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JP5286468B2 - 新規レクチン及びその製造方法並びに糖鎖検出方法 - Google Patents
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JP5286468B2 - 新規レクチン及びその製造方法並びに糖鎖検出方法 - Google Patents

新規レクチン及びその製造方法並びに糖鎖検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規レクチン及びその製造方法に関し、特にキノコ抽出物由来の新規レクチン及びその製造方法、並びに該レクチンを用いた糖鎖検出方法に関する。
レクチンは、植物、動物のほか菌類などにも存在するタンパク質又は糖タンパク質のうち、糖に対する特異的結合活性(以下、適宜「特異性」ともいう)を示す物質の総称である。レクチンは、単糖のみならず糖鎖中の糖も認識するため、有用糖鎖プロファイラーとして広く用いられている。またレクチンは糖鎖に対する特異的な結合能が高いため、これを利用した目的物質の検出が可能である。目的物質の検出をより効率よく行うために、従来のレクチンとは特異性や結合能の高さなどが異なる新規なレクチンが探索され、種々見出されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
一方、糖鎖の研究の進歩に伴って、糖鎖が生体内外で重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。例えば、ウィルス感染や癌等の各種疾患における糖鎖の役割が重要視されてきている。このため、より詳細な糖鎖研究が求められており、糖鎖の分析や癌などの診断において、特定の糖鎖を認識可能なレクチンは、有用なツールとして利用されてきている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。
グロボシド系糖鎖であって、GalNAc1−3Gal1−4Gal1−4Glc構造の糖鎖(Gb4糖鎖)は細菌類のレセプター糖鎖としても知られている。ヒトの尿路感染症を引き起こす大腸菌はグロボテトラオシルセラミド(Gb4)などの糖脂質にも結合する。
また、リソソーム病、特にサンドホッフ病において、βへキソサミニダーゼA及びBが欠損することにより、グロボテトラオシルセラミド(Gb4)からグロボトリオシルセラミド(Gb3)に分解することができなく、グロボテトラオシルセラミドが体液中や多くの臓器・細胞中に蓄積されることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特許第2630431号公報 特許第2895962号公報 特開2006−149398号公報 特表2005−515440号公報 PNAS, April 3, 2007, vol.104, no.14, pp.5977-5982
しかしながら、レクチンを利用して種々の糖鎖プロファイルを行う際に、検査対象とする糖鎖に特異性を有しているとしても、異なる糖鎖に対してもある程度の特異性を示すレクチンでは、適切なプロファイルを行うことができない。現在知られているレクチンでは糖鎖に対する特異性が充分でないものがあり、特異性が高い新規なレクチンの開発に対する要請が大きくなっている。
また、グロボシド系糖脂質系糖鎖のプロファイリングに使用できるようなレクチンはなかった。
従って本発明は、グロボシド系糖鎖に対して高い特異性を示す新規レクチンを提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
[1] 以下の特徴を有するカヤタケ属担子菌に由来するレクチン:
(1)SDS電気泳動法による分子量が、8,000〜15,000であり、
(2)ゲル濾過法による分子量が10,000〜12,000であり、
(3)グロボシド系糖鎖に結合し、
(4)N−アセチルガラクトサミンを含むグロボシド系糖鎖に対して結合定数1.0×10 −1 以上で示される親和性を有する。
] カヤタケ属担子菌から水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製することにより得られる前記[1に記載のレクチン。
] 前記カヤタケ属担子菌がハイイロシメジである前記[1]又は]のいずれかに記載のレクチン。
] 前記[1]〜[]のいずれかに記載のレクチンの製造方法であって、カヤタケ属担子菌から水系媒体抽出物を得ること、前記水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製すること、を含むレクチンの製造方法。
] 前記[1]〜[]のいずれかに記載のレクチンと、標識化合物とを含む標識レクチン。
] 前記[1]〜[]のいずれかに記載のレクチンと、支持担体とを含むレクチン固定化担体。
] 前記[1]〜[]のいずれかに記載のレクチン、前記[]の標識レクチン又は[]に記載のレクチン固定化担体を用いて、グロボシド系糖鎖含有物を検出することを含む糖鎖検出方法。
] 前記グロボシド系糖鎖含有物を他の化合物と分別することを更に含む[]請記載の糖鎖検出方法。
] 前記[1]〜[]のいずれかに記載のレクチンを含む、グロボシド系糖鎖の有無を判定する判定薬。
本発明によれば、グロボシド系糖鎖に対して高い特異性を示す新規レクチンを提供することができる。
本発明のレクチンは、カヤタケ属担子菌に由来し、上記(1)〜(3)の特徴を有するものである。カヤタケ属担子菌の子実体(キノコ)に由来するレクチンであることが好ましい。
