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JP5216979B2 - 乾燥剤 - Google Patents
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Description

本発明は、乾燥剤に関するものである。
電子部品、精密機器、工作機械、産業機械等の貨物を輸送する際、近年の航空事情の発達により、航空便で輸送できる場合には、輸送時間が短時間で済むため、貨物周辺環境内の湿気により生じる貨物への悪影響は、特に問題となることはない。
しかしながら、それらの貨物の荷姿等によっては大きさ的に飛行機に積載できないという問題や、飛行機に積載できたとしても船便に比して輸送コストがかかる等の問題があり、このような場合には、現在でも船便によって輸送するのが一般的である。
船便による輸送の場合、それらの貨物は、長期間湿気にさらされてしまう。さらに、船の航路によっては、貨物周辺環境の寒暖の差が大きくなるため、貨物が収納されているコンテナ内の天井面に結露が発生し、水滴が貨物上に滴下することがある。この湿気や水滴の滴下によって、貨物が汚濁したり、貨物に錆が発生したりするという問題があった。
このような問題に対しては、従来、それらの貨物をビニール、ダンボール等の梱包資材で梱包したり、結露事故防止シートで被覆したりすることによる対策を採ることで、貨物を湿気や水滴の滴下から保護しようとしていた。
しかし、貨物をビニール、ダンボール等の梱包資材で梱包することで、結露の発生による水滴の滴下の問題は解消できるとしても、梱包時に湿気を含んだ空気とともに貨物を梱包することになるため、依然として貨物梱包内の空気中の湿気が問題となってしまう。そのため、貨物周辺環境内の湿気による影響を低減すべく、貨物とともに乾燥剤を梱包している。
なお、このような乾燥剤の他の用途としては、乾燥野菜、乾燥肉等の凍結乾燥食品、インスタントコーヒー、焼き海苔、味付け海苔、あられ、せんべい、ビスケット、乾麺、クッキー等の食品とともに使用されたり、ショーウィンドウ、空き家、別荘、美術館及び博物館等の展示ケース、押入れ、タンス、戸棚、下駄箱、ピアノ、床下、天井裏等に設置することにより使用されたりしており、幅広い分野・用途で使用されている。
上記食品は、わずかな水分の存在によって影響を受けることが多く、そのようなわずかな水分の存在によってすぐに品質変化・品質低下を引き起こしたり、食味低下・食感低下を招いたりしてしまう。また、水分の存在によって、食品、押入れ内の収容物、展示物、床下、天井裏等にカビや細菌等が発生・繁殖してしまい、衛生面、健康面及び環境面からしても好ましくない。
このような用途を有する乾燥剤としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の潮解性無機塩;カオリン、ベントナイト、ゼオライト、澱粉、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸ソーダ−アクリルアミド共重合体等の保水物;及びケイ酸カルシウム、水硬性セメント、水硬性石灰、石膏等の水和硬化物からなる乾燥剤が提案されている(特許文献1参照)。
また、このような乾燥剤に用いられる澱粉の形態としては、例えば、α化澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉及びエーテル化澱粉等の変性澱粉(加工澱粉)、並びにばい焼デキストリン、酵素変性デキストリン、酸分解デキストリン等の澱粉分解物等が知られている(特許文献2参照)。
さらに、塩化カルシウムとともに任意の形態の澱粉を2種以上混合して用いる技術も知られており、例えば、酸化澱粉、酵素転化澱粉、並びにヒドロキシル基、カルボニル基及びアミノ基等の官能基を含有する変性澱粉のうちの2種以上を混合した澱粉組成物と塩化カルシウムとからなる乾燥剤が知られている(特許文献3参照)。
このような乾燥剤は、通常、包装容器内に収納された状態で使用されるが、このような状態で使用される乾燥剤としての必要な性質は、塩化カルシウム等の吸湿剤が吸湿することによって生成される水(塩化カルシウム水溶液)を保水するための保水剤の保水能力、保水した保水剤のゲル化能力、保水した保水剤からの離水防止能力等である。
すなわち、吸湿剤が空気中の水分を吸収して液化したものや、一旦保水剤等に保水された水が離水して液化したものが包装容器内に留まっていると、包装容器が破損した場合に液漏れを起こしてしまい、コンテナ内の貨物や乾燥剤周辺の食品等の汚染、汚濁、発錆等を引き起こすため、吸湿剤が吸湿することによって生成される水全量を保水剤によって吸水し、ゲル化させるとともに、離水を防止することが必要である。
