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JP5239772B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description

本発明は、回転電機に係り、特に、回転軸に設けられる導電性のスリップリングと、スリップリングに押し付けられて電気的に接触するブラシとを備える回転電機に関する。
回転電機のコイルに通電を行う方式として、回転軸に設けられる整流子と呼ばれるスリップリングと、固定側に設けられるブラシとを用いる方式がある。この場合に、回転するスリップリングとブラシとは摩擦接触によって電気的に導通するので、回転軸の回転に伴ってブラシとスリップリングが摩耗する。例えば、銅等の金属でスリップリングを構成し、カーボンを含む材料でブラシを構成すると、主にブラシの方が回転電機の作動と共に摩耗する。
例えば、特許文献1には、DCモータのブラシホルダー装置について、駆動軸に嵌挿される整流子に、ホルダに保持されるブラシがスプリングで押圧されることで、整流子にブラシが接触摺動し、ブラシから整流子を介して電機子に電流が流れることが述べられている。
特開平5−300705号公報
上記のように、スリップリングとブラシとは接触によって電気的に接続されるので、スリップリングが回転するときに安定した接触を維持する必要がある。すなわち、スリップリングの回転に対するブラシの追従性を向上させる必要がある。また、ブラシの押付力が変化すると電気的接続の信頼性が低くなるので、ブラシが摩耗しても押付力が変動しないようにする必要がある。
本発明の目的は、スリップリングに対しブラシを安定的に接触させることを可能とする回転電機を提供することである。他の目的は、ブラシが摩耗するときでも安定した押付力を確保できる回転電機を提供することである。以下の手段は、これらの目的の少なくとも1つに貢献する。
本発明に係る回転電機は、回転軸に設けられる導電性のスリップリングと、回転するスリップリングに押し付けられて電気的に接触するブラシと、筐体部に取り付けられ、スリップリングに対するブラシの押付力を与える押付機構と、を備え、押付機構は、ブラシの質量に比べ大きな質量を有する中間部材と、ブラシと中間部材との間に取り付けられる押付用弾性体と、中間部材に一方端が取り付けられる緩衝用弾性体であって、押付用弾性体の弾性定数に比べ小さな弾性定数を有する緩衝用弾性体と、緩衝用弾性体の他方端に取り付けられ、緩衝用弾性体の付勢力についての原点位置を調整する調整部と、を含み、中間部材は、筐体部に設けられた回転支持部において他方端が回転自在に支持され、一方端が筐体部の周方向に沿ってブラシの方向に延びる部材であって、質量の大小関係に代えて、その回転支持部周りの慣性モーメントがブラシのその回転支持部周りの慣性モーメントに比べ大きいアーム状部材であり、押付用弾性体は、一方端がブラシの頂部に接続されて、アーム状部材の一方端側の予め設定された押付用弾性体取付位置に接続される他方端を有し、緩衝用弾性体は、一方端がアーム状部材の他方端側の予め設定された緩衝用弾性体取付位置に接続され、調整部は、筐体部に設けられ、緩衝用弾性体の他方端を筐体部の円周方向に移動させて緩衝用弾性体の付勢力についての原点位置を調整する移動機構であることを特徴とする。
また、本発明に係る回転電機において、中間部材の回転支持部から押付用弾性体取付位置までの長さLと、回転支持部から緩衝用弾性体取付位置までの長さSの間の比である(S/L)は、(1/2)以下(1/20)以上であることが好ましい。
また、本発明に係る回転電機において、調整部は、予め定めた回転電機の運転状態に応じて、ブラシの押付力が軽減される方向に緩衝用弾性体の原点位置を変更することが好ましい。
上記構成により、回転電機は、スリップリングに対するブラシの押付力を与える押付機構として、ブラシの質量に比べ大きな質量を有する中間部材と、ブラシと中間部材との間に取り付けられる押付用弾性体と、中間部材に一方端が取り付けられ、押付用弾性体の弾性定数よりも小さな弾性定数を有する緩衝用弾性体と、緩衝用弾性体の他方端に取り付けられ、緩衝用弾性体の付勢力についての原点位置を調整する調整部とを含む。
このように、ブラシ−押付用弾性体中間部材−緩衝用弾性体調整部と直列に接続された構成において、ブラシの質量よりも中間部材の質量が大きく、また、押付用弾性体の弾性定数よりも緩衝用弾性体の弾性定数が小さい場合には、調整部の位置を動かすことにより、その移動量はほとんど緩衝用弾性体の変形量となり、その変形量による弾性力が押付用弾性体の弾性力に加減される。したがって、ブラシに対する押付量を可変できることになり、例えば、ブラシとスリップリングとの間の通電が必要なときに押付力を大きくして電気的接触を良好なものとし、通電の必要のないときに押付力を軽減してブラシの不必要な摩耗を抑制することができる。
