図1は、本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機を表す縦断面図、図2は、本実施例のロータリ圧縮機における圧縮部を表す図1のII−II断面図、図3は、本実施例のロータリ圧縮機における給油機構を表す断面図、図4は、本実施例のロータリ圧縮機における給油機構を表す図3のIV−IV断面図、図5は、捩じり加工前のポンプ羽根を表す正面図、図6は、捩じり加工後のポンプ羽根を表す正面図である。
本実施例のロータリ圧縮機は、図1及び図2に示すように、圧縮機筐体11と、圧縮部12と、モータ13と、給油機構14とを備えている。即ち、圧縮機筐体11は、円筒形状をなす筐体本体21の上部に蓋部22が固定されると共に、下部に底部23が固定された中空形状をなす密閉容器として構成されている。圧縮部12は、この圧縮機筐体11の下部に配置されており、吸入したガス冷媒を圧縮して高圧冷媒として吐出することができる。
モータ13は、圧縮機筐体11の上部に配置されており、ステータ31とロータ32とから構成されている。この場合、ステータ31は、圧縮機筐体11の内周面に焼きばめされて固定されている。一方、ロータ32は、ステータ31の中央部に所定隙間をもって配置され、回転軸33に焼きばめされて固定されている。この回転軸33は、下方に延出され、圧縮部12と機械的に接続されており、モータ13により回転軸33を介して圧縮部12を駆動することができる。
給油機構14は、圧縮機筐体11の下部に貯留された潤滑油を回転軸33の後述する給油孔を通して圧縮部12の摺動部分に供給するものであり、給油ポンプとして機能する。
ここで、圧縮部12について詳細に説明する。この圧縮部12は、上方側に位置する第1圧縮部41と、下側に位置する第2圧縮部51とから構成され、この第1圧縮部41と第2圧縮部51とは、ほぼ同様の構成、作用をなし、上下に並んで積層されるように配置されている。
この第1圧縮部41にて、外周側には短円筒状をなす第1シリンダ42が配置されており、この第1シリンダ42には、モータ13及び回転軸33と同心をなす円形の第1シリンダ内壁42aが形成されている。この第1シリンダ42(第1シリンダ内壁42a)内には、シリンダ内径よりも小さい外径を有する環状の第1環状ピストン43が配置されており、第1シリンダ内壁42aと第1環状ピストン43の第1ピストン外壁43aとの間に、冷媒を吸入して圧縮可能であると共に、圧縮した冷媒を吐出する第1作動室44(圧縮空間)が区画形成されている。
第1シリンダ42には、第1シリンダ内壁42aから径方向に沿って、且つ、シリンダ高さ全域にわたって第1ベーン溝45が形成され、この第1ベーン溝45内には、平板形状をなす第1ベーン46が嵌合している。この第1ベーン46は、第1ベーン溝45の奥部に装着された図示しない第1スプリングにより第1作動室44に突出する方向に付勢支持されている。
従って、第1ベーン46は、常時は、この第1スプリングの付勢力により、第1ベーン溝45から第1作動室44に突出する方向に付勢され、その先端が第1環状ピストン43の外周面に当接している。そのため、第1作動室44は、この第1ベーン46により第1吸入室44aと第1圧縮室44bとに区画される。
また、第1シリンダ42には、第1ベーン溝45の奥部と圧縮機筐体11内とを連通し、第1ベーン46に対して、圧縮された冷媒の圧力により背圧を作用させる背圧導入路47が形成されている。更に、第1シリンダ42には、第1吸入室44aに外部から冷媒を吸入させるために、第1吸入室44aと外部とを連通する第1吸入孔48が設けられている。
一方、第2圧縮部51にて、第1圧縮部41と同様に、外周側には短円筒状をなす第2シリンダ52が配置されており、この第2シリンダ52には、モータ13及び回転軸33と同心をなす円形の第2シリンダ内壁が形成されている。この第2シリンダ52(第2シリンダ内壁)内には、シリンダ内径よりも小さい外径を有する環状の第2環状ピストン53が配置されており、第2シリンダ内壁と第2環状ピストン53の第2ピストン外壁との間に、冷媒を吸入して圧縮可能であると共に、圧縮した冷媒を吐出する第2作動室54(圧縮空間)が区画形成されている。
