Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
JP5237589B2 - 車載コンピュータの製造方法、車載コンピュータ用データ生成装置および車載コンピュータ用データ生成プログラム - Google Patents
[go: Go Back, main page]

JP5237589B2 - 車載コンピュータの製造方法、車載コンピュータ用データ生成装置および車載コンピュータ用データ生成プログラム - Google Patents

車載コンピュータの製造方法、車載コンピュータ用データ生成装置および車載コンピュータ用データ生成プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP5237589B2
JP5237589B2 JP2007175665A JP2007175665A JP5237589B2 JP 5237589 B2 JP5237589 B2 JP 5237589B2 JP 2007175665 A JP2007175665 A JP 2007175665A JP 2007175665 A JP2007175665 A JP 2007175665A JP 5237589 B2 JP5237589 B2 JP 5237589B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waveform
vehicle
control
manufacturing
automatic transmission
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007175665A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009014086A (ja
Inventor
友博 宮部
良一 日比野
秀顕 大坪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2007175665A priority Critical patent/JP5237589B2/ja
Publication of JP2009014086A publication Critical patent/JP2009014086A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5237589B2 publication Critical patent/JP5237589B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

本発明は、自動変速機における変速制御を行う車載コンピュータの製造方法に関する。
従来より、多くの車両に自動変速機が搭載されており、この自動変速機における変速動作は、出力軸トルクおよびタービン回転数が目標通りに推移するように制御される。そして、この制御値を得るためには、各種条件による実車走行試験を行う必要がある。しかし、このような走行試験は、時間と作業量が膨大となるため、これに代わるものとして自動変速機のモデルを利用したシミュレーションなども行われている。
例えば、特許文献1では、クラッチ・トゥ・クラッチ変速において、入力トルクTin、係合側摩擦要素のトルク容量T1、解放側摩擦要素のトルク容量T2、TinとT1とのトルク比を表すA、Tinと変速前の変速段において釣り合うT2とのトルク比を表すB、補正項Cにより設定される運動方程式Tin=AT1+BT2+Cに従い、解放側・係合側摩擦要素のどちらか一方の油圧指令を求めることが示されている。
特許文献2では、モデルを用いて耐久劣化シミュレーションを実行し、どのような変速不具合現象が生じるかを予測する。さらには、得られた予想に従い、制御アルゴリズムを修正することが示されている。
特許文献3には、自動車向け自動変速装置の変速時において、摩擦材の締結容量にばらつき等がある場合でも、変速ショック軽減のためのトルク補正制御と、変速動作が同時に終了するように、実効ギヤ比の時間変化率に基づきトルクダウン量の調整を行うことが示されている。
非特許文献1は、任意の次元のデータの補間方法を提案している。適用例として、海洋観測衛星から得られた海面高度データの補間について述べている。
特開2004−340287号公報 特開2002−122223号公報 特開2005−76593号公報 Geophysical Research Letters vol.14, No.2, pp.139-142, 1987 「Biharmonic Spline Interpolation of GEOS-3 and SEASAT Altimeter Data」 David T. Sandwell
特許文献1では、変速時の解放側または係合側摩擦要素のどちらか一方の油圧指令は、予め適合作業によって求めておく必要がある。
特許文献2は、油圧システムを制御するための基本的な指令油圧データは、予め試験車両を用いた適合作業にて求めておき、ECU内の記憶装置に書き込んでおく必要がある。
特許文献3では、エンジントルクダウン制御の復帰時期と終了時期の調整部分の適合工数のみが削減できる。しかし、油圧制御系の制御定数の設定方法には触れられていない。
ここで、実際に自動変速機を制御するコンピュータ(例えば、ECU(電子制御ユニット)と呼ばれる)は、予めタービン回転数、タービントルク、油温などの情報を引数として、記憶装置内に用意されたマップデータを逐次読み込み、トルクダウン量・ソレノイド指令のように離散的な制御指令を出力している。従って、コンピュータ上での自動適合手法を実用化するためには、理想的なブレーキ油圧などの時間変化を示す連続的な波形から、ECU上にて動作している制御ロジックに即した制御定数を導き出し、さらには先に述べた引数ごとに整理されたマップデータを作成する必要がある。しかし、変速制御の際に使用される摩擦係合要素の基本油圧を決定するマップデータを数値シミュレーションを通じて自動的に求める手法は、これまで報告されていない。
特に、車両向け自動変速機のように、内部の様子を観測するセンサの数が限られており、さらに電動モータほど応答性がよくない油圧機構を利用したシステムの制御においては、特許文献3にあるような変速中の情報をフィードバックする方法のみでは、アクチュエータの応答が追いつかないため変速ショックを改善できる範囲に限度があり、市場の要求を満足する制御性能を実現することは難しい。従って、自動変速機に関して、良好な品質を確保するためには、シーケンシャルに制御モードが切り替わる制御ロジック用のマップデータを予め適合作業の段階において求めておくことが不可欠となる。
なお、非特許文献1では、一般的なデータの補間について述べているだけであって、自動変速機の制御については、言及されていない。
本発明は、自動変速機の変速動作を行う際の構成要素の挙動を示す連続波形を決定する工程と、決定された連続波形と、複数の線形部分を接続して得られ変速動作における制約条件を満足するとともに複数の制御用データに応じて変化する非線形波形と、の誤差を最小化する非線形最適化手法を用いて前記連続波形に近づけた非線形波形を得、得られた非線形波形についての制御用データを導出する工程と、導出された制御用データを車載コンピュータに書き込む工程と、を含み、自動変速機を制御する車載コンピュータを製造することを特徴とする。
