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JP5224902B2 - 総型回転切削工具および溝切削加工装置並びに溝切削加工方法 - Google Patents
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総型回転切削工具および溝切削加工装置並びに溝切削加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、総型回転切削工具およびそれを用いた溝切削加工装置、並びに溝切削加工方法に関するものである。
タービンの羽根車をタービン軸に取り付けるための構造として、タービン軸の外周部に形成された多数の断面クリスマスツリー状のツリー溝(メス溝)に、オス溝が形成されたタービン羽根車の羽根を1枚ずつ嵌合するようにしたものがある。
タービン軸の外周部に形成されたツリー溝(メス溝)は、例えば特許文献1に開示されているように、溝中心に対して左右対称で且つ逆クリスマスツリーのように、溝深さ方向において、溝幅が増減しながら徐々に小さくなるように形成されている。ここで溝深さ方向は、タービン軸の径方向で、溝幅方向は、溝深さ方向にほぼ垂直な方向である。
従来のツリー溝の加工に用いる回転切削工具は、例えば、シャンク部および刃部を一体に備えた総型回転切削工具などが用いられている。この刃部は、例えば円錐形状で、複数のくびれ部が形成されている。すなわち、この刃部は、張り出した部位とくびれた部位を有するクリスマスツリーのような形状をなしている。その刃部には、切れ刃が形成されている。この切れ刃には、ストレート刃、切削性能に優れる右捩れ刃、および左捩れ刃などがあり、これらの切れ刃が通常2〜4枚程度設けられている。
このような総型回転工具としては、例えば特許文献1に開示されているように、切れ刃のすくい角を改善した例が知られている。特許文献2には、ねじれ角について検討したものが開示されており、特許文献3には、逃げ角について検討されている例が開示されている。また、特許文献4に開示されているように、切れ刃稜について検討した例も知られている。
特開2001−071210号公報 特開2007−175830号公報 特開平11−245112号公報 特開2001−212711号公報
上記の従来の総型回転工具を用いて上記のメス溝を切削するときに、このメス溝の溝深さ方向において増減する溝幅を同じ工具回転数で切削する。溝幅が広い部位は上記の張り出し部位で切削し、溝幅が小さい部位はくびれ部位で切削する。この場合、上記の総型切削回転工具は、切れ刃が軸心に対して垂直に張り出した部位とくびれている部位との刃先径の差が大きいため、切削速度の差が大きくなる。すなわち、メス溝の溝幅の小さい部位の切削は、溝幅が広い部位の切削するときよりも、切削速度が小さくなる。
例えば溝幅が最小となる部位を切削する切れ刃において切削速度が最適となるように工具回転数を設定すると、溝幅が最大となる部位を切削する切れ刃では切削速度が大きくなる。場合によっては、溝幅が最大となる部位では、工具材種の適用可能な切削速度の範囲を超えることもある。
逆に、溝幅が最大となる部位を切削する切れ刃において最適な切削速度となるように工具回転数を設定すると、溝幅が最小の部位では、切削速度が小さくなる。この場合には、工具材種の適用可能な切削速度の範囲より小さくなる可能性がある。
また、最小溝幅と最大溝幅のほぼ中間の幅が、最適な切削速度となる工具回転数で切削を行った場合、最小溝幅および最大溝幅の差が大きすぎると、最小溝幅および最大溝幅それぞれが当該適用可能な範囲を超えてしまう場合がある。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、総型回転切削工具の刃先径に応じて、最適な切削速度で切削加工を行うことを可能にすることにある。
