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JP5301766B2 - 反射防止膜付透明基板 - Google Patents
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本発明は反射防止機能を有する反射防止膜付透明基板に関する。
従来より、ガラス板やプラスチック板(プラスチックフィルム)等の透明基板に屈折率の異なる薄膜層を多数積層させ、反射防止機能を得る反射防止膜付透明基板が知られている(特許文献1)。このような反射防止膜付透明基板はディスプレイの表面部材として用いられることが多い。
特開昭63−131101号公報
このような、反射防止膜付透明基板の用途は近年拡大しており、例えば自動車や船舶等の計器類のディスプレイにも用いられてきている。しかしながら、自動車や船舶は劣悪な環境下で使用されることも多く、従来の反射防止膜付透明基板を用いる場合、このような環境下では反射防止膜の膜ハゲや性能劣化が生じやすく充分な耐久性が得られない。
本発明では上記従来技術の問題点に鑑み、耐久性のよい反射防止膜付透明基板を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 透明基板上に薄膜層を積層してなる反射防止膜付透明基板において、前記透明基板上に光学膜厚として10nm以上40nm以下であるAlからなる下地層と、該下地層の上に多層の誘電体層のみからなる反射防止膜とが形成されているとともに、該反射防止膜の耐候性の向上を得るために,該反射防止膜の最外層と該最外層の下に置かれる誘電体層との間に光学膜厚として20nm以上50nm以下であるAlの薄膜からなるバリア層と、が形成されていることを特徴とする。
(2) (1)の反射防止膜付透明基板において、前記反射防止膜は前記透明基板側から順に、前記透明基板の屈折率より高い屈折率である透明誘電体からなる第1誘電膜層と、前記透明基板の屈折率より低い屈折率である透明誘電体からなる第2誘電膜層と、前記透明基板の屈折率より高い屈折率である透明誘電体からなる第3誘電膜層と、最外層に前記透明基板の屈折率より低い屈折率である透明誘電体からなる第4誘電膜層と、との少なくとも4層を有し、前記バリア層は前記第3誘電膜層と第4誘電膜層との間に形成されていることを特徴とする。
(3) (2)の反射防止膜付透明基板において、前記第1及び第3誘電膜層はTiO2からなる薄膜層であり、前記第2及び第4誘電膜層はSiOからなる薄膜層であることを特徴とする。
(4) (1)〜(3)の反射防止膜付透明基板において、前記反射防止膜の上にさらにフッ素系化合物からなる防汚層が形成されていることを特徴とする。

本発明によれば、使用環境が悪くても膜ハゲや性能劣化を抑制し、耐久性のよい反射防止膜付透明基板を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態における反射防止膜付透明基板について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態における反射防止膜付透明基板の積層構成を示す概略図である。
1は透明の基板である。基板1は通常に入手できるものであればよく、屈折率は1.48以上1.7以下程度のものを使用する。具体的に、基板材料としてはガラス類(屈折率1.48〜1.70)、プラスチック類(アクリル基板(屈折率1.52)、ポリカーボネイト(屈折率1.59)、ポリエチレンテレフタレート(屈折率1.63)等)が用いられ、光学的に透明であれば特に限定されない。また、本実施形態で述べる基板とは板状に限らず、フィルム基板を含むものとしている。
2は基板1上に形成される多層膜からなる反射防止膜の成膜前に事前に形成される下地層である。この下地層2は、反射防止膜を成膜する前に基板1にコーティングすることにより、基板1と反射防止膜との間の密着力を上げるために形成される層である。この下地層2を形成するための材料にはAl23(屈折率1.6)が用いられる。このような下地層2の膜厚(光学的膜厚nd)は、5nm以上80nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上40nm以下である。膜厚が5nm未満であると密着力が弱くなり、反射防止膜が剥がれやすくなる。また、膜厚が80nmを超えると、反射防止効果が得られにくくなる。なお、基板1と下地層2との間に基板1の表面を保護するためのハードコート層を設けるようにすることもできる。このようなハードコート層は一般的にアクリル系ハードコートを用いることができる。何れの場合においても、ハードコート(アンダーコート)の膜厚は、光学的な阻害が起こらないように基板の屈折率と同程度の屈折率を有するようにしておくことが好ましい。
