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JP5324738B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents
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JP5324738B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用水系インク、及び該インクに用いられる水分散体に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能で、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
このようなインクジェット記録方式に関して、例えば、特許文献1には、ビニルポリマーに顔料を含有させた水系インクが開示されている。
また、特許文献2には、水、着色剤及び樹脂微粒子を含有してなり、該樹脂微粒子がフルオロオレフィン単位を有するフッ素樹脂微粒子であることを特徴とするインク組成物が開示されている。
また、特許文献3には、画像の保全性を改良する有効量のコアシェル又はテトラフルオロエチレンエマルジョンポリマーを含有する改良された水性キャリア媒体及び不溶性着色剤を含有するインクが開示されている。しかし、上記各特許文献に開示された水系インクでは、普通紙にインクジェット記録方式により1パスで印字した際の印字濃度が未だ十分ではなかった。
国際公開第00/39226号パンフレット 特開平10−17801号公報 特開平10−195362号公報
本発明は、普通紙に1パスで印字した際の印字濃度が高く、高速印字に適した、インクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
本発明は、下記(1)〜(2)を提供する。
(1)着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子とフッ素含有微粒子とを含有するインクジェット記録用水分散体。
(2)前記(1)の水分散体を含有する水系インク。
本発明のインクジェット記録用水分散体および水系インクにより、普通紙に1パスで印字した際にも高い印字濃度を達成することができる。
本発明は、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子とフッ素含有微粒子とを含有するインクジェット記録用水分散体である。
〔フッ素含有微粒子〕
本発明者等は、フッ素含有微粒子(以下、単に「微粒子」ともいう)を用いることで、印刷紙上の着色剤への光の取り込み効率を向上し、高速印刷を行っても印字濃度を向上させることが可能であることを見出した。本発明に用いられる微粒子の屈折率は、高速印刷を行っても印字濃度を向上させる観点から、1.2〜1.6が好ましく、1.3〜1.55が更に好ましい。屈折率は、後述する光干渉式膜厚測定装置(製品名:ラムダエース VM-1000、大日本スクリーン株式会社製)により測定することができる。微粒子が粉体の場合には、微粒子1重量部に対して約0.01重量部のポリアクリル酸塩(例えば、ポイズ530A、花王株式会社製)で水やエタノール等の分散媒に分散させた分散体を、前記測定法に用いることができる。具体的には後述する測定方法による。
本発明で用いられる微粒子の平均粒径は、高速印刷を行っても印字濃度を向上させる観点から、50〜300nmが好ましく、55〜250nmが更に好ましく、60〜200nmが特に好ましい。微粒子の平均粒径は後述する測定方法による。
微粒子の屈折率や平均粒径の限定は、本発明者等が、インクジェット記録方式により、高速印字した際でも、高印字濃度を達成するには、印字面表面からの光の反射率を低減させればよいことを見出したことによる。
一般に、印字面表面からの光の反射率を低減させるためには、着色剤表面での光の表面散乱を低減させて着色剤への光の取り込み効率を向上させ、光の吸収率を向上させることが有効である。
微粒子と着色剤とを含有する水系インクをインクジェット記録方式により、印刷紙上に印刷した場合、塗布されたインクの微小部位において、微粒子の集合体は、印字物の着色剤を被覆して、印字物の反射防止膜と同等の働きをさせることで、印字濃度を向上することができると考えられる。
一般に、異なる屈折率の物質が存在する場合、空気の屈折率をn0、着色剤の屈折率をn2、着色剤上に存在する物質の屈折率をn1とした場合、反射率Rは下記式で表されることが知られている。
反射率R=〔(n02-n11)/(n02+n11)〕2
ここで、空気の屈折率n0を1.00とすると、印字濃度を向上させるには反射率Rを最も少なくすればよいため、前記式の値を最小にするには、n1=√n2 となることが好ましい。
キナクリドン系顔料(Y)の屈折率が2程度であり、フタロシアニン系顔料(C)、アゾ系顔料(M)の屈折率が1.4程度であることを考慮すると、本発明に用いられる粒子の屈折率n1は前記の範囲が適当であることがわかる。
また、反射光の強度を最も弱めるのは、着色剤の表面での反射する光と、着色剤上に存在する物質表面で反射する光の位相を逆にすれば良いことが知られているので、着色剤上に存在する物質(屈折率n1)の膜厚dは、光の波長をλとして
膜厚d=λ/〔(2+2√2)×n1
となることが好ましい。
なお、膜厚dは、光の入射角が45°、受光角が0°(マクベス濃度計の測定条件)での計算値である。
マゼンタの測定波長(λ)が536nm(半値幅±20nm)、シアンの測定波長(λ)が624nm(半値幅±20nm)、イエローの測定波長(λ)が432nm(半値幅±20nm)と、前述のn1を考慮すると、本発明に用いられる粒子の平均粒径は前記の範囲が適当であることがわかる。
フッ素含有微粒子としては、フッ素原子を有するポリマー粒子又はフッ素原子を有する無機粒子が挙げられる。
上記フッ素原子を有するポリマー粒子を構成するポリマーは、フッ素含有モノマーを重合することにより得られるものが挙げられる。本明細書において、上記「フッ素含有モノマー」とは、炭素原子に結合しているフッ素原子を有する不飽和化合物である。上記フッ素含有モノマーとしては、重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、ビニリデンフルオライド〔VdF〕、及びパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、テトラフルオロ−3−(ペンタフルオロエトキシ)プロピオアクリレート、ヘプタフルオロブチルアクリレート、2−(ヘプタフルオロブトキシ)エチルアクリレート、トリフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルメタクリレート等のフッ素化アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル等が挙げられる。また、上記フッ素ポリマーとしては、上記フッ素含有モノマーとともにフッ素非含有ビニルモノマーを重合して得られるものであってもよい。本明細書において、上記「フッ素非含有ビニルモノマー」は、炭素−炭素二重結合を有し、フッ素原子を有しないモノマーである。上記フッ素含有モノマー及びフッ素非含有ビニルモノマーは、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記フッ素ポリマーとしては特に限定されず、例えばポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、テトラフルオロエチレン共重合体〔TFE共重合体〕、フッ素ゴム等が挙げられる。
上記「PTFE」は、TFEのみを重合して得られるホモポリマーであり、上記「TFE共重合体」は、TFE及びTFEと共重合可能な単量体を重合して得られる共重合体である。上記TFEと共重合可能な単量体としては特に限定されず、例えば、上記フッ素含有単量体のうちTFE以外のものであってもよいし、上記フッ素非含有ビニルモノマーであってもよい。
