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JP5227566B2 - アクチュエータ - Google Patents
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Description

本発明は、静電駆動方式または圧電駆動方式のマイクロスイッチや容量可変キャパシタ等のMEMS(Micro-electro-mechanical System)アクチュエータに関する。
MEMS( Micro-electro-mechanical System)アクチュエータは、各種の光スイッチ、通信回路、電子機器に用いられるマイクロスイッチや容量可変キャパシタ等に応用されている。
静電力により駆動されるMEMSアクチュエータ(特許文献1)は、例えば、可動梁に形成された可動電極と、基板上に固定された固定電極と、可動電極と固定電極の間に設けられた誘電膜からなる静電駆動機構を有している。この誘電膜には、通常の半導体プロセスで多用される窒化シリコンや酸化シリコンの他、各種の膜を使用することができるが、その膜の配向性に関しては配慮されていない。
可動電極と固定電極の間に駆動電圧を印加することにより、両電極を静電力により吸引し可動梁を動かし、駆動する。駆動時には、0.1μm〜1μm程度以下の厚さの誘電膜に数十ボルトの駆動電圧が印加されるため、誘電膜は高電界にさらされる。この高電界によって、駆動時間に応じて誘電膜界面や内部に電荷が注入・トラップされる。
この注入された電荷は、外部から印加される駆動電圧と同様の作用を静電駆動機構に及ぼすため、可動電極を固定電極に吸着する閾値電圧(プルイン電圧)や、開放するための閾値電圧(プルアウト電圧)を著しくシフトさせる。さらに著しい場合には、駆動電圧を0にしても電極間が固着したまま動作しなくなる、いわゆるスティッキングと呼ばれる現象が生じる。これらの駆動電圧のシフトやスティッキング現象は、実用上の大きな問題となる。
一方、圧電力により駆動されるMEMSアクチュエータ(特許文献2)は、可動梁として、電極層で挟まれた圧電膜を用いたものであり、比較的低電圧で駆動できる特長を持つ。この圧電駆動方式のMEMSアクチュエータにおいては、圧電駆動電極層で挟まれた圧電膜からなる圧電駆動機構を可動梁に有している。この圧電駆動方式MEMSアクチュエータにおいて、可動梁を構成する圧電膜として、例えばAlN膜を用いることは知られている。駆動DC電圧は、圧電膜を挟む圧電駆動電極層間に印加されるため、圧電膜中に電荷の注入・トラップが生じても、駆動に与える影響はほとんどない。
しかしながら、圧電駆動方式のMEMSアクチュエータを使用した可変キャパシタ素子においても、基板上に形成されたRF信号用固定電極と、可動梁に設けられた可動電極(圧電駆動用電極と兼用する場合もある)の間に可変キャパシタの容量を形成する誘電膜が形成され、通常の半導体プロセスで多用される窒化シリコンや酸化シリコンが使用されている。そして、RF信号用固定電極と可動電極が誘電膜を介して接触している時にこれら電極間に大振幅のRF電圧が印加されると、誘電膜への電荷の注入・トラップが生じ、著しい場合には圧電駆動電圧を0にしても、電極間が固着したまま動作しなくなるスティッキング現象が生じ、実用上の大きな問題となっている。
一方、薄膜圧電共振器において、圧電膜の下地にAl−Ta非晶質合金層を設けることにより、圧電膜の性能を向上する技術が報告されている(特許文献3)。
特開2004−172504号公報 特開2006−346830号公報 特開2006−19935号公報
本発明は、上記の課題に基づいたものであり、その目的は、静電駆動方式や圧電駆動方式のアクチュエータにおいて、誘電膜への電荷注入や電荷トラップを解消し、駆動電圧シフトや電極の固着の問題を解決し、それにより、安定した駆動特性を有するアクチュエータを提供することである。
本発明の一態様によれば、基板と、前記基板の主面の上に設けられた固定電極と、前記主面に対向し、前記基板の上方に間隙をあけて保持された可動梁と、前記固定電極と前記可動梁との間に設けられ、配向半値全幅が4.6度以下でc軸配向した窒化アルミニウムからなる誘電膜と、前記主面の上において前記固定電極の下に設けられアルミニウム化合物からなる下地膜と、を備えたことを特徴とするアクチュエータが提供される。
本発明の別の一態様によれば、基板と、前記基板の主面の上に設けられたRF信号用固定電極と、前記主面に対向し、前記基板の上方に間隔を空けて保持され、DC駆動用下部電極と、圧電膜と、DC駆動用上部電極と、を含む可動梁と、前記RF信号用固定電極と前記可動梁との間に設けられ、配向半値全幅が4.6度以下でc軸配向した窒化アルミニウムからなる誘電膜と、前記主面の上において前記RF信号用固定電極の下に設けられアルミニウム化合物からなる下地膜と、を備えたことを特徴とするアクチュエータが提供される。
本発明によれば、静電駆動方式や圧電駆動方式のアクチュエータにおいて、誘電膜への電荷注入や電荷トラップを解消し、駆動電圧シフトや電極の固着の問題を解決し、それにより、安定した駆動特性を有するアクチュエータが提供される。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの構成を例示する断面模式図である。
図1に表したように、本発明の第1の実施形態のアクチュエータ101は、基板110を有している。基板110の主面には下地膜130が設けられ、下地膜130の上には固定電極140が設けられ、さらに固定電極140の上に誘電膜150が設けられている。下地膜130は、例えば、アルミニウム/タンタル(Al/Ta)の非晶質合金や窒化アルミニウム(AlN)からなる膜を用いることができる。また、固定電極140としては、アルミニウムからなる膜を用いることができる。また、誘電膜150は、窒化アルミニウム膜からなり、配向半値全幅が小さくc軸配向したものを用いることができる。
そして、基板110の主面に対向して、基板110と間隙をあけて可動梁170が配置されている。可動梁170の一部は、基板110上に設けられたアンカー部120によって接合され、これにより可動梁170は基板110と間隙をあけて保持される。
図1に表したアクチュエータは、下地膜130として、アルミニウム/タンタルの非晶質合金または窒化アルミニウムからなる膜を用いており、その上に設けられた固定電極140の配向性を高くすることができる。具体的には、配向半値全幅が5度以下のc軸配向が得られる。また、固定電極140の上に設けられた誘電膜150も、配向性が高くなり、配向半値全幅が5度以下のc軸配向が得られる。
誘電膜150の配向半値全幅が小さくなり配向性が高くなると、誘電膜150中の電荷トラップの密度が減少し、結果として、誘電膜150への電荷の注入と電荷トラップを抑制できる。この機構を図2により説明する。
図2は、誘電膜の配向性と誘電膜への電荷注入量の関係を例示する説明図である。
図2(a)に表したように、非晶質(アモルファス)の窒化シリコン(α−SiN)膜330には、トラップとなるダングリングボンドが多数存在する。このα−SiN膜を上電極310、下電極320に挟み電圧を印加すると、多量の電荷360が注入され、トラップされる。一方、図2(b)に表したように、多結晶(ポリ)の窒化アルミニウム(ポリAlN)膜340では、結晶サイズが比較的大きくなり、粒界が減少し、電荷360の注入量は減少する。さらに、図2(c)に表したように、高配向した窒化アルミニウム膜350の場合、さらに粒界が減少し、注入される電荷360の量を極めて少なくすることができる。このように、誘電膜への電荷の注入を減少させるためには、誘電膜中の粒界を減らし、トラップを減少させることが有効である。すなわち、誘電膜の配向半値全幅を小さくすることで電荷の注入が抑制できる。
図1に例示したアクチュエータは、下地膜130として、アルミニウム/タンタルの非晶質合金または窒化アルミニウムからなる膜を用いることで誘電膜150の配向性を高めることができ、電圧印加時に電荷が注入され難く、また、電荷のトラップの形成を抑制し、結果として、動作安定性の優れたアクチュエータが実現できる。
この時、実用的な動作安定性を確保するためには、AlNからなる誘電膜150の配向半値全幅は、5度以下が望ましい。
