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JP5220204B2 - 薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description

この発明は、薄膜太陽電池およびその製造方法に関するものである。
太陽光発電システムは、21世紀の地球環境を化石エネルギの燃焼によるCO2ガスの増加から守るクリーンエネルギとして期待されており、その生産量は世界中で爆発的に増加している。このため、世界中でシリコンウェハが不足するという事態が発生している。そのため、近年では、シリコンウェハの供給量に律速されない光電変換層(半導体層)が薄膜からなる薄膜太陽電池の生産量が急速に伸びつつある。
薄膜太陽電池では、メートル角程度の大面積の基板の上に、薄膜の透明電極、光電変換層および金属電極をスパッタ法や蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などで直接形成している。しかし、電極、特に透明電極の抵抗率が高いために、大面積基板全面を複数の単位太陽電池セルに分割し、かつ順次直列に接続することによって、電流量を制限しつつ、電圧を高めて、エネルギを取り出す構成とすることが一般的である。また単位セルを分割するスクライブラインを全て三角波型形状に屈曲して形成し、かつ、隣接するスクライブラインを半波長ずつずらすことによって隣接するスクライブラインの間隔が互いに繰り返し拡縮されるようにした構造の薄膜太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。スクライブラインの間隔が縮小され、透明電極の距離が短くなり、電気抵抗が小さくなる部分に多くの電流を流すことによって、全体的な抵抗損失を減少させている。
特許第3172369号公報
ところで、薄膜太陽電池に用いられる光入射側の透明電極を構成する透明導電材料薄膜は、一般的にシート抵抗が高く、電流がその透明電極を長い距離流れると、そのジュール損失によって発電効率が低下してしまう。そこで、電流経路を短くするために、一つの光電変換層を有する単位太陽電池セルの幅は、一般的に4〜20mmに制限されていた。
また、特許文献1のように単位セルの幅を拡縮させて透明電極中の電流経路が短くなる部分に多くの電流を流して、全体的な抵抗損失を減少させたとしても、単位セルの幅が拡大した部分では、互いに平行なスクライブラインで単位セルを形成した場合と比べて透明電極中の電流経路が長くなる場合があること、スクライブラインを三角波形上に屈曲させた頂点近傍に電流が集中し、電流が集中する部分では電界強度が高くなるため、ジュール損失が大きくなること、特許文献1のように単位セルの幅を拡縮させる様な形状とした場合、単位セルの最小幅は正の値としなければならないため、互いに平行なスクライブラインで単位セルを形成した場合に比べて、あまり大きくスクライブラインを屈曲させることができないこと、などの欠点が存在する。
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、基板上に透明電極、光電変換層および金属電極を含む積層体が形成されてなる薄膜太陽電池において、従来に比して透明電極でのジュール損失を抑え、発電効率を改善することができる薄膜太陽電池およびその製造方法を得ることを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる薄膜太陽電池は、基板上に、透明導電性材料によって形成される第1の電極層と、光電変換層と、光を反射する導電性の材料を含む第2の電極層と、を含み、溝によって複数に分割された単位セルを複数有し、前記光電変換層に形成された溝内で前記第2の電極層と隣接する単位セルの第1の電極層とが接続されて、複数の前記単位セルが電気的に直列接続された薄膜太陽電池において、少なくとも1つの前記単位セルの両側の前記溝は、前記溝間に挟まれた前記単位セルが所定方向に一定の幅を有して蛇行するように形成されるとともに、前記所定方向に平行移動した場合に重なり合う同一形状を有することを特徴とする。
この発明によれば、少なくとも1つの単位太陽電池セルの両側の溝を、溝間に挟まれた単位太陽電池セルが所定方向に一定の幅を有して蛇行するように形成するとともに、所定方向に平行移動した場合に重なり合う同一形状を有するように形成したので、セル幅を同じにして直線のスクライブラインで太陽電池セル間を分離する場合に比して、一部の領域での電流経路を短くすることができる。その結果、各単位太陽電池セルの透明電極でのジュール損失を抑え、従来に比して発電効率を改善することができるという効果を有する。
また、互いに平行な直線のスクライブラインで単位セルを形成した場合と比べて透明電極中の電流経路が長くなる部分ことがないこと、特許文献1に比べスクライブラインの屈曲点近傍への電流の集中量を抑制できるため、電流集中のための電界強度の高まりによるジュール損失を低減することができること、スクライブラインを特許文献1に比べより大きく屈曲させることが可能であること、などの多くの利点を有する。
図1は、この発明の実施の形態1による薄膜太陽電池の一例を示す上面図である。 図2は、図1のA−A線上の一部断面図である。 図3−1は、実施の形態1による薄膜太陽電池の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。 図3−2は、実施の形態1による薄膜太陽電池の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。 図3−3は、実施の形態1による薄膜太陽電池の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その3)。 図3−4は、実施の形態1による薄膜太陽電池の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その4)。 図3−5は、実施の形態1による薄膜太陽電池の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その5)。 