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JP5289660B2 - 植物生育のための窒素含有肥料 - Google Patents
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Description

本発明は、単独又は他の肥料との混合物として生育基質へ添加するための植物生育のための窒素含有肥料に関する。この肥料は、硬木と軟木の両者を含む様々な木種の種からの(木の)苗木の栽培に関して、非常に効果的に使用されることができ、前記苗木は後の発育段階において、例えば森林地のような生育用地へ移植される。この肥料は(木の)種から(木の)苗木栽培に使用できるので、肥料はまた、花植物を含む植物を育てそして栽培するためにも一般に使用できることが明らかであるろう。植えた植物を成熟まで栽培するためにも使用され得る。生育基質とは、異なるタイプの土壌、ピート、腐植土、鉱物性土壌、砂等を含む全ての知られた生育基質を意味する。
例えば針葉樹の苗木は、例えば苗床の中で、温室及び/又は屋外の開放用地の中で針葉樹の種から栽培される。屋内栽培は、通常、中に1又はそれ以上の種が最初に満たされている、例えばピートのような生育基質を含む非常に多数の小さなコンテナー又はポットの使用を必要とする。1つのポットは通常、1本の(木の)苗木を栽培するために使用される。苗木が一定の大きさに到達した時、苗木が例えば森林区域の中へ植えられた後、苗木、又は若木の将来の発育地において支配的な環境に苗木をおよそ順応させるように、通常は苗木は一定時間の間屋外の場所へ移される。通常は、多数(数十個ないし数百個)のポットがカセットを形成するために一緒に連結される。
多数のカセットは、例えば相互に間隔のおかれた幾つかの棒又は支柱を構成する、例えば4つの低い壁や一般に開放底を有する矩形の強度架台又はフレームの中に置かれる。これらの強度架台又はフレームは、ポットの底を含む全てのポットのまわりを空気が循環するように、架台又はフレームの底が、例えば温室の床の上に10から15センチメートルの間隔を空けて置かれるように支持体の短い側の上に横たわる。温室の中の床面の最大可能な区域をこれらの強度架台又はフレームで覆うように努められる。これらの強度架台又はフレームは移動可能で、そして例えば台車の助けを借りて温室から周辺の屋外の区域へ移動させ得る。典型的には、温室は地面の上に直接設置されることに注意することが重要である。通常苗床は、例えば地面が自然に砂及び/又は砂利から成る場所に建てられる。そのような地面は、しばしば自然により比較的平坦であり、そして存在するいかなるごみも容易に取り除くことができ、そして必要な時地面を概して平坦で水平な温室の床に形成するためならすことができる。
各々のポットの中の種が苗木を作り、特に苗木が例えば森林地の中のような屋外で植え付けられる大きさまで成長する機会を与えられることを確実にするためには、与えられた間隔で例えばピートのようなポットの中の生育基質へ外部から肥料を加える必要がある。長い間、マクロ栄養素及びミクロ栄養素の両方を含む一定の栄養素混合物を使用することが通例であった。必要なマクロ栄養素は、窒素(N),カルシウム(Ca),リン(P),硫黄(S),カリウム(K)及びマグネシウム(Mg)である。必要なミクロ栄養素は、鉄(Fe),マンガン(Mn),銅(Cu),モリブデン(Mo),ホウ素(B),亜鉛(Zn),塩素(Cl)及びニッケル(Ni)である。カルシウムは、普通石灰の形で生育基質へ分離して加えられる。上述した他の栄養素を含む肥料を工業的方法において生産する化学品供給業者がいる。これらの肥料は、元素をそのまま互いに混合するのではなく、その中に元素が存在する幾つかの化学薬品、通常は塩を互いに混合することにより生産される。名称が意味するように、マクロ栄養素はミクロ栄養素より非常に高い割合で混合物の中に存在する。更に、各々のマクロ栄養素間又は各々のミクロ栄養素間の分量もパーセントも同様に異なる。先述した栄養素混合物又は肥料は、比較的濃縮された水溶液の形態で商業的に購入され得る。この水溶液は養樹場により購入され、そして使用前に水により水溶液の関連した適当な化学薬品濃度へ希釈される。