JP5212413B2 - 微粒子の磁力選別方法および磁力選別用マイクロウェル - Google Patents
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Description
本発明は、各種の産業的な分析に用いられる検体を分析するための予備処理に関するものである。具体的には、本発明は、揮発性の液体に浸漬された微粒子群を、磁力の付与により着磁する着磁性微粒子と着磁しない非着磁性微粒子とに選別する磁力選別方法、および、この方法に用いる磁力選別用マイクロウェルである。このような本発明の好適な実施の形態について説明する前に、まず、湿式分離における問題点、この問題点を解決するための本発明において基本となる技術思想、および、本発明の優位性について説明する。
上述したように、特許文献1〜4に記載した技術では、試料粒子を粒子と比べて大量の液中に懸濁させる必要がある。従って、液に溶解性のある試料粒子では、作業中に試料粒子が液に溶解するため、試料の物理的および化学的性質を損ない、分離後の分析精度に悪影響を及ぼすおそれがある、という問題が生じる。
この問題を解決するために、本発明者は、微粒子群を保持するマイクロウェル等を用いて、マイクロウェルの微粒子群を保持する部分の底部の平面と平板状のスペーサとの間に微粒子群を挟み込み、さらに、スペーサの背面側に磁石の先端部の平面を配置することによって、磁石の表面と微粒子との間の距離の粒子ごとの差異を、分離対象の微粒子群中で最大径の粒子の粒子径以下に保持する方法を考案した。
ところで、マイクロウェルを組み立て式とするためには、従来は、以下に説明するような大きな問題があった。
第1に、確実なシールをしようとする際の問題がある。マイクロウェルを組み立て式とした場合には、微粒子群に添加する揮発性の液体をマイクロウェルに保持するためのシールが必要となる。ここで、微粒子群に添加する揮発性の液体は、微粒子との濡れ性が要求されるため、一般に、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールのような表面張力および粘度が低いものが選択される。このような低級アルコールは、表面張力や粘度が極めて低いため、水や油などと比較してシールが困難となる。このような低級アルコールのような揮発性の液体のシールは、シール材(ガスケット)としてゴム等の弾性材料を使用し、このシール材を他の部品と強く締結すれば、一応は可能である。
第2に、シール材からの成分溶出(ブリード)の問題がある。微粒子群に添加される揮発性の液体として使用される低級アルコール等は、これに接触するシール材(ゴム等の弾性材料)中の架橋構造を破壊するとともに、弾性材料中に通常含有されている軟化剤成分を溶出させる。このようにして溶出した成分には不揮発性のものが多く含まれ、磁力選別後に、この不揮発性の溶出成分が、非着磁性微粒子とともに非着磁粒子用の基板上に残留してしまう。残留した溶出成分は、分析用検体を汚染し、例えば、粒子画像処理計測時に粒子画像への外乱要因となるなど、磁力選別後の分析の妨げになるため、好ましくない。
また、本発明の磁力選別用マイクロウェルを用いた磁力選別の対象となる粒子群として、例えば、高炉法による製鉄プラント由来の降下煤塵も含めることができる。このような降下煤塵によって引き起こされる、製鉄プラント構内に乗り入れる車両を汚損する等の問題への対策として、捕集された降下煤塵の煤塵種を特定することが有力であると考えられる。
以上、本発明の概要および先行技術に対する優位性について説明したが、続いて、図1、図3及び図4を参照しながら、本実施形態に係る磁力選別方法について詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る磁力選別方法における処理の流れを示すフローチャートである。図4は、本実施形態に係る磁力選別方法の具体例を示す説明図である。
