特許文献1に記載の従来技術においては、センサに電磁界に指向性をもたらすためのフェライト・ポット型コアに巻回されたコイルからなるインダクタとコンデンサとの直列又は並列共振回路が備えられている。そして、研磨初期において20Hz〜40.1MHzの周波数からなる掃引出力をセンサへ印加し、前記コイルから発生した指向性を持つ交番電磁界により、導電性フィルムを貫通する漏洩磁束を生じさせて該導電性フィルムの膜厚に対応した大きな渦電流を研磨初期から誘導させている。導電性フィルムの膜厚に対応した大きな渦電流を誘導するためには大きな交番電磁界、即ち導電性フィルムを貫通する程度の大きな磁束を形成することが必要であり、導電性フィルムの厚さ変化の監視は研磨初期から研磨終期まで導電性フィルム内に誘起された渦電流を利用して行われている。このため、膜厚変化の監視の間、導電性フィルムの厚さ方向に向かって磁束を貫通させることが必要である。特許文献1にかかる公報の図面中には、全ての導電性フィルムの部分に該導電性フィルムを貫通する磁束線が記載されていることからも、このことは明らかである。
研磨初期におけるウェーハの表面には、無垢なCu膜(導電性フィルム)が最上層にあるのが一般的である。これら無垢なCu膜の全てに渦電流を誘起させるためには非常に大きな漏洩磁束が必要である。しかし、その漏洩磁束は、渦電流を誘起するが、それらはいずれ渦電流損という形でジュール熱になって消費される。このジュール熱損は、最表層の無垢なCu膜に対しては、体積抵抗が小さいため、発熱は比較的小さいが、内部のすでに配線されている部分では、配線断面積が小さく体積抵抗が小さいため、貫通する磁束により大きな渦電流が誘起され、その結果局部的に大きなジュール熱損を生むことになる。これは、時として一部配線が溶融、断線してしまう問題に発展する。いわゆる誘導加熱の状態になり、特に内部に熱がこもってしまう現象になる。特に、Cu配線などでは、Cuが加熱されるとTaなどのバリア膜にCuが拡散する場合や、場合によっては、バリア膜を突き破ってCuが拡散してしまう懸念がある。
また、ウェーハの表面部に幾層にも配線が施されている場合では、表層のCu膜の心配だけではなく、すでに処理が完了している内部の配線部分が局部的に暖められて周囲に拡散したり、半導体基板内のp型、n型を形成しているドーパントがさらに拡散して、基板内素子の特性を変えてしまうこともある。また、熱が発生しない場合でも、過剰な渦電流が微細配線に流れる場合は、エレクトロマイグレーションを引き起こして断線することがある。
また、侵入する磁場によって素子に与えるダメージは次のように解釈することができる。即ち、特許文献1に示す方法では、表面の導電性膜(Cu膜)の部分で、侵入してきた磁場によって、渦電流が形成され、その渦電流によって反発磁場が発生する。研磨初期においては、表面を覆っている導電性膜によって、内部の素子へ磁場が侵入することを防ぐため素子へのダメージは小さい。エネルギ的には、表面を覆っている導電性膜で生じる渦電流によってジュール熱損として導電性膜内で消費される。そのため、研磨初期においては、内部の素子は表面の導電性膜によって、幾分か磁場の影響から保護されている。しかし、研磨が進行して、表面の導電性膜を覆っている膜が除去されると、そのまま磁場は軽減されることなく、素子内に侵入する。研磨初期においては、磁場のエネルギが表面の導電性膜内部でジュール熱損として消費されたが、表面の導電性膜が研磨により除去されると、そのジュール熱損で消費されるエネルギが、そのまま素子側に負担されることになる。素子内に渦電流を生じるほどの導電性膜がなければ、磁場はそのまま素子内を突き抜けて外部の空間で消費されることになるが、ある大きさの導電性膜が存在した場合、集中的に渦電流が発生して、断線を起こすことになる。こうしたことは、素子の構造にも多少起因するところはあるが、一般的に、表面の厚い導電性膜全体で渦電流量を発生させるほどの指向性の高い磁場を素子内に侵入させると、ところどころで渦電流を発生させてしまい、悪影響を及ぼすことは自明である。さらに、この方法では、導電性膜に磁場を導入し、その磁場によって渦電流が発生する。その渦電流量の変化をモニタし、膜厚を見積もる。この場合、膜厚を見積もるためには、継続的に渦電流を発生させなければならない。なぜなら、渦電流が発生しないと回路系は動作せず、変化した膜厚も見積もれないからである。また、研磨の終了の予測も、除去した膜厚が見積もれないことには、終了点やその終了点付近の予測も不可能となる。よって、終点検出及び終点予測、並びに膜厚モニタするには、継続的な渦電流の形成は必須となる。
さらに、例えば、研磨終了時点付近のある所定の残膜量になった時点で、研磨条件を変えて処理を行う場合に、所定の残膜量であるか否かを見極めることは困難である。初期膜厚からの変化分で推測することは可能であるが、初期膜厚がばらつく場合は所定の残膜量の見積もりがばらつくことになるからである。この研磨終了時点付近の判断に関し、センサと導電性フィルム間のギャップが研磨の振動によって微小に変化すると、センサ回路系全体の浮遊容量が変化して共振周波数全体がシフトする。このため仮に、ある設定の共振周波数になったときに閾値を設定して、研磨終点を判別する設定をしていても、全体的に共振周波数がシフトすれば、その閾値の設定による研磨終了時点の判断は難しくなる。このように、この従来技術においては、単調かつ連続的に増加もしくは減少変化する共振周波数において、ある値に閾値を設定していたとしても、センサと導電性フィルム間のギャップが微小に変化したり、その間に何等かの誘電体が介在したりすることで、その波形自体が全体的に上下に平行移動することは度々存在し、その結果、予め設定した閾値が意味をなさないことが度々存在した。
特許文献2に記載の従来技術においては、まず、その技術の背景として、この従来技術を示す公報における[0004]には、一般に渦電流センサは半導体基板の表面に設けられた導電性膜に渦電流を形成し、この渦電流により間接的に膜厚の計測を行うものであるので、正確な膜厚検出が困難であるということを問題としている。また、[0005]には、半導体基板に形成される極薄い膜厚から比較的厚い導電性膜まで正確に膜厚等の検出を行うことができる渦電流センサを提供することを目的としていると記載されている。この従来技術の場合、例えば、比較的厚い膜で渦電流を生じさせて膜厚を測定する一方、その厚い膜を研磨して減少させて渦電流を減少させていくと、その渦電流が減少した分において、単純に磁場のエネルギは表面の導電性膜で消費されず、そのまま導電性膜の下に存在する素子内部に入り込むことになる。即ち、本来、導電性膜で消費される磁場のエネルギに対して、導電性膜が除去されるにつれて、素子内部が過剰な磁場のエネルギにさらされること許容するものである。
これに対し、本発明では、渦電流を膜内に積極的に誘発し、膜厚の計測を行うものではない。磁場に対する導電性膜の表皮効果を利用して、磁場を導電性膜へ侵入することを極力阻止し、膜厚除去付近で一部の磁場が導電性膜から漏れ出すことによって生じる渦電流を検知して、その変化形態から終了点を予測するものである。また、表面の導電性膜に生じる渦電流によって、その導電性膜の下に存在する素子の部分で消費する磁場エネルギを極力軽減する。導電性膜が除去される直前において、膜厚減少に伴って、トータルの渦電流が減少していく過程では、磁場のエネルギが内部の素子に影響を与えるため、その磁場のエネルギを軽減するようにしている。このように、素子の内部への磁場の侵入を極力防ぎながら、その状態で膜の除去される時点を正確に予測するものである。
また、この従来技術によると、その構成として、センサコイルは、信号源に接続する発振コイルと、該コイルの前記導電性膜側に配置する検出コイルと、前記発振コイルの前記導電性膜側の反対側に配置するバランスコイルとを具備し、前記検出コイルとバランスコイルとは互いに逆相となるように接続した直列回路に、可変抵抗を接続し、検出対象の前記導電性膜が存在しないときに、前記直列回路の出力がゼロになるように調整可能として、前記検出回路で検出した抵抗成分及びリアクタンス成分から合成インピーダンスを出力し、該合成インピーダンスの変化から前記導電性膜の膜厚の変化を広いレンジでほぼ直線的な関係として検出するようにしている。
しかし、本発明においては、インダクタとして、発振コイル、検出コイル、バランスコイルと三つのコイルを必要としない。また、そのコイルを立体的に三次元的に多段に積み、その磁束変化をモニタするものではない。インダクタとなるコイルは一つだけであり、平面的に二次元で構成するものである。また、この従来技術では、検出コイルとバランスコイルと互いに逆相になるように接続した直列回路に可変抵抗を接続するとしているが、本発明においては、可変抵抗などの抵抗は挟むものではない。本発明では、コルピッツ型の発振回路を形成しており、インダクタに対して容量を並列に結合するものである。
また、この従来技術によると、膜厚変化を抵抗成分とリアクタンス成分から合成インピーダンスを出力し、この合成インピーダンスは膜厚変化に対して広いレンジでほぼ直線的な関係を形成して、その直線的に変化する関係から膜厚を求めるとしている。
しかし、本発明においては、幅広いレンジにおいて膜厚を測定することを目的としていない。研磨完了時点の直前における特徴的な変化を基に、研磨の完了時点を正確に予測することを目的としている。また、その研磨完了時点の直前における特徴的な波形の変化とは、ほぼ直線的な変化を表していない。表皮効果の影響によって、急峻な変曲点を有し、その変曲点及び、その前後の急峻な変化率などの特徴的な点に基づいて、研磨完了時点を正確に予測するものである。