上記TFE共重合体としては、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体〔PFA〕、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライド共重合体、テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライド/クロロトリフルオロエチレン共重合体が挙げられる。
上記「フッ素ゴム」は、エラストマー性を有するフッ素原子を有する共重合体である。
上記フッ素ゴムとしては特に限定されないが、例えば、上述のフッ素含有モノマーと、所望によりフッ素非含有ビニルモノマー等のフッ素含有モノマーと共重合可能な単量体とを重合して得られるもののうち、エラストマー性を有するもの等が挙げられる。上記フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド/クロロトリフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
フッ素原子を有する無機粒子としては、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。
着色剤上で一定の膜厚(d)を有するために、本発明で用いられる微粒子は、記録紙上で拡散する成膜性を有するよりも、粒子状で着色剤上に存在することが望まれる。
フッ素原子を有するポリマー粒子のTgは、粒子状で着色剤上に存在させる観点から、20℃以上が好ましく、30℃以上が更に好ましく、上限は特にないが、250℃以下が好ましく、これらの観点から20〜250℃が好ましく、30〜250℃が更に好ましい。Tgの測定は、実施例記載の方法による。
ポリマー粒子のTgが20℃以上の範囲であれば、印刷後のインクの乾燥工程で受ける熱によってもポリマー微粒子が皮膜化し難く、着色剤上に粒子状で存在させることができる。
また、フッ素含有微粒子は、インクジェットのノズルから吐出した後、同じ水系インク中に含有される着色剤の普通紙内への沈み込みを抑制していることが認められた。この着色剤の普通紙への沈み込みの抑制が、印字濃度の向上に寄与していると考えられる。具体的には、後述する標準試験方法により、水系インク中の顔料の平均浸透深度(顔料の沈み込み)を測定することにより確認できる。印字濃度の観点から、顔料の平均浸透深度は、好ましくは65μm以下、更に好ましくは60μm以下であることが望ましく、耐擦過性の観点から、好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上であることが望ましい。
これらの観点から、着色剤の平均浸透深度は、10〜65μmが好ましく、20〜60μmが更に好ましい。この範囲に顔料の沈み込みを抑制できるフッ素含有微粒子を用いることが好ましい。
〔着色剤〕
着色剤は、疎水性染料、顔料のいずれも使用することができる。また、両者を任意の比率で組み合わせて用いることもできる。中でも、近年要求が強い高耐候性の発現には、顔料を用いるのが好ましい。
顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらに体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー 13, 17, 74, 83, 97, 109, 110, 120, 128, 139, 151, 154, 155, 174, 180;C.I. ピグメント・レッド 48, 57: 1, 122, 146, 176, 184, 185, 188, 202;C.I.ピグメント・バイオレット19, 23;C.I.ピグメントブルー15, 15: 1, 15: 2, 15: 3, 15: 4, 16, 60;C.I.ピグメント・グリーン7, 36等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクとしてはカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
染料としては、疎水性染料が、水不溶性ポリマー中に含有させることができるため好ましく用いられる。疎水性染料の例としては、油性染料、分散染料等が挙げられる。疎水性染料の有機溶媒に対する溶解度は、水不溶性ポリマーに効率よく染料を含有させる等の観点から、水分散体の製造時に疎水性染料を溶解させるために使用される有機溶媒に対して、2g/L以上が好ましく、20〜500g/L(25℃)がより好ましい。
油性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3, 7, 27, 29, 34, 45;C.I.ソルベント・イエロー14, 16, 29, 56, 82, 83:1;C.I.ソルベント・レッド1, 3, 8, 18, 24, 27, 43, 49, 51, 72, 73;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー2,4, 11, 44, 64, 70;C.I.ソルベント・グリーン3, 7;C.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
商業的に入手しうる油性染料としては、例えば、Nubian Black PC-0850、Oil Black HBB 、Oil Black 860 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、OilRed 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS〔以上、オリエント化学株式会社、商品名〕、Neopen Yellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue808、Neopen Blue807、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238〔以上、BASF社、商品名〕等が挙げられる。
分散染料としては、例えば、C.I.ディスパーズ・イエロー5, 42, 54, 64, 79, 82, 83, 93, 99, 100, 119, 122, 124, 126, 160, 184:1, 186, 198, 199, 204, 224, 237;C.I.ディスパーズ・オレンジ13, 29, 31:1, 33, 49, 54, 55, 66, 73, 118, 119, 163;C.I.ディスパーズ・レッド54, 60, 72, 73, 86, 88, 91, 93, 111, 126, 127, 134, 135, 143, 145, 152, 153, 154, 159, 164, 167:1, 177, 181, 204, 206, 207, 221, 239, 240, 258, 277, 278, 283, 311, 323, 343, 348, 356, 362;C.I.ディスパーズ・バイオレット33;C.I.ディスパーズ・ブルー56, 60, 73, 87, 113, 128, 143, 148, 154, 158, 165, 165:1, 165:2, 176, 183, 185, 197, 198, 201, 214, 224, 225, 257, 266, 267, 287, 354, 358, 365, 368;C.I.ディスパーズ・グリーン6:1,9;等が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3、7及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
本発明の水分散体中、着色剤の含有量は、分散安定性、印字濃度等を高める点から1〜20重量%が好ましく、3〜10重量%が更に好ましい。
水不溶性ポリマーと着色剤の量比は、印字濃度を高める等の観点から、〔着色剤/水不溶性ポリマー〕の重量比が、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは50/50〜80/20、更に好ましくは55/45〜78/22である。
水不溶性ポリマー
