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JP5207210B2 - 熱式流量計 - Google Patents
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JP5207210B2 - 熱式流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、流体の温度検出信号に基づき流量を測定する熱式流量計に関し、特に、測定範囲の拡大に関する。
従来から、石油、鉄鋼、化学プラントなどで導入されているプロセス制御では、配管内の流体の流量を調整するために、流体の流れる流路の上流側と下流側に設けた温度検出部の検出信号に基づき流量を測定する熱式流量計が用いられている。このような熱式流量計に関連する先行技術文献としては、次のようなものがある。
特開2006−010322号公報
特許文献1には、従来の熱式流量計による流量測定に関する技術が記載されている。図5は従来の熱式流量計の一例を示す構成図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
図5において、従来の熱式流量計は、耐腐食性の高いガラスなどで形成され流入口100と流出口110を有する基板1、耐腐食性の高いガラスなどで形成され基板1と貼り合わされて被測定流体が流れる流路FPを構成する溝6が設けられた基板2、ヒータなどの伝熱部3、サーミスタや白金測温抵抗体などの流体温度を検出して出力する温度検出部4および5、伝熱部3の温度を制御し上流側および下流側の流体の温度差に基づいて流量を求める流体情報検出部7から構成されている。
伝熱部3は、被測定流体が流れる流路FPのほぼ中央の基板1上に蒸着やスパッタリングなどによって形成される。
温度検出部4および5は、基板1上で伝熱部3を挟むように等間隔の位置に蒸着やスパッタリングなどによって形成される。これら伝熱部3、温度検出部4および5は、基板1上に被測定流体に接しない非接液状態で形成される。
流体情報検出部7は、温度検出部4、5の出力信号(以下、検出信号という)または温度差に基づき流量を計算するためのCPUなどの演算制御部、流体情報検出部7として固有の動作をするためのプログラム、アプリケーション、温度検出部により検出される温度差や流路FPの形状情報(深さ、長さなど)を格納するためのRAM、ROM、ハードディスクなどの記憶部を有する。
温度検出部4、5の検出信号は流体情報検出部7に入力され、温度制御信号は流体情報検出部7から伝熱部3に入力される。
このような構成において、被測定流体は流入口100から注入され流路FPを流れる。このとき演算制御手段7は、あらかじめ測定された被測定流体の温度に対して被測定流体が数℃程度高い一定温度になるように伝熱部3を制御する。
上流側の温度検出部4および下流側の温度検出部5で検出される検出信号が示す温度分布に注目すると、流量がゼロで流体が流れない場合における流体の温度分布は伝熱部3を中心に対称となり、流体が流れる場合には温度分布のピークが下流側にシフトする。
流体情報検出部7は、上流側の温度検出部4で得られる温度と下流側の温度検出部5で得られる温度との温度差が被測定流体の流量に関連した信号となることを利用して、この温度差に基づき流路FPを流れる被測定流体の流量を求める。
ところで、従来の熱式流量計による流量測定では、流路上のそれぞれ異なる位置に複数の温度検出部を設け、各温度検出部により検出された温度に基づいて流体温度の伝熱時間を算出し、流体の流量を算出する技術も考えられている。図6はこのような従来の熱式流量計の例を示す構成図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A断面図である。図5と共通する部分には同一の符号を付けて適宜説明を省略する。図6と図5の主な相違点は、図6では、基板1上で伝熱部3、温度検出部4および5を挟むように伝熱部3から等間隔の位置に温度検出部10、11を設けたこと、流体情報検出部7が伝熱部3の温度を制御し温度検出部4、5、10、11の検出信号に基づいて流路FPを流れる流体の流量を算出する機能を有することである。
温度検出部4、5、10、11の検出信号は流体情報検出部7に入力され、温度制御信号は流体情報検出部7から伝熱部3に入力される。