本発明におけるカヤタケ属担子菌としては、ハイイロシメジ(Clitocybe nebularis (Batsch:Fr.) Kummer)、アオイヌシメジ(Clitocybe odora (Bull. : Fr.) Kummer)カヤタケ(Clitocybe gibba (Pers.: Fr.) Kummer)、ホテイシメジ(Clitocybe clavipes (Pers. : Fr.) Kummer)等を挙げることができ、このうちレクチンの糖認識特異性とレクチンの回収効率の観点から、特にハイイロシメジであることが特に好ましい。
本発明のレクチンは、SDS電気泳動法による分子量が、5,000〜40,000のものであり、糖鎖認識能の高さの観点から好ましくは8,000〜40,000のものである。
SDS電気泳動法(SDS−PAGE)による分子量の測定及びゲル濾過法による分子量の測定は常法に従って行うことができる。
本発明のレクチンは、SDS(0.5質量%)条件下での25℃による一般的な泳動条件下で行った場合、煮沸処理を行ったものでは、8,000〜15,000の単量体として存在することが好ましい。
また煮沸処理を行わないレクチンの分子量は、ゲル濾過による場合、一般的な測定条件下で、分子量推定用標準タンパクを用いて推定した結果、5,000〜40,000のものであることが好ましく、10,000〜40,000のものであることが更に好ましい。
本発明のレクチンは、グロボシド系糖鎖に結合するものであり、好ましくは、N−アセチルガラクトサミンを含むグロボシド系糖鎖(グロボテトラオース:Gb4)に親和性を有するものである。このグロボテトラオース(Gb4)は、GalNAc 1-3Gal1-4 Gal 1-4 Glc、特に、GalNAcβ1-3Galα1-4 Galβ1-4 Glcとして知られている抗原糖鎖である。本発明のレクチンはこの糖鎖を認識する。さらに、本発明のレクチンは、末端のGlcに更にセラミドが結合した糖脂質を認識する。
このように本発明のレクチンは、グロボシド系糖鎖であるグロボテトラオース(Gb4)に対して高い特異性を示すものであり、他の糖鎖に対して特異性を示さない又は検出限界以下の非常に弱い結合である。このため、他の糖鎖配列が存在する環境下であっても、グロボシド系糖鎖であるグロボテトラオース(Gb4)のみを識別することができる。このような高い選択性を示すレクチンは、これまで知られていなかった。
これにより、例えば血液型糖脂質系、ガングリオシド系、グロボシド系、ガラクトリピッド系、ガラ系、ラクト系、ネオラクト系、モル系、アルスロ系など、各種糖脂質系糖鎖がある中で、グロボシド系糖鎖のプロファイリングに使用できるようなレクチンを提供することができる。
本発明における「高い特異性」とは、49種類以上の糖鎖の組み合わせで構成された糖鎖の中から、グロボシド系糖鎖であるグロボテトラオース(Gb4)のみを選択的に認識し、他の糖鎖に対しては結合性を示さないことを意味し、好ましくは、100種類以上の糖鎖の組み合わせで構成された糖鎖の中からグロボシド系糖鎖であるグロボテトラオース(Gb4)のみを選択的に認識し、他の糖鎖に対しては検出限界以下の非常に弱い結合または結合性を示さないことを意味する。
このような高い特異性は、例えば結合定数による親和性に基づいて評価することができる。本発明のレクチンは、好ましくは、グロボシド系糖鎖、特にGalNAc1−3Gal1−4Gal1−4Glc構造の糖鎖に対して、1.0×10−1以上の親和性を示し、より好ましくは1.0×10−1以上を示すことができる。この結合定数の上限は特に制限されないが、通常のレクチンの場合に示される結合定数の最大値、例えば1.0×1010−1以下の親和性を示す。また本発明のレクチンの他の糖鎖に対する親和性は低く、例えば結合定数1.0×10−1以下であることが好ましい。
ここで用いられる結合定数は、例えば、フロンタルアフィニティークロマトグラフィー(FAC)法等により測定することができ、本発明の場合、以下のようにして測定したものを意味する。
本発明のレクチンと相互作用しないことがわかっている糖鎖(標準糖鎖)の溶出前端(V)を基準として、検出対象の糖鎖の溶出前端(V)の遅れ(V−V)を相互作用強度として測定する。FACの以下の基準式に基づいて、V−V及び有効リガンド量(Bt)から糖鎖とレクチンとの結合定数(Ka)を求める。
以下の基準式において、Aは溶出に用いる物質、Aは物質Aの初濃度、Bは固定化リガンド、Vは溶出容量、Vは標準糖鎖の溶出前端容量、Btは有効リガンド量、Kdは解離定数(結合定数の逆数)を意味する。本発明においては、物質Aの初濃度は充分に小さいと考えられるため、下記の基準式(3)を採用する。
また、本発明のレクチンはガラクトース結合性を示す。このため、後述する製造方法によって本発明のレクチンを得るには、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含む担体を使用することが好ましい。即ち、本発明のレクチンは、カヤタケ属担子菌から得られた水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製することにより得られるものであってもよい。
本発明のレクチンは、カヤタケ属担子菌から、公知の抽出方法、分離方法及び精製方法等を適宜組み合わせて行うことにより単離して製造することができる。
中でも、カヤタケ属担子菌から水系媒体抽出物を得ること(抽出工程)、前記水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製すること(精製工程)、を含むレクチンの製造方法により得られるレクチンであることが好ましい。
水系媒体としては、各種の緩衝液、水と混合しうる各種の有機溶媒と水又は緩衝液との混合物等を挙げることができる。緩衝液又は有機溶媒と緩衝液の混合物を用いることが好ましい。
緩衝液としては、特に制限されることなく公知の緩衝液を用いることができる。中でも、pH3〜pH10の範囲に緩衝能を有するものが好ましく、pH6〜pH8の範囲に緩衝能を有する緩衝液がより好ましい。
