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JP5221945B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents
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JP5221945B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、耐摩耗性能及びランフラット耐久性を確保しつつ軽量化及び乗り心地を向上し得るランフラットタイヤに関する。
例えば、パンク等によりタイヤ内の空気が抜けた状態においても比較的長距離を走行(以下、このような走行を「ランフラット走行」と呼ぶ。)しうるランフラットタイヤが種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、サイドウォール部に、断面略三日月状のサイド補強ゴム層が設けられた所謂サイド補強タイプのものが記載されている。
特開平2000−351307号公報
しかしながら、上述のランフラットタイヤは、サイド補強ゴム層によって質量が大きくなるため、燃費性能が悪いという問題があった。また、このようなランフラットタイヤは、サイドウォール部の剛性及び縦バネ定数が高いため、乗り心地が悪いという傾向があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、アラミド繊維をカーカスコードに用いるとともに、ベルト層を、一対のエッジベルトプライと、1枚のフルベルトプライとで構成することを基本として、耐摩耗性能及びランフラット耐久性を確保しながら軽量化及び乗り心地を向上し得るランフラットタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつ前記カーカスの半径方向外側に配されるベルト層と、前記サイドウォール部に配されかつ最大厚さを有する中央部分から半径方向内外に厚さを減じてのびる断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具えるランフラットタイヤであって、前記カーカスは、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列したアラミド繊維からなるカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライからなり、かつ前記ベルト層は、両側のショルダー領域に離間して配されることによりタイヤ赤道を含むクラウン領域を中抜き状とした一対のエッジベルトプライと、該エッジベルトプライのタイヤ半径方向外側かつ両側のエッジベルトプライに跨って配される1枚のフルベルトプライとからなり、しかも正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填されしかも無負荷である正規状態におけるタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、前記エッジベルトプライのタイヤ軸方向の離間距離が5mm以上かつベルト層の最大幅の0.25倍以下であり、前記エッジベルトプライのタイヤ軸方向の内縁よりもタイヤ軸方向内側にタイヤ周方向溝が設けられていることを特徴とするランフラットタイヤ。
また請求項2の発明は、前記カーカスコードは、次式(1)で示される撚り係数Tが0.50〜0.70である請求項1に記載のランフラットタイヤである。
T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10−3 …(1)
(ただし、Nは上撚り数(回/10cm)、Dはトータル表示デシテックス(繊度)、ρはコード材料の比重である。)
また請求項3の発明は、前記正規状態におけるタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、タイヤ外面のプロファイルは、タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面幅SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面上の点をPとするとき、タイヤ外面の曲率半径RCが、タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するとともに、前記タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面幅SWの半幅(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てるタイヤ外面上の各点と、タイヤ赤道点CPとの間の各半径方向距離をそれぞれY60、Y75、Y90及びY100 とし、かつタイヤ断面高さをSHとするとき、
