以下、添付図面を参照して、本発明に係るオートフォーカスシステムについて詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるテレビカメラシステムの一実施の形態を示した外観図である。同図に示すようにテレビカメラ10は、主に放送用又は業務用に使用されるテレビカメラであり、レンズ装置12とカメラ本体14とで構成され、ペデスタルドリー16上に設置された雲台18に支持されている。
雲台18には、左右2本のパン棒22、24が延設されており、右側のパン棒22のグリップ部22Aには、フォーカスデマンド(フォーカスコントローラ)26がマウンティングクランプ38によって設置され、左側のパン棒24のグリップ部にはズームデマンド(ズームコントローラ)28が設置されている。
フォーカスデマンド26には、回動可能なフォーカスノブ30が設けられており、マニュアルフォーカス(MF)によりフォーカス制御を行う際に、このフォーカスノブ30を回動操作すると、その回動位置に応じたフォーカス位置を目標位置としてフォーカス(フォーカスレンズ)の移動を指令するフォーカス制御信号がフォーカスデマンド26からレンズ装置12に与えられる。これにより、レンズ装置12のフォーカスレンズがフォーカス制御信号によって指令された目標位置に移動する。
ズームデマンド28には、回動可能なサムリング34が設けられており、そのサムリング34を左右方向に回動操作すると、回動位置に応じたズーム速度を目標速度としてズーム(ズームレンズ)の移動を指令するズーム制御信号がズームデマンド28からレンズ装置12に与えられる。これにより、レンズ装置12のズームレンズがズーム制御信号によって指令された目標速度で移動する。
また、図では省略するが、フォーカスデマンド26には、オートフォーカス(AF)に関する各種操作部材が設けられると共に、AFによりピントを合わせる対象の被写体範囲(AFの対象範囲)を示すAF枠の制御(位置等の変更)を行うためのAF枠制御装置(AF枠自動追尾装置)が組み込まれ、そのAF枠制御装置の各種操作部材もフォーカスデマンド26に設けられている。
更に、AF枠制御装置の構成要素として同図のようにタッチパネル付き液晶ディスプレイ(LCD)40が設置具によりフォーカスデマンド26の本体上部に設置され、図示しないケーブルでフォーカスデマンド26に接続されている。
尚、以下において、単にLCD40と記した場合にはこのタッチパネル付き液晶ディスプレイ40を示す。また、LCD40は、フォーカスデマンド26の本体上部以外の任意の位置に設置することが可能である。例えば、ビューファインダ36の横に設置してもよい。
カメラ本体14の上には、表示装置であるビューファインダ36が設置されている。このビューファインダ36には、本テレビカメラ10で撮影されている被写体の映像が表示されるため、カメラマンはその映像を見ながらフォーカスデマンド26やズームデマンド28を操作することによって所望の構図で被写体を撮影することができるようになっている。尚、以下において、撮影映像又は撮影画像と称した場合には、テレビカメラ10で現在撮影されている映像又は画像を示すものとする。
また、ビューファインダ36に表示される撮影映像には、現在AF枠が設定されている位置、大きさ、形状(縦横比)を示すAF枠の画像が重畳されて表示されるようになっており、AFによりフォーカス制御を行う場合には撮影映像内のどの範囲の被写体にピントが合わせられるかを知ることができるようになっている。尚、MFとAFのフォーカス制御は、フォーカスデマンド26に設けられたモードスイッチ等で切り替えられるようになっている。
図2は、上記テレビカメラシステムに適用されるオートフォーカスシステムの全体構成を示したブロック図である。
同図のオートフォーカスシステム1には、図1に示したテレビカメラ10のレンズ装置12及びカメラ本体14とビューファインダ36が示されている。また、図1のフォーカスデマンド26の構成要素として、フォーカス操作部50と、フォーカスデマンド26に組み込まれたAF枠制御装置(AF枠自動追尾装置)を構成する画像処理ユニット58及びAF枠操作部60が示されている。
テレビカメラ10は、ハイビジョンテレビ[HD(High Definition)TV]方式に対応したHDカメラからなるカメラ本体14と、カメラ本体14のレンズマウントに装着される撮影レンズ(光学系)を備えたレンズ装置12とから構成される。
