JP5241116B2 - ポリオレフィン系ホットメルト接着剤 - Google Patents
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そこで、上記問題を解決するための技術が種々検討、提案されている。
例えば、熱安定性に優れたエチレン/α−オレフィン共重合体を包含する第1の成分に対して、この共重合体の糸曳き性を有意に低減させるエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体を包含する第2の成分と、少なくとも1種の粘着付与樹脂を包含し、前記第1の成分および第2の成分と相溶性の粘着付与樹脂と、を特定割合で配合した、ホットメルト接着剤が知られている(特許文献1参照)。また、エチレン酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸エステル共重合体またはそれらの混合物に対し、側鎖にカルボキシル基、酸無水物基および/または水酸基をもち、水素結合性の高いオレフィンポリマーを一定の割合で少量混合したホットメルト接着剤組成物が知られている(特許文献2参照)。
前記特許文献1における実施例の記載をみると、糸曳きが完全にないか、または、実質的にないホットメルト接着剤の例が挙げられているが、その糸曳き性試験の方法は、ホットメルト接着剤をほぼ水平方向に吐出し、途中で落下する接着剤を受け皿で受け、その量と形態を評価するというものである。この試験方法では、糸曳きが生じた場合に、接着剤が、飛び散ったり、被着体の塗付部分に引っ付いたりするために、受け皿に入らなかった分の量が測定できないため、実際より糸曳きが少なく測定される。すなわち、糸曳きがあっても、「糸曳き性なし」という評価結果となる場合がある。実際に、特許文献1に記載されているホットメルト接着剤を、本発明の実施例において採用している糸曳き性試験の方法で評価したところ、特許文献1において、糸曳き性が完全にない、とされている場合であっても、糸曳きが発生していることが確認された。また、前記特許文献2における実施例の記載を見ると、間欠的吐出時に発生した糸の重量を測定するという方法で糸曳き性を評価しているが、何ら工夫を施していない従来品で生じる糸曳きの重量を100%とした場合に、概ねその50%以上の重量の糸曳きが低減されたものを合格品とするものであり、糸曳き現象の根本的解決には至っていない。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、顕著な糸曳き低減効果を発揮するとともに、加熱安定性も良好なホットメルト接着剤を提供することにある。
以下、本明細書で、本発明にかかる「ポリオレフィン系ホットメルト接着剤」について、単に「ホットメルト接着剤」と表記することがある。
本発明にかかるホットメルト接着剤は、主剤としてのポリオレフィンに対して、ポリオレフィンが不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルで変性されてなる糸曳き低減剤を配合し、好ましくは、粘着付与樹脂および/またはワックスをも配合してなる。
前記主剤としてのポリオレフィンは、オレフィンをモノマー成分とするものであり、1種のオレフィンからなる単独重合体であっても良いし、2種以上のオレフィンからなる共重合体であっても良い。前記主剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、ブテンなどの単独重合体、共重合体や、さらに前記単独重合体、共重合体に対して、C3〜C20α−オレフィン(例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなど)をグラフト重合させたものも挙げられる。この場合においては、前記C3〜C20α−オレフィンがポリオレフィン中に20〜40重量%の割合で含まれるものが好ましい。
ポリオレフィンが不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルで変性されてなる糸曳き低減剤は、ホットメルト接着剤の糸曳き性を有意に低減させる極性を有するものである。
不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルで変性されてなる前記糸曳き低減剤は、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンをモノマー成分とするポリオレフィンが、少なくとも上述の不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルで変性されていれば良く、さらに、他のモノマー成分によって変性されていても良い。前記他のモノマー成分としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられる。これらの他のモノマー成分も含有させることで、各種材料の相溶性を調整することができる。
また、前記糸曳き低減剤のMFRは、500/10min以下であることが好ましく、150/10min以下であることがより好ましい。500/10minを超えると、耐糸曳き性効果が十分に得られないおそれがある。
前記糸曳き低減剤は、前記主剤100重量部に対し、2重量部以上30重量部未満の割合で配合される。好ましくは、2重量部以上10重量部未満である。さらに好ましくは、2.5重量部以上10重量部未満である。2重量部未満では耐糸曳き性効果が不十分となり、30重量部以上であると加熱安定性が低下する。ホットメルト接着剤全量に対する糸曳き低減剤の配合割合としては、5重量%未満であることが好ましい。ホットメルト接着剤全量に対する糸曳き低減剤の配合割合が多くなるほど、加熱安定性が低下するおそれがある。
前記脂肪族系炭化水素樹脂としては、特に限定されず、例えば、1−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、ペンテン、イソプレン、ピペリジン、1,3−ペンタジエンなどのC4〜C5のモノまたはジオレフィンを主成分とする重合体などが挙げられる。
前記芳香族系炭化水素樹脂としては、特に限定されず、例えば、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレン、シクロペンタジエンなどのC9〜C10のビニル芳香族炭化水素を主成分とした樹脂などが挙げられる。
前記スチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエンなどの重合体が挙げられる。
ル重合体などが挙げられる。