また、この従来技術によると、[0027]では、図7(b)に導電性膜の膜厚の変化に対する抵抗分の変化を示している。膜厚の変化に対する抵抗分の変化の関係は、膜厚の厚い方から薄い方に変化するに従って、抵抗分Rが図示するように変化する。即ち、極薄膜厚の領域(a)では抵抗分Rの出力が直線的に大きく変化し、ある厚さの領域(b)になると抵抗分Rの変化は飽和し、さらに膜厚が厚くなる領域(c)においては抵抗分Rの出力が低下する。ここで、銅膜の場合は、(a)点が約1000Å程度を示し、(b)点が約2000−3000Åを示し、(c)点が5000Åを示すとある。
しかし、導電性膜の抵抗分が膜厚によって、大きくなり、その後小さくなるといった挙動は、円の軌跡を示すものであって、抵抗成分とリアクタンス成分とのバランスにおいて、その位相の兼ね合いからくるもので、本発明のように表皮効果に基づくものではなく、挙動は全く別である。
本発明においては、表皮効果によって、磁束が導電性膜内に侵入しない過程から、膜厚減少に伴って一部の磁束が漏洩し、その後、磁束がある程度貫通すると、膜の体積に応じて渦電流が減少するという一連の表皮効果に基づく減少によって、後述の図に示すような急峻な変曲点が生まれている。
その変曲点は、単純に周波数だけに影響するものではない。後に示す1/1000のインダクタ距離と1/1000のインダクタ径でシュミュレーションした事例に示すように、たとえ同じ周波数であっても、インダクタの径やインダクタと導電性膜の距離により、磁場の指向性が変わり、磁場の導電性膜内への侵入挙動が大きく変化する場合がある。あるインダクタ径とインダクタ距離では、研磨時の膜厚が減少する過程で表皮効果に基づく変曲点を有していたが、1/1000のインダクタ大きさとインダクタ距離では、研磨時の膜厚が減少する過程では、表皮効果に基づく変曲点を持たない場合が存在する。これは、明らかに、そのときの周波数だけではなく、インダクタの形状や距離などの設定においても、磁場の指向性が変化し、表皮効果によって磁場の導電性膜に対する侵入特性が変化して、変曲点の状態が変化することを示している。
本発明では、そうした導電性膜内へ磁場が侵入しない状態から、侵入していく状態における現象的な変化過程を、その研磨して膜厚が減少する過程に形成し、その状態変化を利用して精度よく導電性膜が除去されるであろう点を予測するものである。よって、表皮効果に基づく抵抗成分の変化と、前記公報による抵抗成分とリアクタンス成分との位相関係から求める抵抗成分の変化とは、全く次元の異なるものである。
また、研磨初期から研磨終期まで渦電流を利用して導電性膜の膜厚を監視するこの従来技術では、膜内で渦電流を引き起こすのに膜内に浸透する程度の十分強い磁束を作る必要があり、インダクタの形状は磁束に指向性を持たせるために三次元となっている。このため、センサを研磨装置等に組み込む上で、一般的に次のような問題がある。コイルに流す電流が大きくなって消費電力が多くなり、電源装置も大型になる。磁束が周辺に漏れてノイズが発生し易い。導線をコイル状に巻く工程等が必要になってコスト高になる。
特許文献3に記載の渦電流センサからなる従来技術においては、まず、この従来技術で使用しているセンサ部のハードウェアについて、まず、センサコイルは導電性膜を貫通することを前提とした構成である。したがって、導電性膜を貫通しない程度の磁場しか発生しないハードウェアでは、渦電流が形成できず目的を達成できない。また、導電性膜が研磨により減少することで、渦電流が形成される領域が単調に減少し、そのため、発振周波数が単調に減少する挙動が記載されており、その発振周波数が略一定になったときを終点とみなしてこの部分を検出するとしている。即ち、この従来技術で使用するソフトウェアのアルゴリズムでは、発振周波数の変化とは、減少から略一定になる変化を、発振周波数の変化としているのであって、例えば、この発振周波数が変曲点を有するような変化をした場合には、到底検出できるアルゴリズムではない。また、図2に示すように研磨の初期から磁束が導電性膜を貫通し、常時渦電流が発生する状態である。ここで、渦電流センサは、終始渦電流を積極的に発生させ、その渦電流変化から膜厚変化に算出し直す方法を概して、渦電流センサとしている。
また、この従来技術によると、まず、背景として、この従来技術を示す公報における[0012]には、従来の渦電流センサによる研磨終点の検出方法においては、渦電流センサに使用する発振周波数が7MHz程度であり、比較的小さいため、研磨対象の導電性膜が十分厚い場合には、大きな渦電流損を検出することができるが、導電性膜の研磨が進行し膜厚が極めて薄くなると、渦電流損の大きさが小さくなり、この場合には例えば1000Å以下程度の膜厚検出が困難になる。即ち、従来の渦電流センサは発振周波数が比較的低いため、オングストロームオーダの膜厚検出精度が要求されるポリッシング装置の研磨終点の検出には、その精度が十分ではなかった、ということを問題としている。
そして、この従来技術では、厚い膜厚であっても、薄い膜厚であっても同様に膜内に磁場を侵入させ、その磁場による渦電流の大きさによって単純に膜厚をモニタする方法を開示している。
しかし、本発明では、導電性膜が比較的厚い場合を問題としない。むしろ、導電性膜が厚い場合に、表皮効果によって磁場が導電性膜内に侵入せず、したがって大きい渦電流を検出しないことが求められる。また、膜厚が1000Å程度まで減少してくる場合、指向性のない磁場であっても、一部導電性膜を貫通して膜厚の減少とともに渦電流を形成して反発磁場を生じるため、それを精度よく検出するものである。導電性膜が除去される直前付近の表皮効果に基づく特徴的な挙動をクローズアップして検出して研磨終了時点を精度よく予測するもので、厚い膜厚であっても膜厚を測定することを目的とするものではない。
また、この従来技術では、[0028]には、渦電流センサの発振周波数信号を周波数の時間勾配として捉え、即ち発振周波数の時間微分信号を演算し、この特徴点により、研磨終点の判定が行える。図5(a)は発振周波数自体の時間tの推移軌跡を示し、図5(b)はこの微分値の推移軌跡を示す。このように発振周波数の挙動は、単調に減少する挙動が示されており。この発振周波数の単調な減少点の最下点で研磨の終点の判定を行うものである。また、その波形を微分して単調な減少における変化点を見出だすことで終点を判定するとしている。
しかし、本発明では、こうした発振周波数の挙動が明らかに異なる。即ち、本発明では研磨による膜厚の減少過程において、導電性膜の表皮効果によって発振周波数が膜厚減少とともに一度上昇し、その後降下することで、一つのピークを終点間際に持つ。この挙動は、表皮効果によって磁場が導電性膜内に侵入しない過程から侵入する過程によって、生じるものであり、この従来技術で示している挙動とは明らかに異なる。また、検出方法も、上昇して下降する変曲点並びにその変曲点付近の特徴的な部分を検出して、研磨の終了時点を精度よく予測するものである。
また、この従来技術では、渦巻状のセンサコイルが基板と直交するように配置されている。それに対して、本発明におけるコイルでは、基板に平行する形で一つの平面インダクタを配置しており、装置の構成の点でも明らかに異なっている。さらに、この従来技術では、[0032]に示すように、先と同様に抵抗成分は膜厚減少にしたがって一度増大し、その後減少する挙動を示すとしている。しかし、これも先と同様に、表皮効果によって現われている挙動ではない。図に示す回路においてその位相差において抵抗成分とリアクタンス成分とのバランスから生じる変曲点である。
即ち、本発明における変曲点は、こうした変曲点とは全く異なる。先にも述べたように、コイルの大きさや形状や、導電性膜からコイルまでの距離によって大きく変化し、その設定によっては、高周波数帯であっても表皮効果による特徴的な挙動が見られない場合も存在する。本発明では、その導電性膜の導電率、透磁率及び周波数やインダクタ形状さらにはインダクタと導電性膜の距離などを適正に設定し、研磨による膜厚減少過程において発振周波数が表皮効果によって変曲点を持つ状態として、その波形の特徴的な部分を基に、研磨完了時点を精度よく予測するものである。
特許文献4に記載の渦電流センサからなる従来技術においては、この従来技術も前記各特許文献に記載の従来技術と同様に、表皮効果を利用したことによる変曲点が現われる波形とは全く別であることは自明である。
そこで、導電性膜下方のデバイスウェーハに形成されている素子や微細な配線等まで強い磁束を及ぼすことなく、その結果電磁誘導によって誘起される渦電流の発生を抑制して、渦電流によるジュール熱損を極小に抑えるとともに、センサと導電性膜のギャップの変化やスラリー等の誘電物質の介在常態によって、誘起される渦電流量が全体的にシフトして、閾値の設定が大幅に変化して検出しにくくなるといった事態をなくし、デバイスウェーハを貫通しない程度の微細な磁場であっても、十分に精度よく検出することが可能とするものであり、研磨完了時点を精度よく予測し検知するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、導電性膜を研磨して、所定の導電性膜が適正に除去されたときの研磨完了時点を予測して検知する研磨完了時点の予測方法であって、
前記所定の導電性膜にインダクタ型センサにおける平面インダクタを近接させ、導電性膜を研磨中に、該インダクタで形成される磁束により前記導電性膜に誘起される渦電流の変化が、前記導電性膜の表皮効果によって変曲点に到達したことを基に導電性膜の研磨完了時点を予測する研磨完了時点の予測方法を提供する。
