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JP5320974B2 - 導電性組成物、導電性被膜付き基材およびその製造方法 - Google Patents
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JP5320974B2 - 導電性組成物、導電性被膜付き基材およびその製造方法 - Google Patents

導電性組成物、導電性被膜付き基材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性組成物、導電性被膜付き基材およびその製造方法に関する。
従来、ポリエステルフィルムなどの合成樹脂基材上に、銀粒子などの導電性粒子にアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂などからなるバインダ、有機溶剤、硬化剤、触媒などを添加し混合して得られる銀ペーストなどの導電性組成物を、スクリーン印刷などの印刷法によって、所定の回路パターンとなるように印刷し、これらを加熱して導体回路をなす導電性被膜を形成し、回路基板を製造する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、「粒子状の酸化銀と、三級脂肪酸銀塩とを含有することを特徴とする銀化合物ペースト。」が記載されている。
また、特許文献2には、本出願人により「酸化銀(A)と、沸点が200℃以下の2級脂肪酸を用いて得られる2級脂肪酸銀塩(C)と、を含有する導電性組成物。」が提案されている。
また、特許文献3には、本出願人により「酸化銀と、炭素原子数7以下の第二級脂肪酸銀塩と、炭素原子数8以上の直鎖状もしくは分枝状の脂肪酸および/または炭素原子数8以上の直鎖状もしくは分枝状の脂肪酸銀塩と、溶媒とを含有する導電性組成物。」が提案されている。
特開2003−203522号公報 特許第3990712号公報 特許第4050301号公報
しかしながら、特許文献1に記載の銀化合物ペーストは、低温焼成タイプではあるものの、導電性被膜の形成には180℃以上の温度で30分以上の加熱処理が必要である。
そのため、耐熱性の低い基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルム等)に導電性被膜を形成することは困難であった。また、長時間の加熱処理を要するため、導電性被膜の生産性が低いという問題があった。
一方、特許文献2および特許文献3に記載の導電性組成物は、導電性被膜の形成時間が短く、耐熱性の低い基材にも良好に導電性被膜を形成することができるが、本発明者は、この導電性組成物について更なる改良を試みた結果、比抵抗の小さい導電性被膜をより低温かつ短時間で形成できる余地があることを明らかとした。
そこで、本発明は、低温かつ短時間で比抵抗の小さい導電性被膜を形成することができ、耐熱性の低い基材にも良好に導電性被膜を形成することができる導電性組成物および該導電性組成物を用いた導電性被膜が付いた基材およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、酸化銀と、アミノ基を1個以上有する脂肪酸銀塩とを含有する導電性組成物が、低温かつ短時間で比抵抗の小さい導電性被膜を形成することができ、耐熱性の低い基材にも良好に導電性被膜を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記(i)〜(vi)を提供する。
(i)酸化銀(A)と、アミノ基を1個以上有する脂肪酸銀塩(B)と、を含有し、前記脂肪酸銀塩(B)が、アミノ基を1個以上有する脂肪酸B’と酸化銀とを反応させて得られるものであり、前記脂肪酸B’が、後述する式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物である、導電性組成物。
(ii)前記脂肪酸銀塩(B)の含有量が、前記酸化銀(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部である、上記(i)に記載の導電性組成物。
(iii)水酸基を1個以上有しアミノ基を有さない脂肪酸銀塩(C)、および/または、沸点が200℃以下でアミノ基を有さない2級脂肪酸を用いて得られる2級脂肪酸銀塩(D)、を含有し、前記脂肪酸銀塩(C)が、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸銀塩、およびヒドロキシピバリン酸銀塩からなる群から選択される少なくとも一種である、上記(i)または(ii)に記載の導電性組成物
(iv)前記2級脂肪酸銀塩(D)が、2−メチルプロパン酸銀塩である、上記(iii)に記載の導電性組成物。
v)上記(i)〜(iv)のいずれかに記載の導電性組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、得られた塗膜を熱処理して導電性被膜を得る熱処理工程と、を具備する導電性被膜付き基材の製造方法。
vi)前記熱処理が、100〜250℃の温度に加熱する処理である、上記(v)に記載の導電性被膜付き基材の製造方法
以下に示すように、本発明によれば、低温かつ短時間で比抵抗の小さい導電性被膜を形成することができ、耐熱性の低い基材にも良好に導電性被膜を形成することができる導電性組成物および該導電性組成物が付いた基材およびその製造方法を提供することができる。
本発明の導電性組成物を用いれば、耐熱性の低い基材上にも電子回路、アンテナ等の回路を容易かつ短時間で作製することができるため非常に有用である。
本発明の導電性組成物は、酸化銀(A)と、アミノ基を1個以上有する脂肪酸銀塩(B)と、を含有する導電性組成物である。
以下に、酸化銀(A)および脂肪酸銀塩(B)について詳述する。
<酸化銀(A)>
本発明の導電性組成物で用いる酸化銀(A)は、酸化銀(I)、即ち、Ag2Oである。