まず、第1の工程では、図3および図1(a)に示すように、磁力選別用マイクロウェル100の窪み105の底部の平坦面に、分析用の検体となる微粒子群(例えば、製鉄所内の特定の場所で捕集された降下煤塵粒子)を散布する(S101)。この際、各粒子同士がなるべく接触しないように、散布量を調整し、さらに、適宜、ヘラ等により散布された微粒子群をならす。なお、窪み105の底部に散布する微粒子の個数は特に限定されないが、試料のばらつきの影響を評価するためには、少なくとも100個以上の微粒子を分析用サンプルとして供用することが好ましい。
次に、第2の工程では、図3および図1(a)に示すように、揮発性の液体Lが窪み105内で所定深さとなるように、揮発性の液体Lを窪み105に注入する(S103)。
微粒子群に添加する揮発性の液体Lとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールや、アセトン等のケトンや、灯油、ガソリン等の石油や、トルエン、ヘキサン等の環状炭化水素や、水などを用いることができる。ここで、分析対象の粒子種の範囲が予め判明している場合には、この粒子種と親和性の高い液体Lを用いればよい。例えば、分析対象の微粒子が親水性の高い粒子であれば、極性の高い液体(例えば、メタノール等)が親和性の高い液体Lとなり、分析対象の微粒子が親油性の高い粒子であれば、極性の低い液体(例えば、ヘキサン等)が親和性の高い液体Lとなる。
上記の所定深さ、すなわち、窪み105内における液体Lの深さは、微粒子群に含まれると想定される微粒子のうち、最大粒径の微粒子が揮発性の液体Lに浸漬する深さよりも深くなければならない(液深さ条件1)。好ましくは、液体Lの深さを、想定される微粒子の最大粒径の1.2倍以上の深さとする。
次に、第3の工程では、図3および図1(a)に示すように、スペーサ13を窪み105内の揮発性の液体Lに浸漬させることにより、磁石11を微粒子群(着磁性微粒子Pmおよび非着磁性微粒子Pnが含まれた粒子群)に接近させ、スペーサ13を介して着磁性微粒子Pmを磁石11に吸着(着磁)させる(S105)。従って、着磁性微粒子Pmは、スペーサ13の下面(磁石11がある側と反対側の面)に付着することになる。なお、磁石11が電磁石である場合には、磁石11を微粒子群に接近させる前に、磁石11を磁化させる必要がある。
本実施形態で使用する磁石11は、先端(微粒子群と接触する側)にスペーサ13が設けられている。磁石11は、先端が平坦な形状を有していればよく、磁石11としては、例えば、円柱型や角柱型等のものを使用できる。また、窪み105の底部に散布された微粒子との接触性と各微粒子に付与する磁力の均一性を確保するため、磁石11の先端部の断面積は、0.1cm2以上であることが好ましい。
磁石11の種類としては、永久磁石と電磁石のいずれでもよいが、永久磁石であれば、ネオジウム磁石、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石等を使用することができる。このうち、ネオジウム磁石やサマリウムコバルト磁石は、分析対象の微粒子として、強磁性材料だけでなく比較的強い常磁性材料まで含む場合に有効であり、フェライト磁石は、分析対象の微粒子として強常磁性材料のみを含む場合に有効である。また、磁石11として電磁石を使用した場合には、永久磁石では実現できない磁力を用いて、比較的弱い常磁性材料までを分離対象の微粒子として含む場合に電磁石を使用することが有効である。
スペーサ13の主な役割としては、スペーサ13の表面における磁力を均一化する役割がある。例えば、リング状の磁石を用いる場合、リング中央の孔に対応する、磁石11の中心部の近傍における磁力は一般に小さい一方で、磁石11の周縁部の近傍の磁力は一般に大きいため、水平面内における磁束密度の勾配が大きくなり、着磁性微粒子を磁石11に均一に付着させることが困難になる。これに対して、窪み105の底面に散布された微粒子群が、磁石11から一定距離下方に離れると、磁石11の中心部の下方の磁力は水平面上の周囲と同程度の磁力になる。特に、磁石11として、先端部の断面積が小さな細い磁石を使用する場合には、磁石11の先端から離れるに従って水平面内における磁束密度の勾配が小さくなり、磁力が均一化する。従って、磁石11の先端にスペーサ13を設けることにより、微粒子が必要以上に磁石11の先端に近接しないようにすることができる。