この構成によれば、インダクタが高周波で駆動され、該インダクタからその高周波の周期に対応して変化する磁束が発生する。研磨により所定の導電性膜が表皮深さに対応した膜厚に至るまでは、所定の導電性膜に誘起される磁束は、前記表皮深さの領域を膜面に沿ってほぼ平行に通過する。研磨が進行して所定の導電性膜が前記表皮深さと同等もしくはその付近の膜厚になると、該所定の導電性膜を貫通する漏洩磁束が生じ始める。この磁束の変化により所定の導電性膜中に電磁誘導によって誘起される渦電流量が変化する。該渦電流は膜厚が減少していくにつれて、膜を貫通する漏洩磁束が増大していくため、徐々に誘起される渦電流が増大する。この広い領域に発生した渦電流により、該所定の導電性膜内に大きな相互インダクタンスが発生する。この相互インダクタンスは、高周波インダクタ型センサにおけるセンサ回路系の自己インダクタンスを減少させるように作用する。このように、初期は、導電性膜の膜厚が減少しても、導電正膜に投入した磁束がウェーハを貫通しない程度である場合は、一定の渦電流が形成される。その後、膜厚がさらに減少して表皮深さに対応した膜厚以下になった場合、一部の磁束がウェーハ上の導電性膜を貫通してウェーハの裏面にまで漏洩する磁束が生じる。このとき漏洩磁束の増加とともに膜内に誘起される渦電流が大きくなる。次に、ある一定の膜厚までウェーハ表面に形成される渦電流は増大するが、その後、さらに導電性膜が除去されるにしたがって、渦電流を発生する導電性膜自身が減少するため、渦電流は減少する。結果的に、単調な膜厚減少過程であるにも関わらず、一度貫通磁束増大とともに渦電流は増大し、その後さらなる膜厚の減少に伴って、渦電流を生じる体積自体が減少することに伴って急速に減少するため、誘起される渦電流に対応した相互インダクタンスには極大点が現れる。この渦電流の急速な減少により前記相互インダクタンスも急速に減少してセンサ回路系のインダクタンスは増加に転じる。このように、研磨の進行により所定の導電性膜が表皮深さと同等もしくはその付近の膜厚になった以降において、渦電流が発生しその後の急速な減少によりセンサ回路系のインダクタンスが一旦減少してその後増加に転じる。この挙動により高周波インダクタ型センサから発振される共振周波数の波形にピーク(変曲点)が発生する。このピークを基に研磨完了点手前の基準点が検出され、該基準点から研磨完了時点が予測される。
このピークは、表皮深さに対応した膜厚で現れるため、先に述べたような誘起された渦電流量が全体的にシフトすることによる閾値の設定が変動するといった問題はなく、絶えず、残りの膜厚に対応した位置にピークが出現する。特に、導電性膜が、例えば、Cuの場合、Cuの残り膜が710Åの付近にピークが出現する。また、W膜の場合は、Wの残り膜がもう少し厚い部分2500Åにピークが出現する。この膜厚は、実際の表皮深さとは異なるが、表皮深さに対応した数値になっている。表皮深さδは、電磁波の強度が1/eの大きさになる深さを便宜的に示した指標であるが、このピーク位置は、材料の導電率、透磁率、印加する周波数等によって決定されることからも、表皮効果によってもたらされている。本発明は、この材料の表皮効果によって現れる特異な現象を巧みに利用して、達成した技術である。特に、配線材料のCMPにおいて配線材料は高導電率を有するため、ピーク位置は比較的終点付近(710Å)で鋭いピーク(極大点)となって現れる。そのため、様々な外乱に対しても揺らぐことなく、ロバストな終点検出・終点予測が可能になる。
また、インダクタ型センサは、膜内に故意に積極的に渦電流を生じさせて、膜厚をモニタするものではない。従来の公知のセンサでは、導電性膜を貫通させるような磁場を与えるために、該磁場に指向性を持たせるようにセンサコイルを形成しているが、本発明におけるインダクタ型センサでは、平面インダクタを使用している。これにより、磁場に指向性を与えるのではなく、導電性膜に対して、導電性膜に深く浸透しないように適度に磁場を発散させることを目的としたインダクタである。これは、磁場が深く浸透した場合、又は磁場を深く浸透させるために強力な磁場を与えた場合、内部の配線が渦電流によって、局部的に過熱される場合や、エレクトロマイグレーション等によって、配線自体が断線してしまうからである。よって、導電性膜に極力磁場を浸透させず、言い換えれば素子にダメージを与えるような渦電流を発生させない程度の、適度の磁束分布を形成する平面インダクタの構成としている。また、導電性膜が除去される間際で導電性膜が薄くなると、適度に発散させる磁場を与えたとしても、一部は導電性膜を貫通する磁束が現れる。この終点付近の薄い導電性膜状態になったときに現れる急激な変化をモニタする。よって、周波数、インダクタ及びその信号を検出するアルゴリズムは、終点付近の変曲点を最大化する構成としている。
請求項2記載の発明は、前記渦電流の変化が導電性膜の表皮効果により変曲点に到達した後、前記インダクタで形成される磁束を軽減するないしはオフにする請求項1記載の研磨終了時点の予測方法を提供する。
この構成によれば、インダクタに電流を流して磁束を発生させるとともに、導電性膜に誘起される磁束によって渦電流が形成され、その渦電流の形成が最大になった直後に、例えば、インダクタに流す電流をオフにする、もしくは小さくすることによって、導電性膜に侵入する磁束をオフにする、ないしは軽減する。
従来技術では、導電性膜に磁場を導入し、その磁場によって渦電流が発生する。その渦電流量の変化をモニタし、膜厚を見積もっていた。この場合、膜厚を見積もるためには、継続的に渦電流を発生させなければならない。同様に研磨終了点並びにそれを予測する場合にも継続的に渦電流を発生させることは不可欠になる。
これに対し、本発明では、渦電流の継続的な発生を必要とするものではない。なぜなら、表皮効果の影響により渦電流の発生が抑えられ、その後研磨により、膜厚が減少すると、研磨が終了する少し前の時点で渦電流形成のピーク(変曲点)を持つからである。この研磨終了前の特徴的な変化を示す中間時点を基準点とし、研磨完了時点を予測するとともに、モニタを止めてよい。例えば、Cu膜ではこの特徴的な変化を示す膜厚が710Å程度であって、初期膜厚が7000Å程度であったとしても、10%程度の膜厚であり、研磨終了の直前に現われる。この基準点を検知することによって、研磨完了時点を正確に予測することが可能となる。また、この基準点から、磁場を導電性膜及び素子内に入れる必要はない。終了直前の基準点を正確にモニタした時点で、殆ど研磨完了時点が時間で正確に見積もることが可能となるからである。よって、この特徴的な変化点である基準点が検出された時点で素子内に侵入させる磁場を軽減する、もしくは磁場を止めることによって渦電流の形成を抑える、もしくは素子にダメージを与えずに研磨完了時点を予測することが可能となる。
また、従来技術の説明で述べたように、初期の状態では、表面の導電性膜が磁場の素子内への侵入を保護してくれるが、一旦表面の導電性膜が除去されると、そのまま磁場が素子内に侵入する。磁場が素子内に侵入することで、素子内の導電性膜部分は渦電流が発生することになり、場合によっては、エレクトロマイグレーションによって断線するケース等が存在する。従来は、膜厚モニタが渦電流量の変化に対応するため、表面の導電性の膜厚が減少し、その導電性の膜厚が減少する間、減少した膜厚量に対応して、形成される渦電流が減少する。その渦電流量が減少する分、導電性膜内で発生するジュール熱も減少するが、その時期のエネルギは、そのまま導電性膜の下に存在する素子に向けられることになる。即ち、導電性膜で渦電流損即ち、ジュール熱損として消費されなかった分が、そのまま素子内に向けられて、素子内の導電性膜が存在する部分で消費されるようになる。
これに対し、本発明では、初期状態は磁束が導電性膜内に殆ど侵入しない。そのため、その下側にある素子にも殆ど磁場は侵入しないことになる。結果的には、導電性膜内で磁場のエネルギが消費される量は微量であり、殆どが空間に放出されて空間で磁場のエネルギが消費される。その後研磨が進行するにしたがって一部の磁場が導電性膜内を貫通し、素子へ到達する部分もある。しかし、殆どが導電性膜に形成された逆磁場により反発され、素子内への磁場の侵入を防ぐようになる。増大する貫通磁束に対応して、表面の導電性膜に形成される渦電流も増大し、殆どが表面の導電性膜上で渦電流損即ち、ジュール熱損になって消費される。よって、多少の磁場は素子へ侵入する部分もあるが、大部分は表面の導電性膜によってジュール熱損として消費されるため、素子へ及ぼされる磁場のエネルギは表面の導電性膜により保護されて大幅に軽減される。
この挙動は、基準点に至るまで、即ち研磨によって導電性膜が減少するが、渦電流量が増大していく過程においては、表面の導電性膜が素子内への磁場の侵入を極力保護して、磁場の影響を大幅に軽減している。
その後、さらに研磨が進行すると、膜厚が減少するにしたがって、磁場はさらに導電性膜を貫通して渦電流を形成するが、渦電流を形成することが可能な膜厚自体が減少する。このとき、渦電流は減少に転じる。表面の導電性膜によって消費されなかった磁場のエネルギは、そのまま内部へ侵入して、素子内で吸収されるようになる。導電性膜が除去されるにつれて渦電流が形成される部分が小さくなっていくため、結果として、素子内に侵入する磁場は徐々に大きくなっていく。よって、膜厚減少過程において、この特徴的な変化点である基準点、即ち渦電流の形成量が上昇から下降へ転じる点から、急激に磁束は導電性膜で消費されず、内部の素子へ侵入して、素子にダメージを与えることになる。