また、上記構成のように、ブラシの質量よりも中間部材の質量を大きく、また、押付用弾性体の弾性定数よりも緩衝用弾性体の弾性定数が小さく設定することで、単にブラシと押付用弾性体のみの構成に比べ、全体の振動系の固有振動数を高くすることができる。これによって、スリップリングの偏心や摺動面の凹凸等による摺動位置の変動に対するブラシの追従応答性を良好なものとできる。
また、上記構成において調整部を固定位置として、ブラシが摩耗したときには、ブラシの摩耗量の分がほとんど緩衝用弾性体の変形量の減少によってまかなわれる。緩衝用弾性体の変形量が減少すると、その分弾性力が減少してブラシに対する押付力も減少する。その減少量は、緩衝用弾性体の弾性定数にブラシの摩耗量を乗算した値に近い値となる。緩衝用弾性体の弾性定数は押付用弾性体の弾性定数に比べ小さいので、この値は、押付用弾性体の大きな弾性定数でほぼ定まる元々の押付力に比べかなり小さな値となる。したがって、上記構成によれば、ブラシの摩耗による押付力の変化を小さな範囲に抑制することができる。
また、回転電機において、中間部材は、筐体部に設けられた回転支持部において他方端が回転自在に支持され、一方端が筐体部の周方向に沿ってブラシの方向に延びる部材であり、一方端側に押付用弾性体が取り付けられ、他方端側に緩衝用弾性体の一方端が取り付けられ、調整部は、緩衝用弾性体の他方端を筐体部の円周方向に移動させる。このような構成によって、押付機構をブラシ筐体部の周方向に配置するので、押付機構の配置を筐体部の外形の範囲で納めることが可能となり、配置の空間利用効率が向上する。
また、回転電機において、中間部材の回転支持部から押付用弾性体取付位置までの長さLと、回転支持部から緩衝用弾性体取付位置までの長さSの間の比である(S/L)は、(1/2)以下(1/20)以上である。このようにすることで、ブラシが摩耗したときに、中間部材の押付用弾性体取付位置でブラシの摩耗量に相当する移動量があっても、緩衝用弾性体取付位置においては、その移動量の(S/L)に過ぎない。このように、緩衝用弾性体に対するブラシの摩耗量の影響を少なくすることができる。
また、回転電機において、調整部は、予め定めた回転電機の運転状態に応じて、ブラシの押付力が軽減される方向に緩衝用弾性体の原点位置を変更する。これにより、ブラシとスリップリングとを介する電流経路が不必要となるときは、ブラシのスリップリングに対する押付力を小さくして、ブラシの不必要な摩耗を抑制することができる。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、回転電機として、ステータと、永久磁石ロータと、巻線ロータとを備え、永久磁石と巻線ロータとの間にクラッチが設けられ、巻線ロータの回転軸の一方側がエンジンに接続され、永久磁石ロータが変速機に接続される動力伝達機構を説明するが、これ以外の構造であっても、スリップリングとブラシとが用いられる回転電機であればよい。また、以下で述べる材質、形状、寸法等は説明のための例示であり、回転電機の仕様等に適合するように適宜変更が可能である。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、スリップリングとブラシが用いられるハイブリッド駆動システム10の構成を説明する図である。このハイブリッド駆動システム10は車両の駆動に用いられるもので、エンジン12と変速機14との間に動力伝達機構としての回転電機20が設けられる。変速機14の先は、車輪16に接続される。
回転電機20は、3相信号で作動し、回転軸22と、ロータ巻線25が巻回され回転軸22周りに回転可能な巻線ロータ24と、永久磁石が取り付けられ回転軸22周りに回転可能な永久磁石ロータ26と、永久磁石ロータ26の外周側に配置され回転電機筐体部に固定されるステータ28とを含む。そして、回転軸22には、スリップリング30が取り付けられ、このスリップリング30に押し付けられるようにブラシ部32が設けられる。スリップリング30とブラシ部32は、3相信号のそれぞれに対応し、3つの電気的に分離された部分を有する構成となっている。3相に対応する3つのスリップリング30のそれぞれは、巻線ロータ24の巻線であるロータ巻線25における3相巻線のそれぞれに接続される。
ハイブリッド駆動システム10は、電源回路部として、ブラシ部32から取り出される3相信号を直流に整流する整流器60と、整流器60の出力を昇圧するDC/DCコンバータ62と、DC/DCコンバータ62の正極母線と負極母線に両端子が接続されるものとして、バッテリ64と、インバータ66と、クランキング用インバータ68を含んで構成される。また、図1には図示されていないが、ハイブリッド駆動システム10を構成する各要素の作動を全体として制御する制御部を含んで構成される。
