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JP5267302B2 - 顕微鏡画像処理方法及び顕微鏡画像処理装置 - Google Patents
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顕微鏡画像処理方法及び顕微鏡画像処理装置 Download PDF

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Description

本発明は顕微鏡画像処理方法及び顕微鏡画像処理装置に関するものであり、例えば、顕微鏡で取得した顕微鏡画像から主観的な入力データを一切必要とせずにノイズ成分のみを抽出・除去するための構成に関するものである。
原子配列の高空間分解能像の観察に使用される走査透過電子顕微鏡(Scannnig Transmission Electron microscope:STEM)は、走査機能を使用した高空間分解能観察であるため、微細なプローブを使用する必要がある。その結果、検出信号が微弱になり画像のS/N(信号/ノイズ)比が小さくなってしまう。そのため、観察像に含まれるノイズ成分を除去して、より正確な高空間分解能で原子構造像を得ることが要求されている。
従来から、ハードウェア的にS/N比を向上させるため、検出効率の向上やプローブの電気信号を増加させる方法が検討されている。一方で、ソフトウェアを用いて得られた顕微鏡像からノイズ成分を除去する画像処理方法の開発も広く行われている。
例えば、高空間分解能顕微鏡像のノイズ除去のために使用される最も一般的な画像処理方法は、高速フーリエ変換(Fast Fourier transformaton:FFT)により、取得された像の周期構造に関係した部分のみをマスクを用いて取り出してノイズ成分を除去するノイズフィルタリング法が知られている。
また、高分解能STEM像のノイズ除去画像処理技術として、顕微鏡画像からレンズ成分をデコンボリューション法によって抜き出すのと同時にノイズ成分も除去する画像処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は実験条件から決定されるレンズ成分を理論計算によって求め、像のFFTからそのレンズ成分のFFTした結果を除算するものである。
また、最大エントロピー法(Maximum entropy method:MEM)によってノイズ成分を除去する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法はラグランジェ未定乗数と画像に含まれるノイズの分散を入力することによって、画像のエントロピーが最大となるようにノイズを取り除いていく方法である。
また、ごく最近では、同条件で取得された複数枚の高空間分解能像を平均化する方法や、一枚の像から周期構造に対応する部分のみを数か所抜き出して平均化する方法などの平均化処理によって非常に簡便にノイズを除去する方法も提案されている。
特開2003−249186号公報 特開2007−107999号公報
しかしながら、上述のそれぞれの手法においては多くの短所も見受けられる。例えば、ノイズフィルタリング法においては、周期構造に関係した部分を抽出する際のマスク形状やマスクサイズによって、逆フーリエ変換して得られる像が異なってしまうという問題がある。
また、デコンボリューション法においては、レンズ形状を計算する際の条件に不確定性が存在することや、プローブ形状のFFTを除算する際の閾値によって像が異なってしまう。そのため、詳細な定量解析にはこれらの手法は不向きであった。
また、MEMに関しては、最適なラグランジェ未定乗数やノイズの分散などの入力値が必要となるという問題点がある。さらに、平均化処理に関しては、同じ領域から撮影された数枚の像が必要であるため、撮像やその解析に多くの時間を要するという問題がある。
さらに、これらの手法は、画像から周期構造部分のみを抜き出す場合、例えば格子欠陥を含んだ像のように、周期性がほとんど存在しないような像に関しては処理を行うことができないという欠点がある。
したがって、本発明は、顕微鏡画像中に含まれるノイズを主観的な入力データを一切必要とせずに客観的な操作のみで除去することを目的とする。
本発明の一観点からは、顕微鏡により取得した顕微鏡画像を主成分分析法と多変量カーブ分解法を組み合わせた方法により画像処理する顕微鏡画像処理方法であって、前記顕微鏡画像と像解像度を画像処理装置に入力し、前記画像処理装置において主成分分析法と多変量カーブ分解法による画像処理工程を繰り返すことによって、主成分数を徐々に減じていき、主成分数が一定となるまで前記主成分分析法と多変量カーブ分解法を繰り返すことを特徴とする顕微鏡画像処理方法が提供される。
