本発明は、貯水池や水路などの水利構造物の漏水補修材とその漏水補修材を用いた漏水補修方法に関するものである。
一般に、コンクリート水路等のコンクリート水利構造物を長期間使用すると、コンクリート躯体間の目地材や部材間の継目に充填された充填材が劣化・脱落し、漏水が発生することがある。また、コンクリート躯体に生じたひび割れから漏水が発生し、流量や貯水量が低下することがある。これらの問題に対し、近年、農家が直接水路等の補修を行うことができる補修材の開発やその適用、また、施工工事の簡素化が求められている。
従来、水利構造物の漏水対策において、簡易的な漏水対策としては、ゴム系テープ材や、ブチルゴム等と金属箔(アルミ、ステンレス等)とを組み合わせたいわゆる「防水テープ」等を、補修箇所に貼ることにより漏水を防止する施工方法が知られている。例えば、従来、硬化後弾性を発現する下塗り下地材を、コンクリート構造物のひび割れ部分を覆って塗布し、その上に補強テープを貼るとともに、この補強テープに接着剤を含浸させて固着させて高剛性化し、その表面に上塗り仕上げ材を塗布するひび割れの補修方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、漏水箇所を目地材で防水処理し、目地部を跨ぐように伸び性に富んだ光硬化型繊維強化樹脂シートをコンクリート壁に貼り付け、シートの両端部のみを接着し、目地部を跨いで配置される中間部を非接着部とし、シートに光照射して硬化させる補修方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、下地にプライマーを塗り、この下地上に少なくともセメントと樹脂エマルションからなる接着層を、次に防水シートを、さらに少なくともセメントと樹脂エマルションからなる表面層を順に積層して配置したコンクリート水路改修方法であって、防水シートを熱可塑性樹脂防水シートにより構成したものが知られている。(例えば、特許文献3、4参照。)。また、繊維シートの表面にウレア系の樹脂をコーティングし、次いで、得られた可撓性補強材の裏面に接着剤を塗布した状態でコンクリート表面に貼り付ける水路構造体の表面補強方法が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
さらに、細長の基材の片面中央部に粘着層を、長手方向に両端縁に粘着層のない延出部を備えた目地テープを用い、この目地テープを、コンクリート下地の目地部上を粘着層で塞ぐようにして貼着し、下地面と目地テープの上から塗膜防水層を形成する塗膜防水工法が知られている(例えば、特許文献6参照。)。この特許文献6に記載の工法には、基材の素材として、例えば、ポリビニルアルコール(ビニロン);ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン等のポリオレフィン;ガラス;カーボン等が挙げられ、基材の構成としては、前記素材により形成された不織布、クロス(織布、編布)等の単独又はこれらの複合体が挙げられる点が示されている。また、粘着層を構成する粘着剤として、例えば、天然ゴム系粘着剤;ポリイソプレンゴム、ブチルゴム、ブチル−イソプレンゴム等の合成ゴム系粘着剤;ゴムアスファルト系粘着剤;アクリル酸系粘着剤等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いる点が示されている。さらに、塗膜防水層を形成する防水材としては、水系でも溶剤系でもよく、例えば、ウレタンゴム系、アクリルゴム系、クロロプレンゴム系、ゴムアスファルト系、シリコーンゴム系等のゴム系防水材;アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−エチレン−アクリル系樹脂等からなる樹脂エマルジョンと、ポルトランドセメント、アルミナセメント等のセメントと、珪砂等の骨材とを含有してなるポリマーセメント系防水材等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いる点が示されている。また、連続発泡ポリウレタンの反発弾性体からなるテープ基材の裏面側にアクリル糊からなる厚み5μmの粘着材層を形成し、表面側に厚み100μmの低密度ポリエチレンからなる樹脂フィルムに厚み7μmのアルミ箔からなるアルミ被膜を設けたアルミフィルム層を形成した目地テープが知られている(例えば、特許文献7参照。)。さらに、下地上にポリウレタン樹脂系防水テープを貼着し、防水テープを貼着した部分と未貼着の部分の上に塗膜防水層を形成し、塗膜防水層もポリウレタン樹脂系塗膜防水材を用いた塗膜防水工法が知られている(例えば、特許文献8参照。)。
特開2002−38727号公報(第3頁、図1)
特開2005−273159号公報(第4頁、図2)
特開2007−198118号公報(第5、6頁、図1)
特開2007−198119号公報(第3、4頁、図2)
特開2004−76321号公報(第3頁、図1)
特開2007−113268号公報(第3、4頁、図1)
特開平9−125542号公報(第3頁、図1)
特開2003−90106号公報(第3、4頁、図5、6)
しかしながら、上記特許文献1〜8に係る防水テープまたは漏水補修材による漏水防止工法では、防水テープを接着させるコンクリート躯体表面が平滑状態であることを前提にしており、例えば、長期間の浸食作用によりコンクリート水路表面が凹凸で不陸となっている場合には、特許文献3または6に記載の工法のようにコンクリートの下地に接着層の塗布に先行してプライマーを塗り、平滑化処理(不陸調整処理)を行う必要がある。このため、施工作業が煩雑化しコストアップを招くという問題がある。さらに、上記特許文献1〜8に係る防水テープや漏水補修材では、長寿命化や耐水性能を図るため、基材側の伸び性を抑えて剛性を向上させるため、「硬い」材料を表面に用いている。このため、コンクリート水路では、躯体の温度変化による伸縮挙動に追従できないという問題がある。特に、目地部やひび割部における伸縮挙動の繰り返しなどにより、目地部やひび割れ部に接着した防水テープでは、長期間、補修効果を持続させることができない。他方、逆に、通水側の基材に伸縮挙動に対する追従性を向上させるため、柔軟性、弾性、可撓性に富む材料を使用すると、通水表面における耐久性(耐候性、耐摩耗性)が低下し、防水テープまたは漏水補修材の表面劣化、ひび割れ等が生じる虞がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡素な構成でコストを低減できかつ施工が容易で、水利構造物側から外部への漏水を確実にかつ長期間防ぐことができるコンクリート水利構造物の漏水補修材とそれを用いた漏水補修方法を得ることを目的とする。
