JP5221005B2 - 難燃性粘着シート - Google Patents
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例えば、特許文献1では、アクリル系粘着剤にハロゲン系やリン系の難燃剤を配合したものが開示されているが、焼却した際に人体に悪影響を与えるハロゲンやリン酸ガスを発生してしまう。また、リン系の難燃剤は液状タイプのものが多く、粘着剤表面にブリードアウトするなどして、粘着特性を阻害する要因となる。
本発明は、このような事情に照らし、ハロゲン系や無機系の難燃剤を配合することなく難燃性を発現する粘着シートを提供すること、また生分解性を有し、特に植物由来の材料を用いた環境に優しい難燃性粘着シートを提供することを課題としている。
さらに、このような難燃性粘着シートの製造方法として、脂肪族ジカルボン酸10モル当量に対して、第一反応として脂肪族ジオール1〜8モル当量を縮合反応させ、第二反応としてジメチロールアルキル酸9〜2モル当量(ただし、脂肪族ジオールとジメチロールアルキル酸との合計量は10モル当量)を縮合反応させて、分子側鎖にカルボキシル基を持つポリエステル系重合体を得、このポリエステル系重合体からなる脂肪族エステル系ポリマーを、このポリマー100重量部あたり、0.01〜6重量部となる割合の架橋剤を用いて架橋処理した粘着剤層を形成することを特徴とする難燃性粘着シートの製造方法に係るものである。
さらに、本発明に使用する脂肪族エステル系ポリマーは、アクリル系ポリマーに比べて生分解性に優れており、植物由来の材料も任意に選択使用できるので、燃やしてもカーボンニュートラルの面から大気中の二酸化炭素量は増えず、二酸化炭素の増加による温暖化を防ぐことができ、環境に優しい難燃性粘着シートを提供できる。
このような脂肪族エステル系ポリマーの中でも、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを縮合反応させて得られるポリエステル系重合体を使用するのが望ましい。また特に、上記の縮合反応に際して、ジオール成分として脂肪族ジオールと共にジメチロールアルキル酸を併用することにより、これらの原料を共縮合反応させて得られる分子側鎖にカルボキシル基を持つポリエステル系重合体を使用するのが最も望ましい。
脂肪族ジカルボン酸には、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、1,12−ドデカン酸、1,14−テトラデカン酸、ダイマー酸などが挙げられ、2種以上を併用することもできる。
このようなジメチロールアルキル酸には、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールオクチル酸などが挙げられる。
また、ジメチロールアルキル酸の使用割合は、脂肪族ジカルボン酸の総量10モル当量に対して、9〜2モル当量、好ましくは8〜3モル当量、より好ましくは7〜4モル当量である。ジメチロールアルキル酸が2モル当量未満では接着力向上効果が著しく低減し、9モル当量を超えるとゲル化が発生しやすくなる。
ただし、ポリエステル系重合体の分子量がそれほど低下しない範囲内で、どちらかが、やや多めとなるように設定することもできる。つまり、脂肪族ジカルボン酸10モル当量に対して、脂肪族ジオールとジメチロールアルキル酸との合計量が9.8〜10.2モル当量の範囲となるようにすることもできる。
そこで、第一反応として、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを縮合反応させる。その際、脂肪族ジカルボン酸のモル比を多くすることにより、ポリエステルの分子末端をカルボキシル基にする。反応終了後、第二反応として、ジメチロールアルキル酸を添加して、第一反応で生成したポリエステルの分子末端のカルボキシル基とジメチロールアルキル酸の水酸基とを縮合反応させることにより、ゲル化させることなく、分子側鎖にカルボキシル基を持つポリエステル系重合体を得ることができる。
ここで、第二反応において、ジメチロールアルキル酸の量が、脂肪族ジカルボン酸10モル当量に対し、9〜2モル当量であることで、第一反応で得られたポリエステルの分子末端に水酸基がないため、ジメチロールアルキル酸が架橋剤として反応し難いが、9モル当量を超えるとジメチロールアルキル酸が自己縮合してゲル化しやすくなる。
これら触媒の使用量は、適宜選択できるが、通常は、脂肪族ジカルボン酸100重量部あたり、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.6重量部である。触媒の使用量が0.01重量部未満では重合時間が著しく長くなり、1.0重量部を超えて使用するとゲル化が発生すやすくなる。
なお、上記の酸価は、常法にしたがい、溶媒に溶解した試料(ポリエステル系重合体)をKOHで中和して求めることができる。
脂肪族エステル系ポリマーを主成分とする脂肪族エステル系粘着剤には、必要により、粘着性付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤など、粘着剤に通常配合されている従来公知の各種の添加剤を任意に配合することができる。
