JP5286468B2 - 新規レクチン及びその製造方法並びに糖鎖検出方法 - Google Patents
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また、リソソーム病、特にサンドホッフ病において、βへキソサミニダーゼA及びBが欠損することにより、グロボテトラオシルセラミド(Gb4)からグロボトリオシルセラミド(Gb3)に分解することができなく、グロボテトラオシルセラミドが体液中や多くの臓器・細胞中に蓄積されることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、グロボシド系糖脂質系糖鎖のプロファイリングに使用できるようなレクチンはなかった。
従って本発明は、グロボシド系糖鎖に対して高い特異性を示す新規レクチンを提供することを目的とする。
[1] 以下の特徴を有するカヤタケ属担子菌に由来するレクチン:
(1)SDS電気泳動法による分子量が、8,000〜15,000であり、
(2)ゲル濾過法による分子量が10,000〜12,000であり、
(3)グロボシド系糖鎖に結合し、
(4)N−アセチルガラクトサミンを含むグロボシド系糖鎖に対して結合定数1.0×10 5 M −1 以上で示される親和性を有する。
[3] 前記カヤタケ属担子菌がハイイロシメジである前記[1]又は[2]のいずれかに記載のレクチン。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載のレクチンの製造方法であって、カヤタケ属担子菌から水系媒体抽出物を得ること、前記水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製すること、を含むレクチンの製造方法。
[6] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載のレクチンと、支持担体とを含むレクチン固定化担体。
[7] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載のレクチン、前記[5]の標識レクチン又は[6]に記載のレクチン固定化担体を用いて、グロボシド系糖鎖含有物を検出することを含む糖鎖検出方法。
[8] 前記グロボシド系糖鎖含有物を他の化合物と分別することを更に含む[7]請記載の糖鎖検出方法。
[9] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載のレクチンを含む、グロボシド系糖鎖の有無を判定する判定薬。
SDS電気泳動法(SDS−PAGE)による分子量の測定及びゲル濾過法による分子量の測定は常法に従って行うことができる。
また煮沸処理を行わないレクチンの分子量は、ゲル濾過による場合、一般的な測定条件下で、分子量推定用標準タンパクを用いて推定した結果、5,000〜40,000のものであることが好ましく、10,000〜40,000のものであることが更に好ましい。
これにより、例えば血液型糖脂質系、ガングリオシド系、グロボシド系、ガラクトリピッド系、ガラ系、ラクト系、ネオラクト系、モル系、アルスロ系など、各種糖脂質系糖鎖がある中で、グロボシド系糖鎖のプロファイリングに使用できるようなレクチンを提供することができる。
ここで用いられる結合定数は、例えば、フロンタルアフィニティークロマトグラフィー(FAC)法等により測定することができ、本発明の場合、以下のようにして測定したものを意味する。
以下の基準式において、Aは溶出に用いる物質、A0は物質Aの初濃度、Bは固定化リガンド、Vは溶出容量、V0は標準糖鎖の溶出前端容量、Btは有効リガンド量、Kdは解離定数(結合定数の逆数)を意味する。本発明においては、物質Aの初濃度は充分に小さいと考えられるため、下記の基準式(3)を採用する。
中でも、カヤタケ属担子菌から水系媒体抽出物を得ること(抽出工程)、前記水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製すること(精製工程)、を含むレクチンの製造方法により得られるレクチンであることが好ましい。
緩衝液としては、特に制限されることなく公知の緩衝液を用いることができる。中でも、pH3〜pH10の範囲に緩衝能を有するものが好ましく、pH6〜pH8の範囲に緩衝能を有する緩衝液がより好ましい。
本発明に用いられる緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液等を挙げることができる。中でも抽出効率の観点から、リン酸緩衝液が好ましい。
緩衝液の塩濃度については、特に制限はないが、抽出効率と緩衝能の点から、1mM〜100mMであることが好ましく、5mM〜20mMであることがより好ましい。
また、緩衝液は各種の塩類を更に含むことができ、例えば、リン酸緩衝液に食塩を更に加えたリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)等を本発明における水系媒体として好ましく用いることができる。