上記目的を達成するための本発明に係る総型回転切削工具は、シャンク部および刃部が軸心に沿って連結された総型回転切削工具において、前記刃部には、前記軸心のまわりを回転するように切れ刃が形成されて、前記切れ刃は、前記軸心に垂直な刃先径方向に張り出すように形成され、軸心方向に配列された複数の凸状切れ刃部と、互いに軸心方向に隣接する前記凸状切れ刃部の間に形成されて、これらの前記凸状切れ刃部よりも刃先径が小さくなるように形成された凹状切れ刃部と、を有し、前記複数の凸状切れ刃部それぞれの最大刃先径は前記刃部の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなり、且つ前記複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径は前記刃部の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなるように形成されて、前記複数の凸状切れ刃部のうちで最大刃先径が最大のものを構成する材料の耐摩耗性は、前記複数の凹状切れ刃部のうちで最大刃先径が最小のものを構成する材料の耐摩耗性よりも高く、前記複数の凸状切れ刃部および複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径を相互に比較したとき、前記最大刃先径が大きいものが小さいものに比べて耐摩耗性が低くないこと、を特徴とする。
また、本発明に係る溝切削加工装置は、タービン軸の外周にタービン羽根の翼脚をメス溝とオス溝との組み合わせによって嵌め込むための断面クリスマスツリー状の溝を形成する溝切削加工装置であって、前記メス溝の断面形状は、溝開口部から溝底部に向かう中心線に対して対称形状であり、両側に広がる複数の幅広部と、互いに隣接する前記幅広部の間に1つずつ配置されたくびれ部とを有し、前記幅広部およびくびれ部はそれぞれ、溝開口部に近いほど溝幅方向の幅が大きくなるように形成されるものであり、当該溝切削加工装置は、シャンク部および刃部が軸心に沿って連結された総型回転切削工具を有し、前記刃部には、前記軸心のまわりを回転するように切れ刃が形成されて、前記切れ刃は、前記軸心に垂直な刃先径方向に張り出すように形成され、軸心方向に配列された複数の凸状切れ刃部と、互いに軸心方向に隣接する前記凸状切れ刃部の間に形成されてこれらの前記凸状切れ刃部よりも刃先径が小さくなるように形成された凹状切れ刃部と、を有し、前記複数の凸状切れ刃部それぞれの最大刃先径は前記刃部の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなり、且つ前記複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径は前記刃部の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなるように形成されて、前記複数の凸状切れ刃部のうちで最大刃先径が最大のものを構成する材料の耐摩耗性は、前記複数の凹状切れ刃部のうちで最大刃先径が最小のものを構成する材料の耐摩耗性よりも高く、前記複数の凸状切れ刃部および複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径を相互に比較したとき、前記最大刃先径が大きいものが小さいものに比べて耐摩耗性が低くないこと、を特徴とする。
また、本発明に係る溝切削加工方法は、タービン軸の外周にタービン羽根の翼脚をメス溝とオス溝との組み合わせによって嵌め込むための断面クリスマスツリー状の溝を、総型回転切削工具により形成する溝切削加工方法であって、前記メス溝の断面形状は、溝開口部から溝底部に向かう中心線に対して対称形状であり、両側に広がる複数の幅広部と、互いに隣接する前記幅広部の間に1つずつ配置されたくびれ部とを有し、前記幅広部およびくびれ部はそれぞれ、溝開口部に近いほど溝幅方向の幅が大きくなるように形成されるものであり、当該溝切削加工方法は、前記中心線の方向に交互に配列された複数の凸状切れ刃部および複数の凹状切れ刃部を有する切れ刃を前記中心線に平行な軸心の周りに回転させながら該軸心に垂直な方向へ徐々に移動させることによって切削するものであり、前記凸状切れ刃部によって前記幅広部を切削する幅広部加工工程と、前記凹状切れ刃部によって前記くびれ部を切削するくびれ部加工工程と、を一つの工具で同時に並行して行い、前記複数の凸状切れ刃部のうちで最大刃先径が最大のものを構成する材料の耐摩耗性は、前記複数の凹状切れ刃部のうちで最大刃先径が最小のものを構成する材料の耐摩耗性よりも高く、前記複数の凸状切れ刃部および複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径を相互に比較したとき、前記最大刃先径が大きいものが小さいものに比べて耐摩耗性が低くないこと、を特徴とする。