温室は、通常問題の栄養素の混合物を各々のポットの中のそれぞれの生育基質の塊へ供給するスプリンクラーシステムが準備される。スプリンクラーシステムは、例えば横方向の列の中の強度架台又はフレームの連結された幅よりわずかに大きい長さである横断パイプを含む。パイプの1端は、一般的にはその長さが温室の長さと一致しているフレキシブルホースへ接続される。パイプの反対側の端は、閉塞され、そしてパイプに沿って規則正しい間隔でノズルが配置される。パイプ及びそれへ取付けたホースは、温室に沿って縦に延長され、そして例えば温室の屋根構造物に殻置された2本のレールの間に延びる。パイプ及びホースを含む関連する配置は、温室の1の短い側からそれの他の短い側へと機械的に運転され、そして再び戻る。ホースは、前記水溶液の形態の栄養素の混合物又は肥料を収容する容器に取付けたパイプへ接続され、配置が全ての強度架台又はフレーム、及びそれらの各々のカセットの上を一様の速度で進行する時、前記水溶液は各々のポットの中の成長基質の苗/種の個々の塊の中の全ての苗/種に均等にスプレイされるように、パイプへポンピングされ、そしてノズルを通って出て行く。生育基質の塊を介した記載した栄養素の供給は、最大で1日1回実施され、そして現在は多くの場合完全に自動化され、そして完全にコンピューター制御される。
マクロの窒素栄養素がこの状況では特に関心がある。現在既に知られた技術に従えば、硝酸塩(NO3 - )の形態の窒素及びアンモニウム塩(NH4 + )の形態の窒素が使用されてきており、そして慣用的にはこれら2つの窒素源の混合物が使用されてきた。61.5%の硝酸塩及び38.5%アンモニウム塩は、長い間例えば針葉樹の苗の最適な成長に関して紛れもない恵みであると考えられてきた。スウェーデン特許明細書323255(追加特許331610と共に)の中では、トルステン インゲスタットらはミネラルの栄養素を添加することによる若い苗木の成長を刺激する方法を提供する。その方法の特徴は、ミネラル栄養素が安定した状態で、元素比率が最適な成長における植物中の存在比率に実質上一致する塩の混合物として植物による摂取され得る形態で維持されることであった(又はである)。肥料の中の元素の存在は、予め計算されたマクロ栄養素と一致する。該特許に従うと、たとえ程度が変化しても塩混合物が他の与えられたマクロ栄養素に関して、比較的大きな比率の窒素を含有するという決定的な特徴がある。窒素がリンに比較して多量に存在するという事実が特に重要である。先に列挙された少量の栄養素の大半は、問題の特許に含まれており、そして微量物質として記載されている。該特許明細書の中で例示する具体例に従うと、アンモニウム塩及び硝酸塩の両方、即ち、それらの混合物が窒素源として使用される。しかしながら、窒素源の問題は明確に取上げられず、そして正確に61.5%の硝酸塩と38.5%のアンモニウム塩とに分配することは言及していなし。この決定は、つくつかの他の事情に関連して又はいくつかのその他の事情によって為されてこなければならない。たとえ38.6%と61.4%の分配がスウェーデン特許の明細書の9ページに記載されていても、その分配はアンモニウム塩形態の窒素と硝酸塩形態の窒素との間の分配に関するものでなく、例2の中の溶液Aと溶液Bへの前に述べたところに従った微量物質プラス錯塩形成EDTAの分配に関する。化学肥料として前記慣用的な栄養素の混合物が使用されてきた立っている針葉樹植物育成に関する苗床の中で実施された測定結果は、供給された窒素のわずか30から40%しか苗(植物)によって摂取されないのに対して、残余分は、即ち70から60%が浪費することが示された。窒素は、いくつかの方法の中で消失する。供給された窒素の少量の部分は、決してその目標物、即ち成長基質の塊又は球根へ到達しないが、温室の床の上に、即ち地面へ直接到達する。この1つの理由は、強度架台又はフレームを互いに対して同じ高さに確実に置かれるように大いに努力しても、それらの間に狭い隙目が常に生じ、そしてやはりまた、温室の中にいくつかの狭い観察用通路を提供する必要がある結果である。更には、栄養素を含有する水溶液が温室の幅全体にスプレー又はシャワーされ、又はより正確には、強度架台又はフレームの横列によって形成される幅一杯にスプレー又はシャワーされるから、水溶液(たとえ小さな部分であっても)のいくらかは直に床に載り、そして直に地面の中へ入ることは避けられない。