本発明の請求項1に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材は、柔軟性と遮水性とを有する薄膜の基材と、この基材に接合され、柔軟性と遮水性とを有し水利構造物の表面に生じた凹凸部の高低差に応じて所定の厚さを確保して形成された変形自在な付着層とを備え、この付着層が水利構造物表面に貼り付けられる漏水補修材であって、付着層を、水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な伸縮性を有する素材により構成し、基材を、付着層に追随可能な柔軟性と伸縮性とを有する耐候性の素材により構成し、基材は、アルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは複数の層を積層化したラミネートシートのうち少なくともいずれか1から構成され、付着層は、ブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材のうち少なくともいずれか1から構成されるとともにその厚みを1〜3mmに形成し、これら基材と付着層とで柔軟性に差を設けたことを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材では、柔軟性と遮水性とを有する薄膜の基材と、この基材に接合され、柔軟性と遮水性とを有し水利構造物の表面に生じた凹凸部の高低差に応じて所定の厚さを確保して形成された変形自在な付着層とを備え、この付着層が水利構造物表面に貼り付けられる漏水補修材であって、付着層を、水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な伸縮性を有する素材により構成し、基材を、付着層に追随可能な柔軟性と伸縮性とを有する耐候性の素材により構成し、基材は、アルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは複数の層を積層化したラミネートシートのうち少なくともいずれか1から構成され、付着層は、ブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材のうち少なくともいずれか1から構成されるとともにその厚みを1〜3mmに形成し、これら基材と付着層とで柔軟性に差を設けたことにより、付着層が水利構造物の躯体表面に貼り付けられると、たとえ、躯体表面に凹凸があってもこの凹凸面に密着して付着層が付着される。そして、水利構造物の躯体側が伸縮すると、付着層はその伸縮に追随して伸縮して変形し、基材は付着層の伸縮に追随して伸縮かつ変形する。このため、水利構造物の躯体に対する密着性が保持されるとともに、躯体側の伸縮に対する追従性が向上する。このように、基材側を付着層側に追随させて両者の相対的なずれを抑制し、水利構造物躯体側の伸縮挙動の大部分を付着層で吸収して緩和するので、基材側に構造体側の伸縮挙動が直接伝わりにくい。さらに、水利構造物躯体内の静水圧の作用により基材が躯体側に押し付けられても付着層は吸収して緩和するので反発がなく、躯体との密着性が高まり止水性が向上する。そして、基材は付着層の変形に追随可能な伸び性をとともに耐候性を発揮し、付着層は水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な変形性を発揮する。このため、水利構造物側から外部への漏水が阻止され、しかも漏水は長期間に亘り阻止される。
本発明の請求項2に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材は、基材をラミネートシートから構成し、このラミネートシートを、ポリビニルアルコール系連続繊維シートの補強層両面をそれぞれ高耐候性フッ素フィルムと不織布とにより挟んで積層化したシートまたは高耐候性フッ素フィルムと不織布とを積層化したシートのうちいずれか1により構成したことを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材では、基材をラミネートシートから構成し、このラミネートシートを、ポリビニルアルコール系連続繊維シートの補強層両面をそれぞれ高耐候性フッ素フィルムと不織布とにより挟んで積層化したシートまたは高耐候性フッ素フィルムと不織布とを積層化したシートのうちいずれか1により構成したことにより、耐候性が向上し、漏水をより長期間に亘り阻止する。
本発明の請求項3に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材は、漏水補修材を幅100mmないし150mmのテープ状に形成したことを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材では、漏水補修材を幅100mmないし150mmのテープ状に形成したことにより、施工時、テープ状の漏水補修材を施工部位に応じてカットして施工面に接着するだけで作業が完了するので、施工が簡素化され、作業のコストダウンを図ることができる。
本発明の請求項4に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材は、水利構造物がコンクリート製の水路であることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材では、水利構造物がコンクリート製の水路であることにより、コンクリート製水路の目地部や経年摩耗した部位、ひび割れ部に用いても、コンクリートの伸縮に追随するので、確実に漏水を阻止する。