本発明に用いられる緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液等を挙げることができる。中でも抽出効率の観点から、リン酸緩衝液が好ましい。
緩衝液の塩濃度については、特に制限はないが、抽出効率と緩衝能の点から、1mM〜100mMであることが好ましく、5mM〜20mMであることがより好ましい。
また、緩衝液は各種の塩類を更に含むことができ、例えば、リン酸緩衝液に食塩を更に加えたリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)等を本発明における水系媒体として好ましく用いることができる。
また、有機溶媒としては水と混合しうる有機溶媒であれば特に制限なく用いることができるが、中でも、アセトン、メタノール、エタノール、2−プロパノール及びアセトニトリルを好ましく挙げることができる。有機溶媒と水又は緩衝液を混合する場合の有機溶媒の含有量としては10質量%〜40質量%であることが好ましい。
水系媒体とカヤタケ属担子菌から、水系媒体抽出物を得る手法については、特に制限はない。抽出効率の観点から、水系媒体中でカヤタケ属担子菌を粉砕して懸濁液とする方法が好ましい。また粉砕する方法としては、ミキサーやホモジナイザー等、通常の粉砕方法を挙げることができる。
本発明における抽出工程は、水系媒体とカヤタケ属担子菌との混合物から、水系媒体に対する不溶物を除去する工程を更に含むことが好ましい。不溶物の除去方法としては、濾過、遠心分離等の方法を挙げることができるが、除去効率の観点から遠心分離が好ましい。
従って、本発明における抽出工程は、得られるレクチンの純度の観点から、リン酸緩衝化生理食塩水中で、カヤタケ属担子菌を粉砕し、遠心分離によって不溶物を除去して水系媒体抽出物を得る工程であることが特に好ましい。
抽出工程により得られた水系媒体抽出物は、次いで、精製工程において、ガラクトース又はN−アセチルガラクトサミンを含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含む担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーに付して精製する。
本発明における担体としては、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体であれば特に制限なく用いることができ、ラクトース−アガロース担体、酸処理セファロース担体、任意のガラクトースを含む糖や糖タンパク、糖脂質などを固定化した担体を挙げることができ、これらを単独で又は組み合わせて用いてもよい。
具体的には、例えば、ラクトース−アガロース担体(J−オイルミルズ社製)やセファロース担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を塩酸などの酸で処理したもの(酸処理セファロース担体)を挙げることができる。中でも、精製効率の観点から、ラクトース−アガロース担体を用いることが特に好ましい。
本発明におけるアフィニティークロマトグラフィーにおいては、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含む担体を充填剤としたカラムを用いることが好ましい。これにより、水系媒体抽出物中のレクチンは、このカラムに吸着する。次いで、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液を用いて、分離及び分画することによって、カラムに吸着したレクチンを、より効率よく精製することができる。カラムからのレクチンの溶出は通常用いられる条件下で行えばよい。
溶出液としては、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶液であれば、特に制限なく用いることができる。ガラクトース残基又はN−アセチルガラクトサミン残基を有する糖類としては、例えば、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、メチルβ−ガラクトース、メチルα−ガラクトース、ガラクトスクロース、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、ラクトサミン、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ネオラクトース、ガラクトビオース等を挙げることができ、これらを単独で又は組み合わせて用いてもよい。中でも、目的とするレクチンの糖特異性の観点から、ガラクトース、メチルβ−ガラクトース、メチルα−ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、ラクトースを用いることが好ましく、精製におけるコストの観点からラクトースが特に好ましい。
前記溶出液に含まれる糖類の濃度には特に制限はないが、例えば、ラクトースを含む溶出液の場合には、溶出液中の糖類の含有量としては、精製効率の点から、溶出液全質量の0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜2質量%であることがより好ましい。また、ラクトースを含む溶出液における糖類の濃度としては、精製効率の点から、10mM〜1000mMであることが好ましく、10mM〜500mMであることがより好ましい。なお、ラクトースは市販のものを好適に用いることができる。
前記精製工程としては、ラクトース−アガロース担体を充填剤としたカラムに前記水系媒体抽出物を吸着させ、緩衝液、特に、リン酸緩衝化生理食塩水を用いて非吸着成分の洗浄を行った後に、ラクトースを100mM〜200mM含有する溶出液を用いて精製する工程であることが特に好ましい。