特公昭62−30815号公報 特許第3327983号公報 特開平10−99632号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3には、乾燥剤に含有されている澱粉として、α化澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉及びエーテル化澱粉等の変性澱粉(加工澱粉)、並びに澱粉分解物であるデキストリン等が開示されているが、これらの澱粉は未糊化の澱粉に比して高価であり、乾燥剤の製造にコストがかかってしまうという問題がある。
一方、未糊化の澱粉は、価格的には安価であるが、その他の変性澱粉(加工澱粉)に比して吸水能力が低いことから、乾燥剤からの液漏れを防止するためには、乾燥剤に澱粉とともに含まれる塩化カルシウム等の潮解性物質の乾燥剤中の含有量を少なくし、澱粉の含有量を多くする必要があり、乾燥剤の原料として好適ではないという問題がある。なお、近年、地球温暖化の問題が深刻化する状況下において、エネルギーコストが極力低い未糊化の澱粉を乾燥剤の原料として使用することが好ましいのは言うまでもない。
そこで、本発明は、吸水能力に優れるとともに液漏れが生じ難く、かつ価格的に安価な乾燥剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、価格的に安価な澱粉を乾燥剤として使用すべく鋭意研究した結果、ワキシー澱粉の吸水能力が他の澱粉よりも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、塩化カルシウムと、ワキシー澱粉とα化澱粉とを含有することを特徴とする乾燥剤を提供する(発明1)。かかる発明(発明1)によれば、乾燥剤周辺環境に存在する水分を塩化カルシウムが吸水し、これにより生成した塩化カルシウム水溶液を、吸水能力が高く、かつ低コストのワキシー澱粉が吸水し、ゲル化することができるため、吸水能力に優れるとともに液漏れが生じ難く、かつ低コストの乾燥剤とすることができる。また、ワキシー澱粉は、常温以下(約10〜30℃)であって所定の濃度(約42%程度)以上の塩化カルシウム水溶液を吸水し難いが、α化澱粉は、常温以下であって所定の濃度以上の塩化カルシウム水溶液であっても吸水する。そして、塩化カルシウムによる吸水初期段階においては、高濃度の塩化カルシウム水溶液が生成し、経時的に当該濃度が低下すると考えられる。したがって、かかる発明によれば、塩化カルシウムによる吸水初期段階においては、α化澱粉が所定の濃度以上の塩化カルシウム水溶液を吸水し、その後所定の濃度以下となった塩化カルシウム水溶液をワキシー澱粉が吸水するため、塩化カルシウムによる吸水(吸湿)初期段階においても吸水・ゲル化することができ、液漏れが生じ難い乾燥剤とすることができる。
上記発明(発明1)においては、前記ワキシー澱粉が、未糊化のワキシー澱粉であることが好ましい(発明2)。未糊化のワキシー澱粉は、低コストで入手可能であるため、かかる発明(発明2)によれば、ワキシー澱粉が未糊化であることによって、より低コストの乾燥剤とすることができる。
上記発明(明1〜2)においては、少なくとも前記ワキシー澱粉が、もち種とうもろこし起源の澱粉であることが好ましい(発明3)。かかる発明(発明3)によれば、もち種とうもろこし起源のワキシー澱粉は、ワキシー澱粉の中でも優れた吸水能力を有するため、より吸水能力が高く、液漏れが生じ難い乾燥剤とすることができる。
上記発明(発明1〜3)においては、前記ワキシー澱粉と前記α化澱粉との配合割合が、8:2〜2:8であることが好ましい(発明4)。かかる発明(発明4)によれば、ワキシー澱粉とα化澱粉との配合割合が上記範囲内であれば、優れた吸水能力を有するとともに、ゲル化能力に優れるため、より液漏れの生じ難い乾燥剤とすることができる。
上記発明(発明1〜4)においては、高吸水性樹脂をさらに含有することが好ましい(発明5)。かかる発明(発明5)によれば、高吸水性樹脂をさらに含有することで、より吸水能力に優れるとともに、液漏れの生じ難い乾燥剤とすることができる。
本発明によれば、吸水能力に優れるとともに液漏れが生じ難く、かつ価格的に安価な乾燥剤を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る乾燥剤について説明する。
本実施形態に係る乾燥剤は、塩化カルシウムと、ワキシー澱粉とを含有するものである。
塩化カルシウムの形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、微粉状、細粉状、粗粉状、顆粒状又は粒状のものであればよく、その粒径も特に限定されるものではないが、粒径がより小さい方が、塩化カルシウムの表面積を増加させることができ、塩化カルシウムによる吸水速度を向上させることができるため好ましい。
