しかしながら、上記したシステムにおいて、内部メモリや記憶装置に記録されるデータは、各ノードが送出した通信バスに流れている情報のみである。通常、各ノードが通信バスへ送出するデータは、ノードが保持するデータの一部であり、保持するすべてのデータではない。故障解析を詳細に行ってその故障部位を具体的に特定するうえでは、各ノードが通信バスへ送出するデータのみでは足りず、通常は通信バスへ送出しないデータをも参照するのが適切である。この点、上記したシステムでは、故障解析が精度よく行われず、詳細な故障部位の特定が困難である。
一方、上記の課題を解決するうえでは、各ノードに、保持するすべてのデータを通信バスへ送出させることが考えられるが、この手法では、通信バスの通信負荷が過大となり、通常の制御データの送出が妨げられることとなってしまう。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、各ノードから通信バスへの通常の制御データの送出をあまり妨害することなく、故障部位の特定を高い精度で実現することが可能な車両用異常解析システム、車両用異常解析方法、及び車両用故障解析装置を提供することを目的とする。
上記の目的は、それぞれ、制御データを所定の通信バスへ送出する通常データ送出手段を有する複数のノードと、各ノードから前記所定の通信バスへ送出される制御データを受信する通常データ受信手段と、前記通常データ受信手段により受信される制御データに基づいて故障部位を推定する故障部位推定手段と、を有する故障解析装置と、を備える車両用異常解析システムであって、前記故障解析装置は、前記故障部位推定手段により故障部位が推定された場合に、通常の制御データとは異なる該故障部位の解析に必要な追加データの送出を、全ノードのうち所定の対象ノードに要求する追加データ送出要求手段と、前記故障部位推定手段により故障部位が推定された場合に、全ノードのうち前記所定の対象ノード以外のすべて又は一部のノードに、前記通常データ送出手段による前記所定の通信バスへの制御データのすべて又は一部の送出の停止を要求する通常データ送出制限要求手段と、を有し、各ノードは、前記故障解析装置から前記追加データの送出が要求された場合に、前記追加データを前記所定の通信バスへ送出する追加データ送出手段と、前記故障解析装置から制御データのすべて又は一部の送出の停止が要求された場合に、以後、前記通常データ送出手段による前記所定の通信バスへの制御データのすべて又は一部の送出を停止する送出制限手段と、を有し、かつ、前記故障解析装置は、また、前記所定の対象ノードから前記所定の通信バスへ送出される前記追加データを受信する追加データ受信手段と、前記追加データ受信手段により受信される前記追加データに基づいて、前記故障部位推定手段の推定によるものよりも詳細に故障部位を特定する詳細部位特定手段と、を有する車両用異常解析システムにより達成される。
また、上記の目的は、複数のノードそれぞれが制御データを所定の通信バスへ送出する通常データ送出ステップと、故障解析装置が各ノードから前記所定の通信バスへ送出される制御データを受信する通常データ受信ステップと、故障解析装置が前記通常データ受信ステップにおいて受信される制御データに基づいて故障部位を推定する故障部位推定ステップと、を備える車両用異常解析方法であって、前記故障解析装置が、前記故障部位推定ステップにおいて故障部位が推定された場合に、通常の制御データとは異なる該故障部位の解析に必要な追加データの送出を、全ノードのうち所定の対象ノードに要求する追加データ送出要求ステップと、前記故障解析装置が、前記故障部位推定ステップにおいて故障部位が推定された場合に、全ノードのうち前記所定の対象ノード以外のすべて又は一部のノードに、前記通常データ送出ステップにおける前記所定の通信バスへの制御データのすべて又は一部の送出の停止を要求する通常データ送出制限要求ステップと、各ノードが、前記故障解析装置から前記追加データの送出が要求された場合に、前記追加データを前記所定の通信バスへ送出する追加データ送出ステップと、各ノードが、前記故障解析装置から制御データのすべて又は一部の送出の停止が要求された場合に、以後、前記通常データ送出ステップにおける前記所定の通信バスへの制御データのすべて又は一部の送出を停止する送出制限ステップと、前記故障解析装置が、前記所定の対象ノードから前記所定の通信バスへ送出される前記追加データを受信する追加データ受信ステップと、前記故障解析装置が、前記追加データ受信ステップにおいて受信される前記追加データに基づいて、前記故障部位推定ステップの推定によるものよりも詳細に故障部位を特定する詳細部位特定ステップと、を備える車両用異常解析方法により達成される。
