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JP5211645B2 - 薄膜トランジスタ基板及びその製造方法 - Google Patents
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JP5211645B2 - 薄膜トランジスタ基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い薄膜トランジスタ基板を低コストで製造することができる薄膜トランジスタ基板の製造方法、及び得られた薄膜トランジスタ基板に関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のアクティブマトリクス駆動型の表示装置において、薄膜トランジスタ(以下、TFTともいう。)は、個々の画素に設けられるスイッチング素子や、表示装置のディスプレイ基板上の周辺回路を構成する回路素子等として利用されている。TFTはできるだけ高性能であることが求められている。TFTの特性は種々の要素に影響されるが、その中でも最も影響される要素は、電気を流すシリコン半導体のチャネル部分に直接接触しているゲート絶縁膜の特性乃至性質である。この傾向は、ポリシリコンTFTにおいては特に顕著な傾向であり、ポリシリコンTFTの特性はゲート絶縁膜の特性乃至性質によって決定されていると言っても過言ではない。
ポリシリコンTFTにおいては、ゲート絶縁膜として、ポリシリコン半導体膜との相性の良さから、酸化ケイ素膜が用いられるケースが多い。この酸化ケイ素膜を高性能化する手法として、高圧水蒸気処理といわれる手法が提案されている(例えば特許文献1を参照)。この手法は、TFTを2気圧以上200気圧以下で150℃以上600℃以下の高圧水蒸気雰囲気下で熱処理することで、酸化ケイ素膜及びその界面の性質を改善し、TFTの特性を向上させる手法である。
ところで、TFTの構造には、主としてアモルファスシリコンTFTに用いられるボトムゲート型(あるいは、逆スタガー型)と、主としてポリシリコンTFTに用いられるトップゲート型(あるいは、プレナー型)の2種類の構造がある。ボトムゲート型のTFTにおいては、層構成が、ゲート電極、ゲート絶縁膜、シリコン半導体膜の順になり、またプロセスとしてもゲート絶縁膜とシリコン半導体膜とを連続成膜する場合がほとんどなので、ゲート絶縁膜に対する高圧水蒸気処理はあまり用いられていない。
一方、トップゲート型のTFTにおいては、ゲート絶縁膜を形成した後、ゲート絶縁膜に対する処理が可能であり、通常はここで上記特許文献1で提案された高圧水蒸気処理が行われる。例えば特許文献2には、ゲート絶縁膜の改質を目的として、ゲート電極を形成した後や、その後さらに層間絶縁膜を形成した後のタイミングで高圧水蒸気処理を行ってもよいことが提案されている。また、特許文献3にも、シリコン半導体膜形成後や、ゲート絶縁膜の形成後や、ソース−ドレイン電極の形成後や、TFTの完成後に高圧水蒸気処理を行ってもよいことが提案されている。
特開平11−97438号公報 特開2003−197632号公報 特開2004−288864号公報
しかしながら、特許文献1に記載の高圧水蒸気処理は、非常に高い温度と高い圧力を含む条件下で行うことができると記載されているが、そうした高温高圧下では、TFTの製造装置として高温と高圧に耐えられる圧力容器を準備しなければならないという問題がある。また、例えばTFTを形成する基板が耐熱性の低い安価なガラス基板やプラスチック基板である場合にも、高い温度と高い圧力を含む高圧水蒸気処理は適用しにくいという問題がある。いずれにしても、同文献1に記載の高圧水蒸気処理の条件をそのまま適用すると、設備費用を含めた製造コストが嵩む可能性が大きく、低コストのもとでTFTを製造するという観点からは望ましくない。
また、特許文献2に記載のTFTの製造方法においては、ゲート絶縁膜が、一般的には300℃以上の成膜温度が必要とされるCVD法で成膜されている。しかし、例えばTFTを形成する基板が耐熱性の低い安価なガラス基板やプラスチック基板である場合に、その成膜温度を下げてゲート絶縁膜を形成すると、原料中に含まれる有機物が十分に分解せずに膜中に含まれる不純物が多くなって十分な膜特性を得ることができないという問題がある。かといって、高温高圧の高圧水蒸気処理を施してゲート絶縁膜の特性を改善しようとすることは、設備費用を含めた製造コストが嵩む可能性が大きく、低コストのもとでTFTを製造するという観点からは望ましくない。
なお、特許文献3に記載のTFTの製造方法においては、高圧水蒸気処理の主目的は、シリコン半導体膜形成後に高圧水蒸気処理を行ってシリコン半導体膜の捕獲準位密度を低減することにある。一方、ゲート絶縁膜の形成直後に行われる高圧水蒸気処理は、ゲート絶縁膜中の欠陥や界面欠陥密度を低減させるものであり、また、ソース−ドレイン電極の形成後やTFTの完成後に行われる高圧水蒸気処理は、イオン注入時やソース−ドレイン電極の形成時にゲート絶縁膜に加わったプラズマダメージを回復するためのものである。この文献3に記載の方法では、ゲート絶縁膜の特性を向上させるための高圧水蒸気処理は、主にゲート絶縁膜の形成直後に行われる高圧水蒸気処理であり、しかも、計3回の高圧水蒸気処理を行うことから、製造工程が増すとともに複雑になり、さらに、例えば基板に非耐熱性基板を用いた場合にはその熱的ダメージが蓄積するという問題も有している。いずれにしても、同文献3に記載の高圧水蒸気処理をそのまま適用すると、製造工程が煩雑になって製造コストが嵩む可能性が大きく、低コストのもとでTFTを製造するという観点からは望ましくない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い薄膜トランジスタ基板を低コストで製造することができる薄膜トランジスタ基板の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、製造コストが低減された低コストの薄膜トランジスタ基板を提供することにある。
本発明者らは、上記の問題に対して研究を重ねた結果、トップゲート型のTFT基板において、ゲート電極を形成した後の素子に対して高圧水蒸気処理を施すことで、特性がさらに向上することを見出した。なお、一般的には、ゲート電極を形成した後では、高圧水蒸気処理により改質を試みたいゲート絶縁膜はゲート電極の下に隠れており、さらにゲート電極は水蒸気バリア性に優れた薄膜であることから、この層構成で高圧水蒸気処理を行っても高い改質効果は期待できないと思われていた。しかし、本発明者らの見出したところによると、驚くべきことに、この層構成で高圧水蒸気処理を行った場合に特に高い改質効果(トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い)が得られることが明らかになった。その理由としては、現時点では、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極の触媒効果により、活性な原子状水素や原子状酸素が発生し、その作用で高い効果が得られていると考えられる。