第2シリンダ52には、第2シリンダ内壁から径方向に沿って、且つ、シリンダ高さ全域にわたって第2ベーン溝(図示略)が形成され、この第2ベーン溝内には、平板形状をなす第2ベーン(図示略)が嵌合している。この第2ベーンは、第2ベーン溝の奥部に装着された図示しない第2スプリングにより第2作動室54に突出する方向に付勢支持されている。
従って、第2ベーンは、常時は、この第2スプリングの付勢力により、第2ベーン溝から第2作動室54に突出する方向に付勢され、その先端が第2環状ピストン53の外周面に当接している。そのため、第2作動室54は、この第2ベーンにより第2吸入室54aと第2圧縮室54bとに区画される。
また、図示しないが、第2シリンダ52には、第2ベーン溝の奥部と圧縮機筐体11内とを連通し、第2ベーンに対して、圧縮された冷媒の圧力により背圧を作用させる背圧導入路が形成されている。更に、第2シリンダ52には、第2吸入室54aに外部から冷媒を吸入させるために、第2吸入室54aと外部とを連通する第2吸入孔が設けられている。
上述した圧縮部12にて、第1圧縮部41と第2圧縮部51とがそれぞれ独立して作動するように、第1シリンダ42と第2シリンダ52との間には、中間仕切板61が配置されている。この中間仕切板61は、第1作動室44と第2作動室54とを仕切るように区画している。また、第1シリンダ42の上部には、上端板62が配置され、第1作動室44を閉塞している。一方、第2シリンダ52の下部には、下端板63が配置され、第2作動室54を閉塞している。
この場合、上から下方に向けて、上端板62、第1シリンダ42、中間仕切板61、第2シリンダ52、下端板63が積層され、図示しない固定ボルトにより一体に固定されている。そして、上端板62の外周部が圧縮機筐体11の内周部に嵌合して固定されている。
上端板62は、その中心部に上軸受部62aが形成され、この上軸受部62aに回転軸33が回転自在に支持されている。下端板63は、その中心部に下軸受部63aが形成され、この下軸受部63aに回転軸33が回転自在に支持されている。なお、この上端板62は、外周部に円弧長孔形状をなす複数の貫通孔62bが周方向に均等間隔で形成されている。この各貫通孔62bは、圧縮部12で冷媒と混合されて圧縮機筐体11の上部に吹出された潤滑油が、冷媒と分離して圧縮機筐体11の下部に戻るための孔である。
回転軸33は、先端部側(下端部側)に互いに180°位相をずらして偏心させた第1偏心部64と第2偏心部65が設けられている。第1偏心部64は、第1圧縮部41の第1環状ピストン43の内側に摺動自在に嵌合し、回転可能となっている。第2偏心部65は、第2圧縮部51の第2環状ピストン53の内側に摺動自在に嵌合し、回転可能となっている。
従って、回転軸33が回転すると、第1、第2偏心部64,65が一体に回転し、この第1、第2偏心部64,65を介して第1、第2環状ピストン43,53が自転及び公転する。即ち、回転軸33が、図2にて時計回り方向に回転すると、第1偏心部64が第1環状ピストン43と摺動しながら同方向に回転し、この第1環状ピストン43は、第1ピストン外壁43aが第1シリンダ内壁42aを転動するように、図2にて反時計回り方向に自転すると共に、図2にて時計回り方向に公転する。同様に、回転軸33が回転すると、第2偏心部65も同方向に回転し、この第2環状ピストン53が自転すると共に公転する。
第1、第2環状ピストン43,53が自転及び公転すると、この第1、第2環状ピストン43,53の作動に追随して第1ベーン46と第2ベーン(図示略)が往復運動する。そのため、第1、第2環状ピストン43,53の作動により、第1吸入室44a及び第2吸入室54a、第1圧縮室44b、第2圧縮室54bの容積が連続的に変化し、第1、第2圧縮部41,51は、連続的に冷媒を吸入して圧縮し、圧縮した冷媒を吐出することができる。
上端板62は、その上部に上マフラーカバー66が固定され、上端板62と上マフラーカバー66との間に上マフラー室67が形成されている。そして、上端板62には、第1シリンダ42の第1圧縮室44bと上マフラー室67とを連通する第1吐出孔68が形成され、この第1吐出孔68には、圧縮された冷媒の逆流を防止する第1吐出弁69が設けられている。この上マフラー室67は、吐出冷媒の圧力脈動を低減させる。