また、前記連続波形を決定する工程は、前記自動変速機のモデルを用いてシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果により変速機内部の係合要素の掴み換え動作を最適化して連続波形を決定することが好適である。
また、エンジンへのトルクダウン要求量の連続波形から、制御用定数としてのイナーシャ相開始時のエンジントルクダウン要求量と、トルクダウン制御の復帰条件を求めることが好適である。
また、自動変速機内部の油圧回路系の数値シミュレーションを繰り返すことにより、油圧制御用の定数を求めることが好適である。
また、自動変速機内部の歯車の回転同期の起こるタイミングに基づき、制御定数の初期値または最適化問題を解く際の制約条件を設定することが好適である。
また、自動変速機の多板ブレーキ用油圧回路においてその特性が大きく変化するパック詰まりが発生するまでの現象に関して、最初に最適な定数の探索を行うことが好適である。
また、少なくともアクセル開度および車速についての条件が異なる状況下において数値シミュレーションを実行することで、少なくともタービン回転数およびタービントルクを引数とする不規則な間隔で並ぶ制御定数データを集め、これにデータを内挿および外挿することで、車載コンピュータに書き込み可能な一定の間隔で整理された制御用マップデータを作成し、これを制御データとして車載コンピュータに書き込むことが好適である。
また、本発明に係る車載コンピュータ用データ生成装置は、自動変速機の変速動作を行う際の構成要素の挙動を示す連続波形を取り込む工程と、取り込んだ連続波形と、複数の線形部分を接続して得られ変速動作における制約条件を満足するとともに複数の制御用データに応じて変化する非線形波形と、の誤差を最小化する非線形最適化手法を用いて前記連続波形に近づけた非線形波形を得、得られた非線形波形についての制御用データを導出する工程とを実行して、自動変速機を制御する車載コンピュータに書き込むための制御データを生成することを特徴とする。
また、本発明に係る車載コンピュータ用データ生成プログラムは、自動変速機の変速動作を行う際の構成要素の挙動を示す連続波形を取り込む工程と、取り込んだ連続波形と、複数の線形部分を接続して得られ変速動作における制約条件を満足するとともに複数の制御用データに応じて変化する非線形波形と、の誤差を最小化する非線形最適化手法を用いて前記連続波形に近づけた非線形波形を得、得られた非線形波形についての制御用データを導出する工程と、をコンピュータに実行させて、自動変速機を制御する車載コンピュータに書き込むための制御データを生成することを特徴とする。
このように、本発明によれば、自動変速機の制御に用いる連続波形から、これに対応する制御定数の導出し、車載コンピュータに書き込み可能なデータの作成を自動的に作成することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態は、複数の摩擦係合装置の係合・解放状態に応じて変速比が設定される自動変速機の適合作業に関するものである。
図1には、車両の駆動系の概略構成が示されている。エンジン100の出力軸は、自動変速機110に接続されている。そして、自動変速機110の出力がタイヤに伝達され、車両が走行する。また、自動変速機110は、トルクコンバータ112を介し、エンジン100の出力トルクを油圧式摩擦係合装置114に伝達する。油圧式摩擦係合装置114は複数の遊星歯車を有しており、油圧アクチュエータ116によって遊星歯車によるトルク伝達経路が切り換えられ変速動作が行われる。ここで、油圧アクチュエータ116は、車載コンピュータであるECU120によって制御される。ECU120には、変速指示の他、トルクコンバータ内のタービン回転数、タービントルク、油圧アクチュエータ116に供給される油温などの情報が供給されており、これらの情報を引数として、マップ122を参照して適切な目標油圧を算出し、油圧アクチュエータ116を制御して自動変速機110における変速動作を制御する。
図2に、自動変速機110の変速時の入出力波形を示す。このように、変速動作は、自動変速機110の出力軸トルクが急激に落ち込むトルク相と、トルク相の終了後にトルクコンバータ112内のタービン回転数が急激に下降するイナーシャ相の2つの相に分けられる。油圧アクチュエータ116は、ECU120から出力される2つのソレノイド指令に従いブレーキ油圧PB1、PB2を発生させる。このブレーキ油圧PB1により遊星歯車の切り換えが行われ、変速比が変更される。また、変速時のショック軽減のため、変速中にはエンジン100へのトルクダウン指令もECU120より出力される。
本実施形態では、計算機上での数値シミュレーションを活用して、変速時の係合要素内の油圧やエンジントルクダウン量の連続波形から、これに対応する制御定数の導出し、これをECU120のマップ122に書き込み可能な制御ロジック用マップデータの作成までの工程を自動的に行う。
(適用例1:目標出力波形の設定から制御用マップデータの算出までを全て数値シミュレーションで行う場合)
「目標波形の決定」
最初の適用例として、目標出力波形の設定から制御用マップデータの算出までを全て数値シミュレーションで行う場合について説明する。
本実施形態での適合作業の流れを図3に示す。なお、以下の説明では、自動変速機を搭載した自動車が、低速段で走行中に、一定のスロットル開度を維持したまま、高速段へ変速した場合を対象とする。
図3に基づき、マップデータの作成の手順について説明する。図3のステップS1では、変速開始時における車速とスロットル開度を設定する。図3のステップS2では、簡単な繰り返し計算(第1学習計算)にて、今後の検討のたたき台となる基礎変速波形を求める。
ここで、図4に第1学習計算のフローチャートを、図5に第1学習計算の概要を示す。また、第1学習計算の適用前後のシミュレーション結果を図6、図7に示す。
「第1学習計算概要」
第1学習計算の概要について図5に基づいて説明する。この計算は、CAE(computer aided engineering)モデル上での適合作業として行われる。CAEモデルは、エンジン・トルクコンバータモデル10と、自動変速機の遊星歯車によって構成される遊星ギアモデル12と、解放側ブレーキB1モデル14、係合側ブレーキB2モデル16とを含む。
また、エンジン・トルクコンバータモデル10にはトルクダウン量Tedwが供給され、これによってエンジン・トルクコンバータモデル10が所定のタービントルクを出力する。エンジン・トルクコンバータモデル10の出力は遊星ギアモデル12に供給される。この遊星ギアモデル12には、解放側ブレーキB1モデル14、係合側ブレーキB2モデル16からのトルク容量がそれぞれ供給される。
