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JP5233238B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description

本発明は、機械的に切り離されたハンドルと転舵機構とを連結するクラッチを備えた車両用操舵装置の技術分野に属する。
従来の車両用操舵装置としては、ドライバーによって操作(操舵)されるハンドルと、このハンドルと機械的に切り離された転舵機構と、転舵機構を駆動する転舵モータを備え、通常時にはハンドルの回転角度(操舵角度)に応じて転舵モータによって転舵機構を駆動することにより操舵を可能とするステア・バイ・ワイヤ制御を行い、電気系の不具合が発生した場合には転舵機構の回転軸とハンドルの回転軸とを係合子によって係合することで連結するクラッチを連結(締結)状態にし、ハンドルと転舵機構とを機械的に連結して直接ハンドルによって操舵することを可能としたものが開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。
また、最大転舵角付近でクラッチを締結することでハンドルと転舵機構とを機械的に連結して、ステア・バイ・ワイヤ制御からパワーステアリング制御へと移行する車両用操舵装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。
すなわち、通常時にはハンドルとは機械的に切り離された転舵機構を転舵モータによって駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行い、電気系の不具合や最大転舵角付近でハンドルと転舵機構との間のクラッチを締結して、直接ハンドルによって操舵することが可能なパワーステアリング制御を行う車両用操舵装置が知られている。
特開2005−262969号公報 特開2005−008073号公報 特開2006−001417号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、転舵機構の回転軸とハンドルの回転軸とを係合子によって係合することでハンドルと転舵機構とを機械的に連結するクラッチを用いている。そのため、ステア・バイ・ワイヤ制御からパワーステアリング制御へと移行した後、再びステア・バイ・ワイヤ制御へと戻る際、クラッチ解除指令を出力してもクラッチが係合した状態が維持される可能性が有る。このように、ハンドルと転舵機構との連結が解除されない状態でステア・バイ・ワイヤ制御に移行した場合、ハンドルにドライバーの予想に反したトルクが発生する、いわゆるハンドル取られが生じるおそれがある。
本発明は上記課題に対してなされたもので、その目的とするところは、クラッチを締結した状態から、クラッチの締結を解除してステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際のハンドル取られの発生を防止できる車両用操舵装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明の車両用操舵装置では、
運転者によって操舵可能なハンドルと、
操向輪に接続された転舵機構と、
前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
を備え、
前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記ハンドル回転軸の回転角変化に対して前記転舵回転軸の回転角変化が小さくなるように前記転舵機構を駆動して前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行うことを特徴とする。

よって、本発明にあっては、転舵回転軸とハンドル回転軸との間に、クラッチの係合解除方向の回転角偏差を与えるため、クラッチの係合方向に作用するトルクを弱めることができ、係合されている状態のクラッチが確実に解除される。この結果、クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除してステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際のハンドル取られの発生を防止できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜5に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
[システム構成]
図1は、実施例1の車両用操舵装置を適用したステア・バイ・ワイヤ(以下、SBW)システムの構成図である。
実施例1の車両用操舵装置は、ドライバーによって操作(操舵)可能な操舵ハンドル1、操舵ハンドル1に接続された操舵ハンドル1の回転軸であるプーリシャフト79(ハンドル回転軸)、操舵角を検出する操舵角センサ2(操舵角検出手段)、操舵ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ3、操舵ハンドル1に反力を付与する反力モータ4(操舵反力モータ)、クラッチ5、操向輪である左右前輪9、左右前輪9に接続されたラック8aと該ラック8aにギア機構によって連結されたピニオン8bとからなる転舵機構8、ピニオン8bの回転軸であるピニオンシャフト17(転舵回転軸)、転舵機構8を駆動することによって左右前輪9を転舵駆動する転舵アクチュエータとしての転舵モータ6、転舵モータ6の回転角(すなわち転舵角)を検出する転舵角センサ7(転舵角検出手段)、コントローラ10、転舵コントローラ11、コントローラ10と転舵コントローラ11との間の通信を行うための通信線12を備えている。
操舵ハンドル1と転舵機構8とは、クラッチ5の締結・解除により機械的に連結または切り離される。クラッチ5は、操舵ハンドル1の回転軸(プーリシャフト79)と転舵機構8の回転軸(ピニオンシャフト17)とを係合子(ローラ32;図3参照)によって係合することで、操舵ハンドル1と転舵機構8とを機械的に連結する。
反力モータ4は、操舵ハンドル1に操舵反力を付与し、転舵モータ6は転舵機構8を駆動して左右前輪9(以下、単に前輪9と記載する。)を転舵駆動する。
実施例1に示すSBWシステムは、通常時は操舵ハンドル1と、前輪(操向輪)9に接続された転舵機構8との間に機械的なつながりが無い構成となっている。ただし、プーリシャフト79とピニオンシャフト17とを連結および切り離し可能なクラッチ5を備えており、このクラッチ5を締結することでプーリシャフト79とピニオンシャフト17とを連結して、操舵ハンドル1と転舵機構8との間を機械的に連結することが可能である。
操舵ハンドル1の回転操作を操舵角センサ2で検出し、コントローラ(操舵制御手段)10で指令転舵角(目標となる転舵角を、転舵モータ6の回転角に変換した指令値)が演算される。転舵コントローラ11では、実際の転舵角(転舵角センサ7によって検出された、実際の転舵モータ6の回転角で、実舵角ともいう。)が指令転舵角に一致するように、転舵モータ6の駆動指令値が演算される。転舵モータ6の駆動により転舵機構8が駆動されることで前輪9の転舵動作が行われる。転舵モータ6はブラシレスモータ等で構成されている。また、操舵ハンドル1に操舵反力を与えるための反力モータ4は、転舵モータ6と同様にブラシレスモータ等で構成されており、例えば前輪9のハブ部に設けられて前輪9に入力する路面からの反力(タイヤ横力)を検出する軸力センサ14によって検出された反力に基づいてコントローラ10で駆動指令値が演算され、この演算された駆動指令値に応じて駆動される。コントローラ10および転舵コントローラ11で演算される駆動指令値は、それぞれ反力モータ4および転舵モータ6への電流指令値として出力される。
転舵コントローラ11で演算される電流指令値は、指令転舵角に所定の応答特性で実転舵角が追従するように制御演算する角度サーボ系により算出される。この角度サーボ系は、例えば図2に示すようなロバストモデルマッチング手法を用いた方法で構成される。この方法では、モデルマッチング補償器21により、指令転舵角に対して所定の規範応答特性を実現するための電流指令値を演算し、ロバスト補償器22により外乱成分に応じた補償電流が演算される。これにより、外乱発生時においても実転舵角が規範応答特性に追従可能な、耐外乱性に優れた制御系が実現できる。