次に、第4の工程では、図3および図1(b),(c)に示すように、磁石11を窪み105の底面(マイクロウェルを組み立て型とする場合には、後述する非着磁性微粒子用基板210)から離隔させ、スペーサ13に付着した着磁性微粒子Pmをマイクロウェル100の外部の基板(着磁性粒子用基板10)上に載置する(S107)。ここで、磁石11を窪み105の底面から離隔させる際、スペーサ13を磁石11の先端に装着したままの状態で、磁石11を窪み105の上方に引き上げる。このとき、窪み105の底面に残留した微粒子が、非着磁性微粒子Pnのサンプルである(図1(b)を参照)。また、着磁性微粒子Pmを着磁性微粒子用基板10上に載置する際には、着磁性微粒子Pmが吸着した磁石11を着磁性微粒子用基板10に向けて下降させ、着磁性微粒子Pmと着磁性微粒子用基板10とを接触させればよい。
次に、第5の工程では、図3および図1(c)に示すように、磁石11を着磁性粒子用基板10から離隔させ、少なくとも着磁性微粒子Pmを着磁性粒子用基板10上に留置する(S109)。すなわち、この第5の工程では、磁石11を着磁性微粒子Pmから引き離す。具体的に、磁石11がネオジウム磁石等の永久磁石の場合には、スペーサ13を基板2上に固定し、磁石11をスペーサ13から離脱させて磁石11のみを引き上げ、スペーサ13の下に着磁性微粒子Pmを残留させる。こうすることで、着磁性微粒子Pmをスペーサ13の重力によって上方から押さえ、着磁性微粒子Pmを永久磁石である磁石11から引き離すことができる。スペーサ13を固定するためには、スペーサ13の重力を利用して、単に、スペーサ13を着磁性粒子用基板10上に静置すればよい。一方、磁石11が電磁石の場合には、電磁石に流していた電流を切り(消磁機能のある装置では、消磁電量を供給した後に電流を切り)、そのまま、磁石11を引き上げて、着磁性微粒子Pmを基板2上に残留させる。磁石11が電磁石の場合には、磁石11を引き上げる際に、スペーサ13を装着したまま引き上げてもよく、永久磁石の場合と同様に、磁石11をスペーサ13から離脱させて磁石11のみを引き上げてもよい。
本実施形態に係る磁力選別方法では、マイクロウェルとして、窪みの底面を構成する非着磁性微粒子用の基板を含む複数の部材からなる組み立て式の磁力選別用マイクロウェル(例えば、後述するマイクロウェル200)を用い、第5の工程の後に、図3および図4(a)に示すように、磁力選別用マイクロウェル200を解体して非着磁性粒子用基板210を取り出す第6の工程をさらに実施してもよい(S111)。このときの磁力選別用マイクロウェル200の解体方法としては、例えば、マイクロウェル200の各部品の締結方法がボルト締結の場合には、ボルトを緩めればよく、バンド締結の場合には、締結バンドを切断すればよい。
本実施形態に係る磁力選別方法では、第5の工程の後に、図3および図4(b)に示すように、非着磁性粒子用基板110を放置または加熱することにより、非着磁性粒子用基板110および非着磁性粒子Pnに付着している揮発性の液体Lを除去する第7の工程をさらに実施してもよい(S113)。この第7の工程を経た後は、非着磁性粒子用基板110上には、非着磁性粒子Pn(および、場合によってスペーサ13)のみが残留することとなる。
揮発性の液体Lの除去方法としては、非着磁性粒子用基板110を放置することにより揮発性の液体Lを揮発除去させる方法も適用可能である。しかし、液体Lの揮発に時間がかかると後述するブリードが生じやすくなることから、本実施形態においては、第7の工程は、第6の工程と並行して、あるいは、第6の工程よりも前に行ってもよい。この場合、非着磁性粒子用基板110を加熱して、揮発性の液体Lを短時間で乾燥除去させることが好ましい。このときの非着磁性粒子用基板110の加熱には、例えば、ヒータを用いればよい。また、加熱温度は、ゴムの劣化を生じないようにするために、60℃程度までとすることが好ましい。
