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JP5219072B2 - チタン酸金属塩粒子の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明はチタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムから選ばれたチタン酸金属塩粒子の製造方法に関して、極めて微細で粒度分布のシャープなチタン酸金属塩粒子を水熱合成法で簡便、効率的に製造する方法を提供する。
一般に、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどを代表とするチタン酸金属塩は、積層セラミックコンデンサ、半導体デバイス及び高周波フィルターなどの誘電材料として汎用されている。
この誘電材料の単位面積当たりの反応量が増すと、例えば、積層セラミックコンデンサでは小型、大容量化が実現できるが、そのためには誘電材料の比表面積をできるだけ増大させる必要があり、その方策としてチタン酸金属塩を微粒子化することが試みられて来た。
そこで、チタン酸バリウム粒子を製造する従来技術を挙げると、次の通りである。
先ず、特許文献1には、チタン化合物とバリウム化合物を使用して水熱合成法によりチタン酸バリウムの粉末を製造する方法において、チタン化合物のpHを6.6〜10の範囲に制御し、或は、チタン化合物中の塩素含有率を所定濃度以下に制御して、不純物含有量の少ないチタン酸バリウムの粉末を製造すること(請求項1〜2、段落5〜7)、当該粉末の粒子径は40〜140nmであること(段落48)が記載されている。
また、先行文献2には、溶融法により平均粒径5〜1000nmのチタン酸バリウム微粒子の製造方法が開示され(請求項1と9)、先行文献3にも、10〜900nmの粒子サイズを有するチタン酸バリウムのナノパウダーが開示されている(請求項1、3)。
特開2007−261912号公報 特開2005−1989号公報 特開2006−210911号公報
上記特許文献1はチタン酸バリウムに含有される不純物の低減を主眼としたもので(段落6、16)、チタン酸バリウム粉末の粒子径は40〜140nmであって、微細粉末であることを窺わせるが、粒度分布が必ずしもシャープでなく、比表面積は未だ不充分であるうえ、製造方法も煩雑である。
上記特許文献2〜3についても、同様に粒度分布の点から充分な比表面積の確保は必ずしも容易でないうえ、特許文献2は水熱合成法ではなく溶融法でチタン酸バリウムを製造しており、エネルギーコストが高く、生産性が悪い。
本発明は、粒度分布のシャープなチタン酸金属塩(チタン酸バリウムを代表例とする)の微細粉末を水熱合成法で簡便に製造することを技術的課題とする。
チタン酸バリウムなどのチタン酸金属塩を製造する際の原材料となる酸化チタンに関して、特開2005−162584号公報(以下、先行技術という)には、酸化チタンを水酸化カリウムで水熱処理して酸化チタンを製造する方法であって、水酸化カリウムの濃度と温度を制御して、比表面積が300〜450m2/gの長繊維状の酸化チタンを製造することが記載されている(請求項1、4、7〜8、段落17〜18)。
本発明者らは、この先行技術に示されたような長繊維状の酸化チタンを原材料として、チタン酸バリウムの微細粒子を製造することを着想の出発点として、原材料の濃度や温度などの反応条件と得られるチタン酸バリウム粒子の粒子径との関係を鋭意研究した。
その結果、酸化チタンと水酸化バリウムとの水熱合成によりチタン酸バリウムを製造する際には、酸化チタンに繊維状物を使用すると共に、水酸化バリウムを所定濃度以上の高めに保持しながら撹拌状態で反応させると、チタン酸バリウムの微細粒子を粒度分布がシャープな状態で製造できるとの知見を得て、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、チタン塩と水溶性金属塩を水中で反応させてチタン酸金属塩を製造する方法において、
上記チタン塩が繊維状酸化チタンであり、
上記水溶性金属塩が水溶性バリウム塩であり、
当該水溶性金属塩の濃度が0.4〜20モル/Lであり、
撹拌状態で反応させることにより、粒子径が1〜50nmのチタン酸バリウム粒子を製造することを特徴とするチタン酸バリウム粒子の製造方法である。
