JP5332001B2 - 担体、この担体を備える反応物質複合体及び担体の製造方法 - Google Patents
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Description
このような膜状の反応物質複合体をリアクター等に応用する場合、反応物質複合体を電解液等に浸漬させ、特定物質を含有する気体を当該電解液等と接触させて、当該電解液等に当該特定物質を溶解させる方法等によって、当該特定物質と、シリカ系メソ多孔体の細孔内の反応物質と、を接触させ、当該特定物質を生成物に変えるようになっている。この場合、特定物質は反応物質と接触するために、また、生成物は反応物質複合体の外部へと移動するために、反応物質が固定された領域を拡散するようになっている。すなわち、従来のシリカ系メソ多孔体においては、反応物質が固定された固定領域と、特定物質や生成物が拡散する拡散領域と、が分離していない。
特定物質と選択的に反応する反応物質を担持する担体において、
当該担体は、両端が開放された直線状の中空部分を有し、壁面部分にナノメートルオーダーの大きさの穴部が複数形成された中空糸状のシリカチューブであり、
前記穴部の内部に前記反応物質が固定されることを特徴とする。
請求項1に記載の担体において、
前記反応物質は生体物質であり、前記穴部の大きさは、当該生体物質のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
反応物質複合体において、
請求項1又は2に記載の担体と、
前記担体に担持された前記反応物質と、
を備えることを特徴とする。
請求項1又は2に記載の担体の製造方法において、
所定の基材が有する貫通孔の内壁に、所定の界面活性剤を含むシリカ層を形成するシリカ層形成ステップと、
前記シリカ層から前記界面活性剤を除去して、前記シリカチューブを形成するシリカチューブ形成ステップと、
所定の溶液を用いて前記基材を溶解させる基材溶解ステップと、
を備えることを特徴とする。
請求項4に記載の担体の製造方法において、
前記シリカ層形成ステップは、
前記界面活性剤を含むシリカ源溶液を所定の吸引速度で前記貫通孔内に吸引導入する吸引導入ステップと、
前記貫通孔内に導入された前記シリカ源溶液を所定の吸引速度で吸引乾燥させる吸引乾燥ステップと、
を備え、
前記シリカチューブ形成ステップは、前記シリカ層を焼成することによって、当該シリカ層から前記界面活性剤を除去することを特徴とする。
請求項4又は5に記載の担体の製造方法において、
前記基材は、アルミニウムを含む基板を陽極酸化して得た陽極酸化アルミナ基板であり、
前記貫通孔は、前記陽極酸化によって形成された孔であり、
前記溶液は、リン酸又は硝酸を含む溶液であることを特徴とする。
したがって、シリカチューブの壁面部分が、反応物質が固定される固定領域となって、シリカチューブの中空部分が、特定物質や生成物が拡散する拡散領域となる。すなわち、シリカチューブは、固定領域と拡散領域とが分離した構造になっているため、分子量の大きな反応物質が固定された場合であっても、シリカチューブのアスペクト比が高い場合であっても、担持した反応物質によって、より高速での反応を実現することができる担体及びこの担体を備える反応物質複合体を提供することができる。
すなわち、担持した反応物質によって、より高速での反応を実現することができる担体を、簡易な方法で製造することができる。
シリカチューブ2は、特定物質と選択的に反応する反応物質3を担持する担体である。
具体的には、シリカチューブ2は、ナノメートルオーダーの大きさの穴部としての細孔2aを複数有する多孔性シリカ膜(シリカ製のメッシュ体)を丸めて円筒状に形成したような形状をなしている。すなわち、シリカチューブ2は、ナノメートルオーダーの大きさの細孔2aを壁面に複数有する中空糸状のシリカ系メソ多孔体(シリカ構造体)である。
そして、シリカチューブ2においては、シリカチューブ2が有する細孔2aの内部に反応物質3が固定されるようになっている。
したがって、シリカチューブ2の外径は、貫通孔100aの内径と略同一となり、シリカチューブ2の長さは、貫通孔100aの長さ(貫通方向の長さ)以下になる。
細孔2aの大きさ(中心細孔直径)は、シリカチューブ2に担持させる反応物質3の種類等に応じて適宜任意に変更可能であり、具体的には、例えば、1nm〜50nmである。ここで、細孔2aの大きさは、界面活性剤の種類を変えて、界面活性剤のミセルの径を変えることによって制御することができる。また、細孔2aの大きさは、例えば、界面活性剤と併せて、トリメチルベンゼンやトリプロピルベンゼンなどの比較的疎水性の分子を添加し、ミセルを膨潤させて、ミセルの径を変えることによって制御することができる。
