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JP5307662B2 - 真空断熱材の使用方法 - Google Patents
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Description

本発明は、水素雰囲気下で断熱を図るための真空断熱材の使用方法に関する
従来より熱処理炉の外壁やタンクの外表面には、外部(大気)との断熱を図るために断熱構造が施されている。同様に、近年開発されている燃料電池では、燃料となる水素の断熱を図るために断熱構造を施した容器が使用されている。
これらの断熱構造には、真空断熱パネルや真空断熱容器を採用することが、小型(薄肉)化の点で有効である。しかし、これらの真空断熱材は、水素雰囲気下で加熱処理を行う熱処理炉や、水素を貯留するタンクおよび容器には適していない。即ち、水素は、真空断熱材の外装体から内部の断熱空間に透過する。そして、透過した水素はゲッターに吸着されるが、このゲッターが吸着能力を超えて飽和状態になると、内圧が上がって真空度(断熱性)を低下させ、断熱の目的を果たせなくなる。
これに対して、特許文献1には、内部に水素が封入されたガス充填体の外側に真空二重構造の断熱体を配設し、これらの間に通気層(空間)を設け、この通気層に内容器を配設して水素の透過を抑制した断熱構造が記載されている。
しかしながら、この特許文献1の断熱構造は、断熱体への水素の透過を抑制することは可能であるが、やはり徐々に水素が断熱体の断熱空間に透過し、真空度が低下する。そして、真空度が低下して断熱の目的が果たせなくなると、全ての断熱体を交換する必要があるため、多大な交換費用が必要になる。この問題は、表面積が大きい熱処理炉の場合に顕著に現れる。
特開2005−9553号公報
本発明は、水素雰囲気下での断熱を安価に実現可能な真空断熱材の使用方法を提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明の真空断熱材の使用方法は、所定間隔をもって位置する第1および第2板部を有し、これらにより閉じられた断熱空間を真空排気するとともに、該断熱空間内に遊離するガスを吸収するゲッターを配設した真空断熱材の使用方法であって、前記第1板部を水素雰囲気下にある断熱対象側に配置して前記第2板部の側との断熱を図り、水素が前記第1板部を透過して前記断熱空間の真空度が低下すると、非水素雰囲気下で加熱することにより、前記断熱空間内の水素を外部に透過させて真空度を再生させる構成としている。
この使用方法によれば、断熱空間に水素が透過することにより真空度が低下して目的の断熱性能が得られなくなると、非水素雰囲気下で真空断熱材を加熱することにより、水素分圧によって断熱空間内の水素を外部に放出することができる。その結果、真空断熱材の真空度を再生し、目的の断熱性能を復元できる。よって、水素雰囲気下で処理を行う熱処理炉や水素を貯留するタンクに採用しても、断熱設備に必要な経費を低減できる。また、大型の熱処理炉やタンクに真空断熱材を使用することにより、設備の断熱壁の薄肉化を図ることができる。
この真空断熱材の使用方法では、前記真空断熱材を、断熱対象からの被加熱温度より高い温度で加熱して再生することが好ましい。このようにすれば、再生に必要な時間を短縮できる。
また、前記真空断熱材の第2板部に加熱手段を配設し、該加熱手段で第2板部を加熱して再生することが好ましい。このようにすれば、真空断熱材を設備に取り付けたままの状態で再生することが可能になる。
または、前記真空断熱材を、加熱炉内で加熱して再生することが好ましい。このようにすれば、複数の真空断熱材を纏めて再生することができるうえ、個別に加熱手段を設ける必要がないため、コスト高になることを防止できる。
または、前記真空断熱材を、非水素雰囲気とした断熱対象により加熱して再生することが好ましい。このようにすれば、個別に加熱手段を設ける必要がないため、コスト高になることを防止できるうえ、取り外しや取り付けの作業が不要であるため、作業性を向上できる。
