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JP5287051B2 - 自律移動装置 - Google Patents
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Description

本発明は、自律移動装置に関し、特に、計画された移動経路に沿って移動する自律移動装置に関する。
従来から、障害物との接触を回避しつつ、計画された経路に沿うように出発点(スタート位置)から目的地(ゴール位置)まで自律して移動する自律移動装置が知られている。このような自律移動装置として、周囲の環境条件(例えば周囲の明るさ等)に応じて、自律的に移動速度及び移動方向を制御する移動ロボット(自律移動装置)が特許文献1に開示されている。この移動ロボットは、周囲の環境条件が良い場合には高速で移動し、周囲の環境条件が悪い場合は移動速度を落とし、障害物との接触を回避する。
特開2007−213111号公報
自律移動装置の走行制御を行う場合において、制御周期及び制御遅れをゼロにすることはできない。そのため、現実の自律移動装置の挙動は、意図した挙動に対して僅かながら誤差(応答遅れ)を生じる。なお、この誤差は移動速度が速くなるほど顕著になる。一方、自律移動装置が移動する経路の余裕(通路の幅)は常に一定というわけではない。そのため、特許文献1記載の移動ロボットでは、自律移動装置が、例えば狭い通路(経路)を通過する場合や狭い通路で障害物を回避する際に、上述した誤差の影響により、障害物と接触するおそれがあった。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、移動経路の経路余裕に応じた適切な走行制御を行うことが可能な自律移動装置を提供することを目的とする。
本発明に係る自律移動装置は、自律移動を行う前に目的地までの移動経路を計画し、該移動経路に沿って移動する自律移動装置であって、障害物が存在する障害物領域が示される環境地図を取得する環境地図取得手段と、前記環境地図取得手段により取得された前記環境地図に含まれる障害物領域の輪郭を段階的に拡張して、複数の拡張領域を生成する拡張領域生成部と、拡張領域生成部により生成された複数の拡張領域を重ね合わせて積算し、積算地図を生成する積算地図生成部と、積算地図生成部により生成された積算地図から移動可能領域を抽出する移動可能領域抽出部と、移動可能領域抽出部により抽出された移動可能領域から移動経路を計画する経路計画手段と、経路計画手段により計画された移動経路上の通過地点が属する積算地図上の拡張領域の積算値に応じて当該通過地点における経路余裕情報を取得する経路余裕取得手段と、経路計画手段により計画された移動経路、及び経路余裕取得手段により取得された経路余裕情報を記憶する記憶手段と、自機を移動させる移動手段と、自己位置を検知する自己位置検知手段と、自己位置検知手段により検知された自己位置と、記憶手段に記憶された経路余裕情報とから該自己位置における経路余裕を取得するとともに、該自己位置における経路余裕に応じて、移動手段を制御する走行制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る自律移動装置によれば、自律移動を行う前に、移動経路が計画されるとともに、該移動経路の経路余裕が取得されて記憶される。一方、自律移動時には、検知された自己位置と記憶されている移動経路の経路余裕情報から該自己位置における経路余裕が把握される。そして、把握された自己位置での経路余裕に応じて移動手段が制御される。そのため、移動経路に沿って移動する際に、移動地点(自己位置)での経路余裕に応じて適切な走行制御を行うことが可能となる。特に、本発明に係る自律移動装置によれば、移動経路及び該移動経路の経路余裕情報が予め取得されて記憶されているため、走行中に移動経路の経路余裕を求める必要がなくなる。その結果、演算負荷を低減することができ、走行時における制御遅れを減少することが可能となる。
本発明に係る自律移動装置は、走行制御手段が、移動経路上の目標通過地点列から、自己位置と一致する或いはもっとも近い一つの目標通過地点、又は自己位置から一定範囲に含まれる複数の目標通過地点を検出し、検出した目標通過地点に対応して記憶されている経路余裕情報を取得することが好ましい。
この場合、自己位置における適切な経路余裕情報を取得することが可能となる。
本発明に係る自律移動装置では、走行制御手段が、自己位置における経路余裕に応じて自機の移動速度を設定し、該移動速度に基づいて移動手段を制御することが好ましい。