本発明の水分散体、水系インクには、耐擦過性に優れ、低粘度で優れた吐出性を得る観点から、着色剤を水不溶性ポリマー粒子に含有させた水分散体を用いる。
本発明において、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。本発明において、水不溶性ポリマーとは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。上記溶解量は、水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水不溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量をいう。
本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーは、印字物の光沢性の観点から、下記一般式(1)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0005324738
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は、置換基を有していてもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、又は、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を示す。置換基には、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。
2の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基(フェニルエチル基)、フェノキシエチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等が挙げられる。
置換基の具体例としては、好ましくは炭素数1〜9の、アルキル基、アルコキシ基若しくはアシロキシ基、水酸基、エーテル基、エステル基又はニトロ基等が挙げられる。
式(1)で表される構成単位としては、高光沢性を発現させる観点から、特にベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が好ましい。
式(1)で表される構成単位は、下記一般式(1−1)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR1COOR2 (1−1)
(式中、R1、R2は、前記と同じである。)
具体的には、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p−ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸等を重合することで、式(1)で表される構成単位を有するポリマーを合成することができる。これらの中では、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書にいう「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」、「メタクリレート」又はそれらの混合物を意味する。
本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーは、さらに下記一般式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0005324738
式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4Oはオキシプロピレン基を示す。R4Oには、−CH2CH(CH3)O−以外に、−CH(CH3)CH2O−が含まれていてもよい。R5Oは炭素数2又は4のオキシアルキレン基を示し、オキシエチレン基、オキシテトラメチレン基を示す。
6は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜9のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。
6は、高い印字濃度及び良好な保存安定性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。また、炭素数1〜8のアルキル基を有していてもよい、フェニル基が好ましい。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
4O及びR5Oはランダム付加又はブロック付加している。R4O及びR5Oが、ブロック付加している場合、−COO−(R4O)x−(R5O)y−R6、又は−COO−(R5O)y −(R4O)x −R6の何れであってもよい。
x、yは、平均付加モル数を表し、xは1〜30の数であり、2〜30が好ましく、3〜20が更に好ましく、3〜15が特に好ましい。yは0〜30の数であり、0〜20が好ましく、0〜15が更に好ましい。y個のR5Oは同一でも異なっていてもよい。
式(2)で表される構成単位は、下記一般式(2−1)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR3COO−(R4O)x−(R5O)y−R6 (2−1)
(式中、R3、R4O、R5O、R6、x、及びyは、前記と同じである。)
式(2)の中でも、下記一般式(3)又は(4)で表される構成単位が、高い印字濃度を与えるために好ましく、本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーは、下記一般式(3)と下記一般式(4)で表される構成単位を両方有していてもよい。
Figure 0005324738
(式中、R3、x、R6は、前記と同じである。)
式(3)は、式(2)において、yが0の場合である。
式(3)で表される構成単位は、下記一般式(3−1)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−R6 (3−1)
(式中、R3、R6、及びxは、前記と同じである。)
具体的には、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、特にポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
一方、下記一般式(4)は、上記一般式(2)において、yが1以上の場合である。
Figure 0005324738
式(4)中、R3、R6、xは、前記と同じである。pは2又は4の数であり、zは、平均付加モル数を表し、1〜30の数であり、2〜20が好ましく、3〜15が更に好ましい。(CH2CH(CH3)O)と((CH2PO)は、ランダム付加又はブロック付加しており、ブロック付加の場合、-COO-(CH2CH(CH3)O)X-((CH2PO)Z-R6 又は、-COO-((CH2PO)Z-(CH2CH(CH3)O)X-R6の何れであってもよい。
式(4)で表される構成単位は、下記一般式(4−1)又は(4−2)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−(CH2CH2O)z−R6 (4−1)
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−((CH24O)z−R6 (4−2)
式中、R3、R6、x及びzは、前記と同じである。(CH2CH(CH3)O)と(CH2CH2O)、及び(CH2CH(CH3)O)と((CH24O)は、ランダム付加又はブロック付加しており、ブロック付加の場合、CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−(CH2CH2O)z−R6又はCH2=CR3COO−(CH2CH2O)z−(CH2CH(CH3)O)x−R6の何れであってもよく、又はCH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−((CH24O)z−R6又はCH2=CR3COO−((CH24O)z−(CH2CH(CH3)O)x−R6の何れであってもよい。