本発明の真空断熱材の使用方法では、断熱空間に水素が透過することにより真空度が低下すると、非水素雰囲気下で真空断熱材を加熱することにより、断熱空間内の水素を外部に放出することができる。その結果、真空断熱材の真空度を再生して、目的の断熱性能を復元できる。よって、断熱するための設備費用を低減できる。
本発明に係る実施形態の真空断熱材である断熱パネルを熱処理炉に配設した状態を示す断面図である。 断熱パネルを示す断面図である。 断熱パネルの外装体を示す分解斜視図である。 真空排気前の断熱パネルを示す斜視図である。 真空排気後の断熱パネルを示す斜視図である。 図1の要部拡大断面図である。 金属材料と水素の透過率を示すグラフである。 真空断熱材の変形例である断熱容器を示す断面図である。 真空断熱材の他の変形例である断熱容器を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の真空断熱材を使用した熱処理炉1を示す。この熱処理炉1は、水素雰囲気下でバーナー等によって約1000℃に加熱することにより、所定の非処理物を熱処理するもので、その外壁2は断熱材により構成されている。この断熱材はセラミックボードからなり、その壁厚は、目的の断熱温度で決定される。本実施形態では、約40℃まで断熱する構成としており、この断熱性能を断熱材だけで得るには、約50cmの壁厚が必要である。そこで、本実施形態では、約350℃まで断熱可能な壁厚で構成し、残りを310℃を真空断熱材により断熱する構成としている。これにより、断熱材の壁厚を、半分以下の約20cmに薄肉化できるように構成している。
図2乃至図6は、本実施形態に係る真空断熱材である断熱パネル10を示す。この断熱パネル10は、図2に示すように、外装体を構成する第1外装部材11および第2外装部材18と、これらにより形成される断熱空間30,31に配設するコア材33とを備えている。この断熱パネル10の外周部には、第1膨出部12の膨出方向に沿って屈曲させた屈曲部32が設けられている。また、断熱パネル10は、コア材33を配設した内部の断熱空間30,31を、真空排気した真空断熱パネルとして構成されている。さらに、第2外装部材18の外面には、加熱手段であるマイカヒータ35が配設されている。
第1外装部材11は、肉厚0.2〜1.0mmの薄い金属板により形成された平面視正方形状のものである。この第1外装部材11は、図3に示すように、中央に4隅を面取りした正方形状をなすように第1膨出部12が設けられている。この第1膨出部12は、第1断熱空間30を形成するためのもので、面に対して直交方向に突出するように屈曲された外周面である第1立上板部13と、該第1立上板部13の外縁を閉塞する第1閉塞板部14とを備えている。
また、真空排気前の第1外装部材11は、第1膨出部12の開口縁から膨出方向に対して直交方向に突出する第1フランジ部15を備えている。この第1フランジ部15は、外周縁の側に位置する第1接合部16と、第1膨出部12の側に位置する第1非接合部17とを有する。これらは平面状をなすように連続しており、図3では仮想線によって区画して示しているが、実際には何ら区画されていない。
第2外装部材18は、第1外装部材11と同様に、肉厚0.2〜1.0mmの薄い金属板により形成された平面視正方形状のものである。この第1外装部材11は、中央に正方形状をなすように、第1膨出部12に対して逆向きに膨出する第2膨出部19が設けられている。この第2膨出部19は、第1膨出部12とともに第1断熱空間30を形成するためのもので、面に対して直交方向に突出するように屈曲された第2立上板部20と、該第2立上板部20の外縁を閉塞する第2閉塞板部21とを備えている。そして、この第2閉塞部の中央には、内部の第1断熱空間30に連通する円形状の排気孔22が設けられ、この排気孔22にチップ管23が接合されている。