カメラ本体14には、撮像素子(例えばCCD)や所要の信号処理回路等が搭載されており、レンズ装置12の撮影レンズにより結像された像は、撮像素子により光電変換された後、信号処理回路によって所要の信号処理が施されてHDTV方式の映像信号(HDTV信号)として、カメラ本体14の映像信号出力端子等から外部に出力される。
また、図1のようにカメラ本体14の上部等に設置されるビューファインダ36には、テレビカメラ10の撮影映像が表示されるようになっている。ビューファインダ36には、撮影映像以外の各種情報が表示されるようになっており、例えば、現在の設定されているAF枠の範囲(位置、大きさ、形状)を示す画像が撮影映像に重畳されて表示されるようになっている。
レンズ装置12は、カメラ本体14のレンズマウントに装着される撮影レンズ(ズームレンズ)64を備えており、その撮影レンズ64により、被写体56がカメラ本体14の撮像素子の撮像面に結像されるようになっている。撮影レンズ64には、図示を省略するが、その構成要素としてフォーカスレンズ群、ズームレンズ群、絞りなどの撮影条件を調整するための可動部が設けられており、それらの可動部は、モータ(サーボ機構)によって電動駆動されるようになっている。例えば、フォーカスレンズ群やズームレンズ群は光軸方向に移動し、フォーカスレンズ群が移動することによってフォーカス(被写体距離)調整が行われ、またズームレンズ群が移動することによって焦点距離(ズーム倍率)調整が行われる。
尚、AFに関するシステムにおいては、少なくともフォーカスレンズ群が電動で駆動できればよく、その他の可動部は手動でのみ駆動可能であってもよい。
また、レンズ装置12には、AFユニット66及び図示しないレンズCPU等が搭載されている。レンズCPUはレンズ装置12全体を統括制御するものであり、フォーカスレンズ群、ズームレンズ群、絞りなどのモータによって電動駆動される制御対象の状態(位置、速度)をモータを駆動して制御する。また、AFユニット66は、AFによるフォーカス制御(自動ピント調整)を行うために必要な情報を取得するための処理部であり、図示を省略するが、AF処理部、AF用撮像回路等から構成されている。
AF用撮像回路はAF処理用の映像信号を取得するためにレンズ装置12に配置されており、CCD等の撮像素子(AF用撮像素子という)やAF用撮像素子の出力信号を所定形式の映像信号として出力する処理回路等を備えている。尚、AF用撮像回路から出力される映像信号は輝度信号である。
AF用撮像素子の撮像面には、撮影レンズ64の光路上に配置されたハーフミラー等によってカメラ本体14の撮像素子に入射する被写体光から分岐された被写体光が結像するようになっている。AF用撮像素子の撮像エリアに対する撮影範囲及び被写体距離(ピントが合う被写体の距離)は、カメラ本体14の撮像素子の撮像エリアに対する撮影範囲及び被写体距離に一致するように構成されており、AF用撮像素子により取り込まれる被写体画像は、カメラ本体14の撮像素子により取り込まれる被写体画像と一致している。なお、両者の撮影範囲に関しては完全に一致している必要はなく、例えば、AF用撮像素子の撮影範囲の方がカメラ本体14の撮像素子の撮影範囲を包含する大きな範囲であってもよい。
AF処理部は、AF用撮像回路から映像信号を取得し、その映像信号に基づいてAFの対象範囲とするAFエリア(AF枠)の範囲内における被写体画像のコントラストの高低を示す焦点評価値を算出する。例えば、AF用撮像素子から得られた映像信号から高域周波数成分の信号をハイパスフィルタによって抽出した後、その高域周波数成分の信号のうち後述のようにして設定されるAFエリアに対応する範囲の信号を1画面(1フレーム)分ずつ積算する。このようにして1画面分ごとに得られる積算値はAFエリア内の被写体画像のコントラストの高低を示し、その積算値が焦点評価値としてレンズCPUに与えられる。
レンズCPUは、AFエリアの範囲(輪郭)を示すAF枠の情報(AF枠情報)を、後述するように画像処理ユニット58から取得し、そのAF枠情報により指定されたAF枠内の範囲をAFエリアとしてAF処理部に指定する。そして、そのAFエリア内の画像(映像信号)により求められる焦点評価値をAF処理部から取得する。
