JP5287466B2 - 車輪転舵装置、車輪転舵装置の車体への取付け構造、及び車体への取付け方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目したもので、ロッドに過大入力があっても、車輪転舵装置の揺動発生を小さく規制することを課題としている。
本実施形態では、車輪転舵装置として後輪転舵装置を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、車体の一部を構成するサスペンションメンバ20に対し、車両前後方向後方から後輪転舵装置を取り付ける場合を例示する。
図1は、本実施形態に係る後輪転舵装置1、及びサスペンションメンバを示す斜視図である。
後輪転舵装置1は、図1及び図2に示すように、ロッド2、シリンダ部材3、及びアクチュエータ4からなる。
すなわち、シリンダ部材3は、ロッド2を軸方向に移動可能(案内可能)に支持する。そのシリンダ部材3に対しアクチュエータ4を一体的に固定しておく。アクチュエータ4は、例えば電動モータ4A及びギヤボックス4Bからなる。そして、電動モータ4Aの出力トルクは、ギヤボックス4B内のギヤに伝達し、ギヤボックス4Bのピニオン軸から、ロッド2に設けたラック軸に伝達する。このピニオン軸とラック軸の噛み合い位置が、アクチュエータ4からロッド2へのトルク伝達部10となる。すなわち、本実施形態では、ラックピニオン機構がトルク伝達部10となる。また、上記ロッド2の左右端部にはそれぞれタイロッド9が連結する。図2中、符号30はロッド2をシリンダ部材3に支承させるための軸受を示す。
また、シリンダ部材3に2つのボルト締結穴5,6を設ける。符号7,8は、上記ボルト締結穴5,6を形成するボルト締結穴用ブラケットである。上記2つのボルト締結穴5,6は、上記トルク伝達部10位置を挟んで、互いにロッド軸方向Sに離隔している。
上記2つのボルト締結穴5,6のうち、上記トルク伝達部10位置に近い側のボルト締結穴である第1のボルト締結穴5を丸穴とする。また、上記トルク伝達部10位置から遠い側のボルト締結穴である第2のボルト締結穴6を長穴とする。長穴はロッド軸方向Sに長径を向けておく。また、上記2つのボルト締結穴5,6は、ともに軸を車両前後方向に向けて配置しておく。
サスペンションメンバ20は、車両前後方向に延在する左右のサイド部材21と、そのサイド部材21間を連結する前側クロス部材22及び後側クロス部材23とを備える。各サイド部材21に端部にそれぞれインシュレータ25を設ける。そして、サスペンションメンバ20は、上記4個のインシュレータ25によって、不図示の車体フレームに弾性支持される。また、各サイド部材21及び後側クロス部材23にそれぞれ、不図示のサスペンションリンクの車体側端部が揺動可能に連結する。サスペンションリンクの車輪側端部は、車輪を支持する車輪支持部材に連結する。
本実施形態では、この既存の丸穴を開口部24として流用する。もっとも、突起部挿入用の開口部を別途、後側クロス部材23に形成しておいても良い。
ここで図3は、突起部11の形状を示す斜視図である。図4は、突起部挿入時における突起部11の上面視及び側面時である。図5は、後輪転舵装置1を車体に組み付けた時の、開口部24に対する突起部11の位置を示す断面図である。
本実施形態に突起部11は、ロッド軸方向S(突起部11の突出方向に直交する方向)からみて、直角三角形などの三角形形状をした板部材である。
その突起部11の下面11aの断面形状は、図5に示すように、車幅方向に沿って下に凸の円弧状の形状となっている。その円弧形状は、真円の一部でも良いし、楕円等の一部から形成しても良い。本実施形態では、突起部11の上面11bの断面形状も、車幅方向に沿って上に凸の円弧状の形状となっている。
また、開口部24に応じて、上記突起部11の開口部24に対するロッド軸方向Sへの遊びが、図5に示すように、車体に組み付けた状態で、第1のボルト締結穴5と当該第1のボルト締結穴5に挿入されるボルトとのロッド軸方向Sへの遊び、及び第2のボルト締結穴6と当該第2のボルト締結穴6に挿入されるボルトとのロッド軸方向Sへの遊びよりも大きいように設定する。
第1のボルト締結穴5とボルトとの遊び <第2のボルト締結穴6とボルトとの遊び
第2のボルト締結穴6とボルトとの遊び <突起部11の開口部24に対する遊び
また、上記突起部11の開口部24に対する上下方向への遊びは、上記突起部11の開口部24に対するロッド軸方向Sへの遊びよりも小さくなっている。
また、突起部11の位置は、例えば、車体に組み付けたときに、開口部の中央に出来るだけ位置するように設定しておく。