具体的には、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート[エチレングリコールとプロピレングリコールがランダム結合している]、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールがブロック結合している。(メタ)アクリル基側からポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのブロック結合とその逆も含む。以下同じ。]、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。これらの中では、特にポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノメタクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
商業的に入手しうる前記式(2−1)で表されるモノマーの具体例としては、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PP−500、同800、同1000、50AOEP-800B、43ANEP-500、70ANEP-550、50PEP−300、50PPT−800、50POEP−800B等が挙げられる。
本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーにおける前記一般式(1)及び前記一般式(2)で表される構成単位の重量比[式(1)で表される構成単位/式(2)で表される構成単位]は、印字濃度と光沢性を両立させ、定着性を与える観点から、1/2〜10/1が好ましく、1/2〜8/1がより好ましく、1/2〜5/1が更に好ましく、1/1〜5/1が最も好ましい。
当該水不溶性ビニルポリマーは、その分散性を向上させる観点から、更に、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位を含むことが好ましい。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
塩生成基含有モノマー(a)に由来する構成単位は、塩生成基含有モノマーを重合することにより得ることができるが、ポリマーの重合後、ポリマー鎖に塩生成基(アニオン性基又はカチオン性基)を導入してもよい。
塩生成基含有モノマー(a)としては、(a−1)アニオン性モノマー及び(a−2)カチオン性モノマーが好ましい。
〔(a−1)アニオン性モノマー〕
(a−1)アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー及び不飽和リン酸モノマーからなる群より選ばれた一種以上が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
不飽和リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記のアニオン性モノマーの中では、インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
〔(a−2)カチオン性モノマー〕
(a−2)カチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有ビニルモノマー及び不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーからなる群より選ばれた一種以上が挙げられる。
不飽和3級アミン含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。
不飽和アンモニウム塩含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。
上記のカチオン性モノマーの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
上記の(a)塩生成基含有モノマーは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
当該水不溶性ポリマーは、十分な印字濃度や分散安定性を発現させる観点から、前記一般式(1)及び/又は(2)と(a)塩生成基含有モノマーに由来する構成単位を含むポリマーを主鎖に有し、マクロマー(b)由来の構成単位を側鎖に有する水不溶性グラフトポリマーであることが好ましい。
(b)成分のマクロマーとしては、下記(b−1)スチレン系マクロマー、(b−2)アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー、(b−3)芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー、(b−4)シリコーン系マクロマー等が挙げられる。
上記(b)成分は、印字濃度や着色剤を含有した水不溶性ポリマー微粒子の分散安定性を高める等の観点から用いられ、数平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000で、片末端に不飽和基等の重合性官能基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。
なお、(b)成分の数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶媒として50mmol/Lの酢酸を含有するテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定することができる。
〔(b−1)スチレン系マクロマー〕
スチレン系マクロマーとは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー〔(b−1)モノマーという〕由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。
スチレン系モノマーの中ではスチレンが好ましい。
スチレン系マクロマーは、例えば、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
片末端に存在する重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、これらを共重合させることで、スチレン系マクロマー由来の構成単位を有する水不溶性グラフトポリマーを得ることができる。
側鎖中、又はスチレン系マクロマー中、スチレン系モノマー由来の構成単位の含有量は、耐擦過性の観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6、AS−6S、AN−6、AN−6S、HS−6、HS−6S等が挙げられる。
〔(b−2)アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー〕
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーとは、ヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基を有する、(メタ)アクリル酸エステル〔(b−2)モノマーという〕由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b−2)モノマー由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得られ、例えば、メチルメタクリレート系マクロマー、ブチルアクリレート系マクロマー、イソブチルメタクリレート系マクロマー、ラウリルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーは、片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。他のモノマーとしては、前記の(1)スチレン系モノマー〔(b−1)モノマー〕、後記の(3)スチレン以外の芳香環含有(メタ)アクリレート系モノマー〔(b−3)モノマー〕等が挙げられる。