0.05< Y60 /SH ≦0.1
0.1< Y75 /SH ≦0.2
0.2< Y90 /SH ≦0.4
0.4< Y100 /SH ≦0.7
の関係を満足する請求項1又は2に記載のランフラットタイヤである。また、請求項4の発明は、前記エッジベルトプライのタイヤ軸方向の前記離間距離は、前記ベルト層の前記最大幅の0.216倍以上かつ0.25倍以下である請求項1乃至3のいずれかに記載のランフラットタイヤである。

なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。また前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。
請求項1に係る発明では、ベルト層は、両側のショルダー領域に離間して配されることによりタイヤ赤道を含むクラウン領域を中抜き状とした一対のエッジベルトプライと、該エッジベルトプライのタイヤ半径方向外側かつ両側のエッジベルトプライに跨って配される1枚のフルベルトプライとからなる。このようなベルト層は、中抜き部分によってプライ量が減りタイヤの軽量化を図り得るとともに、クラウン領域の剛性が緩和され、通常走行時の乗り心地を向上させうる。
他方、ランフラット走行時には、トレッド部のクラウン領域は、タイヤ半径方向内側に湾曲するために、両側のショルダー領域が主として路面と接地する。本発明のランフラットタイヤでは、トレッド部のショルダー領域は、エッジベルトプライとフルバンドプライとの2層で補強されるため、ショルダー部の剛性が確保され、ランフラット耐久性や耐摩耗性を確保し得る。また、カーカスは、アラミド繊維からなるカーカスコードを、トッピングゴムで被覆したカーカスプライからなる。これにより、ランフラットタイヤの剛性と荷重支持能力とを向上し得るので、質量増加なしにランフラット耐久性を向上し得る。
請求項2に係る発明は、カーカスコードコードを形成するアラミド繊維コードの撚り係数を、従来に比して大きく設定している。これにより、耐疲労性に劣るというアラミド繊維コード特有の欠点を克服しながら、ランフラット走行時の温度上昇によるコード損傷を抑制でき、ひいては、ランフラット耐久性を向上し得る。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明のランフラットタイヤ1の正規状態におけるタイヤ子午断面図である。前記ランフラットタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7と、ベルト層の半径方向外側に重ねられたバンド10とを具える。
前記カーカス6は、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列されるカーカスコードをトッピングゴムにより被覆した1枚以上のカーカスプライから形成される。本実施形態のカーカス6は、カーカスコードがタイヤ赤道に対して80〜90°の角度で配列された1枚のカーカスプライ6Aから構成されている。また、前記カーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間を跨るトロイド状の本体部6aと、前記ビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された一対の折返し部6bとを具える。
前記本体部6aと折返し部6bとの間には、例えばゴム硬度が65〜98度の硬質のゴムからなり、前記ビードコア5から半径方向外側に先細状にのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。なお、本明細書においては、「ゴム硬度」は、JIS−K6253に準拠し、温度23℃で測定されたデュロメータータイプAによる硬さを意味する。このビードエーペックスゴム8のビードベースラインBLからのタイヤ半径方向の高さhaは、特に限定はされないが、小さすぎるとランフラット耐久性が低下するおそれがあり、逆に大きすぎるとタイヤ質量の過度の増加や乗り心地の悪化を招くおそれがある。このような観点より、ビードエーペックスゴム8の前記高さhaは、タイヤ断面高さSHの10〜60%、より好ましくは20〜50%が望ましい。