このような構成において、被測定流体は流入口100から注入され流路FPを流れる。流体情報検出部7は伝熱部3を制御してたとえばパルス状の信号で断続的に加熱し、温度検出部5および11は流体の温度を検出して流体情報検出部20に検出信号を出力する。
流体情報検出部7は、温度検出部5と温度検出部11で検出される検出信号の出力波形がピーク値に達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差が被測定流体の流量に関連した信号となることを利用して、これらの検出信号がピーク値または所定の閾値に達する時間の時間差に基づき流路FPを流れる被測定流体の流量を算出する。
しかしながら、特許文献1に記載される従来の熱式流量計では、流路FPを流れる流体の流量が大きくなるにつれて流量変化に対する温度分布の変化量が小さくなって流量信号が飽和することから、流量の測定レンジが狭いという問題点があった。
また、図6のような従来の熱式流量計では、各検出信号の出力波形における信号レベルの基準となるベースラインは流体の温度(以下、外気温という)に依存するので、外気温が変化すると出力波形のベースラインが変化して検出信号のパルス状の出力波形に影響を及ぼすことになり、流量測定に誤差が生じるという問題点があった。
具体的には、従来の熱式流量計における流体情報検出部7は、温度検出部5、11から得られた検出信号をA/D変換して流量を算出する場合に外気温が大きく変化するとA/D変換の変換レンジを超えてしまい、流量の測定ができなくなるという問題点があった。
また、従来の熱式流量計では、各検出信号Td1、Td2の時間差測定を「所定の閾値」に達する時間によって求める際に、外気温が変化して温度検出部5、11からの検出信号の出力波形のベースラインが変化してベースラインが所定の閾値を超えると、検出信号が所定の閾値に達する時間の時間差を正確に測定できないという問題点もあった。
本発明は上述の問題点を解決するものであり、その目的は、流量の測定範囲が広い熱式流量計を実現することにある。
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
流路の一部に設けられ流路を流れる流体に温度変化を与える伝熱部と、前記流路上のそれぞれ異なる位置に設けられ前記流体の温度を検出する複数の温度検出部と、前記複数の温度検出部のうち最上流に設けられた温度検出部の検出信号を補正用の検出信号としてその他の検出信号から差し引き得られた補正後の各検出信号に基づき外気温変化の影響を除外して流量を測定する流体情報検出部とを備えた熱式流量計において、
前記流体情報検出部は、
複数種類の流体の種別および流量に応じた前記各温度検出部の各検出信号およびこれら検出信号のピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差を含む熱的特性情報をあらかじめ記憶し、
前記熱的特性情報に基づいて、前記補正後の検出信号がピークに達する時間の時間差または閾値に達する時間差から流体の種別を把握し、この時間差に基づき流量を測定する流量検出部とを有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、
流路の一部に設けられ流路を流れる流体に温度変化を与える伝熱部と、前記流路上のそれぞれ異なる位置に設けられ前記流体の温度を検出する複数の温度検出部と、前記複数の温度検出部のうち伝熱部よりも上流側の温度を検出する前記複数の温度検出部からの検出信号のうちいずれか一つを補正用の検出信号としてその他の検出信号から差し引き得られた補正後の各検出信号に基づき外気温変化の影響を除外して流量を測定する流体情報検出部とを備えた熱式流量計において、
前記流体情報検出部は、
複数種類の流体の種別および流量に応じた前記各温度検出部の各検出信号およびこれら検出信号のピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差を含む熱的特性情報をあらかじめ記憶し、
前記熱的特性情報に基づいて、前記補正後の検出信号がピークに達する時間の時間差または閾値に達する時間差から流体の種別を把握し、この時間差に基づき流量を測定する流量検出部とを有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、
流路の一部に設けられ流路を流れる流体に温度変化を与える伝熱部と、前記流路上のそれぞれ異なる位置に設けられ前記流体の温度を検出する複数の温度検出部と、前記複数の温度検出部からの検出信号のうちいずれか一つを補正用の検出信号としてその他の検出信号から差し引き得られた補正後の各検出信号に基づき外気温変化の影響を除外して流量を測定する流体情報検出部とを備えた熱式流量計において、