この架橋処理により、粘着剤層の耐熱性などが向上してくるが、架橋に伴い脂肪族エステル系ポリマーに由来する難燃効果が低下してくるため、架橋処理の度合いを制御して、粘着剤層の燃焼試験法(試験法:JIS K 7201)によって測定される酸素指数が26以上、好ましくは30以上となるように調整する。なお、酸素指数が26以上であれば自己消火性があり、それ自体が燃え広がることはない。
架橋剤の使用量が0.01重量部未満となると、架橋処理の効果がみられなくなり、6重量部を超えて使用すると、粘着剤層の燃焼試験法(試験法:JIS K 7201)によって測定される酸素指数が26未満となりやすい。また、架橋剤の使用量が過多となると、接着力の低下を引き起こす結果となる。
支持体には、金属や金属酸化物なとの無機物からなる箔、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、不織布などの多孔質材料など、各種材質からなるものが挙げられるが、難燃性を有しているのが望ましい。
四つ口のセパラブルフラスコに撹拌機、温度計、窒素管および水分離管を付し、これにダイマー酸(ユニケマ社製の「プリポール1009」、分子量567)100部、ダイマージオール(ユニケマ社製の「プリポール2033」、分子量537)95部、触媒としてn−ブチルスズオキシド(キシダ化学社製)0.4部、反応水排出溶剤としてキシレン40部を仕込み、窒素雰囲気で撹拌しながら180℃まで昇温し、この温度を保持した。しばらくすると、反応水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約30時間反応を続けて、ポリエステル系重合体を得た。
なお、上記のダイマー酸とダイマージオールの使用割合は、ダイマー酸10モル当量に対して、ダイマージオールが10モル当量であった。
この脂肪族エステル系粘着剤を、シリコーン系剥離剤で剥離処理した厚さが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)の上に塗布して、100℃で5分乾燥後、さらに50℃の雰囲気に120時間放置して、粘着剤層の厚さが50μmの難燃性粘着シートを得た。
四つ口のセパラブルフラスコに撹拌機、温度計、窒素管および水分離管を付し、これにダイマー酸(ユニケマ社製の「プリポール1009」、分子量567)100部、ダイマージオール(ユニケマ社製の「プリポール2033」、分子量537)38部、触媒としてn−ブチルスズオキシド(キシダ化学社製)0.4部、反応水排出溶剤としてキシレン20部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、180℃まで昇温して、この温度を保持した。
しばらくすると、反応水の流出分離が認められ、第一反応が進行し始めた。約12時間第一反応を続けて、分量が一定になったことを確認し、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成工業社製)14部を添加し、同様にして、約9時間第二反応を行い、分子側鎖にカルボキシル基を持つポリエステル系重合体を得た。
このポリエステル系重合体をキシレンで固形分濃度30重量%に希釈した。このポリエステル系重合体100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートL」)2部(固形分)を、配合して、脂肪族エステル系粘着剤とした。
この脂肪族エステル系粘着剤を、シリコーン系剥離剤で剥離処理した厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布して、100℃で5分乾燥後、さらに50℃の雰囲気に120時間放置して、粘着剤層の厚さが50μmの難燃性粘着シートを得た。
第一反応でダイマー酸を100部、ダイマージオールを76部に、第二反応で2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を5部に、それぞれ、変更した以外は、実施例2と同様して、分子側鎖にカルボキシル基を持つポリエステル系重合体を得た。
なお、上記の第一反応および第二反応で使用したダイマー酸、ダイマージオールおよび2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の使用割合は、ダイマー酸10モル当量に対して、ダイマージオールが8モル当量、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸が2モル当量であった。
このポリエステル系重合体を用いて、実施例2と同様にして、脂肪族エステル系粘着剤および難燃性粘着シートを得た。
第一反応でダイマー酸を100部、ダイマージオールを57部に、第二反応で2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を9部に、それぞれ、変更した以外は、実施例2と同様して、分子側鎖にカルボキシル基を持つポリエステル系重合体を得た。
なお、上記の第一反応および第二反応で使用したダイマー酸、ダイマージオールおよび2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の使用割合は、ダイマー酸10モル当量に対して、ダイマージオールが6モル当量、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸が4モル当量であった。