本実施形態では、カーカスプライ6Aの折返し部6bが、ビードエーペックスゴム8を半径方向外側に超えて巻き上がり、その外端部6beが、本体部6aとベルト層7との間に挟まれて終端するいわゆる超ハイターンアップ構造を具える。これにより、1枚のカーカスプライ6Aを用いて、サイドウォール部3が効果的に補強される。また折返し部6bの外端部6beが、ランフラット走行時に大きく撓むサイドウォール部3から遠ざかるため、該外端部6beを起点とした損傷が好適に抑制される。このような観点より、折返し部6bとベルト層7との重なり部のタイヤ軸方向幅EWは、好ましくは5mm以上、さらには10mm以上が好ましい一方、軽量化の観点より、好ましくは40mm以下、さらには30mm以下が好ましい。なお前記カーカス6が複数枚のカーカスプライから形成される場合、少なくとも1枚のカーカスプライがこのようなハイターンナップ構造を有するのが好ましい。
前記バンド10は、タイヤ赤道に対して5°以下の角度で螺旋状に巻回されるバンドコードをトッピングゴムにて被覆した1枚以上のバンドプライからなり、前記ベルト層7を拘束し、操縦安定性及び高速耐久性等を向上させる。前記バンドプライとしては、ベルト層7のタイヤ軸方向外端部のみを被覆する左右一対のエッジバンドプライ、及びベルト層7の略全幅を覆うフルバンドプライがあり、これらを単独で又は組み合わせて使用される。本実施形態のバンド10は、1枚のフルバンドプライからなる。
また前記サイドウォール部3には、ランフラット性能を発揮させるためのサイド補強ゴム層11が配される。このサイド補強ゴム層11は、最大厚さを有する中央部分11aから、タイヤ半径方向内端11i及び外端11oに向かってそれぞれ厚さを徐々に減じてのびる断面略三日月状をなす。前記内端11iは、ビードエーペックスゴム8の外端よりもタイヤ半径方向内側に位置し、前記外端11oは、ベルト層7の外端7eよりもタイヤ軸方向内側に位置する。とりわけ、サイド補強ゴム層11とビードエーペックスゴム8とのタイヤ半径方向の重なり幅Wiは好ましくは5〜50mm、かつ、サイド補強ゴム層11とベルト層7とのタイヤ軸方向の重なり幅Woは、好ましくは0〜50mmが好ましい。これらにより、前記外端11o及び内端11iでの剛性段差の発生を抑えることができる。
前記サイド補強ゴム層11は、本実施形態では、カーカス6の本体部6aの内側(タイヤ内腔側)に配される。そのため、サイドウォール部3の曲げ変形時には、サイド補強ゴム層11には主として圧縮応力が、またコード材を有するカーカスプライ6Aには主として引張応力が作用する。ゴムは圧縮に強く、かつコード材は引張に強いため、上記のようなサイド補強ゴム層11の配設構造は、サイドウォール部3の曲げ剛性を効率良く高め、ランフラット走行時のタイヤの縦撓みを効果的に低減しうる。
前記サイド補強ゴム層11の複素弾性率E*は、好ましくは5MPa以上、さらに好ましくは7MPa以上が望ましい。前記複素弾性率E*が5MPa未満であると、ランフラット走行時の圧縮歪が大きくなって、ランフラット性能が低下するおそれがある。逆に、前記複素弾性率E*が高すぎても、タイヤの縦バネ定数が過度に上昇して乗り心地を悪化させる。このような観点より、前記サイド補強ゴム層11の複素弾性率E*は、好ましくは40MPa以下、さらに好ましくは30MPa以下が望ましい。またサイド補強ゴム層11の最大厚さtは、タイヤサイズや、タイヤのカテゴリ等によって適宜設定されるが、乗用車用タイヤの場合5〜20mmが好適である。
また、本実施形態のビード部4には、リムプロテクトリブ12が凸設される。このリムプロテクトリブ12は、図2に示されるように、リムフランジJFを覆うようにタイヤの基準輪郭線jから突出してタイヤ周方向に連続してのびるリブ体であり、前記リムフランジJFの先端を越えてタイヤ軸方向外側に最も突出する突出面部12cと、この突出面部12cからビード外側面に滑らかに連なる半径方向内側の斜面部12iと、前記突出面部12cからタイヤ最大幅点M近傍位置で前記基準輪郭線jに滑らかに連なる半径方向外側の斜面部12oとで囲まれる断面略台形状をなす。なお前記内側の斜面部12iは、リムフランジJFの円弧部の外面よりも大きい曲率半径rで形成された凹円弧面で形成され、通常走行時においては、縁石等からリムフランジJFを保護する。またランフラット走行時には、内側の斜面部12iがリムフランジJFの円弧部に寄りかかって接触するため、ビード変形量を軽減でき、ランフラット時の操縦安定性及びランフラット耐久性の向上に役立つ。