かかるハイブリッド駆動システムの動作は以下の通りである。図1の構成において、エンジン12の動力により回転軸22を介して巻線ロータ24が回転駆動され、巻線ロータ24の回転速度が永久磁石ロータ26の回転速度よりも高くなると、巻線ロータ24の巻線であるロータ巻線25に誘起起電力が発生する。ここで、DC/DCコンバータ62の出力電圧がバッテリ64の電圧よりも高くなるようにDC/DCコンバータ62の昇圧比を制御することで、ロータ巻線25に誘導電流が流れ、巻線ロータ24と永久磁石ロータ26との間にトルクが作用して永久磁石ロータ26が回転駆動される。
このパワー伝達経路は、エンジン12の機械的動力によるものであるので、これを機械パスと呼ぶことができる。巻線ロータ24と永久磁石ロータ26との間に作用するトルクは、DC/DCコンバータ62の昇圧比、すなわち、DC/DCコンバータ62を構成するスイッチング素子のデューティ比により制御可能である。上記構成によって、巻線ロータ24と永久磁石ロータ26との回転差を許容できるため、車輪16の回転が停止してもエンジン12がストールすることがなく、いわゆるトルクコンバータとしての機能を実現できる。
さらに、ロータ巻線25に発生した3相交流電力は、スリップリング30とブラシ部32を介して取り出される。取り出された交流電力は、整流器60で直流に整流され、整流された直流電力はDC/DCコンバータ62で昇圧される。そしてDC/DCコンバータ62からの直流電力がインバータ66によって再び3相交流に変換されてからステータ28の巻線であるステータ巻線29に供給されることで、ステータ28と永久磁石ロータ26との間にトルクが作用する。このパワー経路は、電力によるものであるので、これを電気パスと呼ぶことができる。
また、バッテリ64からステータ巻線29へ電力供給を行うようにインバータ66のスイッチング動作を制御して、ステータ28と永久磁石ロータ26との間にトルクを作用させることで、エンジン12が動力を発生していなくても、永久磁石ロータ26を回転駆動させることができる。すなわち、いわゆるEV(Electrical Vehicle)走行を行うことができる。
また、バッテリ64からの電力を用いてクランキング用インバータ68によって3相信号を生成し、ブラシ部32とスリップリング30を介して巻線ロータ24のロータ巻線25に駆動電流を供給することができる。これによって永久磁石ロータ26と巻線ロータ24との間にトルクを発生させ、エンジン12を起動させることができる。すなわち、クランキング機能を持たせることができる。さらに、クラッチ18を切断することで、巻線ロータ24のロータ巻線25に発生する電力を取り出すことができる。すなわち、発電機としての機能を持たせることができる。
上記のように、図1で説明した回転電機20は、トルク増幅機能を有するトルクコンバータとしての機能、エンジン直結駆動機能、モータとして用いてハイブリッド走行とEV走行を可能とする機能、エンジン始動のクランキング機能、発電機としての機能等を車両の運転状況に合わせ選択的に用いることができる多機能の動力伝達機構である。
次に、この回転電機20におけるスリップリング30とブラシ部32の詳細について説明する。図2は、スリップリング30とブラシ部32の様子を示す図で、正面図と側面図が示されている。
スリップリング30は、回転電機20の回転軸22に回転止めされて固定され、回転軸22と一体的に回転する金属製のリングである。図2の側面図に示されるように、スリップリング30は、3相信号に対応して3つ並列に回転軸に設けられ、それらの間は絶縁材料の環状部材で仕切られている。各スリップリング30は図示されていない引出配線によって、回転電機20の巻線ロータ24の3相のロータ巻線25のそれぞれに接続される。
かかるスリップリング30としては、例えば、純銅製の材料を加工してリング状としたものを用いることができる。3つのリングを互いに電気的に絶縁して並列に整列配置するには、絶縁材料と一体成形する方法を用いることができる。
ブラシ部32は、ブラシ34と、押付機構40と、ブラシ筐体部36とを含んで構成される。ブラシ筐体部36は、図2の正面図に示されるように円環状の部材で、回転電機20の筐体に固定して取り付けられ、押付機構40とブラシ34を保持する機能を有する。