実施例1では、通常走行時はクラッチ5を解除状態とし、操舵ハンドル1の操舵に応じて転舵機構8を駆動するSBW制御を行うが、前輪9の転舵角が最大転舵角付近となったとき、クラッチ5を締結状態とし、操舵ハンドル1からのドライバーの操舵力に補助操舵力を付加するように転舵モータ6を駆動するパワーステアリング(以下、EPS)制御を実施する。その後、ドライバーの切り戻し操舵が行われた場合、クラッチ5を解除状態として再びSBW制御に復帰させる。
なお、本実施例1においては、前輪9の転舵角が最大転舵角付近となったときにクラッチ5を締結状態とする例を示すが、これに替えてもしくは追加して、例えばSBWに電気系の故障等、何らかの異常が発生した場合にクラッチ5を締結するようにしても良い。
[クラッチ構造]
図3は実施例1の車両用操舵装置におけるクラッチを示す断面図、図4は実施例1の車両用操舵装置におけるクラッチの機械式クラッチ部を示す図である。
クラッチ5は、2方向クラッチであって、第1回転部材(外輪30)と、第2回転部材(内輪31)と、クラッチ断接の磁力を発生する励磁部と、この励磁部により操作され、第1回転部材と第2回転部材とを断接する機械式クラッチ部と、を有し、操舵ハンドル1と連結されたプーリシャフト79と転舵機構8のピニオンシャフト17とのうち、回転角度変化の小さい方に機械式クラッチ部を備えた回転部材を接続している。
クラッチ5は、プーリシャフト79に機械式クラッチ部を備えた第2回転部材(内輪31)を接続している。
すなわち、内輪31には、プーリシャフト79がセレーション嵌合されている。なお、外輪30には、転舵機構8のピニオンシャフト17がセレーション嵌合されている。
第1回転部材は、図4に示すように、内周面が円筒面形状の外輪30であり、第2回転部材は、外周面がカム形状(八角形状)の内輪31であり、機械式クラッチ部は、外輪30と内輪31との間に介装したローラ32(係合子)を有する。
クラッチ5は、励磁部の作動時、機械式クラッチ部によりローラ32を中立位置に規定(内輪31との回転方向の相対位置を規定)することで、外輪30と内輪31との相対回転を許容するクラッチ解除状態とし、励磁部の非作動時、機械式クラッチ部によるローラ32の中立位置規定を解くことで、外輪30と内輪31との間にローラ32を楔係合するクラッチ締結状態とする。
励磁部は、図3に示すように、クラッチケース33のエンドプレート34(クラッチケース部材)に固定された電磁コイル35と、外輪30の端部位置にセレーション嵌合により固定され、電磁コイル35のフィールド内に配置された永久磁石36を有するロータ37と、を備えている。
なお、電磁コイル35のフィールド内に永久磁石36を配置した構成により、永久磁石36の磁束に対し、同相もしくは逆相の磁束を電磁コイル35により付与することが可能である。
機械式クラッチ部は、図3に示すように、ロータ37に対し離反バネ38を介して軸方向移動可能に配置されたアーマチュア39と、外輪30と内輪31との間に複数個(8個)介装された係合子としてのローラ32と、複数個のローラ32をポケットに組み込み、複数個のローラ32の間隔を等長の設定間隔に保持する保持器40と、を備えている。なお、保持器40は、内輪31に対し回転方向に移動可能に支持されている。
ローラ32には、図4に示すように、クラッチ解除時に1個のローラ32を中立位置に保持する中立バネ41が設定され、クラッチ締結から解除に遷移する過渡期には、外輪30と内輪31との間に楔係合しているローラ32に対し中立位置への復帰バネ力を付与する。なお、この中立バネ41は、内輪31に固定されている。
内輪31にセレーション嵌合されたプーリシャフト79(軸部材)と、外輪30の端部位置に固定されたロータ37との間に、ニードルベアリング42(軸受け)を設けている。
なお、図3において、第1ボールベアリング43は、エンドプレート34にプーリシャフト79を支持する。第2ボールベアリング44は、クラッチケース33に外輪30を支持する。第3ボールベアリング45は、外輪30と内輪31との間に介装される。
[操舵制御処理]
図5は、実施例1のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この制御処理は、制御演算周期(例えば、5msec)毎に実行される。
ステップS1では、転舵角の絶対値が所定値δf1以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS2へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。ここで、δf1は、転舵角が物理的に動作可能な最大角度(ラックエンド)とする。転舵角は、転舵角センサ7の出力を転舵コントローラ11で読み込み、転舵コントローラ11から通信線12を介してコントローラ10に送信された値を用いる。なお、以下では転舵コントローラ11とコントローラ10との通信は、通信線12を介して行われるものとする。
ステップS2では、EPS制御への移行準備として、クラッチ5に対し締結指令を出力し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、EPS制御への移行準備として、反力モータ4の反力トルク出力をOFFする(0とする)とともに、転舵モータ6の出力トルクがドライバーの操舵力に付加する補助操舵力(操舵アシスト力)となるように、トルクセンサ3の値に基づいて電流指令値を演算し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、EPS制御を実行し、リターンへ移行する。EPS制御では、トルクセンサ3の値に基づき演算された転舵モータ6の電流指令値を演算し、通信により転舵コントローラ11へ伝え、EPS動作を実現する。
ステップS5では、EPS制御中であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS6へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS6では、転舵角の絶対値が所定値δf2未満であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS7へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。ここで、δf2は、δf1よりも小さな値(例えば、δf1−1°)とする。
ステップS7では、反力モータ4で操舵反力を与えるとともに、与えた反力分だけ転舵モータ6で発生する転舵トルクを増大させる処理を行い、ステップS8へ移行する。すなわち、転舵モータ6の発生トルクを、反力モータ4で発生した操舵反力と同等の大きさ分逆向きに増大して、操舵反力を転舵モータ6のトルク増大によって打ち消すように制御を行い、ステップS8へ移行する。
ステップS8では、転舵角の絶対値が所定値δf3未満であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS9へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。ここで、δf3は、δf2よりも小さな値(例えばδf2−2°)とする。
ステップS9では、操舵動作が切り戻し中であるか否かを判定する。この判定は、操舵角センサ2で検出された操舵角の絶対値が継続して減少方向に変化しているか否かで判定可能である。YESの場合にはステップS10へ移行し、NOの場合にはステップS2へ移行する。すなわち、切り増し操舵中である場合にはクラッチ5に係合方向のトルクが作用していると判定してステップS2へ移行し、切り戻し操舵中である場合はクラッチ5に係合解除方向のトルクが作用していると判定してステップS10へ移行する。
ステップS10では、転舵角を所定値δf3(転舵角が負の場合は-δf3)で保持する指令転舵角を出力し、ステップS11へ移行する。
ステップS11では、クラッチ5に対しクラッチ解除指令を出力し、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、操舵角と転舵角との偏差角が所定値θ1以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS13へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。ここで、θ1は、ローラ32の中立位置と係合位置との差に基づいて設定された値であり、あらかじめ定められた値である。