本実施形態のベルト層7は、両側のショルダー領域Shに離間して配される一対のエッジベルトプライ7Aと、該エッジベルトプライ7Aのタイヤ半径方向外側かつ両側のエッジベルトプライ7Aに跨って配される1枚のフルベルトプライ7Bとから形成される。
前記各ベルトプライ7A、7Bは、タイヤ赤道に対して例えば10〜40°の小角度で傾けて配列されたベルトコードを具え、エッジベルトプライ7Aとフルベルトプライ7Bとは、該ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わされている。本実施形態のベルトコードには、スチールコードが採用されるが、アラミド又はレーヨン等の高弾性の有機繊維コードも必要に応じて用いることができる。
また、本実施形態において、一対のエッジベルトプライ7Aは、実質的に同一の幅を有し、かつ、タイヤ赤道に関して左右対称位置に配置される(左右対称構造)。また、フルベルトプライ7Bの幅中心は、タイヤ赤道に揃えられるとともに、そのタイヤ軸方向の外縁7Boは、各エッジベルトプライ7Aの外縁7Aoよりもタイヤ軸方向内側に位置する。このため、正規状態におけるベルト層7の最大幅BWは、エッジベルトプライ7Aの外縁7Ao、7Ao間のタイヤ軸方向の距離となる。
このようなベルト層7は、エッジベルトプライ7A、7A間にタイヤ赤道を含むクラウン領域Crが中抜き状に形成されるため、従来のフルベルトプライ2枚で形成されるベルト層に比べてプライ量が削減され、ひいてはタイヤを軽量化するのに役立つ。また、このようなクラウン領域Crは、剛性緩和によって、路面からの衝撃等を包み込んで吸収するエンベロープ性能が向上し、ひいてはタイヤの乗り心地を向上させ得る。
また、ランフラット走行時には、トレッド部2のクラウン領域Crは、タイヤ半径方向内側に湾曲するために、両側のショルダー領域Shが主として路面と接地する。しかし、ショルダー領域Shは、エッジベルトプライ7Aとフルベルトプライ7Bとの2層で補強されるため、ショルダー領域Shの剛性が十分に確保され、ランフラット耐久性や耐摩耗性を確保し得る。とりわけ、ランフラット走行時におけるショルダー領域Shのリフティングを抑制し、ランフラット耐久性を確保し得る。
上述の効果を確実に達成させるために、図3に拡大して示されるように、正規状態におけるタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、各エッジベルトプライ7Aのタイヤ軸方向の内縁7Ai、7Ai間のタイヤ軸方向距離である離間距離RWは、少なくとも5mm以上に設定される。該離間距離RWが、5mm未満になると、タイヤ質量を十分に軽減することができないばかりか、製造コストを増大させる。このような観点により、離間距離RWは、好ましくは10mm以上、さらに好ましくは15mm以上が望ましい。
他方、離間距離RWが大きくなると、ベルト層7のショルダー領域Shの剛性が過度に低下し、ランフラット走行時にショルダー領域Shでのリフティングが大きくなり、ランフラット耐久性が低下するおそれがある。このような観点により、離間距離RWは、ベルト層の最大幅BWの0.25倍以下、より好ましくは0.20倍以下、さらに好ましくは0.10倍以下が望ましい。なお、ベルト層7の最大幅BWは、好ましくはタイヤ最大断面幅SWの0.70〜0.95倍程度が望ましい。
さらに、本発明では、ランフラット走行時の操縦安定性及び耐久性を向上するために、前記カーカスコード20にアラミド繊維が採用される。
前記アラミド繊維は、高弾性を有する。このため、ランフラットタイヤ1のカーカスコードに使用することにより、タイヤの荷重支持能力を高めることができる。従って、例えばカーカスプライ枚数の低減、カーカスコードの細径化及び/又はコード配列密度(コードエンド数)の低下などによるタイヤの軽量化を図りながら、ランフラット時のタイヤ変形量を低減できる。
しかも、アラミド繊維は、他の有機繊維コード材料に比べて、100〜150℃の高温下においても弾性率の低下が小さく、耐熱性に優れる。従って、ランフラット走行時のタイヤ温度上昇によっても、カーカスコードの強度低下、弾性率の低下によるタイヤ変形量の増加及びそれに伴うさらなるタイヤ温度上昇などを防止でき、その結果、ランフラット耐久性を確実に向上できる。さらにタイヤ温度上昇によっても、高弾性率を維持してタイヤ剛性を高めうるため、ランフラット時の操縦安定性を向上することもできる。これによりランフラット走行における高速化及び長距離化が達成される。