ここで、細孔2aの中心細孔直径とは、細孔2aの断面形状が正円形状であると仮定し、シリカチューブ2の細孔容積(V)を細孔2aの直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔2aの直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径を意味する。なお、図1や図2に示す細孔2aの断面形状は、正六角形状である。
すなわち、シリカチューブ2が有する細孔2aの大きさを、シリカチューブ2に担持させる生体物質のサイズの0.5〜2.0倍程度(より好ましくは0.7〜1.4倍程度、最も好ましくはほぼ同程度)にすることによって、シリカチューブ2に対する生体物質の固定(吸着)を効率化でき、また、シリカチューブ2に固定された生体物質の立体構造の保持も容易となるため、生体物質を安定的に担持することができる。
具体的には、例えば、生体物質としてホルムアルデヒド脱水素酵素をシリカチューブ2に担持させる場合、ホルムアルデヒド脱水素酵素の直径は約8nmであるため、シリカチューブ2が有する細孔2aの大きさとしては、4nm〜16nm程度が好ましい。
また、シリカチューブ2に担持させる反応物質3のサイズは、その反応物質3の形状が、球状である場合は反応物質3の直径(例えば、楕円球状のように直径が複数ある場合は、そのうちの何れか1つ)、板状である場合は反応物質3の長辺の長さ、等とすることができるが、これらに限られるものではなく、その反応物質3の形状や特性に応じて適宜任意に判断するのが好ましい。
ここで、シリカチューブ2の壁面の厚みを決めるファクターの1つとして、界面活性剤とシリカとの自己組織化時の吸引速度(すなわち、吸引導入時及び吸引乾燥時の吸引速度)が挙げられる。吸引速度が低下するにつれて、基材100が有する貫通孔100a内に形成される中空糸状のシリカチューブ2の壁面の厚みは厚くなり、吸引速度が所定の閾値以下になると、貫通孔100a内には、固定領域A1と拡散領域A2とが分離された構造のシリカ系メソ多孔体(中空糸状のシリカチューブ2)が形成されず、固定領域A1と拡散領域A2とが分離されていない構造のシリカ系メソ多孔体(例えば、図20に示すような従来のシリカ系メソ多孔体)が形成されてしまう。
ここで、「全細孔容積に占める、中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60%以上」とは、例えば、中心細孔直径が3.00nmである場合、この3.00nmの±40%、すなわち、1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の合計が、全細孔容積の60%以上を占めていることを意味する。
このような条件を満たすシリカ系メソ多孔体は、細孔の直径が非常に均一であることを意味し、このような細孔配列構造を有するシリカ系メソ多孔体に、例えば、反応物質3としてタンパク質等の生体物質を吸着させると、生体物質の安定性及び吸着量(固定量)をより向上させることができる。なお、細孔容積は、例えば、シリカチューブ2を液体窒素温度に冷却して窒素ガスを導入する方法(窒素吸着法)によって算出することができる。
したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。このように、非常に規則的な細孔配列構造を有するシリカ系メソ多孔体に、例えば、反応物質3としてタンパク質等の生体物質を吸着させると、生体物質の安定性及び吸着量をより向上させることが可能になる。
ここで、シリカチューブ2がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、シリカチューブ2が有する細孔2aの配置が六方構造であることを意味する。ヘキサゴナルの細孔配列構造としては、2次元ヘキサゴナル及び3次元ヘキサゴナルが挙げられる。本発明において好適に用いることのできる2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有するシリカチューブ2は、例えば、図1及び図2に示すように、2次元ヘキサゴナル配列構造に基づいて、六角柱状の細孔が互いに平行に規則的に形成されている。
また、シリカチューブ2がキュービックの細孔配列構造を有するとは、シリカチューブ2が有する細孔2aの配置が立方構造であることを意味する。
また、シリカチューブ2がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、シリカチューブ2が有する細孔2aの配置が不規則であることを意味する。
有機基を有するシリカ系メソ多孔体とは、シリカ系メソ多孔体を構成するケイ素原子の少なくとも一部に、有機基が、炭素−ケイ素結合を形成することによって結合しているものをいう。有機基としては、例えば、アルカンやアルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカンなどの炭化水素から1以上の水素がとれて生じる炭化水素基、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等が挙げられる。