遊星ギアモデル12は、供給される信号に基づき、出力軸トルクT0およびギア回転数を出力する。遊星ギアモデル12の出力軸トルクT0とギア回転数は、位相時間演算部18に供給され、ここでトルク相、イナーシャ相の位相時間が演算される。計算された位相時間は、加算器20に供給されここで目標位相時間との誤差が計算され、得られた誤差がPB2修正量演算部22に供給される。PB2修正量演算部22は、誤差を解消するために必要な係合側油圧PB2の修正量を計算し、これを加算器24に供給する。加算器24には、係合側油圧PB2の初期値が供給されており、この加算値が係合側ブレーキB2モデル16に供給される。従って、係合側ブレーキB2モデル16は、供給される信号に応じた油圧における係合側ブレーキB2の修正された係合側トルク容量を計算し、これが遊星ギアモデル12に供給される。一方、解放側ブレーキB1モデル14には解放側油圧PB1が供給されており、初期設定の解放側ブレーキB1の解放側トルク容量を遊星ギアモデル12に供給する。このようにして、係合側油圧PB2を修正して、目標の位相時間となる制御波形が計算される。
この第1学習計算について、図4に基づいて説明する。図4のステップS1では、自動変速機へ入力する解放側ブレーキ油圧(PB1)、係合側ブレーキ油圧(PB2)、さらにエンジントルクダウン要求量(Tedw)の初期波形を設定する。さらに、自動変速機の変速動作は、図2に示すように、トルク相とイナーシャ相の2つの相に分けられるため、各位相の予定終了時間t1,t2も設定する。
解放側ブレーキ油圧(PB1)については、トルク相開始の直前から減少し始め、トルク相終了の予定時間t1にて、トルク容量がゼロになるように直線的な波形を初期値として与える。係合側ブレーキ油圧(PB2)については、トルク相開始の直前から立ち上がり始め、トルク相終了時間t1、イナーシャ相終了時間t2においてのみ折れ曲がる波形を初期値として与える。エンジントルクダウン要求量(Tedw)については、トルク相終了時間t1においてステップ的に落ち込み、一定時間その値を維持した後、イナーシャ相終了時間t2においてゼロに戻る波形を初期値とする。なお、これらの初期値は、変速開始時の車速やスロットル開度に応じて変更可能とする。
図4のステップS2では、上記の入力波形(PB1,PB2,Tedw)を用いて、計算機上にて数値シミュレーションを実行する。図4のステップS3では、数値シミュレーションにおいて、変速中のトルク相、イナーシャ相が設定された時間で終了したかを判断する。各相の終了時間の判定は、位相時間演算部18がシミュレーション結果より得られた出力軸トルク波形、遊星歯車内の各部の回転数を観測することで行われる。例えば、加算器20の出力である誤差が所定以下となったことで判断すればよい。
図4のステップS4では、修正量演算部22がトルク相、イナーシャ相が所定の時間t1、t2にて終了するように、この2つの時間での係合側ブレーキ油圧の修正量(ΔPB2_1,ΔPB2_2)を以下に示すように求める。
ΔPB2_1=k1(t1−t1’), ΔPB2_2=k2(t2−t2’)
ここで、k1,k2はゲイン定数、t1’,t2’は直前の数値シミュレーションでのトルク相終了時間、イナーシャ相終了時間を表す。
第1学習計算では、図4のステップS3において、変速時のトルク相・イナーシャ相の終了時間が、設定された目標時間と一致していると判断されるまで、上記係合側ブレーキ油圧の修正と変速シミュレーションを繰り返し行う。
図6に示すように、この第1学習計算の適用前では、各位相の終了時間は設定値と大きくずれている。しかし、ブレーキ油圧の修正と数値シミュレーションを繰り返すことにより、図7に示すように設定通りの時間で変速動作が終了する入力波形を得ることが可能となる。このようにして、図3における第1学習計算が行われる。
図3のステップS3では、システム内部の変動に対してロバストな出力軸トルク波形、タービン回転数波形を品質工学(タグチメソッド)の手法を活用して求めるための準備として、制御因子の設定を行う。
この図3のステップS3では、最初に図3のステップS2で得られた出力軸トルク波形から、図8に示すように特徴点を抽出する。特徴点の抽出には、各種の信号処理用フィルタを用いる。元の出力軸トルク波形から、ある特定の周波数成分のみをフィルタにより抜き出し、出力軸トルクの時間変化率が特に激しい点を特徴点として抽出する。
続いて、抽出された特徴点を参考にして、図9に示すようにC1からC4までの4つの値を、目標出力軸トルク波形を決定する制御因子として設定する。なお、C1はイナーシャ相開始直後の出力軸トルクの増大幅、C2は変速終了時の出力軸トルクの減少幅、C3はトルク相時間、C4はイナーシャ相時間を表す。そして、各制御因子に関してそれぞれ3つの水準を用意し、最適な水準の組み合わせについての検討を開始する。
ここで、単純に考えた場合、3つの水準を持つ制御因子が4つ存在する場合、3の4乗=81通りの組み合わせ全てについての検討が必要となる。このような考え方では、制御因子の数が増えると、実行しなければならないシミュレーション回数が膨大となってしまう。そこで、これらの制御因子を表1に示すように、各制御因子を直交表に割り付けることにより、水準の組み合わせに関する検討を効率よく、最小の試行回数で行うこととする。表1では、4つの因子C1〜C4について、3つの水準1〜3を採用し、18の組み合わせを選択している。そして、各組み合わせについて、−β,0,+βの誤差因子を与え、最適な水準についての評価を行う。
Figure 0005237589
表1の直交表で指定された制御因子の組み合わせに従い、新たに設定した目標出力軸トルク波形の一例を図10に示す。新たな目標出力軸トルク波形を設定するということは、イナーシャ相の開始時間、変速の終了時間がともに変更されることを意味する。そこで、表1に示すように、出力軸トルク波形に合わせて、タービン回転数の目標波形も設定し直す。イナーシャ相の開始直後からタービン回転数の降下が開始し、変速終了時間において、自動変速機の出力軸回転数(N0)に変速後のギヤ比を掛け合わせたものとタービン回転数とが一致するように曲線補間をしたものを新たな目標タービン回転数波形とする。このような新たな目標波形を直交表の行数と同じ数だけ用意する。
図3のステップS4においては、先に述べた第1学習計算とは異なり、システムの運動方程式に基づく学習計算を用いて、設定された目標出力軸トルク波形・目標タービン回転数波形を実現するためのブレーキ油圧、エンジントルクダウンの入力波形を求める。
図11に新たな学習計算(第2学習計算)のフローチャートを、図12にその概要を示す。
図12に示すように、遊星ギアモデル12の出力は、出力軸トルクT0とタービン角加速度ωt・(=dωt/dt)の2つである。出力軸トルクは加算器30に供給されここで目標値T0dから減算され、タービン角加速度ωt・は加算器32に供給されここで目標値ωtd・(=dωtd/dt)から減算され、得られた2つの誤差が修正量演算部34に供給される。修正量演算部34は、トルクダウン量Tedw、解放側油圧PB1、係合側油圧PB2の修正量をそれぞれ算出し、これらを加算器36,38,40にそれぞれ供給する。これら加算器36,38,40では、それぞれの初期値に修正量を加算する。得られた修正されたトルクダウン量はエンジン・トルクコンバータモデル10に供給され、修正された解放側油圧PB1は解放側ブレーキB1モデル14に供給され、修正された係合側油圧PB2は係合側ブレーキB2モデル16に供給される。そして、エンジン・トルクコンバータモデル10からのタービントルク、解放側ブレーキB1モデル14および係合側ブレーキB2モデル16からの解放側および係合側トルク容量TB1,TB2はそれぞれ遊星ギアモデル12に供給され、遊星ギアモデル12からの出力が修正される。