前記流体情報検出部は、
複数種類の流体の種別および流量に応じた前記各温度検出部の各検出信号およびこれら検出信号のピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差を含む熱的特性情報をあらかじめ記憶し、
前記熱的特性情報に基づいて、前記補正後の検出信号がピークに達する時間の時間差または閾値に達する時間差から流体の種別を把握し、この時間差に基づき流量を測定する流量検出部とを有することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、
請求項1〜請求項3いずれかに記載の熱式流量計において、
前記流体情報検出部は、
前記補正用の検出信号をその他の検出信号から差し引き、得られた補正後の各検出信号を出力する温度補正部と、
前記補正後の各検出信号に基づき、各検出信号がそれぞれ所定の閾値に達する時間またはピークに達する時間の時間差を算出し、この時間差に基づき流量を測定する流量検出部とを有することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、
請求項1〜請求項4いずれかに記載の熱式流量計において、
前記流体情報検出部は、
前記各温度検出部の検出信号および前記熱的特性情報に基づき前記流体の種類を特定することを特徴する。
請求項6記載の発明は、
請求項1〜請求項5いずれかに記載の熱式流量計において、
前記流路を流れる流体は2種以上の流体であることを特徴とする。
本発明に係る熱式流量計によれば、外気温およびその変化に基づいて検出温度を補正して流量を算出することができ、流量を広い範囲で測定できる。
図1は本発明に係る熱式流量計の一実施例を示す構成図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A断面図であって、図5、図6と共通する部分には同一の符号を付けて適宜説明を省略する。図1と図5、6との相違点は、図1では、基板1上で流入口100と温度検出部10の間に温度検出部12を設けたこと、伝熱部3の温度を制御し温度検出部4、5、10、11、12の検出信号に基づいて流路FPを流れる流体の流量を算出する流体情報検出部20を設けたことである。
図1において、本発明の熱式流量計は、耐腐食性の高いガラスなどで形成され流入口100および流出口110を有する基板1、耐腐食性の高いガラスなどで形成され基板1と貼り合わされて被測定流体が流れる流路FPを構成する溝6を有する基板2、ヒータなどの伝熱部3、サーミスタや白金測温抵抗体などの温度検出部4、5、10、11、12、これら温度検出部4、5、10、11、12からの検出信号およびその時間差に基づいて流量を求めるCPUなどの流体情報検出部20から構成される。これら基板1、基板2、伝熱部3、温度検出部4、5、10、11、12は流量計チップ30を構成する。
なお温度検出部12は、温度検出部4、5、10、11と同じプロセスで形成され、各温度検出部4、5、10、11、12の特性は同等のものとする。
基板2の中央部分には、たとえば、超音波加工、レーザ加工、サンドブラスト加工、ウエットエッチングなどによって長手方向に沿うように長方形の溝6が形成される。
流路FPは、基板2に形成された溝6の両端に基板1に形成された流入口100および流出口110が位置するように基板1と基板2を接着や熱圧着などで貼り合わせ、基板2に形成された溝6を基板1で覆うことにより構成される。
伝熱部3は、被測定流体が流れる流路FPのほぼ中央の基板1上に蒸着やスパッタリングなどによって形成される。
温度検出部4、5、10、11は、基板1上で伝熱部3を挟むように等間隔の位置に蒸着やスパッタリングなどによって形成される。温度検出部12は、基板1上で流入口100と温度検出部10との間の位置に蒸着やスパッタリングなどによって形成される。これら伝熱部3および温度検出部4、5、10、11、12は、基板1上に被測定流体に接しない非接液状態で形成される。
温度検出部4、5、10、11、12の検出信号は流体情報検出部20に入力され、流体情報検出部20から温度制御信号が伝熱部3に入力される。