反応物質3は、特定物質或いはその生成物と選択的に反応する物質であれば任意であり、具体的には、例えば、生体由来の分子識別素子(タンパク質等の生体物質(生体触媒)など)、パラジウムや白金などの金属触媒、酸化ルテニウムや酸化マンガン、酸化鉄、酸化チタンなどの酸化触媒、その他の有機触媒又は無機触媒、各種ポリマー、ポリマーコンプレックス、ポリイオンコンプレックス、吸光物質、蛍光物質、色素等である。
なお、シリカチューブ2に担持される反応物質3の種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
反応物質複合チューブ1は、例えば、図2及び図3に示すように、シリカチューブ2と、シリカチューブ2に担持された反応物質3と、を備えて構成される。反応物質複合チューブ1は、例えば、生化学分析や微量成分分析のためのセンサや、高分子合成や触媒反応などにおけるリアクターとして好適に適用することができる。或いは、シリカチューブ2を用いて、光合成モデルを作製することもできる。すなわち、細孔2a内に二種類のクロロフィル色素(ドナー及びアクセプター)を導入する。この際、ドナー及びアクセプターは同一のシリカチューブ2に固定化してもよいし、ドナーを固定化したシリカチューブ2とアクセプターを固定化したシリカチューブ2とを混ぜ合わせても良い。そして、これに、例えば、電子伝達体としてのキノンを媒介させて色素間のエネルギー移動を行わせることによって、光合成モデルを作製することができる。クロロフィルは非常に変性しやすい色素であるが、シリカチューブ2の細孔2a内に固定化することによって、或いは、シリカチューブ2の細孔2aの表面を所定の官能基で修飾し、その細孔2a内に固定化することによって、色素の変性を抑制できる。さらに、シリカチューブ2の壁面に細孔2aがあるとともに、シリカチューブ2に拡散領域A2があるため、エネルギー移動が起こりやすい。
固定領域A1は、シリカチューブ2の壁面部分であり、その壁面部分に形成された細孔2aの内部に反応物質3が固定される。
拡散領域A2は、シリカチューブ2の中空部分であり、何も充填されていない空洞となっている。
例えば、図20に示すような従来の反応物質複合体の場合、固定領域A1と拡散領域A2とが分離されていない構造であるため、特定物質や生成物は、反応物質3が固定された領域を拡散することになる。これに対し、本発明の反応物質複合チューブ1の場合、特定物質や生成物は、何も充填されていない空洞状態の拡散領域A2を拡散することになり、従来の反応物質複合体と比較して、特定物質や生成物の拡散性が高くなるため、高速で反応を実施することができる。
或いは、異なる反応物質を別々のシリカチューブ2に固定化したものを混ぜ合わせ、迅速な連続反応を起こさせることができる。
次に、反応物質複合チューブ1の製造方法について図4〜図8を参照して説明する。反応物質複合チューブ1は、シリカチューブ2を製造し、その製造されたシリカチューブ2に反応物質3を固定することによって製造される。
図4は、基材100を模式的に示す斜視図である。図5は、基材100が有する貫通孔100a(複数の貫通孔100aのうちの1つ)近傍を模式的に示す断面図であり、図6は、基材100が有する貫通孔100a(複数の貫通孔100aのうちの1つ)近傍を模式的に示す断面図であって、貫通孔100a内にシリカチューブ2が形成された状態を示す図である。図7は、基材100から取り出したシリカチューブ2を模式的に示す断面図である。図8は、反応物質3が固定されたシリカチューブ2(すなわち、反応物質複合チューブ1)を模式的に示す断面図である。
まず、界面活性剤を含むシリカ源溶液を調製する。
ここで、シリカ源溶液とは、シリカ源となる化合物(例えば、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)等のアルコキシシラン)を含有する溶液のことである。
界面活性剤は、シリカチューブ2に担持させる反応物質3の種類等に応じて適宜任意に変更可能であり、トリブロック共重合体のCTAB、P123及びF127等を好ましく用いることができる。
具体的には、例えば、CTAB、P123及び/又はF127を、エタノールや塩酸の混合物中に溶解して、30℃〜60℃程度で、還流器を用いて数時間程度攪拌する。
次いで、これに、TEOS等のシリカ源を添加し、更に、30℃〜60℃程度で、還流器を用いて2時間〜20数時間程度攪拌することによって、界面活性剤を含むシリカ源溶液を調製する。
なお、シリカ源溶液に含まれる界面活性剤の種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