すなわち、本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法は、少なくとも、基板上にシリコン半導体膜を形成する工程と、酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜を形成する工程と、ゲート電極を形成する工程とをその順で有するトップゲート型の薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、前記ゲート電極の形成工程後に、300℃未満の高圧水蒸気処理工程を設けることを特徴とする。
この発明によれば、トップゲート型のTFT基板の製造において、ゲート電極の形成工程直後に設けた高圧水蒸気処理工程が300℃未満の処理工程であるので、TFT基板を製造する際に高温と高圧に耐えられる高価な圧力容器を準備する必要がなく、設備費用を含めた製造コストを抑えることができる。また、TFT基板を構成する基板が耐熱性の低い安価なガラス基板やプラスチック基板である場合であっても、その基板に熱的ダメージを与える高温高圧の高圧水蒸気処理を適用しないので、前記同様、設備費用を含めた製造コストを抑えることができる。また、従来のような計3回の高圧水蒸気処理を行わなくても、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成した後に1回の高圧水蒸気処理を行えば、おそらく金属層の触媒効果により、驚くべきことに特に高い改質効果(トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い)が得られることが明らかになったことから、製造工程を省略でき、製造コストを抑えることができる。したがって、本発明のTFT基板の製造方法によれば、低コストのもとでTFT基板を製造することができる。
本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法の好ましい態様として、前記高圧水蒸気処理工程を、100℃を超え、300℃未満の温度と、1気圧を超え、飽和蒸気圧以下の圧力とからなる雰囲気下で行うように構成する。
本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法の好ましい態様として、前記高圧水蒸気処理工程を、150℃〜200℃の温度と、飽和蒸気圧とからなる雰囲気下で行うように構成する。
本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法の好ましい態様として、前記ゲート絶縁膜をスパッタリング法で形成するように構成する。
CVD法に比べ、スパッタリング法ではその成膜原理により300℃を下回る温度で酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜を形成でき、しかもスパッタリング法では不純物の混入がほとんどないので、例えば耐熱性の低い安価なガラス基板やプラスチック基板を用いることができる。しかし、スパッタリング法で形成したゲート絶縁膜は、化学量論組成からずれ易く、シリコン半導体膜との界面の欠陥密度が高くなり易いが、本発明における高圧水蒸気処理工程を適用することによって、水蒸気の酸化効果によって酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜のダングリングボンドを終端でき、特に高い改質効果(トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い)が得られた。なお、CVD法は膜形成が化学反応を利用している関係で、ダングリングボンドに既に原料由来の有機官能基が結合しており、改質すべき部分が構造的な歪であったり、あるいは、官能基を置換する反応であったりするので、高圧水蒸気処理の効果がスパッタリング法で成膜したゲート絶縁膜に比べると低い。
本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法の好ましい態様として、前記基板が、非耐熱性基板であるように構成する。
この発明によれば、基板として耐熱性の低い安価なガラス基板やプラスチック基板を用いた場合であっても、熱的ダメージを受けないで、低コストのもとでTFT基板を製造することができる。
本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法の好ましい態様として、前記ゲート電極形成工程において、電極材料をアルミニウム、タングステン、タンタル、モリブデンのいずれかの金属、又は該金属を含む合金又は複合金属とするように構成する。
この発明によれば、現時点では、これらの電極材料からなるゲート電極が、触媒効果により活性な原子状水素や原子状酸素を発生するとの推察のもとで、好ましく用いられる。
本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法の好ましい態様として、ゲートオーバーラップ構造の薄膜トランジスタ基板、セルフアライン構造の薄膜トランジスタ基板、及び、LDD構造の薄膜トランジスタ基板、のいずれかの製造に適用されるように構成する。
この発明によれば、ゲート絶縁膜上にゲート電極が設けられた上記各種の構造に対して好ましく適用できる。
本発明の薄膜トランジスタ基板は、上記本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法で製造されてなることを特徴とする。
この発明によれば、上記の製造方法によって低コストのTFT基板を提供できる。
本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法によれば、TFT基板を製造する際に高温と高圧に耐えられる高価な圧力容器を準備する必要がなく、設備費用を含めた製造コストを抑えることができる。また、TFT基板を構成する基板が耐熱性の低い安価なガラス基板やプラスチック基板である場合であっても、その基板に熱的ダメージを与える高温高圧の高圧水蒸気処理を適用しないので、前記同様、設備費用を含めた製造コストを抑えることができる。また、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成した後に1回の高圧水蒸気処理を行えば、特に高い改質効果(トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い)が得られることが明らかになったことから、製造工程を省略でき、製造コストを抑えることができる。したがって、本発明のTFT基板の製造方法によれば、低コストのもとでTFT基板を製造することができる。