また、本発明の製造方法では、アフィニティークロマトグラフィーを用いた精製工程によって得られた溶出液を再度用いて、アフィニティークロマトグラフィーを繰り返し行ってもよく、更に他のクロマトグラフィーによる追加精製を行ってもよい。
このような他のクロマトグラフィーとしては、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等を挙げることができる。レクチンを夾雑成分から精度よく分離できる観点から、ゲル濾過クロマトグラフィーであることがより好ましい。
ゲル濾過クロマトグラフィーに用いられる充填剤としては、セファデックス、セファクリル、スーパーロース、スーパーデックス、トヨパール等を用いることができる。本発明のレクチンを精製するためには、分離能の観点から、トヨパールやスーパーデックス等が好ましい。ゲル濾過クロマトグラフィーの条件としては、通常用いられる条件をそのまま適用すればよく、移動相としては上述したものと同様の水系媒体、例えばリン酸緩衝液等を用いることができる。ゲル濾過クロマトグラフィーを用いた場合には、赤血球凝集活性等に基づいて、目的とするレクチンを含有する分画を特定することができる。
レクチンの製造方法は、各精製工程で得られたレクチンを含む画分を透析処理する工程と、透析処理後のレクチン溶液を凍結乾燥する工程とを含むことができる。これにより、レクチンを高い純度で単離することができる。
透析処理する工程及び凍結乾燥する工程は、通常用いられる公知の方法によって行うことができる。
本発明のレクチンは、従来公知のレクチンとは物理化学的性質、及び、糖鎖への結合特異性などの生化学的性質が異なる新規のレクチンである。特にグロボシド系糖鎖であるグロボテトラオース(Gb4)を高い選択性で認識することができるので、これらの糖鎖を検出することを目的とした検査試薬、免疫調節剤、糖質の分離分析用特異的吸着剤等として用いることができる。
本発明の標識レクチンは、前記レクチンと標識化合物とを少なくとも含み、検出可能に標識化されていることを特徴とする。標識化合物としては、特に制限なく公知の標識化方法を適用することができる。
標識化合物としては、この用途に通常用いられるものであれば特に制限なく適用することができ、例えば、直接又は間接標識化合物、酵素、蛍光化合物等を挙げることができる。具体的にはビオチン、ジゴキシゲニン、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ、フルオレセインイソチオシアネート、CyDye等を挙げることができる。これらの標識化合物は常法によりレクチンと結合することができる。
本発明のレクチン固定化担体は、前記レクチンと支持担体とを少なくとも含む。支持担体を構成する材料としては、特に制限はなく、例えば、無機材料、有機材料、及びこれらの複合材料を挙げることができる。無機材料としては、金属、半導体、金属酸化物等の金属化合物、セラミックス、ガラス、シリカ等を挙げることができる。また、有機材料としては、ゴム、ラテックス、ポリスチレン、ポリプロピレン等のポリビニルポリマー類、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ゼラチン等のポリアミド類、セルロース、アガー、アガロース、デキストラン、スターチ等の多糖類等を挙げることができ、糖鎖の分別効率の観点から、アガロース等が好ましい。
また支持担体の構造としては、特に制限はなく、例えば、多孔質構造、繊維状構造、ゲル状構造、膜構造等を挙げることができる。
レクチンは前記支持担体に対して、支持担体に応じた常法を用いて固定化することができる。固定化するレクチンの量は、通常、0.0001mg〜100mg/ml、好ましくは0.01mg〜20mg/mlである。担体がアガロースゲルの場合、それをCNBr等で活性化してからレクチンとカップリングさせることができる。
活性化スペーサーを導入したゲルにレクチンを固定化してもよい。さらには、ホルミル基を導入したゲルにレクチンを固定化してからNaCNBHで還元してもよい。また、NHS−セファロース(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)のような市販の活性化ゲルを使用してもよい。
糖鎖試料をカラムにかけた後、洗浄と平衡化の目的で緩衝液を流す。緩衝液の一例は、モル濃度が5mM〜500mM、好ましくは10mM〜500mMであり、pHが4.0〜10.0、好ましくは6.0〜9.0であり、NaCl含量が0〜0.5M、好ましくは0.1M〜0.2Mであり、CaCl、MgClまたはMnCl含量が0〜10mM、好ましくは0〜5mMの緩衝液である。
アフィニティカラムの洗浄後、溶出は、該糖鎖を有効に溶出できる中性の非変性緩衝液中で、塩化ナトリウム、ハプテン糖等の脱着剤を用いて行われる。この緩衝液は、上記と同様であってもよい。脱着剤の濃度は、好ましくは、1mM〜500mM、特に好ましくは10mM〜200mM濃度である。
本発明の糖鎖検出方法は、前記レクチン、前記標識レクチン又はレクチン固定化担体を用いて、グロボシド系糖鎖含有物を検出すること(以下、検出工程という)を含むものである。本発明のレクチンはグロボシド系糖鎖のみを高い特異性で認識するために、グロボシド系糖鎖であるグロボテトラオース(Gb4)を含有する糖鎖含有物を高い精度で検出することができる。ここで糖鎖含有物には、多糖類、糖脂質、糖タンパク質、細胞、細胞断片等が含まれる。
レクチンが結合した糖鎖含有物の検出は、例えば、標識化合物によってレクチンを予め標識化することで容易に行うことができる。中でも、感度と検出の容易さから、標識化合物を予めレクチンに結合してレクチンを標識化しておき、標識化合物を検出することによって行うことが好ましい。