本発明においては、酸化銀(A)の形状は特に限定されないが、粒子径が10μm以下の粒子状であるのが好ましく、1μm以下であるのがより好ましい。粒子径がこの範囲であると、より低温で自己還元反応が生ずるので、結果的により低温で導電性被膜を形成できる。
<脂肪酸銀塩(B)>
本発明の導電性組成物で用いる脂肪酸銀塩(B)は、アミノ基を1個以上、好ましくは2個以上有する脂肪酸銀塩であり、具体的には、以下に示すアミノ基を1個以上有する脂肪酸(以下、「脂肪酸B’」ともいう。)と酸化銀とを反応させて得られるものである。
上記反応に用いられる脂肪酸B’は、アミノ基を1個以上、好ましくは2個以上有する脂肪酸であれば特に限定されず、例えば、下記式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
式(1)中、nは0〜2の整数を表し、R1は水素原子、水酸基または水酸基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。nが0または1である場合、複数のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nが2である場合、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(2)中、R1は水素原子、水酸基または水酸基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、R1は水素原子、水酸基または水酸基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)〜(3)中、R1の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。R1としては、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、1−ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、または2−ヒドロキシエチル基であるのが好ましい。
また、上記式(1)中、R2の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R2としては、水酸基、メチレン基、エチレン基、1−ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、または2−ヒドロキシエチル基であるのが好ましい。上記式(1)中、nの0〜2の整数としては、1または2であるのが好ましい。
また、上記式(3)中、R3の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R3としては、水酸基、メチレン基、エチレン基、1−ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、または2−ヒドロキシエチル基であるのが好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(1a)で表される2,2−ビス(アミノメチル)−n−酪酸、下記式(1b)で表される2,2−ビス(アミノメチル)プロピオン酸、下記式(1c)で表されるアミノピバリン酸、下記式(1d)で表されるβ−アミノイソ酪酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(2)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(2a)で表される2−アミノ−2−メチル−n−酪酸、下記式(2b)で表される2−アミノイソ酪酸、下記式(2c)で表されるグリシン、下記式(2d)で表されるDL−2−アミノ酪酸、下記式(2e)で表されるDL−トレオニン、下記式(2f)で表されるDL−セリン、下記式(2f)で表されるDL−ノルバリン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(3)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(3a)で表されるDL−3−アミノ酪酸、下記式(3b)で表されるβ−アミノ吉草酸、下記式(3c)で表される6−アミノヘキサン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。
脂肪酸銀塩(B)はα−アミノ酸銀塩であることが好ましい。また、水酸基を有するものであることが好ましい。
従って、上記のうち、2−アミノイソ酪酸、DL−トレオニン、DL−セリン、DL−ノルバリンおよび6−アミノヘキサンからなる群から選択される少なくとも一種であるのが、得られる脂肪酸銀塩(B)である2−アミノイソ酪酸銀塩、DL−トレオニン銀塩、DL−セリン銀塩、DL−ノルバリン銀塩および6−アミノヘキサン銀塩からなる群から選択される少なくとも一種を含有する本発明の導電性組成物を用いて形成される導電性被膜の形成がより低温かつ短時間で可能となる理由から好ましい。
一方、上記反応に用いられる酸化銀は、本発明の導電性組成物で用いる酸化銀(A)と同様、酸化銀(I)、即ち、Ag2Oである。
本発明の導電性組成物で用いる脂肪酸銀塩(B)は、上述したアミノ基を1個以上有する脂肪酸B’と酸化銀とを反応させて得られ、以下に示す反応式中の下記式(I)〜(III)で表される化合物であるのが好ましい。
この反応は、例えば、上記式(1)〜(3)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されないが、上記酸化銀を粉砕しつつ進行させる方法や、上記酸化銀を粉砕した後に上記脂肪酸B’を反応させる方法が好ましい。前者の方法としては、具体的には、上記酸化銀と、溶剤により上記脂肪酸B’を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である上記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