ここで、基材100は、例えば、アルミニウムを含む基板(アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基板)を陽極酸化して得た陽極酸化アルミナ基板(陽極酸化アルミナ膜)である。
そして、貫通孔100aは、例えば、陽極酸化によって形成された、基材100の一方の面から他方の面にかけて貫通する円筒状の孔である。貫通孔100aの直径は、シリカチューブ2に担持させる反応物質3の種類等に応じて適宜任意に変更可能であり、具体的には、例えば、10nm〜10μmである。
なお、基材100は、陽極酸化アルミナ基板に限ることはなく、所定の金属を含む基板を陽極酸化して得た陽極酸化金属基板等の、互いに平行な複数の貫通孔100aを有する金属酸化物基板であれば任意である。
具体的には、例えば、調製した界面活性剤を含むシリカ源溶液を、基材100の一方の面に滴下し、真空ポンプ等の吸引装置を用いて、所定の吸引速度で、当該滴下された界面活性剤を含むシリカ源溶液を貫通孔100a内に吸引導入する(吸引導入ステップ)。
次いで、例えば、貫通孔100a内に導入された界面活性剤を含むシリカ源溶液を、真空ポンプ等の吸引装置を用いて、所定の吸引速度で、吸引乾燥させて(吸引乾燥ステップ)、貫通孔100aの内壁100a1に界面活性剤を含むシリカ層を形成する。
なお、吸引導入時の吸引速度と、吸引乾燥時の吸引速度と、は同一であっても良いし、異なっていても良い。
具体的には、例えば、貫通孔100aの内壁100a1に形成されたシリカ層を焼成することによって、当該シリカ層から界面活性剤を除去することにより、例えば、図6に示すように、貫通孔100aの内壁100a1に沿って中空糸状のシリカチューブ2を形成する。
以上のようにして、シリカチューブ2を製造する。
まず、反応物質3を含む反応物質溶液を調製する。
次に、調製した反応物質溶液中に、製造されたシリカチューブ2を浸漬させて、シリカチューブ2に反応物質3を吸着固定させる。さらに、公知の固定化方法を併用することもできる。
次に、シリカチューブ2を洗浄することによって、拡散領域A2内の反応物質3を洗い流す。
以上のようにして、製造されたシリカチューブ2に反応物質3を固定化して、反応物質複合チューブ1を製造する。
実施例1では、担体(シリカチューブ)を作製して、その担体について評価した。
次いで、これに、TEOS2.13gを添加し、還流器を用いて60℃で12時間攪拌することによって、界面活性剤を含むシリカ源溶液を調製した。
次いで、貫通孔内に吸引導入した界面活性剤を含むシリカ源溶液を、吸引装置を用いて、吸引速度10L/minで、吸引乾燥させることによって、当該貫通孔内に界面活性剤を含むシリカ層を形成した。
図9に示すように、SEM観察の結果、陽極酸化アルミナ基板の貫通孔の内壁に沿って、中空糸状の構造体(チューブ体)が形成されていることが確認された。
その結果、陽極酸化アルミナ基板の貫通孔の内壁に沿って、シリカが分布していることが確認された。
図10に示すように、SEM観察の結果、中空糸状の構造体が作製されていることが確認された。また、SEM観察の結果、この中空糸状の構造体は、外径が約100nm、長さが使用した陽極酸化アルミナ基板の厚み(貫通孔の長さ)以下であることが確認された。
図11に示すように、TEM観察の結果、作製された中空糸状の構造体は、メッシュ状の均一な3次元構造であることが確認された。また、TEM観察の結果、この中空糸状の構造体は、壁面の厚みが約8.0nmであることが分かった。さらに、TEM観察の結果、この中空糸状の構造体が有する細孔(細孔2a)は、断面形状が略正六角形状であり、平均細孔サイズが約8.0nmであることが確認された。ここで、細孔サイズとは、六角形における、一辺と、当該一辺に対向する他の一辺と、の間の距離のことである。
次に、作製した3種類の担体それぞれを、SEMを用いて観察し、それぞれの外径を計測した。その結果を表1に示す。
以上の結果から、使用する基材100が有する貫通孔100aの直径によって、中空糸状のシリカチューブ2の外径を制御できることが分かった。
また、作製した3種類の担体それぞれを、SEMを用いて観察し、それぞれの長さを計測したところ、使用した陽極酸化アルミナ基板の厚み(貫通孔の長さ)以下の長さを有するシリカチューブ2が作製されていることが確認された。
実施例2では、担体を作製して、界面活性剤を含むシリカ源溶液中の、界面活性剤の量及びTEOSの量について評価した。
次いで、これに、TEOSを添加し、還流器を用いて60℃で12時間攪拌することによって、界面活性剤を含むシリカ源溶液を調製した。
次いで、貫通孔内に吸引導入した界面活性剤を含むシリカ源溶液を、吸引装置を用いて、吸引速度10L/minで、吸引乾燥させることによって、当該貫通孔内に界面活性剤を含むシリカ層を形成した。