標識レクチンの検出手段は、用いられた標識化合物に応じて適宜選択される。例えば、吸光度測定、発光強度測定、蛍光強度測定、目視等により行うことができ、フロンタルアフィニティクロマトグラフィー(FAC)法等を好ましく用いることができる。
本発明の検出方法では、検出された糖鎖含有物を他の物質と分別すること(分別工程)を更に含んでもよい。このような分別方法は、前記レクチン又はレクチン固定化担体を用いて行うことが好ましい。前記レクチンは前記グロボシド系糖鎖であるグロボテトラオース(Gb4)に対して高い特異性で結合できることから、これらの糖鎖含有物を高い精度で他の物質から分別することができる。
レクチンが結合する糖鎖含有物の分別は、例えば、上述したようなレクチンを固定化した担体を用いることによって容易に行うことができる。糖鎖化合物の分別方法は、レクチンを固定化した担体に応じて適宜選択され、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、B/F分離(bound/free分離)等により行えばよい。
なお、分別工程は必ずしも検出工程と別個独立した工程でなくてもよく、検出することと分別することとが同時に行われても、連続して行われてもよい。
本発明の糖鎖検出方法では、糖鎖検出感度、糖鎖分別効率の観点から、本発明のレクチンとこのレクチンにより認識される糖鎖との相互作用強度が、他の糖鎖との相互作用強度の10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましく、1000倍以上であることが更に好ましい。レクチンと糖鎖との相互作用強度は、例えば、赤血球凝集反応阻害試験、溶出までの時間の比較、結合量(重さ)等、通常、この用途に用いられる比較可能な測定法であれば、特に制限されず用いることができる。
なお、本発明のレクチンの製造方法及び糖鎖検出方法における糖鎖の検出には、上記以外のクロマトグラフィー、レクチンチップ、酵素免疫測定(ELISA)法、凝集法、表面プラズモン共鳴装置、電気泳動等も、周知の方法で使用することができる。
本発明の判定薬は、前記レクチンを含み、グロボシド系糖鎖の有無を判定するものである。本発明のレクチンは、上述したようにグロボシド系糖鎖を高い精度で認識することができるので、本判定薬を用いることによって、試料中の微量なグロボシド系糖鎖の有無を判定することができる。
このため、グロボシド系糖鎖、特にグロボテトラオース(Gb4)が高頻度に検出されることが知られているリソソーム病等の診断や治療、感染症などの研究などに好適に利用することができる。
また、被検体の血液等、液体試料や、基板上にスポットされて固定化された乾燥試料に対して本発明のレクチンを接触させること及び、この接触により前記レクチンに結合し得る物質を検出すること含む検出方法も、本発明に含まれる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
[実施例1]
(1)レクチンCNA−IIの精製
ハイイロシメジ(Clitocybe nebularis)子実体粉末(日本きのこ研究所製)0.5mgに、20mlの0.02%NaN/PBSを加えて、振とう機(CS−450 HITACHI社製)で7℃、2時間振とうした。次いで、遠心機(CS−450 HITACHI社製)で15,000rpm、20分遠心し、上清を粗抽出液(水系媒体抽出物)とした
Cカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製;φ10×100mm)にラクトース−アガロース(J−オイルミルズ社製)を充填し、PBSで平衡化した後に、上記で得られた粗抽出液を供した。非吸着分をPBS(約26ml)にて洗浄した後、0.1Mのラクトース溶液を溶出液として用いて25℃、0.5ml/分の条件下で溶出し、1mlずつ回収し、ラクトース結合性レクチン含有画分No.43〜46を得た(合計吸着率68%)。
レクチンを含有する各画分は、280nmにおける吸光度(OD280)及び後述する赤血球凝集活性を測定することによって同定した。
(2)ウサギ赤血球凝集活性試験
ウサギ保存血液(日本バイオテスト社製)を遠心分離(3000×g、3min、常温)し、赤血球のみとした。これにPBSを赤血球の約3倍量加えてよく混合し、同様の条件で遠心分離し上清を取り除いた。これを3回繰り返すことで血漿及び白血球、または、不純物を完全に取り除き、これを洗浄赤血球とした。この洗浄赤血球をPBSで希釈し、2%ウサギ赤血球液とした。
96ウェルタイタープレートの一レーンにPBSを各20μl入れ、ウェルに、レクチン溶液又は各クロマトグラフィーにおける回収画分を20μl入れ、順次1/2希釈系列を作製した。上記で得られた2%ウサギ赤血球液をそれぞれ40μl添加し、室温で約60分放置後、赤血球凝集活性を肉眼にて観察した。赤血球凝集活性は、凝集が認められた最大希釈度の逆数を原液の凝集力価とした。また、赤血球が凝集するレクチンの最大希釈倍率を求め、最小凝集濃度を算出した。
上記(1)で得られたレクチン含有画分No.43〜46は、それぞれ、赤血球凝集力価(力価)64、力価512、力価256、力価32として、赤血球凝集活性を確認することができた。
なお、非吸着分を回収して再度ラクトース−アガロース充填したカラムに付したところ、非吸着分には、ラクトース−アガロース吸着分がほとんど含有されていなかった(0.2%吸着率)。
(2)SDS−ポリアクリルアミド電気泳動
上記(1)により得られたレクチン含有画分を、電気泳動装置にはPhastsystem(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を使用し、ゲルにはHomogeneous 20(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を使用したSDS−ポリアクリルアミド電気泳動に供した。試料溶液、分子量マーカーは共に1μl使用し、製品プロトコール及び常法に従って泳動を行い、相対移動度から分子量を推定したところ、約17,000付近に複数のレクチンが存在することが示唆された。
