JP5327116B2 - 液晶ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、液晶ポリエステル繊維は分子鎖が剛直であるため3次元構造をとりにくく、繊維軸垂直方向の耐圧縮性に劣るという欠点も持つ。
条件1.示差熱量測定において、50℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク(Tm1)における融解熱量(ΔHm1)が、Tm1の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で50℃まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク(Tm2)における融解熱量(ΔHm2)に対して2.0倍以上
条件2.Tm1におけるピーク半値幅が15℃未満
条件3.強度が10cN/dtex以上、かつ弾性率が600cN/dtex以上
本発明で用いられる液晶ポリエステルとは、溶融時に異方性溶融相(液晶性)を形成し得るポリエステルである。この特性は例えば、液晶ポリエステルからなる試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を偏光下で観察することにより確認できる。
本発明に用いる液晶ポリエステルは、芳香族オキシカルボン酸成分として2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位を38〜74モル%含む。縮合多環芳香族炭化水素であるナフタレン環を構造単位に有する2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位を38モル%以上含むことで、高い繊維軸垂直方向の耐圧縮性(以下、耐圧縮性と記載する)を有する繊維となる。また、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位が74モル%を超える場合、良好な流動性を得ることができず溶融紡糸による繊維化が困難となり、繊維特性が変動する。
さらに、本発明に用いる液晶ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸である2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位を13〜31モル%含むことで、繊維化した際に優れた耐圧縮性が得られる。
ここで、本発明の液晶ポリエステル繊維のΔHm1は3.0J/g以上が好ましく、4.0J/g以上がより好ましく、5.0J/g以上がさらに好ましい。このような高いΔHm1を有することで強度および弾性率が優れた繊維となる。なお融解熱量の上限は特に限定されないが、本発明で達しえる上限としては30.0J/g程度である。
強度、弾性率が高いことによりロープ、テンションメンバー等の補強用繊維、フィルター用メッシュ織物、スクリーン印刷用メッシュなどの用途に好適に使用できるほか、細繊度でも高い強力を発現させ得るため繊維材料の軽量化が達成でき、製織など高次加工工程での糸切れも抑制できる。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、マルチフィラメント、モノフィラメント、ステープルファイバー、カットファイバー等任意の形状でよい。また、織物、編物、不織布、組み紐等の繊維構造物として利用することができる。
本発明に用いる液晶ポリエステルの製造方法としては、例えば、所定量の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、得られる液晶ポリエステルの融点+20〜+40℃まで昇温し、減圧下溶融重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。
また、2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長を制御するために、ランダム化触媒を重合時に添加することが好ましい。
また、低張力巻き取りにおいても安定したパッケージを形成するため、ならびに端面部の融着を回避し、安定したパッケージを形成するためには巻き形態は両端にテーパーがついたテーパーエンド巻取とすることが好ましい。
固相重合処理は窒素等の不活性ガス雰囲気中や、空気のような酸素含有の活性ガス雰囲気中または減圧下で施すことが可能であるが、設備の簡素化および繊維あるいは付着物の酸化防止のため窒素雰囲気下で施すことが好ましい。この際、固相重合処理の雰囲気は露点が−40℃以下の低湿気体が好ましい。
TAinstruments社製DSC2920により示差熱量測定を行い、50℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークの温度をTm1(℃)とし、Tm1におけるピーク半値幅(℃)、ΔHm1(J/g)を測定した。 続いて、Tm1の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で50℃まで冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークをTm2とし、Tm2におけるΔHm2(J/g)を測定した。また、該測定で得られたΔHm1をΔHm2で除した商をΔHm1/ΔHm2とした。
検尺機にて繊維を10mカセ取りし、その重量(g)を1000倍し、1水準当たり10回の測定を行い、平均値を繊度(dtex)とした。これをフィラメント数で除した商を単繊維繊度(dtex)とした。繊度変動率は繊度の10回の平均値からの最大もしくは最小値の差の絶対値のうち、いずれか大きい方の値を用いて下式により算出した。
繊度変動率(%)=((|最大値もしくは最小値−平均値|/平均値)×100)
(3)強度、伸度、弾性率および強力変動率