ブラシ34は、回転軸22と共に回転するスリップリング30に押し付けられて電気的に接触する導電性の摺動部材である。ブラシ34は、3つのスリップリング30のそれぞれに対応して3系統に電気的に分離して設けられる。図2では、各相に対応して3つのブラシ34が設けられる様子が示されているが、勿論1つずつでもよく、2つ、あるいは4以上であってもよい。1つのスリップリング30に対して複数のブラシを周方向に沿って均等間隔で配置することで、スリップリング30に対する摺動負荷を均等化することができる。
複数のブラシ34は、適当な引出線を用いて各相ごとにまとめられ、図1で説明したように、整流器60、クランキング用インバータ68に接続される。かかるブラシ34としては、例えば銅入りのカーボンを材料として、金型等を用いて所定の形状に成形したものを用いることができる。
ブラシ34は、スリップリング30と摺動することで次第に摩耗するので、回転電機20の設計寿命を考慮して、その寿命の最後のときでも十分な高さ寸法となるように、初期高さ寸法が設定される。例えば、設計寿命の期間において、約15mm程度摩耗することが予測されるときは、スリップリング30に接触するときの回転軸22を中心として径方向に沿った寸法を高さ寸法として、初期高さ寸法を約20mm程度とすることができる。
押付機構40は、上記のようにブラシ筐体部36に取り付けられ、スリップリング30に対するブラシ34の押付力を与える機構である。ブラシ34の押付力は、スリップリング30とブラシ34の材料、回転電機20の回転軸22の回転速度等によって適当に設定されるが、一例を上げると、全部のスリップリング30に対する全体の押付力の合計が約数N程度となるように設定することができる。
押付機構40は、押付用弾性体である押付バネ42、中間部材44、緩衝用弾性体である緩衝バネ46、調整部48を含んで構成される。すなわち、ブラシ34は、押付バネ42−中間部材44−緩衝バネ46−調整部48という構造を介して、スリップリング30に対する押付力が与えられる。図2では、押付機構40がブラシ筐体部36よりはみ出して配置されるように図示されているが、調整部48は回転電機20の固定要素に固定して配置される。最も簡単な配置方法の1つは、調整部48が取り付けられるように、ブラシ筐体部36の一部を張り出させることである。
なお、図2の正面図では、3相のうちの1つの相に対応する1つのスリップリング30に対し、3つのブラシ34が図示されているが、押付機構40は、そのうちの1つのブラシ34に対するもののみを示してある。他の2つのブラシ34についても同じ構造の押付機構40が設けられ、また、他の相に対応する各ブラシ34についても同様である。
押付バネ42は、押付用弾性体であって、ここではブラシ34に一方端が取り付けられ、他方端が中間部材44に取り付けられるコイルバネである。ここで、押付バネ42の弾性定数であるバネ定数をKとする。
中間部材44は、ブラシ34の質量に比べ大きな質量を有する部材である。ブラシ34の質量をmとして、中間部材44の質量をMとすると、Mはmよりも大きい。好ましくは、Mはmの5倍以上とすることがよく、さらに望ましくはMはmの10倍程度とすることがよい。かかる中間部材44としては、ブラシ34の材料の比質量に比べ大きな比質量の材料を用い、適当な形状に成形したものを用いることができる。
緩衝バネ46は、緩衝用弾性体であって、ここでは一方端が中間部材44に取り付けられ、他方端が調整部48の可動部56に取り付けられるコイルバネである。ここで、緩衝バネ46の弾性定数であるバネ定数をkとすると、kは、先程の押付バネ42のバネ定数Kに比べ小さな値である。換言すれば、Kはkよりも大きい。好ましくは、Kはkの5倍以上とすることがよく、さらに望ましくはKはkの10倍程度とすることがよい。
調整部48は、緩衝バネ46の他方端に取り付けられ、緩衝バネ46の付勢力についての原点位置を調整する機能を有する。具体的には、図2に示すように、緩衝バネ46の他方端が取り付けられる可動部56が案内溝の中をON位置とOFF位置との間で移動可能とされ、この可動部56をON位置とOFF位置の間で移動し、それぞれの位置で保持する機能を有する。
ここで、ON位置は、回転電機20が通常の運転状態のときに設定される位置である。通常の運転状態とは、スリップリング30とブラシ34との間に通電が行われる運転状態である。また、OFF位置は、回転電機20が予め設定された所定の運転状態のときに設定される位置である。所定の運転状態としては、スリップリング30とブラシ34との間に通電を行う必要のない運転状態であるが、以下では、回転電機20のロータ巻線25と電源回路とが接続される必要のない運転モードのときの運転状態を所定の運転状態として説明を続ける。