次に、この第2学習計算について、図11の流れに沿って説明する。図11のステップS1では、図3のステップS2の第1学習計算にて得た各入力波形を用いて、変速シミュレーションを実行する。当然のことながら、この時の出力軸トルク波形、およびトルクコンバータのタービン回転数は目標波形とは大きく異なっている。この目標波形と出力結果との差から、各入力波形の修正量を求める手法を次に述べる。
ここでは、自動変速機内部のブレーキB1、B2の掴み換え動作について考える。自動変速機の変速時に関する運動方程式は、以下に示すように記述される。
Figure 0005237589
ここで、T0は出力軸トルク、ωt・(=dωt/dt)はタービン角加速度、TB1は解放側ブレーキB1のトルク容量、TB2は係合側ブレーキB2のトルク容量、Ttはタービントルク、Twは走行負荷トルクを表す。そして、上式内の各係数A11,A12,・・・,A24は、遊星歯車によって構成されるギアトレーン系のギヤ比や各部の慣性モーメントによって決定される定数を表す。ここで、行列表現を用いて、前述の式を以下に示すように記述し直す。
Figure 0005237589
変速シミュレーションの結果として得られた出力軸トルク・タービン角加速度に関して、それぞれの目標値との間に誤差ΔT0・Δωt・がある場合、行列A(太字)の擬似逆行列A(太字)+、および目標値への収束性を調整するゲイン行列K(太字)を用いてブレーキトルク容量・タービントルクの修正量を、図11のステップS4において、以下に示すように求める。
Figure 0005237589
この修正量を、これまでのブレーキトルク容量・タービントルクにそれぞれ加算することで、目標値との誤差を減少させる新たなブレーキトルク容量・タービントルクを得る。
図11のステップS5においては、図11のステップS4の結果を受けてブレーキ油圧波形の修正を行う。係合側ブレーキに関しては、以下に示す関係式より、ブレーキの掴み換えに必要なトルク容量からブレーキ油圧が求められる。
Figure 0005237589
ここで、PB2はブレーキ油圧、μB2は摩擦係数、NB2は摩擦材枚数、RB2は摩擦材有効半径、SB2はピストン重圧面積、FB2はリターンスプリング荷重を表す。
また、イナーシャ相中においては、出力軸トルクのピーク値を抑えるために、エンジンのトルクダウン制御が行われる。一般に、変速中のイナーシャ相中においては、トルクコンバータの入力(ポンプ)回転数と出力(タービン)回転数は、ほぼ一致している。このようにトルクコンバータの入出力回転数に差がない場合は、入力トルクと出力トルクもほぼ一致することが経験的に知られているため、先のタービン修正量ΔTtに従い、エンジンへのトルクダウン要求量を修正する。
一定のサンプリング時間周期で、上記の修正を実施することで、修正された入力波形を得る。
各入力波形が修正された後、図11のステップS2に戻り、修正された入力波形を用いて、再度変速シミュレーションを実行する。この学習計算は、図11のステップS3において、学習計算の終了条件が満たされるまで繰り返し実行される。学習の終了条件の例には、学習計算の繰り返し回数が所定の回数を超えた場合や、目標波形との誤差が十分に小さい値になった場合などが挙げられる。この第2学習計算手法は、システムの運動方程式を用いて、各入力波形の適切な修正量を逐次求めることで、目標波形との偏差を徐々に減少させることを特長としている。
図13,14に第2学習計算手法の適用前後の変速シミュレーション結果を示す。学習計算により、目標波形に一致する出力結果を得るように、各入力波形が修正されていることが分かる。
図3のステップS5では、学習計算手法により導き出された入力波形に対して、誤差因子として±βの変動を与える。また、この誤差因子を表1の直交表の外側に割り付ける。誤差因子±βには、ブレーキ油圧のオフセット、係合摩擦材の摩擦係数の変動、油圧回路内の経路・絞り径(オリフィス)の寸法誤差、エンジントルクダウン制御におけるエンジントルクの落ち込みタイミングのずれなど、制御装置内のあらゆる特性変動を与えることが可能である。
なお、これ以後、具体例としての検討結果について述べる際の誤差因子±βは、意図的に係合側ブレーキ油圧に加えられたオフセット変動成分とする。
図3のステップS6では、上記の誤差因子が加わった入力波形を用いて、変速シミュレーションを実行する。そして、得られたシミュレーション結果から、変速動作が円滑に終了したかを判断するために各評価指標のSN比・平均値を求める。
評価指標としては、出力軸トルクの増減から求められる変速ショック、変速時間、変速時のタービン回転数の吹き上がり量などを採用する。また、自動変速機の変速時には、変速機内部の歯車の回転同期をとるために発生する熱の処理が問題となるため、摩擦係合要素が吸収しなければならない熱吸収量、熱吸収率も評価指標とする。なお、この他にも、変速中の車両の加速度やジャーク、動力をタイヤに伝えるドライブシャフトの捻り振動なども評価指標として採用することができる。
表1の直交表のn番目の制御因子の組み合わせについての検討を行う際のSN比、平均値を以下に示す式により求める。
Figure 0005237589
ここで、yn,1,yn,2,yn,3は、各誤差因子を加えた場合での変速シミュレーション結果から求められた評価指標の値を表し、ηはそのSN比、μは平均値を表す。
上記の図3のステップS3からステップS6までの作業を、表1の直交表で定められた全ての因子の組み合わせについて実行する。
図3のステップS8では、直交表にて定められた制御因子の全ての組み合わせに関する変速シミュレーション結果から得られたデータを基に、要因効果図を作成する。そして、各評価指標のばらつきを抑えつつ、平均値を設計要求が満たされる水準まで移動させることが可能な制御因子の組み合わせを多目的問題最適化手法により求める。
図15から図19に、今回の実施例のなかで評価指標として採用した変速ショック(低周波成分)、変速ショック(捩り振動成分)、変速時間、摩擦材の熱吸収量、熱吸収率に関する要因効果図をそれぞれ示す。変速ショックについては、出力軸トルク波形に対して信号処理用フィルタを適用し、10[Hz]以下の低周波成分と、それ以上の高周波(ドライブシャフトの捩り振動)成分に分離した後、それぞれのフィルタ通過後の波形の振幅の大きさなどを評価した(図20参照)。これらの効果図において、SN比は値が大きいほうが、平均値は値が小さいほうが望ましい傾向を示している。
これらの要因効果図から、各制御因子の水準をどのように設定すれば、誤差因子の影響を減衰させられるのかについて検討を行う。しかし、図15から図19を見比べると分かるように、制御因子C1においては、図15の変速ショック(低周波成分)については水準1が望ましいが、図18の摩擦材熱吸収量については、水準3が望ましいといった具合に、相反する傾向を持つ場合が多々ある。
そこで、このような矛盾点を回避しつつ、最適な解を求めるため多目的最適化の手法を用いる。まず、要因効果図内の各特性を表す折れ線を2次関数で近似し、以下に示すような評価関数を作る。
Figure 0005237589