本発明によれば、総型回転切削工具の刃先径に応じて、最適な切削速度で切削加工を行うことが可能である。
以下、本発明に係る総型回転切削工具の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明に係る総型回転切削工具の第1の実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。先ず、図1を用いて、本実施形態の総型回転切削工具の構成について説明する。図1は、本実施形態の溝切削加工装置に用いる総型回転切削工具の概略正面図である。この総型回転切削工具は、軸心10に沿ってシャンク部1および刃部2を有する。これらは軸心10に沿って連結され一体となっている。なお、図1において、刃部2は、切れ刃と切りくず排出溝3のみを図示し、それ以外は、輪郭のみを示している。
シャンク部1は、フライス盤やマシニングセンタ等の切削加工機(図示せず)の主軸に装着可能に形成されている。また、マシニングセンタのツールマガジン等にも収納することが可能である。
刃部2は、焼入鋼等により形成されている。この刃部2に、超硬合金やハイス等により形成された切れ刃が、ろう付けされている。この切れ刃は、軸心10を中心に回転しながら、切削対象物を切削する。さらに、軸心10に沿って、例えば切れ刃に隣接するように切りくず排出溝3が形成されている。切削したときに生成される切りくずは、この切りくず排出溝3から排出される。この切りくず排出溝3によって、切れ刃の切削点に切りくずが絡まないように、外部に効率よく排出することが可能となる。
切れ刃は、刃先径方向に張り出すように4つの凸状切れ刃部7、すなわち、第1凸状切れ刃部7a、第2凸状切れ刃部7b、第3凸状切れ刃部7c、および第4凸状切れ刃部7dが形成されている。ここで、刃先径方向とは、軸心10に垂直な方向を意味する。
刃部2の先端、すなわち、第4凸状切れ刃部7dよりも先端側には、先端切れ刃部8が形成されている。この先端切れ刃部8の輪郭は、先端が略円弧状をなし、第4凸状切れ刃部7dと滑らかに連結してもよい。
さらに、第1凸状切れ刃部7aおよび第2凸状切れ刃部7bの間には、これらの切れ刃部7a、7bよりも刃先径が小さい第1凹状切れ刃部9aが形成されている。この第1凹状切れ刃部9aは、第1凸状切れ刃部7aおよび第2凸状切れ刃部7bと滑らかに連結してもよい。第2凸状切れ刃部7bおよび第3凸状切れ刃部7cの間には、これらの切れ刃部7b、7cよりも刃先径が小さい第2凹状切れ刃部9bが形成されている。第3凸状切れ刃部7cおよび第4凸状切れ刃部7dの間には、同様に、第3凹状切れ刃部9cが形成されている。
第1〜第4凸状切れ刃部7a、7b、7c、7d、先端切れ刃部8、および第1〜第3凹状切れ刃部9a、9b、9cそれぞれの稜線が滑らかに連結されている場合には、これらの切れ刃部は1枚の切れ刃を形成する。この切れ刃には、切れ刃稜線の輪郭が軸心10に沿った一平面に形成されるストレート刃や、稜線の輪郭が軸心10の周りに捩じられるように形成された右捩れ刃および左捩れ刃などがある。なお、図1では、1枚の切れ刃を示しているが、軸心10周りに、2〜4枚の切れ刃を形成してもよい。
第1〜第4凸状切れ刃部7a、7b、7c、7dそれぞれの刃先径は、刃部2の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなり、且つ第1〜第3凹状切れ刃部9a、9b、9cそれぞれの刃先径は、刃部2の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなるように形成されている。すなわち、凸状切れ刃部7は、第1凸状切れ刃部7a、第2凸状切れ刃部7b、第3凸状切れ刃部7c、第4凸状切れ刃部7dの順に刃先径が小さくなる。同様に、凹状状切れ刃部9は、第1凹状切れ刃部9a、第2凹状切れ刃部9b、第3凹状切れ刃部9cの順に、刃先径が小さくなる。すなわち、この刃部2は全体でクリスマスツリーのような形状をなしている。