また、真空排気前の第2外装部材18は、第2膨出部19の開口縁から膨出方向に対して直交方向に突出する第2フランジ部24を備えている。この第2フランジ部24は、第1外装部材11の第1フランジ部15に重畳させて接合するためのもので、第1接合部16に対応する第2接合部25と、第1非接合部17に対応する第2非接合部26とを有する。第2非接合部26は、第1断熱空間30と連続する第2断熱空間31を形成するためのもので、第2接合部25から段状をなすように第2膨出部19の膨出方向に膨出されている。この第2非接合部26は、第2膨出部19より膨出する寸法が小さく、本実施形態では、内部の第2断熱空間31が約1.4〜7.0mmの厚さで形成されるように構成している。また、第2非接合部26は、打抜部28の内縁に対して所定間隔をもって位置するように、膨出させていない凹陥部27を備えている。この凹陥部27内の平面部は第2接合部25を構成する。また、凹陥部27は、第1外装部材11の第1立上板部13の面取部13aに一致する。
本実施形態では、第1膨出部12は、対向する第1立上板部13,13間の幅、即ち第1膨出部12の膨出方向と直交する方向の幅が、第2膨出部19の第2立上板部20,20間の幅より広くなるように形成されている。即ち、第1膨出部12は、各フランジ部15,24の突出方向に沿って、第2膨出部19より幅広になるように形成されている。また、各外装部材11,18のフランジ部15,24の接合部16,25には、4隅に正方形状に打ち抜いた打抜部28が設けられている。この打抜部28は、内縁に沿ってフランジ部15,24を屈曲させて屈曲部32を形成するためのものである。さらに、各フランジ部15,24の接合部16,25には、他の断熱パネル10を横方向に連結するための連結孔29が、所定間隔をもって複数設けられている。
これら第1および第2外装部材11,18からなる外装体は、各フランジ部15,24を接合することにより、図4に示すように、所定間隔をもって位置する第1膨出部12の第1閉塞板部14と第2膨出部19の第2閉塞板部21とで、1つの第1断熱空間30が形成される。また、フランジ部15,24には非接合部17,26、特に、膨出して形成された第2非接合部26により、第1断熱空間30に連通する第2断熱空間31が形成される。そして、この接合状態で、各フランジ部15,24には、第2膨出部19に沿って屈曲させることにより屈曲部32が設けられる。この屈曲部32は、図5に示すように、打抜部28により隣接する屈曲部32に対して直交状態となる。本実施形態の屈曲部32は、第1外装部材11の第1膨出部12と第1フランジ部15の境界(屈曲)部分で折り曲げることにより、第2フランジ部24の第2非接合部26をU字形状をなすように屈曲させるとともに、第1膨出部12の第1立上板部13と第1フランジ部15が平面状をなすように延びる構成としている。また、屈曲部32は、屈曲後の上端位置が第2膨出部19の第2閉塞板部21より上方に突出しないように、フランジ部15,24を寸法設定している。なお、この屈曲部32は、排気孔22から内部の空気を排気した後、および、排気孔22から内部の空気を排気する前のいずれでも形成することができるが、屈曲加工に伴うリークの発生、および、その検査を考慮すると、排気前に行うことが好ましい。
ここで、外装部材11,18を構成するための金属は、図7に示すように、材質毎に水素の透過率が異なる。そして、この透過率は温度に依存しており、温度が高くなると透過も促進される。そこで、本実施形態では、第1外装部材11を、鉄−クロム−ニッケルの合金であるSUS304からなるステンレスにより構成し、第2外装部材18を、鉄−クロムの合金であるSUS430からなるステンレスにより構成している。これにより、これらのステンレスは、成分の違いにより透過率が異なり、SUS430からなる第2外装部材18が、SUS304からなる第1外装部材11より、同一加熱温度状態での水素の透過率が高くなるように構成している。