ワキシー澱粉とは、澱粉に含まれるアミロペクチン量がほぼ100%であるもち種の澱粉をいい、もち米澱粉、ワキシー馬鈴薯澱粉、もち種とうもろこし(ワキシーコーン)澱粉等が挙げられる。本実施形態におけるワキシー澱粉は、その供給能力及び価格等の観点から、もち種とうもろこし起源の澱粉(もち種とうもろこし澱粉)であるのが好ましい。
また、ワキシー澱粉は、未糊化のもの(すなわち、澱粉粒が実質的に損傷を受けず、健全な未糊化の状態を保持しているもの)であってもよいし、未糊化のワキシー澱粉を加工したワキシーアジピン酸架橋アセチル化澱粉、ワキシー燐酸架橋澱粉、ワキシーカチオン化澱粉等の加工澱粉であってもよいが、未糊化のワキシー澱粉であるのが好ましい。未糊化のワキシー澱粉は、他の澱粉に比して吸水能力に優れているとともに、変性澱粉(加工澱粉)等よりも低コストで入手可能であるため、乾燥剤の製造コストを低減することができる。
本実施形態に係る乾燥剤は、さらにα化澱粉を含有するのが好ましい。塩化カルシウムは、空気中の水分を吸水して高濃度の塩化カルシウム水溶液を生成するが、吸水の進行に伴って当該水溶液の濃度が徐々に低下していくと考えられる。ここで、未糊化のワキシー澱粉は、その吸水能力は他の澱粉に比して高く、所定の濃度の塩化カルシウム水溶液中であれば、常温で吸水するが、当該水溶液の濃度がそれ以上の濃度であると吸水することが困難となる。一方、α化澱粉は、未糊化のワキシー澱粉より吸水能力は劣るが、所定の濃度以上の濃度の塩化カルシウム水溶液中であっても吸水することができる。したがって、かかる乾燥剤は、α化澱粉を含有することで、塩化カルシウムが空気中の水分の吸水を開始した初期段階においては、それにより生成された高濃度の塩化カルシウム水溶液をα化澱粉が吸水し、所定の濃度に低下した塩化カルシウム水溶液を未糊化のワキシー澱粉が吸水することができるため、幅広い温度域(例えば、10〜70℃)で使用することができ、かつ吸水能力が高く、液漏れの生じ難い乾燥剤とすることができる。
本実施形態において、α化澱粉とは、未糊化の澱粉に水を加えて加熱することで糊化させたものを急速に乾燥した加工澱粉のことをいう。このようなα化澱粉の原料としては、例えば、馬鈴薯、小麦、米、とうもろこし、サツマイモ、キャッサバ、クズ、カタクリ、ソラマメ、緑豆、小豆等から分離した未糊化の澱粉が挙げられる。本実施形態におけるα化澱粉は、これらの原料のうち、もち種とうもろこし起源の澱粉を原料として得られるα化澱粉であるのが好ましい。なお、本実施形態におけるα化澱粉は、α化澱粉にエステル化、エーテル化、架橋等の加工処理をさらに施したものであってもよい。
本実施形態に係る乾燥剤において、ワキシー澱粉とα化澱粉とを含有せしめる場合、それらの配合割合は、特に限定されるものではないが、8:2〜2:8であるのが好ましく、6:4〜2:8であるのがさらに好ましく、特に製造コストの観点からα化澱粉よりもワキシー澱粉の配合量を多くするのが好ましい。ワキシー澱粉の配合割合が8を超え、かつα化澱粉の配合割合が2未満であると、塩化カルシウムによる吸水初期段階に生成される塩化カルシウム水溶液を効果的に吸水・ゲル化できないおそれがあり、ワキシー澱粉の配合割合が2未満で、かつα化澱粉の配合割合が8を超えると、ワキシー澱粉の配合量が少なくなり、塩化カルシウムの吸水により生成された塩化カルシウム水溶液を十分に吸水・ゲル化できないおそれがある。
本実施形態に係る乾燥剤は、さらに高吸水性樹脂を含有してもよい。これにより、さらに吸水能力が高く、液漏れの生じ難いものとすることができる。高吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリルアミド系重合体、セルロース系カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルアルコール系重合体等が挙げられるが、ポリアクリルアミド系重合体を用いるのが好ましい。
ポリアクリルアミド系重合体としては、例えば、カチオン性モノマー(ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のメタアクリル酸エステル誘導体;ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド−3−メチルブチルジメチルアミン等の(メタ)アクリルアミド誘導体等)、アニオン性モノマー(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アリルカルボン酸、メタリルカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シトラコン酸等)、スルホン酸モノマー(アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等)、ホスホン酸モノマー(ビニルホスホン酸、α−フェニルホスホン酸、1−ブテン−2−ホスホン酸、イソプロペニルホスホン酸等)及びノニオン性モノマー((メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等)のうちから選ばれる1種又は2種以上の共重合反応により得られる重合体が挙げられる。