このときの刃先径は、第1〜第4凸状切れ刃部7a、7b、7c、7d、および第1〜第3凹状切れ刃部9a、9b、9cそれぞれにおいて、例えば軸心10から刃先までの距離が最も大きくなる最大刃先径を用いている。
本実施形態の各切れ刃部の最大刃先径は、第1凸状切れ刃部7a、第2凸状切れ刃部7b、第1凹状切れ刃部9a、第3凸状切れ刃部7c、第2凹状切れ刃部9b、第4凸状切れ刃部7d、第3凹状切れ刃部9cの順に小さくなっている。
第1〜第4凸状切れ刃部7a、7b、7c、7dおよび第1〜第3凹状切れ刃部9a、9b、9cは、耐摩耗性が異なる少なくとも2種類の工具材種により構成されている。以下に、刃先径に応じて切れ刃の工具材種を選定する手順を図2に示す例を用いて説明する。
図2は、切削速度と工具寿命時間との関係を示すグラフであって、4種類の工具材種(A、B、C、およびD)について例示している。このときの工具材種とは、単に切れ刃の母材の材種、例えばハイス、超硬合金、および焼結ダイヤモンド等に限らず、切れ刃の表面を覆う例えば、DLC(diamond like carbon)等のコーティング材なども含まれる。
図2に示す切削速度の範囲Sは、工具材種Dにおける切削可能な切削速度の範囲を示している。工具材種Dを用いて、この範囲Sの外の切削速度に設定して切削加工を行った場合には、チッピングや急激な工具磨耗が発生し、切削不可能となる。
工具材種Aの最適な切削速度は、速度V1であって、この速度V1で切削したときの工具寿命時間は、時間Tと定義されている。ここで、工具寿命時間とは、例えば工具を交換する必要があると判断される時間を意味している。同様に、工具材種B、C、およびDの最適な切削速度はそれぞれ、速度V2、V3、およびV4と定義されている。この例では、工具材種A、B、C、Dの順に、最適な切削速度は小さくなる。すなわち、これらの工具材種の耐摩耗性は、A、B、C、Dの順に低くなる。
また、この例では、工具材種A、B、C、およびDそれぞれにおいて、各工具材種それぞれの最適な切削速度V1、V2、V3およびV4で切削加工したときの各工具材種の工具寿命時間は、全てほぼ同じ時間(時間T)となっている。
例えば、図1に示す総型回転切削工具では、刃先径が最大となる第1凸状切れ刃部7aで、切削速度が最大となる。この第1凸状切れ刃部7aには、例えば最適な切削速度が大きい工具材種Aを用いる。このとき、工具材種Aにおける最適な切削速度(速度V1)に合わせて工具の回転数を算出する。この回転数を、回転数R1とする。
続いて、工具回転数を上記の回転数R1と設定して、第2凸状切れ刃部7bにおける切削速度を算出する。このとき、算出された切削速度が、最適な切削速度となるような工具材種を選択する。第2凸状切れ刃部7bでは、同一回転数、例えば回転数R1の下では、第1凸状切れ刃部7aよりも切削速度は小さくなる。したがって、第1凸状切れ刃部7aの最適切削速度V1よりも小さい切削速度が、最適切削速度となるような工具材種、例えば工具材種Bを選定するとよい。
同様に、第3凸状切れ刃部7cには例えば工具材種Cを選定し、第4凸状切れ刃部7dには工具材種Dを選定するとよい。このとき、第1凹状切れ刃部9aの刃先径は第3凸状切れ刃部7cとほぼ同じなので、第1凹状切れ刃部9aには工具材種Cを選定するとよい。
また、第2凹状切れ刃部9bの刃先径は、第3凸状切れ刃部7cよりも小さく第4凸状切れ刃部7dよりも大きい。この場合、工具材種Cまたは工具材種Dを選定するとよい。
第3凹状切れ刃部9cは、第4凸状切れ刃部7cとの刃先径の差が小さいものと捉えて、工具材種Dを選定してもよい。または、工具材種Dよりも耐摩耗性の低い工具材種を選定してもよい。
以上の説明からわかるように、第1〜第4凸状切れ刃部7a、7b、7c、7d、および第1〜第3凹状切れ刃部9a、9b、9cそれぞれの最大刃先径を相互に比較したとき、最大刃先径が大きいものは、小さいものに比べて耐摩耗性が低くならないように、工具材種が選定される。これにより、最適な切削速度で切削加工を行うことが可能である。
続いて、上記の総型回転切削工具を用いて、溝を切削する加工例を以下に説明する。