なお、アラミド繊維は、弾性率が高いゆえに耐疲労性に劣る傾向がある。そのため本実施形態では、カーカスコード20に、図4に略示するように、下撚りしたアラミド繊維のフィラメント束21(即ちストランド21)の2本を、さらに上撚りにて互いに撚り合わせた2本撚り構造が採用されるとともに、このときの撚り合わせを、従来よりも高い撚り係数Tで行っている。
ここで、前記「撚り係数T」は、コードの上撚り数をN(単位:回/10cm)、コード1本のトータル表示デシテックス(トータル繊度)をD(単位:dtex)、コード材料の比重をρとしたとき、次式(1)で示される。
T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10−3 …(1)
そして、この撚り係数Tを0.50〜0.70の範囲まで高めることにより、アラミド繊維コードの欠点である耐疲労性を改善することができ、例えばレーヨンコードを用いた場合に比して、ランフラット耐久性を大幅に向上することが可能となる。なお前記カーカスコード20の撚り係数Tが0.50を下回ると、耐疲労性の向上効果が少なく、ひいてはランフラット耐久性を十分に高めることができない。逆に、撚り係数Tが0.70を上回ると、コードの撚り加工が難しくなり生産性に不利となる。とりわけ、撚り係数Tは、0.60以上が好ましく、これによりコードの耐疲労性がさらに改善され、ランフラット耐久性が向上される。
また、本実施形態において、カーカスコード20には、アラミド繊維の重要な特性である高弾性を活かして優れた補強効果を発揮させるために、2本撚り構造が採用されている。そのとき、下撚り数と、上撚り数とが等しい所謂バランス撚りが好ましいが、撚り数の比(下撚り数/上撚り数)が0.2〜2.0の範囲内、好ましくは0.5〜1.5の範囲内で、下撚り数と上撚り数とを相違させても良い。
また前記トータル表示デシテックスD(繊度)は、特に限定されるものではないが、ランフラットタイヤの場合、1500〜5000dtexの範囲が好ましい。またカーカスプライ6Aにおけるコードエンド数n(本/5cm)と前記トータル表示デシテックスDとの積は、70000〜150000の範囲が好ましく、70000未満では、アラミド繊維コードとはいえ、ランフラット耐久性や操縦安定性が不十分となり、逆に150000を越えると、カーカス剛性が過大となって乗り心地を損ねるとともに、質量やコストの不必要な増加を招く。このような観点より、前記積(D×n)は、より好ましくは100000以上であり、かつ、120000以下がさらに好ましい。
また耐疲労性に原因するカーカスコード20の損傷は、タイヤ変形時に圧縮歪を受ける部位、即ち図2に示すように、折返し部6bのうちのビード側部分6b1にて発生しやすい。しかしながら、本実施形態では、前述の如くビード部4にリムプロテクトリブ12を凸設しているいため、ランフラット走行時におけるビード変形が軽減され、カーカスコード20に圧縮歪が作用しにくくなる。その結果、アラミド繊維を採用した場合のカーカスコード20の疲労損傷をさらに抑えることができ、ランフラット耐久性の一層の向上が図れる。
さらに、本実施形態では、前記カーカスプライ6Aのトッピングゴムとして、複素弾性率E*が、5〜13MPaの範囲と、従来のカーカストッピングゴムに比して高弾性のゴムを採用している。なお従来のカーカストッピングゴムの複素弾性率E*は3.8MPa程度である。このように高弾性のゴムをトッピングゴムに採用することで、タイヤ変形時、カーカスコード20に掛かる歪みを低減でき、ランフラット耐久性のさらなる向上を達成しうる。なお複素弾性率E*が5MPaを下回ると前記効果が期待できず、逆に13MPaを上回ると、ゴムが硬くなり過ぎ、乗り心地が一気に悪化してしまう。このような観点から、複素弾性率E*の下限値は、5.5MPa以上、さらには6MPa以上が好ましく、また上限値は11MPa以下、さらに9MPa以下が好ましい。
なお、本明細書において、前記複素弾性率はJIS−K6394の規定に準じて、次に示される条件で(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて測定した値である。
初期歪:10%