図3−6は、実施の形態1による薄膜太陽電池の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その6)。 図4は、実施の形態1によるスクライブラインの形状の一例を模式的に示す図である。 図5は、平行四辺形の領域に対応する透明電極層での電流の流れる様子を模式的に示す図である。 図6は、θ=π/4、L/D=2とした場合のdS/dxとxとの間の関係をそれぞれLとDとで規格化したグラフである。 図7は、平行四辺形の領域に対応する透明電極層での電流の流れる様子を模式的に示す図である。 図8は、θ=π/4、L/D=1/3とした場合のdS/dxとxとの間の関係をそれぞれLとDとで規格化したグラフである。 図9は、L/Dとθとを変化させたときのスクライブラインを屈曲させた場合とさせなかった場合のジュール損失の比J/J0の関係の一例を示す図である。 図10は、実施の形態1による薄膜太陽電池の構成の他の例を示す上面図である。 図11は、実施の形態1による薄膜太陽電池の構成の他の例を示す上面図である。 図12は、実施の形態1による薄膜太陽電池の他の例を示す上面図である。 図13は、特許文献1による薄膜太陽電池の構造を模式的に示す上面図である。 図14は、特許文献1によるスクライブラインの形状の一例を模式的に示す図である。 図15は、特許文献1による薄膜太陽電池の台形の領域に対応する透明電極層での電流の流れる様子と、実施の形態1による薄膜太陽電池の平行四辺形の領域に対応する透明電極層での電流の流れる様子との比較を模式的に示す図である。 図16は、この発明の実施の形態2による薄膜太陽電池の一例を示す上面図である。 図17は、この発明の実施の形態3による薄膜太陽電池の一例を示す上面図である。 図18は、図17の薄膜太陽電池から電流を取り出す構成の一例を模式的に示す上面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態にかかる薄膜太陽電池およびその製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施の形態で用いられる薄膜太陽電池の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による薄膜太陽電池の一例を示す上面図である。実施の形態1による薄膜太陽電池1は、長方形状の絶縁透光性基板10の上に、複数の単位太陽電池セル3が直列に接続されて集積化されることで、全体として薄膜太陽電池モジュールとして機能する。そして、両端の電流取出部4に導かれた電流は外部に取り出される。ここで、各単位太陽電池セル3間、および単位太陽電池セル3と電流取出部4との間は、分離溝であるスクライブライン2によって分離されるが、このスクライブライン2の形状は、絶縁透光性基板10の端面に対し傾いた線分の組み合わせが周期的に繰り返された屈曲した形状であり、また隣接するスクライブライン2同士は略平行に配置されている。なお、単位太陽電池セル3は、隣り合うスクライブライン2の間隔に比べて、スクライブライン2に沿った方向が長手となる形状を有する。また、スクライブライン2における屈曲部の長手方向の位置は、どのスクライブライン2においても略同じ位置に設定されている。
つまり、単位太陽電池セル3の両側の分離溝(スクライブライン2)は、長方形状の絶縁透光性基板10の一辺に沿った方向に平行移動した場合に重なり合う、同一の蛇行した形状となっている。これによって分離溝間に挟まれた単位太陽電池セル3は、絶縁透光性基板10の一辺に沿った方向の幅が略一定であるように蛇行した形状となっている。また、別の表現をすれば、分離溝を波形状とした場合に、複数の波は略同一間隔で同じ位相の波となるように波の振幅方向に平行に並んだ形状となっている。
なお、ここでは絶縁透光性基板10の形状を長方形状としているが、長方形に限らず他の形状でもよい。その場合、単位太陽電池セル3の両側の分離溝が特定方向に平行移動した際に重なり合うような位置関係とすればよい。
図2は、図1のA−A線上の一部断面図である。この図に示されるように、薄膜太陽電池1は、絶縁透光性基板10の上に表面電極層11、光電変換層12、中間導電体層13および裏面電極層14が順に積層され、所定の位置に設けられたスクライブライン2によって、単位太陽電池セル3および電流取出部4が形成される。電極取出部4は、薄膜太陽電池1で生じた電流を外部に取り出すために、外部の配線と薄膜太陽電池1とを接続するために設けられる。たとえば、電流取出部4の裏面電極層14と外部に電流を取り出す図示しないバス配線とが接続される。なお、電流取出部4の光電変換層12は発電には寄与しない。
ここで、絶縁透光性基板10として、白板ガラスなどの高光透過率のガラス材料やポリイミドなどの透光性の有機フィルム材料を用いることができる。また、表面電極層11は、光透過性を有している透明導電膜であればよく、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide、以下、ITOという)、酸化スズ(SnO2)などの透明導電性酸化膜や、ドーパントとしてアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、フッ素(F)、窒素(N)などから選択される少なくとも1種類以上の元素を用いたZnO膜、ITO膜、SnO2膜などを用いることができる。また、表面電極層11として、これらの膜を積層して形成した透明導電性膜であってもよい。さらに、表面電極層11は、表面に凹凸が形成された表面テクスチャ構造を有することが好ましい。このテクスチャ構造は、入射した太陽光を散乱させ、光電変換層12での光利用効率を高める機能を有する。
光電変換層12は、pn接合またはpin接合を有し、入射する光により発電を行う薄膜半導体層が1層以上積層されて構成される。このような光電変換層12としてはアモルファスシリコン層、微結晶シリコン層、水素化アモルファスシリコンゲルマニウム層、微結晶シリコンゲルゲルマニウム層などの半導体層、あるいはこれら半導体層の積層体を用いることができる。