本発明の薄膜トランジスタ基板によれば、上記本発明のTFT基板の製造方法によって低コストのTFT基板を提供できる。その結果、製造歩留まりがよく、特性に優れた、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等に適用可能なTFT基板を提供できる。
以下、本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法、及びその方法で得られた薄膜トランジスタ基板について詳細に説明する。なお、本発明は図面の形態や以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の製造方法で得られる薄膜トランジスタ基板の一例を示す模式断面図である。また、図2及び図3は、本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す工程図である。
本発明の製造方法で得られる薄膜トランジスタ基板1(以下、「TFT基板1」ともいう。)は、図1に示すように、基板10側から、少なくとも、多結晶シリコン半導体膜13(ソース側拡散膜13s、チャネル膜13c及びドレイン側拡散膜13d)と、ゲート絶縁膜14gと、ゲート電極15gとがその順で設けられたトップゲート型のTFT基板1である。
より詳しくは、図1に示すように、トップゲート・トップコンタクト構造からなるTFT基板1であり、基板10と、基板10上に必要に応じて設けられたアンダーコート膜11と、アンダーコート膜11上に設けられた多結晶シリコン半導体膜13(ソース側拡散膜13s、チャネル膜13c及びドレイン側拡散膜13d)と、その多結晶シリコン半導体膜13上の主にチャネル膜13c上に設けられたゲート絶縁膜14gと、ゲート絶縁膜14gとの間にコンタクトホールを有するように多結晶シリコン半導体膜13上に設けられた絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14g上に設けられたゲート電極15gと、コンタクトホールを介して設けられたソース電極15s及びドレイン電極15dと、さらに全体を覆うように設けられた保護膜18とを有している。
(第1実施形態)
本発明のTFT基板1の製造方法は、少なくとも、基板10上にシリコン半導体膜13を形成する工程と、酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜14gを形成する工程と、ゲート電極15gを形成する工程とをその順で有し、そのゲート電極15gの形成工程後に、300℃未満の高圧水蒸気処理工程が設けられているトップゲート型のTFT基板の製造方法である。以下においては、図1に示すゲートオーバーラップ構造のTFT基板1を例にして、図2及び図3に示した製造工程順に説明するが、本発明のTFT基板の製造方法は、図示の工程例に限定されず、本発明の特徴を有する範囲で変更されたものであってもよい。
先ず、基板10を準備する。基板10は、TFT基板1の支持基板をなすものであり、有機基板であっても無機基板であってもよい。有機基板としては、例えば、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、又は熱可塑性ポリイミド等からなる有機基板、又はそれらの複合基板を挙げることができる。こうした有機基板は、剛性を有するものであってもよいし、厚さが5μm〜300μm程度の薄いフレキシブルなフィルム状のものであってもよい。フレキシブルな有機基板(プラスチック基板ともいう。)の使用は、TFT基板1をフレキシブル基板とすることができるので、フィルムディスプレイ等に適用できる。
また、無機基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、セラミックス基板等を挙げることができる。ガラス基板としては、厚さが0.05mm〜3.0mm程の液晶ディスプレイ用途のガラス基板であってもよいし、耐熱性の点ではやや劣るが安価な無アルカリガラス基板であってもよい。
次に、図2(A)に示すように、準備された基板10上に必要に応じてアンダーコート膜11を形成する。アンダーコート膜11は、必須の膜ではなく、例えば、(i)シリコン膜13と基板10との密着性を向上させるための密着膜として、(ii)後工程で形成した膜が有する応力を緩和させる応力緩和膜として、(iii)基板10内の不純物がTFTに侵入するのを防ぐバリア膜として、又は、(iv)非耐熱性基板を用いた場合において後工程で加わる熱に対する熱緩衝膜として、設けることができる。したがって、密着性がよかったり、応力の影響がなかったり、バリア性を考慮する必要がなかったり、非耐熱性基板を用いない場合には設ける必要はない。
アンダーコート膜11は基板10の全面に設けられていてもよいし、必要な領域のみに設けられていてもよい。なお、図2(A)に示す例では、アンダーコート膜11を全面に形成している。
アンダーコート膜11は、上記(i)〜(iv)の目的に応じ、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び酸窒化ケイ素の群から選択されるいずれかの材料で形成される。例えば密着膜として用いる場合には、クロム、チタン、アルミニウム、又はケイ素等からなる金属系の無機膜が好ましく用いられ、応力緩和膜や熱緩衝膜として用いる場合には、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられ、バリア膜として用いる場合には、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられる。これらの膜は、その目的に応じて、単層で設けてもよいし、2層以上を積層してもよい。
アンダーコート膜11を密着膜として設ける場合の厚さは、膜を構成する材質によってその範囲は若干異なるが、通常1〜200nmの範囲内であることが好ましく、3〜50nmの範囲内であることがより好ましい。なお、クロム、チタン、アルミニウム、又はケイ素からなる金属系の無機膜をアンダーコート膜11として形成する場合には、3〜10nmの範囲内であることがより好ましく、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又は酸窒化アルミニウムからなる化合物系の無機膜をアンダーコート膜11として形成する場合には、5〜50nmの範囲内であることがより好ましい。一方、アンダーコート膜11を応力緩和膜、バリア膜又は熱緩衝膜として設ける場合の厚さも実際に形成する膜の材質によってその範囲は若干異なるが、その厚さとしては、通常、100nm以上1000nm以下の範囲内であることが好ましく、成膜時間の点からは100nm以上500nm以下の範囲内であることがより好ましい。