このようにすれば、移動地点の経路余裕に応じて移動速度を調節することができる。そのため、移動地点の経路余裕に応じた適切な移動速度で移動することができる。よって、例えば、狭い通路では速度を落として移動し、逆に、広い通路は速度を上げて移動することが可能となる。
また、本発明に係る自律移動装置では、走行制御手段が、自己位置における経路余裕に応じて障害物を回避するための回避力を設定する障害物回避制御手段を有し、該障害物回避制御手段により設定された回避力に基づいて移動手段を制御することが好ましい。
このようにすれば、移動地点の経路余裕に応じて障害物を回避するための回避力を調節することができる。そのため、例えば、狭い通路ではゆっくりとかつ小さく障害物を回避し、逆に、広い通路では素早くかつ余裕を持って障害物を回避することが可能となる。
本発明によれば、自己位置における経路余裕を取得するとともに、該自己位置における経路余裕に応じて移動手段を制御する構成としたので、移動経路の経路余裕に応じた適切な走行制御を行うことが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
まず、図1を用いて、実施形態に係る自律移動装置1の構成について説明する。図1は、自律移動装置1の構成を示すブロック図である。
自律移動装置1は、周囲の環境地図(障害物が存在する領域と存在しない領域を表した地図、以下「グローバルマップ」ともいう)を取得し、ユーザから与えられた、グローバルマップ上の出発点(スタート位置)と目的地(ゴール位置)との間をつなぐ移動経路を計画するとともに、該移動経路の経路余裕を取得する。また、自律移動装置1は、計画された移動経路に沿ってスタート位置からゴール位置まで自律して移動するとともに、移動する際に、自己位置(移動地点)の経路余裕に応じて走行制御(例えば移動速度の調節等)を行う。そのため、自律移動装置1は、その下部に電動モータ12及び該電動モータ12により駆動されるオムニホイール13が設けられた本体10と、周囲に存在する障害物との距離を計測するレーザレンジファインダ20と、移動経路を計画し、該移動経路に沿って移動するように電動モータ12を駆動するとともに、自己位置(移動地点)における経路余裕を取得し、該経路余裕に応じて電動モータ12を制御する電子制御装置30等を備えている。以下、各構成要素について詳細に説明する。
本体10は、例えば略有底円筒状に形成された金属製のフレームであり、この本体10に、上述したレーザレンジファインダ20、及び電子制御装置30等が取り付けられている。なお、本体10の形状は略有底円筒状に限られない。本体10の下部には、4つの電動モータ12が十字状に配置されて取り付けられている。4つの電動モータ12それぞれの駆動軸12Aにはオムニホイール13が装着されている。すなわち、4つのオムニホイール13は、同一円周上に周方向に沿って90°ずつ間隔を空けて取り付けられている。
オムニホイール13は、電動モータ12の駆動軸12Aを中心にして回転する2枚のホイール14と、各ホイール14の外周に電動モータ12の駆動軸12Aと直交する軸を中心として回転可能に設けられた6個のフリーローラ15とを有する車輪であり、全方向に移動可能としたものである。なお、2枚のホイール14は位相を30°ずらして取り付けられている。このような構成を有するため、電動モータ12が駆動されてホイール14が回転すると、6個のフリーローラ15はホイール14と一体となって回転する。一方、接地しているフリーローラ15が回転することにより、オムニホイール13は、そのホイール14の回転軸に並行な方向にも移動することができる。そのため、4つの電動モータ12を独立して制御し、4つのオムニホイール13それぞれの回転方向及び回転速度を個別に調節することより、自律移動装置1を任意の方向(全方向)に移動させることができる。すなわち、電動モータ12及びオムニホイール13は、特許請求の範囲に記載の移動手段として機能する。
4つの電動モータ12それぞれの駆動軸12Aには、該駆動軸12Aの回転角度を検出するエンコーダ16が取り付けられている。各エンコーダ16は、電子制御装置30と接続されており、検出した各電動モータ12の回転角度を電子制御装置30に出力する。電子制御装置30は、入力された各電動モータ12の回転角度から、自律移動装置1の移動量を演算する。
