JP5239019B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
こうした孔版印刷装置に用いられているインキは、空気中で放置しても決して固化乾燥することがないようなものが用いられる。具体的には油中水型(W/O型)エマルジョン構造のインキが用いられる。つまり水相が油相中に均一に分散した状態である。印刷機内部のインキが直接に大気と接触していても、インキの成分が変性したり硬化したりするのを防止できる構造であり保存安定性を有している。
これは孔版印刷装置が、特別な清掃動作もしないで使い終えたままで、長期間印刷装置を使用しないで放置していても、再使用時に特別な熟練操作をしないですぐに印刷ができることが求められているためである。そして紙の上に転移したら紙の繊維間への浸透とインキ中の水相の蒸発によって擬似的な乾燥を作るようになっている。しかしあくまでも化学的反応による乾燥や定着ではないので、乾燥は不十分であった。
また印刷物の画像面をヒーターや遠赤外線等で加熱してインキ中の水相蒸発を促進させる方法や、印刷物の画像面インキに高周波を当ててインキ内部の反応を促進させる方法も提案されてきた。
空気中に放置することで、または時間が経過することで、インキ中の溶剤成分が気化する作用を利用して乾燥させるとか、空気中の酸素と反応して硬化する成分を含むインキとか、用紙に転移して薄膜になったインキ内部の硬化反応促進作用や内部樹脂成分の硬化作用を発揮させる方式のインキを使用する方法も知られている。
印刷物の画像面をヒーターや遠赤外線等で加熱してインキ中の水相蒸発を促進させる方法は、高速印刷なので非常に大きな熱容量の装置が必要になり、用紙自体が保有している水分を蒸発させることに熱が消費されてしまい、効果的なインキの乾燥が期待できないという問題点や、高熱で用紙がカールする問題を有している。
高粘度インキや粉体インキを用いて、印刷時には加熱等で一時的に軟化・低粘度化させて印刷する方法は、インキの安定的な供給が困難で、加熱処理部によるインキの軟化が不安定になり、安定した乾燥硬化を得ることは難しい。印刷物の上に粉末を塗布する方法も一時的な裏うつり防止程度の効果しか期待できない。
しかし未使用放置によって、印刷ドラムの円筒状版胴を構成する多孔質金属薄板やスクリーンメッシュが、インキの固化で目詰まりを起こしてしまうことが明らかである。これはインキが広がって表面積を大にする部分では、空気に触れた部分から容易にインキ中の水分や溶剤の蒸発が起こるので、早期に乾燥してしまうためである。
また目的は全く異なるものの、構成と動作の一部が類似している例として、ドラムユニットに時計を設けてその放置時間が予め設定された時間を越えているときに、次回の製版に先立ちオートアイドリング動作を実行するという提案がある(例えば、特許文献4 参照)。目的と使われ方は全く異なるが、印刷終了後に使用済み原紙を剥離排版してしまう考え方について開示されている(特許文献5 参照。)。
またこうした時間経過で定着性が向上する特殊インキではインキ価格が従来インキよりも高くなってしまうという問題もある。
同様に、長期間版胴に装着されたままの孔版原紙の多孔質支持体和紙を伝ってインキを構成する低粘度油性成分が浸透して広がっていく結果、原紙先端クランプ部で油性成分による固着や粘着が起こり排版ミスや給版ミスといったトラブルが起こりやすくなるということがある。
乾燥固化しやすい特殊インキにおいては、樹脂を追加することになるが、このことでインキの粘度が大きくなりやすい。そこで、粘度を最適値にするために、どうしても低粘度の油性成分を追加するか、または量を多くすることが必要になってしまう。つまり、乾燥固化向上インキの場合には、従来インキに比べてエマルジョンを構成する油相成分比が大になり、同時に、低粘度の油性成分(オイル類)の量が多くなってしまうことになる。ドラム外周に孔版原紙を装着したままで放置すると、この低粘度油性成分がマスタの和紙部内を浸透して広がっていくのである。