次に、上記後輪転舵装置1の取付けについて説明する。
先ず、図1に示すように、組立て作業者が、後輪転舵装置1を両手で持って、当該後輪転舵装置1を組み付ける車体のサスペンションメンバ20の近くまで運ぶ。なお、後輪転舵装置1自体の重さは、例えば9kg程度あり、両手でないと持ち運ぶことが困難である。
このとき、突起部11の断面は、先端部に向かうにつれて小さくなるようになっている。このため、開口部24に対する突起部11の差し込みが容易となり、後輪転舵装置1の取付け作業性が良い。
このとき、突起部11の下面11aの断面形状を車幅方向に沿って下側に凸の円弧形状にすることで、次の作用が発生する。
上記のように調整して、基準穴側の第1のボルト締結穴5に差し込んだボルト33を仮締めする。
以上のように、両手が空いた作業は、例えば左手に長穴に差し込むためのボルト34を持っていても、右手で後輪転舵装置1を持ち上げることができる。すなわち、基準穴側である第1のボルト締結穴5(右側のボルト締結穴)側を仮締めしたボルト33を中心に、図8に示すように、後輪転舵装置1の取付け位置を上下にずらしながら左側の長穴側である第2のボルト締結穴6と、車体側の穴位置を合わせることが出来る。
ここで、後輪転舵装置1をボルト2本止めで車体に固定する構造の場合、2本のボルト締結穴5,6のうち片方を長穴とすることで、車体側の穴中心間距離の公差、後輪転舵装置1の穴中心間距離公差を吸収して確実に車体と後輪転舵装置1の穴へボルトを差し込めるようになる。
また、上記取付け状態においては、突起部11が開口部24に対し中央位置となるように、突起部11の位置を設定しておくことが好ましい。
また、タイロッド9の車輪側端部は、不図示の車輪支持部材(アクスルなど)に連結する。
そして、車両走行中にあっては、ステアリングホイールの操舵角や車両走行状態に応じた後輪目標転舵角となるようにアクチュエータ4が駆動する。そして、アクチュエータ4の駆動によってロッド2が車幅方向に相対変位することで、左右の車輪及びアクスルのトー角を変化させて車輪の転舵角を制御する。
そして、事故などによって車輪からタイロッド9を介して、過大な入力があるとシリンダ部材3に亀裂/破損が発生する場合がある。この亀裂/破損の発生は、図9に示すように、シリンダ部材3における、第2のボルト締結穴6(長穴)とは反対側の、位置決めの基準となる丸穴側(第1のボルト締結穴5側)で生じる。
車体との締結部である2つのボルト締結穴5,6の間に、アクチュエータ4からロッド2にトルクを伝達するトルク伝達部10が存在する。そして、サスペンションの路面負荷が、タイロッド9を通じてロッド2の軸力として荷重が入力すると、トルク伝達部10でその荷重を支えることとなる。
また、開口部24に対する突起部11のロッド軸方向Sの遊びが、丸穴である第1のボルト締結穴5とボルト33との遊びよりも大きい。このため、突起部11で上記加重を受けることが無い。つまり、突起部11が曲がったり折れたりすることが回避出来て、上記作用を発揮することが可能となる。
上記破断が発生しても、第2のボルト締結穴6である長穴部とボルト34の遊び分だけ後輪転舵装置1の固定位置がずれたとしても、突起部11と開口部24との間の遊びを大きくしておくことで、突起部11と開口部24が直接接触して荷重が加わらないか加わっても小さい荷重となるので、突起部11が破損しないで済む。
ここで、上記後輪転舵装置1は車輪転舵装置を構成する。またサスペンションメンバ20が車体の一部を構成する。
(1)車体取付け用の第1のボルト締結穴5を、上記アクチュエータ4からロッド2へのトルク伝達部10位置に対し上記ロッド軸方向Sに離隔した位置で上記シリンダ部材3に設ける。車体取付け用の長穴からなる第2のボルト締結穴6を、上記トルク伝達部10位置に対し上記第1のボルト締結穴5の形成位置とは反対方向であって上記ロッド軸方向Sに離隔した位置で上記シリンダ部材3に設ける。車体に設けられた開口部24に差し込み可能な突起部11を、上記トルク伝達部10位置と第2のボルト締結穴6形成位置との間で上記シリンダ部材3から上記ロッド軸方向Sと交叉する方向に突出させる。上記突起部11の開口部24に対するロッド軸方向Sへの遊びは、車体に組み付けた状態で、第1のボルト締結穴5と当該第1のボルト締結穴5に挿入されるボルトとのロッド軸方向Sへの遊びよりも大きい。
また、車輪転舵装置の取付け時において、次の効果も有する。