このようにしてAF用撮像回路から1画面分の映像信号が取得されるごとに(AF処理部で焦点評価値が求められるごとに)AF処理部から焦点評価値を取得すると共に、取得した焦点評価値が最大(極大)、即ち、AF枠内の被写体画像のコントラストが最大となるようにフォーカスレンズ群を制御する。例えば、焦点評価値に基づくフォーカスレンズ群の制御方式として山登り方式が一般的に知られており、フォーカスレンズ群を焦点評価値が増加する方向に移動させて行き、焦点評価値が減少し始める点を検出すると、その位置にフォーカスレンズ群を設定する。これにより、AF枠内の被写体に自動でピントが合わせられる。
尚、上述のAF処理部は、焦点評価値を算出するために、レンズ装置12に搭載されたAF用撮像素子から映像信号を取得しているが、カメラ本体14の撮像素子より撮影された映像の映像信号をカメラ本体14から取得するような構成としてもよい。また、AF枠内の被写体に自動でピントを合わせるためのAF手段はどのようなものであってもよい。
ここで、AFエリア200は、図3に示すようにカメラ本体14における撮像素子の撮像エリア202に対して四角形状の領域として設定され、その輪郭を示す枠204がAF枠を示し、撮像素子のAFエリア200(AF枠204内)の範囲で撮影される被写体がAFによりピントを合わせる対象となる。
尚、本明細書では、撮像エリア202に対するAF枠204(AFエリア200)の範囲は、AF枠204の位置、大きさ、及び、形状(縦横比)の3つの要素によって決まるものとし、“AF枠の範囲を変更する”という趣旨の記載は、AF枠の位置、大きさ、及び、形状の3つの要素のうち、少なくとも1つの要素を変更することを意味するものとする。
また、レンズ装置12は、ケーブルを介して、又は、直接的にカメラ本体14と接続され、レンズ装置12とカメラ本体14の各々に設けられたシリアル通信インターフェース(SCI)12a、14aを通じて各種情報のやり取りが行えるようになっている。これによりAFユニット66において現在設定されているAF枠の情報もカメラ本体14に送信され、カメラ本体14内での処理によってビューファインダ36に表示される撮影映像に現在設定されているAF枠の位置、大きさ、形状に対応したAF枠の画像が重畳表示されるようになっている。
フォーカス操作部50は、フォーカスデマンド26の構成要素であると共に、一般的なフォーカスデマンドが備えている構成要素を示している。フォーカス操作部50の構成要素として、図1に示したフォーカスノブ30、AFモードとMFモードの切替えやAFモードの種類(連続モードやモーメンタリモード)の切替えを行うためのモードスイッチ(図示せず)、AFの開始を指示するAF開始スイッチ(図示せず)等、AFの制御内容やMFの制御に関する操作部材を備えると共に、それらの操作部材の設定状態を検出し、検出した設定状態に基づいて制御信号を送出する処理回路等を備えている。
フォーカスデマンド26にはレンズ装置12とケーブルで接続するためのインターフェース(I/F)52が設けられており、フォーカス操作部50はそのI/F52及びケーブルを介してレンズ装置12に接続され、SCI12aを通じてレンズCPUとの間のシリアル通信により各種信号のやり取りが行えるようになっている。
これにより、フォーカス操作部50から送出された各種制御信号がレンズCPUに与えられ、その制御信号に従った処理がレンズCPUで実行されるようになっている。例えば、AFによるフォーカス制御(AFモード)の指示が与えられた場合には、上記のようにAFユニット66から得られる焦点評価値に基づいてAFによるフォーカス制御が行われ、MFによるフォーカス制御(MFモード)の指示が与えられた場合には、フォーカスノブ30の操作に基づいてフォーカス操作部50から与えられるフォーカス位置指令信号に従ってMFによるフォーカス制御が行われるようになっている。
画像処理ユニット58は、フォーカスデマンド26にAF枠制御装置の構成要素として組み込まれた処理部であり、レンズ装置12のAFユニット66において設定されるAF枠の範囲(位置、大きさ、形状(縦横比))を後述のマニュアル操作又はAF枠自動追尾の処理により指定するための処理部である。
画像処理ユニット58は、SCI70aを備えており、そのSCI70aは、上記I/F52を介してレンズ装置12に接続され、SCI12aを通じてレンズCPUとの間でシリアル通信により各種信号のやり取りが行えるようになっている。これにより、例えば、AF枠の範囲を指定するAF枠情報が画像処理ユニット58からレンズ装置12のレンズCPUに与えられ、そのAF枠情報に基づいてAFユニット66におけるAF枠の範囲が設定される。