このポリエステル系重合体を用いて、実施例2と同様にして、脂肪族エステル系粘着剤および難燃性粘着シートを得た。
架橋剤であるトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートL」)の使用量を5部(固形分)に変更した以外は、実施例2と同様にして、脂肪族エステル系粘着剤および難燃性粘着シートを得た。
架橋剤であるトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートL」)の使用量を8部(固形分)に変更した以外は、実施例2と同様にして、脂肪族エステル系粘着剤および難燃性粘着シートを得た。
フラスコ内で、ブチルアクリレート100部とアクリル酸5部とを、トルエンを用いて溶液重合することにより,アクリル系重合体を得た。
このアクリル系重合体100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートL」)2部(固形分)を、配合して、アクリル系粘着剤とした。このアクリル系粘着剤を用いて、実施例2と同様にして、難燃性粘着シートを得た。
アクリル系粘着剤中に、難燃剤としてハロゲン系難燃剤40部と三酸化アンチモン20部を配合した以外は、比較例2と同様にして、難燃性粘着シートを得た。
アクリル系粘着剤中に、無機系難燃剤として水酸化アルミニウム80部と水酸化マグネシウム20部を配合した以外は、比較例2と同様にして、難燃性粘着シートを得た。
JIS K 7201に準じた燃焼試験法により、酸素指数を測定した。試験片の支持方法をB−1号とし、酸素指数の決定は燃焼時間が3分以上または5cm以上燃え続けた時とし、点火器の熱源はハロゲンガスとした。
なお、上記の「試験片の支持方法をB−1号とし、」とは、幅70mm×長さ200mmのアルミ板の長さ方向の一端側を、U字状〔幅60mm(幅方向における両端がそれぞれ5mm残るように)、長さ100mm〕に切欠して、支持板とし、この支持板の上記のU字部分に難燃性粘着シートの粘着剤層(幅70mm×長さ100mm)を貼り付けたのち、シリコーン系剥離剤で剥離処理したPETフィルムを引き剥がして、試験片としたものである。
JIS C 2107の粘着力(180度引き剥がし法)に準じて測定した。ただし、圧着は2kgのローラーを1往復して行い、被着体にはステンレス板を使用し、試験片は幅20mmにし、引張り速度は300mm/分とした。
なお、上記の試験片は、難燃性粘着シートの粘着剤層面に支持体としてPETフィルムを貼り付けたのち、シリコーン系剥離剤で剥離処理したPETフィルムを引き剥がして、作製したものである。
管状電気炉法:JIS K 2541に準じ、イオンクロマトグラフ法により燃焼時のハロゲンガス発生の有無を調べた。
スライドガラス「MICRO SLIDE GLASS」〔松浪硝子工業(株)、幅26mm×長さ76mm〕に、難燃性粘着シートの粘着剤層面を貼り付けたのち、シリコーン系剥離剤で剥離処理したPETフィルムを引き剥がし、試験片とした。
この試験片について、(株)村上色彩技術研究所の「HAZE METER HM−150」により、550nmの光線透過率を測定した。
これに対して、上記酸素指数が26に満たない比較例1の難燃性粘着シートは難燃性に問題があり、またアクリル系粘着剤を使用した比較例2の難燃性粘着シートでは難燃性に著しく劣り、これを改良するため、ハロゲン系難燃剤を配合した比較例3の難燃性粘着シートでは燃焼時のハロゲンガス発生の問題をさけられず、さらに無機系難燃剤を配合した比較例4の難燃性粘着シートでは透明性の低下が著しい。
Claims (4)
- 脂肪族ジカルボン酸10モル当量に対して、脂肪族ジオール1〜8モル当量およびジメチロールアルキル酸9〜2モル当量(ただし、脂肪族ジオールとジメチロールアルキル酸との合計量は10モル当量)を縮合反応させて得られる、分子側鎖にカルボキシル基を持つポリエステル系重合体からなる脂肪族エステル系ポリマーを、このポリマー100重量部あたり、0.01〜6重量部となる割合の架橋剤を用いて架橋処理した粘着剤層を有し、この粘着剤層の燃焼試験法(試験法:JIS K 7201)によって測定される酸素指数が26以上であることを特徴とする難燃性粘着シート。
- 粘着剤層の燃焼試験法(試験法:JIS K 7201)によって測定される酸素指数が30以上である請求項1に記載の難燃性粘着シート。
- 脂肪族エステル系ポリマーは、植物由来の材料を原料としたポリマーである請求項1または2に記載の難燃性粘着シート。
- 脂肪族ジカルボン酸10モル当量に対して、第一反応として脂肪族ジオール1〜8モル当量を縮合反応させ、第二反応としてジメチロールアルキル酸9〜2モル当量(ただし、脂肪族ジオールとジメチロールアルキル酸との合計量は10モル当量)を縮合反応させて、分子側鎖にカルボキシル基を持つポリエステル系重合体を得、このポリエステル系重合体からなる脂肪族エステル系ポリマーを、このポリマー100重量部あたり、0.01〜6重量部となる割合の架橋剤を用いて架橋処理した粘着剤層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性粘着シートの製造方法。
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