本発明の請求項5に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材を用いた漏水補修方法は、柔軟性と遮水性とを有する薄膜の基材と、この基材に接合され、柔軟性と遮水性とを有し水利構造物の表面に生じた凹凸部の高低差に応じて所定の厚さを確保して形成された変形自在な付着層とを備え、この付着層が水利構造物表面に貼り付けられる漏水補修材であって、付着層を、水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な伸縮性を有する素材により構成し、基材を、付着層に追随可能な柔軟性と伸縮性とを有する耐候性の素材により構成し、基材は、アルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは複数の層を積層化したラミネートシートのうち少なくともいずれか1から構成され、付着層は、ブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材のうち少なくともいずれか1から構成されるとともにその厚みを1〜3mmに形成し、これら基材と付着層とで柔軟性に差を設け、この漏水補修材をテープ状に形成し、この漏水補修テープを、水利構造物の漏水箇所または目地部に応じて所定寸法にカットする工程と、カットされたテープの付着層を、上記漏水箇所または目地部を覆って水利構造物表面に貼り付ける工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材を用いた漏水補修方法では、柔軟性と遮水性とを有する薄膜の基材と、この基材に接合され、柔軟性と遮水性とを有し水利構造物の表面に生じた凹凸部の高低差に応じて所定の厚さを確保して形成された変形自在な付着層とを備え、この付着層が水利構造物表面に貼り付けられる漏水補修材であって、付着層を、水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な伸縮性を有する素材により構成し、基材を、付着層に追随可能な柔軟性と伸縮性とを有する耐候性の素材により構成し、基材は、アルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは複数の層を積層化したラミネートシートのうち少なくともいずれか1から構成され、付着層は、ブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材のうち少なくともいずれか1から構成されるとともにその厚みを1〜3mmに形成し、これら基材と付着層とで柔軟性に差を設け、この漏水補修材をテープ状に形成し、この漏水補修テープを、水利構造物の漏水箇所または目地部に応じて所定寸法にカットする工程と、カットされたテープの付着層を、上記漏水箇所または目地部を覆って水利構造物表面に貼り付ける工程とを有するようにしたことにより、漏水補修テープを、水利構造物の漏水箇所または目地部に応じて所定寸法にカットした後、カットされたテープの付着層を、上記漏水箇所または目地部を覆って水利構造物表面に接着させるだけで施工が完了するので、作業が効率化される。水利構造物表面に接着された漏水補修テープは、水利構造物の躯体側が伸縮すると、付着層はその伸縮に追随して変形し、基材は付着層の変形に追随して伸縮する。このため、水利構造物の躯体に対する密着性が向上するとともに、躯体側の伸縮に対する追従性が向上する。そして、基材は付着層の変形に追随可能な伸び性をとともに耐候性を発揮し、付着層は水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な変形性を発揮する。このため、水利構造物側から外部への漏水が阻止され、しかも漏水は長期間に亘り阻止される。
本発明の請求項6に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材を用いた漏水補修方法は、水利構造物がコンクリート製の水路であって、漏水補修テープの付着層を、改質アスファルト系粘着材により構成し、コンクリート製水路の表面にアスファルト系プライマーまたはエポキシ樹脂系プライマーのうちいずれか一方を塗布した後、漏水補修テープを貼り付けることを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材を用いた漏水補修方法では、水利構造物がコンクリート製の水路であって、漏水補修テープの付着層を、改質アスファルト系粘着材により構成し、コンクリート製水路の表面にアスファルト系プライマーまたはエポキシ樹脂系プライマーのうちいずれか一方を塗布した後、漏水補修テープを貼り付けることにより、漏水補修テープの付着層がコンクリート構造体の表面に密着する密着性がより増大し漏水阻止性能が向上する。
本発明の請求項1に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材では、柔軟性と遮水性とを有する薄膜の基材と、この基材に接合され、柔軟性と遮水性とを有し水利構造物の表面に生じた凹凸部の高低差に応じて所定の厚さを確保して形成された変形自在な付着層とを備え、この付着層が水利構造物表面に貼り付けられる漏水補修材であって、付着層を、水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な伸縮性を有する素材により構成し、基材を、付着層に追随可能な柔軟性と伸縮性とを有する耐候性の素材により構成し、基材は、アルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは複数の層を積層化したラミネートシートのうち少なくともいずれか1から構成され、付着層は、ブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材のうち少なくともいずれか1から構成されるとともにその厚みを1〜3mmに形成し、これら基材と付着層とで柔軟性に差を設けて構成したので、漏水を長期間に亘って阻止し、メンテナンスに要するコストを低減でき、しかも施工作業を効率化することができる。