また、ステップS12において、可変ギア制御を行っている場合は、可変ギア比換算した操舵角(操舵角に対する転舵角比1.2の場合は操舵角×1.2)と転舵角との偏差角に基づいて判断を行う。
ステップS13では、SBW制御を実行し、リターンへ移行する。
次に、作用を説明する。
[クラッチの係合状態でのハンドル取られの発生について]
従来のSBWシステムでは、SBWシステムに何らかの異常が発生した場合や最大転舵角付近でクラッチを締結し、トルクセンサの値に基づき操舵アシスト力となる転舵モータの電流を演算し、電動パワーステアリング(EPS)装置としての機能を実現する方法が提案されている。
この従来技術では、SBW制御からEPS制御へ移行した後、再びSBW制御へ戻ることを想定しており、この場合には締結したクラッチを解除する必要がある。このとき、クラッチとして図3,4に示したような2方向クラッチを採用している場合、クラッチ解除指令を出力しても係合状態が維持されてクラッチが解除されない場合があり、この状態のままSBW制御に移行すると、ハンドルにドライバーの予想に反したトルクが発生する、いわゆるハンドル取られが生じるおそれがある。
図6は、上記ハンドル取られが発生する原因を説明するタイムチャートであり、SBW制御時に操舵角よりも転舵角(ピニオンシャフト換算角)が大きい角度となる、いわゆる可変ギア制御を行っている場合を示している。
時点T0で、転舵角が物理的に動く最大転舵角(ラックエンド)になると、クラッチ締結信号が出力してクラッチを締結し、SBW制御からEPS制御に移行する。これにより、ドライバーがさらにハンドルを切り増そうとしても前輪とハンドルとが機械的に連結されているため、操舵角は変化せずに大きな操舵反力を発生でき、ドライバーにラックエンドを認識させることができる。
この状態から、ドライバーがハンドルを切り戻すことにより、時点T1で転舵角がしきい値1(最大転舵角以下)になると、クラッチ解除指令を出して、EPS制御からSBW制御へ戻る。このとき、クラッチが係合されたままで、クラッチが解除されない場合、前輪とハンドルとの連結が維持されて転舵角の変化と操舵角の変化とが同じとなり、ドライバーの予想に反したトルクがハンドルに付与されるハンドル取られが発生する。
[操舵制御作用]
これに対し、実施例1の車両用操舵装置では、クラッチ解除指令出力時、操舵角変化に対して前輪9の転舵角変化が小さくなるように前輪9の転舵角(ピニオンシャフト回転角)を制御する。
すなわち、最大転舵角付近でクラッチ5を締結してSBW制御からEPS制御へ移行し、操舵を戻す際にクラッチ5を解除してEPS制御から再びSBW制御へ戻る際には、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS10へと進み、ステップS10で転舵角が所定値δf3に保持された後、ステップS11でクラッチ解除指令が出力され、ステップS12で操舵角と転舵角との偏差角が所定値θ1以上であると判定された場合、ステップS13へと進んでSBW制御が実行される。
これにより、クラッチ5の係合方向に作用するトルクを弱めることができ、係合されている状態のクラッチ5が確実に解除されるため、EPS制御からSBW制御へと移行する際、クラッチ5が解除できないことに起因するハンドル取られを防ぐことができる。
この結果、前輪転舵機構8と操舵ハンドル1とを機械的に連結するクラッチとして、係合子によって係合することで連結するクラッチ5を用いたSBWシステムにおいて、クラッチ5が係合されている状態を確実に解除しつつ、EPS制御からSBW制御への移行処理を行うことができる。
また、図5のフローチャートにおいて、ステップS10では、クラッチ解除指令出力時の転舵角δf3が保持されることで、転舵角が固定され、操舵角のみ係合方向に作用するトルクが弱まる方向に変化することとなるため、より速く係合方向に作用するトルクを弱めることができ、係合されている状態のクラッチ5が確実に解除される。
また、ステップS12では、操舵角と転舵角との偏差角がθ1以上である場合にのみ、ステップS13へと進んでSBW制御を開始する。つまり、操舵角と転舵角との偏差角が所定値θ1以上となることで、係合方向に作用するトルクが十分に弱まり、外輪30と内輪31との間に噛み込んだ状態のローラ32(係合子)が解除され、クラッチ5が確実に解除される。その時点からSBW制御に移行することで、クラッチ5が確実に解除された状態でSBW制御を実行することができ、ハンドル取られの発生を防ぐことができる。
さらに、ステップS7では、反力モータ4で操舵反力を与えるとともに、与えた操舵反力分だけ転舵トルクを増大させる処理を行う。つまり、EPS制御からSBW制御へ移行する際のクラッチ解除指令前に操舵反力を出力することで、EPS制御からSBW制御への移行時、反力出力の立ち上がり遅れに起因する操舵トルク抜けを防ぐことができる。また、転舵トルクを増大させることで、反力モータ4で発生した操舵反力を増大した転舵トルクで打ち消して、操舵ハンドル1に伝達するトルクの変動を防止し、ドライバーが感じる操舵トルクの変動を抑えることができる。
そして、ステップS9では、ハンドルの切り戻し判定を行い、切り戻しの場合のみステップS10→ステップS11へと進んでクラッチ解除指令を出力する。すなわち、操舵ハンドル1の切り戻し時は、係合方向に作用するトルクが弱まる方向であるため、このときにクラッチ解除指令を出力することで、クラッチ5の解除が確実に行われる。
一方、ステップS9で切り増しの場合には、ステップS1→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れを繰り返し、EPS制御を継続する。操舵ハンドル1の切り増し時は、クラッチ5が係合方向であるため、一旦解除されかけたクラッチ5が再度係合するおそれがある。この場合にはEPS制御を継続することで、クラッチ5が解除されていない状態でSBW制御を行うことに起因するハンドル取られの発生を防ぐことができる。
そして、EPS制御の維持中、操舵ハンドル1が切り戻され、操舵角と転舵角との偏差角が所定値θ1以上になった場合、ステップS1→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進み、SBW制御を開始する。すなわち、切り増しでEPS制御に移行した場合、EPS制御からSBW制御へ移行可能と判断された状態であれば、切り戻し操舵時点からの操舵角と転舵角との偏差角に基づいてSBW制御への移行判断が行われるため、速やかにSBW制御へ戻ることが可能となる。
[ハンドル取られ防止作用]
図7は、最大転舵角でクラッチ5を締結してSBW制御からEPS制御へ移行し、操舵を戻す際にクラッチ5を解除してEPS制御から再びSBW制御へ移行する際の、実施例1のハンドル取られを防止する作用を示すタイムチャートであり、ドライバーの切り増し操舵動作で、転舵角が最大転舵角(ラックエンド)に到達した後、操舵角を切り戻す状況での動作を示している。
まず、時点T0で転舵角がδf1になると、クラッチ締結指令を出力し、SBW制御からEPS制御へ移行する。同時に、それまで出力していた反力トルクをOFFし、転舵トルクはEPS制御による転舵アシストトルクとなる。ドライバーが操舵角を切り戻すことにより、時点T1で転舵角がδf2未満になると、反力トルクを出力するとともに、反力トルク分だけ転舵トルクを増大させる。さらにドライバーが操舵角を切り戻し、時点T2で転舵角がδf3未満になると、転舵角はδf3に保持され、クラッチ解除指令が出力される。
このとき、ドライバーは切り戻し操舵を続けているため、操舵角とδf3に保持されている転舵角との偏差角は徐々に大きくなり、時点T3で偏差角がθ1以上になったため(図8参照)、SBW制御に移行する。以上のように、時点T2とT3との間でクラッチ係合方向に作用するトルクが弱まり、クラッチ5が確実に解除されるため、時点T3から確実にSBW制御に移行することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用操舵装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) コントローラ10は、クラッチ解除指令出力時、操舵角変化に対して前輪9の転舵角変化が小さくなるように転舵角を制御するため、EPS制御からSBW制御に移行する際のハンドル取られの発生を防止できる。