窒素ロスの重要な部分は、例えばピートのような発育基質の塊を通じて、そしてポットの中にある円い穴又は長い筋状スリットを通じて外へ排出され、それと共に床、即ち地面の上に滴下するいくらかの水溶液に原因がある。窒素が投与される形態は、これに関連して重要である。アンモニウムイオンNH4 + は発育基質によって十分により高い程度にまで吸収され、そして高い程度の移動性を有する硝酸イオンNO3 - の場合より広範囲にその基質の中で残存し、それによってイオンの大部分は、それらと結合することなく発育基質をストレートに通り抜ける。(木々に対して窒素からの恩益を得る目的で、森林の中のアンモニウム窒素及び硝酸窒素で土地を肥やす時、同じことが起こる。)スプレイされた栄養素の溶液の中の窒素の少量の一部はアンモニアに転化され、そして大気を介して供給用地を出て行くかどうかは知られていない。屋内で苗木を栽培するために用いられるそれらに類似のシステムは、やはりまた屋外で苗木を育てるために用いられるため、地面の土壌へ洩出する問題が生じることもまた、屋外での栽培と一致する。この事情における屋外栽培の他の欠点は、アンモニウム塩の窒素は流出しないが主として硝酸塩の窒素が流出し、時には降雨が生じることによって悪化されることである。
上述された窒素のこぼれ又は洩出は、問題を構成する。1つの問題点は、経済的でない不必要な多量の化学肥料の利用が存在することである。他のそして深刻な問題点は、洩出した窒素が地面を汚染し、そして先に記載されたように、特に硝酸イオンが土壌の塊を通り抜ける大きな傾向を有し、そして最終的には地下水に到達するという最も有害であることである。
濃度に関して、アンモニウムイオンが肥料の中で硝酸イオンより好ましいことは、文献の中に提案されている。若干の専門家に従えば、この選択が硝酸イオンを完全に排除するまで進行し、このためアンモニウムイオンは植物のために単独の窒素源になる。この技術に熟練した幾人かの人達は、上述したように硝酸イオンに関する問題を意識している。
また文献の中に見る出されるものは、専門家の伝統的な視野からはずれた異なるマクロ栄養素間の量的相違に関する提案である。やはりまた文献の中に見い出されるものは、肥料の中で又は肥料としての有機窒素源を使用する単独の提案である。
アンモニウムイオンは発育基質の中で比較的動き難く、そしてその結果、アンモニウム塩の形態で利用される大部分の窒素は発育基質の中に残り、そして徐々に植物により採取されるであろうから、大体又は完全において、窒素源としてのアンモニウムイオンの使用に関する先の提案は、洩出面及びそれに加えて環境面からも正しい方向の中のステップである。
本発明の開示 技術的課題
上の記載から、植物を栽培し育てる時、適用した窒素の実質上すべてが植物による将来の吸収のために生育基質中に残るように、植物生育に必要な栄養を供給し、そして生育基質中で最大の非移動性を持つ窒素源を必要とすることが明らかである。
解決法
本発明によってこの課題が解決され、要求が満たされる。本発明は、単独又は他の肥料と混合して生育基質へ適用される植物生育用の窒素含有肥料に関し、該肥料は塩基性タンパクアミノ酸のL型またはその塩よりなることを特徴とする。
3種類の塩基性タンパクアミノ酸が知られており、それらはアルギニン、リジン及びヒスチジンである。
アルギニンは固体状態で無色で、以下の式を有する。
Figure 0005289660
固体形のこのアミノ酸を水、又は栄養素溶液においては典型的なpHレベルであるpH5〜6を持つ水溶液に溶解する時、水素イオンがカルボキシル基COOHから不斉炭素原子(C* )へ結合したNH2 基ヘシフトし、基NH3 を形成する。分子の反対端に存在するNH基は水溶液から水素イオンを取り、NH2 基を形成する。塩基性タンパクアミノ酸の名称を説明するのはこの酸および前述した他の2つのアミノ酸のこの能力である。塩基又は塩基性物質の定義は、中でも水素イオンH+ を取り、そして結合することができる物質である。
このためアルギニンは前記水溶液中で例えば以下の構造を有する。
Figure 0005289660
見られるように、この化合物はこの状態で二つの正電荷と一つの負電荷を含んでいる。
同様に例えば5〜6のpH値を有する水溶液中のリジンは以下の構造式を有する。