本実施形態に係る乾燥剤における塩化カルシウム、ワキシー澱粉、α化澱粉、及び高吸水性樹脂の配合割合は、特に限定されるものではなく、乾燥剤の使用環境における湿度、水分量等の条件に応じて適宜変更すればよい。
本実施形態におけるワキシー澱粉の製造方法は、特に限定されるものではなく、もち種とうもろこし等を原料として使用し、従来のウェットミリング技術を用いて製造すればよい。また、本実施形態におけるα化澱粉の製造方法も、特に限定されるものではなく、従来の技術を用いて製造すればよい。
本実施形態に係る乾燥剤は、塩化カルシウムとワキシー澱粉(好ましくは、未糊化のワキシー澱粉)と、好ましくはα化澱粉と、さらに好ましくは高吸水性樹脂とからなる混合物を、少なくとも1面が水蒸気透過性(通気性)及び水不透過性を有するフィルムからなる包装材に収納し、加熱融着等により密封して、乾燥剤パッケージとして使用することができる。
水蒸気透過性及び水不透過性を有するフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ素化エチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマー等のポリオレフィン系材料から形成された単一性の微孔質フィルム、ウレタンフィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以上説明した本実施形態に係る乾燥剤は、ワキシー澱粉を含有することで、塩化カルシウムによる空気中の水の吸水にて生成される塩化カルシウム水溶液を効果的に吸水・ゲル化することができるため、吸水能力の高い乾燥剤を得ることができるとともに、乾燥剤からの液漏れを効果的に防止することができる。また、さらにα化澱粉を含有せしめることで、塩化カルシウム水溶液による吸水初期段階に生成される塩化カルシウム水溶液をすぐに吸水することができるため、さらに吸水能力を高めることができるとともに、乾燥剤からの液漏れをさらに防止することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下に試験例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例に何ら制限されるものではない。
〔吸水能力評価試験〕
下記表1に示す各試料(各種澱粉、各種高吸水性樹脂及びセピオライト,試料1〜15)1gに37.5質量%塩化カルシウム水溶液50gを加え、23℃で時々攪拌しながら40時間放置後、遠心分離して沈殿物(澱粉、高吸水性樹脂、セピオライト)を回収した。回収した沈殿物の質量を測定し、試料1g当たりの吸水量を算出した。
結果を表2に示す。
Figure 0005216979
Figure 0005216979
表2に示すように、未糊化のワキシーとうもろこし澱粉(試料1)は、吸水量が50.0g以上であり、その他の非ワキシー澱粉(試料3〜11)の3〜33倍程度の吸水量を示し、またワキシー架橋とうもろこし澱粉(試料1)は、その他の非ワキシー澱粉(試料3〜11)の2.5〜28倍程度の吸水量を示した。この結果、ワキシー澱粉は、その他の澱粉に比して優れた吸水能力を有することが確認され、未糊化のワキシー澱粉は特に優れた吸水能力を有することが確認された。また、未糊化のワキシーとうもろこし澱粉(試料1)は、高吸水性樹脂のうち最も優れた吸水能力を有するポリアクリルアミド(PAM,試料12)と同等の吸水能力を有することが確認された。
〔未糊化ワキシー澱粉の吸水能力評価試験〕
未糊化の澱粉は、所定の濃度範囲の塩化カルシウム水溶液中では、常温で糊化することが知られている。一方、塩化カルシウムは、空気中の水分を吸水して、高濃度の塩化カルシウム水溶液を生成するが、吸水の進行に伴って濃度が経時的に低下するものと考えられる。したがって、塩化カルシウム粉体と未糊化の澱粉とを混合して空気中にさらしておくと、塩化カルシウムの吸湿で形成された高濃度水溶液が所定の濃度に達したときに、澱粉が糊化することになる。すなわち、この時点で澱粉が吸水を始める。そこで、未糊化のワキシーとうもろこし澱粉(表1に示す試料1)が、常温で吸水を開始する塩化カルシウム水溶液の濃度を、以下に示す方法により調べた。