また、複数の薄膜半導体層が積層されて光電変換層12が構成される場合には、異なる薄膜半導体層間にSnO2,ZnO,ITOなどの導電性酸化物材料もしくはこれらの導電性酸化物材料に金属を添加した材料、またはp型水素化結晶シリコン、i型水素化結晶シリコン、n型水素化結晶シリコン、p型水素化アモルファスシリコン酸化物、i型水素化アモルファスシリコン酸化物、n型水素化アモルファスシリコン酸化物、p型水素化微結晶シリコン酸化物、i型水素化微結晶シリコン酸化物、n型水素化微結晶シリコン酸化物、p型水素化微結晶炭化シリコン、i型水素化微結晶炭化シリコン、n型水素化微結晶炭化シリコンから選択される少なくとも1種類以上の材料からなる中間層を挿入して、異なる薄膜半導体層間の電気的、光学的接続を改善してもよい。
中間導電体層13は、たとえばSnO2,ZnO,ITOなどの導電性酸化物材料もしくはこれら導電性酸化物材料に金属を添加した材料、またはp型水素化結晶シリコン、i型水素化結晶シリコン、n型水素化結晶シリコン、p型水素化アモルファスシリコン酸化物、i型水素化アモルファスシリコン酸化物、n型水素化アモルファスシリコン酸化物、p型水素化微結晶シリコン酸化物、i型水素化微結晶シリコン酸化物、n型水素化微結晶シリコン酸化物、p型水素化微結晶炭化シリコン、i型水素化微結晶炭化シリコン、n型水素化微結晶炭化シリコンから選択される少なくとも1種類以上の材料からなる透明導電性膜を用いることができる。
裏面電極層14として、銀(Ag)、Al、Ti、金(Au)、銅(Cu)、ネオジウム(Nd)、クロム(Cr)などの高い導電性と光反射性を併せ持つ金属材料またはこれらの金属材料の混合物を使用することができる。また、これらの材料からなる層を単層として使用してもよいし、積層して使用してもよい。さらに、中間導電体層13との界面部に上記の材料を用いて層を形成し、さらにその上に導電性ペーストなどの光反射性の低い材料からなる層を積層してもよい。
図1で示されるスクライブライン2は、実際には、表面電極層11を分離する第1スクライブライン21と、光電変換層12および中間導電体層13を分離する第2スクライブライン22と、光電変換層12、中間導電体層13および裏面電極層14を分離する第3スクライブライン23から構成されている。
図2に示される薄膜太陽電池1の断面において、隣接するスクライブライン2に挟まれた領域が単位太陽電池セル3として発電に寄与する。また、単位太陽電池セル3は、隣接する単位太陽電池セル3と直列に接続される構成を有するので、隣接する単位太陽電池セル3間の表面電極層11同士、光電変換層12および中間導電体層13同士、裏面電極層14同士が接続されないようにするとともに、自単位太陽電池セル3の表面電極層11と一方の側に隣接する単位太陽電池セル3の裏面電極層14とを電気的に接続し、自単位太陽電池セル3の裏面電極層14と他方の側に隣接する単位太陽電池セル3の表面電極層11とを電気的に接続する。具体的には、図2では、ある単位太陽電池セル3において表面電極層11は、左側に隣接する単位太陽電池セル3の裏面電極層14と接続され、裏面電極層14は、右側に隣接する単位太陽電池セル3の表面電極層11と接続される。そのため、第1スクライブライン21および第3スクライブライン23によって、隣接する単位太陽電池セル3間の絶縁を確保し、第2スクライブライン22で表面電極層11と裏面電極層14とを接触させることによって、隣接する単位太陽電池セル3が直列に接続され、太陽電池モジュールとして機能する。
ここで、このような構造の薄膜太陽電池1における動作の概略について説明する。絶縁透光性基板10の裏面(単位太陽電池セル3が形成されていない方の面)から太陽光が入射すると、光電変換層12内で自由キャリアが生成される。生成された自由キャリアは、光電変換層12のp型半導体層とn型半導体層によって形成される内蔵電界によって輸送され、電流が発生する。各単位太陽電池セル3で発生した電流は、第2のスクライブライン22内に埋め込まれた裏面電極層14を介して隣接する単位太陽電池セル3へと流れ込み、薄膜太陽電池モジュール全体の発電電流を生成する。
つぎに、薄膜太陽電池の製造方法について説明する。図3−1〜図3−6は、実施の形態1による薄膜太陽電池の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。まず、図3−1に示されるように、絶縁透光性基板10の上面にスパッタリング法またはCVD法などの成膜法によって表面電極層11を形成する。表面電極層11を形成後に、溶媒を用いたウェットエッチング法やプラズマエッチング法を用いて、表面テクスチャ構造を形成してもよい。
ついで、図3−2に示されるように、レーザ加工法によって、表面電極層11を分離する第1スクライブライン21を形成する。この第1スクライブライン21は、図1に示されるスクライブライン2と同じように、平面視上で屈曲形状を有し、特定方向に所定の間隔をおいて形成される。なお、隣り合う第1スクライブライン21は同じ屈曲形状を有しており、特定方向に垂直な方向での屈曲部の位置が互いに同じとなるように、互いに平行とするとよい。第1スクライブライン21を形成するには、たとえば、レーザ加工装置のXYステージに、絶縁透光性基板10を載置し、レーザ加工中にXY方向に移動させることで所望の屈曲形状を得ることができる。また、この他にもガルバノスキャンによりレーザビームをXY面内の任意の位置に走査させることによって、所望の屈曲形状を有する第1スクライブライン21を形成してもよいし、一方向のみに移動する移動ステージと、一方向のみに走査できるレーザとを組み合わせ、互いの移動する方向が同一とならないように配置し、それぞれを同期させることでも所望の屈曲形状を有する第1スクライブライン21を形成してもよい。このレーザ加工の後、加工残渣やレーザによる変質層除去のため洗浄を行ってもよい。
その後、図3−3に示されるように、第1スクライブライン21を形成した表面電極層11上にCVD法によって光電変換層12を形成し、さらにスパッタリング法またはCVD法によって中間導電体層13を形成する。ついで、図3−4に示されるように、第1スクライブライン21と同様にレーザ加工法によって、中間導電体層13および光電変換層12を分離する第2スクライブライン22を形成する。なお、この第2スクライブライン22は、第1スクライブライン21と同様に平面視上で屈曲形状を有し、特定方向に所定の間隔をおいて形成される。また、この第2スクライブライン22は、第1スクライブライン21と重ならない位置に形成される。このレーザ加工の後、加工残渣やレーザによる変質層除去のため洗浄を行ってもよい。