上記では、ON位置とOFF位置の2つの位置を取り得るものとしたが、これに代えて、2つの位置の間で連続的に可動部56の位置が取りえるものとしてもよい。この場合には、所定の運転状態において、その運転状況に応じ、可動部56の位置を連続的に可変するものとできる。かかる調整部48としては、小型モータ、プランジャ等のアクチュエータを用いることができる。プランジャは、2つの位置を取り得る場合に簡単な構成とでき、小型モータは連続的な位置を取り得るものとする場合に特に効果的に用いることができる。
上記構成の作用を図3から図6を用いて説明する。これらの図は必要な要素のみを抜き出して示す模式図である。図3と図4はブラシ34の摩耗が少ないときについて、調整部48が可動部56の位置をON位置にした場合とOFF位置にした場合をそれぞれ示す図である。図5と図6はブラシ34の摩耗が進んできたときについて、調整部48が可動部56の位置をON位置にした場合とOFF位置にした場合をそれぞれ示す図である。
図3は、ブラシ34の摩耗が少なく、例えば、初期状態であって、調整部48によってON位置が選択されたときの様子を示す摸式図である。ON位置が選択されるのは、上記のように、回転電機20において、スリップリング30とブラシ34との間に通電が行われる通常の運転状態のときである。
この場合において、上記のようにブラシ34の質量mよりも中間部材44の質量Mを大きく、また、押付バネ42のバネ定数Kよりも緩衝バネ46のバネ定数kが小さく設定されるので、ブラシ34のスリップリング30に対する押付力の大きさはほぼ緩衝バネ46の変形量で定めることができる。
そして、押付バネ42−中間部材44−緩衝バネ46−調整部48と各要素が直列配置され、調整部48がON位置で固定され、Kがkより大きく、Mがmより大きく設定される振動系は、単にブラシ34と押付バネ42のみの構成に比べ、全体の振動系の固有振動数を高くすることができる。これによって、スリップリング30の偏心や摺動面の凹凸等による摺動位置の変動に対するブラシ34の追従応答性を良好なものとできる。
図4は、ブラシ34の摩耗が少なく、例えば、初期状態であって、調整部48によってOFF位置が選択されたときの様子を示す摸式図である。OFF位置が選択されるのは、上記のように、回転電機20において、スリップリング30とブラシ34との間に通電が行われない所定の運転状態のときである。
この場合に、緩衝バネ46の他方端が調整部48によってON位置からOFF位置に移動されるので、緩衝バネ46の長さが、図3のときの長さAよりも長いBとなる。押付バネ42のバネ定数Kは緩衝バネのバネ定数kより十分大きいので、押付バネ42の変形量は緩衝バネ46の変形量に比べ格段に小さく、ON位置からOFF位置への距離の変化は、緩衝バネ46の長さの変化(B−A)に吸収される。緩衝バネ長さ46の長さの変化によって、緩衝バネ46の弾性力であるバネ力が変化し、図4の場合には、図3に比べ小さなバネ力となる。これによって、ブラシ34に与える押付バネ42と緩衝バネ46による全体のバネ力は、図3に比べ小さくなる。つまり、ON位置からOFF位置に変更することで、緩衝バネ46の付勢力の原点位置が変化するが、それによって、ブラシ34のスリップリング30に対する押付力が小さくなる。
このようにして、OFF位置においては、ON位置における押付力よりも軽減された押付力をブラシ34に与えることができる。これによって、ブラシ34とスリップリング30との間に通電を行わないときに、ブラシ34の不必要な摩耗を抑制することができる。
図5は、ブラシ34の摩耗が進んできて、例えば、摩耗量がΔとなって、ブラシ34の高さ寸法が初期状態よりも(−Δ)だけ低くなった状態であって、調整部48によってON位置が選択されたときの様子を示す摸式図である。ON位置が選択されるのは、上記のように、回転電機20において、スリップリング30とブラシ34との間に通電が行われる通常の運転状態のときである。
この場合、スリップリング30の表面から緩衝バネ46の他方端までの距離長さは、ON位置がスリップリング30の表面から固定された位置であるので、図3の場合も図5の場合も同じである。ここで、ブラシ34の高さ寸法が(−Δ)変化するので、この変化は押付バネ42と緩衝バネ46とで吸収される。上記のように、押付バネ42のバネ定数Kよりも緩衝バネ46のバネ定数kが小さく設定されているので、(−Δ)の変化は、ほとんどが緩衝バネ46によって負担される。したがって、図3の緩衝バネ46の長さをAとして、図5では、緩衝バネ46の長さが(A+Δ)となる。
このように、ブラシ34がΔだけ摩耗すると、緩衝バネ46の長さがΔだけ長くなり、バネ力として(kΔ)の大きさだけ、ブラシ34のスリップリング30に対する押付力が小さくなる。元々の押付力は、緩衝バネ46の変形量でほとんど定められるので、元々の変形量を十分大きく設定しておけば、(kΔ)の大きさは、元々の押付力に比べ格段に小さい。つまり、kをKに比べ適当に小さく設定することで、ブラシ34の摩耗による押付力の変動を小さなものとできる。