また、本発明の別の観点からは、顕微鏡で取得した顕微鏡画像の画像解像度を入力する画像情報入力部と、前記顕微鏡画像を入力する画像入力部と、前記画像データと前記画像解像度を用いて主成分分析法を実行する主成分分析演算部と、前記主成分分析演算部で求められた主成分数、スペクトル行列及び前記画像データを用いて多変量カーブ分解法を実行する多変量カーブ分解処理部とを有する画像処理部と、前記画像処理部により画像処理した結果を出力する出力部とを有することを特徴とする顕微鏡画像処理装置が提供される。
開示の顕微鏡画像処理方法及び顕微鏡画像処理装置によれば、主観的な入力データを一切必要とせずにノイズ成分のみを抽出・除去することが可能である。また、一枚の顕微鏡画像のみから処理が可能であるため、処理効率的を飛躍的に向上することが可能になる。
本発明の実施形態の顕微鏡画像処理装置の構成を示すブロック図である。 多変量カーブ分解法の概念的説明図である。 多変量カーブ分解法のフローチャートである。 多変量カーブ分解法におけるデータ行列A、スペクトル行列P及び濃度行列Cの説明図である。 主成分分析法におけるデータ行列A、相関行列Z、固有値λ、仮定したスペクトル行列P′の説明図である。 シミュレーション結果の説明図である。 像がゆがんだ場合のシミュレーション結果の説明図である。 本発明の実施の形態の処理結果の説明図である。 本発明の実施の形態の最終的な処理方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例1の顕微鏡画像処理方法による処理結果の説明図である。 図10における欠陥の存在する領域の拡大図である。
ここで、図1乃至図9を参照して、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、原子像観察画像という二次元画像データに対して、通常は一次元データである多数のスペクトル線の解析方法として採用されている多変量カーブ分解法(multivaluable curve resolution)を適用したものである。
そして、多変量カーブ分解法を適用するに当たり必要なスペクトル行列Pの初期値を二次元画像データAに対して主成分分析法(principal component analysis)を適用して決定するものである。
まず、図1を参照して本発明の実施の形態に用いる顕微鏡画像処理装置を説明する。図1は、本発明の実施形態の顕微鏡画像処理装置の構成を示すブロック図である。本発明の顕微鏡画像処理装置10は、画像情報入力部11、画像入力部12、主成分分析演算部13、多変量カーブ分解処理部14及び出力部15を備えている。
画像入力部12及び画像情報入力部11には顕微鏡本体20より取得された原子像観察画像とその解像度が入力される。主成分分析演算部13では入力画像とその解像度を基に主成分分析を実行する。多変量カーブ分解処理部14には入力画像、解像度のほか、主成分数が主成分分析演算部13より入力され、それらのデータを基に多変量カーブ分解を実行する。
主成分分析演算部13と多変量カーブ分解処理部14は互いに入出力が可能であり、多変量カーブ分解処理部14によって処理された像を主成分分析演算部13に戻すことが可能である。出力部15は多変量カーブ分解処理部によって出力された処理像を描画して出力する。
ここで、本発明の実施形態の顕微鏡画像処理方法を概念的に簡単に説明すると、まず、透過型電子顕微鏡、走査型トンネル電子顕微鏡、或いは、原子間力顕微鏡等の原子像の取得が可能な顕微鏡によって原子像観察画像を取得する。
次いで、取得した原子像観察画像を主成分分析法によって像を形成する適切な閾値ξ以上の主成分数fを算出し、その主成分数fを基に初期入力データを求めて多変量カーブ分解法によってノイズ成分を除去する。
この一連の処理によってノイズ成分が除去された像を新たな入力データとして、再度主成分分析法を先と同様の閾値ξによって行う。この際の主成分数f′が先の主成分数fと同様ならばノイズ処理は終了とし、主成分数f′が減少(f′<f)していれば、その主成分数f′を用いて再度多変量カーブ分解を行う。
この一連の主成分分析と多変量カーブ分解を、閾値ξ以上の主成分数fが変化しなくなるまで繰り返すことによって、徐々にノイズ成分を除去していき、最終的に像のみを形成している主成分を抽出することによって、ノイズ除去を行う。
次に、数学的統計手法の一種である多変量解析における多変量カーブ分解法と主成分分析法について簡単に説明する。図2は多変量カーブ分解法の概念的説明図である。多変量カーブ分解法はw行×n列のデータ行列Aを入力データとしたとき、成分数をfとしてw行×f列のスペクトル行列Pとf行×n列の濃度行列Cに分解する手法のことをいう。即ち、行列表記としては下記の式(1)で表される。
A=P・C ・・・(1)