また、上記の目的は、所定の通信バスを介して複数のノードに接続されると共に、各ノードから該所定の通信バスへ送信される制御データを受信する通常データ受信手段と、前記通常データ受信手段により受信される制御データに基づいて故障部位を推定する故障部位推定手段と、を有する車両用故障解析装置であって、前記故障部位推定手段により故障部位が推定された場合に、通常の制御データとは異なる該故障部位の解析に必要な追加データの送出を、全ノードのうち所定の対象ノードに要求する追加データ送出要求手段と、前記故障部位推定手段により故障部位が推定された場合に、全ノードのうち前記所定の対象ノード以外のすべて又は一部のノードに、前記所定の通信バスへの制御データのすべて又は一部の送出の停止を要求する通常データ送出制限要求手段と、前記所定の対象ノードから前記所定の通信バスへ送出される前記追加データを受信する追加データ受信手段と、前記故障部位推定手段により故障部位が推定された後、前記追加データ受信手段により受信される前記追加データに基づいて、前記故障部位推定手段の推定によるものよりも詳細に故障部位を特定する詳細部位特定手段と、を備える車両用故障解析装置により達成される。
これらの態様の発明において、通常、各ノードは、制御データを所定の通信バスへ送出し、故障解析装置は、各ノードから通信バスへ送出された制御データを受信して故障部位を推定する。故障解析装置は、故障部位を推定すると、全ノードのうち所定の対象ノードに、通常の制御データとは異なるその故障部位の解析に必要な追加データの送出を要求する。そして、各ノードは、故障解析装置から追加データの送出が要求された場合に、その追加データを通信バスへ送出し、故障解析装置は、各ノードから通信バスへ送出された追加データを受信して詳細な故障部位を特定する。
かかる構成によれば、故障解析装置は、ノードから通常送出される制御データに基づいて故障部位をある程度の精度で推定したうえで、その推定した故障部位に応じてノードから送出される追加データに基づいてより詳細な故障部位を特定することが可能となる。また、各ノードは、通常は制御データのみを通信バスへ送出すれば十分であって、故障解析装置から要求された場合に追加データを通信バスへ送出することとなるので、故障解析装置が詳細な故障部位を特定するのに、各ノードが常に追加データを通信バスへ送出することは不要である。従って、本発明によれば、各ノードから通信バスへの通常の制御データの送出をあまり妨害することなく、故障部位の特定を高い精度で実現することが可能となる。
尚、上記した車両用異常解析システムにおいて、前記故障解析装置は、故障部位と各ノードにおけるデータ状態との関係を蓄積するデータベースを有し、前記詳細部位特定手段は、前記追加データ受信手段により受信される前記追加データを前記データベースに蓄積されている前記関係と照合することにより故障部位の特定を行うこととすればよい。
また、上記した車両用異常解析方法において、前記故障解析装置は、故障部位と各ノードにおけるデータ状態との関係を蓄積するデータベースを有し、前記詳細部位特定ステップは、前記追加データ受信ステップにおいて受信される前記追加データを前記データベースに蓄積されている前記関係と照合することにより故障部位の特定を行うこととすればよい。
また、上記した車両用故障解析装置において、故障部位と各ノードにおけるデータ状態との関係を蓄積するデータベースを備え、前記詳細部位特定手段は、前記追加データ受信手段により受信される前記追加データを前記データベースに蓄積されている前記関係と照合することにより故障部位の特定を行うこととすればよい。
これらの態様の発明において、故障解析装置は、故障部位を推定すると、全ノードのうち所定の対象ノード以外のノードに、通信バスへの制御データの送出の制限を要求する。各ノードは、故障解析装置から制御データの送出の制限が要求された場合に、以後、通常の制御データの送出を制限する。かかる構成によれば、所定の対象ノードが追加データを通信バスへ送出する際に通信バスの通信負荷を低減することができる。このため、本発明によれば、各ノードから送出される追加データが通信バスに流れ易くなり、故障解析装置での詳細な故障部位の特定を効率的に行うことが可能となる。