次いで、レクチン含有画分を以下に記載のとおり更に精製した。
(3)ゲル濾過による分画
上記(1)により得られたレクチン含有画分1ml(Fr.44)を限外ろ過で200μにまで濃縮し、フィルターろ過したのち、100μlを、PBSで平衡化したゲル濾過用カラム(TSK−GEL G3000XL(TOSOH社製;φ7.8×300mm))を用いて、25℃で0.5ml/分の流速の条件下でゲル濾過を2回にわけて行った。ゲル濾過回収液に対して、上記と同様にして280nmにおける吸光度及び赤血球凝集活性を測定すると共に、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、赤血球凝集活性及びOD280nmが共に確認できた画分を特定し、回収した。回収された画分は、限外ろ過膜(Ultrafree、Millipore社製;MWCO10,000)で濃縮した後に、各画分を凍結乾燥機(FD−5N、EYELA社製)で凍結乾燥して精製量を測定した。
上記赤血球凝集活性を示したレクチン含有画分では、分子量15,000付近に単一のバンドを確認したため、これをCNA−IIと決定した。
[実施例2]
(1)レクチンCNA−IIの精製
ハイイロシメジ(Clitocybe nebularis)子実体(福島県で採取)100gを凍結乾燥(FD−5N、EYELA社製)を用いて凍結乾燥して、ハイイロシメジ子実体凍結乾燥粉末を得た。この凍結乾燥粉末20gに、200mlの0.02%NaN/PBSを加えて、振とう機(CS−450、HITACHI社製)で7℃、2時間振とうした。次いで、遠心機(CS−450、HITACHI社製)で15,000rpm、20分遠心し、上清を粗抽出液(水系媒体抽出物)とした。
カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製;φ16×200mm)にラクトース−アガロース(J−オイルミルズ社製)を25ml充填し、PBSで平衡化した後に、上記で得られた粗抽出液を供した。非吸着分をPBS(約100ml)にて洗浄した後、0.1Mのラクトース/PBS溶液を溶出液として用いて7℃、1ml/分の条件下で溶出した。OD280のピーク赤血球凝集活性に基づいてレクチン含有画分を特定し、OD280のピークを示すと共に赤血球凝集活性の高い画分をレクチン含有画分として得た。
活性画分を回収した回収液を、Spectra/Por Membrane MWCO:6−8,000(平面幅14.6mm)に入れ、100倍量の蒸留水による7℃での透析を3回行った。
次いで、実施例1と同様にして、レクチン含有画分を以下に記載のとおり更に精製した。
(2)ゲル濾過による分画
上記(1)により得られたレクチン含有画分80mgを2mlのPBSに溶解した試料溶液に対し、PBSで平衡化したゲル濾過用カラム(ガラスカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製;φ26×800mm)にスーパーデックス G200(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を424ml充填)を用いて、7℃で1ml/分の流速の条件下でゲル濾過を行った。ゲル濾過回収液に対して、上記と同様にしてOD280nmにおける吸光度及び赤血球凝集活性を測定すると共に、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動を行い、赤血球凝集活性及びOD280nmが共に高い画分を特定し、回収した。回収された画分は、限外ろ過膜(Ultrafree、Millipore社製;UFC3LGC00、MWCO10,000)で濃縮した後に、各画分を凍結乾燥機(FD−5N、EYELA社製)で凍結乾燥して精製量を測定した。精製できたCNA−IIは8.37mgであった。更にウサギ赤血球凝集活性を測定したところ、力価64(1mg/ml)、および、最小凝集濃度5.3(μg/ml)であった。
(3)SDSポリアクリルアミド電気泳動
上記(2)で得られたレクチンCNA−IIに対して、煮沸処理を行ったもの(試料A)で、前述したものと同様にしてSDSポリアクリルアミド電気泳動を行った。結果を図1に示す。なお図1においてレーン1は試料A、Mはマーカーを示す。
その結果、試料Aの場合には15,000にバンドを確認することができた(図1参照)。
(4)ゲルろ過による分子量測定
上記のようにして得られたレクチンCNA−IIについて、標準用試料Transferrin(分子量:80,000)、Bovine serum albumin(分子量:67,000)、Ovalbumin(分子量:47,000)、Carbonic anhydrase (分子量:29,000)、Ribonuclease B(分子量:13,700)を用いて分子量を推定したところ、約12,000であった。
[実施例3]
実施例2で得られたレクチンCNA−IIについて、以下のような評価を行った。
(1)MALDI−TOF質量分析
レクチンCNA−II 10μgを、TA(0.1%トリフルオロ酢酸とアセトニトリルの体積比2:1の混合物)に溶解した。TAに溶解した飽和マトリックスとCNA−IIのTA溶液を体積比4:1で混合したもの1.0μlをターゲットプレートに滴下してサンプルを調製した。質量分析装置としてAutoflex(ブルカーダルトニクス社製)を用い、LPモードでCNA−IIの分子量を測定した。その結果、CNA−IIの分子量は15,142であった
(2)温度安定性
