JP5216699B2 - レーザー蒸着装置 - Google Patents
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Description
そこで、本出願人は、テープ状の基材表面に蒸着粒子を均一に堆積させることができるレーザー蒸着法による薄膜の形成方法として、テープ状の基材を蒸着粒子の堆積領域内を複数回通過させて、堆積領域を通過する度にテープ状の基材上に蒸着粒子を堆積させ、基材上に複数層からなる薄膜を成膜するための装置を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
そこで本出願人は、周回するテープ状の基材を保温用のヒーターボックスで囲み、ヒーターボックスの一部に開口を設け、この開口の下方にターゲットを配置し、このターゲットにレーザー光を照射し、ヒーターボックスの開口を介して蒸着粒子を基材側に飛来させて堆積することができる成膜装置を提案している。(特許文献2参照)
そこで本発明者は、図5に示す如くレーザー光を照射するべき領域aのみに合わせた横幅のターゲット104を用い、このターゲット104をバッキングプレート100の中央部のみに取り付けてレーザー蒸着を行う試験を行い、酸化物超電導導体を製造したところ、得られた酸化物超電導導体の臨界電流密度が低下するなどの問題を生じた。
本発明は、レーザー蒸着により酸化物超電導層を長尺の基材上に成膜する場合、高価なターゲットの無駄を少なくして酸化物超電導層の成膜コストの低減を図るとともに、成膜領域の熱分布を均等にして安定した膜質の超電導層を成膜することができるレーザー蒸着装置の提供を目的とする。
本発明は、長尺基材を収容する処理容器と、該処理容器内に配置され前記長尺基材を囲んで保温する開口付きヒーターボックスと、該ヒーターボックスの開口に隣接して設けられたターゲットホルダと、該ターゲットホルダに保持されるターゲットにレーザー光を照射するレーザー光発光手段と、前記処理容器内に設けられて前記長尺基材をレーン状に複数列に分けて巻回支持する複数の巻回部材とを備え、前記レーザー光を前記ターゲットの表面に照射し、該ターゲットから叩き出され若しくは蒸発した蒸着粒子を前記ヒーターボックス内において前記巻回部材に支持された長尺基材表面に堆積させるレーザー蒸着装置であって、前記巻回部材間に複数列に分けて支持される長尺基材の幅方向の設置範囲に対応する幅のターゲットが設置され、該ターゲットの裏面側に該ターゲットよりも幅広のバッキングプレートが設置され、該ターゲットの幅方向両側に前記バッキングプレートに支持された耐熱金属製のダミープレートが設置されるとともに、前記ダミープレートの前記バッキングプレート側に酸化物膜が形成されてなることを特徴とする。
本発明は、前記ターゲットが酸化物超電導体用材料であり、前記薄膜が酸化物超電導薄膜であることを特徴とする。
本発明は、前記巻回部材が複数個同軸的に配列されて巻回部材群とされ、この巻回部材群が少なくとも一対前記ヒーターボックス内に対向配置され、前記長尺基材がこれらの巻回部材群を複数周回することにより複数のレーン状に配列されてなることを特徴とする。
また、ターゲットの幅方向両側に耐熱金属製のダミープレートを設置するので、ターゲットからの輻射熱とダミープレートからの輻射熱を両方利用し熱バランスを図った上で基材にレーザー蒸着することができるので、複数列に分けて支持した基材のいずれの列においても温度を均等化して温度差の無い状態で均質な膜質で成膜することができる。例えば、レーザー蒸着により成膜するものが酸化物超電導層の場合、臨界電流密度などの超電導特性が劣化していない高特性の酸化物超電導導体の製造を低コストで実現できる。
図1〜図3は、本発明のレーザー蒸着装置の第1実施形態を示す図であり、図1(A)はレーザー蒸着装置の要部構成図、図2はこのレーザー蒸着装置10の側面図、図3はこのレーザー蒸着装置10の斜視図である。
なお、本実施形態では、図1(B)に示すように、テープ形状の金属基材2上に中間層3とキャップ層4を形成してなる長尺基材12に対し、本発明に係るレーザー蒸着装置10により酸化物超電導層6を形成してなる酸化物超電導導体Aを製造する場合を例にして説明する。
上述の酸化物超電導導体Aの一部を構成する長尺のテープ状の金属基材2を構成する材料としては、強度及び耐熱性に優れた、Cu、Ni、Ti、Mo、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Ag等の金属又はこれらの合金を用いることができる。特に、好ましいのは、耐食性及び耐熱性の点で優れているステンレス、ハステロイ、その他のニッケル系合金である。あるいは、これらに加えてセラミック製の基材、非晶質合金の基材などを用いても良い。
<中間層>