図6は、ブラシ34の摩耗が進んできて、例えば、摩耗量がΔとなって、ブラシ34の高さ寸法が初期状態よりも(−Δ)だけ低くなった状態であって、調整部48によってOFF位置が選択されたときの様子を示す摸式図である。OFF位置が選択されるのは、上記のように、回転電機20において、スリップリング30とブラシ34との間に通電が行われない所定の運転状態のときである。
この場合は、図5で説明したように、ブラシ34に摩耗がない図4に比較して、緩衝バネ46の長さが(B+Δ)となる点が相違する。ΔはBに比較して小さい値であるので、図4で説明した内容と同じ内容となる。すなわち、OFF位置においては、ON位置における押付力よりも軽減された押付力をブラシ34に与えることができる。これによって、ブラシ34とスリップリング30との間に通電を行わないときに、ブラシ34の不必要な摩耗を抑制することができる。
図2の構成の場合には、既に述べたように、押付機構40が元々のブラシ筐体部36よりはみ出して配置され、例えば、ブラシ筐体部36の一部を張り出すことになり、全体の配置が大型化する。そこで、押付機構をブラシ筐体部36の周方向に沿って配置する構成とすれば、配置の空間利用効率が向上して、小型化が図れる。図7は、そのような構成例を示す図である。
図7に示される押付機構40は、押付バネ42、中間部材45、緩衝バネ46、調整部48を含んで構成され、ブラシ34は、押付バネ42−中間部材45−緩衝バネ46−調整部48という構造を介して、スリップリング30に対する押付力が与えられることは、図2の構成と同じである。相違するのは、中間部材45がブラシ筐体部36の回転中心軸54に回転自在に取り付けられるアーム状部材であり、緩衝バネ46の一方端が中間部材45において回転中心軸54の近くに取り付けられることである。以下では、これらの相違点を中心に説明し、図2と共通の内容については詳細な説明を省略する。
中間部材45は、上記のようにアーム状の形状を有する部材で、他方端が回転中心軸54においてブラシ筐体部36に対し回転自在に支持され、一方端はブラシ筐体部36の周方向に沿って延びて、その先端部がこの回転中心軸54周りに揺動することができる部材である。そして、その他方端の回転中心軸54の近傍であって一方端に向かう側に設けられる取付部52において緩衝バネ46の一方端が取り付けられ、一方端の先端部に設けられる取付部50において押付バネ42が接続される。このように、中間部材44は、押付バネ42と緩衝バネ46の中間に配置される部材である。
図2では、中間部材44の質量Mがブラシ34の質量mより十分大きく設定されたが、図7においては、この質量の大小関係に代えて、中間部材45の回転支持部、すなわち中間部材45の回転支持点である回転中心軸54周りの慣性モーメントIが、ブラシ34の回転中心軸54周りの慣性モーメントiに比べ十分大きく設定される。好ましくは、Iはiの5倍以上、さらに好ましくは、Iはiの10倍以上とすることがよい。
緩衝バネ46は、中間部材45と調整部48との間に取り付けられるコイルバネであり、一方端が中間部材45の取付部52に接続され、他方端が調整部48の可動部56に接続される。緩衝バネ46のバネ定数kは、上記のように、押付バネ42のバネ定数Kに比較して回転支持点周りの剛性が十分小さな値になるように設定される。すなわち、上記のように、回転支持点周りの剛性が5倍以上、好ましくは10倍以上に設定される。
緩衝バネ46の取付部52は、上記のように、中間部材45の他方端の回転中心軸54の近傍であって一方端に向かう側に設けられるところに設けられる。図7では、取付部52と回転中心軸54との間の距離をSとして示されている。
中間部材45において、押付バネ42の取付部50から回転中心軸54までの距離をLとすると、L/Sは、回転中心軸54を回転中心とするレバーについてのレバー比である。すなわち、取付部50における移動量をΔとすると、取付部52における移動量δは、Δ×(S/L)となる。(S/L)は、1以下であるが、好ましくは(1/2)以下で(1/20)以上とすることが好ましい。
取付部50における移動量としては、ブラシ34の摩耗量が考えられる。そこでブラシ34の摩耗量をΔとすれば、取付部52におけるブラシ34の摩耗量Δの影響は、Δ×(S/L)となる。取付部52の移動量は、緩衝バネ46の全長の変化量である。したがって、(S/L)を上記のように設定することで、緩衝バネ46に対するブラシ34の摩耗量Δの影響を小さなものとすることができる。