50μgのCNA−IIを生理食塩水1mlに溶解し、各試験温度で30分間加熱した。直ちに氷冷し10分後に上記と同様にして赤血球凝集活性を測定した。結果を図2に示した。
図2から、本発明のレクチンは4℃〜50℃まで比較的安定であるが、60℃を超えると不安定になることがわかった。
(3)pH安定性
50μgのCNA−IIを生理食塩水1mlに溶解し、これを試験管に分取した。等量の下記の各pH緩衝液をそれぞれ加え、4℃にて24時間インキュベートした後、上記と同様にして赤血球凝集活性を測定した。結果を図3に示した。図3から、本発明のレクチンCNA−IIAはpH5〜pH11で安定しており、特にpH6〜pH11で良好な安定性を示すことが分かった。
−pH緩衝液−
pH2.0 : 20mM 塩化カリウム塩酸緩衝液
pH3.0 : 20mM 塩化カリウム−塩酸緩衝液
pH4.0 : 20mM 酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液
pH5.0 : 20mM 酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液
pH6.0 : 20mM リン酸緩衝液
pH7.0 : 20mM リン酸緩衝液
pH8.0 : 20mM トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液
pH9.0 : 20mM グリシン−NaOH緩衝液
pH10.0 : 20mM グリシン−NaOH緩衝液
pH11.0 : 20mM グリシン−NaOH緩衝液
なお、各緩衝液は0.15M 塩化ナトリウムを含む。
(4)ウサギ赤血球凝集活性試験
ウサギ保存血液(日本バイオテスト社製)を遠心分離(3000×g、3min、常温)し、血漿及び白血球および不純物を除去し、赤血球のみとした。これにPBSを赤血球の約3倍量加えてよく混合し、同様の条件で遠心分離し上清を取り除いた。これを3回繰り返すことで血漿及び白血球を完全に取り除き、これを洗浄赤血球とした。この洗浄赤血球をPBSで希釈し、2%ウサギ赤血球液とした。
a)赤血球凝集活性の測定
96ウェルタイタープレートの一段にPBSを各20μl入れ、ウェルに、レクチン溶液(0.6mg/ml)を20μl入れ、順次1/2希釈系列を作製した。上記で得られた2%ウサギ赤血球液をそれぞれ40μl添加し、室温で約60分放置後、赤血球凝集活性を肉眼にて観察した。凝集が認められた最大希釈度の逆数を原液の凝集力価とし、凝集力価の2を底とする対数を赤血球凝集活性として表1に示した。また、赤血球が凝集するレクチンの最大希釈倍率を求め、最小凝集濃度を算出した。
b)ヒツジ、ブタ、ヒト赤血球凝集活性試験
ウサギ赤血球凝集活性試験において、ウサギ保存血液の代わりにヒツジ保存血液(日本バイオテスト社製)、ブタ保存血液(日本バイオテスト社製)、ヒト保存血液(Biotest社製)を用いた以外は同様にして、ヒツジ、ブタ、ヒト赤血球凝集活性試験を行った。結果を表1に示した。
(5)ウサギ赤血球凝集阻害試験
表2及び表3の32種の糖タンパク質および糖を適量秤量し、PBSを添加し、表2及び表3記載の濃度に調製した。上記(実施例2)で得られたCNA−IIのウサギ赤血球凝集活性を測定し、赤血球が凝集する最低希釈倍率が2〜4倍になるようこれらをPBSで希釈した。次いで96穴プレート(Falcon社製)の各ウェルにPBSを25μlずつ入れ、これにレクチン溶液を50μl入れ、順次1/2希釈系列を作製した。このウェルにそれぞれ、上記で希釈した試料を25μlずつ添加し、室温で60分間放置後、4%ウサギ赤血球液を25μlずつ添加し、室温で1時間放置後、凝集阻害の有無を確認した。結果を下記表2及び表3に示した。
上記表2および3の結果から、実施例2で得られたレクチン(CNA−II)は、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、メリビオース、ラフィノース、ラクトース、ムチン(ブタ)、アシアロムチン(ブタ)、ムチン(ウシ)に特異的に結合することが分かった。糖タンパクでは、ムチンに結合することがわかった。
[実施例4]
(6)特異性試験
(a)オリゴ糖の準備
実施例に使用したピリジルアミノ化(PA−)糖鎖を、図4及び図5に示す。PA糖鎖は、タカラバイオ社、生化学バイオビジネス社ならびに増田化学工業社などから購入した。もしくは、未標識の糖鎖や糖鎖を酵素消化して得た糖鎖等をGlycoTAG(登録商標、タカラバイオ社製)でピリジルアミノ化した。
その他の標識化糖鎖は、図6に示す。パラニトロフェニル(pNP−)糖鎖およびパラメトキシフェニル(pMP−)糖鎖は生化学バイオビジネス社、東京化成社、シグマ社、トロント・リサーチ・ケミカル社、カルビオケム社、から購入したものを使用した。
(b)レクチンカラムの調製
0.5MのNaClを含む0.2MのNaHCO緩衝液(pH8.3)中にレクチンを溶解し、NHS−活性化セファロース(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)へその製造者マニュアルに従って結合させた。0.8%NaClを含む10mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4、TBS緩衝液)中にレクチン−セファロースを懸濁させ、ミニチュアカラム(φ2mm×10mm,31.4μl)に充填した。
(c)フロンタルアフィニティクロマトグラフィー
FAC自動分析装置(FAC-1、島津製作所社製)を用いてフロンタルアフィニティクロマトグラフィーを行った。詳細には、上記で調製したレクチンカラムを、ステンレスホルダーに差し込み、FAC−1装置に接続した。流速およびカラム温度を、それぞれ0.125ml/minおよび25℃に保った。前記TBS緩衝液でミニチュアカラムを平衡後、過剰容積(0.5ml〜4ml)のPA−糖鎖(3.75nM又は7.5nM)およびpNP-糖鎖およびpMP−糖鎖(1μM)を、自動サンプリング装置を用いてカラム中へ連続注入した。
