、
    前記張出部は、前記注入ノズルを囲むように、前記下堰の上端部及びタンディッシュの側壁から前記注入ノズル側に張り出して設けられ、
    前記張出部は、前記式(1)及び前記式(2)を満たし、かつ前記タンディッシュの側壁からの張出部の長さY(m)が下記式(3)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
    0.1≦Y<W/2−D・・・・(3)
    但し、W:張出部が設けられた位置におけるタンディシュの側壁間の距離(m)、D:注入ノズルの外径(m)
  3. 前記張出部の内周形状は、平面視において四角形状であることを特徴とする、請求項2に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
  4. 前記張出部の内周形状は、平面視において円形状であって、
    前記張出部の長さXが前記下堰の上端部から前記注入ノズル側に張り出した張出部の最小長さであり、
    前記張出部の長さYが前記タンディッシュの側壁からの張出部の最小長さであることを特徴とする、請求項2に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のタンディッシュを用いた鋼の連続鋳造方法であって、
    前記注入ノズル内を流れる溶鋼に非酸化性ガスを注入し、当該非酸化性ガスが注入された溶鋼をタンディッシュに流入させることを特徴とする、連続鋳造方法。
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