ここで、変数xは制御因子が水準1から水準3までの間のどの値を持つのかを表し、ai,bi,ciは2次関数の係数を表す。なお、上記の式において、本来SN比は大きければ大きいほど良い特性を表すが、係数の符号を反対にすることにより、関数ベクトルF(x)(太字)の最適化をする際に、最小値を求めるように変更する。
上記のF(X)(太字)のような非線形の多目的関数ベクトルを最小化する際には、ファジィ推論、遺伝的アルゴリズム、ニューロコンピューティングなどの手法を利用することも考えられるが、ここでは数理計画法の一種である多目的ゴール到達法と呼ばれる解法を利用する。
多目的ゴール到達法というのは、以下の式で示すように、重み関数wiと設計ゴールf* iとで表される制約条件の下で、変数γを最小化する手法である。
Figure 0005237589
この手法を適用して最適化を行った結果、図21に示す各水準が最適値として得られた。ちなみに、実際の最適化計算には、The MathWorks Inc.製のソフトウェアであるMATLAB(登録商標)を使用した。
Figure 0005237589
表2の最適値を導き出した際には、設計ゴールf* iには各評価指標のSN比、平均値の全体の平均値を設定し、重み関数wiには設計ゴールの絶対値を与えた。また、各制御因子の水準を表す変数xの初期値には、全て水準3を設定した。
しかし、設計ゴール、重み関数、初期値の設定方法に関しては、必ずしも上記の例にならう必要はなく、状況に応じて設計者の自由に設定を行うことが可能である。
この最適化された制御因子の組み合わせに基づき、図3のステップS3と同様に目標出力軸トルク波形・目標タービン回転数波形を新たに設定する。
図3のステップS9では、上記の最適化された目標出力軸トルク波形・目標タービン回転数波形に対応するブレーキ油圧、エンジントルクダウンの波形を、図3のステップS4と同様に第2学習計算により導出する。図21に導出された入力波形による変速シミュレーション結果を示す。
「マップ定数の作成」
上記の作業を進めたことにより、自動変速機内部に変動が生じても、変速ショックなどの評価指標が大きく悪化しない連続的な入力波形を求めることができた。しかし、実際の自動車に搭載されるECUは、走行中の状態に応じてシーケンシャルに切り替わる制御ロジックに従い、メモリ内に書き込まれたマップデータの値を随時読み出して変速機の制御を行っており、これまでの過程で求めた連続的な入力波形をECU内部のメモリにそのままの形で記録することはできない。そこで、図3のステップS10では、図3のステップS9にて求められた制御指令に基づき、ECUに書き込まれる制御ロジックに即したエンジン、および油圧システム制御用のマップ定数を非線形最適化手法を用いて求める。
<トルクダウン要求量についての制御定数>
エンジンへのトルクダウン要求量の連続波形を離散化・定数化の概要を図22に示す。また、トルクダウン制御用の定数を設定するための作業の流れを図23に示す。
図22において、y(i)は目標となるトルクダウン量の連続波形、tdwはイナーシャ相時間、Tdwは離散化されたトルクダウン要求量、tdw1はトルクダウン量Tdwを維持する時間、tdw2はトルクダウン量をゼロまで戻すのに必要な時間、Y(i)はTdw,tdw1,tdw2によって定められる離散波形を表す。
作業の流れとしては、図23のステップS1において、図3のステップS9において求められたエンジントルクダウン要求量の連続波形を、目標波形y(i)として定める。
図23のステップS2としては、連続波形y(i)と離散波形Y(i)の誤差が最小となるTdw,tdw1,tdw2を求めるための問題設定を行う。ここでは、以下に示す制約条件下で、目的関数の最小化を行うことにする。
Figure 0005237589
ここで、Δtは離散化時のサンプリング時間を表しており、nはtdw=n×Δtとなる整数を表す。
制約条件1は、離散化後もトルクダウン制御が、イナーシャ相中に終了することを定めている。また、制約条件2は、離散化によってエンジントルクダウン量の総和が減少しないことを定めている。これは、エンジンのトルクダウン量の総和が減ると、想定された時間内に変速が終了しないおそれがあるためである。
この制約条件つき非線形最適化問題を逐次2次計画法にて解くことで、イナーシャ相開始直後のエンジントルクダウン要求量Tdw、および自動変速機の出力軸回転数N0に変速後のギヤ比を掛け合わせたものとタービン回転数Ntとの回転数差Nend(=Nt−N0×変速後ギヤ比)が、トルクダウン制御の復帰条件として求まる。
図23のステップS3では、Tdw,tdw1,tdw2の最適値を探索する際の初期値を設定し、図23のステップS4にて、上記の目的関数を最小化する最適化ループを実行する。
図24に定数化の結果を示す。なお、実際の計算には The MathWorks, Inc.製のソフトウェアであるMATLAB(登録商標)の最適化ツールボックスを使用した。図24に示すように、上記の最適化手法を適用することで、連続的なエンジントルクダウン要求波形から、実際のECU内部にて実行される制御ロジックに即したエンジントルクダウン要求量Tdwと、トルクダウン制御の復帰条件Nendが求められる。
<多板ブレーキ用油圧についての制御定数>
次に、自動変速機内部の多板ブレーキ用油圧回路を制御するための定数の導出について述べる。
ブレーキ制御用の油圧回路の概要図を図25示す。図25のソレノイドバルブが、ECUから出力された電流指令に基づき開閉を行うことで、ブレーキ油室内部の油圧を制御し、回転体の締結(停止)と解放を行う。ここで、ソレノイドバルブへ与えられる電流指令とソレノイドバルブから出力される油圧の関係は、完全な線形特性とはなっていない。
さらに、ブレーキ内の油室やアキュムレータが油で満たされ、ブレーキ内部の摩擦板が互いに接触するパック詰まりの状態になるまでは、電流指令とブレーキに発生している油圧との間に大きな差が生じるなど特に強い非線形な特性を持つ。そこで、このような非線形な特性を持つシステムの制御用定数を導出するために、非線形最適化手法を用いる。
図26に油圧回路制御用の定数を設定するための作業の流れを示す。図26のステップS1では、図3のステップS9において求められたブレーキ制御指令を、目標ブレーキ油圧波形に設定する。
図26のステップS2では、制御定数を導き出すための目的関数と、問題を解く際の制約条件を設定する。
図27に最適化前のソレノイド指令とブレーキ油圧を示す。なお、ソレノイド指令の単位が[kPa]になっているのは、ECUは目標とするブレーキ油圧に対応する電流値がソレノイドドライバに与えられるように指令を出すためである。図中のt0,t1.t2.t3.t4は、それぞれECUより変速指令が出たとする時間、ブレーキ内部の油室に圧力が発生し始めた時間、ブレーキ内部のパック詰まりが完了する時間、トルク相開始時間、イナーシャ相開始時間を表す。
ここでは、図3のステップS9までの検討から求められた最適なブレーキ油圧波形Pdを出力するための、ソレノイド指令の時間データtb1,・・・,tb6および油圧データPb1,・・・,Pb5を次に示す目的関数を最小化することで求める。
Figure 0005237589