振幅:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
さらに、本実施形態のランフラットタイヤ1は、前記正規状態のタイヤ子午断面において、タイヤ外面2Aのプロファイルは、曲率半径が異なる複数の円弧からなる曲面によって形成されている。図5に示されるように、本実施形態のプロファイルは、タイヤ外面2Aとタイヤ赤道面Cとの交点であるタイヤ赤道点CPから、接地端側に向かって曲率半径RCが漸減する複数の円弧からなる曲面によってを形成される。このようなプロファイルは、サイドウォール部3の長さを減じうるため、サイド補強ゴム層11のゴムボリュームをさらに小さくでき、タイヤの軽量化、及び乗り心地性の向上を図ることができる。
詳しく説明すると、タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面幅SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面2A上の点をPとするとき、タイヤ外面2Aの曲率半径RCは、前記タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するように設定される。なお前記「タイヤ最大断面幅SW」とは、タイヤ外面2Aの基準輪郭線jにおける最大幅であり、この基準輪郭線jは、タイヤ外面2Aに局部的に形成される例えば文字、図形、記号等を示す装飾用、情報用等の微細なリブや溝、リム外れ防止用のリムプロテクトリブ12、カット傷防止用のサイドプロテクトリブなどの局部的凹凸部を除外した滑らかな輪郭線を意味する。
また前記タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面幅SWの半幅(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てる各タイヤ外面2A上の点をP60、P75、P90及びP100 とする。またこの各タイヤ外面2A上の点P60、P75、P90及びP100 と、前記タイヤ赤道点CPとの間の半径方向の距離をY60、Y75、Y90及びY100 とする。
そして、前記正規状態においてビードベースラインBLから前記タイヤ赤道点CPまでの半径方向高さであるタイヤ断面高さをSHとするとき、前記半径方向距離Y60、Y75、Y90及びY100 は、それぞれ以下の関係を満足することを特徴としている。
0.05< Y60 /SH ≦0.1
0.1< Y75 /SH ≦0.2
0.2< Y90 /SH ≦0.4
0.4< Y100 /SH ≦0.7
ここで、RY60=Y60/SH
RY75=Y75/SH
RY90=Y90/SH
RY100 =Y100 /SH
として前記関係を満足する範囲RYiを図6に例示する。図5及び図6のように、前記関係を満足するプロファイルは、トレッドが非常に丸くなるため、フットプリントが、接地幅が小かつ接地長さを大とした縦長楕円形状となり、騒音性能とハイドロプレーニング性能とを向上しうる(例えば、特許第2994989号公報参照)。なお前記RY60、RY75、RY90及びRY100 の値が、各下限値を下回ると、トレッド部2を中心としてタイヤ外面2Aが平坦化するため、従来タイヤとのプロファイルの差が少なくなる。逆に各上限値を上回ると、トレッド部2を中心としてタイヤ外面2Aが著しく凸状をなすため、接地幅が過小となり、通常走行において必要な走行性能を確保することができなくなる。
なおタイヤでは、予めタイヤサイズを定めることにより、JATMA、ETRTOなどのタイヤの規格から、タイヤ偏平率、タイヤ最大断面幅、タイヤ最大高さなどを概ね定め得るため、前記RY60、RY75、RY90及びRY100 の範囲を容易に算出できる。従って、前記タイヤ外面2Aは、前記各位置におけるRY60、RY75、RY90及びRY100 の範囲を満たすように、かつ曲率半径RCが徐々に減少するように、前記タイヤ赤道点CPから前記点Pまで滑らかな曲線で描くことにより適宜定めうる。
また前記タイヤは、図7に示されるように、前記正規状態のタイヤに正規荷重の80%の荷重を負荷した状態において、前記タイヤ外面2Aが接地するタイヤ軸方向最外端間のタイヤ軸方向距離である接地幅CWを、前記タイヤ最大断面幅SWの50%〜65%の範囲とするのが好ましい。これは、前記接地幅CWが、前記タイヤ最大断面幅SWの50%未満の場合、通常走行において轍でふらつきやすくなるなどワンダリング性能が低下し、かつ接地圧の不均一化により偏摩耗しやすくなるからである。なお前記接地幅CWが、タイヤ最大断面幅SWの65%を超える場合には、接地幅が過大となって前述の通過騒音とハイドロプレーニング性能との両立が難しくなる。