Figure 0005289660
例えば5〜6のpH値を有する水溶液中のヒスチジンは以下の構造式を有する。
Figure 0005289660
例えば5〜6のpH値を有する水溶液中のこれらの酸の式はそれぞれの酸の式と同じである。塩の場合、酸のカルボキシル基のプロトンは金属イオン、例えばナトリウムイオンのために帯電している。塩は水又は水溶液に溶解する時、ナトリウムイオンが遊離し、プロトン又は水素イオンが取られ、前述した態様で転位し、そして不斉炭素原子へ結合したNH2 基がNH3 基へ変換される。プロトン又は水素イオンは前述した態様で分子の他端においても取上げられる。
見られるように、これらすべての酸および塩は不斉炭素原子(C* )を含んでいる。このことはこれら物質は光学的に活性であることを意味する。溶解もしくは溶融状態にある時、そのような化合物は化合物のサンプルを通して透過した平面偏向光ビームの偏向面を回転させる能力を持っている。これら酸はその構造式が同じである異性体を形成する二つの形で見出される。しかしながら空間中で特定の基が相互に関してどのように位置しているかを見る時にはこれらの式は同じでない。酸の一つの形は偏光面を右へ回転し、それ故酸の右手形といわれる。この形は典型的にはD形と命名される。酸の他の形は偏光面を左へ回転し、それ故酸の左手形といわれる。この形は典型的にはL形と命名される。
植物のための窒素源として非常に効果的に機能するのは上に示した酸のL形およびそれらの塩である。
問題の肥料は植物へ適用され、そして前記に従ってどのような既知の生育基質を介して有益に作用する。苗床は例えばピートを生育基質としてしばしば使用する。植物の生育および成長に必要なカルシウムは石灰、例えば粉末石灰の形でピートに混入される。生育基質、例えばピートへ本発明の肥料を同じ態様、すなわち粉末形で供給することも完全に可能である。この肥料は石灰と一緒に又は別々に適用することができる。肥料を粉末形で適用する時、肥料が生育基質全体に均一に分布することを確実にすること、すなわち基質の各1立方センチメートルが好ましくは肥料の同じ量を含むようにすることが重要である。水又は補助栄養素の水溶液が生育基質へ適用される時は、肥料は溶解し、前述した形を成形するであろう。
代って、肥料は水溶液の形で生育基質へ適用されても良い。水へさらに何も加えることは不必要であり、それによって水溶液のpHは肥料自体によって溶液へ与えられるpHになるであろう。pH調節薬品(酸)を加え、水溶液のpHが肥料溶液の状況において典型的な値、即ちpH5〜6になるようにすることも完全に可能である。
本発明肥料の最適使用のため、肥料を唯一の窒素源として生育基質へ適用するのが好ましい。しかしながら、肥料がアンモニウム化合物および多分硝酸塩化合物のような他の窒素含有肥料との混合物にある時さえも慣用の技術を上廻る利益が達成される。例えば、そのような窒素含有肥料の混合物は、本発明による肥料30〜80重量%と、アンモニウム化合物20〜70重量%と、硝酸塩化合物0〜40重量%からなることができる。中でも本発明による肥料から34%、アンモニウム塩から33%、そして硝酸塩化合物から33%の窒素源を持つ肥料での後述の栽培試験が実施され、そのような窒素含有薬品の混合物は針葉樹植物に対して良好な発展と生育を与えることを示した。
以前に述べたように、完全栄養素溶液(通常マクロ栄養素カルシウムなしの)は商業的に入手可能であり、そしてそのような栄養素溶液の処方は後で例示されるであろう。今日の栄養素溶液に含まれている窒素源を、またはもっと普通のようにすべての窒素源を除き、そしてこれまたはこれらの窒素源を本発明肥料で置換することが高度に適切である。
例えばピートおよび腐植土のような生育基質は負に帯電した多数の化合物又は基を含んでいる。このことは1分子当り二つの正に帯電した基を含んでいる本発明の肥料、すなわち塩基性タンパクおよびそれらの塩が生育基質によんて速やかに吸着され、そして例えば樹木の苗を育てる時、および生育基質を収容しているポット中の孔を介して塊から離れる時、それが塊又は生育基質又は根のボールを通って流出する時に水又は水溶液に同伴しない主な理由であると考えられる。さらに、樹木苗の根は、植物の成長および生育の要求を保つため、生育基質の塊中のこれら窒素デポを絶えず探すことができるらしい。上述の仮説は1つの正電荷を層するアンモニウムイオンが何故生育基質の塊中に効果的に吸着されるかを説明する。このことは負に帯電している硝酸イオンが、生育基質の塊によってどのような程度でも吸着されず、塊を離れる時水又は水溶液に同伴し、地面へ落ち、そしてその大部分は終局的に地下水へ到達する理由を説明するように見える。