本発明2は、チタン塩と水溶性金属塩を水中で反応させてチタン酸金属塩を製造する方法において、
上記チタン塩が繊維状酸化チタンであり、
上記水溶性金属塩が水溶性ストロンチウム塩であり、
当該水溶性金属塩の濃度が0.4〜20モル/Lであり、
撹拌状態で反応させることにより、チタン酸ストロンチウム粒子を製造することを特徴とするチタン酸ストロンチウム粒子の製造方法である。
本発明3は、上記本発明2において、チタン酸ストロンチウム粒子の粒子径が1〜50nmであることを特徴とするチタン酸ストロンチウム粒子の製造方法である。
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、反応の温度が20〜150℃であることを特徴とするチタン酸金属塩粒子の製造方法である。
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、繊維状酸化チタンが酸化チタンを水中でアルカリ処理したものであり、水溶性金属塩がバリウム又はストロンチウムの水酸化物であることを特徴とするチタン酸金属塩粒子の製造方法である。
繊維状の酸化チタンと水溶性金属塩(例えば、水酸化バリウム又は水酸化ストロンチウム)を原料とし、水溶性金属塩の濃度を高めの所定範囲に保持しながら水熱合成法で撹拌状態にて反応させることにより、粒度分布がシャープできわめて微細なチタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムから選ばれたチタン酸金属塩の粒子を製造できる。具体的には、チタン酸金属塩を1〜50nm程度の粒子径にまで微細化できるため、チタン酸金属塩粒子の比表面積を大幅に増大して、従来より高容量の誘電体材料などを提供できる。
また、一般に、酸化チタンと水溶性金属塩の水熱処理は比較的高い温度域での反応であり、例えば、特許文献1では200〜300℃の反応温度が好ましいことを開示するが(段落42)、本発明では、相対的に低い温度域(適した反応温度は20〜150℃;本発明4参照)で水熱合成するので、エネルギーコストを低減でき、生産性を向上できる。特に、常温付近で水熱合成する場合には、原料である繊維状の酸化チタンと水溶性金属塩とを水中に溶解して、所定時間に亘り撹拌するだけでチタン酸金属塩の微細粒子を調製できるため、製造がきわめて簡便である。従って、例えば上記特許文献2の溶融法に比べて、本発明の有効性は明らかである。
本発明は、第一に、チタン塩と水溶性バリウム塩を水中で反応させてチタン酸バリウムを製造するに際して、当該チタン塩に繊維状の酸化チタンを使用し、所定以上の高めの濃度域に保持した水溶性バリウム塩と撹拌状態で反応させて、チタン酸バリウムの微細粒子を製造する方法であり、第二に、同様の方法で、チタン酸ストロンチウムの微細粒子を製造する方法である。
即ち、本発明のチタン酸金属塩の微細粒子は、チタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムから選ばれたチタン酸金属塩の微細粒子を意味する。
そこで、チタン塩と水溶性金属塩を水熱処理して本発明のチタン酸金属塩の微細粒子を製造する方法を説明するが、以下では説明を明解にするために、酸化チタン(チタン塩)と水酸化バリウム(水溶性金属塩)との水熱合成でチタン酸バリウム粒子を製造する具体的な方法を中心に記述する。
先ず、本発明においては、原料となるチタン塩は繊維状の酸化チタンであることが必要である。この繊維状酸化チタンは、酸化チタン又は酸化チタン塩(水酸化チタン)の少なくとも一種を水酸化カリウムでアルカリ水熱処理し、塩酸や硝酸などの無機酸で中和(脱アルカリ)洗浄することによって製造することができる(本発明5参照)。
上記アルカリ水熱処理の条件として、水酸化カリウム濃度が10〜25モル/L、温度が70〜150℃が好ましい。反応時間は5〜40時間であるが、水酸化カリウム濃度及び温度に依存するため、水酸化カリウム濃度=15〜20モル/L、温度=100〜130℃、反応時間=6〜20時間で反応させることがより好適である。
上記水熱合成で得られる繊維状酸化チタンは、図2に示す通り、ナノオーダーの直径とサブミクロン以上の繊維長を有しており、比表面積が極めて大きな極細繊維の結晶である。