その後、図3−5に示されるように、第2スクライブライン22を形成した中間導電体層13上にスパッタリング法によって裏面電極層14を形成する。このとき、裏面電極層14は第2スクライブライン22に埋め込まれる。ついで、図3−6に示されるように、第1スクライブライン21と同様にレーザ加工法によって、裏面電極層14、中間導電体層13および光電変換層12を分離する第3スクライブライン23を形成する。なお、この第3スクライブライン23は、第1スクライブライン21と同様に平面視上で屈曲形状を有し、所定の間隔をおいて形成される。また、この第3スクライブライン23は、第1スクライブライン21および第2スクライブライン22と重ならない位置に形成される。このレーザ加工の後、加工残渣やレーザによる変質層除去のため洗浄を行ってもよい。以上のようにして、図1と図2に示される薄膜太陽電池が製造される。
以下に、実施の形態1によるスクライブライン2の形状について説明する。図4は、実施の形態1によるスクライブラインの形状の一例を模式的に示す図である。この図において、紙面内の左右方向を図1の絶縁透光性基板10の上辺および下辺の延在方向に対応するX方向とし、このX方向に垂直な紙面内の方向を絶縁透光性基板10の右辺および左辺の延在方向に対応するY方向とする。
この図に示されるように、スクライブライン2は、X方向に対する交差角度をθとすると、角度θの傾きを持つ線分と角度−θの傾きを持つ線分とを交互に繋ぎ合わせることで構成され、図4では、スクライブラインがつづら折状(ジグザグ状)となっている。ここで、隣接するスクライブライン2間のX方向の間隔をDとし、1本のスクライブライン2上の隣接する屈曲点R間のY方向の間隔をLとする。隣接する2本のスクライブライン2の同じ位相の屈曲点R間を結ぶX方向の線分と、この屈曲点Rに隣接し、隣接する2本のスクライブライン2の同じ位相の屈曲点R間を結ぶX方向の線分と、これら2つの線分の屈曲点R間を結ぶスクライブライン2によって構成される2本の線分と、によって、単位太陽電池セル3は底辺D、高さLの平行四辺形の領域31に分割される。この平行四辺形31の領域内での電流の向きについて考察する。
領域31の平行四辺形の底辺Dと高さLが次式(1)の関係式を満たす場合について考える。図5は、平行四辺形の領域に対応する透明電極層での電流の流れる様子を模式的に示す図である。実際には屈曲点近傍では電流が集中し、電流経路は直線とはならず、広がり曲がってしまうため、以下はあくまでも近似的な計算である。
Figure 0005220204
(1)式の関係を満たす場合には、図5に示されるように、領域31は、平行四辺形の1つの屈曲点Rから対向するスクライブライン2を構成する辺に下ろした垂線hによって、領域311と領域312とに2分割される。領域311内の各点ではスクライブライン2までの最短距離はスクライブライン2に下ろした垂線hと平行な方向41に電流は流れる。一方、領域312内の各点からは、各点と垂線hの起点となる屈曲点Rとを結ぶ線分が最短距離となり、この屈曲点Rへと向かう方向42に電流は流れる。
(1)式の条件を満たすとき、領域31でスクライブラインまでの距離がxとx+dxの範囲となる面積をdSとすると、dS/dxは次式(2)、(3)で表すことができる。
Figure 0005220204
Figure 0005220204
図6は、θ=π/4、L/D=2とした場合のdS/dxとxとの間の関係をそれぞれLとDとで規格化したグラフである。この図において、横軸は、領域31内での各位置におけるスクライブライン2までの距離xを、スクライブライン2間の距離Dで規格化したものであり、縦軸は面積Sの距離xに対する変化率を屈曲点R間のY方向の距離Lで規格化したものである。
スクライブライン2を図1に示されるように屈曲させずに、絶縁透光性基板10の辺と平行な直線によってスクライブした場合には、dS/dxとxとの関係は、次式(4)で示されるように、図6の破線で示される距離xに依らない直線(横軸に平行な直線)となる。
Figure 0005220204
また、スクライブライン2を図1に示されるように屈曲させた場合には、dS/dxとxとの関係は、実線で示される曲線となる。両者を比較すると、スクライブライン2を屈曲化させることによって、スクライブライン2を直線とした場合に比して、スクライブライン2までの距離が短い領域51の割合が増加し、スクライブライン2までの距離が長い領域52の割合が小さくなる。その結果、全体としてスクライブライン2までの距離が短い領域の割合が増え、電流経路が短くなり、スクライブライン2を直線とした場合に比して、ジュール損失を低減することができる。
つぎに、領域31の平行四辺形の底辺Dと高さLが次式(5)の関係式を満たす場合について考える。図7は、平行四辺形の領域に対応する透明電極層での電流の流れる様子を模式的に示す図である。ここでも、実際には屈曲点近傍では電流が集中し、電流経路は直線とはならず、広がり曲がってしまうため、以下はあくまでも近似的な計算である。
Figure 0005220204
(5)式の関係を満たす場合には、図7に示されるように、領域31は、平行四辺形の1つの屈曲点Rから、対向するスクライブライン2を構成する辺の延長線上に下ろした垂線hと、垂線hを下ろした屈曲点Rとこの屈曲点Rに対向する屈曲点Rとの間を結ぶ対角線mとによって、領域313、領域314、および領域315に3分割される。領域313内の各点では、電流はスクライブライン2の延長線上に下ろした垂線hと平行な方向43に電流は流れる。一方、領域314内と領域315内の各点では、垂線hを下ろした屈曲点Rへと向かう方向44,45に電流は流れる。
(5)式の条件を満たすとき、領域31でスクライブライン2までの距離がxとx+dxの範囲となる面積をdSとすると、dS/dxは次式(6)〜(8)で表すことができる。
Figure 0005220204
Figure 0005220204
Figure 0005220204