本実施形態に係る磁力選別方法の対象となる微粒子(検体)の第1の例としては、ステンレス鋼(SUS304等)製のボールミル等の破砕機で破砕することにより製造した高純度セラミックス粒が挙げられる。このセラミックス粒中には、通常、破砕作業時に破砕機から剥離するなどしてステンレス鋼粒を主体として不純物粒子が含まれる。また、例えば、ネオジウム磁石等の強力な磁石に対しては、SUS304等のステンレス鋼は着磁するが、セラミックス粒は着磁しない。従って、高純度セラミックス粒を分析対象とした場合には、磁力選別に用いる磁石として、ネオジウム磁石等を使用すれば、セラミックス粒と、当該セラミック粒中のステンレス鋼粒を主体とした不純物粒子とを磁力選別することができる。これを利用すれば、セラミックス粒中の不純物粒子の濃度の測定を行うことができる。
以上、本発明に係る磁力選別方法について説明したが、続いて、図5を参照しながら、上述した第6及び第7の工程を含む微粒子の磁力選別方法に用いる組み立て式の磁力選別用マイクロウェルについて詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る組み立て式の磁力選別用マイクロウェルの全体構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は、(a)に示した磁力選別用マイクロウェルのA−A断面図である。
非着磁性微粒子用基板210は、本実施形態に係る第1の基板の一例である。非着磁性微粒子用基板210の材質としては、透明かつ非着磁性の材料であれば特に限定されないが、硬質で平滑であり、かつ、薬液による溶出が少ない物質が好適である。具体的には、非着磁性微粒子用基板210の材質として、ガラス、アクリル、塩化ビニル等の硬質の合成樹脂を用いることができ、また、粒子分析時に裏面からの観察を必要としない場合には不透明な材料、例えば、非金属材料を加工したものを用いてもよい。この中でも、透明、非着磁性、硬質、平坦で平滑な板状への加工しやすさ、薬液による溶出の少なさ等の観点から、非着磁性微粒子用基板210は、ガラス製のものが最も好ましい。
支持板220は、非着磁性微粒子用基板210を下方(微粒子が載置される面と反対側)から支持する。支持板220の材質は、非着磁性の材料でなければならず、強靭で永久歪みの小さい材料が好ましい。また、支持板220の材質は、少なくとも非着磁性微粒子用基板210に接する側の表面は、平坦で平滑であり、表面から非着磁性微粒子用基板210を汚染(錆等の剥離による汚染)しにくい材料であることが好ましい。以上の観点から、非着磁性微粒子用基板210の材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、黄銅、青銅、チタン等を用いることができる。
ガスケット230は、ゴムまたはエラストマーといった弾性体で形成されている。具体的には、本実施形態では、ガスケット230の材質として、微粒子群に添加される揮発性の液体に溶解せず、かつ、デュロメータで測定した硬度がA30以上A65以下である弾性体を使用する。
以下、図6を参照しながら、ガスケット230の材質として好適な材料について詳細に説明する。図6は、種々のゴムやエラストマーの硬度(デュロメータ硬さ)とSP値(溶解度パラメータ)との関係の一例を示すグラフである。なお、図6には、参考として、本実施形態に係る揮発性の液体の一例として、エタノールのSP値を示している。
また、ガスケット230には、貫通孔231が形成されている。この貫通孔231は、締結されたときに磁力選別用マイクロウェル200に形成される窪み(ウェル)に相当する部分となる。この貫通孔231の形成方法としては、例えば、外形が非着磁性粒子用基板210と略同一形状の弾性体の板に、窪みに相当する部分を穿孔する方法が挙げられる。また、環状の弾性体の板をガスケット230として用いて、環状の板の中心の開口部(貫通孔231に相当)と中心の開口部内で露出する非着磁性粒子用基板210の表面とで窪みを構成するようにしてもよい。