レーザレンジファインダ20は、自機の正面方向(前方)を向くようにして自律移動装置1の前部に取り付けられている。レーザレンジファインダ20は、レーザを射出するとともに、射出したレーザを回転ミラーで反射させることで、自律移動装置1の周囲を中心角240°の扇状に水平方向に走査する。そして、レーザレンジファインダ20は、例えば壁や障害物等の物体で反射されて戻ってきたレーザを検出し、レーザ(反射波)の検出角度、及びレーザを射出してから物体で反射されて戻ってくるまでの時間(伝播時間)を計測することにより、物体との角度及び距離を検出する。なお、レーザレンジファインダ20は、電子制御装置30と接続されており、検出した周囲の物体との距離情報・角度情報を電子制御装置30に出力する。
電子制御装置30は、自律移動装置1の制御を総合的に司るものである。電子制御装置30は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに後述する各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及びその記憶内容が保持されるバックアップRAM等から構成されている。また、電子制御装置30は、レーザレンジファインダ20とマイクロプロセッサとを電気的に接続するインターフェイス回路、及び電動モータ12を駆動するドライバ回路等も備えている。
電子制御装置30は、上述したように、移動経路を計画し、該移動経路に沿って移動するように電動モータ12を駆動するとともに、自己位置(移動地点)における経路余裕を取得し、該経路余裕に応じて電動モータ12を制御する。そのため、電子制御装置30は、グローバルマップを取得するグローバルマップ取得部31、移動経路を計画する経路計画部32、移動経路の経路余裕を取得する経路余裕取得部33、移動経路及び該移動経路の経路余裕を記憶する記憶部34、自己位置を検知する自己位置検知部35、及び、自己位置における経路余裕に応じて電動モータ12を制御する走行制御部36を備えている。なお、これらの各部は、上述したハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構築される。
グローバルマップ取得部31は、例えばSLAM技術等を利用して、障害物が存在する領域(障害物領域)と存在しない領域とが記録されたグローバルマップを生成する。すなわち、グローバルマップ取得部31は、特許請求の範囲に記載の環境地図取得手段として機能する。ここで、グローバルマップは、水平面を所定の大きさ(例えば縦横1cm)のブロックで分割した平面からなる地図であり、障害物があるグリッドには例えば「0」より大きな値が与えられ、障害物がないグリッドには「0」未満の値が与えられる。SLAM技術を利用してグローバルマップを生成する場合、まず、グローバルマップ取得部31は、後述する自己位置検知部35により取得された自己位置を読み込む。なお、自己位置の取得方法の詳細については後述する。次に、グローバルマップ取得部31は、自己位置を取得する際に生成されたレーザレンジファインダ20を原点にしたローカルマップを、レーザレンジファインダ20を原点にした座標系からグローバルマップの座標系に自己位置にあわせて座標変換することにより、ローカルマップをグローバルマップに投影する。そして、グローバルマップ取得部31は、この処理を移動しつつ繰り返して実行し、ローカルマップをグローバルマップに順次足し込んで行く(継ぎ足してゆく)ことにより周囲環境全体のグローバルマップを生成する。
経路計画部32は、グローバルマップ取得部31で生成されたグローバルマップから移動経路を計画するために、拡張領域生成部37、積算マップ生成部38、移動可能領域抽出部39、及び、経路探索部40を有している。経路計画部32は、特許請求の範囲に記載の経路計画手段として機能する。
拡張領域生成部37は、グローバルマップ取得部31により生成されたグローバルマップに含まれる障害物領域の輪郭を、自機の半径だけ拡張して、拡張された障害物領域(以下「拡張障害物領域」ともいう)を生成するとともに、この拡張障害物領域の輪郭をさらに所定の拡張幅で段階的に拡張して、複数の拡張領域を生成する。拡張領域の生成には、例えば、公知のMinkowski和を利用することができる。すなわち、図2に示されるように、障害物領域300の輪郭(境界)を、自律移動装置1の半径rに相当する量だけ拡張することにより、拡張障害物領域320が生成される。この処理により、拡張障害物領域320に対して、自律移動装置1の大きさを点とみなすことができる。さらに、拡張領域生成部37は、拡張障害物領域320毎にその輪郭を所定の拡張幅ずつ3段階に拡張し、3つの拡張領域、すなわち、第1拡張領域321、第2拡張領域322、及び第3拡張領域323を生成する(図3参照)。なお、本実施形態では、所定の拡張幅として、自機の半径rを用いた。すなわち、拡張領域生成部37は、拡張障害物領域320の輪郭を自律移動装置1の半径rに相当する量だけ拡張することにより第1拡張領域321を生成し、該第1拡張領域321の輪郭を半径rに相当する量だけ拡張することによって第2拡張領域322を生成するとともに、該第2拡張領域322の輪郭を半径rだけ拡張することによって第3拡張領域323を生成する。