本実施形態の総型回転切削工具は、例えば、タービン軸の外周にタービン羽根の翼脚をメス溝30とオス溝(図示せず)との組み合わせによって嵌め込むための断面クリスマスツリー状の溝の加工に用いることが可能である。図1に示す総型回転切削工具は、タービン軸の外周に形成されたメス溝30の加工に用いられる。
先ず、本実施形態で加工するメス溝30の形状について説明する。
図3は、タービン軸の外周に形成されたメス溝30の例を示す断面図である。メス溝30の断面形状は、溝開口部23から溝底部24に向かう中心線25に対して対称形状であり、両側に広がる4つの幅広部21、すなわち、第1幅広部21a、第2幅広部21b、第3幅広部21c、および第4幅広部21dを有している。
また、互いに隣接する幅広部21の間に1つずつ形成されたくびれ部22を有する。例えば、第1幅広部21aおよび第2幅広部21bの間には、第1くびれ部22aが形成されている。同様に、第2幅広部21bおよび第3幅広部21cの間には第2くびれ部22bが形成されて、第3幅広部21cおよび第4幅広部21dの間には第3くびれ部22cが形成されている。なお、これらの幅広部21およびくびれ部22はそれぞれ、溝開口部23から溝底部24に向かうにしたがって、溝幅方向の幅が小さくなる。
このメス溝30を、図1の総型回転切削工具を用いて加工する。
総型回転切削工具を軸心10を中心にして回転させながら、軸心10を中心線25に平行になるように配置して、中心線25に対して垂直な方向に総型回転切削工具を移動させながら切削する。
第1幅広部21aは、第1凸状切れ刃部7aにより切削される。同様に、第2幅広部21bおよび第3幅広部21cは、それぞれ第2凸状切れ刃部7bおよび第3凸状切れ刃部7cにより切削される。第4幅広部21dおよび溝底部24は、それぞれ第4凸状切れ刃部7dおよび先端切れ刃部8によって切削される。
また、第1くびれ部22aは、第1凹状切れ刃部9aにより切削される。同様に、第2くびれ部22bおよび第3くびれ部22cは、それぞれ第2凹状切れ刃部9bおよび第3凹状切れ刃部9cにより切削される。
上記の説明の通り、刃部2は、メス溝30の各溝幅に応じて最適な切削速度で切削できるように、刃先径に応じて異なる工具材種を用いている。例えば、切削速度が大きくなる第1幅広部21aと、これよりも切削速度が小さい第3くびれ部22cとを、それぞれ最適な切削速度で、並行して切削することが可能となる。
また、切れ刃の各部において工具寿命時間がほぼ同じになるように工具材種が選定されているため、切れ刃が寿命を迎えるタイミングは、当該切れ刃各部において、ほぼ同じになる。例えば、第1幅広部21aを切削する第1凸状切れ刃部7aと、第3くびれ部22cを切削する第3凹状切れ刃部9cとは、それぞれ異なる切削速度で切削しても、ほぼ同じ時期に工具寿命時間、すなわち交換タイミングを迎える。
すなわち、工具寿命時間を迎えて交換が必要な切れ刃で切削し続けることを抑制するために、まだ切削可能な切れ刃部を交換する必要がなくなる。よって切れ刃交換に係るコストを低減することが可能となる。
なお、本実施形態では、メス溝30の幅広部21およびくびれ部22等の各溝部を切削する凸状および凹状切れ刃部7、9の各刃先径は、各溝部の溝幅よりも小さくなるように形成されている。この場合には、例えば、図3に示す中心線25に対して、一方の溝形状を切削した後に、もう一方の溝形状を切削することで、メス溝30が形成される。
以上の説明からわかるように、工具材種と切削速度とのミスマッチによる切削工具の短寿命や工具欠損などを抑制することができ、且つ加工能率を向上させることが可能となる。
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る総型回転工具の第2の実施形態について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態の溝切削加工装置に用いる総型回転切削工具の概略正面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態では、図1の総型回転切削工具の第1凸状切れ刃部7a、第2凸状切れ刃部7b、第3切れ凸状刃部7c、および第4切れ凸状刃部7dそれぞれに相当する切れ刃を、選択的に着脱することが可能である。これらの着脱可能な切れ刃部材を、それぞれ第1着脱切れ刃部材11a、第2着脱切れ刃部材11b、第3着脱切れ刃部材11c、および第4着脱切れ刃部材11dと定義する。なお、本実施形態では、図1の総型回転切削工具における先端切れ刃部8に相当する切れ刃は、第4着脱切れ刃部材11dに含まれている。