次いで、貫通孔内に担体が形成された陽極酸化アルミナ基板を10%リン酸溶液中に一晩浸漬させて、鋳型である陽極酸化アルミナ基板を溶解させた後、それを遠心分離して担体を取り出し、減圧下で一晩乾燥させることによって、担体を作製した。
また、TEOSの量が1.28g,2.13g及び3.2gである各シリカ源溶液(P123の量は1.0g)を用いて、3種類の担体を作製した。
その結果、P123の量が0.6g及び1.5gの場合、中空糸状のシリカチューブ2が作製されていることは確認されたが、そのシリカチューブ2が有する細孔2aは、不規則に配置され、形状が歪んだ略六角柱状であった。
これに対し、P123の量が1.0gの場合は、例えば、図1及び図2に示すような、互いに平行な規則的に配置された略正六角柱状の細孔2aを有する中空糸状のシリカチューブ2が、作製されていることが確認された。
また、TEOSの量が1.28g及び3.2gの場合、中空糸状のシリカチューブ2が作製されていることは確認されたが、そのシリカチューブ2が有する細孔2aは、不規則に配置され、形状が歪んだ略六角柱状であった。
これに対し、TEOSの量が2.13gの場合は、例えば、図1及び図2に示すような、互いに平行な規則的に配置された略正六角柱状の細孔2aを有する中空糸状のシリカチューブ2が、作製されていることが確認された。
以上の結果から、界面活性剤としてP124を用いるときは、シリカチューブ2が有する細孔2aの形状等の観点から、P123の量が1.0g、TEOSの量が2.13gであるシリカ源溶液を用いてシリカチューブ2を作製することが好適であることが分かった。
その結果、界面活性剤としてF127を用いるときは、シリカチューブ2が有する細孔2aの形状等の観点から、F127の量が0.92g、TEOSの量が2.0gであるシリカ源溶液(具体的な組成は実施例4参照)を用いてシリカチューブ2を作製することが好適であることが分かった。
その結果、界面活性剤としてCTABを用いるときは、シリカチューブ2が有する細孔2aの形状等の観点から、CTABの量が1.52g、TEOSの量が11.57gであるシリカ源溶液(具体的な組成は実施例4参照)を用いてシリカチューブ2を作製することが好適であることが分かった。
実施例3では、担体を作製して、界面活性剤を含むシリカ源溶液を貫通孔100a内に吸引導入する時(吸引導入時)及び貫通孔100a内に吸引導入された界面活性剤を含むシリカ源溶液を吸引乾燥させる時(吸引乾燥時)の吸引速度について評価した。
次いで、これに、TEOS2.13gを添加し、還流器を用いて60℃で12時間攪拌することによって、界面活性剤を含むシリカ源溶液を調製した。
次いで、貫通孔内に吸引導入した界面活性剤を含むシリカ源溶液を、吸引装置を用いて、吸引導入時と同一の吸引速度で、吸引乾燥させることによって、当該貫通孔内に界面活性剤を含むシリカ層を形成した。
次いで、貫通孔内に担体が形成された陽極酸化アルミナ基板を10%リン酸溶液中に一晩浸漬させて、鋳型である陽極酸化アルミナ基板を溶解させた後、それを遠心分離して担体を取り出し、減圧下で一晩乾燥させることによって、担体を作製した。
これに対し、吸引速度が0.5L/min以下の場合は、中空糸状のシリカ構造体ではなく、細孔サイズが約8.0nmの細孔を有する従来のシリカ系メソ多孔体(例えば、図20参照)が、作製されていることが確認された。すなわち、細孔の貫通方向が、貫通孔100aの貫通方向と略同一であり、かつ、中空部分を有さないシリカ構造体が形成されていることが確認された。
実施例4では、シリカチューブ2を作製して、界面活性剤を含むシリカ源溶液中の界面活性剤の種類と、中空糸状のシリカチューブ2が有する細孔2aの大きさと、の関係について評価した。
次いで、これに、TEOS2.13gを添加し、還流器を用いて60℃で12時間攪拌することによって、界面活性剤を含むシリカ源溶液を調製した。
次いで、貫通孔内に吸引導入した界面活性剤を含むシリカ源溶液を、吸引装置を用いて、吸引速度10L/minで、吸引乾燥させることによって、当該貫通孔内に界面活性剤を含むシリカ層を形成した。
次いで、貫通孔内にシリカチューブ2が形成された陽極酸化アルミナ基板を10%リン酸溶液中に一晩浸漬させて、鋳型である陽極酸化アルミナ基板を溶解させた後、それを遠心分離してシリカチューブ2を取り出し、減圧下で一晩乾燥させることによって、シリカチューブ2を作製した。
次いで、これに、TEOS2.0gを添加し、還流器を用いて60℃で12時間攪拌することによって、界面活性剤を含むシリカ源溶液を調製した。
そして、界面活性剤P123を含むシリカ源溶液の場合と同様にして、陽極酸化アルミナ基板の貫通孔内にシリカチューブ2を形成した。
次いで、貫通孔内にシリカチューブ2が形成された陽極酸化アルミナ基板を10%リン酸溶液中に一晩浸漬させて、鋳型である陽極酸化アルミナ基板を溶解させた後、それを遠心分離してシリカチューブ2を取り出し、減圧下で一晩乾燥させることによって、シリカチューブ2を作製した。