アンダーコート膜11は、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等の各種の方法で形成することができるが、実際には、膜を構成する材質に応じた好ましい方法が採用される。通常は、DCスパッタリング法やRFマグネトロンスパッタリング法等が好ましく用いられる。
次に、図2(B)に示すように、アンダーコート膜11上にノンドープの非晶質シリコン膜21aを形成する。この非晶質シリコン膜21aは、RFマグネトロンスパッタリング法やCVD法等の各種の方法で成膜可能である。例えばRFマグネトロンスパッタリング法で非晶質シリコン膜21aを成膜する場合には、例えば、成膜温度:室温、成膜圧力:0.2Pa、ガス:アルゴンの成膜条件で例えば厚さ50nmの厚さで成膜できる。なお、CVD法で非晶質シリコン膜を成膜することも可能であり、その場合には25℃程度の成膜温度で成膜可能であるが、原料ガスとしてSiHが使用されるので、成膜後に約450℃の脱水素処理(真空中で1時間程度)が必要となる。
次に、図2(C)に示すように、レーザー照射22を行って非晶質シリコン膜21aを多結晶化して多結晶シリコン膜21pに変化させる。レーザー照射22は、非晶質シリコン膜21aを多結晶化させて多結晶シリコン膜21pにする結晶化手段であり、XeClエキシマレーザー、CW(Continuous Wave)レーザー等の種々のレーザーを用いて行うことができる。例えば、波長308nmのXeClエキシマレーザーを用いて結晶化を行う場合には、一例として、パルス幅:30nsec(FWHM(半値幅):full width at half-maximum)、エネルギー密度:200〜300mJ/cm、室温の条件下で行うことができる。
次に、図2(D)に示すように、多結晶シリコン膜21p上にパターニングされた酸化ケイ素膜23を形成する。先ず、多結晶シリコン膜21p上に酸化ケイ素膜23を形成し、さらにレジスト膜(図示しない)を形成し、その後レジスト膜をパターニングすることで酸化ケイ素膜23をパターニングし、その後レジスト膜を除去して、図2(D)に示す形態となる。パターニングされた酸化ケイ素膜23は、多結晶シリコン膜21pの所定領域に添加される不純物イオンを遮蔽するためのマスクとして作用する。
酸化ケイ素膜23は、例えばRFマグネトロンスパッタリング法で厚さ50〜150nm程度に形成される。この酸化ケイ素23、少なくとも後述の多結晶シリコン半導体膜13の欠陥処理工程前に、例えば2%HF溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。パターニングを行うレジスト膜は、例えば上市されている各種のポジ型フォトレジスト等が好ましく用いられ、レジストをスピンナー等の手段で全面に塗布し、乾燥硬化させて、例えば700nm程度の厚さで形成される。
酸化ケイ素膜23をパターニングした後、図2(D)に示すようにイオン注入24を行う。イオン注入24は、例えば、リン(P)を注入電圧:10keV、室温下で、5×1014イオン/cm〜2×1015イオン/cmのドーズ量となるように注入される。注入元素としては、リンの他、ホウ素、アンチモン、ヒ素等、多結晶シリコン膜21pにイオン注入できる公知のものを任意に選択して注入してもよい。こうしたイオン注入により多結晶シリコン膜21pにソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13dが形成され、さらに両膜13s,13dの間に、チャネル膜13cが形成される。
次に、図2(E)に示すように、酸化ケイ素膜23を2%HF溶液やドライエッチング法により除去する。ドライエッチング法は、真空容器内でプラズマ化したエッチングガス、例えば、フッ素系ガス(例えばCF)と酸素ガスとで酸化ケイ素膜23を分解して除去する方法である。ドライエッチング法は、ドライエッチャーと呼ばれる市販の装置(図示しない)を用い、例えば、ガス:CFガス、酸素ガス、ガス流量:CF/95sccm、酸素/5sccm、印加電力:500W、圧力:6.6Pa、処理時間:10分間、の条件で行うことができる。具体的には、チャンバー内を所定のガス雰囲気とした後、カソード電極板上にTFT素子作製工程中の基板を載せ、そのカソード電極板と、対向するアノード電極との間にRF発振器で高周波電圧を印加することにより、プラズマを発生させる装置を用いる。なお、このドライエッチングは、後述の活性化処理の後に行ってもよい。
ここでは、酸化ケイ素膜23をイオン注入用のマスクとして用いているが、酸化ケイ素膜23の代わりにレジスト膜をイオン注入用のマスクとしてもよい。なお、その場合には、レジスト膜は後述の活性化処理前に除去される。
次に、図2(F)に示すように、形成されたソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13dにエネルギービーム25を照射して両膜13s,13dを活性化する。エネルギービーム25としては、上記と同様のXeClエキシマレーザーを用いることができ、一例として、パルス幅:30nsec(FWHM)、エネルギー密度:100〜250mJ/cm、室温の条件下で行うことができる。また、多結晶シリコン膜21p上に形成された酸化ケイ素膜23を活性化処理後に除去する場合は、下記の欠陥処理工程前にウエットエッチング、又はプラズマエッチングにより除去する。
上記の活性化処理の後には、通常、多結晶シリコン膜21pの欠陥を低減処理するための酸素プラズマによる欠陥処理が施される。酸素プラズマ処理は、一例として、RF100W、1Torr、150℃の条件下で行われ、その後においては、120℃の条件下での乾燥処理が施される。
次に、図3(G)に示すように、ドライエッチングを施してアイランドを形成する。エッチングガスとしては、SF等を用いることができる。
次に、図3(H)に示すように、ソース側拡散膜13s、チャネル膜13c及びドレイン側拡散膜13dを含む全面に絶縁膜14を形成する。絶縁膜14の形成方法は、例えばRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、8インチのSiOターゲットに投入電力:1.0kW(=3W/cm)、圧力:1.0Pa、ガス:アルゴン+O(50%)の成膜条件で厚さ約100nmの酸化ケイ素を形成する。