また、フォーカスデマンド26には画像処理ユニット58に映像信号を取り込むための映像入力コネクタが設けられており、その映像入力コネクタにカメラ本体14の映像出力コネクタがダウンコンバータ68を介してケーブルで接続される。これによって、カメラ本体14の映像出力コネクタから出力されたHDTV信号が、ダウンコンバータ68によって、標準テレビ[NTSC(National Television System Committee)]方式の映像信号(SDTV信号)に変換(ダウンコンバート)されて、画像処理ユニット58に入力されるようになっている。
画像処理ユニット58は、AF枠自動追尾処理を実行する際に、カメラ本体14から入力された撮影映像の映像信号から1コマ分の撮撮画像を順次取り込み、撮影画像の中から所定の追尾対象の被写体を検出する処理を行う。そして、AFによりその被写体にピントが合わせられるようにAF枠の範囲を決定し、決定したAF枠の範囲をレンズ装置12のレンズCPUに送信する。
AF枠操作部60は、AF枠制御装置としてフォーカスデマンド26に画像処理ユニット58と共に一体的に設けられ、又は、その一部又は全てが、フォーカスデマンド26とは別体の装置、即ち、画像処理ユニット58とは別体の装置に設けられてケーブル等で接続されている。本実施の形態では、図1のようにタッチパネル付きLCD40がフォーカスデマンド26(画像処理ユニット58)とは別体で設けられ、他の構成要素(後述する追尾モード切替スイッチ112を含む)はフォーカスデマンド26に画像処理ユニット58と共に一体的に設けられている。
AF枠操作部60は、主にAF枠の制御に関する操作を行うための操作部であり、AF枠の範囲を操作者がマニュアル操作で指示入力するための操作部材や、AF枠を所望の被写体に自動で追尾させるAF枠自動追尾に関する操作を行うための操作部材を備えている。また、後述するようにAF枠の自動追尾を行うモードを選択するための切替スイッチも備えている。
図4のフォーカスデマンド26の外観図にも併せて示すように、AF枠操作部60の操作部材として、AF枠の位置をユーザの手動操作により上下左右に移動させるための位置操作部材100(例えば、ジョイスティックやトラックボール)、AF枠の大きさを手動操作により変更するためのサイズ操作部材102(例えば、ツマミ)、AF枠の形状を手動操作により変更するための形状操作部材104(例えば、ツマミ)、AF枠自動追尾の開始を指示する追尾開始スイッチ108、AF枠自動追尾の停止を指示する追尾停止スイッチ110が設けられており、これらの操作部材100、102、104、108、110の設定状態が、画像処理ユニット58(後述のメインボード70のCPU78)により読み取られるようになっている。
また、AF枠操作部60のLCD40は、AF枠自動追尾に関するモード等の設定をタッチ操作(タップ操作)で入力できるようにしたもので、画像処理ユニット58のCPU78によりLCD40に表示される画像が設定内容に応じて適宜切り換えられるようになっている。このLCD40は、図2に示すように、コネクタ84を介して画像処理ユニット58に着脱自在に接続される。
尚、本実施の形態では、画像処理ユニット58やAF枠操作部60を備えたAF枠制御装置がフォーカスデマンド26に組み込まれた態様を示したが、AF枠制御装置はフォーカスデマンド26とは別体の装置として構成してもよい。また、この場合に、AF枠操作部60は、その一部又は全てを画像処理ユニット58と一体の装置に設けられてもよいし、別体の装置に設けてもよい。
次に画像処理ユニット58の構成及び処理内容について説明する。
画像処理ユニット58は、主としてメインボード70、パターンマッチング処理演算ボード72、顔認識処理演算ボード74から構成されている。メインボード70、パターンマッチング処理演算ボード72、顔認識処理演算ボード74の各々にはCPU78、90、92が搭載されており、各ボード毎に個別の演算処理が行われると共に、各CPU78、90、92は、バスや制御線で接続され、相互にデータのやり取りや、演算処理の同期等が図られるようになっている。