式(I)、式(II)および式(III)中の各記号は、式(1)、式(2)および式(3)中のものと同義である。
上記脂肪酸B’を溶液化する溶媒としては、具体的には、例えば、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
中でも、イソホロンおよび/またはα−テルピネオールを溶媒として用いるのが、上記反応により得られる脂肪酸銀塩(B)を含有する本発明の導電性組成物のチクソ性が良好となる。
本発明の導電性組成物は、上述した酸化銀(A)および脂肪酸銀塩(B)を含有する組成物であるが、脂肪酸銀塩(B)の含有量が、酸化銀(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜50質量部であることがより好ましい。得られる導電性組成物を用いて形成した導電性被膜の比抵抗がより低くなるためである。
本発明においては、このような脂肪酸銀塩(B)を用いるため、低温かつ短時間で比抵抗の小さい導電性被膜を形成することができ、耐熱性の低い基材にも良好に導電性被膜を形成することができる。
具体的には、150℃程度の温度で30分程度で、比抵抗が10×10-6Ω・cm以下の導電性被膜を形成することができる。ここで、本明細書においては、比抵抗は、150℃で30分間乾燥させた導電性被膜について、低抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により比抵抗(体積固有抵抗値)を測定した値である。
これは、脂肪酸銀塩(B)が有する分子内のアミノ基の存在により、熱処理による銀への分解(還元)が非常に促進されるためであると考えられる。また、熱重量測定(TGA)の結果からも、3級脂肪酸銀塩よりも還元されやすいことが明らかとなっている。
また、後述するように、本発明の導電性組成物は造膜性樹脂を含まなくても被膜を形成できるという効果も奏する。
<脂肪酸銀塩(C)>
本発明の導電性組成物では脂肪酸銀塩(C)を用いることができる。
脂肪酸銀塩(C)は、水酸基を1個以上、好ましくは2個以上有し、かつアミノ基を有さない脂肪酸銀塩であり、具体的には、以下に示す水酸基を1個以上有し、かつアミノ基を有さない脂肪酸(以下、「脂肪酸C’」ともいう。)と酸化銀とを反応させて得られるものである。
上記反応に用いられる脂肪酸C’は、水酸基を1個以上、好ましくは2個以上有し、かつアミノ基を有さない脂肪酸であれば特に限定されず、例えば、下記式(4)〜(6)で表される化合物が挙げられる。
式(4)中、nは0〜2の整数を表し、R4は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。nが0または1である場合、複数のR5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nが2である場合、複数のR4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(5)中、R4は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(6)中、R4は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R6は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(4)〜(6)中、R4の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
また、上記式(4)中、R5の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R5としては、メチレン基、エチレン基であるのが好ましい。上記式(4)中、nの0〜2の整数としては、1または2であるのが好ましい。
また、上記式(6)中、R6の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R6としては、メチレン基、エチレン基であるのが好ましい。
上記式(4)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(4a)で表される2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸、下記式(4b)で表される2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、下記式(4c)で表されるヒドロキシピバリン酸、下記式(1d)で表されるβ−ヒドロキシイソ酪酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(5)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(5a)で表される2−ヒドロキシ−2−メチル−n−酪酸、下記式(5b)で表される2−ヒドロキシイソ酪酸、下記式(5c)で表されるグリコール酸、下記式(5d)で表されるDL−2−ヒドロキシ酪酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(6)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(6a)で表されるDL−3−ヒドロキシ酪酸、下記式(6b)で表されるβ−ヒドロキシ吉草酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。
これらのうち、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸およびヒドロキシピバリン酸からなる群から選択される少なくとも一種であるのが、得られる脂肪酸銀塩(C)である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸銀塩およびヒドロキシピバリン酸銀塩からなる群から選択される少なくとも一種を含有する本発明の導電性組成物を用いて形成される導電性被膜の形成がより低温かつ短時間で可能となる理由から好ましい。