本発明においては、この基準点、即ち表皮効果によって表面の導電性膜に生じる渦電流の形成量が上昇から下降へ転じる特徴的な変化を示す点で、渦電流を形成するための磁場を低減する、もしくはオフにするものである。その結果、膜厚減少に伴う素子部への磁場の侵入を防ぐどころか、磁場を与えること自体の必要をなくし、実際として、そこでオフする。その基準点の変曲点をソフトウェアのアルゴリズムで確認し、それを検知すればよい。変曲点の検知方法としては、波形の微分係数をモニタしながら、その微分値がゼロとなった時点で検出することでよい。微分値がゼロになった点から、表面の導電性膜における渦電流量は減少し、その分、素子側に磁場エネルギの負担がかかるため、表皮効果の影響で調整された導電性膜で消費される渦電流量が最大になった時点で渦電流の形成をオフにする。その結果、素子に過剰な磁場を与えることなく、表面の導電性膜の除去の完了時点を正確に予測することが可能となる。
さらに、従来技術では、ポット型のフェライトコアなど、指向性の高い整形された磁束を導電性膜内に導入しているため、初期状態から、空間に消費される磁場のエネルギより、導電性膜内や素子内部で消費される磁場のエネルギが大きい。これに対して、本発明によると、平面インダクタを使用しているため、従来のような整形された磁場ではなく、導体に対して故意に分散させた磁場を扱っている。たとえ、導電性膜で渦電流が発生し、一部の磁場が素子に漏れたとしても、その影響は非常に微量である。よって、その磁場によって、素子内部がダメージを受けることは殆どない。
請求項3記載の発明は、前記導電性膜の表皮効果による変曲点に対応する膜厚量を設定し、該膜厚量から予め設定した研磨時間を研磨した後に研磨完了とする請求項1または2記載の研磨完了時点の予測方法を提供する。
この構成によれば、研磨により所定の導電性膜が表皮深さに対応した膜厚に至るまでは、インダクタで形成される磁束により所定の導電性膜に誘起される磁束は、前記表皮深さの領域を膜面に沿ってほぼ平行に通過する。研磨が進行して所定の導電性膜が前記表皮深さと同等もしくはその付近の膜厚になると、該所定の導電性膜を貫通する漏洩磁束が生じ始める。この磁束の変化により所定の導電性膜中に電磁誘導によって誘起される渦電流量が変化する。該渦電流は膜厚が減少していくにつれて、膜を貫通する漏洩磁束が増大していくため、渦電流は増大する。そして、さらなる膜厚の減少により渦電流を発生する導電性膜自身が実質的に減少するため、渦電流は急速に減少する。この表皮効果に基づいて渦電流が増大する過程と、その後の渦電流が実質的に減少する過程との存在により、所定の導電性膜に誘起される磁束に特徴的な変化が発生する。この特徴的な変化から研磨終了時点が精度よく予測される。
請求項4記載の発明は、前記導電性膜の表皮効果による変曲点に対応する膜厚量を設定し、該膜厚量から研磨完了時点までに要する残りの研磨時間を算出し、前記導電性膜の表皮効果による変曲点に対応する膜厚量の点から前記算出した時間分を研磨した後に研磨完了とする請求項1,2または3記載の研磨完了時点の予測方法を提供する。
この構成によれば、磁束の特徴的な変化は、残膜量がその導電性膜の材質を一因子として決まる表皮深さに対応した膜厚となった時点において検出される。そして、特徴的な変化点における残膜量である表皮深さに対応した膜厚を、該特徴的な変化の検出後に実行すべき研磨レートで除することで特徴的な変化検出後の所要研磨時間が算出される。したがって、特徴的な変化の検出後に、前記算出された研磨時間分だけ研磨することで研磨が完了する。
請求項5記載の発明は、導電性膜を研磨する際の研磨完了時点を予測する研磨完了時点の予測装置であって、前記導電性膜に近接して対向し、前記導電性膜に磁場を与える平面インダクタ型センサを有し、前記導電性膜を研磨中、前記導電性膜の表皮効果により、前記導電性膜に誘起される渦電流の変化が変曲点に到達したことを検出して、研磨完了時点を予測する研磨完了時点の予測装置を提供する。
この構成によれば、研磨完了時点の予測装置において、研磨完了時点の直前に磁束の特徴的な変化を発生させるためには、導電性膜の除去開始から除去終了までの間に、表皮効果により磁束が導電性膜内に侵入しない過程から、膜厚減少に伴ない一部の磁束が漏洩して渦電流が増大し、その後、磁束がある程度貫通すると、導電性膜の実質的な体積減少に応じて渦電流が減少するという過程を存在させることが必要である。この特徴的な変化の発生は、単純に平面インダクタに与える周波数だけに依存するものではない。平面インダクタに与える周波数が、たとえ同じであっても、そのインダクタ形状もしくは平面インダクタと導電性膜間の距離によっては、導電性膜に対する磁場の指向性が変わり、磁場の導電性膜内への侵入挙動が変化する場合がある。このような場合、導電性膜の除去開始から除去終了までの間に、前記特徴的な変化が生じるような渦電流の増大と減少の過程が生起しないことがある。これに対し、平面インダクタに与える周波数、インダクタ形状、もしくは前記平面インダクタと導電性膜間の距離の少なくともいずれかを適正化することで、研磨完了時点の直前に前記特徴的な変化が生じるような渦電流の増大と減少の過程を生起させることが可能となる。
請求項1記載の発明は、所定の導電性膜にインダクタ型センサにおけるインダクタを近接させ、該インダクタで形成される磁束により前記所定の導電性膜に誘起される磁束変化をモニタし、研磨中の膜厚が前記所定の導電性膜の材質を一因子として決まる表皮効果による前記磁束変化を基に特徴的な変化を検出し、該特徴的な変化から研磨完了時点を予測するようにしたので、研磨初期には、所定の導電性膜に誘起される磁束は、前記表皮深さの領域を膜面に沿ってほぼ平行に通過する。これにより、所定の導電性膜下方のデバイスウェーハ上の素子や微細な配線等まで強い磁束を及ぼすことがなく、また渦電流の発生が抑制されて該渦電流によるジュール熱損を極小に抑えることができる。研磨の進行により所定の導電性膜が表皮深さに対応した膜厚になった以降において、所定の導電性膜を貫通する漏洩磁束が生じ、この漏洩磁束により所定の導電性膜中に渦電流が誘起される。この渦電流は、膜厚の減少に伴う漏洩磁束の増加により徐々に増大し、さらなる膜厚の減少により渦電流を発生する導電性膜自身の体積が減少するため急速に減少する。この渦電流の増大とその後の急速な減少により、センサ回路系のインダクタンスが一旦減少してその後増加に転じる。この挙動によりインダクタ型センサから発振される共振周波数の波形に変曲点(ピーク)が発生する。そして該変曲点は、様々な外乱に対しても揺らぐことなく、絶えず、残りの膜厚に対応した位置に出現する。このため、前記変曲点を基に検出された基準点から研磨完了時点を精度よく予測して検知することができるという利点がある。
請求項2記載の発明は、前記渦電流の変化が導電性膜の表皮効果により変曲点に到達した後、前記インダクタで形成される磁束を軽減するないしはオフにする請求項1記載の研磨終了時点の予測方法であるところ、前記請求項1記載の発明の効果に加え、研磨初期には、表皮効果の影響により渦電流の発生が抑えられ、その後、研磨の進行による所定の導電性膜の膜厚減少に伴って表皮効果により該導電性膜に生じる渦電流が増大する過程と膜体積の減少により渦電流が実質的に減少する過程との存在により磁束周波数が変曲点を持つ特徴的な変化が発生する。この研磨完了前の磁束周波数が変曲点を持つという特徴的な変化の発生後、渦電流の形成量が実質的に減少へ転じる点から、急激に磁束は導電性膜で消費されず、導電性膜下方への侵入傾向が生じる。そこで、前記磁束周波数が変曲点を持つ特徴的な変化の検出後、所定の導電性膜に誘起される磁束を軽減するないしはオフにすることで、前記研磨完了時点の正確な予測とともに導電性膜下方のデバイスウェーハ上の素子や微細な配線等に対し強い磁束が及ぶのを防止することができるという利点がある。
請求項3記載の発明は、前記請求項1,2に記載の発明の効果に加えて、前記所定の導電性膜にインダクタ型センサにおける平面インダクタを近接させ、導電性膜を研磨中に、該インダクタで形成される磁束により前記所定の導電性膜に誘起される磁束変化をモニタし、前記導電性膜の材質を一因子として決まる表皮効果に基づいて研磨の進行による膜厚減少に伴って形成される渦電流が増大する過程と、そのまま研磨を進めた場合に膜厚減少に伴って形成される渦電流が実質的に減少する過程とが存在し、前記所定の導電性膜に誘起される磁束が変曲点を持つ特徴的な変化を基に研磨完了時点を予測するようにしたので、研磨の進行による所定の導電性膜の膜厚減少に伴って表皮効果により該導電性膜に生じる渦電流が増大する過程と膜堆積体積の減少により渦電流が実質的に減少する過程との存在により、所定の導電性膜に誘起される磁束が変曲点を持つ特徴的な変化が発生する。この磁束が変曲点を持つ特徴的な変化から研磨完了時点を精度よく予測して検知することができるという利点がある。
請求項4記載の発明は、前記請求項1,2,3に記載の発明の効果に加えて、上記磁束の変曲点を持つ特徴的な変化から研磨完了時点を予測する方法に関して、前記磁束の変曲点を持つ特徴的な変化に対応する膜厚量を設定し、該膜厚量から研磨終了時点までに要する残りの研磨時間を算出し、前記磁束の変曲点を持つ特徴的な変化に対応する膜厚量の点から前記算出した時間分を研磨した後に研磨完了としたので、磁束の変曲点を持つ特徴的な変化は残膜量が表皮深さに対応する膜厚となった時点で検出される。このため、この残膜量を磁束の変曲点をもつ特徴的な変化の検出後に実行すべき研磨レートで除することで特徴的な変化検出後の所要研磨時間を算出することができる。したがって、磁束の変曲点を持つ特徴的な変化の検出後に、前記算出された研磨時間分だけ研磨することで、所定の導電性膜を適正に研磨除去することができるという利点がある。