JIS L1013:1999記載の方法に準じて、試料長100mm、引張速度50mm/分、雰囲気温度25℃の条件で、オリエンテック社製テンシロンUCT−100を用い1水準当たり10回の測定を行い、平均値を強力(cN)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、弾性率(cN/dtex)とした。強力変動率は強力の10回の平均値からの最大もしくは最小値の差の絶対値のうち、いずれか大きい方の値を用いて下式により算出した。
強力変動率(%)=((|最大値もしくは最小値−平均値|/平均値)×100)
強度および弾性率の評価は、上記測定の値を基に下記基準で判断した。
<強度および弾性率評価基準>
○:強度10cN/dtex以上、かつ弾性率600cN/dtex以上
×:強度10cN/dtex未満、かつ/または弾性率600cN/dtex未満
(4)220℃における強度の保持率
試料部に220℃に加熱した高温炉を取付けたオリエンテック社製テンシロンUCT−100を用いて、測定試料を高温炉中に30秒間保持させた後に(3)と同様の測定を行い、得られた強度を220℃における強度(cN/dtex)とした。220℃における強度の保持率は、該測定手法で得られた220℃における強度の値、および(3)で得られた強度の値を用いて下式により算出した。
220℃における強度の保持率(%)=((220℃における強度/(3)で得られた強度)×100)
(5)横方向降伏荷重、圧縮弾性率および耐圧縮性評価
単繊維1本をセラミックス製等の剛性の高いステージに静置し、正方形の圧子を用い、圧子の対角線方向に繊維を置いた状態で、下記条件において繊維直径方向に圧子を用いて圧縮負荷を一定の試験速度で加え、荷重−変位曲線を得た後、横方向降伏荷重、圧縮弾性率を算出した。
なお、測定に当たっては、装置系の変形量の補正を行うため試料を置かない状態で荷重−変位曲線を得て、これを直線近似して荷重に対する装置の変形量を算出し、試料を置いて荷重−変位曲線を測定した際の各々のデータ点の変位から、その荷重に対する装置の変形量を減じて試料そのものの変位を求め、これを以下の算出に用いた。
横方向降伏荷重の算出は、荷重−変位曲線において降伏点(概略図1におけるA)を概略判定し、降伏点よりも低変位側で勾配が最大となる接線(概略図1におけるB)と、降伏点よりも高変位側で勾配が最小となる接線(概略図1におけるC)を求め、この2本の直線の交点の荷重を横方向降伏荷重(概略図1におけるD)として求めた。また荷重−変位曲線は試料1水準について3回測定し、横方向降伏荷重も3回算出し、これを平均したものを横方向降伏荷重とした。
耐圧縮性の評価は、横方向降伏荷重および圧縮弾性率の値を基に、下記基準で評価した。
<耐圧縮性評価基準>
○:横方向降伏荷重0.30N以上、かつ圧縮弾性率1.00GPa以上
△:横方向降伏荷重0.30N以上、かつ圧縮弾性率1.00GPa未満
×:横方向降伏荷重0.30N未満
圧子 :ダイヤモンド製平面圧子(対角線500μmの正方形)
負荷速度 :41.5mN/s(負荷速度一定方式)
サンプリング速度 :0.05秒
測定雰囲気 :室温大気中(23±2℃、50±5%RH)
参考例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸724.9重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル479.3重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸556.5重量部、酢酸ナトリウム0.32重量部および無水酢酸1010.7重量部(フェノール性水酸基合計の1.10モル当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間アセチル化反応させた後、370℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を370℃に保持し、1.0時間で133Paに減圧し、更に60分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸643.6重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル519.5重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸603.2重量部、酢酸ナトリウム0.32重量部および無水酢酸1010.7重量部(フェノール性水酸基合計の1.10モル当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間アセチル化反応させた後、365℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を375℃に保持し、1.0時間で133Paに減圧し、更に60分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1253.3重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル217.9重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸252.9重量部、酢酸ナトリウム0.31重量部および無水酢酸1010.7重量部(フェノール性水酸基合計の1.10モル当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間アセチル化反応させた後、355℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を340℃に保持し、1.0時間で133Paに減圧し、更に60分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶ポリエステルのTmは328℃であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度348℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸559重量部、p−ヒドロキシ安息香酸1109重量部、および無水酢酸1213重量部(フェノール性水酸基合計の1.08モル当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間アセチル化反応させた後、315℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を315℃に保持し、1.5時間で133Paに減圧し、更に20分間反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶ポリエステルのTmは280℃であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度300℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が29Pa・sであった。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸41重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸285重量部、p−ヒドロキシ安息香酸1124重量部、ハイドロキノン145重量部、および無水酢酸1213重量部(フェノール性水酸基合計の1.08モル当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間アセチル化反応させた後、335℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を335℃に保持し、1.5時間で133Paに減圧し、更に20分間反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
参考例1の液晶ポリエステルを用い、160℃、12時間の真空乾燥を行った後、大阪精機工作株式会社製φ15mm単軸エクストルーダーにて溶融押し出しし、ギアーポンプで計量しつつ紡糸パックにポリマーを供給した。このときのエクストルーダー出から紡糸パックまでの紡糸温度は375℃とした。紡糸パックでは金属不織布フィルター(渡辺義一製作所社製WLF−10)を用いてポリマーを濾過し、孔径0.13mm、ランド長0.26mmの孔を5個有する口金より吐出量3.0g/分(単孔あたり0.6g/分)でポリマーを吐出した。
これを、密閉型オーブンを用い、室温から200℃までは約30分で昇温し、200℃にて5時間保持した後、10時間で325℃まで昇温し、さらに325℃で20時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお、雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
得られた液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表2に示す。該繊維は優れた強度および弾性率を有しており、優れた横方向降伏荷重および圧縮弾性率も有していた。
このように、参考例1の液晶ポリエステルを用い、ΔHm1/ΔHm2の値が2.0以上かつTm1におけるピーク半値幅を15℃未満とすることで、優れた強度および弾性率と優れた耐圧縮性を有した液晶ポリエステル繊維が得られることが分かる。
参考例2の液晶ポリエステルを用い、エクストルーダー出から紡糸パックまでの紡糸温度を380℃とした以外は実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た。
これを、密閉型オーブンを用い、室温から200℃までは約30分で昇温し、200℃にて5時間保持した後、10時間で330℃まで昇温し、さらに330℃で20時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお、雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
得られた固相重合処理後のパッケージを実施例1と同様の方法で解舒洗浄を行い巻き取った。
得られた液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表2に示す。該繊維は優れた強度および弾性率を有しており、横方向降伏荷重および圧縮弾性率は実施例1と比較してやや劣るものの、良好であった。
このように、参考例2の液晶ポリエステルを用い、ΔHm1/ΔHm2の値が2.0以上かつTm1におけるピーク半値幅を15℃未満とすることで、優れた強度および弾性率と良好な耐圧縮性を有した液晶ポリエステル繊維が得られることが分かる。
参考例3の液晶ポリエステルを用い、エクストルーダー出から紡糸パックまでの紡糸温度を360℃とした以外は実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た。
得られた固相重合処理後のパッケージを実施例1と同様の方法で解舒洗浄を行い巻き取った。液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表2に示す。該繊維は優れた横方向降伏荷重および圧縮弾性率を有しており、強度および弾性率は実施例1と比較してやや劣るものの、良好であった。
このように、参考例3の液晶ポリエステルを用い、ΔHm1/ΔHm2の値が2.0以上かつTm1におけるピーク半値幅を15℃未満とすることで、良好な強度および弾性率と優れた耐圧縮性を有した液晶ポリエステル繊維が得られることが分かる。
参考例4の液晶ポリエステルを用い、エクストルーダー出から紡糸パックまでの紡糸温度を310℃とした以外は実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た。