なお、AlN膜を高配向させるための方法としては、非晶質金属下地を使用する方法が例示できる。また、シリコン(111)基板やシリコン(100)基板など単結晶基板の方位を引き継いで利用して、その上にエピタキシャル成長させる方法を用いることもできる。さらには、下地膜を高配向膜にして、その上に配向性を引き継いで高配向AlNを成長させる方法もあり、この場合の下地膜としては、各種の金属あるいは絶縁膜等を使用できる。例えば、AlやAu等のfcc型結晶構造の(111)面を使用する方法、Mo、W、Ta等のbcc型結晶構造の(110)面を使用する方法、TiやAlN等の六方晶型結晶構造の(0001)面を使用する方法等が例示できる。なお、これらの方法の場合、AlN膜の配向性は、下地材料の結晶配向性に影響され、下地材料の厚さが厚くなるとAlN膜の配向性は向上する。また上記の各手法を組み合わせた手法を利用することができる。
なお、可動梁170の固定電極140と対向する部分には、可動電極171を設けることができるが、可動梁170が導電性の場合は、可動梁170そのものを可動電極171とすることもできる。図1に例示したアクチュエータはその例であり、この場合、可動電極171は可動梁170と同一である。なお、可動電極171を可動梁170に別途設けることもできる。
また、誘電膜150は、基板110の上に必ずしも設ける必要はなく、固定電極140と可動電極171(可動梁170)の間に設ければ良い。例えば、可動梁170の固定電極140に対向する部分に誘電膜150を設けても良い。また、可動梁170を圧電積層構造とした圧電駆動方式のアクチュエータの場合に、圧電膜としてAlNを用い、そのAlNを誘電膜150として利用しても良い。
図1に例示したアクチュエータは、マイクロスイッチやキャパシタとして利用することができる。また、可動電極171(可動梁170)と固定電極(130)とは別に、各種の電極をさらに設け、その電極を利用したスイッチやキャパシタを構成することもできる。
なお、本願明細書において、「アクチュエータ」は、可動分部だけではなく、可動部分を含んで構成される各種のスイッチや各種のキャパシタも含む。
(実施例1)
以下、実施例1により、詳細に説明する。
本発明の実施例1のアクチュエータは、図1に表した構造を有している。すなわち、基板110の主面に、下地膜130、固定電極140、誘電膜150が積層して設けられ、また、基板110の主面に対向して、基板110と間隙をあけて可動梁170が、アンカー部120によって保持されている。
図3は、本発明の第1の実施例のアクチュエータの製造方法を表す各工程の模式断面図である。
まず、図3(a)に表すように、表面が絶縁性の基板110の主面に、LP‐CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により窒化シリコン膜を成膜し、アンカー部120を形成した。
また、基板110の主面の他の一部に、下地膜130、固定電極140、誘電膜150をこの順に形成した。すなわち、下地膜130として、Al/Taからなる厚さ30nmの非晶質合金膜をスパッタ法により成膜し、その後、固定電極140として、厚さ500nmのAl膜をスパッタ法により成膜し、その後、誘電膜150として、厚さ500nmのAlN膜をスパッタ法により成膜した。そして、上記のアンカー部120、下地膜130、固定電極140、誘電膜150の所定形状への成形には、リソグラフィーと反応性イオンエッチング(RIE: Reactive Ion Etching)を用いた。なお、上記の成膜及び成形の方法としては、上記で説明した方法に限らず、各種の方法を用いることができる。
次に、図3(b)に表したように、基板110の主面、アンカー部120、誘電膜150の上に犠牲層160を形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)技術によりアンカー部120が露出するまで表面研磨及び平坦化を行った。犠牲層160としては、多結晶シリコンを使用した。ただし、犠牲層160は、これに限らず、上記の下地膜130、固定電極140、誘電膜150等の他の膜材料に対して選択エッチングが可能な、各種無機材料、各種金属材料、各種有機材料を使用することができる。
次に、図3(c)に表したように、アンカー部120及び犠牲層160の上に、可動梁170を形成した。具体的には、厚さ500nmのAl層をスパッタ法により成膜し、リソグラフィー及びエッチングによりパターニングすることにより、所定の形状の可動梁170を形成した。
次に、図3(d)に示すように、XeFをエッチングガスとして用いた選択エッチングにより、犠牲層160を除去した。