側鎖中、又はアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、最も多く、耐擦過性の観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
〔(b−3)芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー〕
芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーとは、芳香環含有(メタ)アクリレート〔(b−3)モノマーという〕由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。
芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、前記一般式(1−1)で表されるモノマーが好ましい。
CH2=CR1COOR2 (1−1)
(式中、R1、R2は、前記と同じである。)
具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p−ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート等が挙げられる。これらの中では、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
芳香環含有(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有する芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する芳香環含有(メタ)アクリレートの単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、芳香環含有(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。他のモノマーとしては、前記の(1)スチレン系モノマー〔(b−1)モノマー〕、(2)(メタ)アクリル酸エステル〔(b−2)モノマー〕等が挙げられる。
側鎖中、又は芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー中、芳香環含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、最も多い。
〔(b−4)シリコーン系マクロマー〕
本発明で用いられる水不溶性グラフトポリマーは、オルガノポリシロキサン鎖を側鎖として有していてもよい。この側鎖は、例えば、好ましくは下記一般式(5)で表される、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)−COOC36−〔Si(CH3)2−O〕t−Si(CH3)3 (5)
(式中、tは8〜40の数を示す。)
本発明に用いられるポリマーが、水不溶性グラフトポリマーである場合、主鎖と側鎖との重量比[主鎖/側鎖]は、分散安定性を向上させるために、1/1〜20/1であることが好ましく、3/2〜15/1が更に好ましく、2/1〜10/1が特に好ましい。なお、重合性官能基は側鎖に含有されるものとして計算する。
上記の中では、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが着色剤との親和性が高く、分散安定性を向上させる観点から好ましい。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、「イソ」又は「ターシャリー」で表される枝分かれ構造が存在している場合と存在しない場合(ノルマル)の両者を示すものである。
当該水不溶性ポリマーは、分散安定性、印字濃度及び光沢性を向上させる観点から、さらに、疎水性モノマー(c)由来の構成単位を含むことが好ましい。
疎水性モノマー(c)に由来する構成単位は、疎水性モノマーを重合することにより得ることができるが、ポリマーの重合後、ポリマー鎖に疎水性モノマーを導入してもよい。
疎水性モノマー(c)としては、(c−1)炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレート又は(c−2)下記一般式(6)で表されるモノマーが好ましい。
CH2=C(R7)−R8 (6)
(式中、R7 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数6〜22の芳香環含有炭化水素基を示す。)
(c−1)炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、ベへニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(c−2)式(6)で表されるモノマーとしては、印字濃度の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレンから選ばれた一種以上が好ましい。これらの中では、印字濃度及び保存安定性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、及びビニルトルエンからなる群から選ばれる一種以上であるスチレン系モノマーがより好ましい。
当該水不溶性ポリマーは、更に他の構成単位を含有していてもよい。
当該水不溶性ポリマーは、前記式(1)で表される構成単位を有することが好ましく、更に前記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。また前記式(1−1)及び前記(2−1)で表されるモノマーに、必要により(a)塩生成基含有モノマー、(b)マクロマー及び/又は(c)疎水性モノマー等を含有するモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」という)を共重合して得られるものが好ましい。
モノマー混合物における前記式(1−1)で表されるモノマー含有量、又は水不溶性ポリマーにおける前記式(1)で表される構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度と光沢性の向上、定着性及び良好な分散安定性の観点から、10重量%以上、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは25〜75重量%である。
モノマー混合物における前記式(2−1)で表されるモノマー含有量、又は水不溶性ポリマーにおける前記式(2)で表される構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度と光沢性の向上、定着性及び良好な分散安定性の観点から、好ましくは5〜60重量%、更に好ましくは8〜55重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。
モノマー混合物における塩生成基含有モノマー(a)の含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)、又は水不溶性ポリマーにおける塩生成基含有モノマー(a)に由来する構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度と光沢性の向上及び良好な分散安定性の観点から、好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
[式(1)で表される構成単位/塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位]の重量比は、水不溶性ポリマーの分散性及び光沢性を向上させる観点から、好ましくは10/1〜1/1、更に好ましくは8/1〜2/1である。
[式(2)で表される構成単位/塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位]の重量比は、水不溶性ポリマーの分散性及び印字濃度を向上させる観点から、好ましくは10/1〜1/1、更に好ましくは5/1〜1/1である。