本発明の請求項5に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材を用いた漏水補修方法では、柔軟性と遮水性とを有する薄膜の基材と、この基材に接合され、柔軟性と遮水性とを有し水利構造物の表面に生じた凹凸部の高低差に応じて所定の厚さを確保して形成された変形自在な付着層とを備え、この付着層が水利構造物表面に貼り付けられる漏水補修材であって、付着層を、水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な伸縮性を有する素材により構成し、基材を、付着層に追随可能な柔軟性と伸縮性とを有する耐候性の素材により構成し、基材は、アルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは複数の層を積層化したラミネートシートのうち少なくともいずれか1から構成され、付着層は、ブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材のうち少なくともいずれか1から構成されるとともにその厚みを1〜3mmに形成し、これら基材と付着層とで柔軟性に差を設け、この漏水補修材をテープ状に形成し、この漏水補修テープを、水利構造物の漏水箇所または目地部に応じて所定寸法にカットする工程と、カットされたテープの付着層を、上記漏水箇所または目地部を覆って水利構造物表面に貼り付ける工程とを有するようにしたので、施工に要する作業時間を短縮して効率化を図ることができる。
施工作業を簡略化してコストダウンを図り漏水を確実にかつ長期間防ぐという目的を、基材を、アルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは補強層を積層化したラミネートシートのうち少なくともいずれか1から構成し、この基材に接合される付着層を、ブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材のうち少なくともいずれか1から構成し、この付着層の厚みを、コンクリート水利構造物の躯体表面に生じた凹凸部の高低差に応じて1〜3mmに形成して構成し、さらに、この漏水補修材を、幅100mmないし150mmのテープ状に形成して漏水補修テープを形成し、この漏水補修テープを躯体表面に接着し、付着層がコンクリート水利構造物表面の伸縮挙動に追随して変形すると、基材が付着層の変形に追随して伸縮するようにしたことにより実現した。
以下、図面に示す各実施例により本発明を説明する。図1は、本発明の第1の実施例に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材を示す要部の断面図、図2は、図1の漏水補修材をテープ状にカットし巻回して最終製品とした状態を示す説明図である。本発明の第1の実施例に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材2は、図1に示すように、柔軟性と遮水性とを有する薄膜の基材3と、この基材3に接合され、柔軟性と遮水性とを有し所定の厚さTを有して形成された変形自在な付着層4とを備えて形成される。漏水補修材2は、付着層4がコンクリート水利構造物(水利構造物)のコンクリート水路(躯体)6の表面に接着されるようになっている。付着層4の厚さTは、コンクリート水路6の表面に生じた凹凸部7の最大高低差Dに応じて決められるようになっている。コンクリート水路6の場合、好ましくは、付着層4の厚さTは、およそ1〜3mmの厚さを確保するように形成される。漏水補修材2は、図2に示すようにテープ状に形成され、基材3に接合された付着層4表面には剥離紙5が貼付され、巻回される。施工時には、施工箇所の長さに応じて巻回された漏水補修材2の巻回端を引き出しカットして用いるようになっている。テープ状に形成された漏水補修材2は、その幅をおよそ100mmないし150mmの範囲とすることが好ましい。
基材3は、付着層4の変形に追随可能な柔軟性と伸縮性とを有する耐候性の素材により構成される。すなわち、アルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは補強層を含む複数の層を積層化したラミネートシートのうち少なくともいずれか1から構成される。付着層4は、コンクリート水路6の表面の温度変化や経年変化による伸縮挙動に追随して変位を吸収可能な変形性を有する素材により構成される。すなわち、ブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材のうち少なくともいずれか1から構成される。そして、これら基材3と付着層4との柔軟性には差を設け、付着層4の変形に基材3が追随するように構成し、両者の相対的なずれを抑制し、コンクリート水路6側の伸縮挙動の大部分を付着層4で吸収して緩和し、基材3側にコンクリート水路6側の伸縮挙動が直接伝わりにくくしている。基材3は、実験の結果、ラミネートシートまたはアルミフィルムを用いることが好ましい。また、付着層4は、実験の結果、接着層を形成する場合、エポキシ樹脂系接着材を、粘着層を形成する場合、改質アスファルト系粘着材をそれぞれ用いることが好ましい。すなわち、第1の実施例に係るテープ状に形成された漏水補修材2は、接着型と粘着型との2つのタイプを有し、接着型の漏水補修テープは、施工現場で強固な接着力を有する接着材が基材3に塗布されたテープで、接着材として、例えば、エポキシ樹脂系接着材またはポリウレタン樹脂系接着材のうちいずれか一方が用いられる。また、粘着型の漏水補修テープは、基材3の裏面に予め粘着材が積層されたテープで、粘着層として、例えば、ブチルゴム系粘着材または改質アスファルト系粘着材が用いられる。
基材3の素材となるアルミフィルム、ポリエチレン樹脂系フィルム、フッ素樹脂系フィルムまたは補強層を含む複数の層を積層化したラミネートシートはいずれも、コンクリート水路6間、目地8間の段差や比較的大きな凹凸(凹凸部7)に対する追従性を得ることができる程度の柔軟性を有している。またこれら素材はいずれも、ある程度の強度(伸び能力と引張り強度)を有している。これら素材は、付着層を保護するための紫外線遮断性や素材自体が有する耐候性、通水表面における耐摩耗性を備えている。このため、コンクリート水路6側の伸縮挙動の発生によってもひび割れや剥離等の損傷を受けにくくなる。また、テープ状漏水補修材2をコンクリート水路6に貼り付ける際に、面外方向からの応力に対してその応力が基材3内に残留しないようになっている。このため、貼り付け後にその復元力によって剥がれることがない。