押さえ板240の材質としては、支持板220に用いることのできる材質が好ましい。すなわち、押さえ板240の材質は、非着磁性の材料でなければならず、強靭で永久歪みの小さい材料が好ましい。また、押さえ板240の材質は、少なくともガスケット230に接する側の表面は、平坦で平滑であり、表面からガスケット230を汚染(錆等の剥離による汚染)しにくい材料であることが好ましい。以上の観点から、押さえ板240の材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、黄銅、青銅、チタン等を用いることができる。
また、本実施形態に係る磁力選別用マイクロウェル200では、上述した支持板220と、非着磁性微粒子用基板210と、ガスケット230と、押さえ板240とが下方から順に積み重ねられて締結された状態で、ガスケット230の貫通孔231と押さえ板240の貫通孔241とにより、揮発性の液体を保持するための窪み205が形成される。この窪みの形状や寸法は、貫通孔231および貫通孔241の形状および寸法や、ガスケット230および押さえ板240の寸法等により決まる。
また、支持板220と、非着磁性微粒子用基板210と、ガスケット230と、押さえ板240とを締結する方法としては特に限定されないが、例えば、以下のようなボルト締結やバンド締結等が挙げられる。ただし、上述したように、締結力が強すぎると、マイクロウェルが大型化するとともに組み立てや解体が簡易ではなくなるという問題や、ガスケット230として使用した弾性体の変形量が大きくなるため、弾性体の端面における微小な亀裂が発生しやすくなる、といった問題がある。従って、本実施形態における締結方法としては、適度な締結力を付与することができるバンド締結の方が好ましい。以下、それぞれの締結方法について説明する。
ボルト締結の場合は、例えば、支持板220および押さえ板240を非着磁性粒子用基板210およびガスケット230よりも一周り大きく設定し、この支持板220および押さえ板240の周囲の余白部分に、ボルト孔を複数穿孔して支持板220と押さえ板240とを通しボルトとナットで締結する。この方法は、確実にシールすることができるが、マイクロウェルの構造が複雑となり、組み立てや解体が容易ではない。
バンド締結の場合は、ナイロン等の合成樹脂製の締結バンド250で支持板220、非着磁性粒子用基板210、ガスケット230および押さえ板240をこの順で積層したものの外周部を締結する。締結バンド250としては、市販の電線用ケーブルタイを用いてもよい。
実施例1として、SUS製のボールミルで破砕して製造したアルミナ微粒子中の不純物粒子の分離(磁力選別)を行い、各種分析を行った。
1)磁石、スペーサ
着磁性微粒子と非着磁性微粒子とを磁力選別するための磁力選別装置としては、磁石の先端に着脱式のスペーサが装着されたものを用いた。磁石としては、直径25mmの円柱型の電磁石を使用した。この磁石によるスペーサ(着脱式のスペーサ)の下面における磁束密度は0.5Tであった。また、スペーサとしては、直径30mmで厚み2mmのガラス製の円形板を使用し、これを磁石の下面に、真空ポンプにより真空引きしたときの吸引力を利用して吸着させて固定した。
磁力選別用マイクロウェルとしては、一体型のマイクロウェルを使用し、このマイクロウェルは、ガラス製で、円形断面の直径が40mm、ウェル(窪み)の底部は平坦な形状で、ウェルの数は1個であった。
着磁性粒子用基板としては、60mm角で厚み3mmのガラス製の板を使用した。
分析用の試料としては、SUS304製ボールミルで粉砕した高純度アルミナ粒子1mgを使用した。このアルミナ粒子の最大粒径は50μmであった。
次に、上述した実施形態に係る磁力選別方法における第3〜第5の工程を実施して(図1、図3及び図4を参照)、着磁性微粒子と非着磁性微粒子とに分離した。なお、揮発性の液体としては、エタノール0.5mlを用いた。
次に、市販の三眼式実体顕微鏡(対物レンズ倍率:0.5倍)に、市販のリング状光源(白色光)をレンズ鏡筒に、市販のモノクロディジタルカメラ(CCD600万画素、画素寸法は3μm角)をカメラ装着口に、それぞれ装着した。次いで、顕微鏡のステージに、着磁性粒子のサンプルのみを載置し、所定の照明条件、カメラの絞り及び露出条件として撮影し、着磁性粒子の撮像画像を得た。