モノマー混合物におけるマクロマー(b)の含有量、又は水不溶性ポリマーにおけるマクロマー(b)に由来する構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度の観点から、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
モノマー混合物における疎水性モノマー(c)の含有量、又は水不溶性ポリマーにおける疎水性モノマー(c)に由来する構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度及び分散安定性の観点から、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは0〜20重量%である。
当該水不溶性ポリマーは、塩生成基含有モノマー由来の構成単位を含む場合は、その塩生成基を、後述する中和剤により中和して用いる。塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合、中和度は下記式によって求めることができる。
[[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HClmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]]×100
酸価やアミン価は、水不溶性ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。
または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
当該水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、着色剤の分散安定性、耐水性及び吐出性の観点から5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000が更に好ましく、10,000〜300,000が特に好ましい。
なお、水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
〔着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子〕
本発明には、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子を用いる。着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子を用いることで、着色剤の紙の中への沈み込みを抑制し、フッ素含有微粒子が着色剤表面に近づくことができ、着色剤表面での光の表面散乱を低減させて着色剤への光の取り込み効率を向上させ、光の吸収率を向上させることができると考えられる。
特に、染料を用いる場合にも有効である。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子は、次の工程(1)及び(2)により、水分散体として得ることが好ましい。
・工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、着色剤、水及び必要により中和剤を含有する混合物を、分散処理する工程
・工程(2):前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)では、まず、前記水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、前記有機溶媒に加えて混合し、水中油型の分散体を得ることが好ましい。混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、水は、10〜70重量%が好ましい。水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ビニルポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられ、水に対する溶解度が20℃において、50重量%以下でかつ10重量%以上のものが好ましい。
アルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。これらの溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
中和剤としては、水不溶性ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。
中和剤としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の塩基が挙げられる。
前記工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行うことが好ましい。工程(2)で、所望の平均粒径の水不溶性ポリマー粒子が得られるように微粒化させる。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー(浅田鉄鋼株式会社、商品名)、エバラマイルダー(荏原製作所株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、特殊機化工業株式会社、商品名)、クリアミックス(エム・テクニック株式会社、商品名)、ケイディーミル(キネティック・ディスパージョン社、商品名)等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)、ミニラボ8.3H型(Rannie社、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社、商品名)、アルティマイザー(スギノマシン株式会社、商品名)、ジーナスPY(白水化学株式会社、商品名)、DeBEE2000(日本ビーイーイー株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中では、混合物に含まれている顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散体から有機溶媒を留去して水系にすることで、所望の平均粒径を有する着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る。水分散体に含まれる有機溶媒の除去は、減圧蒸留等による一般的な方法により行うことができる。得られた水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下である。得られた水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体をろ過することで、粗大粒子を除去することが好ましい。粗大粒子は、存在しないか、存在してもわずかであるが、プリンターのノズルが詰まらないようにするために、フィルターの粒径は、好ましくは1〜10μm、更に好ましくは3〜7μmとする。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有する水不溶性ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、着色剤を含む水不溶性ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤と水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、水不溶性ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、水不溶性ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、水不溶性ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、分散安定性、吐出性の観点から、好ましくは50〜200nm、更に好ましくは70〜170nm、特に好ましくは90〜150nmである。着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子のD90(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積90%の値)は、粗大粒子を減らして、分散体の保存安定性を高める観点から、350nm以下が好ましく、300nm以下が更に好ましく、270nm以下が特に好ましい。下限は、製造のし易さから、100nm以上が好ましい。着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子のD10(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積10%の値)は、印字濃度の観点、製造のし易さから、10nm以上が好ましく、20nm以上がさらに好ましく、30nm以上が特に好ましい。