付着層4の素材となるブチルゴム系粘着材、エポキシ樹脂系接着材、ポリウレタン樹脂系接着材または改質アスファルト系粘着材はいずれも、コンクリート水路6の凹凸部7表面への追随性と、コンクリート水路6側に伸縮挙動が発生した場合にそれを吸収するせん断変形性能とを有している。これら付着層4の素材は、変位(歪み)の発生に対して応力の発生を最小限に留めることができる程度の柔軟性を有している。付着層4には、引張り強度や圧縮強度などの強度は必要とされない。このため、コンクリート水路6側の伸縮挙動の殆どが付着層4で吸収されて緩和され、直接的に基材3側に伝わることがない。また、これら素材は、コンクリート水路6内の静水圧の作用により基材3がコンクリート水路6側に押し付けられてもその圧力を吸収して緩和するので反発がなく、コンクリート水路6との密着性が高まり止水性が向上するようになっている。
ラミネートシートは、ポリビニルアルコール連続繊維シート(以下、PVA連続繊維シートと称す)の補強層を、表面の高耐候性フッ素フィルムと不織布とで挟んで積層化したシート(以下、補強層含有ラミネートシートをラミネートシート・第1タイプまたは特殊ラミネートシート(PVA連続繊維シート有)という。)とすることが好ましい。また、ラミネートシートは、PVA連続繊維シートの補強層を含まず、高耐候性フッ素フィルムと不織布とを積層化したシート(以下、補強層非含有ラミネートシートをラミネートシート・第2タイプまたは特殊ラミネートシート(PVA連続繊維シート無)という。)により構成してもよい。PVA連続繊維シートは、ポリビニルアルコールを連続して編み込んで構成される。
改質アスファルト系粘着材は、成分の差により相対的に中程度の粘着力を有するもの(以下、中粘着力タイプの改質アスファルト系粘着材を改質アスファルト系粘着材・タイプIという。)と、相対的に強い粘着力を有するもの(以下、強粘着力タイプの改質アスファルト系粘着材を改質アスファルト系粘着材・タイプIIという。)とを適宜選択して用いられるようになっている。改質アスファルトとは、ゴムやプラスチックをアスファルトに添加したものをいう。
次に、本発明に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材を用いた漏水補修方法について、上記第1の実施例に係る漏水補修材2の作用に基づいて説明する。テープ状に形成された基材3の一面に付着層4を接合し、付着層4表面に剥離紙5が貼付された漏水補修材2は、図2に示すように、巻回されて構成される。巻回された漏水補修材2は、コンクリート水路6の施工箇所の長さに応じて巻回された漏水補修材2の巻回端を引き出しカットして用いるようになっている。カットされたテープ状漏水補修材2(以下、漏水補修テープ2という。)は、施工現場で剥離紙5を取り除き、付着層4をコンクリート水路6側に向け、例えば、図3の(A)、(B)および図4に示すように、コンクリート水路6のうち漏水を生じた目地部8を覆って貼り付けられる。目地部8を覆って貼り付けられた漏水補修テープ2は、貼り付けが完了した時点で、図5の(A)に示すように、付着層4がコンクリート水路6表面の凹凸部7に押し付けられて付着されるものの、凹凸部7と付着層4との間に空隙Sが生じることがある。しかしながら、付着層4は、柔軟性を有しかつ所定の厚さT(1ないし3mm)を有し変形自在に形成されているので、時間の経過とともに、空隙Sは塞がれ、しかも、復元力がないので凹凸部7から剥がれることがない。さらに、施工後、コンクリート水路6に水が戻ると、付着層4は基材3側から静水圧も受けるので、空隙Sは消失し、基材3と凹凸部7との間は付着層4で満たされる。
漏水補修テープ2をコンクリート水路6に貼付後、コンクリート水路6が外気温の変化により水路6を構成する躯体が伸縮挙動すると、漏水補修テープ2は、付着層4がその伸縮に追随して変形し、基材3は付着層4の変形に追随して伸縮する。このため、コンクリート水路6に対する密着性が保持されるとともに、コンクリート水路6の伸縮に対する追従性が向上する。すなわち、図6の(A)に示すように、外気温の低下により躯体6が縮小すると、目地部8は広がるものの、付着層4は躯体6表面の凹凸部7の変位と目地部8の幅拡大に追従する。また、図6の(B)に示すように、外気温の上昇により躯体6が伸長すると、目地部8は狭まるものの、付着層4は躯体6表面の凹凸部7の変位と目地部8の幅縮小に追従するようになっている。このように付着層4が、コンクリート水路6側の伸縮挙動に追従するのに対し、基材3は、付着層4側と柔軟性に差を設けて構成され、躯体6側の伸縮挙動の大部分を付着層4で吸収して緩和するので、付着層4との相対的なずれが抑制され、基材3側に躯体6側の伸縮挙動が直接的に伝わりにくい。このため、長期間経過しても付着層4のコンクリート水路6に対する密着性が保持され、漏水阻止性能が長期間維持される。さらに、コンクリート水路6内の静水圧の作用により基材3が水路6側に押し付けられても付着層4はその圧力を吸収して緩和するので、反発がなく、水路6との密着性が高まり止水性が向上する。
図7および図8はそれぞれ、本実施例に係る漏水補修テープ2と従来の漏水補修テープ102A、102Bと用いて施工した例を比較して示す説明図で、図7の(A)は、コンクリート水路表面に本実施例に係る漏水補修テープ2を用いて施工した例を、図7の(B)は、コンクリート水路表面に従来の漏水補修テープを用いて施工した例を示し、図8の(A)は、コンクリート水路の段差のある目地部に本実施例に係る漏水補修テープ2を用いて施工した例を、図8の(B)は、コンクリート水路の段差のある目地部に従来の漏水補修テープを用いて施工した例をそれぞれ示している。図7の(B)および図8の(B)に示す従来の漏水補修テープは、基材に剛性や耐候性、強度はあるものの柔軟性のない素材で、付着層の変形に追随でなきない素材を用いた例を示している。図7の(B)に示す従来の漏水補修テープでは、付着層の厚さが薄い例を示しており、コンクリート水路表面に骨材や不陸等の大小の凹凸面がある場合、密着性が得られず、漏水の虞がある。これに対し、図7の(A)に示す本実施例に係る漏水補修テープ2では、コンクリート水路表面の大小の凹凸面に対して付着層4はその凹凸面に応じて厚さが決められるので、付着層4は自身が有する柔軟性と変形性とにより凹凸面に密着する。基材3は付着層4に追随して伸び縮みするので、付着層4は凹凸面に対する密着性を保持したまま引き剥がされることがない。図8の(B)に示す従来の漏水補修テープでは、柔軟性よりも耐候性や強度を確保するため剛性を大きくし、付着層の厚さを厚くした例を示しており、コンクリート水路の段差のある目地部を跨いで施工すると、柔軟性に欠けるため、時間の経過とともに一方の躯体に付着された付着層がコンクリート水路表面から離脱し、密着性が得られず開口してしまう虞がある。これに対し、本実施例に係る漏水補修テープ2では、図8の(A)に示すように、段差のある目地部を跨いで施工しても、基材3は柔軟で伸縮性を有するため付着層4の変形に追随するので、付着層4の密着性が確保され止水性が向上する。