ここで、Pは数値シミュレーションの演算結果として出力されるブレーキ油圧、Δtはサンプリング時間、nはシミュレーション開始から終了までのデータの個数を表す。
さらに、最適解を探索する際の制約条件として、次に示すような条件を与える。
Figure 0005237589
上記の制約条件下において、目的関数を最小化する定数を逐次2次計画法を用いて求める。逐次2次計画法のように目的関数の勾配情報から最適解を求める際には、最適解の近傍から解の探索を開始しないと、計算が収束するまでの計算時間が非常に長くなり、最適解へ到達できない状況が多々発生するため、入力変数の初期値が重要となる。そこで、図26のステップS3において表3に示すように、目標ブレーキ油圧波形の値を参考にして、各定数の初期値を設定する。
Figure 0005237589
図26のステップS4では、油圧回路のシミュレーションを繰り返し実行することにより、まずパック詰まりが発生する時間t2までの定数の最適化を行う。図25に示したような油圧回路では、ブレーキ油室内に油圧が発生し、パック詰まりの状態になるまでの出力波形が、特にソレノイドバルブへの制御指令の波形と大きく異なる特性を持っている。そこで、時間t2までの制御定数についての検討を集中的に行った後、図26のステップS5にて、変速が完了する時間t4までの制御定数の最適化を行う。
図28に最適化結果を示す。この図より、目標波形に追従するブレーキ油圧波形を出力する各定数が求められていることが分かる。
<制御定数のマップ化>
図3のステップS10にて制御定数が求まった後は、図3のステップS1に戻り、これまでとは車速、スロットル開度などの走行条件が異なる場合について、制御定数を求める作業を繰り返す。そして、複数の条件下でのデータが集まった後、図3のステップS12にて、ECUへ書き込む制御用マップデータを作成する。
通常、ECU内に書き込まれる変速制御用のマップデータは、変速開始時のトルクコンバータのタービン回転数・タービントルク、油温などの値を引数とした形式をとっている。さらに、それらの引数は、表4に例を示すように、50や100、もしくは500や1000といった区切りのよい間隔で値が定義されている。
Figure 0005237589
さらに、制御用マップデータの引数の間隔は、マップデータの種類ごとに異なっている。従って、上記のようなマップデータの引数の値と、変速シミュレーションの開始条件を合わせた後に、机上での数値シミュレーションによって制御定数を試みる場合は、数値シミュレーションの開始条件を合わせる煩雑さや、シミュレーションを行わなければならない箇所が増えるため、余分な計算負荷が発生する。
そこで、制御用マップデータの引数によって定義される点(以後、これを格子点と呼ぶ)の値に条件を合わせてCAE上での適合作業を行うのではなく、数値シミュレーションによる適合作業の結果から得られた不規則な間隔で並ぶ制御定数を補間することで、各制御マップデータの格子点の値を導出する。
図29に作成した制御用マップデータの一例を示す。図29の作成の際には、The MathWorks, Inc.製のソフトウェアであるMATLAB(登録商標)に収録されているプログラムを利用した。このプログラムは、非特許文献1で提案されているデータの補間方法を参考にしており、不規則な間隔で得られたデータ群を曲面補間することで、一定の間隔で整然と区切られたマップデータを作成するものである。図29では、丸印が不規則な間隔で得られた元データの値を表しており、曲面内部の格子点の値が補間されたデータを示している。この補間された曲面内の格子点は、一様な間隔ごとに整頓されているため、ECUへの実装を容易に行うことができる。
(適用例2:車両試験で得られたデータの修正を数値シミュレーションで行う場合)
適用例1では、マップデータの算出までの作業を全て計算機上での数値シミュレーションで行う場合について説明した。
数値シミュレーションは、車両試験と比較して必要な装置の数や、その準備に掛かる工数が少なく、問題となっている事象についての検討が手軽にできるという利点がある。しかしその反面、実車試験と全く同じ結果を得るために、モデルの精度を追及した場合には、計算負荷が膨大となり、答えを得るために必要な時間が、車両試験に掛かる時間よりも多くなってしまう場合もある。
CAEモデルを利用した適合作業を実際の製品開発に用いる場合、モデルの精度は最も重要な課題となる。特にモデル化が難しい現象や、計算負荷が激しい場合は、計算機上だけで適合作業を完遂させることは非常に難しく、作業の仕上げとして数値シミュレーションでの適合結果に基づき車両試験を行い、車両試験から得られたデータを元に、制御用マップデータの微調整を行うことが予想される。本手法をこのような場合へ適用する例を示す。
車両試験により、図30に示すような変速結果を得た場合について考える。この図30自体は、良好な変速動作を示しているが、この試験で使用した自動変速機内部の摩擦材間のクリアランスの仕様が変わり、制御定数を新たに設定しなければならない状況が発生したとする。
このような場合は、多板ブレーキのパック詰まりが発生するまでの制御定数を変更しなければならないため、図31に示すように、車両試験中に計測したブレーキ油圧のパック詰まり発生前の部分を修正したものを新たな目標ブレーキ油圧波形として設定し、それに対応したソレノイドバルブの指令を適用例1の場合と同様に非線形最適化手法を用いた数値シミュレーションにより導出すればよい。
また、図30に示す変速動作では、変速に要する時間が長すぎて間延びした感じがするため、より変速時間が短くなる制御定数を求めたいという要求が寄せられた場合について考える。このような場合には、図32に示すように、変速中のブレーキ油圧を若干高めに修正した波形を新たな目標波形として設定し、油圧システムに関する数値シミュレーションによりソレノイドバルブへの電流指令を決定する制御定数を求めればよい。
上記の作業にて求まった新たな制御定数から、適用例1の場合と同様に、制御用マップデータを曲面補間にて求めれば、適合作業時における車両試験の試行回数、および工数の削減が可能となる。
上述のように、本実施形態の手法を用いれば、計算機上での数値シミュレーションと非線形最適化手法を活用することにより、自動車向け自動変速機の変速時における係合要素内の油圧やエンジントルクダウン量の連続波形から、これに対応する制御定数を自動的に求めることができる。さらに、アクセル開度や車速などの条件を変えた場合の制御定数のデータ群を曲面補間することにより、ECUに書き込み可能な制御ロジック用マップデータの作成までの適合工数を大幅に削減することができる。
