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JP5246700B2 - 補聴システム - Google Patents
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Description

本発明は、補聴器を両耳に装用する補聴システムであって、音声は強調され雑音は抑制される補聴システムに関する。
両耳に装用した補聴器のマイクロホンの出力信号に含まれる雑音を抑制する技術としては、各マイクロホンの出力信号の平均自乗誤差が最小となるようにフィルタ係数を設定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、両耳に装用した聴音装置のマイクロホンが受信した音信号を強調する技術としては、各マイクロホンで受信した音信号を音声と騒音に分離し、音声信号をWavelet変換して分析したデータを互いに送受信し、互いの分析データから音声の方向を推定し、この方向の音信号を強調する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−312754号公報 特開2007−336460号公報
しかし、特許文献1に記載の技術においては、一方向の雑音しか抑制することができないという問題がある。また、特許文献2に記載の技術においては、ノイズ除去の処理をして音声信号のSN比を向上させた後でなければ音源方向の推定ができないので、処理が重たくなるという問題がある。
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の方向から監視する音声と雑音に対し、音声は強調され、雑音は抑制される補聴システムを提供しようとするものである。
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、マイクロホンの出力信号を補聴処理し、補聴処理された信号をイヤホンにより音圧に変換して出力する補聴器を両耳に装用する補聴システムにおいて、各補聴器の前記マイクロホンの出力信号から頭部伝達関数の逆特性を用いて予め設定しておいた各方向より到来する音を推定し、この推定した各方向の音のエンベロープの低周波数成分の変調度合の左右の差が所定の値より小さい音を強調する処理手段を設けたものである。
請求項2に係る発明は、マイクロホンの出力信号を補聴処理部で補聴処理し、補聴処理された信号をイヤホンにより音圧に変換して出力する補聴器を両耳に装用すると共に、これらの補聴器に相互にデータ通信を行うための送受信部を備える補聴システムであって、各補聴器にはマイクロホンの出力信号に予め設定しておいた音の監視方向の頭部伝達関数の逆特性を畳み込んで各監視方向の信号成分を推定する各信号成分抽出処理部と、この各信号成分抽出処理部が算出した各方向の信号成分に頭部伝達関数を畳み込む頭部伝達関数処理部と、前記各信号成分抽出処理部が算出した各方向の信号成分のエンベロープを算出するエンベロープ算出部と、このエンベロープ算出部が算出した各方向の信号成分のエンベロープについて設定されたカットオフ周波数で高周波数成分を除去するローパスフィルタ部と、このローパスフィルタ部が出力した各方向の信号成分の変調度合を算出する変調度合算出部を設け、一方の補聴器には、前記変調度合算出部から出力された変調度合と前記送受信部を介して他方の補聴器の前記変調度合算出部から出力された変調度合を入力して各同一方向の変調度合の差分を算出し、この差分と所定値を比較して音声の到来方向を推定する音声到来方向推定部と、前記頭部伝達関数処理部で求めた各方向の信号成分と、前記マイクロホンの出力信号と、前記音声到来方向推定部で求めた到来方向を入力し、各方向の信号成分が音声の到来方向であるか否かに応じて合成し前記補聴処理部へ出力する合成部を設け、他方の補聴器には、前記頭部伝達関数処理部で求めた各方向の信号成分と、前記マイクロホンの出力信号と、前記送受信部を介して前記音声到来方向推定部で求めた音声の到来方向を入力し、各方向の信号成分が音声の到来方向であるか否かに応じて合成し前記補聴処理部へ出力する合成部を設けたものである。
本発明によれば、マイクロホンの出力信号を頭部伝達関数の逆特性で各方向成分に分けることで、音声成分のSN比を向上させることができる。複数の方向から音声が到達しても、音声が到来する複数方向に対して音声を強調することができる。複数の方向から雑音が到達しても、雑音が到来する複数方向に対して雑音を抑制することができる。分別した方向の信号をマイクロホンの出力信号に合成するため、周囲の音が消されないので、安全に装用できる。両耳に補聴器を装用するので、各々のマイクロホンの出力信号を頭部伝達関数の逆特性で各方向成分に分けることにより、頭部伝達関数の誤差による影響が抑えられる。
また、耳かけ型補聴器の場合のように耳介の後側のマイクロホンで採取した音でも、頭部伝達関数でマイクロホンの位置を補正すれば、鼓膜近傍の音に補正してイヤホンから出力できるので、装用者にとって、より自然な音として聴取することができるようになる。
本発明に係る補聴システムのブロック図
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る補聴システムのブロック図である。
本発明は、補聴器のマイクロホンの出力信号から頭部伝達関数(HRTF:Head-Related Transfer Function)を用いて予め設定しておいた各方向より到来する音を推定し、これらの音が音声である場合には強調し、雑音である場合には抑制するものである。頭部伝達関数(HRTF)とは、音源から鼓膜までの音響伝達関数で、音が音源から鼓膜に到るまでの頭部や耳介による周波数特性を相対音圧レベル(dB)で示したものである。
例えば、方位角(例えば正面方向を基準)の場合で、水平面上45度間隔の8方向から到来する音圧に本発明を適用した場合について説明する。補聴器のマイクロホンに到達した音圧に対し、8方向の頭部伝達関数(HRTF)の逆特性を畳み込み、各方向(8方向)の信号成分を推定する。即ち、予め設定した8方向について、到来すると仮想した音源の音圧を推定することができる。方向毎に推定した音圧は、点音源である音声に対して必然的にSN比が向上する。
8方向の推定音圧のうち、例えば音声成分の割合が大きいものを選択して増幅し、もとのマイクロホンの出力信号に加算すれば、設定方向のうち音声成分が到来する複数の方向に高い増幅率を持つことができる。つまり、複数方向の音声信号に対して強調することができる。
また、8方向の推定音圧のうち、例えば音声成分の割合が低いものを選択し、もとのマイクロホンの出力信号から減算すれば、設定方向のうち音声が到来しない方向の信号成分を抑制することができる。音声の強調とノイズの抑制のどちらか一方でもよいし、両方を機能させてもよい。
本発明に係る補聴システムは、図1に示すように、右耳に装用する右側補聴器2と左耳に装用する左側補聴器3からなる。右側補聴器2は、マイクロホン5、DSP(Digital Signal Processor)6、通信用IC(Integrated Circuit)7、イヤホン8などからなる。DSP6は、設定部10、各方向信号成分抽出処理部11、エンベロープ算出部12、ローパスフィルタ部13、変調度合算出部14、音声到来方向判定部15、HRTF処理部16、合成部17、補聴処理部18などを備えている。通信用IC7は、送信部19と受信部20からなる。右側補聴器2には、設定部10に記憶された複数の設定の選択を切り替える切替スイッチ21を備える。
また、左側補聴器3は、マイクロホン25、DSP(Digital Signal Processor)26、通信用IC(Integrated Circuit)27、イヤホン28などからなる。DSP26は、各方向信号成分抽出処理部31、エンベロープ算出部32、ローパスフィルタ部33、変調度合算出部34、HRTF処理部36、合成部37、補聴処理部38などを備えている。通信用IC27は、送信部29と受信部30からなる。
切替スイッチ21と設定部10は、右側補聴器2または左側補聴器3の何れかに設ければよい。また、右耳に装用する右側補聴器2と左耳に装用する左側補聴器3との間のデータ通信の方法としては、電線、電波や生体間などでよく、特に限定されない。電線の場合は、通信用IC7,27を設けなくてもよい。
設定部10には、右側マイクロホン5と左側マイクロホン25に対し、音の監視方向の組合せを同じに設定する。また、設定部10には、音の監視方向の組合せが複数記憶されている。音の監視方向の組合せとは、例えば上述の水平面上45度間隔の8方向、水平面上前方側180度に対して30度間隔の7方向、xyz空間で各軸とy=±x,z=±x,z=±y上の正方向および逆方向の18方向、任意に決めた複数の方向などである。なお、細かく多くの方向を設定しておけば、音声の監視方向の推定精度は上がるが、処理が重くなる。
右側マイクロホン5と左側マイクロホン25では、頭部伝達関数(HRTF)および頭部伝達関数(HRTF)の逆特性が異なるので、設定部10には、左右の補聴器の音の監視方向の組合せを構成する各方向に対応する頭部伝達関数(HRTF)およびその逆特性が記憶されている。更に、設定部10には、ローパスフィルタ用カットオフ周波数、音声到来方向判定用閾値及び最大選択個数が記憶されている。
切替スイッチ21を操作することで、複数の音の監視方向の組合せから1つの音の監視方向の組合せを選択することができる。
ここでは、右側マイクロホン5と左側マイクロホン25が、共に装用者の正面方向を基準に水平方向45度間隔の8方向の同一方向の組合せを選択した場合について説明をする。
切替スイッチ21の操作により音の監視方向の組合せが選択されると、設定部10に記憶されている頭部伝達関数(HRTF)がHRTF処理部16に設定され、同じく設定部10に記憶されている頭部伝達関数(HRTF)の逆特性が各方向信号成分抽出処理部11に設定され、同じく設定部10に記憶されているローパスフィルタ用カットオフ周波数がローパスフィルタ部13に設定され、同じく設定部10に記憶されている音声到来方向判定用閾値と最大選択個数が音声到来方向判定部15に設定される。
また、左側補聴器3に関する設定情報は、通信用IC7,27を介して左側補聴器3に送られる。そして、設定部10に記憶されている頭部伝達関数(HRTF)がHRTF処理部36に設定され、同じく設定部10に記憶されている頭部伝達関数(HRTF)の逆特性が各方向信号成分抽出処理部31に設定され、同じく設定部10に記憶されているローパスフィルタ用カットオフ周波数がローパスフィルタ部33に設定される。
右側マイクロホン5の出力信号が各方向信号成分抽出処理部11に入力されると、各方向信号成分抽出処理部11では、右側マイクロホン5の出力信号に8方向の頭部伝達関数(HRTF)の逆特性を畳み込み、8方向の信号成分を算出し、8方向の信号成分をエンベロープ算出部12とHRTF処理部16へ出力する。
HRTF処理部16では、各方向信号成分抽出処理部11が出力した各方向の信号成分に頭部伝達関数を畳み込み、その演算結果を合成部17へ出力する。
エンベロープ算出部12では、各方向信号成分抽出処理部11が出力した信号成分のエンベロープを算出し、ローパスフィルタ部13へ出力する。ローパスフィルタ部13では、エンベロープ算出部12が出力した信号成分のエンベロープについて設定されたカットオフ周波数(例えば、4Hz)で高周波数成分を除去し、変調度合算出部14へ出力する。変調度合算出部14では、ローパスフィルタ部13が出力した信号成分の変調度合を算出し、音声到来方向判定部15へ出力する。
また、左側マイクロホン25の出力信号が各方向信号成分抽出処理部31に入力されると、各方向信号成分抽出処理部31では、左側マイクロホン25の出力信号に8方向の頭部伝達関数(HRTF)の逆特性を畳み込み、8方向の信号成分を算出し、8方向の信号成分をエンベロープ算出部32とHRTF処理部36へ出力する。HRTF処理部36では、各方向信号成分抽出処理部31が出力した各方向の信号成分に頭部伝達関数を畳み込み、その演算結果を合成部37へ出力する。
エンベロープ算出部32では、各方向信号成分抽出処理部31が出力した信号成分のエンベロープを算出し、ローパスフィルタ部33へ出力する。ローパスフィルタ部33では、エンベロープ算出部32が出力した信号成分のエンベロープについて設定されたカットオフ周波数(例えば、4Hz)で高周波数成分を除去し、変調度合判定部34へ出力する。変調度合算出部34では、ローパスフィルタ部33が出力した信号成分の変調度合を算出し、通信用IC27を介して右側補聴器2の音声到来方向判定部15へ出力する。
音声到来方向判定部15では、変調度合算出部14,34が出力した左右の変調度合について同方向の変調度合の差分を算出し、その差分値が設定された音声到来方向判定用閾値より小さい方向の差分値について小さいほうから設定された最大選択個数だけ選択し、その差分値の方向を合成部17へ出力する。この方向が推定された音声の到来方向である。左側補聴器3には、音声到来方向判定部15から通信用IC7,27を介して合成部37へ出力する。
合成部17,37では、HRTF処理部16,36が出力した信号に対して、音声強調する場合は音声到来方向判定部15が出力した方向について所定の振幅調整処理をしてマイクロホン5,25の出力信号に同期させて加算する。雑音抑制をする場合は、HRTF処理部16,36が出力した信号に対して、音声到来方向判定部15が出力した方向以外について所定の増幅処理をしてマイクロホン5,25の出力信号から同期させて減算する。音声強調とノイズ抑制は、両方してもいいし、どちらか一方でもよい。
補聴処理部18,38では、合成部17,37から出力された信号に対し、装用者の聞こえの具合に合わせて、周波数および音圧ごとの増幅処理、ハウリング抑制、出力制限などの信号処理をする。補聴処理部18,38には、装用者の聞こえの具合に合わせた信号処理をするためのパラメータが記憶されている。補聴処理部18,38で信号処理された信号は、イヤホン8,28へ出力され、イヤホン8,28で音圧に変換されて出力される。
設定部10に記憶されている音の監視方向の組合せ、各方向の頭部伝達関数(HRTF)、HRTF逆特性およびローパスフィルタ用カットオフ周波数、音声到来方向判定用閾値及び最大選択個数と、補聴処理部18,38に記憶されているパラメータは、パーソナルコンピュータを補聴器2,3に接続して書き換え可能にすることもできる。
また、装用者の聞こえの状態に合わせて両耳でのバランスをとる両耳バランス処理部(不図示)を設ければ、頭部伝達関数(HRTF)での推定誤差によるアンバランス感を抑制することができる。
以上のように、本発明に係る補聴システムは、各補聴器2,3のマイクロホン5,25の出力信号から頭部伝達関数(HRTF)を用いて予め設定しておいた各方向より到来する音を推定し、この推定した各方向の音が音声で且つ左右のマイクロホン5,25の出力信号のエンベロープの低周波成分の変調度合の差が所定の値より小さい音を強調することにより、複数の方向から音声が到達しても、音声が到来する複数方向に対して音声を強調することができ、複数の方向から雑音が到達しても、雑音が到来する複数方向に対して雑音を抑制することができる。
本発明によれば、複数の方向から音声が到達しても、複数方向に対して音声を強調することができ、また複数の方向から雑音が到達しても、複数方向に対して雑音を抑制することができる補聴システムを提供することができる。
2…右側補聴器、3…左側補聴器、5,25…マイクロホン、6,26…DSP(処理手段)、7,27…通信用IC、8,28…イヤホン、10…設定部、11,31…各方向信号成分抽出処理部、12,32…エンベロープ算出部、13,33…ローパスフィルタ部、14,34…変調度合算出部、15…音声到来方向判定部、16,36…HRTF処理部、17,37…合成部、18,38…補聴処理部、19,29…送信部、20,30…受信部、21…切替スイッチ。

Claims (2)

  1. マイクロホンの出力信号を補聴処理し、補聴処理された信号をイヤホンにより音圧に変換して出力する補聴器を両耳に装用する補聴システムにおいて、各補聴器の前記マイクロホンの出力信号から頭部伝達関数の逆特性を用いて予め設定しておいた各方向より到来する音を推定し、この推定した各方向の音のエンベロープの低周波数成分の変調度合の左右の差が所定の値より小さい音を強調する処理手段を設けたことを特徴とする補聴システム。
  2. マイクロホンの出力信号を補聴処理部で補聴処理し、補聴処理された信号をイヤホンにより音圧に変換して出力する補聴器を両耳に装用すると共に、これらの補聴器に相互にデータ通信を行うための送受信部を備える補聴システムであって、各補聴器にはマイクロホンの出力信号に予め設定しておいた音の監視方向の頭部伝達関数の逆特性を畳み込んで各監視方向の信号成分を推定する各信号成分抽出処理部と、この各信号成分抽出処理部が算出した各方向の信号成分に頭部伝達関数を畳み込む頭部伝達関数処理部と、前記各信号成分抽出処理部が算出した各方向の信号成分のエンベロープを算出するエンベロープ算出部と、このエンベロープ算出部が算出した各方向の信号成分のエンベロープについて設定されたカットオフ周波数で高周波数成分を除去するローパスフィルタ部と、このローパスフィルタ部が出力した各方向の信号成分の変調度合を算出する変調度合算出部を設け、一方の補聴器には、前記変調度合算出部から出力された変調度合と前記送受信部を介して他方の補聴器の前記変調度合算出部から出力された変調度合を入力して各同一方向の変調度合の差分を算出し、この差分と所定値を比較して音声の到来方向を推定する音声到来方向推定部と、前記頭部伝達関数処理部で求めた各方向の信号成分と、前記マイクロホンの出力信号と、前記音声到来方向推定部で求めた到来方向を入力し、各方向の信号成分が音声の到来方向であるか否かに応じて合成し前記補聴処理部へ出力する合成部を設け、他方の補聴器には、前記頭部伝達関数処理部で求めた各方向の信号成分と、前記マイクロホンの出力信号と、前記送受信部を介して前記音声到来方向推定部で求めた音声の到来方向を入力し、各方向の信号成分が音声の到来方向であるか否かに応じて合成し前記補聴処理部へ出力する合成部を設けたことを特徴とする補聴システム。
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