図8は、θ=π/4、L/D=1/3とした場合のdS/dxとxとの間の関係をそれぞれLとDとで規格化したグラフである。この図において、横軸は、領域31内での各位置におけるスクライブライン2までの距離xを、スクライブライン2間の距離Dで規格化したものであり、縦軸は面積Sの距離xに対する変化率を屈曲点R間の距離Lで規格化したものである。
スクライブライン2を図1に示されるように屈曲させずに、絶縁透光性基板10の辺と平行な直線によってスクライブした場合には、dS/dxとxとの関係は、次式(9)で示されるように、図8の破線で示される距離xに依らない直線(横軸に平行な直線)となる。
Figure 0005220204
また、スクライブライン2を図1に示されるように屈曲させた場合には、dS/dxとxとの関係は、実線で示される曲線となる。両者を比較すると、スクライブライン2を屈曲化させることによって、スクライブライン2を直線とした場合に比して、電流経路が短くなる領域53の割合が増加し、電流経路が長くなる領域54の割合が小さくなる。その結果、全体として電流経路が短くなり、スクライブライン2を直線とした場合に比して、ジュール損失を低減することができる。
なお、図6と図8では、θの値とL/Dの値としてそれぞれ一例を挙げて示したが、上述の(2)、(6)、(7)式は0<θ<π/2を満たせば、L/Dの値に依らず、恒にLより大きくなるため、電流経路が短くなる領域が増加する。つまり、一般的にスクライブライン2を屈曲化させることで、スクライブライン2を直線とした場合に比して、ジュール損失を低減させることができる。特に、角度θをなるべく小さくし、またL/Dの値を大きくすることで、ジュール損失低減の効果を大きくすることができる。
ここで、領域31内の電流経路の長さを積分して、ジュール損失を見積もる。既述の通り、実際には電流が集中する屈曲点近傍では、電流経路は最短距離の直線とはならず、広がり曲がってしまうため、以下はあくまでも近似的な計算である。電流密度Jは、上述のdS/dxを用いて積分すると次式(10)のように表すことができる。
Figure 0005220204
透明電極層(表面電極層11)でのジュール損失は、(10)式の電流密度Jと、透明電極層の抵抗率から求めることができるが、電流密度Jおよび透明電極層の抵抗率が太陽電池モジュール内で均一であると仮定すると、ジュール損失は電流密度Jに比例する。また、スクライブライン2が屈曲していない場合の領域31内の電流経路の長さの積分値をJ0とすると、次式(11)のように表すことができる。
Figure 0005220204
スクライブライン2を屈曲させた場合とさせなかった場合のジュール損失の比J/J0を(2)、(3)、(6)〜(8)式を用いて計算する。ここでは、θを30〜85°の範囲で変化させ、L/Dを5,1,0.5,0.25として計算を行う。図9は、L/Dとθとを変化させたときのスクライブラインを屈曲させた場合とさせなかった場合のジュール損失の比J/J0の関係の一例を示す図である。この図9から、ジュール損失を、スクライブライン2を屈曲させなかった場合に比して5%程度かまたはそれ以上低減するためには、θは少なくとも72.5°よりも小さい角度とすることが望ましい。
なお、上述した例では、スクライブライン2のパターンは、屈曲部で尖った形状を有している場合示したが、これに限定されるものではない。図10と図11は、実施の形態1による薄膜太陽電池の構成の他の例を示す上面図である。図10に示されるように、スクライブライン2のパターンは屈曲部の角を丸めたパターンであってもよいし、図11に示されるように、波状のパターン(周期的な波状のパターン)であってもよい。これらの場合において、屈曲部の曲率を大きくすることで屈曲部への電流集中を緩和でき、ジュール損失を低減する効果を有する。また、このような場合においても、隣接するスクライブライン2間の距離は一定であり、短手方向に隣接するスクライブライン2の屈曲部の位置は、略同じ長手方向上の位置に形成される。
さらに、上述した例では、単位太陽電池セル3を周期的に屈曲させ、ジグザグ状に蛇行した形状としたが、屈曲部は1か所のみであってもよい。また、屈曲した単位太陽電池セル3が長手方向に複数の領域に分割されていてもよい。図12は、実施の形態1による薄膜太陽電池の他の例を示す上面図である。図12に示されるように、細線状の集電電極5を単位太陽電池セル3の短手方向に複数、絶縁透光性基板10と表面電極層11との間に配置してもよい。この集電電極5をスクライブライン2の屈曲部近傍に配置すると、表面電極層11中の経路が最も長くなる領域の電流を集電電極5に導くことができる。これによって、表面電極層11中でのジュール損失をさらに低減することができる。集電電極5を構成する材料としては、表面電極層11を構成する透明導電性材料に比して導電率の高い金属材料である、銀、アルミニウム、金、クロム、ニッケル、チタンなどを用いることが望ましい。
この実施の形態1によれば、絶縁透光性基板10の辺に対してスクライブライン2を屈曲させるようにしたので、透明導電性材料からなる表面電極層11における電流経路が単位太陽電池セル3の幅方向に対して斜めになり、電流経路を短くすることができる。その結果、スクライブライン2を屈曲させないで形成した単位太陽電池セル3のセル幅を同じにした場合に比して、ジュール損失を低減することができ、発電効率を向上させることができるという効果を有する。
単位太陽電池セル3の面積が同じである場合に、単位太陽電池セル3を蛇行した形状とすると、蛇行に沿った方向には長さが長くなり、蛇行方向に直交する方向の幅が狭くなる。このため、電流経路が短くなり損失を低減できると考えることもできる。
さらに、単位太陽電池セル3の両側の分離溝が、特定方向に平行移動した場合に重なり合う同一の蛇行した形状であって、それらの分離溝間に挟まれた単位太陽電池セル3は特定方向の幅が略一定であるように蛇行した形状としたので、幅が広い部分が生じない。このため、電流経路が長くなる部分が生じない。