尚、上記した車両用異常解析システムにおいて、前記故障解析装置は、前記詳細部位特定手段により故障部位が特定された後に、前記所定の対象ノードの前記追加データ送出手段による前記追加データの送出、又は、前記所定の対象ノード以外のすべて又は一部のノードの前記送出制限手段による制御データのすべて又は一部の送出停止を解除させて、各ノードに前記通常データ送出手段による前記所定の通信バスへの制御データの送出を再開させることとすればよい。
また、上記した車両用異常解析方法において、前記故障解析装置が、前記詳細部位特定ステップにおける故障部位が特定された後に、前記所定の対象ノードの前記追加データ送出ステップにおける前記追加データの送出、又は、前記所定の対象ノード以外のすべて又は一部のノードの前記送出制限ステップにおける制御データのすべて又は一部の送出停止を解除させて、各ノードに前記通常データ送出ステップにおける前記所定の通信バスへの制御データの送出を再開させる通常データ送出再開ステップを備えることとすればよい。
これらの態様の発明において、故障解析装置は、詳細な故障部位が特定された後は、所定の対象ノードの追加データの送出又は所定の対象ノード以外のノードの制御データの送出制限を解除させて、各ノードに制御データの通信バスへの送出を再開させる。かかる構成によれば、詳細な故障部位が特定された後、各ノードから通信バスへの制御データの送出が再開されるので、複数のノードが通信バスを介して接続されたネットワークを通常使用状態に自動的に復帰させることが可能となる。
尚、上記した車両用異常解析システムにおいて、前記故障解析装置は、車両に搭載される装置であることとすればよい。
本発明によれば、ノードから通信バスへの通常の制御データの送出をあまり妨害することなく、故障部位の特定を高い精度で実現することができる。
図1は、本発明の第1実施例である車両用異常解析システムを備える車載ネットワークシステムの構成図を示す。この車載ネットワークシステムは、複数の車載電子制御ユニット(車載ECU)を通信接続させたネットワークシステムである。
本実施例の車載ネットワークシステムは、複数(本実施例においては3つ)の車載ECUとしてのノード10(具体的には、ノード10A、ノード10B、及びノード10C)と、それら複数のノード10を互いに接続させる通信バス12と、を備えている。通信バス12は、一対の通信線でデータを伝送するCANなどの双方向通信に用いられる時分割多重通信線である。
各ノード10はそれぞれ、車両に搭載される、車両の位置を検知してディスプレイに表示するナビゲーション装置、車両エンジンを制御するエンジン装置、ブレーキを制御するブレーキ装置、電動パワーステアリング装置,ステアリングセンサ、又はヨーレートセンサなどが備えるマイクロコンピュータを主体に構成された車載ECUである。各ノード10はそれぞれ、演算処理部であるコントローラ部と、各種のプログラムを格納する内部メモリと、各種車載センサやスイッチなどに接続するI/O入力インタフェースと、車両乗員の操作可能な操作入力インタフェースと、ディスプレイやブザー,スピーカなどに接続する出力インタフェースと、通信バス12に接続する通信インタフェースと、を有している。
各ノード10はそれぞれ、自己の内部メモリに格納されているプログラムに従って予め定められた処理を実行する。具体的には、I/O入力インタフェースや操作入力インタフェースを介した入力に応じて出力インタフェースを介した出力を行う演算処理を行う。また、自己のノード10についての故障(例えば、接続するセンサなどの部品との断線異常や入力異常,出力異常,演算異常など)の有無を診断する自己診断を実施し、少なくとも故障が生じたときはその自己診断結果を内部メモリに格納する。
また、ノード10は、通信バス12の通信プロトコルに従って、通信バス12を通じて他のノード10と通信を行う。すなわち、各ノード10はそれぞれ、すべての入力データ、演算データ、及び出力データのうちの一部である他のノード10が必要とする所定の入力データや演算データ,出力データ(以下、制御データと称す)を他のノード10に送信する処理を行うと共に、他のノード10から送信される自ノード10が必要とする制御データを受信して演算処理に利用する。具体的には、他のノード10に送るべき制御データを通信バス12へ送出すると共に、通信バス12から自ノード10宛に送られてくる制御データを受信する。