上流側の温度検出部4、10および下流側の温度検出部5、11で検出される検出信号が示す温度分布に注目すると、流量がゼロで流体が流れない場合における流体の温度分布は伝熱部3を中心に対称となり、流体が流れる場合には温度分布のピークが下流側にシフトする。
ちなみに、流体情報検出部20は、これらの温度分布の温度検出部5または10における温度差が被測定流体の流量に関連した信号となることを利用して、この温度検出部5または10における温度差に基づき流路FPを流れる被測定流体の流量を求めるものでもよい。
図2は流体情報検出部20の具体例を示す構成ブロック図である。(A)において、流体情報検出部20は、各温度検出部4、5、10、11の検出信号Tu1、Td1、Tu2、Td2から温度検出部12の検出信号Tu0を差し引いて各検出信号が示す温度分布の補正を行い、検出信号波形のベースラインを一定にするように補正された検出信号Tu1’、Td1’、Tu2’、Td2’を出力する温度補正部40と、伝熱部3の温度を制御しベースラインを一定にするように補正された温度検出部4、5、10、11、12の検出信号Tu1’、Td1’、Tu2’、Td2’に基づいて流路FPを流れる流体の流量を算出する流量検出部50などを有する。
温度補正部40は、たとえば差動増幅器で構成されるものであって、検出部4、5、10、11から出力される検出信号Tu1、Td1、Tu2、Td2が非反転入力端子に入力され、温度検出部12から出力される検出信号Tu0は反転入力端子に入力される。この温度補正部40で補正された各温度検出部の検出信号Tu1’、Td1’、Tu2’、Td2’は、流体検出部50に入力される。
(B)において、温度補正部40の反転入力端子には、ローパスフィルタ41を介して温度検出部12の検出信号Tu0が入力されている。温度検出部12の検出信号Tu0は伝熱部3による加熱の影響を受けることがある。このような検出信号Tu0を補正用の検出信号として利用する場合には、時定数の十分大きなローパスフィルタ41を介して温度補正部40に入力することにより、伝熱部3の影響を防ぐことができる。
図3は流量検出部50の具体例を示す構成ブロック図である。流量検出部50は、温度補正部40で補正された各温度検出部4、5、10、11の検出信号に基づいて流体の流量を計算するためのCPUなどの演算制御部51、伝熱部3に温度制御信号を送信する制御信号送信部52、温度補正部40で補正された各温度検出部4、5、10、11の検出信号を受信する検出信号受信部53、流体情報検出部20として固有の動作をするためのプログラム、アプリケーション、あらかじめ測定した各種被測定流体の流体温度特性情報を含む特性情報、各温度検出部からの検出信号とピークまたは所定の閾値に達する時間の時間差データ、各温度検出部により検出される温度、その温度和、温度差、流路FPの形状情報(深さ、長さなど)を格納するためのRAM、ROM、ハードディスクなどの記憶部54、ネットワークなどを介して各温度検出部4、5、10、11、12と外部装置間のデータ通信するための通信部55などを有する。
演算制御部51は、制御信号送信部52を介して伝熱部3の温度を制御するための制御信号を送信する温度制御部51a、各温度検出部4、5、10、11の検出信号に基づき各温度検出部で検出した流体温度を算出し、検出信号およびその時間差データとともに算出された流体温度を記憶部53に記憶する検出信号管理部51b、温度検出部4で検出した検出信号の出力波形と温度検出部5で検出した検出信号の出力波形がピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差に基づき流量を把握する流量検出部51cを有する。
記憶部54に記憶される流体温度特性情報は、あらかじめ各種の被測定流体を流量計チップ30に注入してその特性値を流体情報検出部20で取得したものであり、各温度検出部4、5、10、11の検出信号の波形におけるピーク値または所定の閾値の時間差とその振幅および検出信号が示す温度値を含む。
なお演算制御部51の流量検出部51cは、各温度検出部で検出した検出信号が示す温度分布における下流側の温度検出部での温度差に基づいて流量を把握する機能を有するものであってもよい。
ここで上流側の温度検出部4または10および下流側の温度検出部5または11で検出される検出信号が示す温度分布に注目すると、流量がゼロで流体が流れない場合における流体の温度分布は伝熱部3を中心に対称となり、流体が流れる場合には温度分布のピークが下流側にシフトする。