前述した塩基性タンパクアミノ酸およびそれらの塩のうち、アルギニンが植物生育のための生育基質中の窒素源として好ましい。これがそうである理由はいくつかある。一つの理由はアルギニンはリジンおよびヒスチジンよりも購入が安価であることである。他の一理由は、アルギニン1分子は4つの窒素原子を含むのに対し、ヒスチジンは3つの窒素原子およびリジンは2つの窒素原子を含有し、生育基質に与えられた量の窒素を得るために比較的非常に低い量のアルギニンを適用することを要することを意味するからである。
この後者の状況は、アルギニンを水溶液へ極めて低い量で添加し、非常に大量へ例えば1Lあたり1ミリモルないし30ミリモルの濃度を得るようにすることができることを意味する。水溶液中の高いアルギニン濃度は、植物が苗床を離れ、移植すべき場所へ移動される直前に非常に多量の窒素を例えば樹木苗木の根を囲む生育基質の塊へ仕込むことが可能にする。このことは、植物の最終生育場所において長期間に亘って植物の窒素要求を保証するような量において窒素を生育基質に仕込むことを可能にする。生存面からは、植物が屋外へ移植される時既に大きくそして強いことと、そして植物が移植した時急速に成育し続けることが有利である。
効果
本明細書に記載した栽培試験は、本発明肥料は唯一の窒素源として及び他の窒素源との混合物において、永年使用され、そして現在も使用されている窒素源に匹敵し得る発展と成長を樹木苗へ与えることを示す。
本発明肥料によって達成される主要な利益は、一旦生育基質の塊へ添加されれば実質上静止しそして固定化され続け、そして意図した態様、即ち植物の根が肥料およびその窒素分を吸収することによってのみ塊から消失することである。以前そうであったように、すなわち生育基質へ適用した窒素含有化学品の大部分が地中へ漏れ、そしてこの漏れの大部分が終局的に地下水へ到達するのと反対に、地下へ漏れる本発明による窒素含有化学品の量は非常に少なく、そしてこの非常に少ない量は多分終局的に地下水へ決して到達しないであろう。これはこの化学品は地中を通るその下降経路においてどこかの土壌層にしっかり結合するからである。これらすべては環境面から高度に有益である。
このことは、栄養素混合物もしくは肥料の過剰に大量の適用を必要とせず、植物が常にその成長の間十分な窒素へのアクセスを持つことも意味する。さらに、本発明肥料の各分子は少なくとも二つの窒素原子、詳しくはリジンの場合は二つの窒素原子、ヒスチジンの場合は三つの窒素原子、そしてアルギニンの場合は四つの窒素原子を含み、これはアンモニウムNH+ および硝酸塩NO3 - の場合のたった1窒素原子と対照的である。このことは、栄養素混合物中の関係ある化学品の比較的低い量が適用されることを意味する。このことは4個の窒素原子を有するアルギニンに特に当てはまる。
高い窒素含量を持つ本発明の好ましい肥料、すなわちアルギニンおよびその塩は、生育基質に対して高い親和性と高い毒性限界を持ち、いくつかの方法において特別の利益を持って実施され、そして植物に対して実用上独特の窒素源である。
本発明の特別の有用性の例は、植物およびその根のボール又は生育基質の塊へ植物を屋外地へ移植する直前および/またはその時に最大の窒素分を仕込むことの前述した可能性にある。
最良の実施形態
樹木苗育苗に窒素源として本発明肥料と他の化学品を使用した栽培試験を生育基質中の種々の化学品の移動度に関するデータの提示と共にこれから詳細にそして例示として記載する。
実施例1
以下に提供する栽培試験は、20℃の一定温度に保った温室内で59日間に亘って実施された。照明は1m2 あたりそして1秒あたり150ミリワットに保たれた。この目的で使用したランプはPhilips Powertone SON−T +400ワットであった。