そこで、本発明のチタン酸バリウム粒子を製造する際の原料となる繊維状酸化チタンの条件をまとめると、直径は1〜100nm、繊維長は100nm〜1000μm、比表面積は100〜1000m2/gが適しており、直径5〜40nm、比表面積200〜450m2/gの繊維状酸化チタンを用いるのが好ましい。尚、繊維長は100nm以上であれば特に制限されない。
次いで、上記繊維状酸化チタンと水溶性金属塩を水熱合成するが、水溶性金属塩は基本的に金属の水酸化物であり(本発明5参照)、チタン酸バリウムを製造する場合には、上述のとおり、水溶性金属塩として水酸化バリウムを用いる。
本発明では、水酸化バリウム(水溶性金属塩)の濃度を0.4〜20モル/Lに高めに調整し、且つ、撹拌状態で反応することが必要である(本発明1参照)。水酸化バリウムの好ましい濃度は1.1〜20モル/L、より好ましい濃度は5〜15モル/Lである。
水酸化バリウム(水溶性金属塩)の濃度が0.4モル/Lより少ないと、未反応の酸化チタンが残留してチタン酸バリウム粒子へのバリウム導入率が低下し、20モル/Lを越えると粒度分布性が低下し、粒子径のバラツキが大きくなる恐れがある。
この水酸化バリウム(水溶性金属塩)については、水和物と非水和物で適正な濃度範囲は少し異なり、水酸化バリウム8水和物などの各水和物では反応時の脱水により反応系内での純粋物の濃度が低下するため、非水和物の濃度より多めに設定する必要があり、逆に、非水和物の濃度は水和物より少なくて良い。
例えば、水酸化バリウム8水和物(Ba(OH)2・8H2O)を濃度=10モル/Lで添加する場合、水酸化バリウム非水和物(Ba(OH)2)では4.1モル/L程度で足りる。
水熱合成での酸化チタンと水酸化バリウム(水溶性金属塩)のモル比率については、チタン酸バリウムの原子比(Ba/Ti)を可能な限り1.0に調整するため、水酸化バリウムを酸化チタンの等モル比より多く添加する必要があり、水酸化バリウム/酸化チタン(モル比)をAとすると、水酸化バリウムの溶解度を考慮する必要はあるが、1.0<A<50が好ましい。
即ち、上記モル比が1.0以上であっても、未反応の水酸化バリウム残渣を中和洗浄除去することにより、チタン酸バリウムの原子比(Ba/Ti)を1.0に調整できる。尚、生成するチタン酸バリウムの原子比(Ba/Ti)を1.0以下の任意の比率に調整する場合にはこの限りではなく、上記仕込みモル比Aを1.0以下に調整することで合成可能となる。
前述した通り、本発明では、水熱処理の反応は充分な撹拌状態で行う必要がある。充分な撹拌とは、チタン酸バリウムの水熱合成に際して、反応物である長繊維状酸化チタン及び水酸化バリウムと、生成物であるチタン酸バリウムとの一種以上が不均一濃度や不拡散状態になることがなく、常に均一な濃度と分散状態を保持できる撹拌状態を意味する。
撹拌が不充分であると、粒度分布性が低下して粒子径の均一性が損なわれたり、長時間の反応時間を要したり、或は、生成したチタン酸バリウムの分散性が低下して凝集が著しくなるなどの問題がある。
本発明4に示すように、酸化チタンと水酸化バリウム(水溶性金属塩)の水熱処理では、反応の温度は20〜150℃が適しており、特に20〜90℃が好ましい。
反応時間は1〜40時間程度であるが、水酸化バリウムの濃度や反応温度に依存し、高温及び高濃度であるほど反応時間は短縮できる。
一般に、高温で反応すると粒子状を形成し易いが、上述の好ましい温度域(20〜90℃)のような低温反応では効果的に繊維構造を形成し易い利点がある。
従って、水熱合成の好ましい条件を挙げると、水酸化バリウム8水和物の濃度が1.1〜20モル/L(さらに好ましくは5〜15モル/L)、反応温度が20〜90℃、反応時間が3〜20時間である。
一方、上記水熱処理は大気圧・大気雰囲気下で行うことが基本であるが、本発明のチタン酸バリウム粒子はオートクレーブを使用して製造することもできる。
オートクレーブを使用した場合、温度領域は上昇し、250℃程度でも製造可能であり、さらにチタン酸バリウムの原子比(Ba/Ti)を1.0に調整するため、前記仕込みモル比Aを1.0に近づけることが可能となる。
尚、オートクレーブを使用する場合でも、充分な撹拌状態での反応が基本である。また、大気雰囲気下を二酸化炭素以外の不活性ガス雰囲気下にすることで、炭酸バリウムの生成を防止し、チタン酸バリウム中の不純物を減らして、チタン酸バリウムの原子比(Ba/Ti)を限りなく1.0に近付けることができ、セラミックコンデンサ等に使用した際の電気特性に与える悪影響を低減することができる。