3は下地層2上に屈折率の異なる透明誘電体からなる誘電膜層(薄膜層)を複数積層することにより反射防止効果をもたせるための反射防止層帯(反射防止膜)である。本実施形態における反射防止層帯3は4つの誘電膜層3a〜3dにより形成されている。
3aは基板1の屈折率よりも高い屈折率をもつ透明誘電体からなる第1誘電膜層である。第1誘電膜層3aに使用される透明誘電体は、使用する基板1に応じて適宜選択されるが、基板1及び下地層2の屈折率よりも高い屈折率の必要がある。また同時に、安価に入手可能でかつ安定した成膜が確認されているものが好ましいため、それらを考慮して屈折率が1.90以上2.50以下程度の範囲のものが使用される。具体的には、第1誘電膜層3aの主成分にはZrO2(屈折率1.95)や、TiO2(屈折率2.20)、等が挙げられる。第1誘電膜層3の光学的膜厚nd(以後、単に膜厚と記す)は10nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上550nm以下である。膜厚がこれ以上薄くても厚くても、反射防止効果が得られにくい。
3bは第1誘電膜層3a上に積層され、基板1の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明誘電体からなる第2誘電膜層である。第2誘電膜層3bに使用される透明誘電体は、使用する基板1に応じて適宜選択されるが、基板1及び下地層2の屈折率よりも低い屈折率の必要がある。また同時に、安価に入手可能でかつ安定した成膜が確認されているものが好ましいため、それらを考慮して屈折率が1.35以上1.50以下程度の範囲のものが使用される。具体的には、第2誘電膜層3bの主成分にはSiO2(屈折率1.46)やMgF2(屈折率1.38)が挙げられる。また、第2誘電膜層3bの膜厚は10nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上550nm以下である。膜厚がこれ以上薄くても厚くても、反射防止効果が得られにくい。
3cは第2誘電膜層3b上に積層され、基板1の屈折率よりも高い屈折率をもつ透明誘電体からなる第3誘電膜層である。第3誘電膜層3cに使用される透明誘電体は、第1誘電膜層3aと基本的に同じ材料のものが使用可能であるが、反射防止効果を向上させるためには第1誘電膜層3aにて用いられる材料の屈折率と同じか、それより高い屈折率を有する材料を用いることが好ましい。第3誘電膜層3cの膜厚は10nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上550nm以下である。膜厚がこれ以上薄くても厚くても、反射防止効果が得られにくい。
3dは第3誘電膜層3cの上方(本実施形態では最外層)に積層され、基板1の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明誘電体からなる第4誘電膜層である。第4誘電膜層3dに使用される透明誘電体は、第2誘電膜層3bと基本的に同じ材料のものが使用可能である。また、第4誘電膜層3dの膜厚は10nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上550nm以下である。膜厚がこれ以上薄くても厚くても、反射防止効果が得られにくい。
4は反射防止層帯を形成する膜の最外層の下に形成され、反射防止層帯3の耐候性を向上させるためのバリア層である。本実施形態のバリア層4は、第3誘電膜層3cと第4誘電膜層3dとの間に形成される。このバリア層4を形成するための材料にはAl23(屈折率1.6)が用いられる。このようなバリア層4の膜厚は、10nm以上60nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以上50nm以下である。膜厚が10nm未満であると所望する効果が得られ難い。また、膜厚が60nmを超えると、反射防止膜による反射防止効果が得られにくくなる。