積算マップ生成部38は、拡張領域生成部37により生成された複数の拡張領域(本実施形態では、拡張障害物領域320,第1拡張領域321,第2拡張領域322,第3拡張領域323)を重ね合わせて積算し、積算マップを生成する。より具体的には、図3に示されるように、拡張障害物領域320,第1拡張領域321,第2拡張領域322,第3拡張領域323それぞれに含まれる全グリッドに例えば「1」の値(重み)を与えて、拡張障害物領域320及び各拡張領域321〜323を重ねあわせて積算することにより、積算マップが生成される。すなわち、積算マップにおいて、第1拡張領域321と第2拡張領域322と第3拡張領域323とが重なり合う領域の積算値(重み)は「3」となる。同様に、第2拡張領域322と第3拡張領域323のみが重なり合う領域(第2拡張領域322から第1拡張領域321を除いた領域)の積算値(重み)は「2」となる。また、第3拡張領域323のみの領域(第3拡張領域323から第2拡張領域322を除いた領域)の値(重み)は「1」となる。そのため、積算マップ上の各領域(各グリッド)の積算値は、自律移動装置1の半径rを単位として、拡張障害物領域320(すなわち障害物)からの距離に応じた値を表すこととなり、積算値が大きい領域(グリッド)ほど障害物に近く、逆に積算値が小さい領域(グリッド)ほど障害物から遠いことを表す。よって、積算マップ上の各領域(各グリッド)の積算値から、障害物との距離(余裕)を把握することができる。
移動可能領域抽出部39は、積算マップ生成部38により生成された積算マップから、障害物と接触することなく移動することができる領域(移動可能領域)を抽出する。図4に示されるように、本実施形態では、積算マップ上において、拡張障害物領域320以外の領域(図4において斜線部を除く領域)を移動可能領域340として抽出する。また、移動可能領域抽出部39は、抽出された移動可能領域340の細線化処理を行う。移動可能領域340の細線化処理は、例えば、公知のHilditchの細線化法を利用して行うことができる。すなわち、移動可能領域抽出部39は、移動可能領域340が線になるまで、移動可能領域340を拡張障害物領域320から1ピクセルずつ削ってゆくことにより細線化を行う。よって、細線化により得られた線状の移動可能領域341は、周囲に存在する障害物からもっとも遠い移動可能領域を表す。
経路探索部40は、移動可能領域抽出部39により抽出され細線化された移動可能領域341の中から、スタート位置とゴール位置との間をつなぐ最短経路を探索することにより移動経路を計画する。より詳細には、まず、経路探索部40は、細線化された移動可能領域341のノード探索を実行する。すなわち、すべてのノード342を探索し、図5に示されるような、ノードマップとして表現する。なお、ここで、細線化された移動可能領域341の分岐点(又は結合点)をノード342とし、ノード342とノード342とをつなぐ細線化された移動可能領域341をリンク343とする。次に、経路探索部40は、例えば公知のA*アルゴリズム(Aスター・アルゴリズム)等の探索アルゴリズムを用いて最短経路探索を行い、移動経路を決定する。すなわち、経路探索部40は、図6に示されるように、スタート位置351とゴール位置352を基点として、例えばA*アルゴリズムを用いて、積算マップ上のどのノード342、どのリンク343を通ると最小コスト(最短経路)になるかを演算し、経路350を決定する。
経路余裕取得部33は、経路探索部40により計画された移動経路上の通過地点(以下「サブゴール」ともいう)が属する積算マップ上の拡張領域321〜323から、サブゴールにおける経路の余裕を取得する。より具体的には、経路余裕取得部33は、図7に示されるように、決定された経路350上のサブゴール360がどの拡張領域321〜323に属しているか(又は拡張領域321〜323に属さないか)によりサブゴール360毎の経路余裕情報を取得する。ここで、上述した積算マップ上の各領域の積算値(例えば「1」「2」「3」。また、いずれの拡張領域にも属さない領域の積算値は「0」となる。)を経路余裕情報として用いることができる。そして、経路余裕取得部40は、取得した各サブゴール360の経路余裕情報を、サブゴール点列(座標列)で表された経路情報に、サブゴール360毎に対応付けて付加する。このようにして、経路余裕情報が付加された移動経路情報が取得される。すなわち、経路余裕取得部33は、特許請求の範囲に記載の経路余裕取得手段として機能する。