刃部2の母材において、第1着脱切れ刃部材11a、第2着脱切れ刃部材11b、第3着脱切れ刃部材11c、および第4着脱切れ刃部材11dそれぞれが配置される部位に、例えば1つずつ第1ねじ穴13a、第2ねじ穴13b、第3ねじ穴13c、および第4ねじ穴13dが形成されている。これらのねじ穴13a、13b、13c、13dは、工具回転方向、すなわち、周方向に向かって形成されている。
これらのねじ穴13a、13b、13c、13dそれぞれに、例えばボルト19等によって第1着脱切れ刃部材11a、第2着脱切れ刃部材11b、第3着脱切れ刃部材11c、および第4着脱切れ刃部材11dが取り付けられている。これらの第1〜第4着脱切れ刃部材11a、11b、11c、11dは、異なる工具材種で形成されている。よって、第1の実施形態と同様に、第1〜第4着脱切れ刃部材11a、11b、11c、11dそれぞれが、最適な切削速度で切削することが可能である。
また、これらの着脱切れ刃部材11a、11b、11c、11dは、隣接する第1〜第3凹状切れ刃部9a、9b、9cと滑らかに連結してもよい。例えば、第1着脱切れ刃部材11aと刃部2の母材との間には、シムなどの調整部材(図示せず)により、段差が生じないように調整してもよい。
第1の実施形態では、メス溝30の加工を行っているときに、想定外のトラブルなどが発生して総型回転切削工具の刃部2の一部が欠損した場合、総型回転切削工具そのものを交換する必要がある。
これに対して、切削加工時に磨耗や欠損が生じやすい切れ刃部、例えば切削速度が比較的大きい凸状切れ刃部7に、着脱可能な切れ刃部材11a、11b、11c、11dを用いることによって、容易に切れ刃を交換することができる。したがって、総型回転切削工具そのものを交換するよりも、低コスト化が図れる。また、刃部2の母材を例えば半永久的に使用することが可能となり、工具材のコストを低減することができる。
また、メス溝30の最小溝幅と最大溝幅の差によって生じる切削速度の差を、工具材種のみで補おうとすることが、必ずしも最良でない場合も考えられる。例えば第1着脱切れ刃部材11aについて最適な工具材種を選択できたとしても、仮に、この最適な工具材種が高額であった場合には、加工能率は向上できても、コストが大幅に高くなることも考えられる。
これに対して、本実施形態のように、切れ刃部が着脱可能な切れ刃部材11a、11b、11c、11dにより形成されることによって、加工能率と工具材種のコストとのバランスを工程設計の段階で検討しておくことが可能となる。
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る総型回転工具の第3の実施形態について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態の溝切削加工装置に用いる総型回転切削工具の概略正面図である。なお、本実施形態は、第1および第2の実施形態の変形例であって、これらの実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態では、第4凸状切れ刃部7dおよび先端切れ刃部8を、選択的に着脱することが可能である。この着脱可能な切れ刃部材を、着脱先端切れ刃部材12と定義する。なお、本実施形態では、第4凸状切れ刃部7dは、着脱先端切れ刃部材12に含まれている。
着脱先端切れ刃部材12が配置される刃部2の母材先端部に、例えば1つの先端切れ刃用ねじ穴14が軸心10の方向に形成されている。この先端切れ刃用ねじ穴14に、図示は省略するがボルト等によって、着脱先端切れ刃部材12が取り付けられている。この着脱先端切れ刃部材12は、第2の実施形態と同様に、隣接する第3凹状切れ刃部9cと滑らかに連結してもよい。