通信バス12には、車両の故障部位を推定・特定する処理を行うデータマイニング装置14が接続されている。データマイニング装置14は、車両に搭載されており、通信バス12にインタフェースを介して接続する演算処理部としてのコントローラ16と、コントローラ16に接続するデータベース18と、を備えている。データベース18には、各ノード10の識別情報及び診断結果の故障有無の情報が格納されていると共に、更に、頻繁に同時に生起する車両状態(部品異常状態や車両正常状態)についての複数の事象データが、相関のある事象の関係として蓄積されている。コントローラ16は、データベース18に蓄積されている事象データを参照して、故障したノード10を含む車両の故障部位を推定し特定する処理を行う。
次に、図2及び図3を参照して、本実施例の車両用異常解析システムの動作について説明する。図2は、本実施例の車両用異常解析システムにおいて車両の詳細な故障部位を特定する手法を説明するための図を示す。また、図3は、本実施例の車両用異常解析システムにおいてデータマイニング装置14のコントローラ16と各ノード10とが車両の詳細な故障部位を特定するうえで実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
本実施例において、各ノード10は、入力に応じた出力を行う演算処理を行うと共に、故障有無を診断する自己診断処理を行う。そして、自己診断の結果として故障が生じていると診断したときは、その自己診断結果を故障発生時刻の情報と共に内部メモリに格納すると共に、他のノード10に向けて送信する制御データ、及び、その制御データ以外の、他のノード10に向けて送信しない自ノード10で得た全部又はその一部の入力データ、演算データ、及び出力データを、その自己診断結果とリンクさせて内部メモリに格納する。尚、自ノード10で得た全部又はその一部の入力データ、演算データ、及び出力データの内部メモリへの格納は、故障が生じていると自己診断された場合にのみ行うだけでなく、常に行うものとしてもよい。
各ノード10は、また、通常時において、適当なタイミング(例えば、所定周期)で制御データを自ノード10の識別情報と共に他のノード10及びコントローラ16に向けて送信すべく通信バス12へ送出する(ステップ100)。尚、この通信バス12へ送出される制御データは、送出元であるノード10の有するすべての入力データ、演算データ、及び出力データのうちの一部であって、他のノード10が必要とするデータのみである。また、この制御データには、他のノード10やデータマイニング装置14に自己のノード10の自己診断結果を知らせるため、自己診断結果を含めるものとする。
例えば図2(A)に示す如く、ノード10Aは4つの制御データA1,A2,A3,A4を通信バス12へ送出し、ノード10Bは1つの制御データB1を通信バス12へ送出し、また、ノード10Cは一つの制御データC1を通信バス12へ送出する。尚、各ノード10は、通信バス12に流れた制御データのうち自ノード10に必要な制御データを受信し、演算処理に利用する。
データマイニング装置14のコントローラ16は、各ノード10が通信バス12へ送出した制御データを受信することが可能である。コントローラ16は、ノード10から通信バス12へ送出された制御データを受信すると(ステップ200)、データベース18の蓄積情報を参照して、その制御データに含まれる自己診断結果とその制御データを送出したノード10の識別情報とに基づいて、そのノード10に故障が生じているか否かを判別すると共に(ステップ202)、その結果として、故障が生じていると判別された場合は、その故障したノード10を特定すると共に、更には、その故障ノード10の故障が生じた部位を、送信されてきた制御データに含まれる自己診断結果の情報の範囲内で推定する(ステップ204)。
コントローラ16は、上記ステップ204で故障部位を推定すると、データベース18の蓄積情報を参照して、全ノード10のうちその故障部位に関連して相関のあるすべてのその故障部位の解析に必要な追加データの送出を要求すべきノード(故障したノード10であることが一般的であるが、それ以外の故障していないノード10を含むものであってもよい。;以下、対象ノードと称す)を特定する。そして、その特定した対象ノード宛てで追加データの送出を要求するデータフレームを通信バス12へ送出する(ステップ206)。
各ノード10は、自ノード10が対象ノードでないときは、データマイニング装置14から送出される追加データ送出要求を受信することはできず、その要求を受信しない場合(ステップ110の否定判定時)は、以後、何ら特別な処理を行わず、通常どおり適当なタイミングで制御データの通信バス12への送出を行う。