なお、平均粒径、D90、D10は、前記大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定することができる。測定条件は、同じである。
〔インクジェット記録用水分散体及び水系インク〕
本発明の水系インクは、水を主媒体とするインクであり、必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を含有することができる。これらの各成分の混合方法に特に制限はない。
本発明の水分散体中、及び水系インク中、フッ素含有微粒子の含有量は、0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上が更に好ましく、3重量%以上が特に好ましく、5重量%以上が最も好ましく、その上限は25重量%以下が好ましく、20重量%以下が更に好ましく、15重量%以下が特に好ましい。それらの観点から0.1〜25重量%が好ましく、1〜20重量%が更に好ましく、3〜15重量%が特に好ましい。
本発明の水分散体中、及び水系インク中、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の含有量(固形分)は、通常、印字濃度及び吐出安定性の観点から、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%となるように調整することが望ましい。
フッ素含有微粒子と着色剤との重量比(着色剤量/微粒子量)は、前記微粒子による反射光を減少させる観点から、1/10〜10/1が好ましく、1/5〜2/1が更に好ましく、1/3〜1/1が特に好ましい。
本発明の水分散体及び水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%,より好ましくは40〜80重量%である。
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット記録用水系インクは、インクジェット記録方式により1パスで印刷するインクジェット印刷方法に使用することが好ましい。1パス印刷とは、ラインヘッドの場合、インクジェットヘッドのスキャン(走査)方向と印刷対象物の送り方向を同一の方向にして一度のスキャンで画像を形成すること、またシリアルヘッドの場合、インクジェットヘッドを双方向にスキャンさせ、印刷対象をインクジェットヘッドのスキャン方向と垂直の方向に送りながら、かつ着弾させたインク上にインクを実質的に再度着弾させることなく(重ねることなく)、画像を形成することをいう。
1パスで印字すると、単位面積当たりに、インクジェットのノズルから射出される滴数が減少する。従って、数パスで印字するのに比較して1滴1滴が大きくなり、大きなドット1滴は、小さなドット数滴と比較して、単位面積当たりのインク量がばらつくため、印刷紙上のある微小部分では、インク量が多く、浸透し易くなる部分が存在する。本発明の水系インクは、水系インクの印刷紙上での表面の濡れ拡がりを助長し、紙内部への水系インクの浸透を抑制することができるため、1パスでの印刷方法に適している。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
製造例1(ポリマーの製造)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤〔2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〕1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの重量平均分子量を前記方法により測定した。その結果を表1に示す。
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・スチレンマクロマー:(数平均分子量:6,000、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基):東亜合成株式会社製、商品名:AS−6(S)
・PP−800:ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=12、末端:ヒドロキシ基):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800
・43PAPE−600B:ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=6、プロピレンオキシド平均付加モル数=6、末端:フェニル基):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマー43PAPE−600B
Figure 0005324738
製造例2 (フッ化マグネシウム分散体の製造)
フッ化マグネシウム(和光純薬株式会社製、屈折率:1.38、平均粒径135nm)100部とジョンクリル61J(ジョンソンポリマー株式会社製、固形分:32.2%)104部、及びイオン交換水330部を加え、ディスパー翼を用い20℃で1時間混合した。
得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名:M−140K)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液を、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が25%のフッ化マグネシウムの水分散体を得た。
実施例2、参考例1及び参考例3
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させたポリマー19部をメチルエチルケトン67部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)3.4部(中和度60%)及びイオン交換水195部加えて塩生成基を中和し、更にキナクリドン顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19、クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Hostaperm Red E5B02、屈折率:2.0)75部を加え、ディスパー翼を用いて20℃で1時間混合した。
得られた混合物をマイクロフルイダイザーで200MPaの圧力で10パス分散処理した。得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料含有ポリマー粒子の水分散体を得た(平均粒径117nm)。
得られた顔料含有ポリマー粒子の水分散体35部に、前記製造例2で得られたフッ化マグネシウムの水分散体40部、グリセリン10部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGMBE)7部、ノニオン系湿潤剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール465)1部、防黴剤(アビシア株式会社製、商品名:プロキセルXL2)0.3部及びイオン交換水6.7部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表2に示す水系インクを得た。