720個のマツ種子が施肥しない(しかし弱い石灰化)Sphangnumピート0.5Lを含むポットに1ポット当り種子5個の割合で播種された。ポットは典型的に底に4個の小さい穴を含んでいるプラスチックポットであった。ピートはpH5.5を有し、その湿気はH2−H4であった。肥料は各週の月曜と火曜に施し、種子として後には苗もしくはシュートは日曜日に灌水された。栄養素混合物および水は塩酸でpH5.0に調節された。栄養素混合物および水は各ポットへ1デシリットル容量のいわゆる鳥ピペットによって人手で投与された。このように肥料および水はそれぞれ正確に100mlが各投与毎にポット中のピートへ供給された。
8種の異なる栄養素混合物がテストされ、そして各栄養素混合物に対して窒素が三つの異なる濃度で、すなわち1ミリモル/L(1mM),3ミリモル/L(3mM)および10ミリモル/L(10mM)の濃度で仕込まれた。6個のポット、従って30植物が各栄養素混合物および各濃度について用いられ、合計144ポットが用いられた。
Hydro Agri社から得た慣用のそして商業的に良く知られた栄養素混合物SUPERBATMが残りの7種の栄養素混合物に対する比較として用いられた。
この慣用の栄養素混合物は比較的濃厚な溶液として売られており、そして以下の栄養素含量を有する。
表1
植物栄養素 重量% g/L
────────── ─────────── ───────
全窒素(N) 6.5 78
硝酸塩 4.0(61.5%) 48
アンモニウム 2.5(38.5%) 30
リン(P) 1.0 12
カリウム(K) 4.7 56
マグネシウム(Mg) 0.6 7
イオウ(S) 0.5 6
ホウ素(B) 0.01 0.12
銅(Cu) 0.003 0.04
鉄(Fe) 0.07 0.84
マンガン(Mn) 0.04 0.48
モリブデン(Mo) 0.001 0.01
亜鉛(Zn) 0.01 0.12
上に掲げたミクロ栄養素のうち、銅、鉄、マンガン及び亜鉛は錯塩形成剤EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)でキレート化した。
前述した市販製品は、窒素に関し10ミリモル/Lの濃度の溶液を得るように水で約100倍に希釈された。3ミリモルおよび1ミリモルの濃度を得るためにはさらなる希釈を必要とした。
残りの7種の栄養素混合物は、前記の市販製品と完全に一致するが、しかし硝酸塩形中の窒素61.5%とアンモニウム形中の窒素38.5%の形の窒素源を排除したストック溶液を調製することによって得た。
その代りこの窒素不含ストック溶液は、本発明に従った二つ、すなわちアルギニン単独と、アンモニウム(33%)と硝酸塩(33%)との混合物中のアルギニン(34%)、および3種の他の窒素源、すなわちタンパクアミノ酸グリシン(これは塩基性アミノ酸ではないことに注意)、アンモニウムNH4 + ,および95/5の比のアンモニウムと硝酸塩NO との混合物に対応する5つの異なる窒素源が与えられた。後者の2つの窒素源に基づく各栄養素混合物が調製され、そして以下において+(プラス)の名称が与えられた。添加はストック溶液がカリウムおよびマグネシウムの慣用量の2倍仕込まれるように行なわれた。当業者は、これは硝酸塩窒素の量を犠牲にしてアンモニウム窒素の有意義の増量は栄養素見地からカリウムとマグネシウム不足を招くからであることが理解できるであろう。
本発明肥料、すなわち4つの窒素原子を含むアルギニンに関し、濃度は1窒素原子を基にして計算され、g/Lで計算した実際の添加量は比較的低くそして非常に低いことが認められるであろう。
栽培テストの終りに、各テストシリーズにおいて30のマツ植物が採取され、そしてそれらの乾燥重量がグラムで決定された。
図1はマツ植物の平均成長に関して得られた結果を示す。Iの印はサンプルの数、この場合は30の平方根で割った標準偏差(これはテスト間のひろがりを記載する良く定義された術語である)として定義される標準誤差を意味する。
マツ植物に関し最良の成育は、慣用の栄養素混合物SUPERBAと、そして本発明肥料を含んだ二つの栄養素混合物、すなわち唯一の窒素源としてアルギニン単独またはアンモニウムと硝酸塩との混合物について得られた。マツ植物の成長は窒素添加を増量するにつれて増大することが注目される。