次いで、これに、TEOS11.57gを添加し、還流器を用いて60℃で12時間攪拌することによって、界面活性剤を含むシリカ源溶液を調製した。
そして、界面活性剤P123を含むシリカ源溶液の場合と同様にして、陽極酸化アルミナ基板の貫通孔内にシリカチューブ2を形成した。
次いで、貫通孔内にシリカチューブ2が形成された陽極酸化アルミナ基板を10%リン酸溶液中に一晩浸漬させて、鋳型である陽極酸化アルミナ基板を溶解させた後、それを遠心分離してシリカチューブ2を取り出し、減圧下で一晩乾燥させることによって、シリカチューブ2を作製した。
以上の結果から、シリカ源溶液に含まれる界面活性剤の種類のよって、シリカチューブ2が有する細孔2aの大きさを制御できることが分かった。
その結果、界面活性剤としてP123を用いた場合も、F127を用いた場合も、CTABを用いた場合も、作製されたシリカチューブ2の外径は、使用した陽極酸化アルミナ基板が有する貫通孔の内径と略同一(すなわち、約100nm)であり、作製されたシリカチューブ2の長さは、使用した陽極酸化アルミナ基板の厚み(貫通孔の長さ)以下であることが確認された。
以上の結果から、中空糸状のシリカチューブ2の外径は、界面活性剤の種類に依存しないことが分かった。
実施例5では、作製したシリカチューブ2に、反応物質3として生体物質(具体的には、ホルムアルデヒド脱水素酵素)を固定して、酵素複合体(酵素複合チューブ)を作製し、その酵素複合チューブについて評価した。
次いで、貫通孔内にシリカチューブ2が形成された陽極酸化アルミナ基板を10%リン酸溶液中に一晩浸漬させて、鋳型である陽極酸化アルミナ基板を溶解させた後、それを遠心分離してシリカチューブ2を取り出し、減圧下で一晩乾燥させることによって、シリカチューブ2を作製した。
一方、ホルムアルデヒド脱水素酵素を、リン酸バッファ(pH7.4)に溶解させて、ホルムアルデヒド脱水素酵素濃度が1.2mg/mLの酵素溶液を調製した。
次いで、調製した酵素溶液中に、作製したシリカチューブ2を浸漬させて3℃で一晩静置することによって、シリカチューブ2に酵素を吸着固定させた。
次いで、酵素が吸着固定されたシリカチューブ2を、5mLの脱イオン水を入れたコニカルチューブ中で良く振り混ぜて洗浄した後、それを遠心分離して酵素が吸着固定されたシリカチューブ2を取り出した。
このようにして、シリカチューブ2中の拡散領域A2内の酵素が洗い流された酵素複合チューブを作製した。
その結果、100mgの酵素複合チューブに対して、200μgのホルムアルデヒド脱水素酵素が固定されていることが確認された。
実施例6では、特定物質(具体的には、ホルムアルデヒド)を含有する特定物質溶液を用いて、実施例5で作製した酵素複合チューブについて評価した。
具体的には、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化する反応(HCHO + NAD+ + 3H2O ―(ホルムアルデヒド脱水素酵素)→ HCOO− + NADH + 2H3O+)を利用して(すなわち、NAD+(酸化型)の還元によって生じるNADH(還元型)に特徴的な波長340nmを選び、その吸光度の変化から、生成したNADH濃度を求めることによって)、実施例5で作製した酵素複合チューブが備えるホルムアルデヒド脱水素酵素の活性を測定した。
次いで、これに、補酵素(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+))10mgと、ホルムアルデヒド濃度が0.3%のホルムアルデヒド水溶液300μLと、添加して25℃で静置し、試料(実施例6用の試料)を作製した。
具体的には、実施例5で作製した酵素複合チューブ10mgに代えて、ホルムアルデヒド脱水素酵素20μgを用いて、実施例6と同様の方法で、試料(比較例1用の試料)を作製した。
次に、吸光光度計を用いて、作製した比較例1用の試料の340nmにおける吸収を測定した。その結果も図12に示す。
ここで、従来例1で使用した担体は、従来のシリカ系メソ多孔体であるため、例えば、図20に示すシリカ系メソ多孔体のように、固定領域A1と拡散領域A2とが分離されていない。
具体的には、実施例5と同様の方法で、従来のシリカ系メソ多孔体にホルムアルデヒド脱水素酵素を固定化した。そして、この従来のシリカ系メソ多孔体における酵素固定量を測定したところ、100mgのシリカ系メソ多孔体に対して、450μgのホルムアルデヒド脱水素酵素が固定されていることが確認された。
次いで、実施例5で作製した酵素複合チューブ10mgに代えて、酵素が固定化された従来のシリカ系メソ多孔体4.5mgを用いて、実施例6と同様の方法で、試料(従来例1用の試料)を作製した。
次に、吸光光度計を用いて、作製した従来例1用の試料の340nmにおける吸収を測定した。その結果も図12に示す。