請求項5記載の発明は、導電性膜を研磨する際の研磨完了時点を予測する研磨完了時点の予測装置であって、前記導電性膜に近接して対向し、前記導電性膜に磁場を与える平面インダクタ型センサを有し、前記導電性膜を研磨中、前記導電性膜の表皮効果により、前記導電性膜に誘起される渦電流の変化が変曲点に到達したことを検出して、研磨完了時点を予測する研磨完了時点の予測装置であるので、前記請求項1,2,3,4に記載の発明の効果に加えて、
以下のような作用、効果をもたらす。
導電性膜を研磨パッドに摺接させて研磨加工を行う研磨装置において、研磨時に前記所定の導電性膜と対向する位置に平面インダクタとキャパシタからなるセンサ回路系を構成する発振回路を備えた高周波インダクタ型センサを有し、前記平面インダクタから前記所定の導電性膜に磁場を与え、その磁場によって前記所定の導電性膜に生じる反発磁界を検知して研磨終了時点を予測する研磨完了時点の予測装置であって、前記所定の導電性膜の除去開始から除去終了までの間に、研磨の進行による膜厚減少に伴い、その導入される磁場によって前記所定の導電性膜に生じる渦電流が増大する過程と、そのまま研磨を進めた場合に膜厚が減少するに伴い、その導入される磁場によって前記所定の導電性膜に生じる渦電流が減少する過程とが存在するように、前記平面インダクタに与える周波数、インダクタ形状、もしくは前記平面インダクタと導電性膜間の距離の少なくともいずれかを適正化することを通ずることによって、該導電性膜に対する磁場の指向性を適正に設定することができる。したがって、所定の導電性膜の除去開始から除去終了までの間に表皮効果により渦電量の増大と減少の過程を生起させて研磨完了時点の直前に磁束周波数の変曲点を持つ特徴的な変化を生じさせることができる。この結果、該磁束周波数の変曲点を持つ特徴的な変化から研磨完了時点を精度よく予測して検知することができるという利点がある。
以下、本発明の実施例に係る研磨完了時点の予測方法とその装置を図面に従って詳述する。図1は研磨完了時点の予測装置が組み込まれた化学機械研磨装置の斜視図、図2は研磨ヘッドの拡大縦断面図、図3は研磨完了時点の予測装置がプラテンに組み込まれた状態を説明するための一部破断して示す概略側面図、図4は研磨完了時点の予測装置が研磨ヘッドに組み込まれた状態を説明するための一部破断して示す概略側面図である。
まず、本実施例に係る研磨完了時点の予測方法とその装置の構成を、これに適用される化学機械研磨装置の構成から説明する。図1において化学機械研磨装置1は、主としてプラテン2と、研磨ヘッド3とから構成されている。前記プラテン2は、円盤状に形成され、その下面中央には回転軸4が連結されており、モータ5の駆動によって矢印A方向へ回転する。前記プラテン2の上面には研磨パッド6が貼着されており、該研磨パッド6上に図示しないノズルから研磨剤と化学薬品との混合物であるスラリーが供給される。
前記研磨ヘッド3は、図2に示すように、主としてヘッド本体7、キャリア8、リテーナリング9、リテーナリング押圧手段10、弾性シート11、キャリア押圧手段16及びエアー等の制御手段で構成されている。
前記ヘッド本体7は前記プラテン2よりも小形の円盤状に形成され、その上面中央に回転軸12(図1参照)が連結されている。該ヘッド本体7は前記回転軸12に軸着されて図示しないモータで駆動され図1の矢印B方向に回転する。
前記キャリア8は円盤状に形成され、前記ヘッド本体7の中央に配設されている。該キャリア8の上面中央部とヘッド本体7の中央下部との間にはドライプレート13が設けられており、ピン14,14を介してヘッド本体7から回転が伝達される。
前記ドライプレート13の中央下部と前記キャリア8の中央上部との間には作動トランス本体15aが固定されており、さらに前記キャリア8の中央上部には作動トランス15のコア15bが固定され、図示しない制御部に連結されてウェーハW上(図2の下方側)に形成されたCu等からなる導電性膜の研磨状態信号を該制御部に出力している。
前記キャリア8の上面周縁部にはキャリア押圧部材16aが設けられており、該キャリア8は該キャリア押圧部材16aを介してキャリア押圧手段16から押圧力が伝達される。
前記キャリア8の下面にはエアーフロートライン17から弾性シート11にエアーを噴射するためのエアー吹出し口19が設けられている。該エアーフロートライン17にはエアーフィルタ20及び自動開閉バルブV1を介してエアー供給源である給気ポンプ21に接続されている。前記エアー吹出し口19からのエアーの吹出しは前記自動開閉バルブV1の切替えによって実行される。
前記キャリア8の下面にはバキューム及び必要によりDIW(純水)又はエアーを吹き出すための孔22が形成されている。該エアーの吸引は真空ポンプ23の駆動によって実行され、そして、自動開閉バルブV2をバキュームライン24に設け、該自動開閉バルブV2の切替えによって該バキュームライン24を介し、バキューム及びDIWの送給が実行される。
前記エアーフロートライン17からのエアー送給及びバキュームライン24からのバキューム作用及びDIWの送給等は制御部からの指令信号によって実行される。
なお、前記キャリア押圧手段16は、ヘッド本体7下面の中央部周縁に配置され、キャリア押圧部材16aに押圧力を与えることにより、これに結合されたキャリア8に押圧力を伝達する。このキャリア押圧手段16は、好ましくはエアーの吸排気により膨脹収縮するゴムシート製のエアバック25で構成される。該エアバック25にはエアーを供給するための図示しない空気供給機構が連結されている。
前記リテーナリング9はリング状に形成され、キャリア8の外周に配置されている。このリテーナリング9は研磨ヘッド3に設けられたリテーナリングホルダ27に取り付けられ、その内周部に前記弾性シート11が張設されている。
前記弾性シート11は円形状に形成され、複数の孔22が開穿されている。該弾性シート11は、周縁部がリテーナリング9とリテーナリングホルダ27との間で挟持されることにより、リテーナリング9の内側に張設される。
前記弾性シート11が張設されたキャリア8の下部には、キャリア8と弾性シート11との間にエアー室29が形成されている。導電性膜が形成されたウェーハWは該エアー室29を介してキャリア8に押圧される。前記リテーナリングホルダ27はリング状に形成された取付部材30にスナップリング31を介して取り付けられている。該取付部材30にはリテーナリング押圧部材10aが連結されている。リテーナリング9は、このリテーナリング押圧部材10aを介してリテーナリング押圧手段10からの押圧力が伝達される。
リテーナリング押圧手段10はヘッド本体7の下面の外周部に配置され、リテーナリング押圧部材10aに押圧力を与えることにより、これに結合しているリテーナリング9を研磨パッド6に押し付ける。このリテーナリング押圧手段10も好ましくは、キャリア押圧手段16と同様に、ゴムシート製のエアバック16bで構成される。該エアバック16bにはエアーを供給するための図示しない空気供給機構が連結されている。
そして、図3又は図4に示すように、化学機械研磨装置1におけるプラテン2の上部の部分又は研磨ヘッド3のキャリア8の部分に、研磨完了時点の予測装置33がそれぞれ一つずつ組み込まれている。研磨完了時点の予測装置33がプラテン2側に組み込まれたとき、該研磨完了時点の予測装置33からの特徴的な変化等の検出信号は、スリップリング32を介して外部に出力される。
なお、研磨完了時点の予測装置33は、プラテン2の上部の部分又は研磨ヘッド3のキャリア8の部分に、それぞれ二つ以上を組み込んでもよい。研磨完了時点の予測装置33を二つ以上を組み込んで、回転方向前方側の研磨完了時点の予測装置33から、時系列的に膜厚情報を採取することで、ウェーハW面内における導電性膜28の膜厚変化の分布情報等が得られる。
図5は研磨完了時点の予測装置33の構成例を示す図であり、(a)はブロック図、(b)は平面状インダクタの他の構成例を示す図、(c)は図(b)の平面状インダクタの断面図である。該研磨完了時点の予測装置33における高周波インダクタ型センサ34の主体を構成している発振回路35は、インダクタンスLとなる二次元の平面状インダクタ36に、キャパシタンスC0となる集中定数キャパシタ37が直列に接続されて、LC回路が構成されている。前記平面状インダクタ36は、絶縁物からなる方形状等の基板36a上に、Cu等の導電物質を用いてメアンダ形に構成されている。
該平面状インダクタ36は、図5(a)に示すメアンダ形の他に、図5(b)に示す平面状インダクタ41のように、方形状の基板41a上に、角形のスパイラルで構成してもよい。また、図示しない丸形のスパイラルとしてもよい。二次元の平面状インダクタ36,41は、ガラス・エポキシや紙・フェノール等の絶縁物からなる基板36a,41a上にCu等の導電膜を成膜後、エッチング等で製作することで、線幅を非常に微細化して製作することができ、全体形状も図5(c)に示すように、一辺が23mm程度の方形状等に小型化することができる。そして、平面状インダクタ36,41の小形化により微小な磁場を効率よく発生させることができ、磁場を導電性膜28の内部に深く浸透させることなく、該導電性膜28が除去される終点付近の変化挙動を精度よく検出することが可能となる。
前記LC回路からの出力信号はオペアンプ等で構成された増幅器38に入力され、該増幅器38の出力は抵抗等で構成されたフィードバック・ネットワーク39に入力されている。フィードバック・ネットワーク39の出力信号が、平面状インダクタ36にポジティブ・フィードバックされることにより、該平面状インダクタ36を含めて発振回路35が構成されている。