コア材33は、第1および第2外装部材11,18より熱伝導度が低く、弾性変形が可能なもので、第1断熱空間30と第2断熱空間31に配設される。本実施形態では、密度が約100〜160kg/mで、約220±30kg/mまで圧縮可能なセラミックウールを使用している。但し、コア材33は、弾性変形可能なセラミックウールに限られず、第1断熱空間30にはセラミックボードやセラミックボールなどの弾性的な変形が不可能なコア材33を配設し、変形(屈曲)される第2断熱空間31には弾性的な変形が可能なコア材33を配設する構成としてもよい。また、これらセラミック系のコア材33は、その耐熱温度が1200℃であるため、高温加熱に最適であるが、被加熱温度が500℃未満である場合には、グラスウールを適用してもよい。
この断熱パネル10の内部には、遊離するガスを吸収するゲッター34が配設されている。このゲッター34は、約450℃に加熱することにより活性化して、断熱空間30,31内を遊離する水素(H)、一酸化炭素(CO)および水(HO)などのガスを吸収する周知のものである。このゲッター34は、第2外装部材18において、外面側に位置する第2閉塞板部21の所定位置に接触するように配設されている。
マイカヒータ35は、ゲッター34を配設した第2外装部材18の第2閉塞板部21の外面に配設され、この第2外装部材18を加熱することにより、該第2外装部材18は勿論、伝熱により第1外装部材11も加熱するものである。また、マイカヒータ35は、第2閉塞板部21を挟んでゲッター34と内外に対応する位置に配設されている。なお、マイカヒータ35は、マイカ板にニクロム線を巻回した周知のもので、1300Wの出力により第2閉塞板部21を約800℃に加熱できるものである。
この断熱パネル10を製造するには、第1外装部材11、第2外装部材18、コア材33およびゲッター34を配設する仮組ステップを実行した後、各外装部材11,18の外周部を接合する接合ステップを実行し、ついで、フランジ部15,24に屈曲部32を形成する屈曲ステップを経て、内部の空気を排気する真空排気ステップを実行して製造される。
仮組ステップでは、第1外装部材11の第1膨出部12内にコア材33を充填するとともに、第2外装部材18の第2膨出部19内および第2非接合部26内にコア材33を充填し、その状態で互いのフランジ部15,24が重畳するように配置して、各膨出部12,19を閉塞する。
接合ステップでは、重畳したフランジ部15,24の各非接合部17,26を除き、外周縁の側に位置する接合部16,25をシーム溶接によって全周にわたって接合する。これにより、図4に示すように、真空排気前の断熱パネル10が形成される。
屈曲ステップでは、図5に示すように、第1外装部材11の第1膨出部12と第1フランジ部15の屈曲部分を中心として、第1および第2外装部材11,18の各フランジ部15,24をそれぞれ第2膨出部19の膨出方向に沿って屈曲させる。これにより、第2断熱空間31を形成する第2非接合部26は、塑性変形により若干容積が小さくなる部分が生じるが、第2断熱空間31と第1断熱空間30の連通状態は維持される。
真空排気ステップでは、仮組した断熱パネル10を加熱炉内に配置し、約450℃に加熱してゲッター34を活性化しながら、第2外装部材18に接合したチップ管23を通して、真空にすべき内部の断熱空間30,31を排気する。これにより、内部を減圧しつつ、外装部材11,18から放出されたガスを排出する。この際、断熱空間30,31内にはコア材33が配設されているが、コア材33は繊維状をなすため、その隙間からガスを十分に排気することができる。そして、断熱空間30,31内が所定の真空度に達するとチップ管23を封止する。なお、活性化したゲッター34は、第1および第2外装部材11,18から放出され、遊離した水素などのガスを吸収し、所定の真空度を維持する役割をなす。
最後に、このように製造した断熱パネル10に対して、第2外装部材18の第2閉塞板部21にマイカヒータ35を所定の固定具(図示せず)により固定する。この際、マイカヒータ35は、前述のように、第2閉塞板部21を挟んでゲッター34の外面側に位置させる。