一方、自ノード10が対象ノードであるときは、データマイニング装置14からの追加データ送出要求を受信することができ、その要求を受信した場合(ステップ110の肯定判定時)は、内部メモリに保持しているデータのうちから上記の故障部位の解析に必要なデータを追加データとして抽出し、その追加データをコントローラ16宛で通信バス12へ送出する(ステップ112)。例えば、ノード10Bが対象ノードであるときは、そのノード10Bは、データマイニング装置14からの追加データ送出要求を受信すると、通常の制御データB1とは異なる追加データとしてデータB2,B3,B8,B9を抽出し、図2(B)に示す如く、その追加データを通信バス12へ送出する。
データマイニング装置14のコントローラ16は、ノード10が通信バス12へ送出した追加データを受信することが可能である。コントローラ16は、対象ノード10への追加データの送出を要求した後に、その対象ノード10から通信バス12へ送出された追加データを受信すると(ステップ210)、その追加データをデータベース18に蓄積されている相関のある事象データと照合することにより、上記したステップ204における推定によるものよりも詳細に故障部位の特定を行う(ステップ212)。
例えば、コントローラ16は、通常時は、ノード10Bから通信バス12へ送出される制御データB1を受信して、その制御データB1に基づいてノード10Bの故障有無を判別し故障部位を推定する。そして、そのノード10Bに故障が生じていると判別した場合は、そのノード10Bを対象ノードとして追加データ送出要求を行い、その後、そのノード10Bから通信バス12へ送出される追加データB2,B3,B8,B9を受信して、その追加データB2,B3,B8,B9に基づいて更に詳細な故障部位を特定する。
コントローラ16は、上記ステップ212で詳細な故障部位の特定が完了すると、次に、対象ノード宛てで追加データの送出の解除を要求するデータフレームを通信バス12へ送出する(ステップ214)。
ノード10は、対象ノードでなく、制御データとは異なる追加データの送出を行っていない場合は、データマイニング装置14のコントローラ16からの送出解除要求を受信することはできない。一方、ノード10は、対象ノードとして制御データとは異なる追加データの送出を行っていた場合は、データマイニング装置14のコントローラ16からの送出解除要求を受信することができ、データマイニング装置14のコントローラ16からの送出解除要求を受信すると(ステップ120)、通常の制御データとは異なる追加データの送出を解除して、通常どおり適当なタイミングでの制御データの送出を再開する(ステップ122)。
このように、本実施例の車両用異常解析システムにおいては、各ノード10がそれぞれ自ノード10の有する全データのうちの一部である制御データを通信バス12へ送出する状況において、あるノード10が自己診断による故障発生の検知を行った場合に、そのノード10が送出する制御データにその自己診断の故障結果を含めることで、データマイニング装置14に、通信バス12に接続するすべてのノード10のうち何れのノード10に故障が生じているかを知らせて、車両の故障部位をその制御データに含まれる自己診断結果の範囲内で推定させることができる。
その結果、車両の故障部位が推定された場合は、データマイニング装置14に、対象ノードに対するその故障部位の解析に必要な追加データの送出の要求を行わせることで、対象ノードにその追加データの通信バス12への送出を行わせることができる。そして、データマイニング装置14に、対象ノードからの追加データを受信させ、データベース18の蓄積情報と照合させて、通常の制御データに基づいて推定されるものよりも更に詳細な故障部位を特定させることができる。
かかる構成によれば、データマイニング装置14は、ノード10から通常送出される制御データに基づいて故障部位をある程度の精度で推定したうえで、その推定した故障部位に応じて対象ノードに追加データの送信を要求し、その対象ノードから送出される追加データに基づいてより精度の高い詳細な故障部位を特定することが可能となる。このため、本実施例によれば、故障部位の特定を高い精度で実現することが可能である。
また、各ノード10は、通常は自ノード10の有する全データのうちの一部である制御データを通信バス12へ送出すれば十分であって、データマイニング装置14から要求された場合に追加データを通信バス12へ送出することとなるので、データマイニング装置14詳細な故障部位を特定するのに、各ノード10が常に追加データを通信バス12へ送出することは不要である。このため、本実施例によれば、通常時に通信バス12の通信負荷が過大となるのを防止することが可能であり、各ノード10から通信バス12へ送出される通常の制御データが通信バス12に流れ難くなるのを回避することが可能である。