本実施形態によれば、切削速度が工具材種の切削可能な範囲よりも小さくなる先端切れ刃部に、着脱先端切れ刃部材12を用いることによって、容易に交換することが可能となる。また、刃部2の母材を半永久的に使用することが可能となり、工具材のコストを低減することができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
第1の実施形態では、4種類の工具材種を用いた例について説明しているが、これに限らない。例えば、第1〜第4凸状切れ刃部7a、7b、7c、7dおよび第1〜第3凹状切れ刃部9a、9b、9cそれぞれについて、耐摩耗性が異なる7種類の工具材種を用いてもよい。この場合、刃先径が大きなものほど耐摩耗性が高い工具材種を用いればよい。
また、耐摩耗性が異なる2種類のみの工具材種を用いてもよい。この場合、第1凸状切れ刃部7aには、耐摩耗性が高い方の工具材種を用いて、その他の切れ刃部には、耐摩耗性が低い方を用いるとよい。
第2の実施形態では、着脱可能な切れ刃部を、凸状切れ刃部7としているが、これに限らない。凹状切れ刃部9も、着脱可能に形成してもよい。
また、上記の実施形態では、メス溝30の各溝部を切削する凸状および凹状切れ刃部7、9の刃先径は、各溝部の溝幅よりも小さい例について、説明されている。
これに対して、例えば、各溝部の溝幅と、これらの溝部を切削する凸状および凹状切れ刃部7、9の各刃先径が、ほぼ同じになるように形成された総型回転切削工具を用いてもよい。この場合、図3に示す中心線25の両側の溝を並行して切削することが可能となる。
本発明に係る第1の実施形態の溝切削加工装置に用いる総型回転切削工具の概略正面図である。 図1の実施形態で用いる工具材種における切削速度と工具寿命の関係を示すグラフである。 図1の実施形態で切削加工するメス溝の断面形状である。 本発明に係る第2の実施形態の溝切削加工装置に用いる総型回転切削工具の概略正面図である。 本発明に係る第3の実施形態の溝切削加工装置に用いる総型回転切削工具の概略正面図である。
符号の説明
1…シャンク部、2…刃部、3…切りくず排出溝、7…凸状切れ刃部、7a…第1凸状切れ刃部、7b…第2凸状切れ刃部、7c…第3凸状切れ刃部、7d…第4凸状切れ刃部、8…先端切れ刃部、9…凹状切れ刃部、9a…第1凹状切れ刃部、9b…第2凹状切れ刃部、9c…第3凹状切れ刃部、10…軸心、11a…第1着脱切れ刃部材、11b…第2着脱切れ刃部材、11c…第3着脱切れ刃部材、11d…第4着脱切れ刃部材、12…着脱先端切れ刃部材、13a…第1ねじ穴、13b…第2ねじ穴、13c…第3ねじ穴、13d…第4ねじ穴、14…先端切れ刃用ねじ穴、19…ボルト、21…幅広部、21a…第1幅広部、21b…第2幅広部、21c…第3幅広部、21d…第4幅広部、22…くびれ部、22a…第1くびれ部、22b…第2くびれ部、22c…第3くびれ部、23…溝開口部、24…溝底部、25…中心線、30…メス溝

Claims (5)

  1. シャンク部および刃部が軸心に沿って連結された総型回転切削工具において、
    前記刃部には、前記軸心のまわりを回転するように切れ刃が形成されて、
    前記切れ刃は、
    前記軸心に垂直な刃先径方向に張り出すように形成され、軸心方向に配列された複数の凸状切れ刃部と、
    互いに軸心方向に隣接する前記凸状切れ刃部の間に形成されて、これらの前記凸状切れ刃部よりも刃先径が小さくなるように形成された凹状切れ刃部と、
    を有し、
    前記複数の凸状切れ刃部それぞれの最大刃先径は前記刃部の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなり、且つ前記複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径は前記刃部の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなるように形成されて、
    前記複数の凸状切れ刃部のうちで最大刃先径が最大のものを構成する材料の耐摩耗性は、前記複数の凹状切れ刃部のうちで最大刃先径が最小のものを構成する材料の耐摩耗性よりも高く、
    前記複数の凸状切れ刃部および複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径を相互に比較したとき、前記最大刃先径が大きいものが小さいものに比べて耐摩耗性が低くないこと、