次に、図3(I)に示すように、ソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13d上の絶縁膜14をレジストプロセスを用いて選択的にエッチングすることにより、コンタクトホール26を形成する。例えば、絶縁膜14上にレジスト膜を形成した後、フォトマスクを用いたレジストプロセスにより露光・現像してレジスト膜をパターニングする。そのパターニングにより露出したコンタクトホール形成部の絶縁膜14を、例えば2%HF溶液を用いてウエットエッチングしてコンタクトホール26を形成し、その後、プラズマアッシング法によりレジスト膜を除去する。プラズマアッシング法とは、プラズマエッチング法で酸素ガスを用いることで、レジストのみを除去する方法のことである。こうして、多結晶シリコン半導体膜13上の主にチャネル膜13c上に設けられたゲート絶縁膜14gと、ゲート絶縁膜14gとの間にコンタクトホール26を有するように多結晶シリコン半導体膜13上に設けられた絶縁膜14とを形成する。
次に、図3(J)に示すように、全面に例えば厚さ200nmのアルミニウム(Al)膜を蒸着した後、ウエットエッチングによりパターニングして、ソース電極15s、ドレイン電極15d及びゲート電極15gを形成する。なお、ゲート絶縁膜14g上に設けられたゲート電極15gは、後述するように、高圧水蒸気処理を行った際におそらく触媒として作用すると考えられ、高圧水蒸気処理で与えられた水蒸気を活性な原子状水素や原子状酸素にしてゲート絶縁膜14g内に供給するように作用すると考えられる。こうしたゲート電極15gを形成するための電極材料は特に限定されず、アルミニウムと同様の触媒効果を奏する材料を用いることができるが、例えばタングステン、タンタル、モリブデンのいずれかの金属、又はその金属を含む合金又は複合金属が好ましい。また、耐熱性を向上させる目的で、アルミニウムを主原料とし、シリコン等の他元素を添加した金属材料も同様の効果を発揮するので、好ましく用いることができる。ゲート電極15g、ソース電極15s、ドレイン電極15dの形成は、スパッタリング等の他の成膜プロセスにより形成することができる。
次に、図3(K)に示すように、高圧水蒸気処理を行う。この高圧水蒸気処理をゲート絶縁膜14g上にゲート電極15gを形成した後に行うことにより、TFT特性を向上させることができる。その原理は現時点では明らかではないが、前段落で説明したように、ゲート電極15gを構成する金属層の触媒効果によると考えられる。
なお、上記特許文献3に記載のように、従来の高圧水蒸気処理は、シリコン半導体膜の捕獲準位密度を低減するためにシリコン半導体膜形成後に行われるのが一般的である。また、高圧水蒸気処理をゲート絶縁膜の形成直後に行う場合も提案されているが、この場合は、ゲート絶縁膜中の欠陥や界面欠陥密度を低減させるものである。また、高圧水蒸気処理をソース−ドレイン電極の形成後やTFTの完成後に行う場合も提案されているが、この場合は、イオン注入時やソース−ドレイン電極の形成時にゲート絶縁膜に加わったプラズマダメージを回復するためのものである。こうした従来の高圧水蒸気処理において、例えばゲート電極15gを形成した後に行われる高圧水蒸気処理では、高圧水蒸気処理により改質を試みたいゲート絶縁膜14gはゲート電極15gの下に隠れており、さらにゲート電極は通常は水蒸気バリア性に優れた薄膜である場合が多いことから、この層構成で高圧水蒸気処理を行っても高い改質効果は期待できないと思われていた。しかし、我々の見出したところによると、驚くべきことに、この層構成で高圧水蒸気処理を行った場合において、後述の実施例に記載のように、特に高い改質効果(トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い)が得られることが明らかになった。その理由としては、現時点では、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極の触媒効果により、活性な原子状水素や原子状酸素が発生し、その作用で高い効果が得られていると考えられる。
高圧水蒸気処理工程での処理条件は、100℃を超え、300℃未満の温度と、1気圧(0.1MPa)を超え、飽和蒸気圧以下の圧力とからなる雰囲気下で行うことが好ましい。この処理条件においては、圧力が20気圧(2.0MPa)以下であることが特に好ましく、この圧力以下で高圧水蒸気処理を行うことにより、高い圧力に対応した圧力容器を必要としないという利点がある。例えば250℃の飽和蒸気圧は39気圧(3.9MPa)にもなるので、そうした温度条件の場合には、飽和蒸気圧よりも低い圧力条件(例えば、1.0MPa〜2.0MPa)とすることが好ましい。
また、高圧水蒸気処理工程での処理条件は、150℃〜200℃の温度と、飽和蒸気圧とからなる雰囲気下で行うことが好ましい。飽和蒸気圧での高圧水蒸気処理は、圧力容器内に水をやや過剰に入れておけばその条件管理が容易であることから好ましい。しかし、温度が高い場合には圧力がかなり高くなってしまうので、その温度の上限は200℃程度が好ましい。各温度の飽和蒸気圧は、150℃では5気圧(0.5MPa)、180℃では10気圧(1MPa)、200℃では飽和蒸気圧は15気圧(1.5MPa)である。こうした条件下で行う高圧水蒸気処理は、圧力を容易に行うことができるので、工業上特に好ましい。
この高圧水蒸気処理は、ゲート絶縁膜14gをスパッタリング法で形成した場合に特に有効である。すなわち、酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜14gは、スパッタリング法の成膜原理により300℃を下回る温度で形成でき、しかもスパッタリング法では不純物の混入がほとんどないので、例えば耐熱性の低い安価なガラス基板やプラスチック基板を用いることができる。しかし、スパッタリング法で形成したゲート絶縁膜14gは、化学量論組成からずれ易く、シリコン半導体膜13との界面の欠陥密度が高くなり易いが、本発明における高圧水蒸気処理工程を適用することによって、水蒸気の酸化効果によって酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜のダングリングボンドを終端でき、特に高い改質効果(トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い)が得られるという利点がある。一方、ゲート絶縁膜14gをCVD法で形成する場合は、膜形成が化学反応を利用している関係で、ダングリングボンドに既に原料由来の有機官能基が結合しており、改質すべき部分が構造的な歪であったり、あるいは、官能基を置換する反応であったりするので、高圧水蒸気処理の効果がスパッタリング法で成膜したゲート絶縁膜に比べると低い。そのため、両者を比較した場合には、スパッタリング法で形成したゲート絶縁膜14gがより好ましいと言える。