このように製造した断熱パネル10は、第2膨出部19に沿って屈曲させた屈曲部32を設けているため、この屈曲部32の周辺での剛性を高めることができる。その結果、断熱パネル10を断熱を目的とする外壁2に配設し、第1外装部材11または第2外装部材18が高温に曝されて延びが作用しても、その延びによる変形を屈曲部32で抑えることができる。よって、全体が変形することに伴う断熱性能の低下を防止できる。
また、本実施形態の断熱パネル10は、第1外装部材11と第2外装部材18の両方に膨出部12,19を設け、第1外装部材11の第1膨出部12は横幅を広く形成するとともに、その境界部分で屈曲部32を屈曲させる構成としている。そのため、図示のように、断熱パネル10の外側面は平面状をなす。その結果、図6に示すように、複数の断熱パネル10を敷設した際に、隣接する断熱パネル10を密着させることができる。また、断熱パネル10,10間には、コア材33が配設されていない領域が殆どなく、隣接する断熱パネル10,10の第2外装部材11,18の肉厚分だけとなる。よって、十分な断熱効果を得ることができる。しかも、本実施形態では、フランジ部15,24に連結孔29を設け、隣接配置した断熱パネル10,10をボルトとナットで連結できるようにしているため、外壁2に敷設する際の取付作業性を向上できるとともに、敷設後の取付状態の安定性を向上できる。
このように製造された断熱パネル10は、図示のように、断熱対象である熱処理炉1の断熱材からなる外壁2に、第1外装部材11の第1閉塞板部14が面接触するように敷設される。そして、この熱処理炉1は、内部に水素を充満させた水素雰囲気(約35%)下で、バーナーによって加熱することにより非処理物を熱処理する。
この熱処理中には、内部の約1000℃の熱が外壁2によって350℃まで断熱され、この350℃の熱が断熱パネル10の第1外装部材11の第1閉塞板部14に加わる。そして、この断熱パネル10では、真空排気した内部空間によって第2外装部材18の第2閉塞板部21の側が約40℃になるように断熱する。また、この熱処理中には、内部の水素が断熱材からなる外壁2を透過して断熱パネル10に至る。そのうち、一部の水素は、350℃に加熱されている断熱パネル10の第1閉塞板部14から断熱空間30,31に透過し、残りの水素は、隣接する断熱パネル10,10間の僅かな隙間から第2閉塞板部21の側に漏出する。そして、断熱空間30,31に透過した水素は、ゲッター34に吸着される。しかし、ゲッター34が飽和状態になると、断熱パネル10の断熱空間30,31の真空度が低下する。また、外部に漏出した水素は、熱処理炉1の既存の燃焼手段により燃焼される。
断熱パネル10内に水素が透過することにより真空度が低下すると、外部である第2閉塞板部21の側の温度が上昇する。この温度が例えば200℃を越えると、断熱パネル10の断熱パネル10の断熱性能が低下したと判断し、メンテナンス(再生)作業を行う。
このメンテナンス作業では、まず、熱処理炉1内の水素を排気する。そして、この非水素雰囲気下で、熱処理炉1内をバーナーで加熱するとともに、マイカヒータ35により第2外装部材18を加熱する。これにより、各断熱パネル10は、断熱対象である熱処理炉1の通常使用時の被加熱温度より高い温度で加熱される。
この状態では、断熱パネル10内の水素濃度が、断熱パネル10外の水素濃度より高い。そして、この状態で断熱パネル10を加熱すると、外装部材11,18が350℃以上に加熱され、水素が透過し易い状態となる。また、第2閉塞板部21を介してマイカヒータ35によりゲッター34が加熱され、吸着した水素を放出する。そして、水素分圧によって断熱空間30,31内の水素は外部に放出される。その結果、断熱パネル10の断熱空間30,31の真空度が再生され、目的の断熱性能が復元される。
このように、本発明の使用方法では、水素雰囲気下で処理を行う熱処理炉1に真空排気した断熱パネル10を採用し、使用により断熱性能が低下しても大規模な交換をすることなく、真空度を復元できる。よって、断熱設備に必要な経費を低減できる。また、この断熱パネル10を採用した熱処理炉1は、断熱パネル10が具備する断熱性能により外壁2を薄肉化できる。