その一方で、従来例1の固定化酵素(すなわち、従来のシリカ系メソ多孔体に固定化された酵素)は、アスペクト比が高く、かつ、固定領域A1と拡散領域A2とが分離されていない従来のシリカ系メソ多孔体内に固定されているため、特定物質(ホルムアルデヒド)や生成物の拡散性が制限されて、反応速度が比較例1の遊離酵素よりも小さくなることが分かった。
以上の結果から、本発明のシリカチューブ2は、担持した反応物質3によって、遊離酵素と同等の反応速度での反応を実現できることが分かった。
実施例7では、特定物質(具体的には、ホルムアルデヒド)を含有する特定物質溶液を用いて、実施例5で作製した酵素複合チューブ(酵素複合チューブT1)について評価した。
具体的には、電極E11(作用電極)として、直径3.2mm、面積0.1cm2の円柱状のグラッシカーボン電極を準備した。
次いで、準備した電極E11の表面に、酵素複合チューブT1を10mg採取して塗布・固定した。さらに、酵素複合チューブT1の漏出等を防ぐために、例えば、図13に示すように、ナイロンネットフィルターE12(孔径1μm)及びOリングE13を用いて、酵素複合チューブT1を電極E11上に固定化した。このようにして、電極E11と、シリカチューブ2及び反応物質3である酵素(ホルムアルデヒド脱水素酵素)により形成される酵素複合チューブT1と、を備えて構成される酵素電極E1を作製した。なお、酵素電極E1は使用時まで4℃で保存した。
具体的には、酵素電極E1を用いて、例えば、図14に示すように、酵素センサS1を作製した。酵素センサS1は、例えば、反応器S11内に、リードに接続された作用電極(酵素電極E1)と、リードに接続された対電極S12と、リードに接続された参照電極S13と、を有し、電解液S11aとして、1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を溶解させたリン酸緩衝液(pH=7.41)10mLを収容している。また、作用電極(酵素電極E1)と対電極S12と参照電極S13に接続されたリードには、酵素電極E1において発生した電流値を測定するためのポテンショスタットS14が接続されている。ポテンショスタットS14は、例えば、定電圧計S14aと、電流計測器S14bと、を有している。
また、例えば、濃度と応答電流との関係を示す検量線を予め作成しておくと、酵素センサS1からの応答電流に基づいて、特定物質溶液の特定物質濃度も測定することができる。
ここで、特定物質であるホルムアルデヒドは、酵素複合チューブT1(シリカチューブ2)中の拡散領域A2を拡散して、シリカチューブ2中の固定領域A1に固定された反応物質3であるホルムアルデヒド脱水素酵素と接触するようになっている。そして、当該接触によって生成された生成物は、シリカチューブ2中の拡散領域A2を拡散して、酵素複合チューブT1の外部へと移行するようになっている。
具体的には、まず、酵素センサS1から酵素複合チューブT1を取り除いたものを用意した。
次いで、電解液S11aに、ホルムアルデヒド脱水素酵素20μgを加えて、比較例2のセンサを作製した。
次いで、実施例7と同様の方法で、ホルムアルデヒド濃度が250μMのホルムアルデヒド水溶液10μLを、酵素を含む電解液S11aに添加した際の、比較例2のセンサからの応答電流を計測した。その計測結果も図15に示す。
ここで、従来例2で使用した担体は、従来のシリカ系メソ多孔体であるため、例えば、図20に示すシリカ系メソ多孔体のように、固定領域A1と拡散領域A2とが分離されていない。
具体的には、実施例5と同様の方法で、従来のシリカ系メソ多孔体にホルムアルデヒド脱水素酵素を固定化した。そして、この従来のシリカ系メソ多孔体における酵素固定量を測定したところ、100mgのシリカ系メソ多孔体に対して、450μgのホルムアルデヒド脱水素酵素が固定されていることが確認された。
次いで、実施例5で作製した酵素複合チューブ(酵素複合チューブT1)10mgに代えて、酵素が固定化された従来のシリカ系メソ多孔体4.5mgを用いて、実施例7と同様の方法で、従来例2のセンサを作製した。
次いで、実施例7と同様の方法で、ホルムアルデヒド濃度が250μMのホルムアルデヒド水溶液10μLを電解液S11aに添加した際の、従来例2のセンサからの応答電流を計測した。その計測結果も図15に示す。
実施例7のセンサ(酵素センサS1)においては、酵素がアスペクト比の高いシリカチューブ2内に固定されているにも関わらず、応答の立ち上がり及び飽和電流値が、比較例2のセンサ及び従来例2のセンサよりも大きいことが分かった。すなわち、シリカチューブ2には空洞状態の拡散領域A2が存在するため、シリカチューブ2内での特定物質や生成物の拡散性は溶液中での拡散性と同程度に良好であり、かつ、シリカチューブ2の壁面(固定領域A1)には反応物質3(酵素)が高密度に固定されているため、特定物質と反応物質3とが効率よく接触できることが分かった。