参考例1において、フッ化マグネシウムの水分散体の代わりに、フッ素含有ポリマーエマルジョン(日信化学工業株式会社製、製品名:ビニブラン FJ−311、屈折率:1.51、平均粒径180nm、Tg35℃)、又はPTFEエマルジョン(旭硝子株式会社製、製品名:AD911、屈折率:1.35、平均粒径200nm、Tg測定不可のため省略)を使用した以外は参考例1と同様にして、それぞれ実施例2及び参考例3として表2に示す水系インクを得た。
比較例1
参考例1において、フッ化マグネシウムの水分散体を混合せず、イオン交換水を46.7部を混合した以外は参考例1と同様にして、表2に示す水系インクを得た。
水分散体の平均粒径は、実施例2、参考例1、参考例3及び比較例1の何れも0.05〜0.2μmの範囲内であった。
次に、実施例2、参考例1、参考例3及び比較例1で用いた微粒子、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の物性、及び得られたインクの性能を以下の方法に従って測定した。その結果を表2に示す。
微粒子、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径、D10、D90の測定方法
微粒子、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力する。測定濃度は、通常5×10-3重量%程度で行った。
屈折率の測定方法
微粒子を分散させた液をスピンコートして、薄膜(約100μm)を作製したのち、減圧乾燥機(105℃、−8000Pa、10時間乾燥)で分散媒を除去し、光干渉式膜厚測定装置(製品名:ラムダエース VM-1000、大日本スクリーン株式会社製)によりJIS K7142−1996(B法)で測定(測定波長589nm)を行った。
Tgの測定方法
本発明において、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を用いて測定した値をいう。具体的には、下記の連続する温度プログラム1〜4の条件で測定を行い、温度プログラム3で測定された値をTgとした。前記の昇温、冷却の温度プログラムにおいて測定を行い、温度プログラム3の測定値を用いるのは、測定値の再現性を確保するためである。
温度プログラム:
1.30 〜 250℃:昇温速度 30℃/min,保持時間 1min
2.250〜−100℃:冷却速度 30℃/min,保持時間30min
3.−100〜250℃:昇温速度 5℃/min,保持時間 1min
4.250 〜 30℃:冷却速度 30℃/min,保持時間 2min
印字濃度の測定
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて、市販の普通紙(商品名:ゼロックス4024)にベタ印字(印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン、印刷パス回数:1回)し、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD914)で5回測定し、平均値を求めた。数値が大きい方が、印字濃度が高い。
Figure 0005324738
表2に示された結果から、実施例2、参考例1及び参考例3で得られたインクは、いずれも、普通紙に高印字濃度を付与することができることが分かる。なお、印字濃度は1パスで印字した値であるため、通常より全体的に低くなる。
次に、標準インクを作製し、顔料の平均浸透深度を測定した。
標準試験と平均浸透深度の測定法
下記標準インクをセイコーエプソン株式会社製プリンター〔商品名:EM−930C(ノズル径φ38μm、解像度360dpi、吐出周波数14.4kHz、ファインモード、印刷速度9.2ppm、液滴量40pl)〕で普通紙(XEROX株式会社製、商品名:4024)にベタ印刷(100%Dutyの塗りつぶし印刷)〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン(1パス)〕する。25℃で24時間放置後、ベタ印刷部をカッターで切断し、切断面の任意の10箇所で、超深度形状測定顕微鏡(VK−8500、株式会社キーエンス製)で観察して顔料の浸透深度を測定し、平均値を平均浸透深度とした。
標準インクの作製
前記製造例1と同様にして、表3に示すモノマーを使用してポリマー溶液を得た。
なお、表3に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=9):新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=9):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500
Figure 0005324738
上記で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.1部(中和度75%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にキナクリドン顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19、クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Hostaperm Red E5B02)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。前述の測定方法により測定した顔料含有ビニルポリマー粒子の平均粒径は110nm、D10〔小粒径側からの積算粒径分布(個数基準)が10%となる粒径〕は70nm、D90〔小粒径側からの積算粒径分布(個数基準)が90%となる粒径〕は171nmであった。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体37.35部(純分7.47部)に、2−ピロリドン10重量部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)1重量部、フッ素含有微粒子10重量部(固形分)を混合し、E型粘度計(粘度計:RE80、東機産業株式会社製)で粘度が4mPa・sとなるようにグリセリンと水を添加して合計100重量部にし、1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去して、標準インクを作製した。尚、E型粘度の測定条件は、測定温度が20℃、測定時間が1分、回転数100rpm、ロータ 標準(1°34′×R24)である。
(平均浸透深度の測定結果)
上記フッ素含有微粒子として、実施例2に使用したフッ素含有ポリマーエマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブランFJ−311)と参考例3に使用したPTFEエマルジョン(旭硝子株式会社製、製品名:AD911)を用いた場合、顔料の平均浸透深度はそれぞれ56μm、53μmであった。
一方、フッ素含有微粒子を用いずに、その分イオン交換水に替えた対照インクでは、顔料の平均浸透深度は77μmであった。

Claims (4)

  1. 着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子とフッ素原子を有するポリマー粒子とを含有し、フッ素原子を有するポリマー粒子の屈折率が1.51〜1.55であり、かつフッ素原子を有するポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)が30〜250℃である、インクジェット記録用水分散体。
  2. 着色剤とフッ素原子を有するポリマー粒子との重量比〔着色剤/フッ素原子を有するポリマー粒子〕が1/10〜10/1である、請求項1記載のインクジェット記録用水分散体。
  3. フッ素原子を有するポリマー粒子の平均粒径が50〜300nmである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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