該発振回路35は、基本的には、図6の構成例に示すように、その発振周波数帯fが、次式(1)に示すように、平面インダクタ36のインダクタンスLと集中定数キャパシタ37のキャパシタンスC0で決まるコルピッツ型等の発振回路となっている。
前記増幅器38の出力端子には、周波数カウンタ40が接続されている。該周波数カウンタ40から後述する基準点を示す特徴的な変化の検出信号等がデジタルで外部に出力される。検出信号出力をデジタルで伝送することで、ノイズの影響及び出力の減衰が防止される。また、膜厚データの管理容易性が得られる。
前記平面状インダクタ36を含む高周波インダクタ型センサ34と該周波数カウンタ40とを含めて研磨完了時点の予測装置33が構成されている。高周波インダクタ型センサ34おける発振回路35と、その発振(共振)周波数の変化をモニタするための周波数カウンタ40とを近接して配置することで、該発振回路35と周波数カウンタ40間の配線・結線部分で分布定数回路を形成してインダクタンスやキャパシタンスが不要に大きくなるのが防止されて、高周波インダクタ型センサ34付近にもたらされる導電性膜28の研磨の進行に伴う磁束の変化を精度よく検出することが可能となる。
該研磨完了時点の予測装置33は、平面状インダクタ36を除いた他の構成部品ないしは回路がIC(集積回路)化されてパッケージ33aに内装されている。前記平面状インダクタ36は、薄い絶縁膜で被覆されてパッケージ33aの表面に固定される。パッケージ化された研磨完了時点の予測装置33が前記化学機械研磨装置1に組み込まれるとき、前記図3、図4に示したように、平面状インダクタ36がウェーハW表面部の導電性膜28と対峙するように組み込まれる。
また、発振回路35を構成している前記集中定数キャパシタ37はキャパシタンスが可変となっており、高周波インダクタ型センサ34は前記発振周波数帯の範囲内で、発振周波数を選択できるようになっている。
本実施例では研磨中の所定の導電性膜28が該所定の導電性膜28の表皮深さδに対応する膜厚になった場合の磁束変化を基に後述する特徴的な変化の検出を行っている。所定の導電性膜28における表皮深さδは、該所定の導電性膜28の材質と高周波インダクタ型センサ34の発振周波数fとに依存して式(2)のように決まる。
ω:2πf、μ:透磁率、σ:導電率である。
そして、該表皮深さδが、所定の導電性膜28の初期膜厚よりも小さく研磨終期において埋め込み部を除いた部分の所定の導電性膜28の膜厚より大になるように高周波インダクタ型センサ34の発振周波数fが選択されている。研磨除去対象の導電性膜28の材質がCuの場合において、前記発振周波数帯は、20MHz以上が選択される。
ここで、前記「表皮深さに対応する膜厚」及び「表皮効果によって生じる磁束変化」について、図7の(a)〜(d)を用いて説明する。図7はコイルから発生した磁場が導体膜上でどのような向き((a)〜(d)各図中下方の矢印→)に配列しているかを電磁シミュレーションした結果を示す図である。これは、コイルに流れる電流が最大になる場合を示している。同図(a)はセンサからの発振周波数が1MHzで導体膜の膜厚が0.2μmの場合、同図(b)はセンサからの発振周波数が1MHzで導体膜の膜厚が1μmの場合、同図(c)はセンサからの発振周波数が40MHzで導体膜の膜厚が0.2μmの場合、同図(d)はセンサからの発振周波数が40MHzで導体膜の膜厚が1μmの場合である。
電磁シミュレーションの設定は、磁場を形成するインダクタは指向性を持たない平面状インダクタとした。前記「表皮深さに対応する膜厚」とは、「表皮効果によって磁束変化が生じる膜厚」のことである。センサの発振周波数が1MHzではコイルの下側に存在する導体膜上の磁束は縦方向を向いている。この周波数では、膜厚が1μm及び0.2μmであっても、導体膜内を磁束が貫通している(図7(a)、(b))。こうした導体膜内を磁束が貫通する場合は、従来例に示されているように、導体膜内部に発生する渦電流は、膜厚減少に伴って減少する。よって、1MHzの場合、1μm以下の膜厚では、単調な挙動であるため、表皮効果は現れず、「表皮深さに対応する膜厚」も少なくとも1μmよりも厚い膜厚と考えられる。
これに対し、センサの発振周波数が40MHzでは、明らかに導体表面での磁束向きが水平であり、膜厚が1μmでは、殆ど導体内部に入り込んでいない(図7(d))。明らかに、先の発振周波数が1MHzで膜厚が1μmの場合(図7(b))と比較すると、導体膜に入り込む磁束の向きが異なることが分かる。
しかし、発振周波数が40MHzで導体膜が0.2μmまで薄くなると(図7(c))、一部の磁束のみが導体膜内部方向へ向いている。これは導体膜がCuでも、ある薄さになると一部の磁束が導体膜内を貫通することを示している。
この40MHzの交番変化する磁束の場合、表皮効果に対応して、導体膜内の磁束の貫通状態が変化する。貫通磁束が徐々に増加する影響で、周波数は約700Å前後まで急激に上昇する。なお、膜厚が1μm以上では磁束は殆ど貫通していない。よって、この場合、「表皮深さに対応した膜厚」は、磁束が貫通するか・しないかの境界の膜厚とすると、約1μmということができる。このことからも、発振周波数を40MHzと高くし、平面状インダクタを使用すると、1μm厚みのCu導体膜内に磁束は殆ど入り込まず、これは表皮効果によるものである。
Cu導体膜で発振周波数が40MHzの場合、Cuの導電率を58×106S/mとすると、表皮深さδは9.34μmになる。計算上は、膜厚が1μmだと磁束は導体膜内に十分入り込む計算になるが、平面状インダクタを使用しており、磁束に指向性がないことから、実際は発振周波数が40MHzの場合、膜厚が1μmでも表皮効果によって磁場は導体膜内に侵入しない。導体膜が薄くなるにつれて一部の磁束が導体膜内に入り込み、わずかに渦電流が発生する。このことより、渦電流を積極的に利用して膜厚測定するのではなく、終点付近の薄い膜厚になったときに、表皮効果により、わずかに漏洩・貫通する磁束を利用して、導体膜内に誘起される相互インダクタンスの変曲点(極大点)を利用して該導体膜の終点付近の膜厚状態をモニタすることが可能となる。
この相互インダクタンスは、一次側コイル(センサ回路系の平面状インダクタで構成されるコイル)のインピーダンス成分にも対応する。コイル回路系(センサ回路系)のインピーダンス変化を求めるにあたり、導体膜に誘起される渦電流の変化とコイル側インピーダンス変化の関係を求める。図8に示すように等価回路を形成し、それぞれの構成要素を設定した場合、回路方程式は次のように表される。
ここで、i1、i2は、それぞれ一次側と二次側に流れる電流であり、一次側には、vの電圧がコイルに印加されているとする。一定の角振動数ωをもつ交流の場合、それぞれ
と表され、前記(3)、(4)式は次のように表される。
この式を解くと次式になる。
コイル側から見たインピーダンスZは以下のようになる。
これより、コイル側の抵抗R1は、殆どゼロとみなされるため、インピーダンスZの実部は、導体膜に誘起される渦電流によって生じる相互インダクタンスMの二乗に比例し、対応していることが分かる。よって、ここでは、相互インダクタンスMの変化量、即ち、導電性膜に誘起される渦電流の変化を、一次側センサ回路系のインピーダンス実部の変化として示す。
図9に、平面インダクタを使用した場合のインピーダンス実部の膜厚依存性について、二次元電磁シュミュレーションによって得た結果を示す。40MHzの場合では0.1μm以下に変曲点を有し、その後急激にインピーダンスは減少する。それに対して、1MHzの場合では膜厚に依存して単調に減少していることが分かる。これより、本題にあるような変曲点は、まず扱う周波数の大小によって現われることが分かる。また、このような変曲点の出現は、先の図7に示したような表皮効果の影響によることが磁束の向きによる変化から理解できる。
しかし、周波数を40MHzとして、並びにインダクタ形状を平面インダクタにしさえすれば、表皮効果の影響によって変曲点が現われるかといっても必ずしもそうではない。その事例として、平面インダクタを導電性膜に十分に近付けた場合において、同様に二次元有限要素シュミュレーションによって確認した。ここでは、平面インダクタを先に示した距離よりも1/1000近付け、2.4μmとした。コイルの大きさも1/1000として、半径を11μmとして計算した。先と同様に、コイルの周波数を40MHzとして、導体膜をCuとし膜厚を1μmとして計算したところ、1μmの膜厚であっても、先とは違い多くの磁束が貫通している。しかし、周波数を1GHzにまで引き上げると、殆どの磁束は貫通しなくなる。先と同様に、コイル径を1/1000、コイルと導電性膜距離1/1000とした場合において、一次コイル側インピーダンス実部の変化を示すと、40MHzの周波数であっても、変曲点を持たないことが分かる。1GHzまで周波数を上げると、1μm付近に変曲点が生じる。これは、先の導体膜内に入り込む磁場の向きからも表皮効果の影響で変曲点が生じたことが分かる。
以上の実験結果から、表皮効果の影響を受けて変曲点を形成するには、ただ単に、周波数を高くして、平面インダクタを使用すればよいというわけではない。コイル(平面インダクタ)と導電性膜の距離やコイルの大きさなども適正に保つことも重要となる。また、被研磨対象膜の導電率及び透磁率など、その材料の物性に起因することは、タングステンを同様に研磨した場合の波形から、明らかになっている。