流体情報検出部20の流量検出部51cは、上流側の温度検出部4での温度と下流側の温度検出部5での温度との温度差が被測定流体の流量に関連した信号となることを利用して、この温度差に基づき流路FPを流れる被測定流体の流量を算出する。
なお流体情報検出部20は、温度検出部10と温度検出部11で検出される検出信号が示す温度に基づき、温度検出部10と温度検出部11の温度差を利用して流路FPを流れる被測定流体の流量を求めるものであってもよい。また、流体情報検出部20は、温度検出部4、5、10、11のうち任意選択されるいずれか2つの検出信号が示す温度に基づいて得られる各温度検出部における温度差を利用して、流路FPを流れる被測定流体の流量を求めるものであってもよい。
このような構成において、被測定流体が流入口100から注入されて流路FPを流れると、演算制御手段7は、制御信号送信部から伝熱部3にパルス状の制御信号を送信して被測定流体を断続的に加熱する。
図4は熱式流量計の動作説明図であって、Time of Flight式(以下、TOF式という)における各温度検出部の出力(温度)を表すものであり、(A)は伝熱部3を加熱するための制御信号波形、(B)は各温度検出部の検出信号波形である。なお、TOF式とは、2つの温度検出部で得られる検出信号(流体温度)のピーク(または所定の閾値)およびその検出信号のピーク(または所定の閾値)の時間差に基づいて、被測定流体の流量を測定する方式をいう。
まず、被測定流体を流路FPに注入し、制御信号送信部52から伝熱部3に図4(A)のようなパルス状の制御信号を送信して被測定流体を断続的に加熱する。
伝熱部3により加熱された被測定流体は流路FPの上流から下流に流れる。温度検出部4、10は流路FPを流れる被測定流体の温度を検出してそれぞれの検出信号(Tu1、Tu2)を流体情報検出部20の温度補正部40に出力し、温度検出部5、11も流路FPを流れる被測定流体の温度を検出してそれぞれの検出信号(Td1、Td2)を温度補正部40に出力する。
温度検出部12も流路FPを流れる被測定流体の温度を検出して検出信号(Tu0)を流体情報検出部20の温度補正部40に出力する。
温度補正部40は、温度検出部12の検出信号Tu0を補正用の検出信号として、各温度検出部4、5、10、11の検出信号(Tu1、Tu2、Td1、Td2)から検出信号Tu0を差し引き、補正された検出信号(Tu1’、Tu2’、Td1’、Td2’)(以下、補正検出信号という)を流量情報検出部50に出力する。
これにより、外気温(流体の温度)が変化しても各温度検出部から得られる検出信号の出力波形におけるベースラインは常に一定となり、外気温の変化の影響を受けることなく流量測定を行うことが可能となる。
具体的には、温度検出部5は、たとえば図4(B)のように、流量および伝熱部3と温度検出部5との距離に依存した時間だけ伝熱部3の加熱時から遅れた時点で急激に立ち上がる検出信号Td1を検出し、伝熱部3の熱は流体によって拡散されるために温度検出部5の検出信号Td1の振幅は時間とともに降下(低下)する。
温度検出部11も温度検出部5と同様に、流量と伝熱部3と温度検出部11との距離に依存した時間だけ伝熱部3の加熱時から遅れた時点で急激に立ち上がる検出信号Td2を検出し、伝熱部3の熱は流体によって拡散されるために温度検出部11の検出信号Td2は時間とともに降下(低下)する。
このとき、温度補正部40は、検出信号Td1、Td2に基づいて、温度検出部12の検出信号Tu0を補正用の検出信号として、検出信号Td1、Td2から検出信号Tu0を差し引き、補正検出信号Td1’、Td2’を流量情報検出部50に出力する。
この結果、図4(B)のように、各温度検出部から得られる検出信号の出力波形におけるベースラインは常に一定となり、外気温の変化の影響を受けることなく流量測定を行うことが可能となる。
また、補正検出信号Td2’のピーク(または所定の閾値)は、補正検出信号Td1’のピーク(または所定の閾値)から流量および温度検出部5と温度検出部11との距離に依存した時間だけ遅れて形成される。
流体情報検出部20は、温度補正部40によって補正された各温度検出部で検出された補正検出信号に基づいて、伝熱部3と各温度検出部との距離に依存した時間だけ加熱時から遅れた流体の温度を検出し、各温度検出部の補正検出信号のピークに達する時間または所定の閾値に達する時間の時間差(いいかえれば伝熱時間)を算出し記憶する。