これに対して、たとえばランダムに蛇行した分離溝間に挟まれた単位太陽電池セル3を考えると、部分的にくびれた狭い部分や、幅広な部分が生じる。狭い部分では電流経路が短くなる一方、幅広な部分では電流経路が長くなり損失が増加してしまう。つまり、損失低減の観点からは、単位太陽電池セル3の幅の平均が同じ場合には、幅広の部分や部分的にくびれた部分を形成する場合よりも、この実施の形態1のようにどの位置においても単位太陽電池セル3の幅を略一定とする場合の方が望ましい。
この実施の形態1によれば、スクライブライン2における屈曲部の長手方向の位置を、どのスクライブライン2においても略同じ位置に設定することで、単位太陽電池セル3の幅が略一定となる。その結果、電流経路が極端に長くなる領域が存在しないので、ジュール損失を低減することができるという効果も有する。
さらに、スクライブライン2の長手方向に垂直な方向(短手方向)に対するスクライブライン2の交差角度をθと−θとし、このθの絶対値を72.5°よりも小さくして、単位太陽電池セル3の屈曲度合いを大きくした。これによって、電流経路の短縮の効果が大きくなり、透明導電性材料で構成される表面電極層11でのジュール損失を一層大きく低減することが可能になるという効果も有する。
また、単位太陽電池セル3を周期的に蛇行させる場合、1/2周期L(図4の高さL)とその幅D(図4のD)との比L/Dが0.25以上であることが望ましい。L/Dが大きく、またθが小さい方が電流経路を短くできる傾向にある。つまり、ある程度の大きくねるように蛇行させる方が望ましい。
ここで、実施の形態1による薄膜太陽電池と、特許文献1の薄膜太陽電池とを比較する。図13は、特許文献1による薄膜太陽電池の構造を模式的に示す上面図であり、図14は、特許文献1によるスクライブラインの形状の一例を模式的に示す図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付している。
図13に示されるように、特許文献1の薄膜太陽電池では、蛇行したスクライブライン2(分離溝)を波形状とすると、実施の形態1のように特定方向に平行移動した場合に、重なり合う形状とはなっておらず、1つの蛇行した波形状のスクライブライン2と、このスクライブライン2に対して位相が反転した波形状のスクライブライン2によって、単位太陽電池セル3が区切られた構造を有している。そのため、単位太陽電池セル3の短手方向(特定方向)の長さは、場所によって異なっており、周期的に変化している。
図14において、紙面内の左右方向を図13の絶縁透光性基板10の上辺および下辺の延在方向に対応するX方向とし、このX方向に垂直な紙面内の方向を絶縁透光性基板10の右辺および左辺の延在方向に対応するY方向とする。特許文献1においては隣接するスクライブライン2間の最大間隔をWmaxとし、最小間隔をWminとし、平均間隔をWaveとする。また、実施の形態1と同様にスクライブライン2のX方向に対する交差角度をθとし、同一のスクライブライン2上の隣接する屈曲点R間のY方向の間隔をLとする。特許文献1では、隣接する2本のスクライブライン2の位相は逆となっているので、隣接する2本のスクライブライン2に囲まれる単位太陽電池セル3の幅は、屈曲点R間の間隔が最大間隔Wmaxとなる部分から、徐々に減少していき、屈曲点R間の間隔が最小間隔Wminとなる部分に至り、また、徐々に増加して行き、屈曲点R間の間隔が最大間隔Wmaxとなる部分に至る。
ここで、屈曲点R間の間隔が最大間隔Wmaxとなる線分と、この最大間隔Wmaxとなる屈曲点Rに隣接し、屈曲点R間の間隔が最小間隔Wminとなる線分と、これら2つの線分の屈曲点R間を結ぶスクライブライン2によって構成される2本の線分と、によって、単位太陽電池セル3は上辺Wmax、下辺Wmin、高さLの台形の領域32に分割される。この台形32の領域32内での電流経路について、実施の形態1と単位太陽電池セル3の平均幅が等しくなる次式(12)が成立する場合において比較検討する。
Figure 0005220204
特許文献1においてL,θ,Wmax,Wminの間には次式(13)の関係が成立する。
Figure 0005220204
maxとWminは互いに正の値であることからつぎの不等式(14)の関係が成り立ち、式(13)と式(14)とから、さらに不等式(15)の関係が成立する。
Figure 0005220204
Figure 0005220204
0°<θ<90°の範囲においてtanθはθの単調増加関数である。また、上述の通り、角度θをなるべく小さくし、またL/Dの値を大きくすることで、ジュール損失低減の効果を大きくすることができる。しかし、特許文献1では、θ,L,Dの関係は(15)式の関係を満たす必要があるため、角度θをなるべく小さくし、またL/Dの値を大きくすることには制約が生ずる。
つぎに、特許文献1と本実施の形態1において、(15)式を満たす条件で、θ,L,Dがそれぞれ同じ値となる場合において比較を行う。図15は、特許文献1による薄膜太陽電池の台形の領域に対応する透明電極層での電流の流れる様子と、実施の形態1による薄膜太陽電池の平行四辺形の領域に対応する透明電極層での電流の流れる様子との比較を模式的に示す図である。この図15では、実施の形態1の図4の平行四辺形の領域31と、比較例としての特許文献1の図14の台形の領域32とを重ね合わせて比較したものである。
お互いが重なりあう領域33において発生した電流の透明電極層中の電流経路において差は生じず、お互いが重なり合わない領域315と領域321とで発生した電流の透明電極層中の電流経路の差がジュール損実の差となる。領域315,321で発生した電流はスクライブライン2に対しその電流経路が最短となるよう、スクライブライン2に下ろした垂線の交点か、または屈曲点Rに向かって流れる。領域315で発生した電流の透明電極層中の電流経路46と、領域321で発生した電流の透明電極層中の電流経路47とを比較すると、電流経路46の方が電流経路47に比して短くなることは図15から自明である。つまり、実施の形態1の方が、特許文献1に比してジュール損失を低減することができることを示す。
以上から特許文献1と比較した場合に、θ,L,Dがそれぞれ同じ値となる場合においても実施の形態1の方がジュール損失を低減することができる。また、実施の形態1では、θとL/Dの値の関係に制約がないため、角度θをなるべく小さくし、またL/Dの値を大きくすることでジュール損失をより低減することもできる。
実施の形態2.