以上のように、上述の製造方法にあっては、繊維状の酸化チタンと水酸化バリウム(水溶性金属塩)を水熱処理してチタン酸バリウム粒子を調製することを中心に説明したが、水溶性金属塩を水酸化ストロンチウム替えると、基本的に同様の条件でチタン酸ストロンチウム粒子を製造することができる(本発明2参照)。
上記水熱反応で得られた本発明のチタン酸金属塩は、チタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムから選ばれたものである。
本発明のチタン酸金属塩はペロブスカイト型及びスピネル型の結晶構造を基本とし、組成面から詳述すると、ATiXY(A=H、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba;xは0.1〜25.0、yは0.1〜40.0の各実数である。)の組成で表されるチタン化合物、及びAX1-XTiyz(A、B=H、Li、Na、Mg、K、Ca、Sr、Ba;xは0より大きく1未満の実数、yは0.1〜25.0、zは1.0〜40.0の各実数である。)の組成で表されるチタン複合化合物を包含するものである。
この場合、チタン酸バリウムの代表的な結晶組成はBaTiO3表されるが、上記チタン複合化合物について説明すると、バリウムとストロンチウムを含むチタン複合化合物の結晶組成はBaXSr1-XTiO3で表される。
上記水熱処理で得られる本発明のチタン酸金属塩粒子は1〜50nmの粒子径を有する、比表面積が極めて大きな微細粒子の結晶である。図3はこのチタン酸金属塩の代表例であるチタン酸バリウム粒子、図6は同じくチタン酸ストロンチウム粒子の各SEM拡大画像であるが、粒子径が約20〜35nmの微細粒子の集合体が生成していることが明確に視認できる。
以上の通り、本発明では、水溶性金属塩(水酸化バリウム)を所定以上の高めの濃度域に保持しながら、撹拌状態で繊維状酸化チタンと共に水熱合成することにより、チタン酸金属塩粒子を製造するが、チタン酸バリウム粒子では、その粒子径は1〜50nmであり、好ましくは10〜40nmである。一方、チタン酸ストロンチウム粒子では粒子径1〜50nmが好ましく(本発明3参照)、より好ましくは10〜40nmである。
従って、粒子の比表面積を大幅に増大できるため、本発明で得られるチタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムから選ばれたチタン酸金属塩の粒子は、様々な分野に有効利用することができる。
用途の具体例としては、積層セラミックコンデンサにおける誘電体層及び内部電極の共剤、バリスタ、PTC(正特性サーミスタ)材料等の半導体デバイス向け誘電体材料、高周波フィルターやアンテナ用高周波誘電体セラミックス用誘電体材料、バリア放電プラズマ用誘電体触媒材料、静電・耐電防止剤、光触媒機能を有する塗料や脱臭・消臭用の塗料、電池材料(負極材料)などが挙げられる。
以下、繊維状の酸化チタンの製造例、この繊維状酸化チタンを使用して本発明のチタン酸バリウム粒子及びチタン酸ストロンチウム粒子を製造する実施例、実施例で得られたチタン酸バリウム粒子の性状確認、組成の同定及び粒子径の測定などの各種試験例を順次述べる。
本発明は下記の製造例、実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
繊維状酸化チタンの製造例》
酸化チタン粉末(日本アエロジル社製、P25)10gを17M水酸化カリウム(関東化学社製、鹿特級)水溶液100mLに入れ、充分に撹拌した後、110℃の恒温器で20時間、静置状態で合成した。恒温器はテフロン容器を使用した。
次いで、20時間経過後、容器を取り出して遠心分離器で固形分を分離し、固形分中の余剰なアルカリ残渣を10%塩酸(関東化学社製、有害金属測定用)で中和処理した。
その後、遠心分離器で純水を用いて固形分の脱塩洗浄処理を3回行い、長繊維状酸化チタンの分散スラリーを得た。
そこで、上記製造例で得られた繊維状酸化チタンと水酸化バリウムを所定条件で水熱処理して、チタン酸バリウム粒子を製造した。
《チタン酸バリウム粒子の実施例》