画像処理ユニット58における処理は、メインボード70において統括的に行われるようになっている。そのメインボード70には、演算処理を行う上記CPU78の他に、SCI70a、デコーダ(A/D変換器)76、スーパーインポーザ82、RAM80等が搭載されている。
SCI70aは、上述のようにレンズ装置12のSCI12aとの間でシリアル通信を行うためのインターフェース回路であり、上記AF枠情報等をレンズ装置12に送信する。
デコーダ76は、上記ダウンコンバータ68から画像処理ユニット58に入力されるテレビカメラ10の撮影映像の映像信号(SDTV信号)を、画像処理ユニット58においてデジタル処理可能なデータに変換するための回路であり、アナログのSDTV信号をデジタルデータの映像信号に変換するA/D変換処理等を行っている。このデコーダ76から出力される撮影映像の映像信号は、パターンマッチング処理演算ボード72や顔認識処理演算ボード74にも送られ、パターンマッチング処理演算ボード72や顔認識処理演算ボード74においてもテレビカメラ10の撮影映像を1コマ単位の撮影画像として取得することができるようになっている。
スーパーインポーザ82は、上記のデコーダ76により得られた撮影映像の映像信号と、CPU78により生成される画像信号とを合成し、その合成した映像信号をLCD40に出力・表示する回路である。これにより、カメラ本体14に設置されているビューファインダ36と同様にテレビカメラ10の撮影映像がLCD40に表示されると共に、その撮影映像に重ねて、現在設定されているAF枠の範囲を示すAF枠の画像や、タッチパネルでの入力操作を行えるようにしたメニュー画面(メニュー画像)等がLCD40に表示される。尚、撮影映像に重畳させることなくCPU78で生成された画像のみを表示させることも当然可能である。
RAM80は、CPU78の演算処理において使用するデータを一時的に格納するメモリである。
一方、パターンマッチング処理演算ボード72や顔認識処理演算ボード74は、パターンマッチングと顔検出・認識処理を個別に行うための演算ボードであり、各々、演算処理を行うCPU90、92の他に画像データを一時的に格納するVRAM94、96等を備えている。
また、画像処理ユニット58には、SD(Secure Digital)カードやUSBメモリなどの外部メモリとしてデータカード114を装填するスロット115が設けられており、顔認識により特定の人物の顔を検出する際に、その特定の人物の顔を示す認証データを予めデータカード114に保存しておき、そのデータカード114をスロット115に装填することで、顔認識に必要な認証データをデータカード114からCPU78が読み込めるようになっている。
続いて、上記のごとく構成された画像処理ユニット58によるAF枠の制御についてLCD40の表示及び操作に関する処理と共に説明する。
図5に示すようにLCD40の画面40aには、テレビカメラ10の撮影映像に重畳して各種ボタン300〜310からなるメニュー画面(メニュー画像)と、現在設定されているAF枠の範囲を示すAF枠の画像204(単にAF枠204という)が表示される。メニュー画面の各種ボタン300〜310やAF枠204のように撮影映像に重畳される画像は、図2に示した画像処理ユニット58におけるメインボード70のCPU78により生成され、それらの画像が、スーパーインポーザ82においてデコーダ76から出力されるテレビカメラ10の撮影映像に重畳されてLCD40に表示されるようになっている。尚、LCD40の表示(表示内容)に関する制御はCPU78により行われるものである。
一方、LCD40はタッチパネルを備えており、LCD40の画面40aに対して指先等が触れるタッチ操作が行われると、触れた位置(座標)を示す位置情報がCPU78に与えられるようになっている。これにより、LCD40の画面40aに対して行われたタッチ操作の位置や操作の種類(タップ操作、ダブルタップ操作等)がCPU78により検出されるようになっている。そして、その操作に従った処理がCPU78により実行されるようになっている。
LCD40の画面40aにおける基本的な操作として、各ボタン300〜310に予め割り当てられた指示を入力する操作や、AF枠204の範囲を指定する操作があり、前者の操作は、各ボタン300〜310の位置を指先等でタップ操作するものである。後者のAF枠204の範囲を指定する操作は、例えば、撮影映像が表示されたLCD40の画面40a上において、AF枠204を移動させたい位置をタップ操作すれば、その位置が中心となるようにAF枠204を移動させることができる。また、AF枠204の頂点や辺を指先等でタッチしてそのままスライドするドラッグ操作によってドラッグ操作した位置までタッチした頂点や辺の位置を移動させてAF枠204の大きさや形状を変更することができる。