高圧水蒸気処理は、図3(K)に示すように、エッチングによって各電極(ゲート電極15g、ソース電極15s、ドレイン電極15d)を形成した後に行うことが好ましい。その理由は、電極層を形成した直後(すなわち電極層をエッチングする前)に行った場合には、その電極層の材質にもよるが、電極層が変質してエッチングが良好に行われない可能性があるためである。
最後に、図3(L)に示すように、素子全体を覆うように保護膜18を形成する。保護膜18としては、酸化ケイ素膜を好ましく挙げることができる。保護膜18は、例えばRFマグネトロンスパッタリングにより、約20nm程度の厚さで形成することが好ましい。こうして図1に示す一実施形態のTFT基板1を製造することができる。
以上のように、本発明のTFT基板1の製造方法によれば、300℃未満での高圧水蒸気処理を行うので、TFT基板1を製造する際に高温と高圧に耐えられる高価な圧力容器を準備する必要がなく、設備費用を含めた製造コストを押さえることができる。また、TFT基板1を構成する基板10が耐熱性の低い安価なガラス基板やプラスチック基板である場合であっても、その基板10に熱的ダメージを与える高温高圧の高圧水蒸気処理を適用しないので、前記同様、設備費用を含めた製造コストを抑えることができる。また、ゲート絶縁膜14g上にゲート電極15gを形成した後に1回のみの高圧水蒸気処理を行った場合に、特に高い改質効果(トランジスタとしての移動度が高く、ゲート絶縁膜の界面準位密度が低い)が得られることが明らかになったことから、製造工程を省略でき、製造コストを抑えることができる。
したがって、本発明のTFT基板1の製造方法によれば、低コストのもとでTFT基板1を製造することができる。なお、こうして得られたTFT基板1は、製造歩留まりがよく、しかも特性にも優れるので、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等に好ましく適用できる。
(第2実施形態)
次に、セルフアライン構造のTFT基板を製造する場合について説明する。このセルフアライン構造のTFT基板を製造するための各工程は、上記第1実施形態の工程とほぼ同じであるので、ここでは主に工程順について説明する。
セルフアライン構造のTFT基板の製造方法は、シリコン膜成膜工程、シリコン膜結晶化(レーザー照射)工程、シリコン膜欠陥終端処理工程、絶縁膜成膜工程、ゲート電極層成膜工程、ゲート電極エッチング工程、イオン注入工程、活性化(レーザーアニール)工程、エッチングによるシリコン膜のアイランド化(ゲート絶縁膜も同時にアイランド化される)工程、層間絶縁膜成膜工程、層間絶縁膜エッチング(同時にゲート絶縁膜もエッチングされる)工程、ソース−ドレイン電極層成膜工程、ソース−ドレイン電極エッチング工程、の順からなる各工程を有している。
この製造方法は、エッチングされたゲート電極をマスクとしてイオン注入することから、所謂セルフアラインプロセスとも呼ばれる。なお、上記ではゲート絶縁膜のエッチングがシリコン膜のアイランド化工程と同時に行われるが、このゲート絶縁膜のエッチング工程を、シリコン膜のアイランド化工程と同時ではなく、ゲート電極のエッチング工程後に行ってもよい。その場合には、ゲート絶縁膜はゲート電極と同じ形状になる。
こうしたセルフアライン構造のTFT基板の製造において、従来では、高圧水蒸気処理を絶縁膜成膜工程後に行っていたが、本発明では、層間絶縁膜成膜工程後、又は、ソース−ドレイン電極エッチング工程後に行う。セルフアラインプロセスでは、ゲート絶縁膜の形成とゲート電極層の形成を連続して行うことができるというメリットがあるにもかかわらず、従来のようにゲート絶縁膜を成膜した後に高圧水蒸気処理を行った場合、ゲート絶縁膜の表面は汚染され、密着性が低下する場合がある。これに対しても、本発明の製造方法は、高圧水蒸気処理を用いないケースと同様に、連続成膜を可能にする製造方法であると言える。ただし、この場合の高圧水蒸気処理は層間絶縁膜を介したゲート絶縁膜に対する処理であるので、水蒸気が十分に浸透するための条件(温度、圧力、時間)が設定される。
なお、高圧水蒸気処理を、ゲート電極層成膜工程後に行った場合や、ソース−ドレイン電極層成膜工程後に行った場合には、電極層のエッチングが良好に行えない可能性がある。また、高圧水蒸気処理を、ゲート電極エッチング工程後、イオン注入工程後、活性化(レーザーアニール)工程後、エッチングによるシリコン膜のアイランド化工程後、層間絶縁膜エッチング工程後のいずれかのタイミングで行った場合には、むき出しのゲート電極表面が高圧水蒸気処理で汚染され(酸化され)、ソース−ドレイン電極層とコンタクトしない場合がある(ソースドレイン電極は通常配線層としてゲート電極層とコンタクトする)。
(第3実施形態)
次に、一般的に行われている高温プロセスの場合について説明する。この製造方法は、第2実施形態と同様のセルフアライン構造のTFT基板の製造方法であるが、上記第2実施形態ではレーザーを用いて活性化を行っているのに対し、この第3実施形態では、高温雰囲気内での熱処理によって活性化を行っている点で所謂高温プロセスと呼んでいる(ただし、一般的には、この温度でも、単結晶シリコンのプロセスよりも温度が低いため、「低温ポリシリコンプロセス」と呼ばれることもある)。このセルフアライン構造のTFT基板を製造するための各工程は、上記第1実施形態の工程とほぼ同じであるので、ここでは主に工程順について説明する。
第3実施形態に係るTFT基板の製造方法は、シリコン膜成膜工程、シリコン膜結晶化(レーザー照射)工程、シリコン膜欠陥終端処理工程、シリコン膜エッチング工程、絶縁膜成膜工程、ゲート電極層成膜工程、ゲート電極エッチング工程、イオン注入工程、熱活性化(例えば500℃前後での熱処理による活性化)工程、層間絶縁膜成膜工程、層間絶縁膜エッチング(同時にゲート絶縁膜もエッチングされる)工程、ソース−ドレイン電極層成膜工程、ソース−ドレイン電極エッチング工程、の順からなる各工程を有している。
この製造方法においても、上記第2実施形態と同様、エッチングされたゲート電極をマスクとしてイオン注入することから、所謂セルフアラインプロセスとも呼ばれる。なお、上記ではゲート絶縁膜のエッチングが層間絶縁膜のエッチング工程と同時に行われるが、このゲート絶縁膜のエッチング工程を、層間絶縁膜のエッチング工程と同時ではなく、ゲート電極のエッチング工程後に行ってもよい。その場合には、ゲート絶縁膜はゲート電極と同じ形状になる。また、熱活性化工程は、イオン注入工程後ではなく、層間絶縁膜エッチング工程後であってもよい。