しかも、本実施形態では、再生加熱時には、通常使用時の被加熱温度より高い温度で加熱するため、再生に必要な時間を短縮できる。また、加熱手段であるマイカヒータ35を第2閉塞板部21に配設し、このマイカヒータ35と熱処理炉1により加熱するため、断熱パネル10の取り外しや取り付けの作業することなく、設備に取り付けたままの状態で自己再生することができる。よって、再生作業性を向上できる。さらに、本実施形態では、第2外装部材18の水素の透過率が第1外装部材11の水素の透過率より高くなるように構成しているため、水素は主に断熱材がない第2外装部材18から外部に放出される。よって、非水素雰囲気側に断熱空間30,31内の水素を放出する割合が増え、断熱性能が低下するまでの時間を長くすることができる。
なお、本発明の真空断熱材の使用方法および真空断熱材は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、各断熱パネル10に個別に配設した加熱手段であるマイカヒータ35と、断熱対象である熱処理炉1の両方で断熱パネル10を再生加熱する構成としたが、いずれか一方のみとしてもよい。なお、マイカヒータ35だけで再生加熱する構成としても前記と同様の作用および効果を得ることができる。一方、熱処理炉1だけで再生加熱する構成とした場合には、再生に必要な加熱時間は、熱処理を行った同等の時間が必要になるが、個別の加熱手段を設ける必要がないため、その分コストダウンを図ることができる。
また、断熱パネル10に配設する加熱手段はマイカヒータ35に限定されず、第2閉塞板部21に誘導加熱コイルを配設するとともに、ゲッター34の周辺に誘導加熱コイルへの高周波電流の通電時に生じる渦電流によって電磁誘導加熱される強磁性材料をコーティングや接合する構成としてもよい。
さらに、断熱パネル10は、断熱対象の外壁2から取り外し、加熱炉内で加熱して再生する構成としてもよい。このようにすれば、複数の真空断熱材を纏めて希望温度に加熱して再生加熱できるうえ、個別に加熱手段を設ける必要がないため、コストダウンを図ることができる。
また、前記実施形態では、第1外装部材11と第2外装部材18を金属材料により構成したが、無機材料により構成してもよい。
さらに、前記実施形態では、熱処理炉1の外壁2に断熱パネル10を敷設するために、屈曲部32を直交方向に屈曲させる構成したが、水素タンクのように平面視略円形状をなす外周壁に配設する場合には、連結状態で外周壁に沿って環状をなすように、屈曲部32を所定角度で傾斜させて形成することが好ましい。
そして、前記実施形態では、本発明の真空断熱材を断熱パネル10を用いて説明したが、有底筒状をなす真空二重容器であっても、同様の適用可能である。
具体的には、図8の変形例は、ガス充填体40の断熱構造に適用する断熱体41を示す。ガス充填体40は、燃料電池の改質器の一部であり、内部に約700℃の高温の水素が充填される。断熱体41は、ステンレス鋼等の金属からなる内側部材42と外側部材43とを備え、その間に真空引きしてなる断熱空間44が形成されている。この断熱空間44には、前記と同様のゲッター45が外側部材43の内面に位置するように配設されている。そして、このゲッター45と内外に対応するように、外側部材43にはマイカヒータ46が配設されている。これらガス充填体40と断熱体41との間には、多孔性材料であるセラミックボードからなる内層47aと石英ガラス板からなる外層47bとで構成された内容器47が配設されている。
このガス充填体40内に充填された水素は、ガス充填体40を透過して破線矢印で示すように内容器47の内層47aに入り、ここで拡散して濃度と温度が低下して上方に流動し、外部に排出されるので、断熱体41の断熱空間44にはほとんど透過しない。しかし、使用に従って徐々に水素の透過が進むと、やはり断熱空間44の真空度が低下して目的の断熱性能を得ることができない。そのため、このような状況になると、ガス充填体40から取り外して非水素雰囲気下でマイカヒータ46を動作させることにより、前記と同様にして断熱空間44の真空度を再生し、目的の断熱性能を復元できる。よって、断熱体41を交換することなく、断熱体41を使用し続けることができる。