同図において符号1は孔版印刷装置、11は従来インキの版胴ユニットA黒、12は従来インキの版胴ユニットA赤、13は新特殊インキの版胴B黒、15は版胴ユニット識別センサ、16は識別のための突起部をそれぞれ示す。
版胴種類の識別の方法としては、機械的方法や電気的方法がある。機械的方法であれば、例えば、突起部を同図において斜線を施した突起部だけが紙面に垂直な方向にずらす構成にしておくとか、或いは、同図において斜線を施した突起部だけが、ユニット装着の力でユニット側に陥入するようにし、他の突起は動けないように固定しておくことなどで実施できる。また電気的方法であれば、同図において斜線を施した突起部だけが導電性のキャップをはめ込まれているか、或いは逆に絶縁性のキャップをはめ込まれていても良い。要は、他の突起部との違いが識別できる構成になっていればよい。このように、他の突起部と違う状態に置かれた突起部を、突起部がON状態になっていると表現する。
孔版製版印刷装置1に対して3本の円筒状版胴ユニットを保有しており適宜使い分けできるようになっている。本例では、円筒状版胴ユニット11と12は従来型エマルジョン孔版印刷インキが内蔵されたユニットAであり、円筒状版胴ユニット13は乾燥定着性向上型孔版印刷インキが内蔵されたユニットBである。更に11は黒インキがセットされており12は赤インキがセットされている。13は黒インキがセットされている。
ここで版胴ユニット識別センサ15は、従来型エマルジョン孔版印刷インキが内蔵されたユニットAの黒インキドラム11が装着されているか、ユニットAの赤インキドラム12が装着されているか、それとも乾燥定着性向上型孔版印刷黒インキユニットBのドラム13が装着されているかを識別できるようになっている。
同図では各版胴ユニットが3個の突起部16を有して、円筒状版胴毎にどの突起部がON状態になっているかによって3種類を識別可能にしている場合を示す。
デジタル孔版印刷装置用のインキとしては従来から油中水型エマルジョンインキが使用されているが、通常はその中に常温で硬化するような性質の樹脂を含有していない。これは印刷機を長期間そのまま不使用状態で放置しても、次に再使用する場合に版胴やスクリーンや版胴内部でインキが高粘度化して固着することが起こらず、いつでも再使用時に画像が出るようにというためである。
しかし逆にいえばこうしたインキを用いた印刷物の画像はいつまで経っても乾燥しないし定着しないことになる。特にハガキや名刺やカードなどへの印刷では画像が定着しないことは汚れを発生させるので問題となる。
上記の乾燥定着性を向上させるためのインキ処方においては、エマルジョンを構成する油相成分の比率が従来のインキに比較して多くなってしまう。その結果使用済み原紙が長期間版胴外周面に装着されたままでいれば、版胴とスクリーンが保有するインキから低粘度性の油分が分離してきてそれが前記使用済み原紙の和紙繊維部分の中を浸透しながら広がっていくことになる。乾燥定着性を向上させたインキはこの傾向が大きいのである。
同図において符号17は円筒状版胴、18は孔版原紙、19は開閉式クランパ、20は検出ポイントをそれぞれ示す。
孔版原紙18は、円筒状版胴17の外周に巻き付け装着され、孔版原紙18の先端部は開閉式クランパ19によりクランプされている。
18aは孔版原紙18の製版されたエリアを示し、この部分には版胴開孔部を通過したインキがその和紙部分を満たしているためインキで黒くなっている。18a以外の部分はインキが付着しておらず、和紙部分のため白くなって見える。
そして円筒状版胴ユニットの外表面に孔版原紙が装着されていることを検出するポイントが20であり、孔版印刷装置本体側に設けられた図示しない光反射式センサによって孔版原紙の和紙の白を検知するようになっている。
この場合、円筒状版胴17上に卷回されたままの孔版原紙18の製版エリア18aのインキオイル成分がエリア18a以外の部分エリア18bに浸透して広がっている。低粘度性の油分が分離して和紙部を浸透して広がり、18bのエリアが白ではなく若干黄色に濡れたように変色してしまっている。