成長に関し、3種の調製物が窒素源としてグリシンを含む栄養混合物によって追従された。この調製物の場合、3ミリモルから10ミリモルへの窒素仕込みの増量は成長に僅かの減量または少なくとも増加しない成長をもたらした。窒素源としてアンモニウムのみの使用は1リットルあたり3ミリモルの仕込みにおいて十分に良好な成長を与えたが、10ミリモル/Lへの仕込み量増加は成長に壊滅的減少をもたらした。この窒素源を含む栄養素混合物へのカリウムおよびマグネシウムの2倍添加はマツ植物の成長にいくらかの改善をもたらした。95対5の比でアンモニウムと硝酸塩を窒素源として含む栄養素混合物は3ミリモル/Lの添加におけるマツ植物の最低の成長を与えた。この窒素源を含む栄養素混合物へのカリウムおよびマグネシウム量の2倍添加もマツ植物の成長にいくらかの改善をもたらした。
実施例2
720個のトウヒ種子が前記試験と同時に平行してピートに播種された。トウヒ種子および種子から育ったトウヒ植物について実施されたテストは前に記載したテストと同じであった。
図2は、平均値の形でトウヒ植物の成長に関して得られた結果を示す。この場合にも標準偏差を示す。
慣用の栄養素混合物SUPERBAは、本発明に従った好ましい物質アルギニンを含む二つの栄養素混合物で得られた成長よりもトウヒ植物の少し良好な成長をもたらしたことを除き、実施例1において得られたのと同じ窒素源ランキングがこれらの試験において得られた。しかしながら、唯一の窒素源としてのアルギニン(図2の左から3番目)は、すべての他の窒素源で経験されたのと反対に、窒素仕込み量の増加につれてトウヒ植物のコンスタントな成長の増加をもたらしたことが注目されるであろう。
図2は、図2の右半分の4種の栄養素混合物の10ミリモル/Lの窒素仕込みを受けたトウヒ植物の平均重量のスタックを欠いている。この場合は窒素源がアンモニウム単独か、又は95対5の比のアンモニウムと硝酸塩の混合物である。これは、これらのトウヒ植物が試験の終りに死んだからである。換言すれば、これらの窒素源の毒性限界に達し、そして恐らくこれを超えていた。
実施例3
生育基質中の種々の窒素含有化学品の移動度を検討するため、以下の試験が実施された。
3種の窒素含有化学品、すなわち塩基性タンパクアミノ酸L−アルギニンすなわち本発明の肥料と、タンパクアミノ酸グリシンと、そして塩化アンモニウムとがテストされた。
栽培試験に使用したのと同じ種類のそしてその性質が上で与えられているピートの与えられた量が60℃の温度のオーブン中20時間乾燥された。これは絶乾ピートを与えた。0.25gずつのこのピートの部分量を9本の試験管へ挿入した。各試験管へ水5mlを注入した。水はミリポア社からフィルターで精製して用いた。試験管およびそれらの中味を室温で20時間静置し、ピートを湿した。
各自固体状態の前記3種の化合物を3つの等分量に秤量した。各分量は前述の態様で精製した水5mlに溶解した。物質の量又は重量は5ミリモル濃度の物質濃度を得るようにした。そのためアルギニンの場合他の二つの物質よりも4倍窒素の量が多かった。
9の化学品溶液の各自は水で濡らしたピートを収容するそれぞれの試験管へ放出された。添加した化学品の量はすべての場合ピートグラム当り0.2ミリモルであった。前記液体の供給後、各試験管を手で振とうし、室温で1時間静置した。試験管中の材料は、最も下方の3番目は実質上透明な液相を含み、試験管の残りは液体で浸したピートを含むように層に分かれた。ピペットを液相のおよそ中間まで試験管に挿入した。液体の約1.5mlをピペットにより吸引し、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によってその化学品含量について分析した。
使用した測定方法は著者T.Nasholm,G.Sandberg and A.EricssonによりJournal of Cheromatography 396(1987),pages 225−236に“Quantitative analysis of amino acids in conifer tissue by high performance chromatography and fluorescence detection of their 9−fluorenylmethylchloroformate clerivatives”と題する論文に発表されている。