このようにして、図1に表した構造のアクチュエータが作製された。
このような構造の実施例1のアクチュエータにおいては、下地膜としてAl/Ta非晶質合金を使用することにより、固定電極140が、(111)方位が高度に配向することが可能になる。固定電極140の配向性をωモードロッキングカーブ法により測定したところ、配向半値全幅(FWHM: Full Width at Half Maximum)は0.9度と非常に小さな値になり、高い配向性が確認できた。さらに、固定電極140の上に、誘電膜150となるAlN層を、ヘテロエピタキシャル成長させることにより、AlN層は高度にc軸方向に配向し、ωモードロッキングカーブ法により測定した配向半値全幅は1.6度であった。このようにして、下地膜としてAl/Ta非晶質合金を用いることによって、高い配向性を有するAlN膜からなる誘電膜150が得られた。
(実施例2〜4)
次に実施例2〜4について説明する。
実施例2〜4は、実施例1に対して、下地膜130としてAlNを用いたことが異なっており、その他の条件は実施例1と同じである。そして、実施例2〜4の下地膜130の厚さは、それぞれ、1000nm、500nm、200nmとした。これら実施例2〜4のアクチュエータは、下地膜130として厚さ200〜1000nmのAlN膜を使用することにより、高い配向性を持つ固定電極140及び誘電膜150を設けることができる。
以上説明した実施例1〜4についての下地膜130の種類と厚さ、及び固定電極140及び誘電膜150の配向半値全幅の関係を表1に示す。
Figure 0005227566
表1に表したように、実施例1〜4のアクチュエータにおいては、誘電膜150は、配向半値全幅が1.6度〜4.6度であり、非常に高い配向性を示した。また、固定電極140は、配向半値全幅が0.9度〜3.8度であり、これも非常に高い配向性を示した。
次に、このようにして作製した実施例1〜4のアクチュエータの動作試験を行った。
図4は、本発明の実施例のアクチュエータの動作試験条件を例示する説明図である。
図4に表したように、動作試験の方法は以下である。
(1)まず、固定電極140と可動電極171(可動梁170)の間に徐々に電圧を印加し、静電容量−印加電圧特性を測定し(C−V測定)、可動梁170が誘電膜150に接触するプルイン電圧の初期値を測定する。
(2)その後、負荷として、15Vの駆動電圧を1000秒間印加し、駆動電圧を除去する。
(3)その後、再び電圧を徐々に印加し、C−V測定を行い、負荷試験後のプルイン電圧を測定する。
このようにして、負荷試験前後のプルイン電圧の変化(シフト量ΔV)を求めた。
実施例1〜4の誘電膜150の配向半値全幅と、負荷試験前後のプルイン電圧のシフト量ΔVの関係を説明する。
図5は、本発明の実施例1〜4のアクチュエータの動作試験結果を示すグラフ図である。
図5に表したように、実施例1〜4のアクチュエータは、いずれも誘電膜150の配向半値全幅は5度以下であり、また、プルイン電圧のシフト量ΔVは0.5V以下であった。このように、実施例1〜4のアクチュエータは、動作安定性が優れていることが確かめられた。
次に、比較例について説明する。
(比較例1〜2)
比較例1のアクチュエータは、図1に表したアクチュエータにおいて、下地膜130として、厚さが100nmのAlNを用いたものである。また、比較例2は、下地膜を設けない構造である。
比較例1及び比較例2のアクチュエータの下地膜130の種類と厚さ、及び、固定電極140及び誘電膜150の配向半値全幅の値を表2に示す。
Figure 0005227566
表2に表したように、比較例1のアクチュエータは、下地膜130の膜厚が薄く、その上の固定電極140と誘電膜150の配向半値全幅は、それぞれ、5.1度と5.8度と共に大きい値を示した。また、比較例2のアクチュエータは、下地膜130が無く、固定電極140と誘電膜150の配向半値全幅は、それぞれ、6.2度と7.0度とさらに大きい値を示した。このように、下地膜が無い、または下地膜の膜厚が薄いと、誘電膜150の配向半値全幅が大きくなり、誘電膜150の配向性は低くなった。