下記の実施例1〜6のうち、実施例1は水酸化バリウム8水和物の濃度を10モル/Lとし、温度=80℃、撹拌速度=500rpm、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比(Ba(OH)2/TiO2)=40の条件で反応させた例である。実施例2は水酸化バリウム8水和物の濃度を1.1モル/Lとし、低温(40℃)で反応させた例である。実施例3は反応温度を150℃に上昇させた例である。実施例4は水酸化バリウム8水和物の濃度を1.1モル/Lとし、上記仕込みモル比を1.5とした例である。実施例5は水酸化バリウム8水和物の濃度を本発明の適正範囲の下限(0.4モル/L)とし、上記仕込みモル比を1.5として、高めの温度(150℃)で反応させた例である。実施例6は実施例1を基本として上記仕込みモル比を4に変更した例である。
一方、比較例1〜5のうち、比較例1は水酸化バリウム8水和物の濃度を本発明の適正範囲の下限(0.4モル/L)より低く、低温(25℃の常温)で反応させた例である。比較例2は高めの温度(150℃)で無撹拌状態で反応させた例である。比較例3は水酸化バリウム8水和物の濃度を上記比較例2より下げて、本発明の適正範囲の下限(0.4モル/L)に設定し、無撹拌状態で反応させた例である。比較例4は実施例1を基本として長繊維状ではなく市販の酸化チタン粒子を用いた例である。比較例5は市販のチタン酸バリウム粒子の例である。
図1の左寄り欄及び中央欄には水熱処理時の温度、水酸化バリウム8水和物の濃度、水熱処理での水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比などの反応条件をまとめた。
(1)実施例1
80℃に加温した純水500mLに水酸化バリウム8水和物(関東化学社製、特級ACS)を溶解して10モル/Lに調整したうえで、撹拌しながら前記製造例の長繊維状酸化チタンのスラリーを10g(固形分換算)添加し、500rpmの撹拌速度で80℃、3時間に亘り水熱合成した。この場合、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比はBa(OH)2/TiO2=40とした。
次いで、3時間経過後、遠心分離器で固形分を分離し、固形分中の余剰なアルカリ残渣を10%塩酸(関東化学社製、有害金属測定用)でpH7まで中和処理した。
続いて、遠心分離器で純水を用いて固形分の脱塩洗浄処理を3回行い、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
(2)実施例2
実施例1を基本として、反応温度を40℃に低下させ、水酸化バリウム8水和物の濃度を1.1モル/Lとして24時間水熱反応させた以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
(3)実施例3
実施例1を基本として、反応温度を150℃とし、水酸化バリウム8水和物の濃度を15モル/Lとし、撹拌速度を200rpmとして水熱反応させた以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
尚、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比はBa(OH)2/TiO2=60とした。
(4)実施例4
実施例1を基本として、水酸化バリウム8水和物の濃度を1.1モル/Lとし、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比をBa(OH)2/TiO2=1.5として5時間水熱反応させた以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
(5)実施例5
実施例1を基本として、反応温度を150℃とし、水酸化バリウム8水和物の濃度を0.4モル/Lとし、撹拌速度を200rpmとして水熱反応させた以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
尚、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比はBa(OH)2/TiO2=1.5とした。
(6)実施例6
実施例1を基本として、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比をBa(OH)2/TiO2=4とした以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