無水塩化カルシウムに蒸留水を加えて各種固形分濃度の塩化カルシウム水溶液を調製し、氷水浴中で5℃に冷却した。これに、固形分濃度が6質量%になるように未糊化のワキシーとうもろこし澱粉を懸濁させ、Rapid Visco-Analyzer(Newport Scientific Pty. Ltd.社製,製品名:Model RVA-4)を用いて糊化挙動を測定した。測定条件は、昇温速度12℃/分で、攪拌(160rpm)しながら加熱し、粘度が上昇し始める温度を測定し、この温度を糊化温度とした。塩化カルシウム濃度と糊化温度との関係を示すグラフを図1に示す。
図1に示すように、常温(30℃以下)では、未糊化のワキシーとうもろこし澱粉は、塩化カルシウムの濃度が約42%以下にまで低下しないと糊化せず、吸水しないことが確認された。
このことから、塩化カルシウムの濃度が42%を超えると考えられる塩化カルシウムによる吸水初期段階においては、未糊化のワキシーとうもろこし澱粉のみでは、塩化カルシウム水溶液を吸水し、ゲル化することが困難であると考えられ、低温域(約10〜30℃)、かつ塩化カルシウム濃度が高い場合であっても優れた吸水能力を発揮するα化澱粉やPAMを併用するのが好ましいと考えられる。
したがって、塩化カルシウムと、未糊化のワキシーとうもろこし澱粉と、α化澱粉及び/又はPAMとからなる乾燥剤は、10〜70℃の温度域で、塩化カルシウムによる吸水直後より塩化カルシウム水溶液を吸水し、ゲル化することができると考えられる。
〔乾燥剤の流動性評価試験〕
塩化カルシウムと、未糊化のワキシーとうもろこし澱粉(表1に示す試料1)と、α化とうもろこし澱粉(表1に示す試料3)とを表3に示す配合割合で混合して調製した乾燥剤(実施例1〜11,比較例1,2)を、40℃、相対湿度約70%に制御された恒温恒湿器内に設置し、塩化カルシウムの吸湿によって生成された水(塩化カルシウム水溶液)を吸収した澱粉(試料1,3)の流動状態を視覚的に観察し、乾燥剤(実施例1〜11,比較例1,2)の流動性を下記表4に示す基準により5段階に評価した。
結果を表5に示す。
Figure 0005216979
Figure 0005216979
Figure 0005216979
表5に示すように、ワキシー澱粉を配合した実施例1〜11の乾燥剤は、ワキシー澱粉を配合していない比較例1の乾燥剤に比して、塩化カルシウム水溶液を吸水し得ることが確認された。
また、実施例2〜5の乾燥剤は、使用開始5時間後〜1日後の使用開始初期段階から流動性が小さく、かつ使用開始4日後〜13日後の流動性も小さいことから、ワキシー澱粉とα化澱粉との配合割合が8:2〜2:8の範囲内であれば、使用開始初期段階においては、α化澱粉が塩化カルシウム水溶液を吸水し、その後においてはワキシー澱粉が吸水することができ、乾燥剤からの液漏れを防止することができることが確認された。
なお、ワキシー澱粉が含有されていない比較例2の乾燥剤は、流動状態が比較的良好ではあるが、上述の表2に示すように、α化澱粉がワキシー澱粉の1/3未満の吸水能力しか有していないことから、当該試験よりも湿度の高い条件下において使用した際に、塩化カルシウム水溶液の全量を吸水し得ないおそれがあると考えられる。
このように、ワキシー澱粉とα化澱粉及び/又はPAMとを組み合わせることによって、塩化カルシウムによる吸水にて生成される水(塩化カルシウム水溶液)の全量をこれらの混合物が吸水し、ゲル化することができる。塩化カルシウムの吸湿初期段階に生成される水(塩化カルシウム水溶液)は、α化澱粉及び/又はPAMが吸水し、ゲル化するとともに、その後に生成される水(塩化カルシウム水溶液)は、高い吸水能力を有するワキシー澱粉が吸収し、ゲル化することができる。したがって、高吸水能力を有し、かつ液漏れの生じ難い乾燥剤とすることができる。
本発明の乾燥剤は、電子部品、精密機械、工作機械、産業機械等の貨物を積載するコンテナ内等の貨物周辺環境の乾燥・除湿に有用である。
塩化カルシウム水溶液の濃度とワキシーとうもろこし澱粉の糊化温度との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 塩化カルシウムと、ワキシー澱粉とα化澱粉とを含有することを特徴とする乾燥剤。
  2. 前記ワキシー澱粉が、未糊化のワキシー澱粉であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥剤。
  3. 少なくとも前記ワキシー澱粉が、もち種とうもろこし起源の澱粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥剤。
  4. 前記ワキシー澱粉と前記α化澱粉との配合割合が、8:2〜2:8であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の乾燥剤。
  5. 高吸水性樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の乾燥剤。
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