また、実施例1〜4と同様の試験条件(ただし、負荷電圧の印加時間を100秒に短縮した)により、比較例1、2について、負荷試験前後のプルイン電圧のシフト量ΔVを求めた。その結果を、図5に示す。実施例1〜4に比べて負荷電圧の印加時間を1/10に短縮し負荷を軽減したにもかかわらず、比較例1では、プルイン電圧のシフト量ΔVは1.5Vと大きく、アクチュエータの信頼性に問題があることが分った。また、比較例2では、プルイン電圧のシフト量ΔVは3.1Vとさらに大きく、同様にアクチュエータの信頼性に問題があることが分った。
図5に表したように、誘電膜150の配向半値全幅が5度より大きくなると、プルイン電圧のシフト量ΔVが急激に大きくなっている。従って、誘電膜150の配向半値全幅は、4.6度以下であることが望ましい。また、表1に表したように、この時の固定電極140の配向半値全幅は、3.8度以下であることが望ましい。また、下地膜130としてAlNを用いた場合には、AlN膜の膜厚はある程度以上厚いことが必要で、具体的には、膜厚は200nm以上が望ましい。
(比較例3)
比較例3のアクチュエータは、実施例1のアクチュエータにおいて、誘電膜150としてLP―CVD法で成膜した窒化シリコン膜を使用したものであり、それ以外は実施例1と同様である。
実施例1〜4と同様の試験条件(ただし、負荷電圧の印加時間を100秒に短縮)により、比較例3におけるプルイン電圧のシフト量ΔVを求めた。その結果、実施例1〜4に比べて負荷電圧の印加時間を1/10に短縮し負荷を軽減したにもかかわらず、比較例3のアクチュエータのシフト量ΔVは、6.7Vと大きく、大きな電荷注入が生じており、動作の安定性に問題があることが分った。これは、窒化シリコン膜には電荷に対する多くのトラップが形成されており、このため窒化シリコン誘電膜中に多量の電荷が注入され、またトラップされるためである。従って、誘電膜150には、AlN材料を用いることが望ましい。
(実施例5)
次に、本発明の第5の実施例のアクチュエータについて説明する。第5の実施例のアクチュエータは、静電駆動MEMSスイッチの一例であり、スイッチ用接点電極を別途設けた例である。
図6は、本発明の第5の実施例のアクチュエータの構造を例示する模式断面図である。 本実施例のアクチュエータ102においては、可動梁170の先端に、可動接点電極190が設けられている。そして、可動接点電極190に対向した固定接点電極180が、基板110上に設けられている。可動接点電極190と固定接点電極180とが、スイッチの接点を構成する。これら以外の構成は、実施例1と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。可動接点電極190及び固定接点電極180は、例えばスパッタ法により作製したAu層であり、周知のリソグラフィー法及びリフトオフ法によりパターニングし、形成される。
固定電極140と対向する可動電極171(可動梁170)の間に電圧を印加することによりアクチュエータを駆動する。このとき可動接点電極190及び固定接点電極180がオーミック接触し、高周波(RF: Radio Frequency)スイッチとして利用することが可能である。
実施例1〜4と同様の試験条件によりプルイン電圧のシフト量ΔVを測定したところ、シフト量ΔVは0.3Vと小さく、安定した動作が確認できた。
(実施例6)
次に本発明の第6の実施例のアクチュエータについて説明する。本実施例のアクチュエータは、圧電駆動MEMS可変容量キャパシタの一例である。
図7は、本発明の第6の実施例のアクチュエータの構造を例示する模式断面図である。
図7に表したように、実施例6のアクチュエータ103は、実施例1における可動梁170の代わりに、バイモルフ型圧電駆動アクチュエータからなる可動梁200を用いている。すなわち、基板110上に対向してバイモルフ型の圧電可動梁200が設けられている。バイモルフ型可動梁200は、下部電極210、下部圧電膜220、中間電極230、上部圧電膜240、及び上部電極250が積層された構造を有している。そして、バイモルフ型可動梁200は、アンカー部120によって、基板110と間隙をあけて保持されている。下部電極210、中間電極230、上部電極250には、Alを用い、また、下部圧電膜220と上部圧電膜240にはAlNを使用し、リソグラフィー及びエッチング技術により、所定形状に形成される。バイモルフ型可動梁200以外の構成は、実施例1と同様であり、固定電極140及び誘電膜150は、高配向したAl膜及びAlN膜である。