図9の(A)、(B)はそれぞれ、上記実施例に係る漏水補修テープ2について、基材3をラミネートシート・第1タイプ(特殊ラミネートシート(PVA連続繊維シート有))とラミネートシート・第2タイプ(特殊ラミネートシート(PVA連続繊維シート無))の2種類とし、付着層4の付着性能(接着性能または粘着性能)粘着力を異ならせて実際に製造したサンプルを目地部8に施工した例を示す説明図および要部を拡大して模式的に示す説明図である。表1はこのようにして種類毎に製造されたテープ2の仕様の一覧を示す表である。表1において、接着型テープは、現場で強固な接着力を有する接着剤(エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系)を塗布して設置するテープであり、止水性や長期耐久性が期待できる。一方、粘着型テープは、テープ基材の裏面に粘着剤(改質アスファルト系粘着材)が予め一体化されている。このため、アスファルト系プライマーまたはエポキシ樹脂系プライマーを塗布した後、貼り付けるだけで設置が完了するようになっている。テープ2の基材3は、フッ素樹脂系フィルム、PVA連続繊維シート、不織布を一体化した特殊ラミネートの他、同シートでPVA連続繊維シートを含まないタイプと、アルミフィルムとを選定した。また、粘着型のテープの一部では粘着力の異なる粘着剤を用い、改質アスファルト系粘着材を用いた粘着型テープは、成分に応じて中粘着力タイプ、強粘着力タイプの2種類に分けている(改質アスファルト系粘着材・タイプIおよび改質アスファルト系粘着材・タイプII参照)。すなわち、テープ2の種類は、付着層4にエポキシ樹脂系接着材(硬質タイプ)またはウレタン樹脂系接着材(軟質タイプ)を用いたものを接着型テープ、改質アスファルト系粘着材を用いたものを粘着型テープとして区分している。
漏水補修テープ2の構成を異ならせた仕様(表1の仕様番号1ないし6)の性能確認試験結果を表2に示す。止水性の確認では、単位時間当たりの漏水量を測定した。水路目地を模擬した幅10mm×長さ150mmの貫通孔12(図11参照)を設けたコンクリート板11(230×300mm)を作製し、この貫通孔12をテープ2(長さ(150+α)mm)で被覆した。φ(径)200×1000mmの塩ビパイプ13(図12参照)をコンクリート板11の直上に設置した後、パイプ13内に水を充填し、水位が1m降下するまでに要した時間を計測した(図12参照)。コンクリート板11は、平滑板、摩耗板(選択的摩耗を模擬した凹凸面を有する板:最大高低3.7mm)の2種類とした。試験の結果、接着型テープ(表1、表2の仕様番号1および2)では漏水は確認されなかった。また、粘着型テープ(表1、表2の仕様番号3ないし6)では、平滑板を用いた試験では漏水は確認されなかったが、摩耗板を用いた試験で粘着剤およびテープ基材による差異がみられた。粘着力が強いほど、また、テープ基材の剛性が低いほど漏水量は小さくなる傾向を示した。一方、水路目地の伸縮に対する追従性の確認では、ひび割れ追従性試験(JSCE−K532準処)を選定して実施した。試験の結果、最大荷重時の変位量は、最小値を示したエポキシ樹脂系接着剤を用いた接着型テープ(表1、表2の仕様番号1)においても1.45mmであった。この値は延長2mの小規模コンクリート水路を想定し、コンクリートの線膨張係数を1.0×10−5/℃、外気温変化を50℃と仮定して算出した目地部における伸縮量の1mmを上回っている。また、接着剤・粘着剤の材質が軟らかいほど変位量は大きくなる傾向を示した。
次に、上記表1および表2に記載の仕様番号3ないし6について、表3に示す粘着型テープの種別毎にひっくり返す方向を180°とする180°引き剥がし粘着力について試験を行った。その結果を表4に示す。この試験の目的は、粘着型テープ(仕様番号3ないし6)の引き剥がし粘着力を測定することである。この試験は以下の方法で行われた。
(a)試験条件:温度23℃・50%RHで施工後、3日間養生し試験を実施
(b)粘着テープ種別:表3を参照(試験体寸法は、幅5.0cm×長さ30cm)
(c)プライマー種別:アスファルト系プライマーの刷毛塗りタイプおよびスプレータイプを実施(塗布量400g/m2)
(d)被着体:高低差3mm程度の凹凸のある摩耗板を使用
なお、表3において支持体は基材3に、粘着材は付着層4に相当する。
表4の結果から、引き剥がし粘着力は仕様番号6が最も高く、次いで、仕様番号5、4となり、仕様番号3については、仕様番号6の引き剥がし粘着力の半分以下となった。また、プライマーについては刷毛塗りタイプに比べ、スプレータイプの方が若干、引き剥がし粘着力が大きくなった。
次に、上記表1および表2に記載の仕様番号1および2のタイプのテープ、すなわち、接着型テープについて、基材3の種類を異ならせて躯体側のひび割れに対する追従性について試験を行いその結果を得た。接着型テープは、付着層4をエポキシ樹脂系接着材とポリウレタン系シーリング材でそれぞれ構成したテープを用いた。すなわち、試験に用いた供試体は、基材3をラミネートシート・第1タイプ(特殊ラミネートシート(PVA連続繊維シート有))、付着層4をエポキシ樹脂系接着材で構成した供試体タイプAと、基材3をラミネートシート・第1タイプ(特殊ラミネートシート(PVA連続繊維シート有))、付着層4をポリウレタン系シーリング材で構成した供試体タイプBとを用い、図10の(A)、(B)に示す試験体10により試験を行った。エポキシ樹脂系接着材は、重量比が、主剤:硬化剤=3:1の2液型エポキシ樹脂系接着剤である。この試験の目的は、接着型テープについて躯体側のひび割れに対するひび割れ追従性を測定することである。試験は以下の方法で行った。
(a)ひび割れ追従性の測定は、JCSE−K532「表面被覆のひび割れ追従性試験方法」に準じて行った。