具体的には、流体情報検出部20は、温度検出部5の補正検出信号Td1’、温度検出部11の補正検出信号Td2’に基づき、伝熱部3と温度検出部5との距離または伝熱部3と温度検出部11との距離に依存した時間だけ加熱時から遅れた流体の温度を検出するとともに、温度検出部5の検出信号Td1’と温度検出部11の検出信号Td2’のピークに達する時間または所定の閾値に達する時間の時間差を記憶する。
そして、流体情報検出部20は、温度補正部40から得た各温度検出部(たとえば温度検出部5および11)の補正検出信号(たとえばTd1’、Td2’)の出力波形がピーク値に達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差が被測定流体の流量に関連した信号となることを利用して、これらの検出信号のピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差に基づき、流路FPを流れる被測定流体の流量を算出する。
このように、本発明の熱式流量計によれば、温度補正部40が温度検出部12の検出信号に基づいて各温度検出部4、5、10、11の検出信号を補正し、これらの補正検出信号から流体の伝熱時間を算出することにより、外気温およびその変化に基づいて検出温度を補正して流体の流量を算出することができ、流量を広い範囲で測定できる。
なお、本発明に係る熱式流量計は、マイクロリアクタの分野のような微小流路内における化学反応や混合の進行度など流体特性の変化を測定するものであってもよい。また、微小流路の断面形状は長方形に限るものではなく、どのような形状でもよい。
また、上述の各実施形態において、熱式流量計の流路のパターンは直線状として説明しているが、曲線状であってもよく、必要に応じて分岐部、合流部を有するものでもよい。
たとえば、流入口を2液混合用に2個設けて2液が合流するような構成において、流路に図1と同じように伝熱部と2つの温度検出部を設置し、図1と同様な処理を行うことにより、外気温およびその変化に基づいて検出温度を補正して流量を算出することができ、流量を広い範囲で測定できる。
また、上述の各実施形態においては、TOF方式で流量測定を行う例を説明したが、温度分布測定型の熱式で流量測定を行う場合についても、適用できる。具体的には、温度検出部12の検出信号Tu0を補正用の検出信号として、各検出信号の差動をとった信号を利用して流量を計算するものでよい。
また、補正用の温度検出部12の設置位置は、図1に記載した位置に限定するものではなく、伝熱部3による加熱の影響が小さい位置であればよい。すなわち、伝熱部3による加熱の影響があらかじめ把握できている既知の位置であれば、どのような位置であってもよい。
また、上述の各実施形態においては、新たに補正用の温度検出部12を付加する構成について説明したが、たとえばTOF方式を用いる場合には、伝熱部3の上流側に設置されている温度検出部10は流量測定に使用しないので、この温度検出部10の検出信号を補正用の検出信号として利用してもよい。
この場合には、TOF方式を用いる流量範囲は広いため、温度検出部10の位置の伝熱部3による加熱の影響は十分に小さくなることから、温度検出部10の検出信号に基づいて各検出温度を補正して流量を算出することにより、流量を広い範囲で測定できる。
この場合は、温度検出部10の位置の伝熱部3による加熱の影響は十分に小さいので、温度検出部10の検出信号に基づいて各検出温度を補正して流量を算出することにより、流体の流量を測定できる。
また、上述の各実施形態において、流体情報検出部20は、あらかじめ各温度検出部の検出信号に与える伝熱部3からの加熱の影響を流量、流体の種類に応じてそれぞれ把握・記憶しておき、これらのデータに基づいて検出信号を補正することにより外気温変化の影響を除外して流量を測定するものであってもよい。
具体的には、流体情報検出部20は、あらかじめ流体が流路FPを流れる際に各温度検出部の検出信号に与える伝熱部3からの加熱の影響を流量、流体の種類に応じてそれぞれ把握・記憶する。そして流体情報検出部20は、各温度検出部4、5、10、11、12の検出信号のうちいずれかの一つの検出信号を補正用の検出信号として選択し、あらかじめ記憶した伝熱部3による加熱の影響に基づいて設定された時定数の十分大きなローパスフィルタ(LPF)などを介することで、伝熱部による加熱の影響を十分に低減させ、この補正用の検出信号をその他の検出信号から差し引き、得られた補正後の各検出信号に基づき外気温変化の影響を除外して流量を測定する。