下端板63は、その下部に下マフラーカバー70が固定され、下端板63と下マフラーカバー70との間に下マフラー室71が形成されている。そして、下端板63には、第2シリンダ52の第2圧縮室54bと下マフラー室71とを連通する第2吐出孔72が形成され、この第2吐出孔72には、圧縮された冷媒の逆流を防止する第2吐出弁73が設置されている。この下マフラー室71は、吐出冷媒の圧力脈動を低減させる。
図示しないが、円筒形状をなす圧縮機筐体11の外周壁には、軸方向に離間して第1、第2貫通孔が設けられている。また、圧縮機筐体11の外壁部には、独立した円筒形状をなす密閉容器からなるアキュムレータ81が、アキュムホルダ(図示せず)及びアキュムバンド82により保持されている。このアキュムレータ81は、上端部に冷凍サイクルの低圧側と接続するシステム接続管83が接続されている。
また、アキュムレータ81は、下部に第1、第2吸入管84,85の一端部が接続されており、この第1、第2吸入管84,85は、圧縮機筐体11の第1、第2貫通孔を通り、他端部が第1、第2圧縮部41,51における第1、第2シリンダ42,52の第1、第2吸入孔48,(図示略)に連結されている。
圧縮機筐体11は、上端部に冷凍サイクルの高圧側と接続して高圧冷媒を冷凍サイクルの高圧側に吐出する吐出部としての吐出管86が接続されている。即ち、第1、第2吐出孔68,72は、吐出管86を介して冷凍サイクルの高圧側に連通している。
圧縮機筐体11は、下部に潤滑油を貯留しており、この貯留された潤滑油を回転軸33の給油孔100を通して圧縮部12の摺動部分に供給する給油機構14が設けられている。この給油機構14は、収容孔101と、ポンプケース102と、ポンプ羽根103とから構成されている。
即ち、給油機構14において、図1及び図3、図4に示すように、回転軸33は、下方側に下端部が開口する収容孔101が形成されると共に、上方側に上端部が開口して収容孔101に連通する貫通孔104が形成され、また、中間部に径方向に貫通して収容孔101に連通する横孔105が形成されている。給油孔100は、この収容孔101と貫通孔104と横孔105により構成されている。なお、この横孔105は、上軸受部62a、第1、第2環状ピストン43,53、下軸受部63aに対応して設けられている。
ポンプケース102は、円筒形状をなす銅製のパイプであって、径方向に弾性変形可能であり、下端部に内径が小径となる潤滑油吸入孔106が形成され、上端部が開口して収容孔101に嵌合して取付けられている。ポンプ羽根103は、板形状をなし、収容孔101及びポンプケース102内に収容されており、長手方向の中間部に拡幅部107が形成され、この拡幅部107が回転軸33の収容孔101における下部の内面に係止されている。
この場合、回転軸33に形成された収容孔101は、上方側に形成された収容孔本体101aと、下方側に形成されてこの収容孔本体101aに段付部101bを介して、この収容孔本体101aより若干大径の取付孔101cとから構成されている。そして、ポンプケース102は、上端部が収容孔101における取付孔101cに嵌合し、上端が段付部101bに当接することで位置決めされている。この場合、ポンプケース102は、取付孔101cに圧入されることで、回転軸33に固定されるが、ポンプケース102と取付孔101cとの圧入代を、0〜0.06mmに設定することが好ましい。また、収容孔本体101aの内径とポンプケース102の内径がほぼ同径となるように設定することが好ましい。
また、ポンプ羽根103は、周方向に所定角度、本実施例では、180度だけ捩れている。図5に示すように、所定長さLで、且つ、所定幅Wの板材201に対して、長手方向のほぼ中間部における所定長さ領域L1に、幅方向の両方へ所定幅Wの側部203a,203bからそれぞれ所定量W1だけ突出する凸部202a,202bを形成する。また、板材201に対して、所定幅Wの側部203a,203bと凸部202a,202bとの間に、所定角度αの傾斜部204a,204bを形成する。この場合、凸部202a,202bの両側に傾斜部204a,204bを形成することとなる。更に、板材201に対して、4つの角部に所定半径Rを有する円弧部205を形成する。なお、この傾斜部204a,204bや円弧部205は、板材201をプレス加工するときに一体に形成してもよいし、プレス加工後に角部を面取り加工して形成してもよいし、バレル研磨により形成してもよい。