前記ロジン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油などのロジンが挙げられる。
上記に例示した樹脂の変性物としては、特に限定しないが、例えば、水素添加、不均化、2量化、エステル化、などの変性手段を施したものが挙げられる。より具体的には、例えば、エステル化変性を施したロジンエステルであれば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
前記粘着付与樹脂は、前記主剤100重量部対し、300重量部以下の割合で配合されることが好ましい。より好ましくは、200重量部以下である。300重量部を超えるとホットメルト接着剤が脆くなってしまうおそれがある。
本発明に使用できるワックスとしては、特に限定されないが、例えば、合成ワックス、石油ワックス、天然ワックスなどが挙げられる。これらワックスを使用することで、ホットメルト接着剤の粘度を低下させ、結晶化を調整することができる。
前記石油ワックスとしては、特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
前記天然ワックスとしては、特に限定されず、例えば、木蝋、カルバナ蝋、蜜蝋などが挙げられる。
前記ワックスは、前記主剤100重量部に対し、300重量部以下の割合で配合されることが好ましい。より好ましくは、200重量部以下である。300重量部を超えるとホットメルト接着剤の凝集性が低下し、該接着剤が脆くなってしまうおそれがある。
本発明にかかるホットメルト接着剤は、例えば、1軸または2軸スクリュー押し出し機、ミキサー、ニ−ダー、バンバリーミキサーなどの加熱、撹拌、混練機能などを備えた装置を使用し、従来行われる操作により得ることができる。この場合、必須成分としての主剤、糸曳き低減剤、任意成分としての粘着付与樹脂、ワックス、その他の添加剤を混練するに際しては、各成分や装置の種類によって多少異なるが、通常、120〜180℃で30〜120分間、好ましくは、130〜160℃で40〜90分間行う。
本発明にかかるホットメルト接着剤は、例えば、紙、木材、プラスチックなどの基材に適用することができる。特に、包装用、製本用、木工用、アッセンブリー用に好ましく使用できる。
実施例および比較例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
<ホットメルト接着剤の評価方法>
(耐糸曳き性)
ホットメルト接着剤を、受け皿に向かって垂直に吐出落下させ、そのときの糸曳きの状態および糸の長さを観察し、ノズル先から下方へと伸びた糸の長さ(mm)をビデオ撮影にて測定して、これを耐糸引き性の評価基準とした。この評価試験は、風の影響を避けるために防風ケースの中で行い、吐出は、ノズル径20/1000インチのエアー式ノズル塗付機(サンツール社製)を用いて10分間行った。また、このときの吐出条件は、タンク、ホースおよびノズルの温度が180℃、吐出圧力が3.5kgf/cm2、塗付時間0.1秒、塗付間隔0.5秒であった。
ホットメルト接着剤を250ml容のサンプル瓶に150g取り、加熱して180℃を96時間維持した。このときの状態の変化を観察して、下記基準に従って、ホットメルト接着剤の加熱安定性を評価した。
○:状態の変化なし
×:皮張り、ゲル化物、炭化物などの発生あり
<実施例1〜3、比較例1〜6>
表1に示す配合割合で、各種材料を混練し、各ホットメルト接着剤を得た。
(1)本発明にかかる実施例1〜3のいずれのホットメルト接着剤についてみても、耐糸曳き性が極めて優れており、加熱安定性にも優れていることが分かる。特に、実施例3から、ホットメルト接着剤の顕著な耐糸曳き性が、糸曳き低減剤中の不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルによって付与されることが実証されている。実施例1,2にかかるホットメルト接着剤は、他のモノマー成分も含む糸曳き低減剤を用いているため、他の材料との相溶性に優れ、実施例3にかかるホットメルト接着剤よりも透明性に優れるものであった。
(3)比較例2,3は、糸曳き低減剤の配合量が少なすぎて、糸曳きが殆ど改善されていないことが分かる。
(4)比較例4,5は、比較例2,3とは対照的に、糸曳き低減剤の配合量が多すぎて、加熱安定性の低下を招いている。さらに、糸曳き低減剤は糸曳き性を有意に低減させるものであるが、その配合量が多くなり過ぎると、却って耐糸曳き性が低下してしまうことが分かる。
(6)比較例8は、本発明にかかるポリオレフィン系ホットメルト接着剤と異なり、エチレン/酢酸ビニル共重合体を主剤としたものであるが、糸曳き性を低減するための物質を何ら添加していないため、糸曳きが生じてしまっていることが分かる。
(7)比較例9,10は、比較例8の配合に、さらに糸曳き低減剤を加えて、糸曳き性の低減を図ったものであるが、エチレン/酢酸ビニル共重合体を主剤としているために、実施例1〜3ほどの顕著な耐糸曳き性は認められなかった。この比較例10と実施例1との比較から、主剤としてポリオレフィンを用いるか否かという点が、耐糸曳き性に大いに影響することが分かる。
Claims (4)
- 不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルで変性されたポリオレフィンを、主剤としてのポリオレフィン100重量部に対して2重量部以上30重量部未満の割合で配合して、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤を調製することによる、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤の糸曳き低減方法であって、
変性されたポリオレフィンにおける不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルの変性率が0.2〜50重量%である、方法。 - 間欠的吐出における糸曳きを低減する、請求項1記載の糸曳き低減方法。
- 不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルで変性されたポリオレフィンからなる、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤の糸曳き低減剤であって、
変性されたポリオレフィンにおける不飽和ポリカルボン酸、その無水物またはそのエステルの変性率が0.2〜50重量%である、糸曳き低減剤。 - 間欠的吐出における糸曳きを低減する、請求項3記載の糸曳き低減剤。
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