水系媒体とカヤタケ属担子菌から、水系媒体抽出物を得る手法については、特に制限はない。抽出効率の観点から、水系媒体中でカヤタケ属担子菌を粉砕して懸濁液とする方法が好ましい。また粉砕する方法としては、ミキサーやホモジナイザー等、通常の粉砕方法を挙げることができる。
従って、本発明における抽出工程は、得られるレクチンの純度の観点から、リン酸緩衝化生理食塩水中で、カヤタケ属担子菌を粉砕し、遠心分離によって不溶物を除去して水系媒体抽出物を得る工程であることが特に好ましい。
本発明における担体としては、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体であれば特に制限なく用いることができ、ラクトース−アガロース担体、酸処理セファロース担体、任意のガラクトースを含む糖や糖タンパク、糖脂質などを固定化した担体を挙げることができ、これらを単独で又は組み合わせて用いてもよい。
具体的には、例えば、ラクトース−アガロース担体(J−オイルミルズ社製)やセファロース担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を塩酸などの酸で処理したもの(酸処理セファロース担体)を挙げることができる。中でも、精製効率の観点から、ラクトース−アガロース担体を用いることが特に好ましい。
このような他のクロマトグラフィーとしては、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等を挙げることができる。レクチンを夾雑成分から精度よく分離できる観点から、ゲル濾過クロマトグラフィーであることがより好ましい。
透析処理する工程及び凍結乾燥する工程は、通常用いられる公知の方法によって行うことができる。
標識化合物としては、この用途に通常用いられるものであれば特に制限なく適用することができ、例えば、直接又は間接標識化合物、酵素、蛍光化合物等を挙げることができる。具体的にはビオチン、ジゴキシゲニン、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ、フルオレセインイソチオシアネート、CyDye等を挙げることができる。これらの標識化合物は常法によりレクチンと結合することができる。
また支持担体の構造としては、特に制限はなく、例えば、多孔質構造、繊維状構造、ゲル状構造、膜構造等を挙げることができる。
活性化スペーサーを導入したゲルにレクチンを固定化してもよい。さらには、ホルミル基を導入したゲルにレクチンを固定化してからNaCNBH3で還元してもよい。また、NHS−セファロース(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)のような市販の活性化ゲルを使用してもよい。
アフィニティカラムの洗浄後、溶出は、該糖鎖を有効に溶出できる中性の非変性緩衝液中で、塩化ナトリウム、ハプテン糖等の脱着剤を用いて行われる。この緩衝液は、上記と同様であってもよい。脱着剤の濃度は、好ましくは、1mM〜500mM、特に好ましくは10mM〜200mM濃度である。
標識レクチンの検出手段は、用いられた標識化合物に応じて適宜選択される。例えば、吸光度測定、発光強度測定、蛍光強度測定、目視等により行うことができ、フロンタルアフィニティクロマトグラフィー(FAC)法等を好ましく用いることができる。
なお、分別工程は必ずしも検出工程と別個独立した工程でなくてもよく、検出することと分別することとが同時に行われても、連続して行われてもよい。
また、被検体の血液等、液体試料や、基板上にスポットされて固定化された乾燥試料に対して本発明のレクチンを接触させること及び、この接触により前記レクチンに結合し得る物質を検出すること含む検出方法も、本発明に含まれる。
(1)レクチンCNA−IIの精製
ハイイロシメジ(Clitocybe nebularis)子実体粉末(日本きのこ研究所製)0.5mgに、20mlの0.02%NaN3/PBSを加えて、振とう機(CS−450 HITACHI社製)で7℃、2時間振とうした。次いで、遠心機(CS−450 HITACHI社製)で15,000rpm、20分遠心し、上清を粗抽出液(水系媒体抽出物)とした
Cカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製;φ10×100mm)にラクトース−アガロース(J−オイルミルズ社製)を充填し、PBSで平衡化した後に、上記で得られた粗抽出液を供した。非吸着分をPBS(約26ml)にて洗浄した後、0.1Mのラクトース溶液を溶出液として用いて25℃、0.5ml/分の条件下で溶出し、1mlずつ回収し、ラクトース結合性レクチン含有画分No.43〜46を得た(合計吸着率68%)。
レクチンを含有する各画分は、280nmにおける吸光度(OD280)及び後述する赤血球凝集活性を測定することによって同定した。
ウサギ保存血液(日本バイオテスト社製)を遠心分離(3000×g、3min、常温)し、赤血球のみとした。これにPBSを赤血球の約3倍量加えてよく混合し、同様の条件で遠心分離し上清を取り除いた。これを3回繰り返すことで血漿及び白血球、または、不純物を完全に取り除き、これを洗浄赤血球とした。この洗浄赤血球をPBSで希釈し、2%ウサギ赤血球液とした。