ここで、Pをスペクトル行列と呼んでいるのは、多変量カーブ分解がスペクトル解析の分野においてスペクトルを構成している主成分を抽出するために発展してきた経緯による。即ち、スペクトル解析においては、wが入力データのエネルギー(又は波長)に対応したチャンネル数、nが取得した標本数、fがその入力データを構成している成分の数を表す。
本発明においては、この多変量カーブ分解法を初めて二次元データである画像そのものに適用している。顕微鏡像においては、一般に行と列は等価なものであるが、ここでは画像の行と列をそれぞれチャンネル数と標本数と考えることによって、多変量カーブ分解を行う。一例を挙げると、一枚の顕微鏡画像を500×500〜1000×1000のピクセルに分解して分析を行うものであり、w=500〜1000,n=500〜1000程度になるが、ピクセル数は任意である。
図3は、多変量カーブ分解法のフローチャートである。多変量カーブ分解法において、まず、最初にスペクトル行列Pと成分数fを適当に仮定する。但し、本発明における実際のスペクトル行列Pと成分数fの設定は後述するように主成分分析法を用いて行う。
次いで、仮定した初期スペクトル行列Pを用いて、下記の式(2)によって濃度行列Cを演算する。即ち、上記式(1)の両辺にスペクトル行列Pの転置行列PT を掛けて、
A=P・C→PT ・A=PT ・P・C=[PT ・P]・C とし、この式の両辺に[PT ・P]-1を掛けると、[PT ・P]-1・[PT ・P]=Eであるので
C=[PT ・P]-1・PT ・A ・・・(2)
となる。なお、Eは単位行列である。
ここで求まった濃度行列Cは適当に仮定したスペクトル行列Pによるものであるので、現実的でない値が求まる可能性がある。そこで、求まった濃度行列Cを適切な束縛条件の下で書き換えることによって、その時点で最適な濃度行列Cを求める。ここでは、濃度が負の値になることはないはずであるので、[C]ij≧0となる束縛条件を付加する。この束縛条件が成立していない行列要素は全て0とする。
このようにして求まった濃度行列Cを上記式(1)におけるCとして用いて、次に、スペクトル行列P′を下記の式(3)によって求める。即ち、上記式(1)の両辺に濃度行列Cの転置行列CT を掛けて、
A=P′・C→A・CT =P′・C・CT =P′・[C・CT ]とし、この両辺に[C・CT-1を掛けると、[C・CT-1・[C・CT ]=Eであるので、
P′=[C・CT-1・A・CT ・・・(3)
となる。
このようにして求まったスペクトル行列P′においても同様に束縛条件を付加する。像の強度が負になることもないので、濃度行列Cの際と同様に[P′]ij≧0となるような束縛条件を与える。この束縛条件に反した成分は全て0とする。
この一連のサイクルによって求まったスペクトル行列P′と入力したスペクトル行列Pが一致していれば、データ行列AはP′とCの行列積によって表わされる。もし、スペクトル行列P′と入力したスペクトル行列Pが一致していなければ、P′行列を最初に仮定するPとして入力し、上記のサイクルを繰り返す。このサイクルをPとP′が一致するまで繰り返す。
最終的にその収束した結果から、データ行列をスペクトル行列Pと濃度行列Cに分離し、その行列積によって主成分のみによって記述されるAを求める方法が多変量カーブ分解法である。
図4は、多変量カーブ分解法におけるデータ行列A、スペクトル行列P及び濃度行列Cを簡単に示したものであり、ここでは、3×3のデータ行列として説明する。図に示すように、データ行列Aは#1,#2,#3の3つ(n=3)の標本数からなり、標本#1では3つのピクセルにおけるデータ(w=3)が(100)で、標本#2では(010)、標本#3では(010)とする。したがって、主成分は(100)の一個の主成分1と(010)の二個の主成分2から構成され、他の(001)等の成分は含まれていない。
したがって、主成分fは二つ(f=2)であるのでスペクトル行列Pは3×2の行列となる。一方、濃度行列Cは、標本#1 においては、主成分1が濃度1で存在し主成分2は存在せず、標本#2及び標本#3においては、それぞれ主成分1が存在せずに、主成分2が濃度1で存在する濃度分布を2×3の行列で表されることになる。これは、非常に簡単な例であるが、行列における各行列要素の値[A]ij,[P]ij,[C]ijは“0”,“1”である必要はなく、負以外の数であれば問題はない。
このような多変量カーブ分解法において最も問題となるのが、主成分数とスペクトル行列Pをどのように仮定するかということである。その際に標準的に使用される手法の一つが主成分分析法である。主成分分析法は、まずデータ行列Aの相関行列Z(=A・AT )を求める。次に、この相関行列Zの固有値λi 、固有ベクトルを求める。
求まった固有値λのうち最大固有値を持つ成分に対応した固有ベクトルは、最も大きな情報量を有している主成分と見なすことができる。つまり、適切な閾値ξを設定して、それ以上の値を持つ固有値λが何個あるかによって主成分数fを求めることができる。