従って、本実施例の車両用異常解析システムによれば、各ノード10から通信バス12への通常の制御データの送出をあまり妨害することなく、故障部位の特定を高い精度で実現することが可能となっている。また、このような異常解析システムであれば、各ノード10の追加データを常に通信バス12へ送出させるシステムと異なり、データマイニング装置14のコントローラ16の処理能力をあまり高める必要はなく、その記憶媒体の容量をあまり過大とする必要はなく、簡素かつ安価な構成で、ネットワークに接続する各ノード10における故障部位を具体的に特定することが可能となっている。
また、本実施例の車両用異常解析システムにおいては、データマイニング装置14から対象ノードへの要求に対してその対象ノードから通信バス12を介してデータマイニング装置14へ送信される追加データに基づいて詳細な故障部位が特定されると、その後は、データマイニング装置14に、対象ノードに対する追加データの送出の解除要求を行わせることで、対象ノードにその追加データの通信バス12への送出を解除させることができる。
かかる構成によれば、ノード10が対象ノードとなって追加データの通信バス12への送出を開始した場合でも、データマイニング装置14で詳細な故障部位の特定が行われた後に、その対象ノードから通信バス12への追加データの送出を解除させて、通常どおりの制御データの送出を再開させることができる。このため、本実施例によれば、ノード10が対象ノードとなって故障部位の解析に必要な追加データを通信バス12へ送出した場合でも、その故障部位の解析が終了した後に、複数のノード10が通信バス12を介して接続されたネットワークを、各ノード10が制御データのみを通信バス12へ送出する通常使用状態に自動的に復帰させることが可能となっている。
尚、上記の第1実施例においては、データマイニング装置14が特許請求の範囲に記載した「故障解析装置」に相当していると共に、各ノード10が、図3に示すルーチン中ステップ100の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「通常データ送出手段」及び「通常データ送出ステップ」が、ステップ112の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「追加データ送出手段」及び「追加データ送出ステップ」が、それぞれ実現されている。
また、上記の第1実施例においては、データマイニング装置14のコントローラ16が、ステップ200の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「通常データ受信手段」及び「通常データ受信ステップ」が、ステップ202,204の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「故障部位推定手段」及び「故障部位推定ステップ」が、ステップ206の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「追加データ送出要求手段」及び「追加データ送出要求ステップ」が、ステップ210の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「追加データ受信手段」及び「追加データ受信ステップ」が、ステップ212の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「詳細部位特定手段」及び「詳細部位特定ステップ」が、ステップ214の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「通常データ送出再開ステップ」が、それぞれ実現されている。
上記した第1実施例の車両用異常解析システムは、各ノード10及びデータマイニング装置14のコントローラ16に図3に示すルーチンを実行させることにより実現されている。これに対して、本発明の第2実施例の車両用異常解析システムは、各ノード10及びデータマイニング装置14のコントローラ16に、図3に代えて図4に示すルーチンを実行させることにより実現される。
図4は、本実施例の車両用異常解析システムにおいてデータマイニング装置14と各ノード10とが車両の詳細な故障部位を特定するうえで実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。尚、図4において、上記図3に示すルーチン中のステップと同一の処理を実行するステップについては、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