これにより、補正検出信号から流体の伝熱時間を算出して流体の流量を求めることができ、外気温およびその変化に基づいて検出温度を補正して流量を算出することによって広い範囲で流量を測定できる。
また、上述の各実施形態において、流体情報検出部20は、あらかじめ複数種類の流体が流路FPを流れる際に各温度検出部で得られる検出信号とそのピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差を含む流体の熱的特性情報を記憶し、これら各種流体の熱的特性情報に基づいて、流量および流体の物性変化を測定するものであってもよい。
具体的には、流体情報検出部20は、上述のような温度検出部5および11で得られる検出信号がピーク(または所定の閾値)に達する時間の時間差(伝熱時間)および検出信号のピークを含む熱的特性情報を複数種類の流体ごとにあらかじめ求めて記憶し、各温度検出部5、11で得られた検出信号および補正検出信号に基づき、流路を流れる流体の検出信号のピークとその時間差などの熱的物性値と流量とを同時に測定して、あらかじめ記憶していた熱的特性情報と得られた熱的物性値に基づき、流路を流れている被測定流体の種類を把握するとともに、流量を測定でき、被測定流体の濃度、化学反応の進行度や混合の度合いなどの被測定流体の物性変化を測定できる。
また、上述の各実施形態において、流体情報検出部20は、流路FPに流れる流体の種類および流量、その流体の反応状態や混合の進行度を含むデータを、通信部25を制御してネットワークなどを介し外部装置に送信するものでもよい。これにより、ユーザやオペレータはネットワークを介して流路FPを流れる流体についての種類、流量、反応状態を把握することができる。
また、上述の各実施形態において、流体情報検出部20は、CPUなどの演算制御部が適切なプログラムを実行することによってソフト的に、またはこれと適切なハードウエア回路とを組み合わせることにより、またはその他の方法によって、実現するものであってもよい。
また、伝熱部で流体をパルス的に加熱する例を説明したが、冷却するようにしても同様な効果が得られる。
その他、流量計チップの構造、温度検出部、伝熱部、または熱式流量計全体または各部の構造、形状、寸法、個数、回路、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
また、上述の各実施形態において、流体情報検出部20は測定する流量が低流量領域であるか否かを判断し、低流量領域であると判断した場合には、温度差法により上流側の温度検出部4または10と下流側の温度検出部5または11との間の検出信号が示す温度分布における温度検出部5または11の温度差に基づいて流路FPを流れる被測定流体の流量を求め、低流量領域ではないと判断した場合には、TOF法により、下流側の温度検出部5と温度検出部11との間の検出信号のピークの時間差に基づいて流路FPを流れる被測定流体の流量を求めるものでもよい。
このように、流体情報検出部20が測定する流量に応じて測定方法(温度差法、TOF法)を適宜選択して流量を求めることにより、より広い測定レンジでの流量の測定が可能になる。
また、上述の実施例では、図1において温度検出部4、5、10、11をそれぞれ設けて説明しているが、上流側の温度検出部の外側に設けられた温度検出部4は必須の構成要素ではない。また、温度検出部11は温度検出部10よりも下流側であれば任意の位置に設けるものでもよい。
また、本発明に係る熱式流量計は、流体に気泡が混入しているか否かを判断して警報を発信するものであってもよい。具体的には、流体情報検出部20は、上述のような熱的特性情報をあらかじめ求めて記憶していることにより、各温度検出部で得られた温度に基づき算出された伝熱時間および温度のピーク値と記憶された熱的特性情報とを比較し、得られた伝熱時間から予想される温度のピーク値から大きく逸脱する場合は、気泡が存在するものと判断するものであってもよく、気泡が存在すると判断した場合には警報を発信するものであっても構わない。
以上説明したように、本発明の熱式流量計は、外気温とその変化に基づいて検出温度を補正して流量を算出することにより、広い範囲で流量を測定でき、石油、鉄鋼、化学プラントなどで導入されているプロセス制御への貢献が期待できる。
本発明に係る熱式流量計の一実施例を示す構成図である。 流体情報検出部20の具体例を示す構成ブロック図である。 流量検出部50の具体例を示す構成ブロック図である。 本発明に係る熱式流量計の動作の説明図である。 従来の熱式流量計の一例を示す構成図である。 従来の熱式流量計の例を示す構成図である。