実施形態に係る車載コンピュータ(ECU)を搭載した車両の概略構成を示す図である。 変速時の入出力波形を示す図である。 制御用マップ作成のフローチャートである。 第1学習計算のフローチャートである。 第1学習計算の概要を示す図である。 第1学習計算の適用前の状態を示す図である。 第1学習計算の適用結果を示す図である。 出力軸トルク波形からの特徴点抽出を示す図である。 制御因子の設定を示す図である。 目標波形の設定を示す図である。 第2学習計算のフローチャートである。 第2学習計算の概要を示す図である。 第2学習計算適用前を示す図である。 第2学習計算適用後を示す図である。 変速ショック(低周波成分)のSN比・平均値の要因効果図である。 変速ショック(捩り振動成分)のSN比・平均値の要因効果図である。 変速時間のSN比・平均値の要因効果図である。 摩擦材熱吸収量のSN比・平均値の要因効果図である。 摩擦材熱吸収率のSN比・平均値の要因効果図である。 変速ショックの算出を示す図である。 最適な入力波形でのシミュレーション結果を示す図である。 トルクダウン要求量の定数化の概要を示す図である。 トルクダウン制御用の定数設定のフローチャートである。 トルクダウン要求量の定数化結果を示す図である。 ブレーキ制御用油圧回路の概要図である。 ブレーキ制御用の定数設定のフローチャートである。 油圧制御用定数の最適化前を示す図である。 油圧制御用定数の最適化後を示す図である。 制御用マップデータ作成例を示す図である。 車両試験結果を示す図である。 新たな目標ブレーキ油圧波形の設定(1)を示す図である。 新たな目標ブレーキ油圧波形の設定(2)を示す図である。
符号の説明
100 エンジン、110 自動変速機、112 トルクコンバータ、114 油圧式摩擦係合装置、116 油圧アクチュエータ、120 ECU、122 マップ。

Claims (9)

  1. 自動変速機の変速動作を行う際の構成要素の挙動を示す連続波形を決定する工程と、
    決定された連続波形と、複数の線形部分を接続して得られ変速動作における制約条件を満足するとともに複数の制御用データに応じて変化する非線形波形と、の誤差を最小化する非線形最適化手法を用いて前記連続波形に近づけた非線形波形を得、得られた非線形波形についての制御用データを導出する工程と、
    導出された制御用データを車載コンピュータに書き込む工程と、
    を含み、
    自動変速機を制御する車載コンピュータを製造することを特徴とする車載コンピュータの製造方法。
  2. 請求項1に記載の車載コンピュータの製造方法であって、
    前記連続波形を決定する工程は、
    前記自動変速機のモデルを用いてシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果により変速機内部の係合要素の掴み換え動作を最適化して連続波形を決定することを特徴とする車載コンピュータの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の車載コンピュータの製造方法であって、
    エンジンへのトルクダウン要求量の連続波形から、制御用定数としてのイナーシャ相開始時のエンジントルクダウン要求量と、トルクダウン制御の復帰条件を求めることを特徴とする車載コンピュータの製造方法。
  4. 請求項2に記載の車載コンピュータの製造方法であって、
    自動変速機内部の油圧回路系の数値シミュレーションを繰り返すことにより、油圧制御用の定数を求めることを特徴とする車載コンピュータの製造方法。
  5. 請求項4に記載の車載コンピュータの製造方法であって、
    自動変速機内部の歯車の回転同期の起こるタイミングに基づき、制御定数の初期値または最適化問題を解く際の制約条件を設定することを特徴とする車載コンピュータの製造方法。
  6. 請求項5に記載の車載コンピュータの製造方法であって、
    自動変速機の多板ブレーキ用油圧回路においてその特性が大きく変化するパック詰まりが発生するまでの現象に関して、最初に最適な定数の探索を行うことを特徴とする車載コンピュータの製造方法。
  7. 請求項6に記載の車載コンピュータの製造方法であって、
    少なくともアクセル開度および車速についての条件が異なる状況下において数値シミュレーションを実行することで、少なくともタービン回転数およびタービントルクを引数とする不規則な間隔で並ぶ制御定数データを集め、これにデータを内挿および外挿することで、車載コンピュータに書き込み可能な一定の間隔で整理された制御用マップデータを作成し、これを制御データとして車載コンピュータに書き込むことを特徴とする車載コンピュータの製造方法。
  8. 自動変速機の変速動作を行う際の構成要素の挙動を示す連続波形を取り込む工程と、
    取り込んだ連続波形と、複数の線形部分を接続して得られ変速動作における制約条件を満足するとともに複数の制御用データに応じて変化する非線形波形と、の誤差を最小化する非線形最適化手法を用いて前記連続波形に近づけた非線形波形を得、得られた非線形波形についての制御用データを導出する工程と、
    を実行して、自動変速機を制御する車載コンピュータに書き込むための制御データを生成することを特徴とする車載コンピュータ用データ生成装置。
  9. 自動変速機の変速動作を行う際の構成要素の挙動を示す連続波形を取り込む工程と、
    取り込んだ連続波形と、複数の線形部分を接続して得られ変速動作における制約条件を満足するとともに複数の制御用データに応じて変化する非線形波形と、の誤差を最小化する非線形最適化手法を用いて前記連続波形に近づけた非線形波形を得、得られた非線形波形についての制御用データを導出する工程と、
    をコンピュータに実行させて、自動変速機を制御する車載コンピュータに書き込むための制御データを生成することを特徴とする車載コンピュータ用データ生成プログラム。
JP2007175665A 2007-07-03 2007-07-03 車載コンピュータの製造方法、車載コンピュータ用データ生成装置および車載コンピュータ用データ生成プログラム Expired - Fee Related JP5237589B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007175665A JP5237589B2 (ja) 2007-07-03 2007-07-03 車載コンピュータの製造方法、車載コンピュータ用データ生成装置および車載コンピュータ用データ生成プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007175665A JP5237589B2 (ja) 2007-07-03 2007-07-03 車載コンピュータの製造方法、車載コンピュータ用データ生成装置および車載コンピュータ用データ生成プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009014086A JP2009014086A (ja) 2009-01-22
JP5237589B2 true JP5237589B2 (ja) 2013-07-17

Family

ID=40355227

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007175665A Expired - Fee Related JP5237589B2 (ja) 2007-07-03 2007-07-03 車載コンピュータの製造方法、車載コンピュータ用データ生成装置および車載コンピュータ用データ生成プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5237589B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5055318B2 (ja) * 2009-03-31 2012-10-24 ジヤトコ株式会社 自動変速機の制御装置