PA糖鎖の溶出液の蛍光強度(励起波長310nmおよび蛍光波長380nm)をモニターし、相互作用強度〔標準オリゴ糖(PA−M3、番号003)に対する前端溶出液の差:V−V0〕を測定した。
49種類で構成された糖鎖群で特異性を評価した結果、図7に示すとおり、CNA−IIは、グロボテトラオース(Gb4)にのみ結合である溶出の遅れが確認できた。
さらに、糖鎖群を増やし、PA糖鎖の溶出液の蛍光強度(励起波長310nmおよび蛍光波長380nm)をモニターし、相互作用強度〔標準オリゴ糖(PA−M3、番号003)に対する前端溶出液の差:V−V0〕を測定する同様の実験をおこなった。
また、pNP-糖鎖およびpMP−糖鎖はUV吸収強度(検出波長 280nm)でモニターし、相互作用強度〔標準オリゴ糖(pNP−Fuc、番号1011)に対する前端溶出液の差:V−V〕を測定した。
FACの以下の基準式に基づいて、V−Vおよび有効リガンド量(Bt)から糖鎖とレクチンとの結合定数(Ka)を求めた。
パラニトロフェニル(pNP−)標識βGalNAc(番号1004)を0μM〜3.5μMになるようTBS緩衝液で作製した。上記同様分析を行い、各濃度における相互作用強度〔標準オリゴ糖(pNP−Fuc、番号1011)〕に対する前端溶出液の差:V−V〕を測定し、結合定数(Ka)および有効リガンド量(Bt)を求めた。その結果、結合定数(Ka)=5.56×10−1および有効リガンド量(Bt)=0.045nmolであった。結合した糖鎖の相互作用強度および結合定数を算出した。
パラニトロフェニル(pNP−)標識αGalNAc(番号1003)を0μM〜7.0μMになるようTBS緩衝液で作製した。上記同様分析を行い、各濃度における相互作用強度〔標準オリゴ糖(pNP−Fuc、番号1011)〕)に対する前端溶出液の差:V−V〕を測定し、結合定数(Ka)および有効リガンド量(Bt)を求めた。その結果、結合定数(Ka)=2.70×10−1および有効リガンド量(Bt)=0.039nmolであった。結合した糖鎖の相互作用強度および結合定数を算出した。結果を表4と図8に示す。
表4と図8に示されるように、151種類で構成された糖鎖群においても、本発明のレクチンCNA−IIは、番号716のグロボシド系糖鎖であるグロボテトラオース(Gb4)にのみ結合した。
従って、レクチンCNA−IIは、グロボシド糖鎖に対して高い特異性を示すので、これらの糖鎖を含む糖鎖含有物のみを精度よく検出し、分別するために使用することができ、また試料中のこれらの糖鎖の有無を精度よく判定することができる。
本発明の実施例にかかるレクチンCNA−IIのSDS−PAGEによる分子量測定の結果を示す図である。 本発明の実施例にかかるレクチンCNA−IIの温度安定性を示す図である。 本発明の実施例にかかるレクチンCNA−IIのpH安定性を示す図である。 本発明の糖鎖特異的結合性の測定の用いられたオリゴ糖(PA)を示す図である。 本発明の糖鎖特異的結合性の測定の用いられたオリゴ糖(PA)を示す図である。 本発明の糖鎖特異的結合性の測定の用いられたオリゴ糖(pNP,pMP)を示す図である。 本発明の実施例にかかるレクチンCNA−IIの糖鎖特異的結合性の測定結果を示す概念図である。 本発明の実施例にかかるレクチンCNA−IIの糖鎖特異的結合性の測定結果を示す概念図である。

Claims (9)

  1. 以下の特徴を有するカヤタケ属担子菌に由来するレクチン:
    (1)SDS電気泳動法による分子量が、8,000〜15,000であり、
    (2)ゲル濾過法による分子量が10,000〜12,000であり、
    (3)グロボシド系糖鎖に結合し、
    (4)N−アセチルガラクトサミンを含むグロボシド系糖鎖に対して結合定数1.0×10 −1 以上で示される親和性を有する。
  2. カヤタケ属担子菌から得られた水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製することにより得られる請求項1に記載のレクチン。
  3. 前記カヤタケ属担子菌がハイイロシメジである請求項1又は請求項2に記載のレクチン。
  4. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のレクチンの製造方法であって、カヤタケ属担子菌から水系媒体抽出物を得ること、前記水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製すること、を含むレクチンの製造方法。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のレクチンと、標識化合物とを含む標識レクチン。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のレクチンと、支持担体とを含むレクチン固定化担体。
  7. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のレクチン、請求項に記載の標識レクチン又は請求項に記載のレクチン固定化担体を用いて、グロボシド系糖鎖含有物を検出することを含む糖鎖検出方法。
  8. 前記グロボシド系糖鎖含有物を他の化合物と分別することを更に含む請求項に記載の糖鎖検出方法。
  9. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のレクチンを含む、グロボシド系糖鎖の有無を判定する判定薬。
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