実施例2として、高炉法による製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種ごとの分離(磁力選別)を行い、各種分析を行った。
1)磁石、スペーサ
着磁性微粒子と非着磁性微粒子とを磁力選別するための磁力選別装置としては、磁石の先端に固定式のスペーサと着脱式のスペーサとが装着されたものを用いた。磁石としては、外径13mm、内径4mm、高さ10mmの円筒型のネオジウム磁石を使用した。この磁石によるスペーサ(着脱式のスペーサ)の下面における磁束密度は0.4Tであった。また、固定式のスペーサとしては、外径15mm、内径10mm、厚み2mmのブチルゴム製のスペーサを使用し、これを磁石の先端部に接着して固定した。また、着脱式のスペーサとしては、直径15mmで厚み0.2mmのガラス製のスペーサを使用し、これを固定式のスペーサの下面に、真空ポンプにより真空引きしたときの吸引力を利用して吸着させて固定した。
磁力選別用マイクロウェルとしては、組み立て型のものを使用した。各部品については、支持板としては、40mm角で厚み5mmのジュラルミン製の板を使用し、非着磁粒子用基板としては、40mm角で厚み3mmのフロートガラス製の板を使用し、ガスケットとしては、外形40mm角で厚み2mmで、かつ、中心に直径20mmの貫通孔が形成されたブチルゴム製のものを使用し、押さえ板としては、外形40mm角で厚み5mmで、かつ、中心に直径20mmの貫通孔が形成されたジュラルミン製のものを使用した。また、これらの部品の締結方法としては、長さ250mmのナイロン製ケーブルタイで、マイクロウェルの両端部2箇所を手動工具(市販のケーブルタイ締結工具)で締結した(締結力は10kgf)。
着磁性粒子用基板としては、非着磁性粒子用基板と同一の形状・寸法・材質のものを使用した。
まず、分析用の試料として、高炉法による製鉄プラントの敷地内で降下煤塵を市販のデポジットゲージで1週間捕集し、100mgの降下煤塵(平均直径20μm)を得た。この降下煤塵を屋内で3日間自然乾燥した後、降下煤塵の全量のうちの300μg(最大粒子径:150μm)を0.2mlのエタノール中に懸濁させ、マイクロピペットで懸濁溶液の全てを基板上に滴下した。
次に、上述した実施形態に係る磁力選別方法における第3〜第7の工程を実施して(図4〜図6を参照)、着磁性微粒子と非着磁性微粒子とに分離した。なお、第6の工程におけるマイクロウェルの解体は、ケーブルタイを切断することにより行った。また、第7の工程における揮発性液体の除去方法としては、非着磁性粒子用基板を電熱ヒータで加熱し、10分で基板上に残留したエタノールを蒸発除去した。
次に、市販の三眼式実体顕微鏡(対物レンズ倍率:0.5倍)に、市販のリング状光源(白色光)をレンズ鏡筒に、市販のモノクロディジタルカメラ(CCD600万画素、画素寸法は3μm角)をカメラ装着口に、それぞれ装着した。次いで、顕微鏡のステージに、着磁性降下煤塵のサンプルと非着磁降下煤塵のサンプルをそれぞれ載置し、照明条件を同一にするとともに、カメラの絞り及び露出を同一条件として順に撮影し、着磁性煤塵画像と非着磁性煤塵画像を得た。
11 磁石
13 スペーサ
100 磁力選別用マイクロウェル
105 窪み(ウェル)
110 非着磁性粒子用基板
120 支持板
130 ガスケット
140 押さえ板
150 締結バンド
Pm 着磁性微粒子
Pn 非着磁性微粒子
L 揮発性の液体
Claims (11)
- 平坦な底面を有する窪みが設けられたマイクロウェルの前記窪み内に、磁力の付与により着磁する着磁性微粒子と着磁しない非着磁性微粒子とからなる微粒子群を含んだ揮発性の液体を保持し、前記微粒子群を前記着磁性微粒子と前記非着磁性微粒子とに選別する磁力選別方法であって、
磁石の先端に装着された非磁性材料製で平板状のスペーサを前記揮発性の液体に浸漬させ、前記スペーサと前記窪みの底面との間に前記微粒子群を挟み込んだ状態で、前記窪み内の前記揮発性の液体の深さを、前記スペーサが前記揮発性の液体に浸漬され、かつ、前記磁石が前記揮発性の液体に浸漬されない所定深さとする条件で、前記着磁性微粒子を前記スペーサを介して前記磁石に吸着させる着磁工程と、