一方、上記反応に用いられる酸化銀は、本発明の導電性組成物で用いる酸化銀(A)と同様、酸化銀(I)、即ち、Ag2Oである。
本発明の導電性組成物で用いる脂肪酸銀塩(C)は、上述した水酸基を1個以上有し、かつアミノ基を有さない脂肪酸C’と酸化銀とを反応させて得られ、以下に示す反応式中の下記式(IV)〜(VI)で表される化合物であるのが好ましい。
この反応は、例えば、上記式(4)〜(6)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されないが、上記酸化銀を粉砕しつつ進行させる方法や、上記酸化銀を粉砕した後に上記脂肪酸C’を反応させる方法が好ましい。前者の方法としては、具体的には、上記酸化銀と、溶剤により上記脂肪酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である上記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
式(IV)、式(V)および式(VI)中の各記号は、式(4)、式(5)および式(6)中のものと同義である。
上記脂肪酸C’を溶液化する溶媒として、上記脂肪酸B’を溶液化する溶媒を用いることができる。
本発明においては、このような脂肪酸銀塩(C)を用いると、より低温かつ短時間で比抵抗の小さい導電性被膜を形成することができ、耐熱性の低い基材にも良好に導電性被膜を形成することができる。
<2級脂肪酸銀塩(D)>
本発明の導電性組成物では2級脂肪酸銀塩(D)を用いることができる。
2級脂肪酸銀塩(D)は、沸点が200℃以下の2級脂肪酸を用いて得られるものであり、具体的には、以下に示す沸点が200℃以下の2級脂肪酸(以下、「2級脂肪酸D’」ともいう。)と酸化銀とを反応させて得られるものである。
上記2級脂肪酸銀塩(D)の反応に用いられる2級脂肪酸D’は、沸点が200℃以下の2級脂肪酸であれば特に限定されず、その具体例としては、下記式(7)で表される化合物が挙げられる。
式(7)中、R7は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R8は、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
上記式(7)中、R7の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。R7としては、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
また、上記式(7)中、R8の炭素数1〜10のアルキル基としては、上記R7の炭素数1〜6のアルキル基以外に、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。R8としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基であるのが好ましい。
本発明においては、上記式(7)で表されるカルボン酸としては、具体的には、例えば、2−メチルプロパン酸(別名:イソ酪酸)、2−メチルブタン酸(別名:2−メチル酪酸)、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルブタン酸;等が挙げられる。
これらのうち、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸であるのが、得られる2級脂肪酸銀塩(D)である2−メチルプロパン酸銀塩、2−メチルブタン酸銀塩を含有する本発明の導電性組成物を用いて形成される導電性被膜の形成がより低温かつ短時間で可能となる理由から好ましい。
一方、上記2級脂肪酸銀塩(D)の反応に用いられる酸化銀は、本発明の導電性組成物で用いる酸化銀(A)と同様、酸化銀(I)、即ち、Ag2Oである。
本発明の導電性組成物で用いる2級脂肪酸銀塩(D)は、上述した沸点が200℃以下の2級脂肪酸D’と酸化銀とを反応させて得られ、以下に示す反応式中の下記式(VII)で表される化合物であるのが好ましい。
この反応は、例えば、上記式(7)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されないが、上記酸化銀を粉砕しつつ進行させる方法や上記酸化銀を粉砕した後に上記2級脂肪酸D’を反応させる方法が好ましい。前者の方法としては、具体的には、上記酸化銀と、溶剤により上記2級脂肪酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である上記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
式(VII)中、R7は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R8は、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
上記2級脂肪酸D’を溶液化する溶媒として、上記脂肪酸B’を溶液化する溶媒を用いることができる。
本発明においては、このような2級脂肪酸銀塩(D)を用いると、より低温かつ短時間で比抵抗の小さい導電性被膜を形成することができ、耐熱性の低い基材にも良好に導電性被膜を形成することができる。
上記のように、本発明の導電性組成物は、前記酸化銀(A)と前記脂肪酸銀塩(B)とを含有し、前記脂肪酸銀塩(C)または前記2級脂肪酸銀塩(D)を含有してもよく、前記脂肪酸銀塩(C)と前記2級脂肪酸銀塩(D)との両方を含有してもよい。