(2) コントローラ10は、転舵角をクラッチ解除指令出力時の転舵角δf3に保持する。すなわち、転舵角が固定され、操舵角のみ係合方向に作用するトルクが弱まる方向に変化することとなるため、より速く係合方向に作用するトルクを弱めることができ、係合されている状態のクラッチ5が確実に解除される。
(3) コントローラ10は、クラッチ解除指令出力後、操舵角と転舵角の偏差角が所定値θ1以上となった場合、SBW制御を開始するため、操舵角と転舵角との偏差角が所定値θ1以上となることで、係合方向に作用するトルクが十分に弱まり、係合されている状態のクラッチ5が確実に解除される。その時点からSBW制御に移行することで、クラッチ5の係合が確実に解除された状態でSBW制御を行うことができ、ハンドル取られの発生を防止できる。
(4) コントローラ10は、クラッチ解除指令出力前に操舵ハンドル1に反力モータ4による操舵反力を付与するとともに、付与した反力分だけ転舵機構8の転舵トルクを増大させるため、EPS制御からSBW制御への移行時、反力モータ出力の立ち上がり遅れに起因する操舵トルク抜けを防止できる。また、EPS制御中に反力トルクを出力するのみの場合、路面外力によるトルクに反力トルクが加算されるため、ドライバーが感じる操舵トルクが大きくなるが、反力トルクを出力した分だけ転舵トルクを増大し、EPS制御のアシストを大きくすることで、ドライバーが感じる操舵トルクの変動を抑えることができる。
(5) 操舵ハンドル1が切り戻し操作されている場合、クラッチ解除指令を出力する(ステップS11)。すなわち、ハンドル切り戻し時は、係合方向に作用するトルクが弱まる方向であるため、このときクラッチ解除指令を出力することで、クラッチ5の係合解除が確実に行われる。
(6) コントローラ10は、転舵角をクラッチ解除指令出力時の転舵角δf3に保持し、この転舵角保持制御中、操舵ハンドル1が切り増し操舵された場合、EPS制御を維持するため、クラッチの係合が解除されていない状態でSBW制御を行うことによるハンドル取られの発生を防ぐことができる。
(7) コントローラ10は、ドライバーの切り増し操舵によるEPS制御の維持中、再び操舵ハンドル1が切り戻し操作され、操舵角と転舵角との偏差角が所定値θ1以上になった場合、SBW制御を開始するため、速やかにSBW制御へ戻ることが可能となる。
実施例2は、縁石乗り越え時にSBW制御からEPS制御へ移行し、操舵ハンドルが切り戻し操作された場合、再びSBW制御へと戻る制御を行う例である。なお、システム構成については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
コントローラ10は、縁石乗り越えを転舵モータ6の転舵電流から判断し、縁石乗り越え時にクラッチ5を締結してSBW制御からEPS制御へ移行する。その後、転舵電流から縁石を乗り越えたと判断した場合、EPS制御からSBW制御へ移行する。
[操舵制御処理]
図9は、実施例2のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図5に示した実施例1と同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS21では、転舵電流の絶対値が所定値I1以上であるか否かを判定することにより、縁石を乗り越えている状態か否かを判定する。YESの場合にはステップS2へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。ここで、I1は、通常の走行時(縁石を乗り越えている状態ではない場合)において、転舵電流が超えることのない比較的大きな値(例えば、70A)とする。
ステップS22では、転舵電流の絶対値が所定値I2未満であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS7へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。ここで、I2はI1よりも小さな値とする。
ステップS23では、転舵角をステップS9で切り戻しと判断した時点の角度で保持する指令転舵角を出力し、ステップS11へ移行する。
次に、作用を説明する。
[ハンドル取られ防止作用]
図10は、縁石乗り越え時にクラッチ5を締結してSBW制御からEPS制御へ移行し、縁石乗り越え後にEPS制御からSBW制御へ移行する際の、実施例2のハンドル取られ防止作用を示すタイムチャートであり、ドライバーの切り増し操舵中に、前輪9が縁石に当たり、それを乗り越えた後、操舵角を切り戻してくる状況での動作を示している。
まず、ドライバーの操舵動作中に前輪9が縁石に当たると、転舵角の変化が止まり、指令転舵角と実転舵角との差が大きくなるため、転舵角度サーボ系の演算により転舵電流が大きくなる。時点T0で転舵電流が所定値I1以上になると、クラッチ締結指令を出力し、SBW制御からEPS制御へ移行する。SBW制御からEPS制御へ移行することで、ドライバーの操舵力も縁石を乗り越える際の転舵力として利用することが可能となる。
縁石を乗り越えると、転舵電流が通常の制御状態まで減少する。時点T2でドライバーが操舵角を切り戻すと、転舵角は切り戻し判断時の角度δf1に保持され(ステップS23)、クラッチ解除指令が出力される(ステップS11)。このとき、操舵角と転舵角との偏差角が所定値θ1以上になる前に、時点T3で再びドライバーが操舵角を切り増すと(図11(a)参照)、クラッチ係合方向に作用するトルクが強まる方向となるため、クラッチ解除指令でクラッチが解除されないおそれがある。そこで、再びEPS制御を行う(ステップS9→ステップS2)。
時点T4で再びドライバーが操舵角を切り戻すと、転舵角は切り戻し判断時の角度δf2に保持され(ステップS23)、クラッチ解除指令が出力される(ステップS11)。ドライバーは切り戻し操舵を続けているため、操舵角とδf2に保持されている転舵角との偏差角が大きくなり、時点T5で偏差角が所定値θ1以上になると(図11(b))、SBW制御に移行する(ステップS12→ステップS13)。以上のように、時点T4とT5の間でクラッチ係合方向に作用するトルクが弱まり、クラッチが解除されるため、時点T5から確実にSBW制御に移行できる。
実施例3は、転舵モータの電源としてのバッテリ電圧が低下した際に、消費電力を低減してバッテリ電圧(以下、電源電圧と記載する。)の低下を防止する手法として、SBW制御からEPS制御へ移行し、電源電圧が十分回復した場合、再びSBW制御へと戻る制御を行う例である。なお、システム構成については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
コントローラ10は、電源電圧低下時にクラッチ5を締結してSBW制御からEPS制御へ移行する。その後、電源電圧が十分回復したと判断した場合、EPS制御からSBW制御へ移行する。
[操舵制御処理]
図12は、実施例3のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図5に示した実施例1と同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS31では、電源電圧が所定値V1以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS2へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。ここで、V1はシステムに異常(電圧不足による能力低下)をきたすしきい値に対応して、余裕を持たせた値(例えば10V)に設定する。
ステップS32では、電源電圧が所定値V2以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS33へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。ここで、V2はV1よりも大きい値とする。
ステップS33では、電源電圧がV2以上の状態が所定時間Tv以上経過したか否かを判定する。YESの場合にはステップS7へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。ここで、Tvは十分に電源電圧が回復したと判断できる値(例えば5分)とする。