こうしたセルフアライン構造のTFT基板の製造において、従来では、高圧水蒸気処理を絶縁膜成膜工程後に行っていたが、本発明では、層間絶縁膜成膜工程後、又は、ソース−ドレイン電極エッチング工程後に行う。第2実施形態の場合と同様、セルフアラインプロセスでは、ゲート絶縁膜の形成とゲート電極層の形成を連続して行うことができるというメリットがあるにもかかわらず、従来のようにゲート絶縁膜を成膜した後に高圧水蒸気処理を行った場合、ゲート絶縁膜の表面は汚染され、密着性が低下する場合がある。これに対しても、本発明の製造方法は、高圧水蒸気処理を用いないケースと同様に、連続成膜を可能にする製造方法であると言える。ただし、この場合の高圧水蒸気処理は層間絶縁膜を介したゲート絶縁膜に対する処理であるので、水蒸気が十分に浸透するための条件(温度、圧力、時間)が設定される。
なお、高圧水蒸気処理を、ゲート電極層成膜工程後に行った場合や、ソース−ドレイン電極層成膜工程後に行った場合には、電極層のエッチングが良好に行えない可能性がある。また、高圧水蒸気処理を、ゲート電極エッチング工程後、イオン注入工程後、熱活性化工程後、層間絶縁膜エッチング工程後のいずれかのタイミングで行った場合には、むき出しのゲート電極表面が高圧水蒸気処理で汚染され(酸化され)、ソース−ドレイン電極層とコンタクトしない場合がある(ソースドレイン電極は通常配線層としてゲート電極層とコンタクトする)。
(第4実施形態)
次に、LDD構造のTFT基板を製造する場合について説明する。LDD(Lightly Doped Drain)構造は、いわゆるゲート端にソース拡散領域(ソース拡散膜13s)及びドレイン拡散領域(ドレイン拡散膜13d)よりも低濃度領域を設け、電界を緩和し劣化を防ぐ構造である。こうしたLDD構造を設けることにより、リーク電流を低減し、信頼性を向上させることができる。なお、シリコン半導体膜13に形成される低濃度領域は、TFT基板を平面視した場合に、ゲート電極の端部(ゲート端のこと)に位置するシリコン半導体膜の部分に形成される領域である。
こうしたLDD構造のTFT基板の製造方法は、上記第2又は第3実施形態の製造方法のイオン注入工程の前後に、LDD構造に係る低濃度領域を形成するための追加のイオン注入工程とマスク形成工程を追加することにより構成できる。すなわち、ゲート電極エッチング工程後に、イオン注入工程(低濃度領域形成用)、マスク形成工程(ソース−ドレイン拡散領域形成用)、イオン注入工程(ソース−ドレイン拡散領域形成用)の順で構成し、その後、活性化工程に続く。その他の工程は上記第3実施形態の製造方法と同じであり、さらに、高圧水蒸気処理のタイミングやその効果も上記第3実施形態の製造方法と同じである。
(第5実施形態)
次に、より具体的な実施形態について説明する。この第5実施形態は、ゲートオーバーラップ構造を用いたRFID(Radio Frequency Identification)、ICtagなどの回路を形成する場合について説明する。
この場合の製造方法として、例えば上記第1実施形態の製造方法において、最後の電極(ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極)エッチング工程後に、さらに、層間絶縁膜成膜工程、層間絶縁膜エッチング工程、配線電極成膜工程、配線電極エッチング工程、をその順で追加することにより構成できる。その他の工程は上記第1実施形態の製造方法と同じである。
この製造方法においては、高圧水蒸気処理を、電極エッチング工程後行われる層間絶縁膜成膜工程後、又は、最後の配線電極エッチング工程後に行う。ただし、この場合の高圧水蒸気処理は層間絶縁膜を介したゲート絶縁膜に対する処理であるので、水蒸気が十分に浸透するための条件(温度、圧力、時間)が設定される。なお、高圧水蒸気処理を、電極エッチング工程後に行った場合や、層間絶縁膜エッチング工程後に行った場合には、電極表面が汚染(酸化)され、配線層とコンタクトしない場合がある(ソースドレイン電極は通常配線層としてゲート電極層とコンタクトする)。また、高圧水蒸気処理を配線電極成膜工程後に行った場合には、エッチングが良好にできない場合がある。
なお、層間絶縁膜がシリコン半導体膜のパッシベーション層の機能を持つので、保護膜は特に必要ないが、追加で形成してもよい。その場合も高圧水蒸気処理の後で保護膜を形成するとよい。
この第5実施形態と同様の製造方法を適用できる具体的な例としては、例えば、セルフアライン構造とLDD構造を有するRFIDを製造する場合、金属の反射電極を持つ反射型ディスプレイ(電子ペーパー、反射液晶など)を製造する場合、トップエミッション型の有機ELディスプレイを製造する場合、透過型液晶ディスプレイを製造する場合、ボトムエミッション型有機ELディスプレイを製造する場合、のいずれの場合においても本発明を適用できる。
以下、実施例と比較例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
基板10として厚さ0.7mmのガラス基板(コーニング1737)を用い、その上に、アンダーコート膜11として酸化ケイ素からなる厚さ300nmのバッファー膜(シリコン膜のレーザー結晶化時の熱ダメージからガラス基板を保護するための層)を例えばスパッタ法により形成し、その上に、スパッタ法により厚さ50nmのノンドープ非晶質シリコン膜21aを形成した。その後、全面にレーザー光を照射して(例えば、XeClエキシマレーザー、300Hz発振、照射面でのエネルギー密度300mJ/cm、レーザーパルス幅20nsec)、多結晶シリコン膜21pを形成した。この多結晶シリコン膜21pの上にフォトリソ法によりイオン注入用のレジストマスクを形成した後、イオン注入し(Pイオンを10keVの加速電圧で、5×1014イオン/cm注入)、イオン注入用のマスクに用いたレジストを除去した後、さらに熱処理(窒素雰囲気下で、450℃、10分間処理)して注入したイオンを活性化した。その後、シリコン膜をフォトリソ法によりアイランド化し(SFガスを用いたドライエッチング)、その後、8インチのSiOターゲットに投入電力:1.0kW(=3W/cm)、圧力:1.0Pa、ガス:アルゴン+O(50%)の成膜条件でSiO膜からなる厚さ100nmのゲート絶縁膜をスパッタ法で形成し、その後、そのゲート絶縁膜にフォトリソ法でコンタクトホールを形成し(フッ酸を用いたエッチング)、その後、アルミニウムからなる厚さ200nmの電極層をスパッタ法で形成し、フォトリソ法で電極パターンを形成した。その後、基板全体を13気圧(1.3MPa)・260℃の高圧水蒸気処理を2時間行った。得られたTFT基板について、トランジスタとしての電気測定を(アジレント社、電気測定器4156C)を用いて行い、電流−電圧特性から移動度を計算したところ、150cm/Vsの値を得た。