なお、2つのボルト締結穴5,6の間に突起部11を形成することで、車輪転舵装置をやじろべえの状態で仮支持させることが可能となる。また、アクチュエータ4は、シリンダ部材3から張り出した状態となっているので、把持し易い。このため、仮支持させた後に、突起部11からロッド軸方向Sに偏心しているアクチュエータ4部分を把持することで、車輪転舵装置の傾動を調整し易くなっている。
第1のボルト締結穴5側で亀裂若しくは破断が発生した後において、ロッド2への入力があると、長穴である第2のボルト締結穴6とボルト34との遊び分だけシリンダ部材3がずれる可能性がある。突起部11と開口部24との遊びを相対的に大きくしておくことで、突起部11に荷重が加わらないようになって、当該突起部11の破損を回避出来る。
これによって、突起部11の開口部24に対する上下方向への遊びを小さく出来る。そして、第1のボルト締結穴5側で亀裂、破断が発生した場合における、第2のボルト締結穴6側を中心とした車輪転舵装置の回動変位をより小さく規制することが出来る。
車輪転舵装置を組み付ける際に、突起部11を車体の開口部24に差し込んで仮支持させると、突起部11の下面11aが開口部24に当接して加重を伝達する状態となる。この開口部24に当接する部分をロッド軸方向S(車幅方向)に沿って下側の凸とすることで、上記突起部11下面を中心とした車輪転舵装置の傾動が滑らかとなる。このことは、第1のボルト締結穴5側の穴合わせが容易となることに繋がる。
第1のボルト締結穴5側で亀裂若しくは破断が発生した後において、長穴である第2のボルト締結穴6側を中心に車輪転舵角が回動変位して、突起部11が開口部24に当接する際に、突起部11の角部11cが開口部24に当接し易くなる。角部11cが当接することで、より有効に上下の回動変位を規制可能となる。
先端部に向けて徐々に断面が小さくなっているので、突起部11を車体の開口部24に差し込み易くなる。
(7)上記突起部11は、車両前後方向に突出する。その突起部11の位置は、上記アクチュエータ4の重心よりも高くする。
重量物となるアクチュエータ4の重心よりも高い位置で、上記突起部11によって仮支持することとなる。このため、突起部11による仮支持の安定性が向上する。
これによって、車輪転舵装置の車体への組付け作業が楽になる。
(1)第1のボルト締結穴5と上記トルク伝達部10位置との間のシリンダ部材3位置に、強度が低いヒューズ部位を形成すると良い。
例えば、図11に示すように、第1のボルト締結穴5を形成するブラケット7,8と、シリンダ部材3に対するアクチュエータ4の取付け部との間に位置する、シリンダ部材3の肉を意識的に削ることで、その部分を周辺部よりも強度を落としたヒューズ部位31とする。
また、ロッド2を支持する軸受が亀裂位置よりも第1のボルト締結穴5側に存在擦る場合には、そのロッド2を支持する軸受によるガイド機能が作用することで、3点支持にすることができる。
例えば、後輪転舵装置1のサスペンションメンバ20への取付け構造として、図12及び図13のような構造であっても、適用可能である。
この場合にも、突起部11を車体の開口部24に差し込んで一旦仮支持させる。その状態で、突起部11を中心にして車輪転舵装置を上下に傾動調整して、第1のボルト締結穴5である丸穴側の穴合わせを行って仮締めする。その後、第2のボルト締結穴6である長穴側を穴合わせを行い、ボルト締結を行う。
すなわち、シリンダが丁度サスペンションメンバ20の角部11cに近い位置へ配置すると、シリンダの下側にボルトを差し込むスペースが無くなる。またサスペンションメンバ20側に裏ナットをつけるスペースが無くなってしまう。また、全く別要件となるが、車体との隙間が無く、シリンダ部材3の上側に突起部11と同じ方向にボルトを差し込むことが不可能な場合もある。こういった場合には、上述のように下面にボルト締結する必要がある。
(4)上記実施形態では、突起部11が車両前後方向に突出場合を例示したが、これに限定しない。車輪転舵装置の組付け構造に応じて、突起部11の突出方向を設定すればよい。例えば突起部11を下方に突出させても良い。
(6)また、車体としてサスペンションメンバを例示した。車輪転舵装置を組み付ける車体部分は、サスペンションメンバに限定しない。車体フレーム自体に車輪転舵装置を組み付ける場合であっても、適用可能である。
2 ロッド
3 シリンダ部材
4 アクチュエータ
4A 電動モータ
4B ギヤボックス
5 第1のボルト締結穴
6 第2のボルト締結穴
7,8 ブラケット
10 トルク伝達部
11 突起部
11a 下面
11b 上面
11c 角部
20 サスペンションメンバ
23 後側クロス部材
24 開口部
31 ヒューズ部位
33,34 ボルト
S ロッド軸方向
Claims (10)