上記構成の作用を図8から図11を用いて説明する。これらの図は必要な要素のみを抜き出して示す模式図である。図8と図9はブラシ34の摩耗が少ないときについて、調整部48が可動部56の位置をON位置にした場合とOFF位置にした場合をそれぞれ示す図である。図10と図11はブラシ34の摩耗が進んできたときについて、調整部48が可動部56の位置をON位置にした場合とOFF位置にした場合をそれぞれ示す図である。
これらの図においては、図3から図6で説明したものと、緩衝バネ46に対するON位置とOFF位置が逆の関係となっている。つまり、これらの図では、中間部材45が回転中心軸54の周りに揺動可能に支持されているので、緩衝バネ46の伸長、圧縮が、図3から図6の構成の場合と逆になっている。
図8は、図3に対応する図で、ブラシ34の摩耗が少なく、例えば、初期状態であって、調整部48によってON位置が選択されたときの様子を示す摸式図である。
この場合において、上記のようにブラシ34の慣性モーメントiよりも中間部材45の慣性モーメントIを大きく、また、押付バネ42のバネ定数Kよりも緩衝バネ46のバネ定数kが小さく設定されるので、ブラシ34のスリップリング30に対する押付力の大きさはほぼ緩衝バネ46の変形量で定めることができる。
そして、押付バネ42−中間部材44−緩衝バネ46−調整部48と各要素が直列配置され、調整部48がON位置で固定され、Kがkより大きく、Iがiより大きく設定される振動系は、単にブラシ34と押付バネ42のみの構成に比べ、全体の振動系の固有振動数を高くすることができる。これによって、スリップリング30の偏心や摺動面の凹凸等による摺動位置の変動に対するブラシ34の追従応答性を良好なものとできる。
図9は図4に対応する図で、ブラシ34の摩耗が少なく、例えば、初期状態であって、調整部48によってOFF位置が選択されたときの様子を示す摸式図である。
この場合に、緩衝バネ46の他方端が調整部48によってON位置からOFF位置に移動されるので、緩衝バネ46の長さが、図8のときの長さCよりも短いDとなる。押付バネ42のバネ定数Kは緩衝バネのバネ定数kより十分大きいので、押付バネ42の変形量は緩衝バネ46の変形量に比べ格段に小さく、ON位置からOFF位置への距離の変化は、緩衝バネ46の長さの変化(D−C)に吸収される。緩衝バネ長さ46の長さの変化によって、緩衝バネ46の弾性力であるバネ力が変化し、図9の場合には、図8に比べ小さな力となる。中間部材45は回転中心軸54の周りに揺動するので、その先端部においてブラシ34に与える押付バネ42と緩衝バネ46による全体のバネ力は、図8に比べ小さくなる。つまり、ON位置からOFF位置に変更することで、緩衝バネ46の付勢力の原点位置が変化するが、それによって、ブラシ34のスリップリング30に対する押付力が小さくなる。つまり、図4と同じ効果が得られる。
このようにして、OFF位置においては、ON位置における押付力よりも軽減された押付力をブラシ34に与えることができる。これによって、ブラシ34とスリップリング30との間に通電を行わないときに、ブラシ34の不必要な摩耗を抑制することができる。
図10は、ブラシ34の摩耗が進んできて、例えば、摩耗量がΔとなって、ブラシ34の高さ寸法が初期状態よりも(−Δ)だけ低くなった状態であって、調整部48によってON位置が選択されたときの様子を示す摸式図である。
この場合、中間部材45の先端部における取付部50の位置が(−Δ)だけ変化する。中間部材45は回転中心軸54の周りに揺動するので、その変化量(−Δ)は、取付部52の位置の変化となり、緩衝バネ46の長さが変化する。図7で説明したように、取付部50の位置の変化は、(S/L)倍されて取付部52に表れる。したがって、緩衝バネ46の長さは、図8における長さをCとして、{C−Δ×(S/L)}となる。
このように、ブラシ34がΔだけ摩耗すると、緩衝バネ46の長さが{Δ×(S/L)}だけ短くなる。この変化は、ブラシ34が摩耗していないときの緩衝バネ46の変形量に比較して小さな値であるので、緩衝バネ46のバネ力の変化は小さな値である。したがって、その影響はブラシ34の押付力にほとんど影響を与えない。つまり図5と同じ効果が得られる。
図11は図6に対応する図で、ブラシ34の摩耗が進んできて、例えば、摩耗量がΔとなって、ブラシ34の高さ寸法が初期状態よりも(−Δ)だけ低くなった状態であって、調整部48によってOFF位置が選択されたときの様子を示す摸式図である。
この場合は、図10で説明したように、ブラシ34に摩耗がない図9に比較して、緩衝バネ46の長さが{D−Δ×(S/L)}となる点が相違する。上記のように、{Δ×(S/L)}は変形量に比較して小さい値であるので、図9で説明した内容と同じ内容となる。すなわち、OFF位置においては、ON位置における押付力よりも軽減された押付力をブラシ34に与えることができる。つまり、図6と同じ効果が得られる。