尚、AF枠204の位置、大きさ、形状は、AF枠操作部60(フォーカスデマンド26)の位置操作部材100、サイズ操作部材102、形状操作部材104の操作でも変更可能である。
LCD40の画面40aに表示されるメニュー画面(メニュー画像)について説明すると、図5において、”固定”と表示された固定モード選択ボタン300、”物体追尾”と表示された物体追尾モード選択ボタン302、”顔検出”と表示された顔検出追尾モード選択ボタン304、”顔認識”と表示された顔認識追尾モード選択ボタン306は、AF枠の制御モードを選択するボタンであり、これらのボタン300〜306のいずれかをタップ操作することで、固定モード、物体追尾モード、顔検出追尾モード、顔認識追尾モードのうちから所望のモードを選択することできるようになっている。
固定モードは、AF枠の範囲(位置、大きさ、形状)を操作者がマニュアル操作で指定し、その指定した位置にAF枠を固定するモード(マニュアルモード)である。この固定モードは、カメラをほとんど動かさないニュース番組などでの撮影に有益なモードである。
図5のLCD40の画面40aにおいて固定モード選択ボタン300をタップ操作すると固定モードが選択され、画像処理ユニット58のメインボード70に搭載されたCPU78は、固定モードの処理を実行する。
即ち、CPU78は、上記のようにLCD40の画面40aに対するAF枠の範囲を変更する操作や、AF枠操作部60に設けられたAF枠204をマニュアル操作で変更するための操作部材(位置操作部材100、サイズ操作部材102、形状操作部材104)の操作に基づいてAF枠の範囲を決定する。CPU78は、AF枠の範囲を決定すると、そのAF枠の範囲を示すAF枠情報をSCI70aを通じてレンズ装置12のレンズCPUに送信する。
物体追尾モードは、AF枠の自動追尾を行う1つのモードであり、任意の種類の物体をAF枠で追尾させるモードである。この物体追尾モードは、人物の顔以外を追尾する競馬中継、カ−レース中継などでの撮影に有益なモードである。このモードでは、撮影映像に対して操作者が追尾対象としたい任意の物体の画像を含むようにAF枠の範囲を指定すると、その範囲の物体が追尾対象として設定される。そして、その追尾対象の画像が基準パターンとして登録され、パターンマッチング処理演算ボード72のCPU90において、順次得られる撮影画像に対して、基準パターンに一致する画像範囲を検出するためのパターンマッチング処理が行われる。メインボード70のCPU78は、その基準パターンが検出された範囲をAF枠の範囲として決定し、レンズ装置12のレンズCPUに送信する。尚、AF枠自動追尾を開始する際にレンズ装置12においてAFによるフォーカス制御が行われていない場合(AFモードとなっていない場合)には、AF枠自動追尾の開始と連動してAFの開始も指示される。
顔検出追尾モードは、AF枠の自動追尾を行う1つのモードであり、任意の人物の顔をAF枠で追尾させるモードである。この顔検出追尾モードは、人物の顔を検出して追尾する歌謡番組などでの撮影に有益なモードである。このモードでは、まず、顔認識処理演算ボード74のCPU92において撮影画像の中から任意の人物の顔画像を検出するための周知の顔検出処理が行われる。そして、検出された顔画像の中から追尾対象とする顔画像を操作者が指定すると、その顔画像が追尾対象として設定される。以後、順次得られる撮影画像に対して顔認識処理演算ボード74のCPU92により顔検出処理が行われると共に、検出された顔画像の中から追尾対象の顔画像を特定する処理がメインボード70のCPU78により行われる。メインボード70のCPU78は、検出された追尾対象の顔画像の範囲をAF枠の範囲として決定し、レンズ装置12のレンズCPUに送信する。