本発明の導電性組成物において、前記脂肪酸銀塩(C)と前記2級脂肪酸銀塩(D)との両方を含有する場合、上記脂肪酸銀塩(C)のモル数Cと、上記2級脂肪酸銀塩(D)のモル数Dとのモル比(B/C)が、1/1〜15/1であるのが好ましく、3/1〜15/1であるのがより好ましい。モル比がこの範囲であると、得られる導電性組成物を用いて形成した導電性被膜の比抵抗がより低くなるため好ましい。
また、同様の理由から、上記酸化銀(A)のモル数Aと、上記脂肪酸銀塩(C)のモル数Cおよび2級脂肪酸銀塩(D)のモル数Dの合計とのモル比(A/B+C)が、2/1〜25/1であるのが好ましく、2/1〜15/1であるのがより好ましい。
本発明の導電性組成物は、造膜性樹脂を含有しなくても、本発明の効果を奏する被膜を形成することができる。
ただし、更に、造膜性樹脂を含有してもよい。
造膜性樹脂としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
これらのうち、少ない配合量で基材に対して高い密着性を有する導電性被膜を形成することができ、その結果、本発明の導電性組成物の小さい比抵抗も維持しやすいという理由から、ポリエステルウレタン樹脂であるのが好ましい。
本発明の導電性組成物は、必要に応じて、金属粉、還元剤等の添加剤を含有していてもよい。
上記金属粉としては、具体的には、例えば、銅、銀、アルミニウム等が挙げられ、中でも、銅、銀であるのが好ましい。また、0.01〜10μmの粒径の金属粉であるのが好ましい。
上記還元剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコール類等が挙げられる。
また、本発明の導電性組成物は、接着性を向上させる観点から、上記脂肪酸銀塩(B)、上記脂肪酸銀塩(C)および上記2級脂肪酸銀塩(D)以外に、ネオデカン酸銀塩等のその他の脂肪酸銀塩を上記脂肪酸銀塩(B)、上記脂肪酸銀塩(C)および上記2級脂肪酸銀塩(D)よりも少ないモル数で含有していてもよい。
本発明の導電性組成物の製造方法は特に限定されず、上記酸化銀(A)および上記脂肪酸銀塩(B)、ならびに所望により含有してもよい上記脂肪酸銀塩(C)、上記2級脂肪酸銀塩(D)、上記ポリエステルウレタン樹脂(E)、添加剤を、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機等により混合する方法が挙げられる。
本発明においては、上述したように、上記脂肪酸銀塩(B)、上記脂肪酸銀塩(C)および上記2級脂肪酸銀塩(D)の反応に用いられる酸化銀は上記酸化銀(A)と同様であるため、本発明の導電性組成物の製造方法は、予め合成した上記脂肪酸銀塩(B)、ならびに必要に応じて上記脂肪酸銀塩(C)および上記2級脂肪酸銀塩(D)と上記酸化銀(A)とを混合する方法以外に、過剰量の上記酸化銀(A)と上記脂肪酸銀塩(B)の生成に用いられるアミノ基を1個以上有する脂肪酸(脂肪酸C’)、ならびに必要に応じて上記脂肪酸銀塩(C)の生成に用いられる水酸基を1個以上有する脂肪酸、および上記2級脂肪酸銀塩(D)の生成に用いられる200℃以下の2級脂肪酸(2級脂肪酸D’)とを混合し、混合中に上記脂肪酸銀塩(B)、上記脂肪酸銀塩(C)および上記2級脂肪酸銀塩(D)を合成する方法であってもよい。
本発明の導電性被膜が付いた基材の製造方法は、本発明の導電性組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、得られた塗膜を熱処理して導電性被膜を得る熱処理工程と、を具備する導電性被膜付き基材の製造方法である。
本発明の導電性被膜付き基材の製造方法によって、本発明の導電性被膜付き基材を得ることができる。
以下に、塗膜形成工程、熱処理工程について詳述する。
<塗膜形成工程>
上記塗膜形成工程は、本発明の導電性組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する工程である。
ここで、基材としては、上記で例示した耐熱性の低い基材以外に、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどのフィルム;銅板、銅箔、ガラス、エポキシ、紙などの基板;等が挙げられる。
本発明の導電性組成物は、必要に応じて上記で例示したα−テルピネオール等の溶剤を用いて溶液化された後、以下に例示する塗布方法により基材上に塗布され、塗膜を形成する。
塗布方法としては、具体的には、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が挙げられる。
<熱処理工程>
上記熱処理工程は、上記塗膜形成工程で得られた塗膜を熱処理して導電性被膜を得る工程である。
本発明においては、塗膜を熱処理することにより、上記脂肪酸銀塩(B)(上記脂肪酸銀塩(C)および上記2級脂肪酸銀塩(D)を含有する場合はこれらも)が熱処理により銀に分解され、分解により生じた脂肪酸またはその分解物が揮発する一方で、分解により生じた一部の脂肪酸と上記酸化銀(A)とが反応し、再び脂肪酸銀塩(B)(脂肪酸銀塩(C)および2級脂肪酸銀塩(D))を生成し、それが還元(銀と脂肪酸への分解)されるサイクルを繰り返すことにより本発明の導電性被膜(銀膜)が形成される。
また、本発明においては、上記熱処理は、100〜250℃の温度で、数秒〜数十分間、加熱する処理であるのが好ましく、100〜150℃で30〜60分間、加熱処理する処理であることがより好ましく、150℃程度で30分程度加熱する処理であるのがより好ましい。熱処理の温度および時間がこの範囲であると、耐熱性の低い基材にも良好な導電性被膜を形成することができる。これは、上述したように、本発明の導電性組成物は、上記脂肪酸銀塩(B)を用いているためである。
なお、本発明においては、上記塗膜形成工程で得られた塗膜は、紫外線または赤外線の照射でも上記サイクルにより導電性被膜を形成することができるため、上記熱処理工程は、紫外線または赤外線の照射によるものであってもよい。
以下、実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜9)