本実施例のアクチュエータ103において、中間電極230を接地し、下部電極210及び上部電極250に駆動電圧を印加することにより、圧電可動梁200を上下に屈曲させることができる。この屈曲により、基板110の上に設けられた固定電極140と下部電極210の距離が変化し、容量可変キャパシタとして機能する。
なお、下部電極210が、固定電極140に対向する可動電極171の機能を果たす。
本実施例において圧電可動梁200が下方に屈曲して、下部電極210が誘電膜150に接触する時の電圧(接触電圧)は、2.8Vであった。下部電極210が誘電膜150に接触した状態で、固定電極140と下部電極210の間に振幅10Vの交流電圧を100秒間印加し、交流電圧を除去した後に、圧電駆動電圧をスイープして接触電圧を測定したところ、2.9Vであり、接触電圧の初期値からのシフトは殆どなく、安定した動作が確認できた。
なお、本実施例では、可動梁は、2つの圧電膜が3つの電極によって積層された構造を有しているが、これに限らず、1つの圧電膜が2つの電極に挟持された構造や、3つ以上の圧電膜がそれぞれ電極によって挟まれた構造など、各種の構造の可動梁を用いることができる。
なお、本実施例において、下部電極210、中間電極230、下部圧電膜220は、それぞれ、DC駆動用下部電極、DC駆動用上部電極、圧電膜の機能を果たす。また、中間電極230、上部電極250、上部圧電膜240は、それぞれ、別のDC駆動用下部電極、別のDC駆動用上部電極、別の圧電膜の機能を果たす。そして、固定電極150はRF信号用固定電極の機能を果たす。
(実施例7)
次に本発明の第7の実施例のアクチュエータについて説明する。
図8は、本発明の第7の実施例のアクチュエータの構造を例示する模式断面図である。
図8に表したように、実施例7のアクチュエータ104は、図1に表した実施例1における可動梁170の代わりに、DC駆動用下部電極410と、圧電膜420と、DC駆動用上部電極430と、が積層された構成の可動梁400を用いたものである。そして、基板110の主面には、RF信号用固定電極141が下地層130を介して設けられ、RF信号用固定電極141と可動梁400との間に誘電膜150が設けられている。下地層130、RF信号用固定電極141、誘電膜150は、図1に例示した、下地層130、固定電極140、誘電膜150と同様のものを用いることができる。
アクチュエータ104において、DC駆動用下部電極410とDC駆動用上部電極430の間に駆動電圧を与え、圧電膜420に電圧を印加することにより、可動梁400が屈曲する。これにより、DC駆動用下部電極410と誘電膜150が接し、誘電膜150を介して、DC駆動用下部電極410とRF信号用固定電極141との間でキャパシタが形成される。
本実施例においては、誘電膜150として、高配向した(配向半値全幅が4.6度以下のc軸配向した)AlN膜を用いるので、誘電膜150への電荷の注入やトラップを抑制し、安定した駆動特性を有するアクチュエータを実現できる。
(実施例8)
次に本発明の第8の実施例のアクチュエータについて説明する。
図9は、本発明の第8の実施例のアクチュエータの構造を例示する模式断面図である。 図9に表したように、実施例8のアクチュエータ105は、図7に表した実施例6のアクチュエータにおいて、固定電極140のそれぞれ下と上に設けられていた下地膜130と誘電膜150を設けず、また、下部電極210を固定電極140と対向する部分を除いて形成した点が異なっている。この構成において、固定電極140と対向する下部圧電膜220が、実施例1〜7における誘電膜の機能を果たす。また、中間電極230が可動電極231となる。
下部圧電膜220は、高配向した(配向半値全幅が4.6度以下のc軸配向した)AlN膜によって形成することができる。図9に例示したアクチュエータは、高配向したAlN膜からなる誘電膜を、固定電極140と可動電極231の間に設けているので、誘電膜への電荷の注入やトラップを抑制し、安定した駆動特性を有するアクチュエータを実現できる。
上に説明した本発明の実施形態及び実施例のアクチュエータにより、マイクロスイッチや容量可変キャパシタを形成し、それらを用いて各種の電子回路を作製することができる。
図10は、本発明の実施形態のアクチュエータを利用した電子回路と電子機器を例示する模式図である。