上記から明らかなように、各化学品について3回の同様なテストが実施された。ピート中の化学品の吸着もしくは保持の平均値の形の得られた結果は以下の表から明らかであろう。
表2
化学品 保持 標準偏差 標準誤差
────── ────── ────── ───────
% % %
アルギニン 89.1 0.5 0.3
グリシン −1.9 1.8 1.0
アンモニウム(NH4 + ) 28.0 10.5 6.1
これらのテストにおいて、添加したアルギニンの殆ど90%が基質中に固定もしくは滞留するのに対し、添加したアンモニウムのたった28%がピート中に保持され、そして70%より少し多く水相に残っていることが見られるであろう。保持されたグリシンの量がゼロ以下、すなわち液相の量が供給量より多いことは最初不合理に見えるであろうが、これはピートは自然にいくらかの量のグリシンを含有すること、そして何が起こったかは供給したグリシンが水相に下降し、そしてさらに天然グリシンの少なくとも一部分が供給した液体によって浸出されそして最終的に水相に到達したことであるという事実によって説明することができる。供給したアルギニンの殆ど11%と、そして供給したアンモニウムの70%以上に見出される事実は、2番目の液体供給後試験管およびそれらの中味の振とうを含むテスト組立てによって一部説明することができる。さらにピート中に包まれた根システムを持った植物を含まない試験管はアンモニウムイオンの驚くほど高い移動度を説明するであろう。もし試験管中に植物が存在したならば、アルギニンの固定化度は100%に達したであろう。
これらのテストは、生育基質中の固定化度に関して、そしてこの分野の専門家によって比較的非移動性であると理解されていたアンモニウムイオンに比較して、本発明の好ましい肥料、すなわちL−アルギニン及びその塩の優位性を確信的に証明する。このことは環境面から、天然の理由および前に説明した理由のために高度に有意義である。関心ある肥料は例えば樹木苗木の生育に関してすぐれた効果を与える事実は、本発明に従った窒素含有肥料は現在の状況において実際的に独特であることを示す。
種々の窒素源を使用してピート中のマツ植物についての栽培試験において得られた結果を示す。 種々の窒素源を使用してピート中のトウヒ植物についての栽培試験において得られた結果を示す。

Claims (8)

  1. 植物の窒素強化生育基質の製造方法であって、塩基性タンパクアミノ酸のL型として窒素を生育基質へ添加することを含み、
    前記窒素は植物による吸収を改良するために前記生育基質中に固定化され、地面の土壌への窒素の漏出が回避される、植物の窒素強化生育基質の製造方法。
  2. 前記塩基性タンパクアミノ酸のL型の窒素は水溶液として添加される、請求項1に記載の植物の窒素強化生育基質の製造方法。
  3. 前記塩基性タンパクアミノ酸のL型の窒素は固体または粉末として添加される、請求項1に記載の植物の窒素強化生育基質の製造方法。
  4. 前記塩基性タンパクアミノ酸のL型の水溶液の窒素は、L−アルギニンであり、1Lあたり1mMから30mMの濃度で水溶液に含められる、請求項2に記載の植物の窒素強化生育基質の製造方法。
  5. 前記塩基性タンパクアミノ酸のL型は、L−アルギニン、L−ヒスチジン、および、L−リジンからなる群より選択される1つ以上である、請求項1に記載の植物の窒素強化生育基質の製造方法。
  6. 塩基性タンパクアミノ酸のL型として窒素を生育基質に添加した後、生育基質を乾燥させるステップをさらに含む、請求項2に記載の植物の窒素強化生育基質製造方法。
  7. 塩基性タンパクアミノ酸のL型の窒素は、生育基質に添加される窒素の唯一の形態である、請求項1に記載の植物の窒素強化生育基質製造方法。
  8. 前記L型の塩基性タンパクアミノ酸は、
    a)L型の塩基性タンパクアミノ酸30〜80重量%、
    b)アンモニウム化合物20〜70重量%、および、
    c)硝酸塩化合物0〜40重量%
    よりなる組成物の形で前記生育基質へ添加される、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の植物の窒素強化生育基質製造方法。
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