ボールミルに、酸化銀(A)(酸化銀(I))と、下記第1表中に示した脂肪酸銀塩(B)、脂肪酸銀塩(C)、2級脂肪酸銀塩(D)およびα−テルピネオールとを、下記第1表中に示す重量で添加し、これらを混合することにより導電性組成物を調製した。
なお、2−アミノイソ酪酸銀塩、DL−トレオニン銀塩、DL−セリン銀塩、DL−ノルバリン銀塩、6−アミノヘキサン酸銀塩は、脂肪酸である2−アミノイソ酪酸、DL−トレオニン、DL−セリン、DL−ノルバリン、6−アミノヘキサン酸と酸化銀(I)との反応により得られるものである。
また、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩は、脂肪酸である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸と酸化銀(I)との反応により得られるものである。
また、2−メチルプロパン酸銀塩は、脂肪酸である2−メチルプロパン酸(イソ酪酸)と酸化銀(I)との反応により得られるものである。下記第1表中に、脂肪酸銀塩の反応に用いたイソ酪酸の級数と沸点を記載した。
次いで、調製した導電性組成物を基材である厚さ100μmのPETフイルム(ルミラーS56、東レ社製)上に、スクリーン印刷で塗布して塗膜を形成した後、オーブンにて150℃で30分間乾燥し、導電性被膜が付いた基材を作製した。
(比較例1)
脂肪酸銀塩(B)を用いなかったこと以外は、実施例9と同様の方法により、導電性組成物を調製し、導電性被膜が付いた基材を作製した。
得られた各基材の導電性被膜について、以下の方法により比抵抗を測定した。その結果を第1に示す。
<比抵抗>
150℃で30分間乾燥させて得られた各導電性被膜について、低抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により比抵抗(体積固有抵抗値)を測定した。その結果を下記第1表に示す。
第1表に示す結果から、アミノ基を1個以上有する脂肪酸銀塩(B)を含有しない導電性組成物(比較例1)は、150℃、30分間の乾燥条件では、比抵抗が高くなることが分かった。
これに対し、実施例1〜9で調製したアミノを1個以上有する脂肪酸銀塩(B)を含有する導電性組成物は、塗布後の乾燥条件が150℃、30分間であっても比抵抗の小さい導電性被膜を形成できることが分かった。

Claims (6)

  1. 酸化銀(A)と、アミノ基を1個以上有する脂肪酸銀塩(B)と、を含有し、
    前記脂肪酸銀塩(B)が、アミノ基を1個以上有する脂肪酸B’と酸化銀とを反応させて得られるものであり、
    前記脂肪酸B’が、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物である、導電性組成物。

    式(1)中、nは0〜2の整数を表し、R 1 は水素原子、水酸基または水酸基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、R 2 は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。nが0または1である場合、複数のR 2 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nが2である場合、複数のR 1 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    式(2)中、R 1 は水素原子、水酸基または水酸基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR 1 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    式(3)中、R 1 は水素原子、水酸基または水酸基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、R 3 は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR 1 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
  2. 前記脂肪酸銀塩(B)の含有量が、前記酸化銀(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部である、請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 水酸基を1個以上有しアミノ基を有さない脂肪酸銀塩(C)、および/または、沸点が200℃以下でアミノ基を有さない2級脂肪酸を用いて得られる2級脂肪酸銀塩(D)、を含有し、
    前記脂肪酸銀塩(C)が、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸銀塩、およびヒドロキシピバリン酸銀塩からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1または2に記載の導電性組成物。
  4. 前記2級脂肪酸銀塩(D)が、2−メチルプロパン酸銀塩である、請求項3に記載の導電性組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の導電性組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、得られた塗膜を熱処理して導電性被膜を得る熱処理工程と、を具備する導電性被膜付き基材の製造方法。
  6. 前記熱処理が、100〜250℃の温度に加熱する処理である、請求項に記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
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