次に、作用を説明する。
[ハンドル取られ防止作用]
図8は、電源電圧低下時にSBW制御からEPS制御へ移行し、電源電圧が回復した後にEPS制御からSBW制御へ移行する際の、実施例3のハンドル取られ防止作用を示すタイムチャートであり、電源電圧低下時にドライバーが切り増し操舵を行い、電源電圧が回復した後、操舵角を切り戻す状況での動作を示している。
まず、電源電圧が低下し、時点T0で所定値V1以下になると、クラッチ締結指令を出力し、SBW制御からEPS制御へ移行する。SBW制御からEPS制御へ移行することで、バッテリの消費電力を低減することが可能となる。
時点T1で電源電圧が所定値V2以上に回復し、さらにその状態が所定時間Tv以上経過すると、SBW制御への移行可能状態となる。時点T3でドライバーが操舵角を切り戻すと、転舵角は切り戻し時の角度δf1に保持され(ステップS23)、クラッチ解除指令が出力される(ステップS11)。ドライバーは切り戻し操舵を続けているため、操舵角とδf1に保持されている転舵角との偏差角が大きくなり、時点T4で偏差角が所定値θ1以上になると(図14)、SBW制御に移行する(ステップS12→ステップS13)。以上のように、時点T3とT4との間でクラッチ係合方向に作用するトルクが弱まり、クラッチが解除されるため、時点T4から確実に正常なSBW制御に移行できる。
実施例4においては、実施例1〜3のように転舵角を保持した状態で、転舵角と操舵角との偏差角が所定値(θ1)以上となったことが検出された場合にクラッチ5が解除されたと判定するのではなく、転舵角が操舵角より小さくなるように転舵モータ6を駆動して積極的に転舵動作させることによりクラッチ5の解除を行う点で、実施例1〜3とは異なる。なお、システム構成については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
[操舵制御処理]
図15は、実施例4のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図5に示した実施例1と同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS11にてクラッチ解除指令を出力した後、ステップS41では操舵角θfm(プーリシャフト79の回転角)から転舵角θt(ピニオンシャフト17の回転角)を差し引いた値がクラッチ5の係合を解除するために必要な所定角θ1となるように、指令転舵角θta(θta=θfm−θ1)を算出し、ステップS23へ移行する。なお、クラッチ5の係合状態を解除するために必要な所定角θ1は、実施例1と同様にあらかじめ定められた値である。
ステップS42では、ステップS41で算出された指令転舵角θtaに基づいて前輪9を転舵するように、転舵コントローラ11へ指令転舵角を送信して転舵角制御を行い、ステップS43へ移行する。
ステップS43では、転舵角センサ7によって検出される転舵角に基づいて、ステップS42で行った転舵角制御によって実際の転舵角がθtaまで変化しているか否か(転舵角がθtaとなっているか否か)の判定を行う。変化していると判定された場合にはクラッチ解除制御は終了し、ステップS13へと進む。変化していないと判定された場合にはステップS41へ移行し、指令転舵角θtaを再び算出する。θtaを再度算出するのは、操舵中で操舵角θsが変化するために、クラッチ5を解除するための指令転舵角θtaも変化させる必要があるからである。
この実施例4においては、上述したように転舵角が操舵角より小さくなるように転舵モータ6を駆動して積極的に転舵動作させることによりクラッチ5の解除を行う。このため、実施例1〜3のように転舵角を保持した状態で、転舵角と操舵角との偏差角が所定値(θ1)以上となったことが検出されるまで転舵角を保持する場合に比べ、確実かつ迅速にクラッチ5の係合を解除することができる。なお、ステップS11からステップS43までの処理をクラッチ解除制御という。
次に、作用を説明する。
[ハンドルの取られ防止作用]
以下、実施例4の車両用操舵装置におけるハンドルの取られの防止作用を、ステアリングギア比(転舵角/操舵角、すなわちピニオンシャフト17の回転角/プーリシャフト79の回転角)が1よりも小さい場合と、1よりも大きい場合とに分けて説明する。
(ステアリングギア比<1の場合)
図16は、従来の車両用操舵装置において、クラッチ解除指令後のSBW制御時に、操舵角θsに対する指令転舵角θtaの比(以下ステアリングギア比)Gr(=θta/θs)を1よりも小さくして制御する場合の各波形を示す。
従来は、時点t1でSBW制御からクラッチ締結状態としてEPS制御へ移行した後、時点t2でSBW制御に遷移する際、クラッチ5の解除指令は出されているもののクラッチ5の係合方向に大きなトルクがかかっている場合には、クラッチ5は係合したままとなる。このためピニオンシャフト17とプーリシャフト79とが接続されたままであるので、操舵ハンドル1と転舵機構8とは機械的に連結状態となっている。
この状態でドライバーが舵を切り増そうとしても、SBW制御のステアリングギア比は1よりも小さく設定されているため、指令転舵角θtaは操舵角θsよりも小さくなり、転舵モータ6は舵の切り増しを抑止する方向に転舵トルクを発生する。そのため、ドライバーはこの転舵トルクに打ち勝つような操舵トルクを操舵ハンドル1に入力しなければ操舵ハンドル1を操舵することができなくなり、操舵ハンドル1が取られるおそれがある。
これに対し、実施例4では、図17に示すように、時点t2でクラッチ締結状態からSBW制御に移行する場合、すぐにSBW制御に移行せずにクラッチ解除制御を行う(ステップS11→ステップS41→ステップS42→ステップS43)。クラッチ解除制御では、クラッチ解除指令を出し(ステップS11)、クラッチ係合トルクが減少する方向に転舵モータ6を駆動させてクラッチ5の係合度合いを緩和させる(ステップS42)。
その後、時点t3で転舵角がθtaとなっているか否かを判定し(ステップS43)、転舵角がθtaとなっている場合には、クラッチ解除制御からSBW制御へと移行する(ステップS43→ステップS13)。これにより、確実にクラッチ5を解除することができるため、SBW制御に遷移した時点t3以降、ドライバーが操舵ハンドル1を切り増しした場合であっても、ハンドルの取られが発生することはない。
(ステアリングギア比>1の場合)
図18は、従来の車両用操舵装置において、クラッチ解除指令後のSBW制御時に、ステアリングギア比Grを1よりも大きくして制御する場合の各波形を示す。
従来は、時点t10でSBW制御からクラッチ5を締結状態としてEPS制御へ移行した後、時点t20でSBW制御に遷移する際、クラッチ5の解除指令は出されているもののクラッチ5の係合方向に大きなトルクがかかっている場合、クラッチ5は係合したままとなる。このためピニオンシャフト17とプーリシャフト79とが接続されたままであるので、操舵ハンドル1と転舵機構8とは機械的に連結状態となっている。
この状態でドライバーが舵を切り戻そうとしても、SBW制御のステアリングギア比は1よりも大きく設定されているため、操舵角θsの変化に対して指令転舵角θtaの変化分の方が大きくなり、転舵モータ6は切り戻そうとする方向にトルクを発生して、前輪9はさらに動こうとする。このとき、まだ操舵ハンドル1と転舵機構8とは機械的に連結された状態であるため、前輪9が転舵駆動されることで操舵ハンドル1が動き、これによりさらに指令転舵角θtaが変化し前輪9が転舵駆動されるというサイクルになり、ハンドルが取られるおそれがある。
これに対し、実施例4では、図19に示すように、時点t20でクラッチ締結状態からSBW制御に移行する場合、すぐにSBW制御へと移行せずにクラッチ解除制御を行う(ステップS11→ステップS41→ステップS42→ステップS43)。クラッチ解除制御では、クラッチ解除指令を出し(ステップS11)、クラッチ係合トルクが減少する方向に転舵モータ6を駆動させ、クラッチ5の係合度合いを緩和させる(ステップS42)。
その後、時点t30で転舵角がθtaとなっているか否かを判定し(ステップS43)、転舵角がθtaとなっている場合には、クラッチ解除制御からSBW制御へと移行する(ステップS43→ステップS13)。これにより、確実にクラッチ5を解除することができるため、SBW制御に移行した時点t30以降、ドライバーが操舵ハンドル1の切り戻しを行った場合でも、ハンドルの取られが発生することはない。