なお、前記「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" であるが、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
また、このようなプロファイルは、サイドウォール部の領域が短いという特徴を有するため、ランフラットタイヤに採用することにより、サイド補強ゴム層11のゴムボリュームを低減し、ランフラットタイヤにおける質量の軽減と乗り心地の向上とを達成しうる。しかし、ゴムボリュームが大なトレッド部2での変形量が通常プロファイルのタイヤに比して大きくなる。そのため耐熱性を高めたアラミド繊維のカーカスコードは、このプロファイルのタイヤにとってもより有利となりうる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す構造をなすタイヤサイズ245/40R18のランフラットタイヤを表1の仕様で試作するとともに、それらについて各種の性能等が評価された。各タイヤは、表1に記載のパラメータ以外は、以下のように同一の仕様とした。
カーカス:プライ枚数1、コード角度90度(対タイヤ赤道)
ベルト層の構造
B1:一対のエッジベルトプライ+フルベルトプライ1枚
B2:フルベルトプライ2枚
ベルトコードの構成:スチールコード、1×4(フィラメント径:0.27mm)
サイド補強ゴム層:複素弾性率E*:12MPa、最大厚さ9mm
レーヨン繊維コードの比重:1.51
アラミド繊維コードの比重:1.44
トレッドのプロファイル:
F1:RY60=0.09、RY75=0.14、RY90=0.37、RY100=0.57
F2:RY60=0.06、RY75=0.08、RY90=0.19、RY100=0.57
テスト方法は、次の通りである。
<ランフラット耐久性>
各供試タイヤを、バルブコアを取り去った18×8.5Jのリムに装着し、内圧零の状態でドラム試験機上を速度80km/h、縦荷重4.14kNの条件にて走行させ、タイヤが破壊するまでの走行距離が測定された。評価は、従来例を100とする指数により表示されており、数値が大きいほどランフラット耐久性に優れることを示す。
<耐摩耗性能>
テストタイヤを上記リムにリム組みし、一般道及び高速道路を合計3000km走行させて、図1に示されるタイヤ周方向溝g1及びg2のタイヤ軸方向内、外での摩耗量の差(タイヤ周上6カ所での平均値)をそれぞれ測定し、その和の逆数を、従来例を100とする指数で表示した。数値が大きいほど均一な摩耗であり、耐摩耗性に優れていることを示す。
<タイヤ質量>
タイヤ1本当たりの質量を測定し、従来例を100とする指数で表示した。数値が小さいほど軽量である。
<縦バネ定数>
リム18×8.5Jに装着されたテストタイヤを内圧230kPa及び荷重5kNの条件で平面に接地させ、タイヤの縦たわみ量が測定された。そして、前記荷重5kNを縦たわみ量で除すことにより、近似的に縦バネ定数を得た。結果は、従来例を100とする指数で表示した。数値が小さいほど縦バネが小さく乗り心地に有利であることを示す。
<乗り心地>
排気量4300ccの国産FR自動車の4輪に、内圧230kPa及びリム18×8.5Jの条件で装着し、ドライアスファルト路面の段差路、ベルジャン路(石畳の路面)、ビッツマン路(小石を敷き詰めた路面)を走行させた。そして、ドライバーの官能により、ゴツゴツ感、突き上げ及びダンピングを総合評価し、従来例を100とする評点で表示した。数値が大きいほど良好である。
<操縦安定性>
前記車両を用い、ドライアスファルトのタイヤテストコースを走行し、操舵応答性、グリップ感及び旋回時の限界速度などに関して官能評価を行い、従来例を100とする評点で表示した。数値が大きいほど良好である。
<タイヤ強度>
各テストタイヤをリム18×8.5Jにリム組みするとともに、内圧230kPaを充填した条件の下で、JIS−D4230に準じたプランジャー破壊試験を行った。そのときの破壊エネルギーを、従来例を100とした指数で比較した。数値が大きいほど優れている。
テストの結果などを表1に示す。
Figure 0005221945
Figure 0005221945