(7)比較例1
実施例1を基本として、水酸化バリウム8水和物の濃度を本発明の適正範囲より低い0.1モル/Lとし、反応温度を25℃として36時間水熱反応させた以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
尚、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比はBa(OH)2/TiO2=1.0とした。
(8)比較例2
実施例1を基本として、水酸化バリウム8水和物の濃度を15モル/Lとし、反応温度を150℃として無撹拌で水熱反応させた以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
尚、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比はBa(OH)2/TiO2=60とした。
(9)比較例3
実施例1を基本として、水酸化バリウム8水和物の濃度を0.4モル/Lとして12時間無撹拌で水熱反応させた以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
尚、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比はBa(OH)2/TiO2=1.5とした。
(10)比較例4
実施例1を基本として、前記製造例の長繊維状酸化チタンに替えて粒子状の酸化チタン粉末(日本アエロジル社製、P25)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で処理して、チタン酸バリウムの分散スラリーを得た。
(11)比較例5
試薬として市販されているチタン酸バリウム(ワコーケミカル社製、粉末ナノサイズ)を比較例5とした。
次いで、上記実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた各チタン酸バリウムの性状解析及び組成分析を実施するため、各チタン酸バリウムの分散スラリーを石英ボートを用いて50℃で乾燥させ、粉体を得た。尚、比較例5はそのまま試験に供した。
《チタン酸バリウム粒子の試験例》
そこで、実施例1〜6及び比較例1〜5で得られた上記チタン酸バリウムの各粉体について、先ず、走査型電子顕微鏡(SEM)により粒子の微細化状態(粒子径)を中心に微視観察した。
また、走査型電子顕微鏡に付設されたエネルギー分散型蛍光X線分析装置(SEM−EDX)により上記粉体の組成分析を行うとともに、X線回折装置(XRD)により上記粉体の原子比(Ba/Ti)を測定して、上記粉体を同定した。得られたチタン酸バリウムの粒子径及びBa/Ti比は図1の右寄り欄にまとめた。
[測定機器の機種名]
電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM):日立製作所製、S−4800
エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX):堀場製作所製、商品名EMAX EX250 7593−H
X線回折装置(XRD):リガク製、MultiFlex 2kw
(1)実施例1
図3に示すように、得られた粉体は粒子径約20〜30nmの微細な粒子構造を有する集合体であることが確認された。
また、図4の蛍光X線分析装置によるEDXパターンと図5のX線回折パターンから、上記粉体はBa/Ti比=1.007のチタン酸バリウムであることが同定された。
(2)実施例2
得られた粉体は、粒子径=約20nm、Ba/Ti比=0.989のチタン酸バリウム粒子であることが確認された。
(3)実施例3
得られた粉体は、粒子径=約20〜30nm、Ba/Ti比=1.008のチタン酸バリウム粒子であることが確認された。
(4)実施例4
得られた粉体は、粒子径=約20nm、Ba/Ti比=0.988のチタン酸バリウム粒子であることが確認された。
(5)実施例5
得られた粉体は、粒子径=約20〜30nm、Ba/Ti比=0.997のチタン酸バリウム粒子であることが確認された。
(6)実施例6
得られた粉体は、粒子径=約20nm、Ba/Ti比=1.006のチタン酸バリウム粒子であることが確認された。
(7)比較例1