図16は、この発明の実施の形態2による薄膜太陽電池の一例を示す上面図である。実施の形態2の薄膜太陽電池1では、絶縁透光性基板10の中央からスクライブライン2の短手方向の辺縁部(端部)に向かうにつれて、屈曲の度合いが小さいスクライブライン2が配置される構成となっている。この例では、短手方向の両端の単位太陽電池セル3と電流取出部4とを分離するスクライブライン2の形状は、絶縁透光性基板10の端面と略平行となっている。また辺縁部の隣接するスクライブライン2同士は屈曲の度合いが変化するため略平行とはならないが、屈曲部を構成する山や谷の位置や周期を揃えている。このようにすることで、単位太陽電池セル3の幅の変化量が極端に広くなる部位の発生を抑えることができる。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。また、このような構造の薄膜太陽電池1の断面構造および製造方法については、実施の形態1と同様であるため、その説明についても省略する。
さらに、各スクライブライン2の屈曲度合いや間隔については、各単位太陽電地セル3の発生電流量が略等しくなるように調整することが望ましい。また、各スクライブライン2のパターンについては実施の形態1と同様に屈曲部の角を丸めたパターンや波状のパターンを用いてもよい。
この実施の形態2によれば、発電に寄与しない絶縁透光性基板10の両端の電流取出部4の面積を小さくすることができ、薄膜太陽電池モジュールの発電効率を向上させることができるという効果を有する。また、両端部の単位太陽電地セル3の電極がおおむね直線であるため、電極にモジュール外部に電力を取り出すためのバス配線を接続することが容易となる。
なお、絶縁透光性基板10の辺縁部の単位太陽電池セル3において、スクライブライン2は略平行とならないため透明導電性材料で構成される表面電極層11での電流経路が長くなり、そのためジュール損失が増大する場合がある。しかし、絶縁透光性基板10の辺縁部以外の単位太陽電池セル3では、ジュール損失が低減されているため、太陽電池モジュール全体としてのジュール損失量は低減される。
実施の形態3.
図17は、この発明の実施の形態3による薄膜太陽電池の一例を示す上面図である。実施の形態3の薄膜太陽電池1では、スクライブライン2の屈曲の度合いはスクライブライン2の短手方向の辺縁部(端部)でも変化しない。最端部のスクライブライン2を、隣接するスクライブライン2と略平行にしようとすると絶縁透光性基板10からはみ出してしまう。そこで最端部のスクライブライン2の絶縁透光性基板10からはみ出してしまう屈曲部分については絶縁透光性基板10内に収まるように絶縁透光性基板10の端面と平行となるようにする。また、図の左右方向(スクライブライン2の短手方向)の両端に配置される単位太陽電池セル3が、他の単位太陽電池セル3と略等しい面積となるように、スクライブライン2の形状を変えている。
たとえば、最も右側のスクライブライン2aでは、他のスクライブライン2と形状を一致させる場合には、点線で示したスクライブライン2bの形状となる。しかし、この場合、スクライブライン2bの一部は、絶縁透光性基板10の形成領域外に形成されることになる。その結果、右に凸の屈曲部1つ当たり面積S1だけ、他の単位太陽電池セル3の面積よりも小さくなってしまう。そこで、絶縁透光性基板10の領域外に形成される仮想的な屈曲部に対向する側の屈曲部の形状を変化させ、スクライブライン2aに示される形状とする。これは、電極取出部4から面積S1を差し引いたものであり、スクライブライン2aの左側の屈曲部が省略され、屈曲部を構成する辺の途中を直線で結んだ形状となっている。これによって、電流取出部4は複数の島状の領域に分離される構成となる。
図18は、図17の薄膜太陽電池から電流を取り出す構成の一例を模式的に示す上面図である。この薄膜太陽電池1では、図の左右方向両端の電極取出部4を含む領域上にバス配線6が設けられ、島状に形成された各電極取出部4とバス配線とは接続部7によって電気的に接続される。バス配線6の材料として、銅やアルミニウムなどの低抵抗の線材を用いることができ、裏面電極層14との接続性を改善させるため表面にはんだを被覆してもよい。
また、電極取出部4は島状に配置されているため、バス配線6は電極取出部4間に存在する単位太陽電池セル3上にも設けられる構造となっている。そのため、バス配線6は、最外縁部の単位太陽電池セル3の裏面電極層14とも接触し短絡する可能性がある。そこで、単位太陽電池セル3の裏面電極層14とバス配線6との間に、絶縁シートを挿入したり、またはバス配線6の最表面を絶縁膜で被覆したりすることが望ましい。さらに、電極取出部4の裏面電極層14とバス配線6との電気的接続方法にははんだ接続や超音波溶接、導電性接着剤や異方性導電シートを用いた接着法を用いることが望ましい。
なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。また、このような構造の薄膜太陽電池1の断面構造および製造方法については、実施の形態1と同様であるため、その説明についても省略する。
さらに、各スクライブライン2のパターンについては実施の形態1と同様に屈曲部の角を丸めたパターンや波状のパターンを用いてもよい。また、実施の形態2のように、絶縁透光性基板10の中央からスクライブライン2の短手方向の辺縁部(端部)に向かうにつれて、屈曲の度合いが徐々に小さくなるように形成し、最外縁部のスクライブライン2の屈曲の度合いをある程度小さくした状態で、最外端のスクライブライン2の絶縁透光性基板10からはみ出してしまう屈曲部を絶縁透光性基板10の端面と平行となるようにしてもよい。さらに、実施の形態1と同様に、細線状の集電電極を単位太陽電池セル3の短手方向に複数、絶縁透光性基板10と表面電極層11との間に配置してもよい。