    を特徴とする総型回転切削工具。
  2. 前記凸状切れ刃部および凹状切れ刃部それぞれは、選択的に着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の総型回転切削工具。
  3. 前記刃部の先端部に形成される先端切れ刃部は、軸心方向に形成された締結部材によって軸心方向に締め付けられて固定されて、選択的に着脱可能に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の総型回転切削工具。
  4. タービン軸の外周にタービン羽根の翼脚をメス溝とオス溝との組み合わせによって嵌め込むための断面クリスマスツリー状の溝を形成する溝切削加工装置であって、
    前記メス溝の断面形状は、溝開口部から溝底部に向かう中心線に対して対称形状であり、両側に広がる複数の幅広部と、互いに隣接する前記幅広部の間に1つずつ配置されたくびれ部とを有し、前記幅広部およびくびれ部はそれぞれ、溝開口部に近いほど溝幅方向の幅が大きくなるように形成されるものであり、
    当該溝切削加工装置は、シャンク部および刃部が軸心に沿って連結された総型回転切削工具を有し、
    前記刃部には、前記軸心のまわりを回転するように切れ刃が形成されて、
    前記切れ刃は、前記軸心に垂直な刃先径方向に張り出すように形成され、軸心方向に配列された複数の凸状切れ刃部と、互いに軸心方向に隣接する前記凸状切れ刃部の間に形成されてこれらの前記凸状切れ刃部よりも刃先径が小さくなるように形成された凹状切れ刃部と、を有し、
    前記複数の凸状切れ刃部それぞれの最大刃先径は前記刃部の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなり、且つ前記複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径は前記刃部の先端部に向かうにしたがって除々に小さくなるように形成されて、
    前記複数の凸状切れ刃部のうちで最大刃先径が最大のものを構成する材料の耐摩耗性は、前記複数の凹状切れ刃部のうちで最大刃先径が最小のものを構成する材料の耐摩耗性よりも高く、
    前記複数の凸状切れ刃部および複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径を相互に比較したとき、前記最大刃先径が大きいものが小さいものに比べて耐摩耗性が低くないこと、
    を特徴とする溝切削加工装置。
  5. タービン軸の外周にタービン羽根の翼脚をメス溝とオス溝との組み合わせによって嵌め込むための断面クリスマスツリー状の溝を、総型回転切削工具により形成する溝切削加工方法であって、
    前記メス溝の断面形状は、溝開口部から溝底部に向かう中心線に対して対称形状であり、両側に広がる複数の幅広部と、互いに隣接する前記幅広部の間に1つずつ配置されたくびれ部とを有し、前記幅広部およびくびれ部はそれぞれ、溝開口部に近いほど溝幅方向の幅が大きくなるように形成されるものであり、
    当該溝切削加工方法は、
    前記中心線の方向に交互に配列された複数の凸状切れ刃部および複数の凹状切れ刃部を有する切れ刃を前記中心線に平行な軸心の周りに回転させながら該軸心に垂直な方向へ徐々に移動させることによって切削するものであり、
    前記凸状切れ刃部によって前記幅広部を切削する幅広部加工工程と、前記凹状切れ刃部によって前記くびれ部を切削するくびれ部加工工程と、を一つの工具で同時に並行して行い、
    前記複数の凸状切れ刃部のうちで最大刃先径が最大のものを構成する材料の耐摩耗性は、前記複数の凹状切れ刃部のうちで最大刃先径が最小のものを構成する材料の耐摩耗性よりも高く、
    前記複数の凸状切れ刃部および複数の凹状切れ刃部それぞれの前記最大刃先径を相互に比較したとき、前記最大刃先径が大きいものが小さいものに比べて耐摩耗性が低くないこと、を特徴とする溝切削加工方法。
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