本発明のランフラットタイヤの一実施形態を示す断面図である。 そのビード部の拡大図である。 そのトレッド部の拡大図である。 カーカスコードを説明する側面図である。 タイヤ外面のプロファイルを示す線図である。 タイヤ外面の各位置におけるRYiの範囲を示す線図である。 本実施形態のランフラットタイヤのトレッド部の拡大断面図である。
符号の説明
1 ランフラットタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
7 ベルト層
7A エッジベルトプライ
7B フルベルトプライ
11 サイド補強ゴム層
20 カーカスコード
21 アラミド繊維コード

Claims (4)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつ前記カーカスの半径方向外側に配されるベルト層と、前記サイドウォール部に配されかつ最大厚さを有する中央部分から半径方向内外に厚さを減じてのびる断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具えるランフラットタイヤであって、
    前記カーカスは、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列したアラミド繊維からなるカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライからなり、かつ
    前記ベルト層は、両側のショルダー領域に離間して配されることによりタイヤ赤道を含むクラウン領域を中抜き状とした一対のエッジベルトプライと、
    該エッジベルトプライのタイヤ半径方向外側かつ両側のエッジベルトプライに跨って配される1枚のフルベルトプライとからなり、しかも
    正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填されしかも無負荷である正規状態におけるタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、前記エッジベルトプライのタイヤ軸方向の離間距離が5mm以上かつベルト層の最大幅の0.25倍以下であり、
    前記エッジベルトプライのタイヤ軸方向の内縁よりもタイヤ軸方向内側にタイヤ周方向溝が設けられていることを特徴とするランフラットタイヤ。
  2. 前記カーカスコードは、次式(1)で示される撚り係数Tが0.50〜0.70である請求項1に記載のランフラットタイヤ。
    T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10−3 …(1)
    (ただし、Nは上撚り数(回/10cm)、Dはトータル表示デシテックス(繊度)、ρはコード材料の比重である。)
  3. 前記正規状態におけるタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、
    タイヤ外面のプロファイルは、タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面幅SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面上の点をPとするとき、
    タイヤ外面の曲率半径RCが、タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するとともに、
    前記タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面幅SWの半幅(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てるタイヤ外面上の各点と、タイヤ赤道点CPとの間の各半径方向距離をそれぞれY60、Y75、Y90及びY100 とし、かつタイヤ断面高さをSHとするとき、
    0.05< Y60 /SH ≦0.1
    0.1< Y75 /SH ≦0.2
    0.2< Y90 /SH ≦0.4
    0.4< Y100 /SH ≦0.7
    の関係を満足する請求項1又は2に記載のランフラットタイヤ。
  4. 前記エッジベルトプライのタイヤ軸方向の前記離間距離は、前記ベルト層の前記最大幅の0.216倍以上かつ0.25倍以下である請求項1乃至3のいずれかに記載のランフラットタイヤ。
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