中間層3は、IBAD法などによって形成された蒸着膜であり、金属基材2と酸化物超電導層6との物理的特性(熱膨張率や格子定数等)の差を緩和するバッファー層として機能するとともに、この上に形成されるキャップ層4の配向性を制御する配向制御膜として機能する。このような中間層3の材料としては、例えば、イットリア安定化ジルコニウム(YSZ)、MgO、SrTiO3、Gd2Zr2O7等を単層あるいは複層化して適用する例を挙げることができる。
キャップ層4は、その上に設けられる酸化物超電導層6の配向性を制御する機能を有し、中間層3の表面に対してエピタキシャル成長し、横方向(面方向)に粒成長(オーバーグロース)して、結晶粒が面内方向に選択成長するという過程を経て成膜されたものであるものが好ましく、例えば、CeO2、Y2O3、Al2O3等を用いることができる。
<酸化物超電導層>
酸化物超電導層6の材料としては、RE−123系酸化物超電導体(REBa2Cu3O7−X:REはY、La、Nd、Sm、Eu、Gd等の希土類元素)を用いることができる。RE−123系酸化物として好ましいのは、Y123(YBa2Cu3O7−X)又はGd123(GdBa2Cu3O7−X)等であるが、その他の酸化物超電導体を用いることができるのは勿論である。
本実施形態のレーザー蒸着装置10は、長尺基材12を収容する処理容器11と、該処理容器11内に配置され長尺基材12を囲んで保温する開口付きのヒーターボックス13と、該ヒーターボックス13の開口14に隣接して設けられたターゲットホルダ16と、該ターゲットホルダ16に保持されるターゲット15にレーザー光18を照射するレーザー光発光手段17とを備えて構成され、レーザー光18をターゲット15の表面に照射し、該ターゲット15から叩き出され若しくは蒸発した蒸着粒子の噴流(以下、プルーム19と記す。)をヒーターボックス13内の長尺基材12の表面に向けて蒸着粒子を堆積させることができる。
このバッキングプレート16は巻回部材群22、23に複数回巻回されてターゲット15上に複数列のレーン(図1(A)では5レーンの場合を例示した)を構成するように配置された長尺基材12に対し、長尺基材12が構成する全レーンの幅bの3倍程度の幅に形成されている。そして、このバッキングプレート16の中央部に、長尺基材12が構成する全レーンの幅bと同程度の幅のターゲット15が装着されるとともに、ターゲット15の幅方向両側のバッキングプレート16上にターゲット15と同程度の幅のダミープレート30が装着されている。
ダミープレート30の厚さはターゲット30と同程度であることが好ましく、例えばターゲット15が5mm厚程度であれば、5mm程度の厚さとすることができる。前述の材料からなり、この程度の厚さがあれば、前述の如く加熱と冷却を受けても割れることがなく、仮にレーザー光が当たっても殆ど紫外線の吸収が無く、表面から粒子が蒸発することもないので、ダミープレート30を構成する粒子が長尺基材12側に飛び出すこともなく、生成しようとする酸化物超電導層側に不要元素の混入を起こすこともない。
レーザーの照射出力の調整は、レーザー光発光手段17に電力を供給する増幅装置(図示略)の出力を調整することにより行うことができる。また、レーザーの照射周波数は、1秒間当たりに間欠的に発振されるレーザーのパルスの数を示すものであり、この調整は、レーザー光発光手段17に電力を一定の周波数をもって間欠的に供給するか、レーザー光18が通過する経路のどこかに、回転セクタ等の機械的シャッタを設け、この機械的シャッタを一定の周波数をもって作動させることにより、調整することができる。
これによって、一対の巻回部材群22、23に巻回された長尺基材12がこれらの巻回部材群22、23を周回し、開口14に望む位置において複数列並んで移動するようになる。また、この開口14に隣接したバッキングプレート16上にターゲット15とダミープレート30を設置する。その後、排気装置24を駆動し、処理容器11内を減圧する。この際、必要に応じて処理容器11内に酸素ガスを導入して容器内を酸素雰囲気としても良い。
ターゲット15から叩き出され若しくは蒸発した蒸着粒子は、その放射方向の断面積が拡大したプルーム19となり、ヒーターボックス13に穿設された開口14からヒーターボックス13内に導入される。この開口14近傍には、長尺基材12が複数列並んで移動している。ヒーターボックス13内にプルーム19を導入することで、開口14近傍を複数列並んで移動している長尺基材12の表面に、蒸着粒子を堆積させることができ、長尺基材12がこれらの巻回部材群22、23を周回する間に、酸化物超電導層6が繰り返し成膜され、必要な厚さに積層される。酸化物超電導層6の成膜後、得られた酸化物超電導導体Aは、ヒーターボックス13から導出され、巻取リール21に巻き取られる。