96ウェルタイタープレートの一レーンにPBSを各20μl入れ、ウェルに、レクチン溶液又は各クロマトグラフィーにおける回収画分を20μl入れ、順次1/2希釈系列を作製した。上記で得られた2%ウサギ赤血球液をそれぞれ40μl添加し、室温で約60分放置後、赤血球凝集活性を肉眼にて観察した。赤血球凝集活性は、凝集が認められた最大希釈度の逆数を原液の凝集力価とした。また、赤血球が凝集するレクチンの最大希釈倍率を求め、最小凝集濃度を算出した。
上記(1)で得られたレクチン含有画分No.43〜46は、それぞれ、赤血球凝集力価(力価)64、力価512、力価256、力価32として、赤血球凝集活性を確認することができた。
なお、非吸着分を回収して再度ラクトース−アガロース充填したカラムに付したところ、非吸着分には、ラクトース−アガロース吸着分がほとんど含有されていなかった(0.2%吸着率)。
上記(1)により得られたレクチン含有画分を、電気泳動装置にはPhastsystem(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を使用し、ゲルにはHomogeneous 20(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を使用したSDS−ポリアクリルアミド電気泳動に供した。試料溶液、分子量マーカーは共に1μl使用し、製品プロトコール及び常法に従って泳動を行い、相対移動度から分子量を推定したところ、約17,000付近に複数のレクチンが存在することが示唆された。
次いで、レクチン含有画分を以下に記載のとおり更に精製した。
上記(1)により得られたレクチン含有画分1ml(Fr.44)を限外ろ過で200μにまで濃縮し、フィルターろ過したのち、100μlを、PBSで平衡化したゲル濾過用カラム(TSK−GEL G3000XL(TOSOH社製;φ7.8×300mm))を用いて、25℃で0.5ml/分の流速の条件下でゲル濾過を2回にわけて行った。ゲル濾過回収液に対して、上記と同様にして280nmにおける吸光度及び赤血球凝集活性を測定すると共に、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、赤血球凝集活性及びOD280nmが共に確認できた画分を特定し、回収した。回収された画分は、限外ろ過膜(Ultrafree、Millipore社製;MWCO10,000)で濃縮した後に、各画分を凍結乾燥機(FD−5N、EYELA社製)で凍結乾燥して精製量を測定した。
上記赤血球凝集活性を示したレクチン含有画分では、分子量15,000付近に単一のバンドを確認したため、これをCNA−IIと決定した。
(1)レクチンCNA−IIの精製
ハイイロシメジ(Clitocybe nebularis)子実体(福島県で採取)100gを凍結乾燥(FD−5N、EYELA社製)を用いて凍結乾燥して、ハイイロシメジ子実体凍結乾燥粉末を得た。この凍結乾燥粉末20gに、200mlの0.02%NaN3/PBSを加えて、振とう機(CS−450、HITACHI社製)で7℃、2時間振とうした。次いで、遠心機(CS−450、HITACHI社製)で15,000rpm、20分遠心し、上清を粗抽出液(水系媒体抽出物)とした。
カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製;φ16×200mm)にラクトース−アガロース(J−オイルミルズ社製)を25ml充填し、PBSで平衡化した後に、上記で得られた粗抽出液を供した。非吸着分をPBS(約100ml)にて洗浄した後、0.1Mのラクトース/PBS溶液を溶出液として用いて7℃、1ml/分の条件下で溶出した。OD280のピーク赤血球凝集活性に基づいてレクチン含有画分を特定し、OD280のピークを示すと共に赤血球凝集活性の高い画分をレクチン含有画分として得た。
活性画分を回収した回収液を、Spectra/Por Membrane MWCO:6−8,000(平面幅14.6mm)に入れ、100倍量の蒸留水による7℃での透析を3回行った。
次いで、実施例1と同様にして、レクチン含有画分を以下に記載のとおり更に精製した。
上記(1)により得られたレクチン含有画分80mgを2mlのPBSに溶解した試料溶液に対し、PBSで平衡化したゲル濾過用カラム(ガラスカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製;φ26×800mm)にスーパーデックス G200(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を424ml充填)を用いて、7℃で1ml/分の流速の条件下でゲル濾過を行った。ゲル濾過回収液に対して、上記と同様にしてOD280nmにおける吸光度及び赤血球凝集活性を測定すると共に、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動を行い、赤血球凝集活性及びOD280nmが共に高い画分を特定し、回収した。回収された画分は、限外ろ過膜(Ultrafree、Millipore社製;UFC3LGC00、MWCO10,000)で濃縮した後に、各画分を凍結乾燥機(FD−5N、EYELA社製)で凍結乾燥して精製量を測定した。精製できたCNA−IIは8.37mgであった。更にウサギ赤血球凝集活性を測定したところ、力価64(1mg/ml)、および、最小凝集濃度5.3(μg/ml)であった。