記憶部34は、例えば、上述したバックアップRAM等で構成されており、経路計画部32により計画された経路情報、及び、経路余裕取得部33で取得された移動経路の経路余裕情報を記憶する。すなわち、記憶部34は、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。
自己位置検知部35は、自己位置、すなわち移動中の自機の位置を推定する。よって、自己位置検知部35は、特許請求の範囲に記載の自己位置検知手段として機能する。より具体的には、自己位置検知部35は、まず、レーザレンジファインダ20からセンサ情報取得部42を介して読み込まれた周囲の物体との距離情報・角度情報に基づいてローカルマップを生成するとともに、エンコーダ16から読み込まれた各電動モータ12の回転角度に基づいて自機の移動量を演算する。次に、自己位置検知部35は、生成されたローカルマップ、及び自機の移動量からベイズフィルタ(ベイズの定理)を用いて確率的に自己位置を推定する。
走行制御部36は、自己位置検知部35により検知された自己位置と、記憶部34に記憶されている経路情報、経路余裕情報とから該自己位置における経路余裕を取得し、該経路余裕に応じて電動モータ12を制御することにより自機の走行をコントロールする。すなわち、走行制御部36は、特許請求の範囲に記載の走行制御手段として機能する。より具体的には、走行制御部36は、まず、経路情報に含まれるサブゴール点列(座標列)から自己位置と一致する又はもっとも近いサブゴールを検出し、該サブゴールと対応して記憶されている、該サブゴールにおける経路余裕情報を取得する。なお、経路余裕情報は、もっとも近い1つのサブゴールが持つ値を採用するのではなく、検出されたもっとも近いサブゴールよりもゴール側に位置するサブゴールであって自己位置から一定範囲に含まれる複数のサブゴールの経路余裕情報の内、もっとも狭いもの(大きい値)を採用するようにしてもよい。
次に、走行制御部36は、取得された経路余裕情報に応じて目標移動速度を設定する。例えば、走行制御部36は、経路余裕情報が「0」の場合には目標移動速度を時速4km/hに設定し、経路余裕情報が「1」の場合には時速3km/hに設定し、経路余裕情報が「2」の場合には時速2km/hに設定し、経路余裕情報が「3」の場合には時速1km/hに設定する。すなわち、経路余裕が小さくなるほど(すなわち通路幅が狭いほど)、自機の速度が遅くなるように目標移動速度が設定される。なお、経路余裕情報に応じて目標移動速度を設定する代わりに、経路余裕情報に応じて係数を設定し、この係数を、他のパラメータに基づいて設定された目標移動速度に対して掛ける構成としてもよい。この場合、例えば、経路余裕情報が「0」の場合には係数を「1」に設定し、経路余裕情報が「1」の場合には係数を「3/4」に設定し、経路余裕情報が「2」の場合には係数を「2/4」に設定し、経路余裕情報が「3」の場合には係数を「1/4」に設定する。すなわち、経路余裕が小さくなるほど、移動速度が遅くなるように係数が設定される。
また、走行制御部36は、自己位置における経路余裕に応じて障害物を回避するための回避力(以下「斥力」ともいう)を設定する障害物回避制御部41を有し、該障害物回避制御部41により設定された斥力に基づいて電動モータ12を駆動することにより、障害物を回避する。障害物回避制御部41は、特許請求の範囲に記載の障害物回避制御手段として機能する。ここで、本実施形態では、障害物を回避しながら自機をゴール位置まで移動させる制御方法として仮想ポテンシャル法を採用した。この仮想ポテンシャル法は、ゴール位置に対する仮想的な引力ポテンシャル場と、回避すべき障害物に対する仮想的な斥力ポテンシャル場とを生成して重ね合わせることで、障害物との接触を回避しつつゴール位置へ向かう経路を生成する方法である。本実施形態では、この仮想ポテンシャル法の斥力を設定するパラメータの1つとして経路余裕を採用する。