このように形成された板材201を180度だけ捩じり加工することで、図6に示すように、ポンプ羽根103を形成する。このとき、板材201における長手方向の端部だけは捩じり加工せず、平坦部103a,103bを形成する。
この場合、ポンプ羽根103にて、拡幅部107(凸部202a,202b)は、長手方向におけるほぼ中間部に形成されるものの、長手方向における中間点より上方側に位置している。そのため、板材201を180度だけ捩じり加工するとき、拡幅部107を中心に逆方向に90度だけ捩じり加工するが、長手方向における中間点を中心に逆方向に90度だけ捩じり加工してもよい。また、このポンプ羽根103にて、長手方向における中間位置に拡幅部107を形成し、この拡幅部107を中心として長手方向に対して対称形状としてもよい。
また、捩じり加工された後のポンプ羽根103は、拡幅部107の幅が、ポンプケース102の内径以上の幅となるように加工される。具体的に、ポンプ羽根103は、拡幅部107が回転軸33の収容孔101(取付孔101c)の内周部に圧入されることで、このポンプケース102に固定されるが、ポンプ羽根103の拡幅部107と取付孔101cとの圧入代を、0〜0.25mmに設定することが好ましい。そして、ポンプ羽根103は、工具用炭素鋼材(所謂、ばね鋼)または冷間圧延鋼材など、安価で弾性変形可能な材料により製造されている。そのため、ポンプ羽根103は、捩れ方向に弾性変形可能となっており、ポンプ羽根103(拡幅部107)が収容孔101(取付孔101c)に圧入されるときに、捩れ方向に変形して固定される。また、ポンプ羽根103における傾斜部204a,204bは、その角度αを、10〜45度に設定することが好ましい。
なお、ポンプ羽根103の捩れ角度は、180度に限定されるものではなく、適宜設定すればよいものである。また、ポンプ羽根103の拡幅部107は、幅方向における一方側のみに凸部を設けて構成してもよい。また、ポンプ羽根103における傾斜部204a,204bは、直線に限らず、曲線、つまり、側部203a,203bと凸部202a,202bが滑らかに連続するような円弧形状としてもよい。
このように構成された収容孔101、ポンプケース102、ポンプ羽根103を組み立てて給油機構14を構成する場合、ポンプ羽根103をポンプケース102に遊嵌し、ポンプ羽根103が遊嵌されたポンプケース102を回転軸33の収容孔101に圧入して固定する。このとき、ポンプ羽根103は、端部(平坦部103b)がポンプケース102の内面に接触しており、このポンプケース102に押圧されることで、拡幅部107が収容孔本体101aに圧入して固定され、ポンプケース102が取付孔101cに圧入して固定される。
このポンプ羽根103の拡幅部107を収容孔本体101aに圧入するとき、ポンプ羽根103がその捩じり方向に弾性変形して縮径する。そのため、収容孔本体101aに対するポンプ羽根103(拡幅部107)の圧入する力を低減し、拡幅部107と収容孔本体101aとのこすれによる削れ粉の発生が抑制される。また、ポンプ羽根103が工具用炭素鋼材や冷間圧延鋼材などにより製作されて弾性変形可能であることから、この収容孔本体101aに対するポンプ羽根103の圧入作業を小型のハンドプレスなどの使用が可能であり、容易に、且つ、確実な圧入による組付が可能となる。
また、ポンプ羽根103の拡幅部107を収容孔本体101aに圧入するとき、ポンプ羽根103は、長手方向におけるポンプケース102内に収容される端部(平坦部103bの角部)が、このポンプケース102の内面により押圧して接触することで位置決めされる。また、ポンプ羽根103が遊嵌されたポンプケース102を回転軸33の取付孔101cに圧入するとき、ポンプケース102の端部が収容孔101の段付部101bに当接することで位置決めされる。この場合、ポンプ羽根103は、拡幅部107がポンプケース102の上端部から離間している。そのため、ポンプ羽根103の拡幅部107を収容孔本体101aに圧入するとき、ポンプケース102の端部がポンプ羽根103の拡幅部107を押圧しないため、拡幅部107の変形が防止される。また、ポンプ羽根103は、長手方向における収容孔101に収容される端部(平坦部103aの角部)が収容孔101の内面から離間する。