上記(2)で得られたレクチンCNA−IIに対して、煮沸処理を行ったもの(試料A)で、前述したものと同様にしてSDSポリアクリルアミド電気泳動を行った。結果を図1に示す。なお図1においてレーン1は試料A、Mはマーカーを示す。
その結果、試料Aの場合には15,000にバンドを確認することができた(図1参照)。
(4)ゲルろ過による分子量測定
上記のようにして得られたレクチンCNA−IIについて、標準用試料Transferrin(分子量:80,000)、Bovine serum albumin(分子量:67,000)、Ovalbumin(分子量:47,000)、Carbonic anhydrase (分子量:29,000)、Ribonuclease B(分子量:13,700)を用いて分子量を推定したところ、約12,000であった。
実施例2で得られたレクチンCNA−IIについて、以下のような評価を行った。
(1)MALDI−TOF質量分析
レクチンCNA−II 10μgを、TA(0.1%トリフルオロ酢酸とアセトニトリルの体積比2:1の混合物)に溶解した。TAに溶解した飽和マトリックスとCNA−IIのTA溶液を体積比4:1で混合したもの1.0μlをターゲットプレートに滴下してサンプルを調製した。質量分析装置としてAutoflex(ブルカーダルトニクス社製)を用い、LPモードでCNA−IIの分子量を測定した。その結果、CNA−IIの分子量は15,142であった
50μgのCNA−IIを生理食塩水1mlに溶解し、各試験温度で30分間加熱した。直ちに氷冷し10分後に上記と同様にして赤血球凝集活性を測定した。結果を図2に示した。
図2から、本発明のレクチンは4℃〜50℃まで比較的安定であるが、60℃を超えると不安定になることがわかった。
50μgのCNA−IIを生理食塩水1mlに溶解し、これを試験管に分取した。等量の下記の各pH緩衝液をそれぞれ加え、4℃にて24時間インキュベートした後、上記と同様にして赤血球凝集活性を測定した。結果を図3に示した。図3から、本発明のレクチンCNA−IIAはpH5〜pH11で安定しており、特にpH6〜pH11で良好な安定性を示すことが分かった。
−pH緩衝液−
pH2.0 : 20mM 塩化カリウム塩酸緩衝液
pH3.0 : 20mM 塩化カリウム−塩酸緩衝液
pH4.0 : 20mM 酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液
pH5.0 : 20mM 酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液
pH6.0 : 20mM リン酸緩衝液
pH7.0 : 20mM リン酸緩衝液
pH8.0 : 20mM トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液
pH9.0 : 20mM グリシン−NaOH緩衝液
pH10.0 : 20mM グリシン−NaOH緩衝液
pH11.0 : 20mM グリシン−NaOH緩衝液
なお、各緩衝液は0.15M 塩化ナトリウムを含む。
ウサギ保存血液(日本バイオテスト社製)を遠心分離(3000×g、3min、常温)し、血漿及び白血球および不純物を除去し、赤血球のみとした。これにPBSを赤血球の約3倍量加えてよく混合し、同様の条件で遠心分離し上清を取り除いた。これを3回繰り返すことで血漿及び白血球を完全に取り除き、これを洗浄赤血球とした。この洗浄赤血球をPBSで希釈し、2%ウサギ赤血球液とした。
96ウェルタイタープレートの一段にPBSを各20μl入れ、ウェルに、レクチン溶液(0.6mg/ml)を20μl入れ、順次1/2希釈系列を作製した。上記で得られた2%ウサギ赤血球液をそれぞれ40μl添加し、室温で約60分放置後、赤血球凝集活性を肉眼にて観察した。凝集が認められた最大希釈度の逆数を原液の凝集力価とし、凝集力価の2を底とする対数を赤血球凝集活性として表1に示した。また、赤血球が凝集するレクチンの最大希釈倍率を求め、最小凝集濃度を算出した。
ウサギ赤血球凝集活性試験において、ウサギ保存血液の代わりにヒツジ保存血液(日本バイオテスト社製)、ブタ保存血液(日本バイオテスト社製)、ヒト保存血液(Biotest社製)を用いた以外は同様にして、ヒツジ、ブタ、ヒト赤血球凝集活性試験を行った。結果を表1に示した。
表2及び表3の32種の糖タンパク質および糖を適量秤量し、PBSを添加し、表2及び表3記載の濃度に調製した。上記(実施例2)で得られたCNA−IIのウサギ赤血球凝集活性を測定し、赤血球が凝集する最低希釈倍率が2〜4倍になるようこれらをPBSで希釈した。次いで96穴プレート(Falcon社製)の各ウェルにPBSを25μlずつ入れ、これにレクチン溶液を50μl入れ、順次1/2希釈系列を作製した。このウェルにそれぞれ、上記で希釈した試料を25μlずつ添加し、室温で60分間放置後、4%ウサギ赤血球液を25μlずつ添加し、室温で1時間放置後、凝集阻害の有無を確認した。結果を下記表2及び表3に示した。