得られた固相重合処理後のパッケージを実施例1と同様の方法で解舒洗浄を行い巻き取った。液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表2に示す。該繊維は優れた強度および弾性率を有していたが、横方向降伏荷重および圧縮弾性率が低かった。
このように、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位の割合が27モル%と低く、かつ他の構造単位が本発明に用いられる液晶ポリエステルと異なる参考例4の液晶ポリエステルを用いた場合、横方向降伏荷重および圧縮弾性率が低くなり、耐圧縮性評価が×となることが分かる。
参考例5の液晶ポリエステルを用い、エクストルーダー出から紡糸パックまでの紡糸温度を350℃とした以外は実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た。
これを、密閉型オーブンを用い、室温から200℃までは約30分で昇温し、200℃にて5時間保持した後、10時間で300℃まで昇温し、さらに300℃で20時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお、雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
得られた固相重合処理後のパッケージを実施例1と同様の方法で解舒洗浄を行い巻き取った。液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表2に示す。該繊維は優れた強度および弾性率を有していたが、横方向降伏荷重および圧縮弾性率が低かった。
このように、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位の割合が2モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位の割合が12%と低く、かつ他の構造単位が本発明に用いられる液晶ポリエステルと異なる参考例5の液晶ポリエステルを用いた場合、横方向降伏荷重および圧縮弾性率が低くなり、耐圧縮性評価が×となることが分かる。
紡糸原糸の引き取りに際して、第2ゴデットロールを介した後、5フィラメント全てをダンサーアームを介しパーンワインダー(巻取パッケージに接触するコンタクトロール無し)を用いてパーンの形状に巻き取ったこと以外は実施例1と同様の方法で液晶ポリエステル繊維を得た。
得られた液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表2に示す。該繊維は優れた強度および弾性率を有しており、優れた耐圧縮性も有していた。
このように、マルチフィラメントであっても、参考例1の液晶ポリエステルを用い、ΔHm1/ΔHm2の値が2.0以上かつTm1におけるピーク半値幅を15℃未満とすることで、優れた強度および弾性率と優れた耐圧縮性を有した液晶ポリエステル繊維が得られることが分かる。
実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た後、密閉型オーブンを用い、室温から180℃までは約30分で昇温し、180℃にて5時間保持した後、10時間で295℃まで昇温し、さらに295℃で20時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
得られた固相重合処理後のパッケージを実施例1と同様の方法で解舒洗浄を行い巻き取った。液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表3に示す。該繊維は優れた耐圧縮性を有しており、強度および弾性率は実施例1と比較してやや劣るものの、良好であった。
このように、1stステップの固相重合処理温度が180℃、2ndステップの固相重合処理温度が295℃の場合は、固相重合反応が進み難く強度および弾性率がやや劣るものの良好であり、優れた耐圧縮性を有した液晶ポリエステル繊維が得られることが分かる。
実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た後、密閉型オーブンを用い、室温から240℃までは約30分で昇温し、240℃にて5時間保持した後、10時間で340℃まで昇温し、さらに340℃で20時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
このように、1stステップの固相重合処理温度が240℃、2ndステップの固相重合処理温度が340℃の場合は、多少の繊維同士の融着が発生し強度および弾性率がやや劣るものの良好であり、優れた耐圧縮性を有した液晶ポリエステル繊維が得られることが分かる。
実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た後、密閉型オーブンを用い、室温から200℃までは約30分で昇温し、200℃にて1時間保持した後、10時間で325℃まで昇温し、さらに325℃で5時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
得られた固相重合処理後のパッケージを実施例1と同様の方法で解舒洗浄を行い巻き取った。得られた液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表3に示す。該繊維は優れた耐圧縮性を有しており、強度および弾性率は実施例1と比較してやや劣るものの、良好であった。
このように、1stステップの固相重合処理時間が1時間、2ndステップの固相重合処理時間が5時間の場合は、固相重合反応の進行度合いがやや低くなるため強度および弾性率にやや劣るものの良好であり、優れた耐圧縮性を有した液晶ポリエステル繊維が得られることが分かる。