すなわち、データマイニング装置14のコントローラ16は、ステップ204で故障部位を推定すると、データベース18の蓄積情報を参照して、全ノード10のうちその故障部位に関連して相関のあるすべてのその故障部位の解析に必要な追加データの送出を要求すべき対象ノードを特定し、その対象ノード宛てで追加データの送出を要求するデータフレームを通信バス12へ送出すると共に、その対象ノード以外のノード(対象ノード以外のすべてのノードであってもよいが、その一部のノードだけであってもよい。;以下、非対象ノードと称す)宛で通常の制御データの送出の制限を要求するデータフレームを通信バス12へ送出する(ステップ250)。
各ノード10は、自ノード10が非対象ノードでないときは、データマイニング装置14から送出される通常制御データの送出制限要求を受信することはできず(ステップ150の否定判定)、以後は、通常どおり適当なタイミングで制御データの通信バス12への送出を行う。一方、自ノード10が非対象ノードであるときは、データマイニング装置14からの通常制御データの送出制限要求を受信することができ(ステップ150の肯定判定)、その要求を受信すると、通常は適当なタイミングで通信バス12へ送出されるべき制御データの送出を制限する(ステップ152)。
例えば、ノード10Aは、通信バス12へ通常送出する制御データとして4つのデータA1,A2,A3,A4を有するが、データマイニング装置14から通常制御データの送出制限要求を受けた場合は、それらのデータA1,A2,A3,A4の送出を停止する。尚、ノード10の通常制御データの送出制限は、通常送出する制御データのすべてを送出停止するものであってもよいが、その一部を送出停止とし、他を送出可能とするものであってもよい。例えば、ノード10Aは、データマイニング装置14から通常制御データの送出制限要求を受けた場合は、制御データとしてのデータA2,A3,A4の送出を停止し、データA1のみを通常どおり送出可能とする。
また、各ノード10は、自ノード10が対象ノードでないときは、データマイニング装置14から送出される追加データ送出要求を受信することはできず(ステップ110の否定判定)、以後は、通常どおり適当なタイミングで制御データの通信バス12への送出を行う或いは上記の如く制御データの送出を制限する。一方、自ノード10が対象ノードであるときは、データマイニング装置14からの追加データ送出要求を受信することができ(ステップ110の肯定判定)、その要求を受信すると、内部メモリに保持しているデータのうちから上記の故障部位の解析に必要なデータを追加データとして抽出し、その追加データをコントローラ16宛で通信バス12へ送出する(ステップ112)。
コントローラ16は、ステップ212で詳細な故障部位の特定が完了すると、次に、対象ノード宛てで追加データの送出の解除を要求するデータフレームを通信バス12へ送出すると共に、非対象ノード宛てで通常制御データの送出制限の解除を要求するデータフレームを通信バス12へ送出する(ステップ260)。
ノード10は、非対象ノードとして制御データとは異なる追加データの送出を行っておらずかつ制御データの送出制限を行っている場合、及び、対象ノードとして制御データとは異なる追加データの送出を行っていた場合の双方とも、データマイニング装置14のコントローラ16から送信される解除要求を受信することができる。
ノード10は、対象ノードとして制御データとは異なる追加データの送出を行っていた場合、データマイニング装置14のコントローラ16からの解除要求を受信すると(ステップ160)、その追加データの送出を解除して、通常どおり適当なタイミングでの制御データの送出を再開する(ステップ162)。また、非対象ノードとして制御データの送出制限を行っていた場合、データマイニング装置14のコントローラ16からの解除要求を受信すると(ステップ160)、その制御データの送出制限を解除して、通常どおり適当なタイミングでの制御データの送出を再開する(ステップ162)。すなわち、ノードは、データマイニング装置14のコントローラ16からの解除要求を受信すると、追加データの送出を行っていた対象ノードのときはその追加データの送出を解除し、また、制御データの送出制限を行っていた非対象ノードのときはその制御データの送出制限を解除する。