本発明に係る実施の形態のスリップリングとブラシが用いられる回転電機が適用されるハイブリッド駆動システムの構成を説明する図である。 本発明に係る実施の形態のスリップリングとブラシ部の様子を示す正面図と側面図である。 本発明に係る実施の形態において、ブラシの摩耗の少ない場合に、調整部によって緩衝バネの取付部の位置をON位置にした場合の様子を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、ブラシの摩耗の少ない場合に、調整部によって緩衝バネの取付部の位置をOFF位置にした場合の様子を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、ブラシの摩耗が進んできた場合に、調整部によって緩衝バネの取付部の位置をON位置にした場合の様子を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、ブラシの摩耗が進んできた場合に、調整部によって緩衝バネの取付部の位置をOFF位置にした場合の様子を示す図である。 他の実施の形態のスリップリングとブラシ部の様子を示す正面図と側面図である。 図7の実施の形態において、ブラシの摩耗の少ない場合に、調整部によって緩衝バネの取付部の位置をON位置にした場合の様子を示す図である。 図7の実施の形態において、ブラシの摩耗の少ない場合に、調整部によって緩衝バネの取付部の位置をOFF位置にした場合の様子を示す図である。 図7の実施の形態において、ブラシの摩耗が進んできた場合に、調整部によって緩衝バネの取付部の位置をON位置にした場合の様子を示す図である。 図7の実施の形態において、ブラシの摩耗が進んできた場合に、調整部によって緩衝バネの取付部の位置をOFF位置にした場合の様子を示す図である。
符号の説明
10 ハイブリッド駆動システム、12 エンジン、14 変速機、16 車輪、18 クラッチ、20 回転電機、22 回転軸、24 巻線ロータ、25 ロータ巻線、26 永久磁石ロータ、28 ステータ、29 ステータ巻線、30 スリップリング、32 ブラシ部、34 ブラシ、36 ブラシ筐体部、40 押付機構、42 押付バネ、44,45 中間部材、46 緩衝バネ、48 調整部、50、52 取付部、54 回転中心軸、56 可動部、60 整流器、62 DC/DCコンバータ、64 バッテリ、66 インバータ、68 クランキング用インバータ。

Claims (3)

  1. 回転軸に設けられる導電性のスリップリングと、
    回転するスリップリングに押し付けられて電気的に接触するブラシと、
    筐体部に取り付けられ、スリップリングに対するブラシの押付力を与える押付機構と、
    を備え、
    押付機構は、
    ブラシの質量に比べ大きな質量を有する中間部材と、
    ブラシと中間部材との間に取り付けられる押付用弾性体と、
    中間部材に一方端が取り付けられる緩衝用弾性体であって、押付用弾性体の弾性定数に比べ小さな弾性定数を有する緩衝用弾性体と、
    緩衝用弾性体の他方端に取り付けられ、緩衝用弾性体の付勢力についての原点位置を調整する調整部と、
    を含み、
    中間部材は、筐体部に設けられた回転支持部において他方端が回転自在に支持され、一方端が筐体部の周方向に沿ってブラシの方向に延びる部材であって、質量の大小関係に代えて、その回転支持部周りの慣性モーメントがブラシのその回転支持部周りの慣性モーメントに比べ大きいアーム状部材であり、
    押付用弾性体は、一方端がブラシの頂部に接続されて、アーム状部材の一方端側の予め設定された押付用弾性体取付位置に接続される他方端を有し、
    緩衝用弾性体は、一方端がアーム状部材の他方端側の予め設定された緩衝用弾性体取付位置に接続され、
    調整部は、筐体部に設けられ、緩衝用弾性体の他方端を筐体部の円周方向に移動させて緩衝用弾性体の付勢力についての原点位置を調整する移動機構であることを特徴とする回転電機。
  2. 請求項に記載の回転電機において、
    中間部材の回転支持部から押付用弾性体取付位置までの長さLと、回転支持部から緩衝用弾性体取付位置までの長さSの間の比である(S/L)は、(1/2)以下(1/20)以上であることを特徴とする回転電機。
  3. 請求項1に記載の回転電機において、
    調整部は、予め定めた回転電機の運転状態に応じて、ブラシの押付力が軽減される方向に緩衝用弾性体の原点位置を変更することを特徴とする回転電機。
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