符号の説明
1、2 基板
3 伝熱部
4、5、10、11、12 温度検出部
6 溝
7、20 流体情報検出部
30 流量計チップ
40 温度補正部
41 ローパスフィルタ
50 流量検出部
51 演算制御部
51a 温度制御部
51b 検出信号管理部
51c 流量検出部
52 制御信号送信部
53 検出信号受信部
54 記憶部
55 通信部

Claims (6)

  1. 流路の一部に設けられ流路を流れる流体に温度変化を与える伝熱部と、前記流路上のそれぞれ異なる位置に設けられ前記流体の温度を検出する複数の温度検出部と、前記複数の温度検出部のうち最上流に設けられた温度検出部の検出信号を補正用の検出信号としてその他の検出信号から差し引き得られた補正後の各検出信号に基づき外気温変化の影響を除外して流量を測定する流体情報検出部とを備えた熱式流量計において、
    前記流体情報検出部は、
    複数種類の流体の種別および流量に応じた前記各温度検出部の各検出信号およびこれら検出信号のピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差を含む熱的特性情報をあらかじめ記憶し、
    前記熱的特性情報に基づいて、前記補正後の検出信号がピークに達する時間の時間差または閾値に達する時間差から流体の種別を把握し、この時間差に基づき流量を測定する流量検出部とを有することを特徴とする熱式流量計。
  2. 流路の一部に設けられ流路を流れる流体に温度変化を与える伝熱部と、前記流路上のそれぞれ異なる位置に設けられ前記流体の温度を検出する複数の温度検出部と、前記複数の温度検出部のうち伝熱部よりも上流側の温度を検出する前記複数の温度検出部からの検出信号のうちいずれか一つを補正用の検出信号としてその他の検出信号から差し引き得られた補正後の各検出信号に基づき外気温変化の影響を除外して流量を測定する流体情報検出部とを備えた熱式流量計において、
    前記流体情報検出部は、
    複数種類の流体の種別および流量に応じた前記各温度検出部の各検出信号およびこれら検出信号のピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差を含む熱的特性情報をあらかじめ記憶し、
    前記熱的特性情報に基づいて、前記補正後の検出信号がピークに達する時間の時間差または閾値に達する時間差から流体の種別を把握し、この時間差に基づき流量を測定する流量検出部とを有することを特徴とする熱式流量計。
  3. 流路の一部に設けられ流路を流れる流体に温度変化を与える伝熱部と、前記流路上のそれぞれ異なる位置に設けられ前記流体の温度を検出する複数の温度検出部と、前記複数の温度検出部からの検出信号のうちいずれか一つを補正用の検出信号としてその他の検出信号から差し引き得られた補正後の各検出信号に基づき外気温変化の影響を除外して流量を測定する流体情報検出部とを備えた熱式流量計において、
    前記流体情報検出部は、
    複数種類の流体の種別および流量に応じた前記各温度検出部の各検出信号およびこれら検出信号のピークに達する時間の時間差または所定の閾値に達する時間の時間差を含む熱的特性情報をあらかじめ記憶し、
    前記熱的特性情報に基づいて、前記補正後の検出信号がピークに達する時間の時間差または閾値に達する時間差から流体の種別を把握し、この時間差に基づき流量を測定する流量検出部とを有することを特徴とする熱式流量計。
  4. 前記流体情報検出部は、
    前記補正用の検出信号をその他の検出信号から差し引き、得られた補正後の各検出信号を出力する温度補正部と、
    前記補正後の各検出信号に基づき、各検出信号がそれぞれ所定の閾値に達する時間またはピークに達する時間の時間差を算出し、この時間差に基づき流量を測定する流量検出部とを有することを特徴とする
    請求項1〜3いずれかに記載の熱式流量計。
  5. 前記流体情報検出部は、
    前記各温度検出部の検出信号および前記熱的特性情報に基づき前記流体の種類を特定することを特徴する
    請求項1〜4いずれかに記載の熱式流量計。
  6. 前記流路を流れる流体は2種以上の流体であることを特徴とする
    請求項1〜請求項5いずれかに記載の熱式流量計。
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