得られた粉体は粒子径=約20nmであったが、Ba/Ti比は0.251であることから、前記EDXとXRDのパターンから未反応の酸化チタンとチタン酸バリウムの混合物であることが確認された。
(8)比較例2
得られた粉体はBa/Ti比=1.008であったが、粒子径=約20〜100nmであって、粒度分布がシャープでなく粒子径が均一でなかった。
(9)比較例3
得られた粉体はBa/Ti比=0.371であって、粒子が長繊維状を保持していることが確認された。
(10)比較例4
得られた粉体はBa/Ti比=0.943であって、未反応の酸化チタンとチタン酸バリウムの混合物であるうえ、粒子径=約20〜60nmであって、粒子径が均一でなかった。
(11)比較例5
Ba/Ti比=0.994〜1.004、純度99.5%であり、粒子径は約100〜250nmであった。この比較例5を上記実施例1〜6に対比すると、実施例の粒子径はきわめて微細であることが裏付けられた。
《実施例及び比較例の試験評価》
撹拌状態での水熱処理であり、水酸化バリウムの濃度が本発明の適正範囲より低い比較例1では未反応の酸化チタンとチタン酸バリウムの混合物しか得られなかった。
これに対して、実施例1〜6では、図3のSEM画像が示す通り、得られた粉体はいずれもチタン酸バリウムの微細粒子の集合体であることが明らかである。これにより、チタン酸バリウムの微細粒子を高い収率で得るには、水酸化バリウムを所定以上の高めの濃度範囲に保持することの重要性が確認できた。
しかも、実施例1〜6のチタン酸バリウムは市販のチタン酸バリウム粒子(比較例5)に比べても、その粒子径はきわめて微細であることが分かる。
また、水酸化バリウムの濃度は本発明の適正範囲内の15モル/Lであるが、無撹拌状態で反応させた比較例2(温度は150℃)では、粒子状のチタン酸バリウムは得られたが、粒度分布がシャープでなく均一な微細粒子は得られなかった。
これに対して、実施例1〜6のチタン酸バリウムは粒子が微細であるばかりでなく、その粒子径はいずれも約20〜30nmの狭い範囲内におさまり、シャープな粒度分布を示すことが分かった。従って、実施例1〜6を比較例1〜2に対比すると、粒度分布のシャープなチタン酸バリウムの微細粒子を効率良く製造するには、水酸化バリウムの濃度を所定以上の高めに保持するだけでは充分でなく、撹拌状態での水熱処理が必要であることが確認できた。
ちなみに、同じく無撹拌状態で反応させた比較例3では、得られた粉体が繊維形態を帯びていたが、これは上記比較例2に比べて反応温度が40℃と低く、また、水酸化バリウムの濃度も適正範囲の下限であることに因り、酸化チタンの繊維構造があまり解繊されないまま、これを骨格としてバリウム導入反応が進行したものと推定される。
一方、水酸化バリウムの濃度と撹拌の条件は本発明の要件を満たすが、市販の酸化チタン粉末を使用した比較例4では、比較例2と同様に、チタン酸バリウム粒子は得られたが、粒度分布はシャープでなく均一な微細粒子は得られなかった。
従って、粒度分布のシャープなチタン酸バリウムの微細粒子を製造するには、原料である酸化チタンは粉末状物ではなく、長繊維状物を使用することが必要な点が裏付けられた。
そこで、実施例1〜6を詳細に検討すると、水酸化バリウムの濃度は高めの場合(実施例3:15モル/L)は勿論であるが、0.4モル/Lと低い場合(実施例5)でも粒度分布のシャープなチタン酸バリウムの微細粒子を製造できることが分かる。
また、反応温度は150℃と高めの場合(実施例3、5)は勿論であるが、40℃の低めの場合(実施例2)でも同様に、チタン酸バリウムの粒子の微細化とシャープな粒度分布を実現できることが分かる。
反応温度(80℃)と撹拌速度(500rpm)が共通する実施例1及び4を見ると、水酸化バリウムの濃度が大きく相違しても、水酸化バリウムと酸化チタンの仕込みモル比の調整下で、粒子の微細化とシャープな粒度分布を実現できることが裏付けられる。
反応温度(150℃)と撹拌速度(200rpm)が共通する実施例3及び5についても同様であり、特に、撹拌速度200rpmでも粒子を効率良く微細化できることが分かった。
以上においてチタン酸バリウム粒子の製造実施例及びその試験例を順次述べてきたが、以下ではチタン酸ストロンチウム粒子の製造実施例を説明する。
《チタン酸ストロンチウム粒子の実施例及び試験例》
[実施例7]