次に、効果を説明する。
実施例4の車両用操舵装置においては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) コントローラ10は、クラッチ5の締結状態からSBW制御へ移行する場合に、クラッチ5に対しクラッチ解除指令を出力し、クラッチ5の係合解除方向に転舵角が所定角θaだけ回転偏差角を与えるように転舵モータ6を駆動するクラッチ解除制御を行った後、SBW制御を開始する。これにより、クラッチ5が締結した状態でSBW制御を開始することにより発生するおそれのあるハンドルの取られを抑制することができる。
(2) コントローラ10は、クラッチ5の締結状態からSBW制御へ移行する場合に、クラッチ5に対しクラッチ解除指令を出力し、ハンドル1の回転軸(プーリシャフト79)と転舵機構8の回転軸(ピニオンシャフト17)との間にクラッチ5の係合解除方向のトルクを与えるように転舵モータ6を駆動するクラッチ解除制御を行った後、SBW制御を開始する。これにより、クラッチ5が締結した状態でSBW制御を開始することにより発生するおそれのあるハンドルの取られを抑制することができる。
実施例5では、実施例4に対して、クラッチ解除指令を出力してもクラッチ5が係合して外れない(解除されない)と推定される場合にのみクラッチ5を解除するクラッチ解除制御を行う点、クラッチ解除制御による影響が小さい場合にのみクラッチ5を解除するクラッチ解除制御を行う点、クラッチ5が解除されたことを判定する方法が異なる。なお、システム構成については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
[操舵制御処理]
図20は、実施例5のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図5に示した実施例1と同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS51では、操舵状況や車両状態から、クラッチ解除指令を出力した際にクラッチ5の係合が外れるか否かの推定を行い、クラッチ5の係合が外れると推定される場合はステップS55へ移行し、クラッチ5の係合が外れないと推定される場合はステップS52へ移行する。ここで、クラッチ5の係合が外れるか否かの判定は、クラッチ5の係合度合いの推定により行う。すなわち、操舵ハンドル1と転舵機構8とを連結、解除するクラッチ5の回転方向に加わるトルクは、操舵ハンドル1を回転させようとするトルク(プーリシャフト79に付与されているトルク)と転舵機構8のピニオンシャフト17を回転させようとするトルクであるから、そのトルクの一例として、トルクセンサ3で検出されたトルク(操舵反力)と前輪9のハブ部に設けられた軸力センサ14で検出された路面反力とからクラッチ5に作用するトルクを推定し、クラッチ係合度合いとする(係合トルク検出手段に相当)。そして、クラッチ係合度合いがあらかじめ実験等によって求められた所定値以上(例えば5Nm以上)である場合には係合が外れないと判定する。クラッチ5の係合が外れないと判定された場合にはステップS52へ移行し、外れると判定された場合にはステップS55へ移行してクラッチ解除指令を出力し、ステップS13へ進んでSBW制御を行う。
つまり、クラッチ解除指令を出力するだけでクラッチ5の係合が外れる場合であっても、転舵モータ6を駆動することによってクラッチ5の係合を解除するクラッチ解除制御を行うと、クラッチ5の係合が解除された状態で転舵モータ6を駆動している間、EPS制御からSBW制御へ移行するタイミングに遅れが生じて、クラッチ解除タイミングと制御切り替えタイミングが合わないことが考えられるため、クラッチ解除制御は行わない。ここで、本実施例5では、実施例4に記載のように転舵角が操舵角より小さくなるように転舵モータ6を駆動してクラッチ5の係合を解除するクラッチ解除制御を行っているが、実施例1〜3に記載のように転舵角をδf3に保持してクラッチ5の係合を解除する制御に置き換えてもよい。
ステップS52では、クラッチ解除制御を実行可能か否かの判定を行う。ここでは、クラッチ解除制御によって発生する車両挙動の変化や操舵反力の変化がドライバーに違和感を与える程度に大きくなる可能性が有るか否かを推定する(車両挙動変化量推定手段、操舵反力変化量推定手段)。そして、車両挙動の変化や操舵反力の変化がドライバーに違和感を与える可能性が有る場合にはクラッチ解除制御を実行不可能と判定し、ドライバーに違和感を与えない程小さいと推定される場合にはクラッチ解除制御を実行可能と判定する。
すなわち、例えばヨーレートセンサ13(図1参照)によって検出されたヨーレートに基づいて現在のヨージャークを算出し、現在のヨージャークが所定値より大きい(例えば20°/s3より大きい)場合には、クラッチ解除制御に伴う前輪9の転舵駆動による車両挙動の変化が大きく、ドライバーが違和感を覚えやすいと推定して、クラッチ解除制御を実行不可能と判定する。一方、現在のヨージャークが所定値以下(例えば、20°/s3以下)である場合には、クラッチ解除制御に伴う車両挙動の変化が小さく、ドライバーが違和感を覚え難いと推定して、クラッチ解除制御を実行可能と判定する。
または、トルクセンサ3によって検出された操舵反力が所定値より大きい(例えば3Nmより大きい)場合には、SBW制御で反力モータ4を駆動させた時の反力モータ4に応答遅れが発生した場合に操舵反力抜けが大きくなり、ドライバーに違和感を与える可能性が有ると判定して、クラッチ解除制御を実行不可能と判定する。一方、トルクセンサ3によって検出された操舵反力が所定値以下(例えば3Nm以下)である場合には、操舵反力抜けが発生してもドライバーに違和感を与える可能性が低いと判定して、クラッチ解除制御を実行可能と判定する。
なお、この場合反力モータ4の応答時間を考慮して、大きな操舵反力抜けが発生すると推定される場合のみクラッチ解除制御を実行不可能と判定してもよい。
または、ドライバーが保舵中である場合にはドライバーは操舵反力抜けや車両挙動変化を感じ易く、操舵中には変化を感じ難いため、操舵中であることが検出(操舵検出手段)された場合、例えば操舵角センサ2によって検出された操舵角から操舵速度を算出し、操舵速度θspが10°/s以上である場合は操舵中と判定して、クラッチ解除制御を実行可能とする。一方、操舵速度θspが10°/s未満である場合には保舵中と判定して、クラッチ解除制御を実行不可能とする。
なお、上記車両挙動の変化や操舵反力の変化等、全ての条件でドライバーにとって違和感を与えないと判断された場合にクラッチ解除制御を行うようにしてもよいし、いずれか一つのみの判定であっても構わない。これらの条件は適宜選択および組み合わせることが可能である。
クラッチ解除制御を実行可能と判定された場合にはステップS53へ移行し、実行可能でないと判定された場合にはステップS2へ移行する。
ステップS53では、クラッチ解除制御を実行する。このステップS53のクラッチ解除制御は、実施例4の図15におけるステップS11、ステップS41、ステップS42、ステップS43の制御と同一なので、詳細説明は省略する。
ステップS54では、クラッチ解除制御によってクラッチ5の係合が解除されたか否かの判定を行う。すなわち、クラッチ5が係合している場合はクラッチ解除制御を行うことによりクラッチ5の係合は解除されるが、ローラ32の噛み込み以外の原因により内外輪30,31が係合しているような固着や、断線等により電磁石への通電がされないといった故障が発生している場合には、物理的に操舵ハンドル1と転舵機構8とを切り離すことが不可能で、クラッチ解除制御を行ってもクラッチ5は解除されないため、その判定を行う。この判定はクラッチ解除制御を行うことにより変動する操舵反力、操舵角、転舵角等の状態量に基づいて行うことができる。例えば、操舵に対する操舵反力の変化方向や操舵角および転舵角の変化方向から判定することができる。なお、上記の操舵反力はトルクセンサ3で、操舵角は操舵角センサ2で、転舵角は転舵角センサ7でそれぞれ検出することが可能である。
クラッチ5の係合が解除されていると判定された場合にはステップS13へ移行してSBW制御を行い、クラッチ5が解除されていないと判定された場合にはステップS2へ移行してEPS制御を継続する。