より具体的には、走行制御部36は、まず、自己位置に基づいてゴール位置へ向かうための仮想引力を計算する。一方、障害物回避制御部41は、自己位置、移動速度、障害物の位置並びに速度、及び、経路余裕情報に応じて設定される係数に基づいて、障害物を回避するための仮想斥力を算出する。ここで、経路余裕情報に応じて設定される係数としては、例えば、上述した目標移動速度に掛けられる係数と同じ係数を用いることができる。すなわち、経路余裕が小さくなるほど、仮想斥力が小さくなる(すなわち避け方が緩やかになる)ように係数が設定される。続いて、走行制御部36は、得られた仮想引力と、仮想斥力とをベクトル合成することにより仮想力ベクトルを計算する。そして、走行制御部36は、得られた仮想力ベクトルに応じて電動モータ12(オムニホイール13)を駆動することにより、障害物を回避しつつゴール位置へ移動するように自機の走行をコントロールする。
本実施形態では、自己位置での経路余裕を把握しているため、レーザレンジファインダ20により検出された物体との距離に基づいて、検出された物体が通路の壁であるか、あるいは障害物であるかを推測することができる。ここで、検出された物体が障害物ではなく壁であれば、上述した回避動作をとるための演算(仮想斥力を求めるための演算)を省略することができる。
次に、図8及び図9を参照しつつ自律移動装置1の動作について説明する。図8は、自律移動装置1による経路計画処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図9は、自律移動装置1による走行制御処理の処理手順を示すフローチャートである。図8に示される経路計画処理は、電子制御装置30によって行われるものであり、自律移動を行う前に、例えばユーザの指示操作を受けて実行される。また、図9に示される走行制御処理は、電子制御装置30によって行われるものであり、自律移動装置1が自律移動しているときに所定のタイミングで繰り返し実行される。
まず、図8に示される経路計画処理の処理手順について説明する。ステップS100では、レーザレンジファインダ20から読み込まれた周囲の物体との距離情報・角度情報等に基づいてグローバルマップが生成される。なお、グローバルマップの生成方法については上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。次に、ステップS102では、まず、グローバルマップに含まれている障害物領域300毎に、その輪郭が自機の半径rだけ拡張されて拡張障害物領域320が生成される。ステップS102では、さらに、拡張障害物領域320が所定の拡張幅(本実施形態では自機の半径r)ずつ3段階に拡張され、3つの拡張領域、すなわち、第1拡張領域321、第2拡張領域322、及び第3拡張領域323が生成される(図2,3参照)。
続くステップS104では、ステップS102で生成された拡張障害物領域320、第1拡張領域321、第2拡張領域322、及び第3拡張領域323が重ね合わされて積算され、積算マップが生成される(図3参照)。続いて、ステップS106では、ステップS104で生成された積算マップから、拡張障害物領域320を除く領域が、障害物と接触することなく移動することができる移動可能領域340として抽出される(図4参照)。次に、ステップS108では、抽出された移動可能領域340の細線化処理が行われる。なお、移動可能領域340の細線化処理については上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
続くステップS110では、細線化された移動可能領域341のノード探索が実行される(図5参照)。続いて、ステップS112では、スタート位置とゴール位置を基点として、例えばA*アルゴリズムを用いて、積算マップ上のどのノード342、どのリンク343を通ると最小コスト(最短経路)になるかが探索され、経路350が決定される(図6参照)。
続くステップS114では、決定された経路350上のサブゴール360がどの拡張領域321〜323に属しているか(又は拡張領域321〜323に属さないか)によりサブゴール360毎の経路余裕情報(「0」「1」「2」「3」)が取得される(図7参照)。そして、取得された各サブゴール360の経路余裕情報が、サブゴール点列(座標列)で表された経路情報に、サブゴール360毎に対応付けて付加されることにより、経路余裕情報が付加された経路情報が取得される。ステップS114で取得された経路余裕情報が付加された経路情報(すなわち経路情報及び経路余裕情報)は、ステップS116において記憶部34により記憶される。