80℃に加温した純水100mLに水酸化ストロンチウム8水和物(関東化学社製、特級)を溶解して濃度10モル/Lになるように調整し、撹拌しながら前記製造例の長繊維状酸化チタンのスラリーを10g(固形分換算)添加し、800rpmの撹拌速度で80℃、3時間に亘り水熱合成をした。この場合、この場合、水酸化ストロンチウムと酸化チタンの仕込みモル比はSr(OH)2/TiO2=40とした。
次いで、3時間経過後、遠心分離器で固形分を分離し、固形分中の余剰なアルカリ残渣を希塩酸(関東化学社製、有害金属測定用)でpH7まで中和処理した。
続いて、遠心分離器で純水を用いて固形分の脱塩洗浄処理を3回行い、チタン酸ストロンチウムの分散スラリーを得た。
[試験例]
そこで、前記チタン酸バリウムの場合と同様に、上記実施例7で得られたチタン酸ストロンチウムの分散スラリーを石英ボートを用いて50℃で乾燥させ、粉体を得た。
そこで、この粉体について、先ず、走査型電子顕微鏡(SEM)により粒子の微細化状態(粒子径)を中心に微視観察するとともに、蛍光X線分析装置(SEM−EDX)により上記粉体の組成分析を行うとともに、X線回折装置(XRD)により上記粉体の原子比(Ba/Ti)を測定した。尚、用いた測定機器の機種名は前記チタン酸バリウムの場合と同様である。
その結果、得られた粉体は、図6に示すように、粒子径が約20〜35nmの微細な粒子構造を有する集合体であることが確認された。
また、図7のEDXパターンと図8のX線回折パターンから、上記粉体はSr/Ti比=1.005のチタン酸ストロンチウムであることが同定された。
従って、繊維状の酸化チタンと、所定以上の高めの濃度に保持した水酸化ストロンチウムとを撹拌状態で水熱処理すると、前記チタン酸バリウムと同様に、粒度分布のシャープなチタン酸ストロンチウムの微細粒子を効率良く製造できることが確認できた。
水熱反応時の温度、水酸化バリウム(又は水酸化ストロンチウム)8水和物の濃度、水熱反応での水酸化バリウム(又は水酸化ストロンチウム)と酸化チタンの仕込みモル比、得られたチタン酸バリウム(又はチタン酸ストロンチウム)の粒子径及びBa/Ti比などをまとめた図表である。 原材料である繊維状酸化チタンのSEM画像(10万倍)を示す写真である。 実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子のSEM画像(10万倍)を示す写真である。 同実施例1のチタン酸バリウム粒子のEDXピークパターン図である。 同実施例1のチタン酸バリウム粒子のX線回折パターン図である。 実施例7で得られたチタン酸ストロンチウムのSEM画像(10万倍)を示す写真である。 同チタン酸ストロンチウム粒子のEDXピークパターン図である。 同チタン酸ストロンチウム粒子のX線回折パターン図である。

Claims (5)

  1. チタン塩と水溶性金属塩を水中で反応させてチタン酸金属塩を製造する方法において、 上記チタン塩が繊維状酸化チタンであり、
    上記水溶性金属塩が水溶性バリウム塩であり、
    当該水溶性金属塩の濃度が0.4〜20モル/Lであり、
    撹拌状態で反応させることにより、粒子径が1〜50nmのチタン酸バリウム粒子を製造することを特徴とするチタン酸バリウム粒子の製造方法。
  2. チタン塩と水溶性金属塩を水中で反応させてチタン酸金属塩を製造する方法において、 上記チタン塩が繊維状酸化チタンであり、
    上記水溶性金属塩が水溶性ストロンチウム塩であり、
    当該水溶性金属塩の濃度が0.4〜20モル/Lであり、
    撹拌状態で反応させることにより、チタン酸ストロンチウム粒子を製造することを特徴とするチタン酸ストロンチウム粒子の製造方法。
  3. チタン酸ストロンチウム粒子の粒子径が1〜50nmであることを特徴とする請求項2に記載のチタン酸ストロンチウム粒子の製造方法。
  4. 反応の温度が20〜150℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のチタン酸金属塩粒子の製造方法。
  5. 繊維状酸化チタンが酸化チタンを水中でアルカリ処理したものであり、水溶性金属塩がバリウム又はストロンチウムの水酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のチタン酸金属塩粒子の製造方法。
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