- 左右の車輪を転舵するために軸方向へ移動可能なロッドと、そのロッドを軸方向へ移動可能に支持するシリンダ部材と、そのシリンダ部材に固定されると共に上記ロッドに当該ロッドを軸方向に移動させるトルクを伝達可能なアクチュエータと、
上記アクチュエータからロッドへのトルク伝達部位置に対し上記ロッド軸方向に離隔した位置で上記シリンダ部材に設けられた車体取付け用の第1のボルト締結穴と、
上記トルク伝達部位置に対し上記第1のボルト締結穴形成位置とは反対方向であって上記ロッド軸方向に離隔した位置で上記シリンダ部材に設けられた車体取付け用の長穴からなる第2のボルト締結穴と、
上記トルク伝達部位置と第2のボルト締結穴形成位置との間で上記シリンダ部材から上記ロッド軸方向と交叉する方向に突出して、車体に設けられた開口部に差し込み可能な突起部と、
を備え、
上記突起部の開口部に対するロッド軸方向への遊びは、車体に組み付けた状態で、第1のボルト締結穴と当該第1のボルト締結穴に挿入されるボルトとのロッド軸方向への遊びよりも大きいことを特徴とする車輪転舵装置。 - 上記突起部の開口部に対するロッド軸方向への遊びを、車体に組み付けた状態で、第2のボルト締結穴と当該第2のボルト締結穴に挿入されるボルトとのロッド軸方向への遊びよりも大きく設定することを特徴とする請求項1に記載した車輪転舵装置。
- 上記突起部は、車両前後方向に突出し、
上記突起部の開口部に対する上下方向への遊びは、上記突起部の開口部に対するロッド軸方向への遊びよりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した車輪転舵装置。 - 上記突起部は、車両前後方向に突出し、
上記突起部の下面の断面形状は、ロッド軸方向に沿って下側に凸の円弧形状となっていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した車輪転舵装置。 - 上記突起部は、車両前後方向に突出し、
上記突起部は、左右両側にそれぞれ上下に離隔して形成された2つの角部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車輪転舵装置。 - 上記突起部の縦断面は、先端部に近づくほど小さくなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した車輪転舵装置。
- 第1のボルト締結穴と上記トルク伝達部位置との間のシリンダ部材位置に、強度が低いヒューズ部位を形成したことを特徴する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した車輪転舵装置。
- 上記突起部は、車両前後方向に突出し、
その突起部の位置は、上記アクチュエータの重心よりも高いことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載した車輪転舵装置。 - アクチュエータからのトルクをロッドに伝達することで左右の車輪を転舵可能な車輪転舵装置の車体への取付け構造であって、
上記アクチュエータからロッドへのトルク伝達部位置を挟んで互いに上記ロッド軸方向に離隔して設けた車体取付け用の2つのボルト締結穴で上記車輪転舵装置を車体に取り付けると共に、上記2つのボルト締結穴の一方を長穴とし、
その長穴のボルト締結穴と上記トルク伝達部位置との間に形成され且つ上記ロッド軸方向と交叉する方向に突出する突起部を、車体に設けられた開口部に差し込み、且つ上記突起部の開口部に対するロッド軸方向への遊びを、車体に組み付けた状態で、上記長穴でないボルト締結穴と当該ボルト締結穴に挿入されるボルトとのロッド軸方向への遊びよりも大きい値に設定することを特徴とする車輪転舵装置の車体への取付け構造。 - アクチュエータからのトルクをロッドに伝達することで左右の車輪を転舵可能な車輪転舵装置を車体に取り付ける取付け方法であって、
上記車輪転舵装置に対し、上記アクチュエータからロッドへのトルク伝達部位置を挟んで上記ロッド軸方向に離隔して車体取付け用の2つのボルト締結穴を設けると共に、上記2つのボルト締結穴の一方を長穴とし、且つ、その長穴のボルト締結穴と上記トルク伝達部位置との間に上記ロッド軸方向と交叉する方向に突出する突起部を設けておき、
上記突起部を、車体に設けられた開口部に差し込むことで、車輪転舵装置を車体に仮支持させてから、上記2つのボルト締結穴を車体にボルト締結することを特徴とする車輪転舵装置の車体への取付け方法。
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