次に、図9に示される走行制御処理について説明する。ステップS200では、物体との距離・角度情報に基づいて生成されたローカルマップ、及び各電動モータ12の回転角度に基づいて演算された自機の移動量からベイズフィルタを用いて走行中の自己位置が推定される。続くステップS202では、経路情報に含まれるサブゴール点列(座標列)から自己位置と一致する又はもっとも近いサブゴールが検出され、該サブゴールと対応して記憶されている、該サブゴールにおける経路余裕情報が取得される。なお、上述したように、経路余裕情報は、もっとも近い1つのサブゴールが持つ値を採用するのではなく、検出されたもっとも近いサブゴールよりもゴール側に位置するサブゴールであって自己位置から一定範囲に含まれる複数のサブゴールの経路余裕情報の内、もっとも狭いもの(大きい値)を採用するようにしてもよい。
次に、ステップS204では、取得された経路余裕情報に応じて目標移動速度が設定される。ここでは、経路余裕が小さくなるほど(すなわち通路幅が狭いほど)、自機の速度が遅くなるように目標移動速度が設定される。なお、目標移動速度の設定方法は上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
続いて、ステップS206では、ステップS202で取得された経路余裕情報に応じて障害物を回避するための仮想斥力が設定される。ここでは、経路余裕が小さくなるほど、仮想斥力が小さくなる(すなわち避け方が小さくなる)ように仮想斥力が設定される。仮想斥力の設定方法は上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。さらに、ステップS206では、自己位置に基づいてゴール位置へ向かうための仮想引力が算出され、得られた仮想引力と仮想斥力とがベクトル合成されることにより仮想力ベクトルが算出される。
そして、続くステップS208において、ステップS204で設定された目標移動速度、及びステップS206で求められた仮想力ベクトルに基づいて、電動モータ12(オムニホイール13)が駆動される。そのため、移動中の経路の余裕(通路幅)に応じて、移動速度及び回避力(斥力)が最適な値に調節される。
本実施形態によれば、取得されたグローバルマップから移動経路が計画されるとともに、該移動経路の経路余裕が取得される。一方、検知された自己位置と、取得された移動経路の経路余裕とから該自己位置における経路余裕が把握される。そして、把握された自己位置での経路余裕に応じて電動モータ12が制御される。そのため、移動経路に沿って移動する際に、移動地点での経路余裕に応じて適切な走行制御を行うことが可能となる。
より具体的には、本実施形態によれば、移動地点の経路余裕に応じて目標移動速度が設定される。そのため、移動地点の経路余裕に応じた適切な移動速度で移動することができる。よって、狭い通路では速度を落として移動し、逆に、広い通路は速度を上げて移動することが可能となる。
また、本実施形態によれば、移動地点の経路余裕に応じて障害物を回避するための斥力を調節することができるため、狭い通路ではゆっくりとかつ小さく障害物を回避し、逆に、広い通路では素早くかつ大きく障害物を回避することが可能となる。
本実施形態によれば、移動経路及び該移動経路の経路余裕が予め取得されて記憶される。そのため、走行中に移動経路の経路余裕を求める必要がなくなるため、演算負荷を低減することができ、走行時における制御遅れを減少することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、拡張障害物領域320を段階的に拡張して積算し、サブゴールが属する拡張領域321〜323からそのサブゴールにおける経路余裕を求めたが、経路余裕の求め方は上述した手法には限定されない。例えば、サブゴールごとに障害物とのユークリッド距離を演算することによって経路余裕を求めてもよい。
なお、経路余裕を求める方法として上述した方法を採用する場合、上記実施形態では、拡張障害物領域320を拡張する際の拡張幅を自機の半径rとしたが、この拡張幅は自機の半径rに限られることなく、任意に設定することができる。また、上記実施形態では、拡張障害物領域320を3段階に拡張したが、2段階又は4段階以上に拡張してもよい。さらに、各拡張領域321〜323を積算する際に各拡張領域321〜323を構成するグリッドに与えられる値(重み)は「1」に限られることなく、任意の値を設定することができる。
上記実施形態では、自律移動中に移動地点の経路余裕に応じて目標移動速度等の設定を行ったが、移動経路が計画され、経路余裕情報が取得された時点で、上述した目標移動速度及び係数等をサブゴール毎に求め、予め記憶部34に記憶しておく構成としてもよい。
上記実施形態では、最短経路探索にA*アルゴリズムを利用したが、その他のアルゴリズム、例えば、ダイクストラ法、最良優先探索等を利用してもよい。