このレーザー光18の走査とターゲット移動を行っている間、レーザー光18はターゲット15の両端部側においてダミープレート30の近傍側にも照射され、場合によっては走査されたレーザー光18がダミープレート30の端部に到達することもあるが、ダミープレート30は光反射性かつレーザー光18の吸収率が低い金属材料から構成されているので、ダミープレート30の構成粒子が叩き出されることが無く、蒸発されることもない。従って、ダミープレート30の構成元素が酸化物超電導層6に混入することがない。具体例としてステンレス鋼製のダミープレート30であるならばレーザー光の吸収性が低く、レーザー光を照射しても表面から粒子発生などは生じ難い。
次に、図1〜図3に示す構成のレーザー蒸着装置により、長尺基材の表面にGd1Ba2Cu3Oxからなる厚さ1μmの酸化物超電導層を成膜した。
次に、中央の酸化物ターゲットと両側のダミープレートを配置する構造において、ダミープレートの裏面側に形成するAl2O3層の膜厚を10μm、100μm、1000μm、10000μmとしたダミープレートをそれぞれ作製し、それぞれを使用した場合のレーザー蒸着も行い、酸化物超電導導体を製造した。
表1に示す結果から、バッキングプレート全体にGd1Ba2Cu3Ox組成の板状ターゲットを接合した場合は、ターゲット割れは問題にならず、使用限界の40時間の成膜が可能となる。また、この場合は温度分布差は少なく高特性の酸化物超電導層を生成することはできるが、コスト高になってしまう。即ち、成膜するものが希土類系酸化物超電導層であり、ターゲットは元々高価であり、この高価なターゲットの中央部分しか消費しないので製造コスト面では不利となる。
これに対して、バッキングプレートの中央部に接合したターゲットの両脇にGd1Ba2Cu3Ox組成の板状ターゲットを単に設置した場合、ヒートショックにより短時間でダミープレートが割れてしまい、ダミープレートとしての役割を果たさなくなった。更に、バッキングプレートの中央部のみにターゲットを配置し、その両側にバッキングプレートを露出させた場合は、輻射率の違いによりレーン毎の長尺基材の温度分布差が大きくなり、結果的に得られた酸化物超電導導体の臨界電流密度(Jc値)が低くなった。
なお、Al2O3層の膜厚については、ヒートショックの影響を受けやすくなり、剥離によってダミープレートとしての役割を果たさなくなるが、10000μm厚の試料であっても全部Gd123の試料よりは使用限界が向上した。なお、Al2O3層が剥離すると、生成する酸化物超電導層側への不要元素の拡散が問題となるおそれがある。
以上の結果から、長尺基材の成膜領域に対応した幅のターゲットを用い、そのターゲットの両側に、酸化物層を裏打ちしたダミープレートを設けた場合の方が、ターゲット単価を安くすることができ、しかも蒸着時間も長くすることができる。また、ダミープレート裏面に設ける酸化物層の厚さを最適化することにより、成膜コストを下げ、レーザー蒸着時間を長くできる上に、超電導特性の低下も生じない超電導導体の製造が可能なレーザー蒸着装置を提供できることが判明した。
Claims (4)
- 長尺基材を収容する処理容器と、該処理容器内に配置され前記長尺基材を囲んで保温する開口付きヒーターボックスと、該ヒーターボックスの開口に隣接して設けられたターゲットホルダと、該ターゲットホルダに保持されるターゲットにレーザー光を照射するレーザー光発光手段と、前記処理容器内に設けられて前記長尺基材をレーン状に複数列に分けて巻回支持する複数の巻回部材とを備え、
前記レーザー光を前記ターゲットの表面に照射し、該ターゲットから叩き出され若しくは蒸発した蒸着粒子を前記ヒーターボックス内において前記巻回部材に支持された長尺基材表面に堆積させるレーザー蒸着装置であって、
前記巻回部材間に複数列に分けて支持される長尺基材の幅方向の設置範囲に対応する幅のターゲットが設置され、該ターゲットの裏面側に該ターゲットよりも幅広のバッキングプレートが設置され、該ターゲットの幅方向両側のバッキングプレート上に耐熱金属製のダミープレートが設置されるとともに、前記ダミープレートの前記バッキングプレート側に酸化物膜が形成されてなることを特徴とするレーザー蒸着装置。 - 前記ダミープレートが光反射性の耐熱金属製のダミープレートであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー蒸着装置。
- 前記ターゲットが酸化物超電導体用材料であり、前記薄膜が酸化物超電導薄膜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザー蒸着装置。
- 前記巻回部材が複数個同軸的に配列されて巻回部材群とされ、この巻回部材群が少なくとも一対前記ヒーターボックス内に対向配置され、前記長尺基材がこれらの巻回部材群を複数周回することにより複数のレーン状に配列されてなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のレーザー蒸着装置。
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