よって、表皮効果によって、導電性膜内に磁束が侵入する・しないといった挙動を利用するためには、周波数、インダクタの形状や大きさ、インダクタと導電性膜間の距離、導電性膜の導電率、透磁率を適正に選択することで達成することができる。こうした表皮効果の影響による変曲点の出現を終点検出付近に現われるように設定し、その変曲点を検出するアルゴリズムを設定して、精度よく研磨完了点を予測する方法を新たに見出だし、本発明の骨子とするものである。
先に示した従来技術と構成的に大きく異なる部分として、(イ)フェライトコアなど磁場を整形するインダクタではなく、磁場に指向性をなくし、研磨初期には表皮効果によって導電性膜内に積極的に磁場を侵入させない二次元の平面インダクタを使用したこと、(ロ)周波数を表皮効果が働く程度に高く設定したこと、(ハ)一次側インダクタの形状や大きさ及びインダクタと除去対象の導電性膜との距離について、導電性膜の導電率、透磁率を考慮して、表皮効果が働く程度に適正化したこと、(ニ)研磨対象膜の材質に基づく磁束の侵入する臨界深さを考慮して平面インダクタ、周波数、平面インダクタ−導電性膜間距離を設定したこと、が挙げられる。
従来は、そうした表皮効果の影響が現われるような状態で装置の各要素を設定し、そのような表皮効果に基づく変曲点を伴う特徴的な変化の出現を故意に形成して、それを基に研磨完了点を予測したものはない。また、そのピークの存在を巧みに利用して、そのピークの部分を基準位置として、研磨完了点を予測する方法は従来示されていない。また、従来にない顕著な効果として、渦電流の消費部分として、導電性膜で消費されているのか、それとも導電性膜で消費されず、素子に磁場が漏れ、それを導電性膜で消費されない状態になっているのかなど、変曲点を伴う特徴的な変化を得ることで、磁場の侵入に関する状況を顕著に理解することが可能であるが、従来の方法では、磁場の素子に対する侵入に関する状況が分からず、素子への磁場のエネルギによるダメージを考慮していないこと、などが大きな違いとして考えられる。本発明はそうした明らかに異なる作用効果の違いに基づいて構成されたハ−ドウェア及びその検出アルゴリズムに基づくものである。
次に、上述のように構成された研磨完了時点の予測装置が組み込まれた化学機械研磨装置の研磨作用及び研磨完了時点の予測方法を、図10、図11(a)〜(e)及び該図11の比較例としての図12(a)〜(e)を用いて説明する。図10は高周波インダクタ型センサにおける電磁結合で発生する磁場によるインダクタンスの変化作用を説明するための図、図11は導電性膜の研磨削除に伴う磁束及び渦電流の変化例及び膜厚基準点の検出作用を説明するための組図であり、(a)〜(d)は導電性膜の研磨削除に伴う磁束及び渦電流の変化例を示す図、(e)は導電性膜の膜厚変化に対する共振周波数の変化例を示す特性図である。図11(a)〜(d)では、平面状インダクタ36が、図を見やすくするため、スパイラル形に表示されている。
まず、化学機械研磨装置1における研磨ヘッド3を図示しない移動機構により所定箇所に待機中の導電性膜28が非研磨のウェーハW上に載置する。そして、該研磨ヘッド3のバキュームライン24を作動させ、バキューム口19a及び孔22(バキューム孔)を介して弾性シート11下面のエアー室29を真空にし、これにより前記導電性膜28が非研磨のウェーハWを吸着保持し、そして、前記移動機構により、該導電性膜28が非研磨のウェーハWを吸着保持した研磨ヘッド3をプラテン2上に運び、該ウェーハWを、導電性膜28が研磨パッド6に対接するようにプラテン2上に載置する。
前記バキュームライン24はウェーハW上部の導電性膜28の研磨作業が終了したとき、再び、該バキュームライン24の作動により前記ウェーハWを該研磨ヘッド3によって吸着保持し、図示しない洗浄装置へ搬送するときにも用いられる。
次いで、前記バキュームライン24の作動を解除し、図示しないポンプからエアバック25にエアーを供給して該エアバック25を膨らませる。これと同時にキャリア8に設けたエアー吹出し口19からエアー室29にエアーを供給する。これにより、エアー室29の内圧が高くなる。
前記エアバック25の膨らみによって、前記ウェーハW上部の導電性膜28とリテーナリング9が所定の圧力で研磨パッド6に押し付けられる。この状態でプラテン2を図1の矢印A方向に回転させるとともに研磨ヘッド3を図1の矢印B方向に回転させ、回転する研磨パッド6上に図示しないノズルからスラリーを供給してウェーハW上部の所定の導電性膜28を研磨する。
そして、次のように、高周波インダクタ型センサ34における平面インダクタ36で形成される磁束により研磨に伴う所定の導電性膜28の膜厚変化がモニタされて基準点となる特徴的な変化42が検出される。
平面状インダクタ36が発振回路35から発振される高周波で駆動され、該平面状インダクタ36からその高周波の周期に対応して時間的に変化する磁束φが発生する。研磨初期において所定の導電性膜28に誘起される磁束φは、前記表皮深さδの領域のみを膜面に沿ってほぼ平行に通過し、所定の導電性膜28における表皮深さδを超えた領域への磁束φの侵入は回避される(図11(a))。また、高周波インダクタ型センサ34から発振される共振周波数も所定の導電性膜28の膜厚変化に関係なく一定に保持される(図11(e)のa領域)。
研磨が進行して所定の導電性膜28が前記表皮深さδと同等もしくはその付近の膜厚になると、一部の磁束φが所定の導電性膜28を貫通して漏洩磁束φLが生じ始める。所定の導電性膜28を貫通しない磁束φは、そのまま膜面に沿ってほぼ平行に通過する。そして、所定の導電性膜28中に貫通した漏洩磁束φL数に比例して渦電流Ieが発生する(図11(b))。
さらに研磨が進行すると、漏洩磁束φLが増えて渦電流Ieが導電性膜28の膜面に沿った広い領域に発生する(図11(c))。この広い領域に発生した渦電流Ieが、図10に示すように、さらに磁場Mを作り、その磁場Mが元の平面状インダクタ36から発生した磁束φLを打ち消すように作用する。結果的に導電性膜28が形成した磁場Mによって、相互インダクタンスLmが上昇し、元の平面状インダクタ36の見かけ上のインダクタンスLが低下する。その結果、高周波インダクタ型センサ34から発振される発振周波数fは、式(13)のように増大する。
したがって、相互インダクタンスの発生により、センサ回路系のインダクタンスが等価的に減少して高周波インダクタ型センサ34から発振される共振周波数が上昇する(図11(e)のb、cの領域)。
さらに研磨の進行により漏洩磁束φLは増えて飽和する。しかし渦電流Ieは、所定の導電性膜28の膜厚体積の減少に伴い急速に減少する(図11(d))。この渦電流Ieの急速な減少により前記相互インダクタンスも急速に減少する。この相互インダクタンスの急速な減少は、前記式(13)におけるインダクタンスの減少分Lmの低下につながり、結果としてセンサ回路系のインダクタンスが等価的に増加し、高周波インダクタ型センサ34から発振される共振周波数が急速に低下する(図11(e)のd領域)。
このように、研磨の進行により所定の導電性膜28が表皮深さδと同等もしくはその付近の膜厚になった以降において、渦電流Ieが発生して増大しその後の急速な減少によりセンサ回路系のインダクタンスが一旦減少してその後増加に転じる。この挙動により高周波インダクタ型センサ34から発振される共振周波数の波形に急峻な上昇と急峻な下降を伴った変曲点(ピーク)Pを持つ特徴的な変化42が発生する。この研磨完了点手前に発生する変曲点(ピーク)Pを伴った特徴的な変化42を基に研磨完了時点が予測される。
なお、研磨完了時点の予測は、該特徴的な変化42における変曲点(ピーク)Pを用いる場合に限らず、該特徴的な変化42における上昇開始点、上昇率、上昇量もしくは上昇から下降の変化量の少なくともいずれかを用いても研磨完了時点を精度よく予測することができる。所定の導電性膜28がCuの場合、特徴的な変化42における変曲点Pが検出された時点の残膜量は、ほぼ1000Å程度であり、該残膜量に対し仕上げ研磨等が行われて研磨を完了する。
該仕上げ研磨としては、例えば前記特徴的な変化42における変曲点Pから、該変曲点Pにおける残膜量である表皮深さに対応した膜厚を所要の研磨レートで予め設定した研磨時間分研磨した後に研磨完了とする。又は、前記特徴的な変化42における変曲点Pにおける残膜量である表皮深さに対応した膜厚を前記研磨レートで除することで変曲点P検出後の所要研磨時間を算出し、変曲点Pの検出後に、前記算出された研磨時間分だけ研磨することで研磨を完了する。
次いで、図12(a)〜(e)の比較例を説明する。該比較例では、表皮深さδが、導電性膜28の初期膜厚よりも大になるような周波数が適用されている。このような周波数が適用されることで、研磨初期から研磨終期までの膜厚変化のモニタの間、導電性膜28に誘起される磁束φは全て該導電性膜28を貫通して絶えず漏洩磁束φLが発生している。したがって、膜厚変化のモニタの間、該漏洩磁束φL数に比例した渦電流Ieが発生する(図12の(a)〜(d))。このため、この渦電流Ieにより導電性膜28と前記平面状インダクタとの間に大きな相互インダクタンスが発生し、この相互インダクタンスによるインダクタンスの減少分Lmにより、センサから発振される発振周波数fは、研磨初期から前記式(13)のようになる。
そして、研磨の進行による膜厚の減少にしたがって渦電流Ieは急激に減少し(図12の(b)から(d))、これに伴って相互インダクタンスが減少して前記式(13)中のインダクタンスの減少分Lmも減少する。この結果、センサ回路系のインダクタンスが等価的に増加してセンサから発振される共振周波数が単調減少する(図12の(e))。