上記実施形態では、グローバルマップを生成する際に、SLAM技術を利用して生成したが、グローバルマップはSLAM以外の他の方法を利用して生成してもよい。また、他の装置で生成したグローバルマップを移植してもよい。
上記実施形態では、レーザレンジファインダ20を用いて障害物との距離を測定したが、レーザレンジファインダに代えて又は加えて、例えばステレオカメラ、超音波センサ等を用いる構成としてもよい。
上記実施形態では、車輪として全方位に移動可能なオムニホイール13を採用したが、通常の車輪(操舵輪及び駆動輪)を用いる構成としてもよい。また、オムニホイール13の数は、4つに限られることなく、例えば3つ又は6つであってもよい。
実施形態に係る自律移動装置の構成を示すブロック図である。 障害物領域の拡張方法(Minkowski和演算)を説明するための図である。 積算マップの生成方法を説明するための図である。 移動可能領域の抽出方法及び細線化方法を説明するための図である。 ノードの探索方法を説明するための図である。 最短経路の探索方法を説明するための図である。 経路余裕の取得方法を説明するための図である。 実施形態に係る自律移動装置による経路計画処理の処理手順を示すフローチャートである。 実施形態に係る自律移動装置による走行制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 自律移動装置
10 本体
12 電動モータ
13 オムニホイール
14 ホイール
15 フリーローラ
16 エンコーダ
20 レーザレンジファインダ
30 電子制御装置
31 グローバルマップ取得部
32 経路計画部
33 経路余裕取得部
34 記憶部
35 自己位置検知部
36 走行制御部
37 拡張領域生成部
38 積算マップ生成部
39 移動可能領域抽出部
40 経路探索部
41 障害物回避制御部

Claims (4)

  1. 自律移動を行う前に目的地までの移動経路を計画し、該移動経路に沿って移動する自律移動装置であって、
    障害物が存在する障害物領域が示される環境地図を取得する環境地図取得手段と、
    前記環境地図取得手段により取得された前記環境地図に含まれる前記障害物領域の輪郭を段階的に拡張して、複数の拡張領域を生成する拡張領域生成部と、
    前記拡張領域生成部により生成された前記複数の拡張領域を重ね合わせて積算し、積算地図を生成する積算地図生成部と、
    前記積算地図生成部により生成された前記積算地図から移動可能領域を抽出する移動可能領域抽出部と、
    前記移動可能領域抽出部により抽出された前記移動可能領域から移動経路を計画する経路計画手段と、
    前記経路計画手段により計画された移動経路上の通過地点が属する前記積算地図上の拡張領域の積算値に応じて当該通過地点における経路余裕情報を取得する経路余裕取得手段と、
    前記経路計画手段により計画された前記移動経路、及び前記経路余裕取得手段により取得された前記経路余裕情報を記憶する記憶手段と、
    自機を移動させる移動手段と、
    自己位置を検知する自己位置検知手段と、
    前記自己位置検知手段により検知された自己位置と、前記記憶手段に記憶された経路余裕情報とから該自己位置における経路余裕を取得するとともに、該自己位置における経路余裕に応じて、前記移動手段を制御する走行制御手段と、を備えることを特徴とする自律移動装置。
  2. 前記走行制御手段は、前記移動経路上の目標通過地点列から、自己位置と一致する或いはもっとも近い一つの目標通過地点、又は自己位置から一定範囲に含まれる複数の目標通過地点を検出し、検出した目標通過地点に対応して記憶されている経路余裕情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の自律移動装置。
  3. 前記走行制御手段は、前記自己位置における経路余裕に応じて自機の移動速度を設定し、該移動速度に基づいて前記移動手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の自律移動装置。
  4. 前記走行制御手段は、前記自己位置における経路余裕に応じて障害物を回避するための回避力を設定する障害物回避制御手段を有し、該障害物回避制御手段により設定された回避力に基づいて前記移動手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自律移動装置。
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