さらに、それらの固有値λに対応した固有ベクトルを用いてスペクトル行列Pを推定することが可能である。もちろん、このように求まったPは主成分分析における最も確からしいスペクトル行列であるため、実際のPに等しいとは限らない。そこで、このPを多変量カーブ分解における初期入力するスペクトル行列Pとして用いることによって、主観性の入らない多変量カーブ分解が可能となる。
図5は、主成分分析法におけるデータ行列A、相関行列Z、固有値λ、主成分分析法によって求まったスペクトル行列P′の説明図である。ここでも、図4と同じに非常に簡単な行列で説明する。データ行列Aから得られた相関行列Z(=A・AT )から固有値λがλ=2,λ=1として求まる。これを規格化すると、λ=2/3,λ2=1/3となる。
主成分分析法によって求まったスペクトル行列P′の1列目は、相関行列Zにおいて固有値λに対応するスペクトル成分によって表され、2列目は固有値λに対応するスペクトル成分によって表される。また、スペクトル行列P′の3列目はその他のスペクトル成分が0であることを表している。主成分分析法ではこのように固有値λが各成分の重みを表し、固有ベクトルはその成分のスペクトルを表している。
図6は、シミュレーション結果の説明図であり、図6(a)に理論計算によって得られた理想的な高空間分解能顕微鏡像にノイズを加えた画像を示している。この画像を主成分分析法によって成分数fとスペクトル行列Pを求めた結果、主成分はほぼ2つの成分(f=2)によって記述されていることがわかった。
その2つの主成分に対応した固有ベクトルを用いて多変量カーブ分解を行った結果が図6(b)に示している。ノイズを含んでいたとしても、像自体を形成する主成分の数fさえ求めることができれば、主成分を抽出することができ、それ以外のノイズ成分を除去することができることがわかる。
しかしながら、実際の実験結果は上記した結果のように完全なものではない。例えば、高分解能像を取得する際の試料の動きなどによって、像がゆがんでしまう場合がある。その場合の適用例を図7に示した。図7(a)は画像の縦方向の変化に対して、線形に横方向の像がずれるような歪みを加えて計算した画像である。この画像をデータ行列Aとした相関行列Zによって求まる主成分fは連続的に変化してしまうため、適切な閾値を設定することが困難である。
大きさが連続的に変化する固有値に対して、強引に主成分数を決定し多変量カーブ分解法によって主成分を抽出し、行列Aを求めた結果を図7(b)に示す。図から明らかなように、像のゆがみの影響によって、像のノイズ成分のみを正確に取り除くことができていないことがわかる。これは、主成分を適切に求めることができなかったことが原因であり、一度の主成分分析と多変量カーブ分解法によっては正確に像を処理することができないことがわかる。
このような問題を解決するために、本発明は適切な閾値の設定方法とノイズ除去の画像処理方法を提案するものである。まず、相関行列Zの固有値λの強度を降順にソートし、全ての固有値λの総和が1となるように固有値λを規格化する。
次に、データ行列Aにおけるwの成分数の1/3が含まれるように主成分数fを抽出する。ここで、成分数の1/3に含まれる固有値の総和を閾値ξとして設定する。なお、この1/3の線引きは経験によるものであり、1/5が含まれるように主成分数fを抽出した場合には、周期構造がはっきりしない不鮮明な像になる。一方、1/2が含まれるように主成分数fを抽出するとノイズの多い像となりやはり不鮮明になる。
次に、この主成分数fとその固有値λに対応した固有ベクトルを使用して、スペクトル行列Pを仮定し、この仮定したスペクトル行列Pを初期入力データとして多変量カーブ分解を行い、ノイズ除去された行列Aを求める。ここでは数多くの主成分をそのまま使用しているため、像からはわずかにノイズ成分が除去されるにすぎない。しかしながら、それでも確実にノイズの成分は除去されている。
図8は処理結果の説明図であり、初期データと最初の多変量カーブ分解によって求まった処理像を図8(a)と図8(b)に示した。さらに、図8(b)で示された処理像を、再度画像処理するためのデータ行列Aとして主成分分析法を行う。その際に、入力データの主成分を判断する閾値として、先に設定したξと同じ値を用いる。先の処理によってデータからはノイズがわずかながら除去されているため、同様の閾値ξが設定されていても、その閾値ξまでに含まれる主成分数fは減ぜられている。その減ぜられた主成分数fを用いて多変量カーブ分解し、処理された結果を図8(c)に示す。なお、図8(b)は主成分数fが40の画像であり、図8(c)が主成分数fが5の画像である。