実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た後、密閉型オーブンを用い、室温から200℃までは約30分で昇温し、200℃にて20時間保持した後、10時間で325℃まで昇温し、さらに325℃で50時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
得られた液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表3に示す。該繊維は優れた強度および弾性率を有しており、優れた耐圧縮性も有していた。
このように1stステップの固相重合処理時間が20時間、2ndステップの固相重合処理時間が50時間の場合は、強度および伸度は実施例1と比較して大きな変化は無く、優れた強度および弾性率と優れた耐圧縮性を有した液晶ポリエステル繊維が得られることが分かる。
実施例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た後、密閉型オーブンを用い、室温から250℃までは約30分で昇温し、250℃にて30分保持した後、10時間で325℃まで昇温し、さらに325℃で20時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
この液晶ポリエステル繊維は融着が著しく、200m/分で解舒した際に糸切れが多発し解舒が困難であったため、10m/分の低速にて解除を行った。
得られた液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表3に示す。該繊維は優れた耐圧縮性を有していたが、強度および弾性率が低かった。
このように、結晶性を高めずに固相重合処理を施すと、繊維同士の融着が発生してしまうため強度および弾性率が低くなり、強度および弾性率評価が×となることが分かる。
参考例1と同様の方法でケブラーフェルトに巻き返した紡糸繊維を得た後、密閉型オーブンを用い、室温から200℃までは約30分で昇温し、200℃にて5時間保持した後、14時間で290℃まで昇温し、さらに290℃で20時間保持する条件にて固相重合処理を施した。なお雰囲気は除湿窒素を流量25NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。
得られた液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表3に示す。該繊維は優れた耐圧縮性を有していたが、強度および弾性率が低かった。
このように、固相重合処理温度が低い場合では固相重合反応が十分に進行しないため強度および弾性率が低くなり、強度および弾性率評価が×となることが分かる。
実施例1で得た紡糸原糸を用いて評価を行った。液晶ポリエステル繊維の物性および評価結果を表3に示す。該繊維は優れた耐圧縮性を有していたが、強度および弾性率が低かった。このように、ΔHm1/ΔHm2の値が2.0未満でありTm1におけるピーク半値幅を15℃以上場合は、強度および弾性率が低くなり、強度および弾性率評価が×となることが分かる。
B:降伏点よりも低変位側で勾配が最大となる接線
C:降伏点よりも高変位側で勾配が最小となる接線
D:横方向降伏荷重
Claims (3)
- 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位38〜74モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位13〜31モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位13〜31モル%で構成される液晶ポリエステルから成り、下記条件1〜3を同時に満たすことを特徴とする液晶ポリエステル繊維。
条件1.示差熱量測定において、50℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク(Tm1)における融解熱量(ΔHm1)を、Tm1の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で50℃まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク(Tm2)における融解熱量(ΔHm2)で除した商の値が2.0以上
条件2.Tm1におけるピーク半値幅が15℃未満
条件3.強度が10cN/dtex以上、かつ弾性率が600cN/dtex以上 - 25℃における強度に対して220℃における強度の保持率が50%以上であることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステル繊維。
- 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位38〜74モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位13〜31モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位13〜31モル%で構成される液晶ポリエステルを溶融紡糸して得た繊維を段階的に固相重合処理を施す方法であって、180〜240℃で1時間以上保持し、次いで液晶ポリエステルの融点−50℃以上、液晶ポリエステルの融点−5℃以下で5時間以上保持することを特徴とする液晶ポリエステル繊維の製造方法。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2010067842A JP5327116B2 (ja) | 2010-03-24 | 2010-03-24 | 液晶ポリエステル繊維およびその製造方法 |
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