また、反射防止層帯3を形成する各層の最適な膜厚は以下の方法により決定される。
初めに、用途に応じて必要とされる下地層2及びバリア層4の膜厚を決定させておく。また、用途に応じて反射防止層帯3に使用する材料の屈折率を固定値とし、最適化アルゴリズムを用いながら反射防止層帯3の各層の膜厚を変化させていく。このような手法により、視野2°、標準光CにおけるL*a*b*表色系のクロマティクネス指数a*、b*を−2〜+2の範囲以内としつつ、このようなクロマティクネス指数a*、b*の範囲内において最も高い透過率若しくは最も低い反射率が得られるような誘電体層膜厚を求める。最適化アルゴリズムは例えば、Adaptive Random SearchやModified Gardient、Monte Carilo method、Simurated Annealing等、メリット関数を使用した様々な最適化手法を基に与えられる。
上記で示した各薄膜層を基板1上に形成する方法としては、物理的気層成長方法(PVD)では真空蒸着方法やスパッタ方法、イオンプレーティング方法等が挙げられる。また、化学的気層成長方法(CVD)では、めっき方法や化学的気層成長方法等が挙げられる。これらの成膜方法は、本実施の形態としてすべて使用可能であるが、成膜に際して高温を伴うような方法では熱によるプラスチック基板の変形等が考えられるため、プラスチック基板での多層膜の成膜は高熱を必要としない真空蒸着方法やスパッタ方法が好適に用いられる。
なお、前述の実施形態では反射防止層帯を4層の誘電体層から形成するものとしているが、これに限るものではなく、所望する透過率(反射率)が得られるような多層構造(例えば2層〜6層等)を形成すればよい。また、反射防止層帯の上(最表面)に撥水性を高めて防汚効果を持たせるためのフッ素系化合物からなる薄膜層を形成することもできる。このような防汚層は膜厚5nm以上20nm程度(反射防止効果を損なわない程度)にて形成させる。
以下に実施例、及び比較例を挙げる。
<実施例1>
アクリル系ハードコート(屈折率1.52)付きアクリル基板(屈折率1.52)を用意し、真空蒸着法により、各層の形成を行った。始めにAl23(屈折率1.6)からなる下地層を膜厚10nmにて基板上(ハードコート上)に形成した。次に下地層の上にTiO2(2.20)からなる第1誘電膜層を膜厚30nmにて形成し、さらに第1誘電膜層の上に、SiO2(1.46)からなる第2誘電膜層を膜厚43nmで、TiO2からなる第3誘電膜層を膜厚230nmで順次積層した。第3誘電膜層を形成後、その上にAl23からなるバリア層を膜厚40nmにて形成し、バリア層の上にSiO2からなる第4誘電膜層(最外層)を膜厚95nmで形成して、合計6層からなる反射防止膜付透明基板を作成した。このようにして得られた反射防止膜付透明基板の視感度透過率を測定した。測定装置は朝日分光社製 視感度透過率計MODEL304を用いた。得られた視感度透過率は95.9%であった。
このようにして得られた反射防止膜付透明基板の密着性及び耐候性を評価するために、以下の評価を行った。
(評価1)
評価1ではJIS B 7754の規格に準じてキセノンランプを用いた耐候性試験、及び密着性試験を行った。キセノンランプはスガ試験器(株)製の「キセノンロングライフウェザーメーター」(WEL-25AX-HC.B.EC)を用い、キセノンランプから30cmほど離れた位置に上記の反射膜付透明基板とブラックパネル(BP)を置き、BP温度63℃となるようにキセノンランプの出力を調整し、反射膜付透明基板に向けて長時間キセノン光を照射した。
照射開始から24時間毎に蒸留水にて湿らせたワイピングクロスにより、反射膜付透明基板の成膜面側を3Kg荷重で50往復させ反射防止膜の膜ハゲの有無を確認した。
変化がなければ○、軽く擦り痕が残れば△、膜ハゲが確認された場合には×とした。また、外観検査ではクラック等がなければ○、クラックが入れば×とした。
以上の結果を表1に示す。
(評価2)
評価2では、冷熱サイクル試験を行って反射膜付透明基板の耐候性を検査した。冷熱サイクル用試験機は楠本化成(株)製の「気槽式 熱衝撃試験器」(WINTECH NT-1020A)を用いて、反射膜付透明基板に対して−30℃の冷風と85℃の温風を30分間隔で交互に当て、これを1サイクルとし、5サイクル毎に反射膜付透明基板の外観を確認した。外観検査ではクラック等がなければ○、クラックが入れば×とした。