図8(a)及び図8(b)との比較から明らかなように、ノイズ成分が除去されて鮮明な処理像が得られていることがわかる。さらに、上述の図7(b)と比べても、像のゆがみに起因した誤差がほとんど含まれていないことがわかる。この像を再度入力データとして主成分分析法を行った場合、閾値ξに含まれる主成分の数fはひとつ前の処理によって求まった成分数fi-1と変化していない。
そのことより、主成分分析法と多変量カーブ分解法による処理を、適切な閾値の下で主成分数が一定の数になるまで繰り返し、徐々にノイズを除去していくことによって、歪みを含む像においてもノイズ成分のみを適切に除去した処理像が得られることがわかる。この方法は歪みを含まない像にも適用可能であるため、どのような像にも適用可能な処理方法として提供することができる。図9は、本発明における最終的な処理方法を示すフローチャートである。
以上を前提として、次に、図10及び図11を参照して、本発明の実施例1の顕微鏡画像処理方法を説明する。ここでは、〈110〉方位から撮影されたα−Zn Sb12の結晶境界を含む高分解能STEM像を処理対象とするものであり、図9に示したフローを成分数fが変化しなくなるまで繰り返した結果を逐次示したものである。
なお、図10(a)乃至図10(f)はそれぞれ初期画像、主成分数f=95の画像、主成分数f=42の画像、主成分数f=25の画像、主成分数f=12の画像、及び、主成分数f=8の画像を示している。主成分数fが8になって時点で処理を繰り返しても主成分数fが変化しなかったので図10(f)を最終的な処理画像とした。
この図10(a)乃至図10(f)からは、一回の主成分分析と多変量カーブ分解法によってノイズ成分が徐々に除去されて像の様子が変化して行き、図10(f)の最終的な処理結果は境界部分まで含めて、ノイズがほぼ完全に取り除かれていることがわかる。
また、図11(a)乃至図11(f)は図10(a)乃至図10(f)における欠陥の存在する領域の拡大図であり、処理を繰り返す毎に画像が鮮明になっていくのがわかる。
このように本発明は適切な閾値ξを設定したことによって、格子欠陥を含んだような像にも十分適用することが可能である。
10 顕微鏡画像処理装置
11 画像情報入力部
12 画像入力部
13 主成分分析演算部
14 多変量カーブ分解処理部
15 出力部
20 顕微鏡本体

Claims (6)

  1. 顕微鏡により取得した顕微鏡画像を主成分分析法と多変量カーブ分解法を組み合わせた方法により画像を処理する顕微鏡画像処理方法であって、
    前記顕微鏡画像と像解像度を画像処理装置に入力し、
    前記画像処理装置において主成分分析法と多変量カーブ分解法による画像処理工程を繰り返し、
    前記画像処理工程を繰り返すことによって、主成分数を徐々に減じていき、前記顕微鏡画像のノイズを徐々に除去することを特徴とする顕微鏡画像処理方法。
  2. 前記主成分数が一定となるまで前記画像処理工程を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡画像処理方法。
  3. 前記顕微鏡画像を2次元画像データとして取得し、その画像データの座標を行列の行番号及び列番号とし、前記顕微鏡像の画像データの強度を行列要素として扱い、前記主成分分析法と多変量カーブ分解法のデータ行列として入力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の顕微鏡画像処理方法。
  4. 前記顕微鏡画像が、原子像観察画像であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の顕微鏡画像処理方法。
  5. 前記画像処理工程における最初の主成分分析工程において、前記画像データの相関行列の固有値の総和が一定となるように規格化し、前記固有値の大きさに対してソートし、値が大きい順番に像解像度の1/3の数の固有値まで取り出し、その総和を閾値として設定し、2回目以降の主成分分析工程における主成分数の決定を、前記設定した閾値を基に行うことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の顕微鏡画像処理方法。
  6. 顕微鏡で取得した顕微鏡画像の画像解像度を入力する画像情報入力部と、
    前記顕微鏡画像を入力する画像入力部と、
    前記画像データと前記画像解像度を用いて主成分分析法を実行する主成分分析演算部と、
    前記主成分分析演算部で求められた主成分数、スペクトル行列及び前記画像データを用いて多変量カーブ分解法を実行する多変量カーブ分解処理部と
    を有する画像処理部と、
    前記画像処理部により画像処理した結果を出力する出力部と
    を有することを特徴とする顕微鏡画像処理装置。
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