実施例5ではSBW制御移行時に、ステップS51において操舵状況や車両状態からクラッチ解除指令を出力するだけでクラッチ5の係合が外れる(解除される)か否かを推定し、係合が外れないと推定された場合、ステップS53へと進んでクラッチ解除制御を行う。
つまり、クラッチ5のローラ32に作用するクラッチ係合トルクが小さい場合には、クラッチ5に解除指令を出力するだけでクラッチ5の係合が外れる。このため操舵状態および車両状態からクラッチ5の係合が外れるか否かを推定し、クラッチ5の係合が外れない場合にのみクラッチ解除制御を行う。これにより、クラッチ解除とSBW制御への制御切り替えタイミングを確実に合わせることが可能となる。
このとき、クラッチ5の係合が外れるか否かの判定は、操舵反力と路面反力とから推定したクラッチ係合度合いと、あらかじめ定められた所定値との比較により判断する。すなわち、操舵ハンドル1と転舵機構8とを連結または切り離すクラッチ5の回転方向に加わるトルクは、操舵ハンドル1(プーリシャフト79)を回転させようとするトルクと、ピニオンシャフト17を回転させようとするトルクである。このため、操舵反力と路面からの入力である路面反力を用いることで、センサ等を用いてクラッチ5に作用するトルクを直接観測することなく、クラッチ5の係合が外れるか否かを推定可能となる。
また、SBW移行制御において、ステップS52では、クラッチ解除制御を実行可能であるか否かをクラッチ解除制御に伴う車両挙動の変化や操舵反力の変化(ヨージャーク、操舵速度反力抜けの程度等)に応じて判定し、クラッチ解除制御が実行可能であると判定した場合、ステップS53のクラッチ解除制御へと進んでクラッチ解除指令を出力する。
すなわち、クラッチ解除制御を実行した場合、前輪9を転舵することになるが、その影響による車両挙動の変化が、ドライバーに違和感を与える程大きくなる可能性が有るか否かをあらかじめ推定し、車両挙動の変化がドライバーに違和感を与える程大きくないと推定される場合にクラッチ解除制御を実行することで、実際の車両挙動変化をドライバーに違和感を与えない程度に抑えつつ、確実にクラッチ5を解除することが可能となる。
また、ステップS52では、上記車両挙動の変化による条件に置き換えて、クラッチ解除制御を実行した場合に発生する操舵反力抜けが、ドライバーに違和感を与える程大きくなる可能性が有るか否かをあらかじめ推定し、ドライバーに違和感を与える程大きくないと推定される場合にステップS53のクラッチ解除制御へと進むようにしてもよい。
つまり、ドライバーが挙動変化を感じやすい手応えとしての操舵反力が所定量3Nm以下の場合に、クラッチ解除制御を実行するため、クラッチ解除制御による操舵反力変化を小さくでき、ドライバーに与える違和感を抑えることが可能となる。
さらに、ステップS52では、上記車両挙動の変化による条件に置き換えて、ドライバーが操舵中であるか否かを操舵速度θspが10°/s以上であるか否かにより判定し、操舵中であると判定した場合、ステップS53のクラッチ解除制御へと進むようにしてもよい。
すなわち、クラッチ解除制御では前輪9を動かすことになるので、保舵状態でクラッチ解除制御を実行すると、ドライバーは車両挙動や操舵反力の変動を感じやすい。よって、操舵中にのみクラッチ解除制御を行うことで、ドライバーに与える違和感を抑えることが可能となる。
なお、ステップS52においては車両挙動の変化や操舵反力の変化が小さい場合、ドライバーが操舵中である場合のいずれかの場合にステップS53のクラッチ解除制御を実行するようにしているが、これに限らずこれらの条件のうちの複数を満たす場合にステップS53のクラッチ解除制御へと進むようにしてもよい。
実施例5のSBW移行制御では、ステップS54でクラッチ5が解除されていないと判定された場合、ステップS2へと進んでクラッチ解除指令を出力した後、EPS制御に移行する。
つまり、クラッチ5は、ローラ32による内外輪間の係合が原因ではなく、固着や断線等が原因で電磁石への通電が不能となる故障によって解除されない場合がある。実施例5では、クラッチ解除制御を行うことにより変動する操舵トルク、操舵角、転舵角といった状態量からクラッチ5が解除されているか否かが判定可能となるため、こうした状況ではSBW制御へ移行せず、EPS制御に移行することで、ハンドルの取られを抑制することができる。
次に、効果を説明する。
実施例5の車両用操舵装置においては、実施例4に記載の効果に加えて以下に列挙する効果が得られる。
(1) コントローラ10は、クラッチ5の係合が外れないと推定された場合にのみクラッチ解除指令を出力するため、クラッチ解除とSBW制御への制御切り替えタイミングを確実に合わせることができる。
(2) コントローラ10は、操舵反力と路面反力からクラッチ5の係合が外れるか否かを推定するため、クラッチ5に新たに設けたセンサ等を用いてクラッチ5に作用するトルクを直接観測することなく、クラッチ5の係合が外れるか否かを推定することが可能となる。
(3) コントローラ10は、クラッチ解除制御に伴う車両挙動変化量であるヨージャークが、ドライバーに違和感を与えない許容値である所定量以下である場合に、クラッチ解除制御を実行するため、ドライバーに違和感を与えることなく、確実にクラッチ5を解除することができる。
(4) コントローラ10は、クラッチ解除制御に伴う操舵反力変化量である操舵反力抜けが、ドライバーに違和感を与えない許容値である所定量以下である場合に、クラッチ解除制御を実行するため、ドライバーに違和感を与えることなく、確実にクラッチ5を解除することができる。
(5) コントローラ10は、ドライバーが操舵中であると判定された場合に、クラッチ解除制御を実行するため、ドライバーに違和感を与えることなく、確実にクラッチ5を解除することが可能となる。
(6) コントローラ10は、クラッチ解除制御後にクラッチ5が解除されていないと判定された場合、EPS制御に移行するため、クラッチ5が解除されない原因がクラッチ5の係合ではなく、電磁石への通電故障等である場合であっても、ハンドルの取られを抑制することができる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、各実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、各実施例に限定されるものではなく、例えば、実施例1〜5では、転舵機構の回転軸とハンドルの回転軸とを係合子によって係合するクラッチとして図3,4に示した2方向クラッチを示したが、転舵機構の回転軸と操舵ハンドルの回転軸とを係合子によって係合するクラッチであればクラッチの構造は任意である。
また、実施例1〜5では、クラッチの締結時には操舵ハンドルからのドライバーの操舵力に補助操舵力を付加するように転舵モータを駆動するパワーステアリング制御(EPS制御)を行う例を示したが、これに限らず、例えばクラッチの締結時にはドライバーの操舵力のみで転舵機構を駆動してもよい。
さらに、実施例5では、車両挙動変化量として例えばヨージャークの変化量を推定する例を示したが、車両挙動変化量としては、ヨーレート、ヨーモーメント、横加速度または横移動量等、転舵角変化に応じて変動する車両挙動であればよい。