このためにポイント20の部分を使って原紙有無を検知センサで検出する時に、反射率の値が低下してしまい原紙が装着されているのに原紙がないと誤検知してしまうことになる。
この誤検知が起きると製版開始時に、排版工程が実施されないままに新しい製版原紙が巻きつけられてしまい、孔版原紙の二重巻きになってしまう。
したがって、定着性向上の特殊インキを有する版胴ユニットにおいては、使用済み原紙をそのままクランプして放置すると上記の問題を発生するので、不使用放置にする場合には印刷が終了したら排版させてしまおうというのが本発明の主旨である。
印刷が終了した時点でそのまま継続印刷をするかどうかを確認して、応答結果により不使用状態になることが分かれば排版動作を行うようにするのである。
同図において符号21は版胴ユニット13の不使用時間計測装置、22は記憶装置、30は制御装置、31は排版駆動装置、32は操作パネル、33は液晶表示部、34は応答部をそれぞれ示す。
図5a、bは本発明の孔版製版印刷装置における制御フロー図である。
ここで実際の印刷動作を事例にしながら制御のプロセスを説明する。
孔版製版印刷装置1に円筒状版胴ユニット13(乾燥定着性向上型孔版印刷インキ黒)を装着して、この円筒状版胴ユニット13で500枚の印刷を行った。つまり原稿をセットし操作パネル32から印刷部数を500とセットして製版スタートキーを押した。製版工程から印刷工程が行われて500枚の印刷動作が終了した。
孔版印刷装置1の制御装置30は、特殊インキの版胴ユニット13が装着された状態で印刷が行われ、それが終了したことを確認した段階で、予め設定された通り必要な表示をするように制御される。表示に必要な情報や、現在の装置の状態等はすべて記憶装置22に保管されている。
「この版胴ユニットのままで印刷を継続使用しますか?」→「はい」、「いいえ」
たとえば今日の印刷はこれで終了なので応答部34から「いいえ」を選択指示する。
もしも「はい」を選択した場合には同じ版胴ユニットで印刷が実施されるはずなので、使用済みの版の排版を行い、次の製版動作と印刷動作を継続的に使用することができる。その印刷が終了した時点で再び上の確認文章が表示されることになる。
「排版動作を実施しますが宜しいですか?」→「はい」、「いいえ」
そこで応答部34から「はい」を選択指示する。
もしも「いいえ」を選択した場合は、排版動作は行われないが継続して使用するものと判断されてしまうので、その後12時間以内に次の印刷動作が開始されれば問題なしだが、もしもそのまま放置で12時間後にも次の印刷が開始されない場合には「第一の警告表示」が出る。この警告は例えば、
「版胴ユニットを外してドラムケースに保管してください」である。
「版胴ユニットを外してドラムケースに保管してください」
「この版胴ユニットは2週間以内に再度印刷に使用して下さい」
孔版印刷装置1の制御装置30は、版胴ユニット識別センサ15によって版胴ユニットが外されたことを検知したら、不使用時間計測装置21を用いてそこからの経過時間計測を開始する。
もちろん版胴ユニットが外されなかった場合にもそこからの経過時間計測を開始する。
経過時間計測の結果その値が設定値1(たとえば300時間:約2週間)を経過した場合には、その時点で液晶表示部33により「第三の警告」を表示する。その時点で電源がOFFされていた場合には、その後電源がONされたらすぐに「第三の警告」を表示するように制御する。
「特定インキ版胴ユニットの不使用時間が許容限度を越えましたので、直ちに新しい原紙を装着して印刷を実施してください」
経過時間計測の結果その値が設定値1を経過する前に、特定インキ版胴ユニットが装着されて製版印刷動作が行われた場合には、その時点で経過時間計測をキャンセルしてしまう。そしてその印刷が終了したところで前記と同様に「第一の確認表示」を行う。以下は上記と同じである。
「第二の警告表示」である「版胴ユニットを外してドラムケースに保管してください」が表示されたのに、その版胴ユニットが外されなかった場合には、不使用時間計測装置34を用いてそこからの経過時間を計測してその値が設定値2(設定値1より短い時間、たとえば150時間:約1週間)を経過した時点で液晶表示部33により「第三の警告」を表示する。これらの各警告を所定の警告と呼ぶ。