顔認識追尾モードは、AF枠の自動追尾を行う1つのモードであり、事前に認証データとして登録した人物の顔をAF枠で追尾させるモードである。この顔認識追尾モードは、撮影する人物が事前に決まっている歌謡番組やスポーツ中継などでの撮影に有益なモードである。このモードでは、図2に示したスロット115に装填された顔認証データカード114から追尾対象とする人物の顔の認証データが取り込まれる。そして、顔検出追尾モードと同様に顔認識処理演算ボード74のCPU92において顔検出処理が行われると共に、検出された顔画像の中から追尾対象の顔画像が認証データを用いた周知の顔認証処理により検出される。メインボード70のCPU78は、検出された追尾対象の顔画像の範囲をAF枠の範囲として決定し、レンズ装置12のレンズCPUに送信する。
尚、図5において、”セット”と表示されたセットボタン308と、”リセット”と表示されたリセットボタン310は、AF枠自動追尾の開始と停止を指示するボタンであり、これらのボタン308、310は、AF枠自動追尾の開始又は停止の指示を操作者が行う制御モード(物体追尾モード、顔検出追尾モード)が選択された場合にのみ表示される。尚、これらのセットボタン308とリセットボタン310は、AF枠操作部60の追尾開始スイッチ108と追尾停止スイッチ110(図2及び図4参照)と同様に作用するボタンである。
本実施の形態では、上述したようにLCD40と画像処理ユニット58とはコネクタ84を介して着脱可能に接続されている。このコネクタ84には、GNDに接続されるGNDピン84aと、基準電圧(Vcc)に所定の抵抗を介して接続される電源ピン84bと、画像処理ユニット58のスーパーインポーザ82で合成された映像信号をLCD40に出力する信号ピン84cと、LCD40のタッチパネルで検出された信号を画像処理ユニット58(メインボード70のCPU78)に入力する信号ピン84dと、が含まれている。
これらのピン84a〜84dのうち、GNDピン84aと電源ピン84bは、LCD40と画像処理ユニット58がコネクタ84を介して接続された場合にはクローズ状態(短絡状態)となり、その接続が解除された場合(即ち、LCD40が取り外された場合)にはオープン状態(非短絡状態)となるように構成されている。
画像処理ユニット58におけるメインボード70のCPU78は、電源ピン84bに接続されるラインから検出される信号(検出信号)を監視しており、この検出信号のレベル(High/Low)によってLCD40の有無を判別している。即ち、このCPU78は、検出信号がLowレベルの場合にはLCD40が接続されている状態と判断し、Highレベルの場合にはLCD40が接続されていない状態と判断している。
図4のフォーカスデマンド26の外観図にも併せて示すように、AF枠操作部60の操作部材として、上述した操作部材100、102、104、108、110の他に、追尾モード切替スイッチ112が一体的に設けられている。追尾モード切替スイッチ112は、例えば図4に例示したようにスライドスイッチで構成され、AF枠の自動追尾を行うモードとして、物体追尾モード(図4の「OBJECT」側)と顔検出追尾モード(図4の「FACE」側)のいずれか一方を選択できるようになっている。そして、追尾モード切替スイッチ112にて選択された追尾モードが、画像処理ユニット58(メインボード70のCPU78)により読み取られるようになっている。
メインボード70のCPU78は、電源ピン84bに接続されるラインから検出される信号(検出信号)によってLCD40が接続されていない状態と判断した場合には、追尾モード切替スイッチ112の設定状態を有効とし、当該切替スイッチ112にて選択されている追尾モードに従ってAF枠の自動追尾を行う。例えば図4に示したように、追尾モード切替スイッチ112が顔検出追尾モード(図4の「FACE」側)を選択している場合には、顔検出追尾モードによるAF枠の自動追尾が行われる。
続いて、上記のごとく構成された画像処理ユニット58(メインボード70のCPU78)によるAF枠自動追尾の処理手順について、図6に示したフローチャートに従って説明する。
まず、メインボード70のCPU78は、LCD40がコネクタ84を介して画像処理ユニット58に接続されているか否かを判別する(ステップS10)。本実施の形態では、上述したようにコネクタ84に含まれるGNDピン84aと電源ピン84bの接続状態(短絡状態/非短絡状態)に応じてLCD40の接続の有無を判断している。具体的には、電源ピン84bに接続されるラインから検出される信号(検出信号)のレベル(High/Low)に応じてLCD40が接続されているか否かの判別を行っており、検出信号がHighレベルの場合にはLCD40は接続されていないと判断し、検出信号がLowレベルの場合にはLCD40は接続されていると判断している。