(b)JSCE−K532に規定される40×120×10mmのモルタル試験片10(図10の(A)、(B)参照)の表面をワイヤーブラシにて処理した後、温度23℃・50%RH(相対湿度Relative Humidity)の恒温室内において、エポキシ樹脂系接着材またはポリウレタン系シーリング材を1000g/m2 モルタル試験片に塗布後、ラミネートシート・第1タイプを貼り付け、材齢7日まで養生を行った。
(c)材齢経過後、万能引張試験機を用いて、載荷速度5mm/minで載荷し、最大荷重および変位量を測定した。
その結果を表5に示す。
次に、上記表1および表2に記載の仕様番号3ないし6タイプのテープ、すなわち、粘着型テープについて、基材3の種類を異ならせて躯体側のひび割れに対する追従性について試験を行いその結果を得た。粘着型テープは、付着層4を改質アスファルト系粘着材で構成し、基材3をそれぞれ、ラミネートシート・第1タイプ(特殊ラミネートシート(PVA連続繊維シート有))で構成したものを供試体タイプCとし、フッ素樹脂系フィルムで構成したものを供試体タイプDとし、アルミフィルムで構成したものを供試体タイプEとし、図10の(A)、(B)に示す試験体により試験を行った。この試験の目的は、粘着型テープについて躯体側のひび割れに対するひび割れ追従性を測定することである。試験は以下の方法で行った。
(a)ひび割れ追従性の測定は、JSCE−K532「表面被覆のひび割れ追従性試験方法」に準じて行った。
(b)JSCE−K532に規定される40×120×10mmのモルタル試験片10の表面をワイヤーブラシにて処理した後、温度23℃・50%RHの恒温室内において、アスファルト系プライマーを400g/m2 モルタル試験片に塗布後、上記各タイプCないしEの種類の異なる基材ごとに貼り付け3日間養生を行った。
(c)養生期間経過後、万能引張試験機を用いて、載荷速度5mm/minで載荷し、最大荷重および変位量を測定した。
その結果を表6に示す。
次に、接着型テープ(表1および表2に記載の仕様番号1および2)について、基材3の種類を異ならせた供試体タイプAおよび供試体タイプBを用い、図11に示すコンクリート板11を利用して図12に示す試験装置により止水性について試験を行った。供試体タイプAは、上述のように、基材3をラミネートシート・第1タイプ、付着層4をエポキシ樹脂系接着材で構成した供試体で、供試体タイプBは、基材3をラミネートシート・第1タイプ、付着層4をポリウレタン系シーリング材で構成した供試体である。この試験の目的は、接着型テープについて止水性能を確認することである。試験は以下の方法で行った。
(a)図11に示す水路目地を模擬した幅10mm×長さ150mmの貫通孔12を設けたコンクリート板11(縦横寸法230×300mm)を用い、この貫通孔12を供試体タイプA(または供試体タイプB)の漏水補修テープ2(長さ(150+α)mm)で被覆した。径φ200×1000mmの塩ビパイプ13をコンクリート板11の直上に設置した後、パイプ13内に水を充填した。水位が1m降下するまでに要した時間を計測し、単位時間当たりの漏水量を算出した。
(b)コンクリート板11は、平滑板、摩耗板(選択的摩耗を模擬した凹凸面を有する板:最大高低差3.7mm)の2種類とした。
その結果を表7に示す。
次に、粘着型テープ(上記表1および表2に記載の仕様番号3ないし6のタイプのテープ)について、基材3をラミネートシート・第1タイプとし、付着層4を改質アスファルト系粘着材・タイプI(中粘着力タイプ)とした供試体タイプC−中粘着型と、基材3をラミネートシート・第1タイプとし、付着層4を改質アスファルト系粘着材・タイプII(強粘着力タイプ)とした供試体タイプC−強粘着型と、基材3をフッ素樹脂系フィルムとし、付着層4を改質アスファルト系粘着材・タイプII(強粘着力タイプ)とした供試体タイプD−強粘着型と、基材3をアルミフィルムとし、付着層4を改質アスファルト系粘着材・タイプII(強粘着力タイプ)とした供試体タイプE−強粘着型とのそれぞれのタイプを用い、図11に示すコンクリート板11を利用して図12に示す試験装置により止水性について試験を行った。この試験の目的は、粘着型テープについて止水性能を確認することである。試験は以下の方法で行った。
(a)図11に示す水路目地を模擬した幅10mm×長さ150mmの貫通孔12を設けたコンクリート板11(縦横寸法230×300mm)を用い、この貫通孔12を供試体タイプC−中粘着型〜供試体タイプE−強粘着型の漏水補修テープ2(長さ(150+α)mm)で被覆した。径φ200×1000mmの塩ビパイプ13をコンクリート板11の直上に設置した後、パイプ13内に水を充填した。水位が1m降下するまでに要した時間を計測し、単位時間当たりの漏水量を算出した。
(b)コンクリート板11は、平滑板、摩耗板(選択的摩耗を模擬した凹凸面を有する板:最大高低差3.7mm)の2種類とした。
その結果を表8に示す。
このように、表5および表6に示されたひび割れ追従性の試験結果と表7および表8に示された止水性確認の試験結果とが、表2に反映されている。
次に、本発明の第2の実施例に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材について説明する。本実施例に係る漏水補修材22は、上記第1の実施例に係る漏水補修テープ2が幅を100mmとしているのに対し、150mmと幅広に構成し、段差部に対する追従性を向上させた点、基材に紫外線に対する高耐久化処理を施し、耐候性の向上を図った点を除き上記第1の実施例に係る漏水補修テープとほぼ同一の構成を備えている。すなわち、表9に示す仕様一覧に記された仕様番号(仕様番号7ないし10)に応じて基材(支持体)23と付着層(粘着材)24とを異ならせて構成される。
表9に示された仕様番号に対応して構成された漏水補修テープ22にコンクリートとの付着性、目地の伸縮に対する追従性、止水性の性能評価試験を実施した。仕様番号7は、粘着材が異なる場合を比較するため、粘着材にブチルゴムを使用し性能を比較するために試験を実施した。また、プライマーの塗布を省略する仕様についても併せて実施した。
(a)コンクリートとの付着性については、基板10に摩耗板(水路の摩耗を模擬した凹凸面を有する板:最大凹凸差3.2mm)を用い、テープを貼り付けてから3日間養生した後、180°引き剥がし試験を実施し確認した(表10の付着性の欄参照)。
(b)目地の伸縮に対する追従性については、図10の(A)、(B)に示す試験体10を作製し、ひび割れ追従性試験(JSCE−K532準処)により、最大荷重時の変位量で確認した(表10の追従性の欄参照)。