前記磁石を前記マイクロウェルから離隔させ、前記スペーサを介して前記磁石に吸着された前記着磁性微粒子と、前記窪み内に残留した前記非着磁性微粒子とに分離する磁力分離工程と、
を含むことを特徴とする、磁力選別方法。 - 前記着磁工程は、
前記窪みの底部に前記微粒子群を散布する第1の工程と、
前記揮発性の液体が前記窪み内で前記所定深さとなるように、前記揮発性の液体を前記窪みに注入する第2の工程と、
前記スペーサを前記窪み内の前記揮発性の液体に浸漬させることにより前記磁石を前記微粒子群に接近させ、前記スペーサを介して前記着磁性微粒子を前記磁石に吸着させる第3の工程と、
を含み、
前記磁力分離工程は、
前記磁石を前記窪みの底面から離隔させ、前記スペーサに付着した前記着磁性微粒子を前記マイクロウェルの外部の着磁性微粒子用の基板上に載置する第4の工程と、
前記磁石を前記着磁性微粒子用の基板から離隔させ、少なくとも前記着磁性微粒子を前記着磁性微粒子用の基板上に留置する第5の工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の磁力選別方法。 - 前記マイクロウェルとして、前記窪みの底面を構成する非着磁性微粒子用の基板を含む複数の部材からなる組み立て式の磁力選別用マイクロウェルを用い、
前記第5の工程の後に、
前記磁力選別用マイクロウェルを解体して前記非着磁性微粒子用の基板を取り出す第6の工程と、
前記非着磁性微粒子用の基板を放置または加熱することにより、前記揮発性の液体を除去する第7の工程と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の磁力選別方法。 - 前記第5の工程において、前記着磁性微粒子用の基板上で前記磁石を前記スペーサから離脱させ、前記スペーサに付着した前記着磁性微粒子を前記スペーサとともに前記非着磁性微粒子用の基板上に留置することを特徴とする、請求項2または3に記載の磁力選別方法。
- 前記第3の工程の際の前記スペーサの前記微粒子群側の面における平均磁束密度が0.1T以上0.4T以下であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の磁力選別方法。
- 前記微粒子群は、高炉法による製鉄プラントから発生した降下煤塵からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁力選別方法。
- 前記揮発性の液体は、メタノール、エタノールおよびプロパノールからなる群より選択された少なくとも1種以上のアルコールであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁力選別方法。
- 請求項3〜7のいずれか1項に記載の磁力選別方法に用いる磁力選別用マイクロウェルであって、
透明かつ非着磁性の材料で形成された平板状の非着磁性微粒子用の基板と、
前記非着磁性微粒子用の基板を支持し、非着磁性の材料で形成された平板状の支持板と、
前記揮発性の液体に溶解せず、かつ、デュロメータで測定した硬度がA30以上A65以下である弾性体で形成され、1または複数の貫通孔を有するガスケットと、
非着磁性の材料で形成され、1または複数の貫通孔を有する平板状の押さえ板と、
を備え、
前記支持板と、前記非着磁性微粒子用の基板と、前記ガスケットと、前記押さえ板とが下方から順に積み重ねられて締結された状態で、前記ガスケットの貫通孔と前記押さえ板の貫通孔とにより、前記揮発性の液体を保持するための窪みが形成されることを特徴とする、磁力選別用マイクロウェル。 - 前記弾性体は、ブチルゴム、EPMまたはEPDMのいずれか1種であることを特徴とする、請求項8に記載の磁力選別用マイクロウェル。
- 前記締結の方法が、バンド締結であることを特徴とする、請求項8または9に記載の磁力選別用マイクロウェル。
- 前記非着磁性微粒子用の基板は、ガラス板であることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の磁力選別用マイクロウェル。
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