以上の結果を表2に示す。
<実施例2>
実施例2では、下地層の膜厚を20nmに変えた以外は、すべて実施例1と同じ条件にて成膜を行い反射防止膜付透明基板を得た。得られた視感度透過率は95.5%であった。
また、実施例1と同様に評価1及び評価2の試験を行った。その結果を表1、表2に示す。
<実施例3>
実施例3では、下地層の膜厚を40nmに変えた以外は、すべて実施例1と同じ条件にて成膜を行い反射防止膜付透明基板を得た。得られた視感度透過率は95.6%であった。
また、実施例1と同様に評価1及び評価2の試験を行った。その結果を表1、表2に示す。
<比較例1>
比較例1では、下地層をなくした以外は、すべて実施例1と同じ条件にて成膜を行い反射防止膜付透明基板を得た。得られた視感度透過率は95.9%であった。
また、実施例1と同様に評価1及び評価2の試験を行った。その結果を表1、表2に示す。
<比較例2>
比較例2では、下地層及びバリア層を無くし、基板上から順にTiO2からなる第1誘電膜層を膜厚33nm、SiO2からなる第2誘電膜層を膜厚45nm、TiO2からなる第3誘電膜層を膜厚236nm、SiO2からなる第4誘電膜層(最外層)を膜厚128nmで形成して、合計4層からなる反射防止膜付透明基板を作成した。得られた視感度透過率は95.8%であった。
また、実施例1と同様に評価1及び評価2の試験を行った。その結果を表1、表2に示す。
<結果>
表1に示すように、実施例1〜3の反射防止膜付透明基板においては、何れも視感度透過率が90%以上と高透過率を示すとともに、比較例1及び2と比べ、耐候性、密着性ともに良好な結果が得られた。特に実施例3ではキセノンランプを用いた耐候性試験、及び密着性試験において216Hを超えても膜ハゲが見られない結果となった。また、図2に実施例3と比較例2における反射率特性のグラフを示す。これに示すように、本発明の実施形態である実施例3の膜構成であっても、比較例2に示す一般的な反射防止膜の反射率特性と大きく異なっていない。このため、本発明によれば、反射防止性能を従来と大きく変化させることなく、耐候性、密着性を向上させることが可能である。
本実施形態における多層膜付透明基板の膜構成を示した図である。 実施例3と比較例2の反射率特性を示したものである。
符号の説明
1 基板
2 下地層
3 反射防止層帯
3a 第1誘電膜層
3b 第2誘電膜層
3c 第3誘電膜層
3d 第4誘電膜層
4 バリア層

Claims (4)

  1. 透明基板上に薄膜層を積層してなる反射防止膜付透明基板において、
    前記透明基板上に光学膜厚として10nm以上40nm以下であるAlからなる下地層と、該下地層の上に多層の誘電体層のみからなる反射防止膜とが形成されているとともに、該反射防止膜の耐候性の向上を得るために,該反射防止膜の最外層と該最外層の下に置かれる誘電体層との間に光学膜厚として20nm以上50nm以下であるAlの薄膜からなるバリア層と、が形成されていることを特徴とする反射防止膜付透明基板。
  2. 請求項1の反射防止膜付透明基板において、前記反射防止膜は前記透明基板側から順に、前記透明基板の屈折率より高い屈折率である透明誘電体からなる第1誘電膜層と、前記透明基板の屈折率より低い屈折率である透明誘電体からなる第2誘電膜層と、前記透明基板の屈折率より高い屈折率である透明誘電体からなる第3誘電膜層と、最外層に前記透明基板の屈折率より低い屈折率である透明誘電体からなる第4誘電膜層と、との少なくとも4層を有し、前記バリア層は前記第3誘電膜層と第4誘電膜層との間に形成されていることを特徴とする反射防止膜付透明基板。
  3. 請求項2の反射防止膜付透明基板において、前記第1及び第3誘電膜層はTiO2からなる薄膜層であり、前記第2及び第4誘電膜層はSiOからなる薄膜層であることを特徴とする反射防止膜付透明基板。
  4. 請求項1〜3の反射防止膜付透明基板において、前記反射防止膜の上にさらにフッ素系化合物からなる防汚層が形成されていることを特徴とする反射防止膜付透明基板。
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