(比較例1)
実施例1において、13気圧(1.3MPa)・260℃の高圧水蒸気処理を、ゲート絶縁膜形成直後に行った他は、実施例1と同様にして比較例1のTFT基板を製造した。得られたTFT基板について、トランジスタとしての電気測定を実施例1と同じ方法で行い、移動度を計算したところ、20cm/Vsの値を得た。この値は、誤差を考慮しても実施例1に比べて著しく低い特性であった。
(実施例2)
絶縁膜のみの特性を評価する目的で、方位(100)のP型シリコンウエハ基板(ボロンを添加し、抵抗値を10Ωcmにしたもの)の上に、実施例1と同様のゲート絶縁膜と電極を形成した。このとき、高圧水蒸気処理は、実施例1と同じ手順(すなわち、ゲート絶縁膜の形成→電極形成→高圧水蒸気処理:13気圧(1.3MPa)・260℃)で行った。こうして処理した絶縁膜の特性について、周波数1MHzでの高周波CV測定を行って界面準位密度を評価した結果、界面準位密度は7.0×1010/cmeVであった。
(比較例2)
絶縁膜のみの特性を評価する目的で、シリコンウエハ基板(ボロンを添加し、抵抗値を10Ωcmにしたもの)の上にゲート絶縁膜と電極を形成した。このとき、高圧水蒸気処理は、比較例1と同じ手順(すなわち、ゲート絶縁膜の形成→高圧水蒸気処理:13気圧(1.3MPa)・260℃→電極形成)で行った。こうして処理した絶縁膜の特性について、周波数1MHzでの高周波CV測定を行って界面準位密度を評価した結果、界面準位密度は2.4×1011/cmeVであった。
(実施例3)
実施例1と同様の手順(すなわち、ゲート絶縁膜の形成→電極形成→高圧水蒸気処理)で高圧水蒸気処理を行ってTFT基板を作製し、電気特性を評価した。ただし、TFTの特性を向上させるための高圧水蒸気処理は、150℃、4.8気圧(0.48MPa)の条件とした。得られたTFT基板について、トランジスタとしての電気測定を実施例1と同じ方法で行い、移動度を計算したところ、70cm/Vsの値を得た。
(比較例3)
比較例1と同様の手順(すなわち、ゲート絶縁膜の形成→高圧水蒸気処理→電極形成)で高圧水蒸気処理を行ってTFT基板を作製し、電気特性を評価した。ただし、TFTの特性を向上させるための高圧水蒸気処理は、実施例3と同じ条件とした。得られたTFT基板について、トランジスタとしての電気測定を実施例1と同じ方法で行い、移動度を計算したところ、15cm/Vsの値を得た。
(実施例4)
実施例1と同様の手順(すなわち、ゲート絶縁膜の形成→電極形成→高圧水蒸気処理)で高圧水蒸気処理を行ってTFT基板を作製し、電気特性を評価した。ただし、SiO膜で形成したゲート絶縁膜の成膜条件の成膜圧力と投入電力を0.3Pa、2kWとし、TFTの特性を向上させるための高圧水蒸気処理を190℃、12.5気圧(1.25MPa)の条件とした。得られたTFT基板について、トランジスタとしての電気測定を実施例1と同じ方法で行い、移動度を計算したところ、25cm/Vsの値を得た。実施例3の結果と比較して、処理温度が高いにもかかわらず、移動度が低い値となっているが、これはゲート絶縁膜の成膜条件が異なるためであると考えられる。
(比較例4)
比較例1と同様の手順(すなわち、ゲート絶縁膜の形成→高圧水蒸気処理→電極形成)で高圧水蒸気処理を行ってTFT基板を作製し、電気特性を評価した。ただし、SiO膜で形成したゲート絶縁膜の成膜条件の成膜圧力と投入電力を0.3Pa、2kWとし、TFTの特性を向上させるための高圧水蒸気処理を190℃、12.5気圧(1.25MPa)の条件とした。得られたTFT基板について、トランジスタとしての電気測定を実施例1と同じ方法で行い、移動度を計算したところ、5.0cm/Vsの値を得た。
本発明の薄膜トランジスタ基板の一例を示す模式断面図である。 本発明の薄膜トランジスタ基板の製造工程を示す説明図である。 本発明の薄膜トランジスタ基板の製造工程を示す説明図である。
符号の説明
1 TFT基板
10 基板
11 アンダーコート膜
13 多結晶シリコン半導体膜
13s ソース側拡散膜
13c チャネル膜
13d ドレイン側拡散膜
14 絶縁膜
14g ゲート絶縁膜
15s ソース電極
15g ゲート電極
15d ドレイン電極
18 保護膜
21a 非晶質シリコン膜
21p 多結晶シリコン膜
22 レーザーアニール
23 酸化ケイ素膜
24 イオン注入
25 エネルギービーム
26 コンタクトホール
28 高圧水蒸気処理

Claims (7)

  1. 少なくとも、基板上にシリコン半導体膜を形成する工程と、酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜を形成する工程と、ゲート電極を形成する工程とをその順で有するトップゲート型の薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
    前記ゲート電極の形成工程後にのみ、300℃未満の高圧水蒸気処理工程を設け
    前記ゲート電極形成工程において、電極材料をアルミニウム、アルミニウム合金又はアルミニウムを含む複合金属とすることを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  2. 前記高圧水蒸気処理工程を、100℃を超え、300℃未満の温度と、1気圧を超え、飽和蒸気圧以下の圧力とからなる雰囲気下で行う、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  3. 前記高圧水蒸気処理工程を、150℃〜200℃の温度と、飽和蒸気圧とからなる雰囲気下で行う、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  4. 前記ゲート絶縁膜をスパッタリング法で形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  5. 前記基板が、非耐熱性基板である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  6. ゲートオーバーラップ構造の薄膜トランジスタ基板、セルフアライン構造の薄膜トランジスタ基板、及び、LDD構造の薄膜トランジスタ基板、のいずれかの製造に適用される、請求項1〜のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法で製造されてなる薄膜トランジスタ基板。
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