図10に表したように、本発明の実施形態のアクチュエータ105により作製された容量可変キャパシタを組み込んで、周波数が可変のフィルタを内蔵する電子回路500を作製できる。また、この電子回路500は、例えば、携帯電話等の各種電子機器600に用いることができる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、アクチュエータを構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述したアクチュエータを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのアクチュエータも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの構成を例示する断面模式図である。 誘電膜の配向性と誘電膜への電荷注入量の関係を例示する説明図である。 本発明の第1の実施例のアクチュエータの製造方法を表す各工程の模式断面図である。 アクチュエータの動作試験条件を例示する説明図である。 本発明の実施例1〜4のアクチュエータの動作試験結果を示すグラフ図である。 本発明の第5の実施例のアクチュエータの構造を例示する模式断面図である。 本発明の第6の実施例のアクチュエータの構造を例示する模式断面図である。 本発明の第7の実施例のアクチュエータの構造を例示する模式断面図である。 本発明の第8の実施例のアクチュエータの構造を例示する模式断面図である。 本発明の実施形態のアクチュエータを利用した電子回路と電子機器を例示する模式図である。
符号の説明
101、102、103、104、105 アクチュエータ
110 基板
120 アンカー部
130 下地膜
140 固定電極
141 RF信号用固定電極
150 誘電膜
160 犠牲層
170、200、400 可動梁
171、231 可動電極
210 下部電極
220 下部圧電膜
230 中間電極
240 上部圧電膜
250 上部電極
310 上電極
320 下電極
410 DC駆動用下部電極
420 圧電膜
430 DC駆動用上部電極
500 電子回路
600 電子機器

Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板の主面の上に設けられた固定電極と、
    前記主面に対向し、前記基板の上方に間隙をあけて保持された可動梁と、
    前記固定電極と前記可動梁との間に設けられ、配向半値全幅が4.6度以下でc軸配向した窒化アルミニウムからなる誘電膜と、
    前記主面の上において前記固定電極の下に設けられアルミニウム化合物からなる下地膜と、
    を備えたことを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記固定電極は、配向半値全幅が3.8度以下でc軸配向したアルミニウム膜からなることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
  3. 基板と、
    前記基板の主面の上に設けられたRF信号用固定電極と、
    前記主面に対向し、前記基板の上方に間隙をあけて保持され、DC駆動用下部電極と、圧電膜と、DC駆動用上部電極と、を含む可動梁と、
    前記RF信号用固定電極と前記可動梁との間に設けられ、配向半値全幅が4.6度以下でc軸配向した窒化アルミニウムからなる誘電膜と、
    前記主面の上において前記RF信号用固定電極の下に設けられアルミニウム化合物からなる下地膜と、
    を備えたことを特徴とするアクチュエータ。
  4. 前記RF信号用固定電極は、配向半値全幅が3.8度以下でc軸配向したアルミニウム膜からなることを特徴とする請求項記載のアクチュエータ。
  5. 前記アルミニウム化合物は、AlN、Al−Ta非晶質合金、及びそれらの混合物から選択されたいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つ記載のアクチュエータ。
  6. 前記下地膜は、厚さが200nm以上のAlNからなる膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のアクチュエータ。
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