この実施の形態3では、スクライブライン2の配列方向(単位太陽電池セル3の短手方向)の辺縁部(端部)の単位太陽電池セル3においても、スクライブライン2の屈曲度を小さくすることなく、発電に寄与しない絶縁透光性基板10の両端の電流取出部4の面積を小さくすることができる。その結果、薄膜太陽電池モジュールの発電効率を向上させることができるという効果を有する。
なお、上記の実施の形態では絶縁透光性基板を用いたスーパーストレート型構造の場合を示したが、同様な単位太陽電池セル3の形状を、基板上に反射電極、光電変換層、透明電極が順に積層され、膜面側から光を入射するサブストレート型構造にも用いても同様の効果が得られる。また、溝内で反射電極と透明電極との接続は、いずれかの電極によってもよいが、導電性ペーストなどの他の導電材料を介してもかまわない。
以上のように、本発明にかかる薄膜太陽電池は、基板上に単位太陽電池セルが直列に複数接続された構造に有用である。
1 薄膜太陽電池
2 スクライブライン
3 単位太陽電池セル
4 電流取出部
5 集電電極
6 バス配線
7 接続部
10 絶縁透光性基板
11 表面電極層
12 光電変換層
13 中間導電体層
14 裏面電極層
21 第1スクライブライン
22 第2スクライブライン
23 第3スクライブライン

Claims (13)

  1. 基板上に、透明導電性材料によって形成される第1の電極層と、光電変換層と、光を反射する導電性の材料を含む第2の電極層と、を含み、溝によって複数に分割された単位セルを複数有し、前記光電変換層に形成された溝内で前記第2の電極層と隣接する単位セルの第1の電極層とが接続されて、複数の前記単位セルが電気的に直列接続された薄膜太陽電池において、
    少なくとも1つの前記単位セルの両側の前記溝は、前記溝間に挟まれた前記単位セルが所定方向に一定の幅を有して蛇行するように形成されるとともに、前記所定方向に平行移動した場合に重なり合う同一形状を有することを特徴とする薄膜太陽電池。
  2. 前記溝は、前記所定方向に対して角度θで交差する第1の線分からなる溝、および角度−θで交差する第2の線分からなる溝を、少なくとも1つの屈曲部を有するように接続した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池。
  3. 前記溝の屈曲部が曲線で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜太陽電池。
  4. 前記溝は、周期的な波状の曲線で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜太陽電池。
  5. 前記基板は矩形形状を有し、前記所定方向は前記基板の第1の辺と平行であり、
    前記複数の溝は、前記第1の辺の延在方向に周期的に設けられるとともに、前記基板の前記第1の辺と交差する第2の辺の延在方向上での屈曲部の位置、または山と谷の位置が略一致して配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  6. 前記角度θの絶対値は、72.5°よりも小さい角度であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  7. 前記基板と前記第1の電極層との層間の前記溝の屈曲部の近傍に細線状の集電電極をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  8. 前記基板の前記所定方向の中央部から端部に向かうほど、前記溝の屈曲の度合いが小さくなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  9. 前記基板は矩形形状を有し、前記所定方向は前記基板の第1の辺と平行であり、
    前記基板の前記第1の辺の延在方向の端部に形成される溝は、前記基板の前記第1の辺と交差する第2の辺の延在方向と略平行な直線であることを特徴とする請求項8に記載の薄膜太陽電池。
  10. 前記基板の前記所定方向の両端部の前記第1の電極層、前記光電変換層および前記第2の電極層の積層構造は、直列接続された前記単位セルで発電された電流を外部に取り出す電流取出部であり、
    前記電流取出部上に設けられる配線と、
    前記配線と前記電流取出部とを電気的に接続する接続部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  11. 前記電流取出部は、前記基板の前記所定方向の両端部の前記単位セルの屈曲構造によって、前記溝の延在方向に複数島状に分離された構造を有し、
    前記接続部は、前記各電流取出部に設けられることを特徴とする請求項10に記載の薄膜太陽電池。
  12. 前記光電変換層は、バンドギャップの異なるpn接合またはpin接合を有する複数の半導体層が、基板面に垂直な方向に積層された構造を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  13. 基板上に第1の電極層を形成する工程と、
    前記第1の電極層を互いに平行な屈曲した形状の第1の分離溝で単位セルごとに分離する工程と、
    前記第1の電極層を形成した前記基板上に、半導体層からなる光電変換層を形成する工程と、
    前記光電変換層を前記第1の分離溝と同じ形状の第2の分離溝で、前記第1の分離溝と異なる位置で前記単位セルごとに分離する工程と、
    前記第2の分離溝内に導電性材料を埋め込む工程と、
    前記第2の分離溝に埋め込まれた前記導電性材料を含む前記光電変換層上に第2の電極層を形成する工程と、
    前記第2の電極層と前記光電変換層を、前記第1の分離溝と同じ形状の第3の分離溝で、前記第1および第2の分離溝と異なる位置で前記単位セルごとに分離する工程と、
    を含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。

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