(c)止水性については、図12に示す止水性試験機を用い、単位時間当たりの漏水量で確認した。基板31(図11参照)に摩耗板(縦横寸法230×300mm:最大凹凸差(最大高低差)2.2mmから3.7mm)を用い、この基板31に水路目地を模擬した幅10mm×長さ150mmの貫通孔32を設け、この貫通孔32をテープ22(長さ(150+α)mm)で被覆した。漏水量の測定は、径φ200mm×1000mmの塩ビパイプ13を摩耗板31の直上に設置した後、パイプ13内に水を充填し、水が無くなるまでに要した時間から算出した(表10の止水性の欄参照)。
表10から、180°引き剥がし試験の結果、粘着剤の粘着力を上げることで、プライマーを用いなくても高い付着力を確保することが示された。また、支持体(基材)23に高耐久化処理を施すと、従来の支持体(基材)に比べ、付着力が向上した。
追従性試験の結果、従来のタイプのテープが4.9mmであったのに対し、本実施例のテープは29.4mm(プライマー有り)、27.3mm(プライマー無し)の追従性を示した。これは粘着剤の変更で追従性が大幅に向上したことを示している。また、プライマーの有無による追従性の差は2.0mm程度しかなかった。
ところで、水路目地の収縮量は、気温の変化を50℃(−10〜40℃)とした場合、コンクリートの線膨張係数1.0×10−5/℃から、目地間隔2mの水路で1.0mmと算出される。また、目地間隔6.5mの水路において、年変動1.64mmという実測値がある。本実施例に係る漏水補修テープ22の追従性は、算定伸縮量および実測伸縮量を十分に上回っており、小規模用農業用コンクリート製開水路において、本テープ22は適用可能と考えられる。
止水性試験の結果、粘着剤の粘着力を上げることで、止水性が向上した。また、本実施例に係るテープ22では、プライマーを省略した場合、最大凹凸差3.7mmの基板で0.006l/sの漏水が発生したが、最大凹凸差2.2mmの基板では漏水は発生しなかった。このことから、本実施例に係るテープ22は、水路躯体表面の最大凹凸差が小さい場合、プライマーを省略した施工が可能となり、施工が簡略化される。このように、粘着材をブチルゴムから改質アスファルトに変更することが好ましく、その結果、水路躯体6との付着性が向上すること、並びに水路目地8の伸縮に対する追従性が向上することが確認された。また、基材23に高耐久化処理を施した支持体(高耐久化アルミフィルム)を用いることで、より優れた性能が得られることを確認した。
なお、上記各実施例では、水利構造物としてコンクリート製の水利構造物である水路について述べたがこれに限られるものではなく、金属製や合成樹脂製の水利構造物に適用可能であることはいうまでもない。また、上記実施例では、付着層4の厚さTを、コンクリート水路6の表面に生じた凹凸部7の最大高低差Dに応じておよそ1〜3mmの厚さとしているがこれに限られるものではなく、コンクリート表面の経年劣化が激しく凹凸部が深くなっているもの対しては、厚さTを3mm以上の厚さとしてもよいことはいうまでもない。さらに、上記実施例では、テープ状に形成された漏水補修材2の幅をおよそ100mmないし150mmの範囲としているがこれに限られるものではなく、この範囲の幅より狭くしてもよいし広くしてもよい。また、シート状に形成し、適宜所望の形状にカットして用いてもよい。さらに、上記各実施例では、漏水補修テープ2をコンクリート水路6の目地部8を覆って貼り付けた例を示しているがこれに限られるものではなく、ひび割れ部や穴あき部にも適用可能であることはいうまでもない。また、上記第1の実施例では、テープ2の種類に応じて、付着層4に改質アスファルト系粘着材を用いた粘着型テープでは塗布するプライマーをアスファルト系プライマーとしているが、これに限定されるものではなく、テープ2がエポキシ樹脂系接着材(硬質タイプ)またはウレタン樹脂系接着材(軟質タイプ)を用いた接着型テープの場合、エポキシ樹脂系プライマーまたはウレタン樹脂系プライマーを塗布するようにしてもよいことはいうまでもない。さらに、粘着剤である改質アスファルトの流動性を高めるために、貼り付け時に、粘着剤表面を工業用ドライヤーまたはガストーチで暖めることで粘着力を向上させることができることはいうまでもない。
本発明のコンクリート水利構造物の漏水補修材とそれを用いた漏水補修方法は、例えばダム導水路、放水路、貯水槽、農工業用水路や上下水道管渠等の各種水路系構造物内面の漏水補修対策に漏水補修材を適用する場合に有効であり、土木、建築業界において広く適用することができる。
本発明の第1の実施例に係るコンクリート水利構造物の漏水補修材を示す要部の断面図である。(実施例1)
図1の漏水補修材をテープ状にカットし巻回して最終製品とした状態を示す説明図である。(実施例2)
(A)、(B)はそれぞれ、図1の漏水補修材をコンクリート水路の目地部を覆って貼り付けた状態を示す斜視図および要部を拡大して示す断面図である。
図1の漏水補修材をコンクリート水路に沿って目地部を覆って貼り付けた状態を示す説明図である。
(A)、(B)はそれぞれ、図1の漏水補修テープをコンクリート水路表面に貼り付けが完了した時点の要部を拡大して示す説明図およびその漏水補修テープが静水圧を受けてコンクリート水路表面に密着した状態を要部を拡大して示す説明図である。
(A)、(B)はそれぞれ、コンクリート水路を構成する躯体が伸縮挙動する際に、図1の漏水補修テープが追随する状態を示す説明図である。
(A)、(B)はそれぞれ、図1の漏水補修テープと従来の漏水補修テープとの施工例を比較して示す説明図である。
(A)、(B)はそれぞれ、図1の漏水補修テープと従来の漏水補修テープとの施工例を比較して示す説明図である。
(A)、(B)はそれぞれ、図1の漏水補修テープ2を漏水する目地部に施工した例を示す説明図および要部を拡大して模式的に示す説明図である。
(A)、(B)はそれぞれ、躯体側のひび割れに対する追従性試験に用いた試験体を示す平面図および側面図である。
止水性確認試験に用いる基板(コンクリート板)と供試体を示す説明図である。
止水性確認試験に用いる試験装置の断面図である。
符号の説明
3 基材
4 付着層
6 コンクリート水路(水利構造物)
7 コンクリート水路表面
D 水利構造物表面の凹凸部の深さ
T 付着層の厚さ