また、図9の変形例は、ガス充填体40および内容器47を用いることなく、直接内部に高温水素を収容するようにした真空二重容器50を示す。この真空二重容器50は、内容器51と外容器52とを備え、これらの間に断熱空間53が形成されている。断熱空間53には、外容器52の内面に位置するようにゲッター54が配設されている。また、外容器52には、ゲッター54と内外に対応するようにマイカヒータ55が配設されている。そして、内容器51と外容器52の各口部51a,52aは互いに接合され、その内部に別体の蓋56が着脱可能に取り付けられている。この蓋56は、蓋固定部材57によって密閉状態が維持される。蓋固定部材57は、蓋56より大きいステンレス製の平板からなり、外容器52の肩部に設けた非締付部58に対してボルトを締め付けることにより、蓋56を離脱不可能に固定できるようにしている。
このように構成した真空二重容器50は、内部に水素を収容すると、水素が内容器51を透過して断熱空間53に侵入する。そして、経時的に断熱空間53の真空度を低下させる。そのため、所定の断熱性能が得られなくなると、内部の水素を排出して非水素雰囲気とした状態で、マイカヒータ55を動作させることにより、前記と同様に、断熱空間53の真空度を再生し、目的の断熱性能を復元できる。
なお、これら真空二重容器からなる真空断熱材も勿論、マイカヒータからなる加熱手段の代わりに、加熱炉内で加熱することにより、再生させてもよい。
1…熱処理炉(断熱対象)
2…外壁(断熱対象)
10…断熱パネル(真空断熱材)
11…第1外装部材
14…第1閉塞板部(第1板部)
18…第2外装部材
21…第2閉塞板部(第2板部)
30…第1断熱空間
31…第2断熱空間
33…コア材
34…ゲッター
35…マイカヒータ(加熱手段)
40…ガス充填体(断熱対象)
41…断熱体(真空断熱材)
42…内側部材(第1板部)
43…外側部材(第2板部)
44…断熱空間
45…ゲッター
46…マイカヒータ(加熱手段)
50…真空二重容器(真空断熱材)
51…内容器(第1板部)
52…外容器(第2板部)
53…断熱空間
54…ゲッター
55…マイカヒータ(加熱手段)

Claims (5)

  1. 所定間隔をもって位置する第1および第2板部を有し、これらにより閉じられた断熱空間を真空排気するとともに、該断熱空間内に遊離するガスを吸収するゲッターを配設した真空断熱材の使用方法であって、
    前記第1板部を水素雰囲気下にある断熱対象側に配置して前記第2板部の側との断熱を図り、水素が前記第1板部を透過して前記断熱空間の真空度が低下すると、非水素雰囲気下で加熱することにより、前記断熱空間内の水素を外部に透過させて真空度を再生させることを特徴とする真空断熱材の使用方法。
  2. 前記真空断熱材を、断熱対象からの被加熱温度より高い温度で加熱して再生することを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材の使用方法。
  3. 前記真空断熱材の第2板部に加熱手段を配設し、該加熱手段で第2板部を加熱して再生することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空断熱材の使用方法。
  4. 前記真空断熱材を、加熱炉内で加熱して再生することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空断熱材の使用方法。
  5. 前記真空断熱材を、非水素雰囲気とした断熱対象により加熱して再生することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空断熱材の使用方法。
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