このように、比較例では、共振周波数は単調減少カーブを描くため、研磨初期からの膜厚減少量を見積もることは可能だが、研磨完了時点もしくは研磨完了点手前の状態を厳密に判別することはできない。例えば、微妙な設定により浮遊容量Cが変化したとき、全体的な図12(e)の共振周波数は、波形全体にわたって上下にシフトする。このため、仮にある設定の周波数になったときに研磨完了点とする設定をしていても、全体的に共振周波数がシフトすれば、閾値は設定できない。また、初期膜厚からの除去量の状態を渦電流変化でリアルタイムにモニタしたとしても、初期膜厚がばらついている場合、研磨完了点となる状態の膜厚もばらつくことになる。波形の特徴がないため、この場合も上記と同様に閾値は設定できない。
次に、上述のような膜厚変化に伴う磁束の変化による磁場のエネルギ消費を図13〜図15を用いて説明する。図13は本実施例において、磁場のエネルギ消費に対応した磁束の変化を示す図であり、それぞれ(a)は研磨初期、(b)は研磨中期、(c)は研磨終期における図。図14は図13の比較例としての図であり、それぞれ(a)は研磨初期、(b)は研磨中期、(c)は研磨終期における図。図15は磁場のエネルギ消費を説明するための図であり、(a)は本実施例の場合、(b)は比較例としての従来例の場合である。
本実施例における磁場のエネルギ消費を説明する。研磨初期においては、表皮効果によって磁束φは表面部の導電性膜28内に殆ど侵入せず、はね返される。このため、導電性膜28内で磁場のエネルギが消費される量は微量であり、磁場のエネルギは、殆どが空間に放出されて空間で消費される(図13の(a)、図15の(a)初期)。
研磨中期においては、貫通磁束が増大し初め、該増大する貫通磁束に対応して表面部の導電性膜28に形成される渦電流も増大し、磁場のエネルギの殆どが、この導電性膜28で渦電流損(ジュール熱損)となって消費される。よって、多少の磁場は素子部43へ侵入するが、大部分は導電性膜28によって消費されるため、素子部43へ及ぼされる磁場のエネルギは表面部の導電性膜28により保護されて大幅に軽減される(図13の(b)、図15の(a)中期)。
研磨終期においては、研磨の進行により膜厚が減少するにしたがって、磁場はさらに導電性膜28を貫通して渦電流が増大する。さらなる膜厚の減少により渦電流を形成する膜厚自体が減少するため渦電流は急速に減少に転じる。この渦電流の挙動により導電性膜28に誘起される磁束φに変曲点Pを伴う特徴的な変化42(図11参照)が発生する。この特徴的な変化42における渦電流が減少する過程において導電性膜28に誘起される磁束φを軽減するないしはオフにする。これにより、膜厚減少に伴う素子部43への磁場の侵入が防止される(図13の(c)、図15の(a)終期)。
上記の変曲点Pを伴う特徴的な変化42を検知することによって、研磨完了時点を正確に予測することができる。そして、この変曲点Pを伴う特徴的な変化42が検知された時点から、磁場を導電性膜28内に入れる必要はない。研磨完了直前の変曲点Pを伴う特徴的な変化42を正確にモニタした時点で、殆ど研磨完了時点が時間で正確に見積もることが可能となるからである。よって、この特徴的な変化42が検知された時点で導電性膜28に誘起される磁束φを軽減するないしはオフにすることによって渦電流の形成を抑える、もしくは素子部43における素子や微細な配線等にダージを与えずに研磨完了時点を予測することが可能となる。
例えば、研磨レートが5000Å/min前後であり、初期膜厚が7000Åで、その7000Å程度を研磨除去する必要がある場合、基準研磨レートが5000Å/minと仮定して、研磨処理時間は1.4min必要となる。その中で、基準点となる特徴的な変化42における変曲点P(残り710Å時点)を75.5sec後に経過したとすれば、殆ど5000Å/minで研磨されていることになり、問題ない。よって、残り710Åを8.5secで研磨すればよいことになり、トータルで84secかけて研磨を終了させる。しかし、例えば、研磨開始後、68.6secで基準点となる前記変曲点P(残り710Å時点)に到達したとすると、
研磨レートは約(7000−710)/(68.6/60)
で約5500Å/minの研磨レートで研磨されていることが分かる。よって、残りの710Åについても研磨レートが5500Å/minで進行すると考えて、710(Å)/5500(Å/min)により、7.7secで研磨すればよいことになる。
上記本実施例に対する比較例における磁場のエネルギ消費を説明する。研磨初期においては、磁場に指向性があるため、殆どの磁束φが表面部の導電性膜を貫通して、磁場のエネルギは、その殆どが導電性膜内で消費される(図14の(a)、図15の(b)初期)。
研磨中期においては、表面部の導電性膜の膜厚が減少し、その膜厚が減少する間、減少した膜厚量に対応して、形成される渦電流が減少する。その渦電流量が減少する分、導電性膜内で発生するジュール熱も減少するが、その時期の磁場のエネルギは、そのまま導電性膜の下に存在する素子部43に向けられることになる。即ち、導電性膜で渦電流損(ジュール熱損)として消費されなかった磁場のエネルギ分が、そのまま素子部43に向けられて、素子部43内の導体膜が存在する部分で消費されるようになる(図14の(b)、図15の(b)中期)。
研磨終期においては、膜厚の減少により、殆どの磁場が素子部43内に侵入し、さらに、その磁場の一部は素子部43を貫通する。このため、磁場のエネルギは、空間で消費される分も一部あるが、その殆どは素子部43内で消費される(図14の(c)、図15の(b)終期)。
図16の(a)〜(d)は、研磨対象となる導電性膜が材質及び導電率の点で異なっている2種のウェーハWa、Wbについて、基準点となる変曲点(ピーク)Pを伴った特徴的な変化42を評価した結果を示している。同図(a)はCu膜付きウェーハWa、(b)はCu膜の膜厚に対する共振周波数の変化特性、(c)はタングステン(W)膜付きウェーハWb、(d)はタングステン(W)膜の膜厚に対する共振周波数の変化特性をそれぞれ示す図である。図16の(b)、(d)における各縦軸のセンサ出力は共振周波数に対応する。
Cu膜及びタングステン(W)膜のいずれも研磨の進行とともに一旦は共振周波数は増大し、その後、急激に減少して変曲点(ピーク)Pを伴った特徴的な変化42が発生する。この挙動は、図16(d)に示すタングステン(W)膜の場合に比べて、明らかに図16(b)に示す導電率の大きいCu膜の方が顕著である。
図17の(a)、(b)は、研磨対象の導電性膜がCu膜の場合について膜厚と共振周波数との関係を示す図であり、(a)は研磨の進行に伴う膜厚と共振周波数との関係を示す図、(b)は静止状態における膜厚と共振周波数との関係を示す図である。図17の(a)、(b)における各縦軸のカウント値は共振周波数に対応する。
図17(a)において、Cu膜の初期膜厚は、ほぼ1.5μm(15000Å)である。Cu膜は、研磨の進行に伴って共振周波数は膜厚が約1μm(10000Å)付近から徐々に上昇し、700Å付近で最大値をとって変曲点(ピーク)Pを伴った特徴的な変化42が検出される。共振周波数は最大値を取った後、急激に低下する。このように、Cu膜は、特徴的な変化42における変曲点(ピーク)Pが検出されたときの残り膜厚が精度よく検知される。
図17(b)において、静止状態のCu膜の各膜厚に対して測定した共振周波数は、膜厚が710Åで最大値を示している。したがって、静止状態で共振周波数が最大になるCu膜の膜厚と、上記の研磨の進行中において共振周波数が最大となるCu膜の膜厚とは、ほぼ一致している。
なお、本実施例は、前記共振周波数の他に相互インダクタンス、渦電流Ie、漏洩磁束φLの変化、前記相互インダクタンスによる高周波インダクタ型センサ34におけるセンサ回路系のインダクタンス変化もしくはインピーダンス変化のうちの少なくともいずれかの変化を基に膜厚基準点Pを検出することができる。相互インダクタンスの変化は前記式(3)を利用して高周波インダクタ型センサ34の発振周波数の変化から求めることができ、渦電流Ieは前記相互インダクタンスと比例関係にあることから該渦電流Ieの変化は前記相互インダクタンスの変化を用いて求めることができ、また漏洩磁束φLは渦電流Ieと比例関係にあることから該漏洩磁束φLの変化は前記渦電流Ieの変化を用いて求めることができる。
上述したように、本実施例に係る研磨完了時点の予測方法とその装置においては、研磨完了前の変曲点Pを伴う特徴的な変化42から研磨完了時点を正確に予測し検知することができる。
変曲点Pを伴う特徴的な変化42の検出後、所定の導電性膜28に誘起される磁束を軽減するないしはオフにすることで、導電性膜下方のデバイスウェーハ上の素子や微細な配線等に対し強い磁束が及ぶのを防止することができる。
研磨の進行により所定の導電性膜28が表皮深さδと同等もしくはその付近の膜厚になった以降における渦電流Ie、相互インダクタンス、センサ回路系のインダクタンスもしくはインピーダンス、又はインダクタ型センサ34が発振する共振周波数の少なくともいずれかの変化を用いることで、研磨完了点手前での磁束の特徴的な変化42の発生を容易明確に検出することができる。
平面状インダクタ36に与える周波数、インダクタ形状、もしくは平面状インダクタ36と所定の導電性膜28間の距離の少なくともいずれかを適正化したことで、該導電性膜28に対する磁場の指向性を適正に設定することができる。したがって所定の導電性膜28の除去開始から除去終了までの間に表皮効果により渦電流の増大と減少の過程を生起させて研磨完了時点の直前に磁束の特徴的な変化42を生じさせることができる。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。