(6)特異性試験
(a)オリゴ糖の準備
実施例に使用したピリジルアミノ化(PA−)糖鎖を、図4及び図5に示す。PA糖鎖は、タカラバイオ社、生化学バイオビジネス社ならびに増田化学工業社などから購入した。もしくは、未標識の糖鎖や糖鎖を酵素消化して得た糖鎖等をGlycoTAG(登録商標、タカラバイオ社製)でピリジルアミノ化した。
その他の標識化糖鎖は、図6に示す。パラニトロフェニル(pNP−)糖鎖およびパラメトキシフェニル(pMP−)糖鎖は生化学バイオビジネス社、東京化成社、シグマ社、トロント・リサーチ・ケミカル社、カルビオケム社、から購入したものを使用した。
0.5MのNaClを含む0.2MのNaHCO3緩衝液(pH8.3)中にレクチンを溶解し、NHS−活性化セファロース(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)へその製造者マニュアルに従って結合させた。0.8%NaClを含む10mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4、TBS緩衝液)中にレクチン−セファロースを懸濁させ、ミニチュアカラム(φ2mm×10mm,31.4μl)に充填した。
FAC自動分析装置(FAC-1、島津製作所社製)を用いてフロンタルアフィニティクロマトグラフィーを行った。詳細には、上記で調製したレクチンカラムを、ステンレスホルダーに差し込み、FAC−1装置に接続した。流速およびカラム温度を、それぞれ0.125ml/minおよび25℃に保った。前記TBS緩衝液でミニチュアカラムを平衡後、過剰容積(0.5ml〜4ml)のPA−糖鎖(3.75nM又は7.5nM)およびpNP-糖鎖およびpMP−糖鎖(1μM)を、自動サンプリング装置を用いてカラム中へ連続注入した。
49種類で構成された糖鎖群で特異性を評価した結果、図7に示すとおり、CNA−IIは、グロボテトラオース(Gb4)にのみ結合である溶出の遅れが確認できた。
また、pNP-糖鎖およびpMP−糖鎖はUV吸収強度(検出波長 280nm)でモニターし、相互作用強度〔標準オリゴ糖(pNP−Fuc、番号1011)に対する前端溶出液の差:V−V0〕を測定した。
パラニトロフェニル(pNP−)標識αGalNAc(番号1003)を0μM〜7.0μMになるようTBS緩衝液で作製した。上記同様分析を行い、各濃度における相互作用強度〔標準オリゴ糖(pNP−Fuc、番号1011)〕)に対する前端溶出液の差:V−V0〕を測定し、結合定数(Ka)および有効リガンド量(Bt)を求めた。その結果、結合定数(Ka)=2.70×105M−1および有効リガンド量(Bt)=0.039nmolであった。結合した糖鎖の相互作用強度および結合定数を算出した。結果を表4と図8に示す。
Claims (9)
- 以下の特徴を有するカヤタケ属担子菌に由来するレクチン:
(1)SDS電気泳動法による分子量が、8,000〜15,000であり、
(2)ゲル濾過法による分子量が10,000〜12,000であり、
(3)グロボシド系糖鎖に結合し、
(4)N−アセチルガラクトサミンを含むグロボシド系糖鎖に対して結合定数1.0×10 5 M −1 以上で示される親和性を有する。 - カヤタケ属担子菌から得られた水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製することにより得られる請求項1に記載のレクチン。
- 前記カヤタケ属担子菌がハイイロシメジである請求項1又は請求項2に記載のレクチン。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレクチンの製造方法であって、カヤタケ属担子菌から水系媒体抽出物を得ること、前記水系媒体抽出物を、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を有する糖類を含有する溶出液と、ガラクトース残基及びN−アセチルガラクトサミン残基の少なくとも一方を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製すること、を含むレクチンの製造方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレクチンと、標識化合物とを含む標識レクチン。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレクチンと、支持担体とを含むレクチン固定化担体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレクチン、請求項5に記載の標識レクチン又は請求項6に記載のレクチン固定化担体を用いて、グロボシド系糖鎖含有物を検出することを含む糖鎖検出方法。
- 前記グロボシド系糖鎖含有物を他の化合物と分別することを更に含む請求項7に記載の糖鎖検出方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレクチンを含む、グロボシド系糖鎖の有無を判定する判定薬。
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