ステップS10においてNoの場合、即ち、LCD40が接続されていないと判断した場合には、CPU78は、AF枠操作部60に設けられた追尾モード切替スイッチ112にて選択されている追尾モードが顔検出追尾モードであるか否かを判断する(ステップS12)。
ステップS12においてYesの場合、即ち、追尾モード切替スイッチ112によって顔検出追尾モードが選択されている場合には、CPU78は、追尾モードとして顔検出追尾モードを設定して(ステップS14)、当該設定された追尾モードに従ってAF枠の自動追尾の処理を実行する(ステップS16)。一方、ステップS12においてNoの場合、即ち、追尾モード切替スイッチ112によって物体追尾モードが選択されている場合には、CPU78は、追尾モードとして物体追尾モードを設定して(ステップS18)、当該設定された追尾モードに従ってAF枠の自動追尾の処理を実行する(ステップS16)。
ステップS10においてNoの場合、即ち、LCD40が接続されていると判断した場合には、CPU78は、LCD40のタッチパネルから検出された信号に基づき、以下の処理を行う。
即ち、CPU78は、LCD40のタッチパネルを通じて選択された追尾モードが物体追尾モード、顔検出追尾モード、及び顔認識追尾モードのいずれかに該当するか否かを順次判断する(ステップS20、22、24)。物体追尾モードが選択されている場合(ステップS20においてYesの場合)には追尾モードとして物体追尾モードが設定され(ステップS18)、顔検出追尾モードが選択されている場合(ステップS22においてYesの場合)には追尾モードとして顔検出追尾モードが設定され(ステップS18)、顔認識追尾モードが選択されている場合(ステップS24においてYesの場合)には追尾モードとして顔認識追尾モードが設定される(ステップS26)。そして、CPU78は、設定された追尾モードに従ってAF枠の自動追尾の処理を実行する(ステップS16)。
尚、ステップS16において、操作者により自動追尾の停止が指示された場合や、自動追尾の処理に失敗した場合には、AF枠自動追尾の処理を停止し、ステップS10に戻る。
一方、LCD40のタッチパネルを通じて選択された追尾モードが物体追尾モード、顔検出追尾モード、及び顔認識追尾モードのいずれにも該当しない場合(ステップS20、22、24において全てNoの場合)、CPU78は、固定モードが選択されていると判断して、固定モードによる処理を実行する(ステップS28)。そして、操作者により固定モードによる処理の停止が指示された場合にはステップS10に戻る。
本実施の形態によれば、LCD40と画像処理ユニット58がコネクタ84を介して着脱自在に接続され、コネクタ84に含まれるGNDピン84aと電源ピン84bの接続状態(短絡/非短絡状態)に応じてLCD40が接続されているか否かが自動的に判別される。また、AF枠操作部60には複数の追尾モードの中から任意の追尾モードを選択可能な追尾モード切替スイッチ112が設けられ、LCD40が接続されていないと判別された場合には追尾モード切替スイッチ112によって選択された追尾モードによるAF枠の自動追尾の処理が行われる。一方、LCD40が接続されていると判別された場合には追尾モード切替スイッチ112にて選択された追尾モードではなく、LCD40のタッチパネルを通じて選択された追尾モードによるAF枠の自動追尾の処理が行われる。これにより、カメラマンの好みや撮影条件によってLCD40が取り外された状態で使用される場合でも、追尾対象とする被写体に適した追尾モードによるAF枠の自動追尾が可能となり、利便性が向上する。
尚、本実施の形態では、LCD40と画像処理ユニット58を接続するコネクタ84のピン(84a、84b)を利用してLCD40の接続の有無を判別する態様が好ましく適用されているが、本発明はこれに限らず、機械的又は電気的なスイッチによって操作者(例えばカメラマン)がLCD40の有無を手動にて設定し、そのスイッチの設定状態を読み取ることによってLCD40の有無を判別するようにしてもよい。
以上、本発明のAF枠自動追尾システムについて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。