従って、給油機構14にて、図1に示すように、回転軸33が回転すると、ポンプケース102及びポンプ羽根103が一体に回転し、その遠心力により圧縮機筐体11の下部に貯留された潤滑油を汲み上げることができる。即ち、圧縮機筐体11の潤滑油は、潤滑油吸入孔106からポンプケース102内に入り、ポンプ羽根103の回転により収容孔101内を上昇する。そして、各横孔105を通って上軸受部62a、第1、第2環状ピストン43,53、下軸受部63aなどに供給されて潤滑する。そして、各部を潤滑した潤滑油は、第1、第2圧縮部41,51を区画する部品同士の微小隙間から第1、第2作動室44,54に入り、それぞれの摺動部分の潤滑と微小隙間の圧力シールを行い、排出される。
ここで、本実施例のロータリ圧縮機の作用について説明する。ロータリ圧縮機を作動させると、冷媒が冷凍サイクルの低圧側からシステム接続管83を通ってアキュムレータ81に流入し、液冷媒がこのアキュムレータ81の下部に、ガス冷媒がアキュムレータ81の上部にと分離される。
圧縮機筐体11内では、モータ13により回転軸33が駆動回転し、第1、第2偏心部64,65を介して第1、第2環状ピストン43,53が自転及び公転する。すると、この第1、第2環状ピストン43,53が第1、第2シリンダ42,52内を自転しながら公転することで、第1、第2吸入室44a,54aの容積が拡大し、アキュムレータ81内のガス冷媒が第1、第2吸入管84,85から第1、第2吸入孔48,(図示略)を通ってこの第1、第2吸入室44a,54aに吸入される。
第1、第2環状ピストン43,53が1回公転すると、第1、第2吸入室44a,54aは、第1、第2吸入孔48,(図示略)と遮断され、第1、第2圧縮室44b,54bに切替わってガス冷媒が圧縮される。
圧縮された第1、第2圧縮室44b,54b内の冷媒の圧力が、第1、第2吐出孔68,72に設けられた第1、第2吐出弁69,72の下流側の上下マフラー室67,71の圧力に達すると、この第1、第2吐出弁69,72が開放される。そして、圧縮された冷媒が第1、第2吐出孔68,72を通って上下マフラー室67,71に吐出され、この上下マフラー室67,71で騒音の原因となる圧力脈動を低減させた後、高圧冷媒となって圧縮機筐体11内に吐出される。
その後、高圧冷媒は、モータ13のステータ31の図示しないコア切欠きや、コアと巻線の隙間を通り、このモータ13の上方に送られ、吐出管86を通って冷凍サイクルの高圧側に吐出される。
このとき、圧縮機筐体11の下部に貯留されている潤滑油は、給油機構14により汲み上げられ、上軸受部62a、第1、第2環状ピストン43,53、下軸受部63aなどを潤滑する。即ち、回転軸33と共にポンプケース102及びポンプ羽根103が回転すると、その遠心力により潤滑油が汲み上げられ、この潤滑油が収容孔101内を上昇し、各横孔105を通って上軸受部62a、第1、第2環状ピストン43,53、下軸受部63aなどに供給されて潤滑する。そして、各部を潤滑した後の潤滑油は、圧縮機筐体11の下部に戻される。
このように本実施例のロータリ圧縮機にあっては、圧縮機筐体11の下部に吸入した冷媒を圧縮する圧縮部12を設けると共に、圧縮機筐体11の上部に回転軸33を介して圧縮部12を駆動するモータ13を設け、圧縮機筐体11の下部に貯留された潤滑油を回転軸33の給油孔100を通して圧縮部12の摺動部分に供給する給油機構14を設けて構成し、給油機構14として、回転軸33の下端部に開口して給油孔100に連通する収容孔101と、板形状をなして長手方向の中間部に形成された拡幅部107が収容孔101の下部に係止されるポンプ羽根103と、下端部に潤滑油吸入孔106を有して上端部が開口して収容孔101に嵌合して段付部101bにより位置決めされるポンプケース102とを設けている。