JP5402834B2 (ja) * 2010-05-28 2014-01-29 トヨタ自動車株式会社 車両用油圧制御装置
JP5991165B2 (ja) * 2012-11-26 2016-09-14 トヨタ自動車株式会社 車両の変速制御装置
JP5790669B2 (ja) * 2013-01-08 2015-10-07 トヨタ自動車株式会社 車両の変速制御装置
JP2022149629A (ja) * 2021-03-25 2022-10-07 いすゞ自動車株式会社 制御装置
CN115325154B (zh) * 2022-08-15 2023-12-22 中国北方车辆研究所 综合传动装置动力换挡过程理想操纵压力曲线计算方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000097325A (ja) * 1998-09-24 2000-04-04 Fuji Heavy Ind Ltd 自動変速機
DE19943334A1 (de) * 1999-09-10 2001-06-07 Zahnradfabrik Friedrichshafen Verfahren zur Regelung einer Kupplung oder einer Bremse in einem Getriebe
JP4728526B2 (ja) * 2000-08-11 2011-07-20 本田技研工業株式会社 車両用自動変速機の制御装置の開発支援装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009014086A (ja) 2009-01-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5237589B2 (ja) 車載コンピュータの製造方法、車載コンピュータ用データ生成装置および車載コンピュータ用データ生成プログラム
US9963150B2 (en) Propulsion system control with MPC
US10125712B2 (en) Torque security of MPC-based powertrain control
US10358140B2 (en) Linearized model based powertrain MPC
CN104048037A (zh) 用于控制具有变速器的车辆的方法
Chen et al. Nonlinear estimation and control of automotive drivetrains
AU2019392564B2 (en) Method for automated calibration and adaptation of automatic transmission controllers
Čorić et al. Optimization of shift control trajectories for step gear automatic transmissions
Fu et al. Gear shift optimization for off-road construction vehicles
Cvok et al. Analysis of improving automatic transmission upshift performance by using off-going clutch during inertia phase
Wu et al. Optimal gear shift control of two-speed dual-clutch transmission in electric vehicle for smoothness and friction loss reduction
JP4728526B2 (ja) 車両用自動変速機の制御装置の開発支援装置
Ranogajec et al. Multi-objective parameter optimization of automatic transmission shift control profiles
Cvok et al. An LQR approach of automatic transmission upshift control including use of off-going clutch within inertia phase
CN107344551B (zh) 发动机脉冲扭矩消除命令的控制
Canale et al. A Model Predictive Control approach to micro-slip control of Automated Manual Transmission systems
JP4769111B2 (ja) 自動変速機のシミュレーション装置およびそのプログラム
JP2009255628A (ja) 車両の制振装置
Nadeem et al. Model predictive control of an automotive driveline for optimal torque delivery with minimal oscillations during torque converter slipping conditions
JP5134220B2 (ja) 変速シミュレーション装置、変速シミュレーションプログラムおよび自動車
Taratorkin et al. Improving the quality of transmission shifting transients due to controlling torque redistribution
Soldo et al. Automatic transmission upshift control using a linearized reduced-order model-based LQR approach
JP6551466B2 (ja) ハイブリッド車両の制御方法
Cerone et al. Set-membership identification of a dry-clutch transmission model
Samanuhut Modeling and control of automatic transmission with planetary gears for shift quality

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120821

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121012

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130319

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130329

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160405

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees