JP5261740B2 - コンクリート構造物の中性化深さ予測装置および中性化深さをコンピュータに計算させるためのプログラム - Google Patents
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Description
C=A√t
C=A√t+B
C=A{√(t+R2)−R}
ここで、Cは中性化深さ、Aは中性化速度係数、Bは実験係数、Rは表面仕上げ材の中性化抵抗を表す。
C=AtB+ε
ここで、
Cは、中性化深さを表しており、
Aは、中性化速度係数であり、
tは、経過時間であり、
Bは、経過時間のべき乗であり、
εは、数式モデルの誤差を表す確率変数であり、確率変数の平均値は零である。
lnC=lnA+Blnt+ε’
ここで、
Cは、中性化深さを表しており、
Aは、中性化速度係数であり、
tは、経過時間であり、
Bは、経過時間のべき乗であり、
ε’は、数式モデルの誤差を表す確率変数であり、確率変数の平均値は零である。
技術思想
まず、図1を参照して、本発明の技術思想の概要について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコンクリート構造物の中性化深さ予測装置100の構成を概念的に表す図である。中性化深さ予測装置100は、後述のように、たとえば、周知の構成を有するコンピュータ装置によって実現される。
図2を参照して、中性化深さ予測装置100の具体的構成の一態様について説明する。図2は、コンピュータ装置によって実現される中性化深さ予測装置100のハードウェア構成を表すブロック図である。
図3を参照して、中性化深さ予測装置100の制御構造について説明する。図3は、中性化深さ予測装置100を実現するコンピュータ装置のCPU210が実行する一連の処理の一部を表すフローチャートである。
ステップS340にて、CPU210は、尤度関数を呼び出す。
[統計的数式モデルの設定]
ステップS1(またはステップS310)において、中性化深さ予測装置100は、コンクリートの中性化深さを予測するための統計的数式モデルを式(1)のように設定する。中性化深さの平均値は、中性化速度係数A、経過年数t、及び経過年数のべき乗Bによって推定するものとする。また、中性化深さ予測装置100は、当該統計的数式モデルのモデル化による誤差(平均値からの不確定な変動)を確率変数εとして考慮する。当該不確定な変動は、正負等確率で発生するものとし、平均値が零、標準偏差がσの正規分布に従うものとする。本実施の形態において、推定対象のパラメータは、中性化速度係数A,経過年数のべき乗Bおよび分散σ2である。
統計的数式モデルは、実行可能なプログラムに含まれた態様で、中性化深さ予測装置100に保持されている。使用者が、中性化深さを予測する処理の実行命令を、中性化深さ予測装置100に与えると、その命令に応答して、中性化深さ予測装置100は、プログラムをRAM240にロードする。
ステップS2(またはステップS320)において、中性化深さ予測装置100は、構造物データをRAM240のワーク領域にロードする。構造物データとは、対象とするコンクリート構造物から得られる中性化深さの測定値と、中性化深さの測定時における当該構造物の竣工後の年数とをいう。構造物データは、中性化深さ予測装置100による処理の前に、当該構造物の検査担当者等によって取得され、中性化深さ予測装置100が備えるハードディスク250、または、CD−ROM262に格納されている。他の局面において、中性化深さ予測装置100は、プログラムの実行時に、構造物データを他のデータ処理装置から直接受信する構成であってもよい。この場合、中性化深さ予測装置100は、通信I/F290を介して、構造物データを受信する。通信は、有線および無線のいずれであってもよい。
ステップS3(またはステップS330〜S350)において、中性化深さ予測装置100は、ベイズの定理を用いた処理を実行する。ベイズの定理を用いる処理には、事前分布の設定と、尤度関数の設定と、事後分布の導出とが含まれる。
まず、中性化深さ予測装置100は、事前分布の設定を行なう。事前分布は、推定対象のパラメータに関する事前情報の状況を確率分布で表現したものである。多数の既存データがあり、頻度分布の情報などから事前分布が設定できる場合には、その事前分布を用いればよい。しかし、事前の情報がほとんどない場合には、いわゆる無情報事前分布を採用することもできる。ここでは、一実施形態として、次のような事前分布を設定する。
σ2 〜 IG(ν0、λ0)
ここで、「A,B 〜 N(0、σ0 2)」との表記は、推定対象のパラメータである中性化速度係数Aと、べき乗Bとが、平均値0、分散σ0 2の正規分布に従うことを意味する。IG(ν0、λ0)との表記は、逆ガンマ分布を表す。また、添え字0が付いたパラメータは、事前分布のパラメータである。
構造物データは、正規分布を持つ母集団からの独立で同分布な確率標本としている。そこで、標本数をnとし、尤度関数をp(x|θ)、x=(x1,x2・・・xn)と表わすと、尤度関数p(x|θ)は、次のように設定される。
パラメータθに関する事前分布をp(θ)、データxが与えられた時のパラメータθの事後分布をp(θ|x)と表すと、ベイズの定理はつぎのように表現される。
ここで、kは基準化定数である。p(θ)は上記「事前分布の設定」で説明したように設定される。中性化深さ予測装置100は、式(3)を用いて事前分布に尤度関数を乗じることにより、各パラメータ(中性化速度係数A、べき乗B、分散σ2)の事後分布を導出する。
ステップS4(またはステップS360)において、中性化深さ予測装置100は、MCMC法を用いて各パラメータ(中性化速度係数A、べき乗B、分散σ2)の乱数を生成する。MCMC法は、ベイズの定理から得られた事後分布を不変分布とするようなマルコフ乱数列を生成する手法である。MCMC法として、Gibbsサンプラー、メトロポリス法その他の多くのアルゴリズムが知られている。ここでは、中性化深さ予測装置100が式(3)に対してGibbsサンプラーによりマルコフ乱数列を生成するものとして、その生成の方法の概要を説明する。
p(A,B,σ2|x) ∝ p(x|A,B,σ2)p(A,B,σ2)・・・(4)
ここで、記号∝は、比例を意味する。式(4)の左辺は、データxが与えられたときの各パラメータ(中性化速度係数A、べき乗B、および分散σ2)の同時分布である。これを、各パラメータ毎に他の全てのパラメータ及びデータを条件とする条件付き分布に変換する。たとえば、中性化速度係数Aに対してこの操作を行うと、次のようになる。
∝p(x|A,B,σ2)p(A) ・・・(5)
ここで、p(A)、p(B)、p(σ2)は、それぞれ、A、B、σ2の事前分布である。
p(B|A,σ2,x)∝p(x|B,A,σ2)p(B) ・・・(6)
p(σ2|A,B,x)∝p(x|A,B,σ2)p(σ2) ・・・(7)
を得る。
ここで、図4〜図6を参照して、各パラメータの乱数履歴について説明する。図4〜図6は、中性化深さ予測装置100が表1のデータに基づいてWinBUGSを適用して求めた推定対象のパラメータである中性化速度係数A、べき乗B、分散σ2のそれぞれの乱数履歴を示している。中性化深さ予測装置100が計算に用いた条件は、以下のとおりである。
σ0 2=10,000
ν0=0.001
λ0=0.001
乱数生成数=100,000
初期の破棄乱数の数=10,000
<事後分布の一例>
次に、図7から図9を参照して、事後分布の一例について説明する。図7から図9は、それぞれ、中性化深さ予測装置100が生成した乱数により各パラメータの事後分布を描いた結果を示すグラフである。これらの結果から分かるように、ベイズの推定法では、パラメータの推定に内在する不確定性を確率分布(事後分布)によって定量的に評価できる特徴がある。
図1(または図3)を再び参照して、ステップS5(またはステップS370)において、中性化深さ予測装置100は、MCMC法によって生成した乱数を用いて、代数的な計算によってパラメータ毎に統計量(代表的な例として、平均値、中央値、標準偏差等がある。)を求める。たとえば、中性化深さ予測装置100は、推定対象のパラメータである中性化速度係数Aの平均値E[A]を次のように計算する。
E[C]=AtB ・・・・・・(8)
なお、この場合において、表1の各々の中性化深さのデータは、E[c(ti)]に対応するものと解釈している。パラメータ(中性化速度係数Aおよびべき乗B)の計算値は、以下のようになる。
A=3.92、 B=0.335
この結果はベイズの推定値(表2)とほぼ一致する。本実施の形態に係る中性化深さ予測装置100によれば、データの数が少なくても、比較的良好な予測結果が得られる。
以上のようにして、本実施の形態に係る中性化深さ予測装置100によれば、モデルに含まれるパラメータ、すなわち、中性化速度係数Aと経過年数のべき乗Bとを同時に推定できるので、√t則に従わないデータにも柔軟に対応することができる。
本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態に係る中性化深さ予測装置は、中性化深さを予測する統計的数式モデルとして、自然対数で表された式(9)を用いる点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施の形態に係る中性化深さ予測装置は、第1の実施の形態に係る中性化深さ予測装置100と同様のハードウェア構成(図2)を用いて実現される。したがって、ハードウェア構成の説明は繰り返さない。
ここで、ε’は平均値が零、標準偏差がσ’の正規分布を持つ確率変数である。
ステップS2にて、CPU210は、構造物データを、ハードディスク250から、RAM240にロードする。
ステップS3にて、CPU210は、ベイズの定理を用いた処理を実行する。事前分布では、CPU210は、ln AとBに対して正規分布N(0、σ0 2)、を設定し、σ’2については、逆ガンマ分布IG(ν0、λ0)を設定する。構造物データについても、中性化深さデータln Cが正規分布を持つとして、尤度関数を設定する。ベイズの定理を適用すると、式(3)と同様の事後分布が得られる。
ステップS4にて、CPU210は、WinBUGSを用いて事後分布から乱数を生成する。式(1)のモデルとの比較のため、図11および図12に、乱数の生成数を10,000とし、初期の1,000を破棄する方法で作成した乱数履歴を示す。式(9)では10,000の乱数で十分な収束が得られているが、式(1)では不十分であることがわかる。
ステップS5にて、CPU210は、パラメータを推定する。表3に、本モデルを用いてベイズ推定を行った結果を示す。Aの統計量は、ln Aが正規分布を持つ条件から算定した。AとBの結果は、式(1)を使用した場合とほとんど同じである。しかし、誤差の分散については、本モデルによる分散が式(1)のモデルによる分散よりもかなり小さい。このため、本実施の形態に係る中性化深さ予測装置によれば、より少ない乱数で効率よく収束を得ることができる。
以下、ある特定の経過年数時点(本例では25年)における中性化深さデータが与えられた時、それ以前の経過年数時点における中性化深さデータを用いて将来の中性化深さをいくつかの計算法により予測し、当該特定経過年数時点の中性化深さデータとの適合性の観点から、予測の的確性について比較検討する。
本シミュレーションを行なうに当たって用いるデータは、以下のとおりである。
まず、表4に示すように、全てのデータとして、経過年数(t)が2年、4.5年、15年、25年における中性化深さを用いる。
次に、表5に示されるように、経過年数が2年から15年の範囲に含まれる中性化深さを用いる。
さらに、表6に示されるように、経過年数が2年から4.5年の範囲に含まれるデータを用いる。
以下の方法を用いた。
(2)シンプレックス法(C=A×t0.5):√t則による予測
(3)ベイズ法(平均)(C=A×tB)
(4)ベイズ法(平均+標準偏差):予測の上限値
(5)ベイズ法(平均−標準偏差):予測の下限値
ここで、シンプレックス法とは、非線形最小二乗法で用いられる数値計算法の一種である。「ベイズ法(平均)」とは、パラメータ(AとB)のベイズ推定値として平均値を採用した計算法をいう。「ベイズ法(平均+標準偏差)」とは、パラメータ(AとB)のベイズ推定値として平均値+標準偏差を採用した計算法(ベイズ法(平均−標準偏差)も同様)である。なお、ここでは、推定対象のパラメータである中性化速度係数A、および、べき乗Bの不確定性の影響を例示することが目的であるので、モデリング誤差(ε)は、ベイズ推定の過程では考慮しているが、Cの予測値の計算には含まれていない。
(1)25年時点の中性化深さがデータとして与えられている時、15年時点までのデータ(上記の1.使用するデータ(2)を参照)を使用して、各計算法により25年時点(およびそれ以降)の中性化深さの予測値を計算し、計算の結果を比較する。
(1)図13は、15年時点までの中性化深さデータ(「1.使用するデータ(2)」)を用いて、各計算法により中性化深さ予測を行った結果を表す図である。従来の√t則による方法では、25年時点の中性化深さをやや大きめに評価する傾向が見られる。
本実施の形態に係る中性化深さ予測装置によれば、第1の実施の形態に係る中性化深さ予測装置によって奏せられる効果に加えて、以下の効果が得られる。すなわち、式(9)のモデルによる誤差の標準偏差は、式(1)のモデルによる誤差の標準偏差よりも非常に小さくなる(σ’<<σ)ため、MCMC法による事後分布の推定において生成する乱数の数が少なくなる。したがって、たとえば、中性化深さ予測装置100による計算時間が短くなる。
以上詳述した点をまとめると、以下のとおりとなる。
Claims (6)
- コンクリート構造物の中性化深さを予測するために予め設定された数式モデルのパラメータを推定することにより、前記中性化深さを計算するための中性化深さ予測装置であって、
前記数式モデルにおいて、前記中性化深さは、中性化速度係数と、前記構造物の竣工後から検査までの経過時間と、前記経過時間のべき乗とによって規定されており、
前記数式モデルの誤差は、正規分布に従っており、
前記中性化深さ予測装置は、
構造物の検査によって得られた中性化深さの測定値と、当該検査時における前記構造物の竣工後の経過時間とを格納するための記憶装置と、
前記記憶装置に接続されたプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
推定対象のパラメータの事前分布を設定する処理を実行し、前記推定対象のパラメータは、前記中性化速度係数と、前記べき乗と、前記正規分布の分散(σ2)とを含み、
前記プロセッサは、さらに、
前記測定値と、前記正規分布の標準偏差(σ)と、前記推定対象のパラメータとに基づいて尤度関数を設定し、
前記尤度関数に対してベイズの定理を適用することにより、前記推定対象のパラメータの事後分布を導出し、
マルコフ連鎖モンテカルロ法を前記事後分布に適用することにより、マルコフ乱数を生成し、
前記マルコフ乱数を用いて、前記中性化速度係数と、前記べき乗と、前記分散とを算出し、
算出した前記中性化速度係数と、前記べき乗と、前記分散とを、前記数式モデルに適用して、前記構造物の中性化深さを計算する、中性化深さ予測装置。 - 前記数式モデルは、式(1)で表され、
C=AtB+ε ・・・・・・ (1)
ここで、
Cは、前記中性化深さを表しており、
Aは、前記中性化速度係数であり、
tは、前記経過時間であり、
Bは、前記経過時間のべき乗であり、
εは、前記数式モデルの誤差を表す確率変数であり、前記確率変数の平均値は零である、請求項1に記載の中性化深さ予測装置。 - 前記数式モデルは、式(2)で表され、
lnC=lnA+Blnt+ε’ ・・・・・・ (2)
ここで、
Cは、前記中性化深さを表しており、
Aは、前記中性化速度係数であり、
tは、前記経過時間であり、
Bは、前記経過時間のべき乗であり、
ε’は、前記数式モデルの誤差を表す確率変数であり、前記確率変数の平均値は零である、請求項1に記載の中性化深さ予測装置。 - コンクリート構造物の中性化深さを予測するために予め設定された数式モデルのパラメータを推定することにより、前記中性化深さをコンピュータに計算させるためのプログラムであって、
前記数式モデルにおいて、前記中性化深さは、中性化速度係数と、前記構造物の竣工後から検査までの経過時間と、前記経過時間のべき乗とによって規定されており、
前記数式モデルの誤差は、正規分布に従っており、
前記プログラムは、前記コンピュータのプロセッサに、
構造物の検査によって得られた中性化深さの測定値と、当該検査時における前記構造物の竣工後の経過時間とをロードするステップと、
推定対象のパラメータの事前分布を設定するステップとを実行させ、前記推定対象のパラメータは、前記中性化速度係数と、前記べき乗と、前記正規分布の分散(σ2)とを含み、
前記プログラムは、さらに、前記プロセッサに、
前記測定値と、前記正規分布の標準偏差(σ)と、前記推定対象のパラメータとに基づいて尤度関数を設定するステップと、
前記尤度関数に対してベイズの定理を適用することにより、前記推定対象のパラメータの事後分布を導出するステップと、
マルコフ連鎖モンテカルロ法を前記事後分布に適用することにより、マルコフ乱数を生成するステップと、
前記マルコフ乱数を用いて、前記中性化速度係数と、前記べき乗と、前記分散とを算出するステップと、
算出した前記中性化速度係数と、前記べき乗と、前記分散とを、前記数式モデルに適用して、前記構造物の中性化深さを計算するステップとを実行させる、プログラム。 - 前記数式モデルは、式(1)で表され、
C=AtB+ε ・・・・・・ (1)
ここで、
Cは、前記中性化深さを表しており、
Aは、前記中性化速度係数であり、
tは、前記経過時間であり、
Bは、前記経過時間のべき乗であり、
εは、前記数式モデルの誤差を表す確率変数であり、前記確率変数の平均値は零である、請求項4に記載のプログラム。 - 前記数式モデルは、式(2)で表され、
lnC=lnA+Blnt+ε’ ・・・・・・ (2)
ここで、
Cは、前記中性化深さを表しており、
Aは、前記中性化速度係数であり、
tは、前記経過時間であり、
Bは、前記経過時間のべき乗であり、
ε’は、前記数式モデルの誤差を表す確率変数であり、前記確率変数の平均値は零である、請求項4に記載のプログラム。
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