版胴ユニットが外された場合には専用のドラムケースに保管されたものと判断するが、版胴ユニットが外されなかった場合にはより短い時間で不具合の発生が起こる可能性があるので、設定値1ではなく、それより短い時間である設定値2を使用する。これらの値を所定値と呼ぶ。所定値の具体的な数値は、使用されるインキの特性によって異なるので、そのインキ毎に記憶装置に設定しておくことになる。このような設定は、例えば、後述の操作パネル32の「機能キー」を押すことによって、液晶表示部に必要な機能一覧が出て、その中から所望の機能をタッチすることにより、数値を数値入力テンキー35から入力できるようにしておく。
同図において符号35は数値入力テンキー、36は製版スタートキー、37は印刷スタートキー、38はストップキー、39は印刷設定枚数表示部、40は赤ランプをそれぞれ示す。
通常の基本的印刷時操作では、スキャナ部に原稿をセットして印刷したい枚数を数値入力テンキー35で指示して印刷設定枚数表示部39に印刷設定枚数を表示させ、製版スタートキー36で製版動作を実施させ、次にプリントスタートキー37を押すだけで必要枚数の印刷が自動的に実施されるようになっている。特殊印刷用のインキの種類を変更して、所定値も変更する必要があるときは、機能キーを押すことで、液晶表示部に機能の一覧を表示させ、その中から所望のキーを選択してタッチすることで、数値入力テンキー35から必要な数値が入力できるようにしておく。入力された数値は、記憶装置に保存され、警告表示のときに使用される。定常的に使用される特殊インキが定まっている場合は、そのインキに対応した所定値を既定値として記憶装置に保存しておき、特に変更の指示がない限り、その既定値が用いられるようにすると良い。
確認表示や警告表示の場合には赤ランプ40が点灯して更に液晶表示部32において、前記の各種文章が表示される。
11 版胴ユニットA黒
12 版胴ユニットA赤
13 版胴ユニットB黒
15 版胴ユニット識別センサ
17 円筒状版胴
18 孔版原紙
20 検出ポイント
33 液晶表示部
Claims (3)
- 製版された孔版原紙を外周に巻き付け装着され、自身の中心軸線周りに回転駆動される円筒状版胴ユニットが、孔版印刷装置本体に対して着脱可能に構成されている孔版印刷装置において、
装着されている円筒状版胴ユニットを識別するための版胴ユニット識別センサと、
前記円筒状版胴に装着されている使用済み原紙を剥離して排版する動作を実施する排版動作制御装置と、
応答待ち表示もしくは警告表示を行うための表示装置と、
前記応答待ち表示に応答するための応答手段と、
前記円筒状版胴ユニットの使用が終了後使用されていない時間間隔を計測する版胴ユニット不使用時間計測装置と、を有して、
前記版胴ユニット識別センサが、乾燥固化しやすいインキを用いている特定の版胴ユニットを使用したことを検知した場合には、その特定の版胴ユニットを使用した印刷が終了した時点で、同じ版胴ユニットを用いた印刷を継続するかどうかの応答を求め、印刷を継続しない旨の応答が選択された場合には直ちに排版を実行するように制御し、排版が実行された場合には前記不使用時間計測装置を作動させ、その値が所定値を越えた場合に、前記表示装置によって所定の警告を表示するように制御することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1に記載の孔版印刷装置において、
前記特定の版胴ユニットを所定のドラム保管ケースに入れて保管するように警告表示することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1に記載の孔版印刷装置において、
前記特定の版胴ユニットを今後継続不使用とする期間に限度があることを警告表示することを特徴とする孔版印刷装置。
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