従って、ポンプ羽根103は、拡幅部107を介して回転軸33の収容孔101の下部に係止され、ポンプケース102も収容孔101に嵌合し、段付部101bにより位置決めされることで、ポンプ羽根103が回転軸33の給油孔100に装着されることとなる。そのため、ポンプ羽根103は、ポンプケース102を収容孔101に装着するとき、このポンプケース102により拡幅部107が押圧されることはなく、ポンプ羽根103の変形を防止することができると共に、組付性を向上することができる。
また、本実施例のロータリ圧縮機では、ポンプ羽根103は、長手方向におけるポンプケース102内に収容される側の端部が、ポンプケース102の内面に接触することで、位置決めされる。従って、ポンプ羽根103は、ポンプケース102に対して所定の位置に位置決めされることで、このポンプケース102を収容孔101に嵌合するだけで、ポンプ羽根103が収容孔101における所定の位置に容易に位置決めされることとなり、給油機構14の組付性を向上することができる。
また、本実施例のロータリ圧縮機では、ポンプ羽根103は、長手方向における収容孔101に収容される側の端部が、収容孔101の内面から離間する。従って、ポンプ羽根103は、一端部がポンプケース102に接触して位置決め、他端部が収容孔101から離間することとなり、ポンプ羽根103に対して過度な応力が作用することはなく、ポンプ羽根103の変形や破損を防止して耐久性を向上することができる。
また、本実施例のロータリ圧縮機では、ポンプ羽根103は、拡幅部107がポンプケース102の上端部から離間する。従って、ポンプ羽根103が遊嵌されたポンプケース102を収容孔101に装着するとき、ポンプケース102は、内面がポンプ羽根103の端部を押圧することで、拡幅部107を収容孔本体101aに圧入する。そのため、ポンプケース102の端部がポンプ羽根103の拡幅部107を押圧することはなく、拡幅部107の変形を防止することができ、その結果、拡幅部107を適正に収容孔本体101aに圧入することができる。
また、本実施例のロータリ圧縮機では、収容孔101を、収容孔本体101aと段付部101bと大径の取付孔101cとから構成し、ポンプ羽根103の拡幅部107を収容孔本体101aに嵌合し、ポンプケース102を取付孔101cに嵌合して段付部101bに当接することで、このポンプケース102を位置決めしている。従って、ポンプケース102を収容孔101の段付部101bを用いて位置決めすることで、収容孔101に対するポンプ羽根103の位置決めを行うこととなり、ポンプ羽根103による直接的な位置決めを不要とし、ポンプ羽根103の変形や破損を防止することができると共に、組付性を向上することができる。
また、本実施例のロータリ圧縮機では、ポンプ羽根103の長手方向における中間部に外方へ突出する凸部202a,202bを形成することで、ポンプケース102の内径以上の幅を有する拡幅部107を形成している。従って、拡幅部107を容易に形成することで、加工コストを低減することができる。
また、本実施例のロータリ圧縮機では、ポンプ羽根103の側部203a,203bと凸部202a,202bとの間に傾斜部204a,204bを形成している。従って、ポンプ羽根103をポンプケース102に装着するとき、側部203a,203bから傾斜部204a,204bを介して拡幅部107(凸部202a,202b)が嵌合することとなり、ポンプ羽根103をスムースにポンプケース102に装着することができる。この場合、ポンプ羽根103がスムースにポンプケース102に嵌合することで、ポンプ羽根103及びポンプケース102における削れ粉の発生を抑制することができると共に、損傷を防止することができる。
また、本実施例のロータリ圧縮機では、ポンプ羽根103は、周方向に所定角度だけ捩れ、この捩れ方向に弾性変形可能な材料により製造されている。従って、ポンプ羽根103をポンプケース102に装着するとき、ポンプ羽根103が捩れ方向に弾性変形して嵌合することとなり、ポンプ羽根103をスムースにポンプケース102に装着することができる。