このように、本実施例の車両用異常解析システムにおいては、車両の故障部位が推定された場合、データマイニング装置14に、対象ノードに対するその故障部位の解析に必要な追加データの送出の要求を行わせることにより、上記した第1実施例の車両用異常解析システムと同様の効果を実現することが可能である。
また、この異常解析システムにおいては、車両の故障部位が推定された場合、データマイニング装置14に、対象ノードに対する追加データの送出要求を行わせると共に、同時に、非対象ノードに対する通常制御データの送出制限要求を行わせることができ、その非対象ノードに通常制御データの通信バス12への送出を制限させることができる。
かかる構成によれば、ノード10が対象ノードとして追加データをデータマイニング装置14へ送信すべく通信バス12へ送出する際に、通信バス12の通信負荷を低減することができる。このため、本実施例によれば、対象ノードから通信バス12へ送出される追加データが他のノード10から通信バス12へ送出される通常の制御データと衝突し易くなるのを防止することができる。従って、本実施例の車両用異常解析システムによれば、詳細な故障部位の特定のために対象ノードから送出される追加データが通信バス12に流れ易くなり、データマイニング装置14での詳細な故障部位の特定を効率的に行うことが可能となっている。
また、本実施例の異常解析システムにおいては、データマイニング装置14からの要求に応じて非対象ノードから通信バス12への通常制御データの送出が制限された後に対象ノードからの追加データに基づいて詳細な故障部位が特定されると、その後は、データマイニング装置14に、非対象ノードに対する制御データの送出制限の解除要求を行わせることで、非対象ノードにその制御データの通信バス12への送出制限を解除させることができる。
かかる構成によれば、ノード10が非対象ノードとなって通常制御データの通信バス12への送出を制限した場合でも、データマイニング装置14で詳細な故障部位の特定が行われた後に、その非対象ノードから通信バス12への制御データの送出制限を解除させて、通常どおり制御データの送出を再開させることができる。このため、本実施例によれば、ノード10が非対象ノードとなって通常制御データの通信バス12への送出を制限した場合でも、故障部位の解析が終了した後に、複数のノード10が通信バス12を介して接続されたネットワークを、各ノード10が制御データのみを通信バス12へ送出する通常使用状態に自動的に復帰させることが可能となっている。
尚、上記の第2実施例においては、コントローラ16が、図4に示すルーチン中のステップ250の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「通常データ送出制限要求手段」及び「通常データ送出制限要求ステップ」が、各ノード10が、ステップ152の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「送出制限手段」及び「送出制限ステップ」が、コントローラ16が、ステップ260の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「通常データ送出再開ステップ」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の第1及び第2実施例においては、車載ECUとしての各ノード10が自ノード10についての故障有無を診断する自己診断機能を有し、その自己診断結果を内部メモリに格納すると共に、その自己診断結果を他のノード10やデータマイニング装置14へ送信する制御データに含めるものとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各ノード10が自己診断機能を有することなく、他ノード10やデータマイニング装置14へ向けて送信する制御データに自己診断結果を含めないものとしてもよい。この場合には、データマイニング装置14が、ノード10から通信バス12を介して通常送られる制御データを受信して、その制御データに基づいて直接にそのノード10の故障を診断するものとなる。そして、そのノード10に故障が生じていると判別してその故障部位をその診断結果の情報の範囲内で推定すると、上述の如く更に詳細な故障部位の解析に必要な処理を実施する。かかる変形例によれば、各ノード10それぞれに自己診断を行わせることなく、データマイニング装置14に各ノード10の故障有無を診断させて故障部位を推定させることができ、その結果として、故障部位の推定から更に詳細な故障部位の解析までの処理をデータマイニング装置14に一括して行わせることが可能となる。