実施例1の車両用操舵装置を適用したステア・バイ・ワイヤシステムの構成図である。 実施例1の転舵角度制御系ブロック図である。 実施例1の車両用操舵装置におけるクラッチを示す断面図である。 実施例1の車両用操舵装置におけるクラッチの機械式クラッチ部を示す図である。 実施例1のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートである。 従来技術の問題点を示すタイムチャートである。 実施例1のハンドル取られ防止作用を示すタイムチャートである。 図7のA部(SBW移行タイミング)拡大図である。 実施例2のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2のハンドル取られ防止作用を示すタイムチャートである。 図10のB部(SBW移行しないタイミング)およびC部(SBW移行タイミング)拡大図である。 実施例3のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3のハンドル取られ防止作用を示すタイムチャートである。 図13のD部(SBW移行タイミング)拡大図である。 実施例4のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートである。 従来の車両用操舵装置において、クラッチ解除指令後のSBW制御で操舵角に対する転舵指令角の比(ステアリングギア比)を1よりも小さくして制御する場合の各波形を示すタイムチャートである。 実施例4において、クラッチ解除指令後のSBW制御で操舵角に対する転舵指令角の比(ステアリングギア比)を1よりも小さくして制御する場合の各波形を示すタイムチャートである。 従来の車両用操舵装置において、クラッチ解除指令後のSBW制御で操舵角に対する転舵指令角の比(ステアリングギア比)を1よりも大きくして制御する場合の各波形を示すタイムチャートである。 実施例4において、クラッチ解除指令後のSBW制御で操舵角に対する転舵指令角の比(ステアリングギア比)を1よりも大きくして制御する場合の各波形を示すタイムチャートである。 実施例5のコントローラ10で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 操舵ハンドル
2 操舵角センサ(操舵角検出手段)
3 トルクセンサ
4 反力モータ(操舵反力モータ)
5 クラッチ
6 転舵モータ(転舵アクチュエータ)
7 転舵角センサ(転舵角検出手段)
8 転舵機構
9 前輪(操向輪)
10 コントローラ(操舵制御手段)
11 転舵コントローラ
12 通信線
13 ヨーレートセンサ
14 軸力センサ
17 ピニオンシャフト(転舵回転軸)
21 モデルマッチング補償器
22 ロバスト補償器
30 外輪
31 内輪
32 ローラ(係合子)
33 クラッチケース
34 エンドプレート
35 電磁コイル
36 永久磁石
37 ロータ
38 離反バネ
39 アーマチュア
40 保持器
41 中立バネ
42 ニードルベアリング
43 ボールベアリング
44 ボールベアリング
45 ボールベアリング
79 プーリシャフト(ハンドル回転軸)

Claims (12)

  1. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記ハンドル回転軸の回転角変化に対して前記転舵回転軸の回転角変化が小さくなるように前記転舵機構を駆動して前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記転舵回転軸の回転角を、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する時の回転角に保持することによって、前記ハンドル回転軸の回転角変化に対して前記転舵回転軸の回転角変化を小さくすることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    前記転舵回転軸にトルクを付与する転舵アクチュエータと、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
  4. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    前記クラッチの係合トルクを検出する係合トルク検出手段と、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記係合トルク検出手段によって検出された係合トルクが所定値以上の場合には、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
  5. 請求項に記載の車両用操舵装置において、
    前記係合トルク検出手段は、操舵反力と路面反力とから前記クラッチの係合トルクを推定することを特徴とする車両用操舵装置。
  6. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行い、
    前記クラッチ解除制御に伴う車両挙動変化量を推定する車両挙動変化量推定手段を設け、
    前記操舵制御手段は、前記車両挙動変化量推定手段によって推定された車両挙動変化量が所定量以下の場合、前記クラッチ解除制御を実行することを特徴とする車両用操舵装置。
  7. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    操舵反力の変化量を推定する操舵反力変化量推定手段と、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記操舵反力変化量推定手段によって推定された操舵反力の変化量が所定量以下の場合、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
  8. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    運転者が操舵中であるか否かを検出する操舵検出手段と、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記操舵検出手段によって運転者が操舵中であることが検出された場合、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
  9. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    前記転舵回転軸の回転角である転舵角を検出する転舵角検出手段と、
    前記ハンドル回転軸の回転角である操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行い、該クラッチ解除制御開始後、前記操舵角検出手段によって検出された操舵角と前記転舵角検出手段によって検出された転舵角との偏差角が所定値以上となった場合、前記ステア・バイ・ワイヤ制御を開始することを特徴とする車両用操舵装置。
  10. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    前記ステア・バイ・ワイヤ制御中、前記ハンドルに操舵反力を付与する操舵反力モータと、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際、前記ハンドルに操舵反力を付与すると共に、付与している操舵反力分だけ前記転舵機構に付与するトルクを増大させた後、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
  11. 運転者によって操舵可能なハンドルと、
    操向輪に接続された転舵機構と、
    前記転舵機構に接続されて転舵機構の転舵動作に伴って回転する転舵回転軸と前記ハンドルの回転軸であるハンドル回転軸との間に係合可能な係合子を備え、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合子が係合することで締結して前記転舵機構と前記ハンドルとを機械的に連結すると共に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に係合した前記係合子の係合を解除することで締結を解除して前記転舵機構と前記ハンドルとの機械的な連結を解除することが可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記ハンドルの操舵状態に応じて前記転舵機構を駆動して、前記操向輪を転舵駆動するステア・バイ・ワイヤ制御を行う操舵制御手段と、
    を備え、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記ハンドルが切り戻し方向に操舵されている場合に、前記転舵回転軸と前記ハンドル回転軸との間に、前記クラッチの係合解除方向の回転偏差角を与えるクラッチ解除制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
  12. 請求項11に記載の車両用操舵装置において、
    前記操舵制御手段は、前記クラッチが締結された状態からクラッチの締結を解除して前記ステア・バイ・ワイヤ制御に移行する際に、前記ハンドルが切り増し方向に操舵されている場合には、前記クラッチの締結を保持することを特徴とする車両用操舵装置。
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