その一方で、従来例2のセンサにおいては、固定領域A1と拡散領域A2とが分離されていない従来のシリカ系メソ多孔体を用いたため、特定物質や生成物の拡散性が制限されて、応答が遅くなることが分かった。
以上の結果から、本発明のシリカチューブ2は、担持した反応物質3によって、従来の担体(従来のシリカ系メソ多孔体)よりも高速での反応を実現できることが分かった。
実施例8では、特定物質(具体的には、ホルムアルデヒド)を含有する特定物質ガスを用いて、実施例5で作製した酵素複合チューブを束にした酵素複合チューブ束T2について評価した。
次いで、貫通孔内にシリカチューブ2が形成された陽極酸化アルミナ基板を直径4mmの円板状に切り出し、その片面にスパッタ法によって約1μmの厚みのカーボン層を形成した。
次いで、10%リン酸溶液で陽極酸化アルミナ基板を溶解させて当該陽極酸化アルミナ基板を除去し、シリカチューブ2を残すことによって、カーボン層上に複数のシリカチューブ2が形成されたチューブ束を作製した。作製したチューブ束を、SEMを用いて観察した結果、チューブ束を構成する各シリカチューブ2が、カーボン層上に、カーボン層に対して垂直かつ互いに平行に規則的に形成されていることが確認された。
一方、ホルムアルデヒド脱水素酵素を、リン酸バッファ(pH7.4)に溶解させて、ホルムアルデヒド脱水素酵素濃度が1.2mg/mLの酵素溶液を調製した。
次いで、調製した酵素溶液中に、作製したチューブ束を浸漬させて3℃で一晩静置することによって、チューブ束に酵素を吸着固定させた。
次いで、酵素が吸着固定されたチューブ束を取り出して、脱イオン水で数回リンス(洗浄)した。
このようにして、チューブ束を構成する各シリカチューブ2中の拡散領域A2内の酵素が洗い流された酵素複合チューブ束T2を作製した。
酵素センサS2は、酵素複合チューブ束T2が備える反応物質3の特性を利用して気体試料(特定物質ガス)中の特定物質を電気化学的計測法によって検出するセンサである。具体的には、酵素センサS2は、例えば、図16〜図18に示すように、センサヘッドS21と、酵素複合チューブ束T2と、を備えて構成される。
電極部S213は、作用電極S213aと、対電極S213bと、参照電極S213cと、等を備えている。
また、液相部S214は、液相部S214に溶液を導入するための溶液導入口S214aと、液相部S214に導入された溶液を排出するための溶液排出口S214bと、等を備えている。
また、気相部S215は、気相部S215に特定物質ガスを導入するためのガス導入口S215aと、気相部S215に導入された特定物質ガスを排出するためのガス排出口S215bと、等を備えている。
ここで、気相部S215に導入された特定物質ガス中の特定物質は、ガス透過膜S216を透過して、液相部S214へと移行し、液相部S214内に配置された酵素複合チューブ束T2(シリカチューブ2)中の拡散領域A2を拡散して、シリカチューブ2中の固定領域A1に固定された反応物質3と接触するようになっている。そして、当該接触によって生成された生成物は、シリカチューブ2中の拡散領域A2を拡散して、酵素複合チューブ束T2下部のカーボン層、すなわち、電極部S213へと移行するようになっている。
また、例えば、濃度と応答電流との関係を示す検量線を予め作成しておくと、酵素センサS2からの応答電流に基づいて、特定物質ガスの特定物質濃度も測定することができる。
次いで、調製した電解液を、溶液導入口S214aから液相部S214内へと導入し、溶液排出口S214bから漏れ出すまで導入し続けることによって、酵素複合チューブ束T2が配置された液相部S214内を当該電解液で満たした。
具体的には、まず、酵素センサS2から酵素複合チューブ束T2を取り除いたもの(すなわち、センサヘッドS21)を用意した。
次いで、実施例8と同様の方法で調製した電解液(液相部S214を満たすための電解液)に、ホルムアルデヒド脱水素酵素を加えて、ホルムアルデヒド脱水素酵素濃度が12mg/ccの酵素溶液を調製した。
次いで、調製した酵素溶液で、センサヘッドS21が備える液相部S214内を満たすことによって、比較例3のセンサを作製した。
次いで、実施例8と同様の方法で、ホルムアルデヒド濃度が100ppbのホルムアルデヒドガスを導入した際の、比較例3のセンサからの応答電流を計測した。その計測結果も図19に示す。
ここで、FSMは、従来のシリカ系メソ多孔体であるため、例えば、図20に示すシリカ系メソ多孔体のように、固定領域A1と拡散領域A2とが分離されていない。また、図20に示すシリカ系メソ多孔体は、細孔の配向が一方向に方向制御されているが、FSMは、細孔の配向がランダムで方向制御されていない。
具体的には、まず、酵素複合チューブ束T2に代えて、ホルムアルデヒド脱水素酵素が担持されたFSMをセンサヘッドS21の電極部S213とガス透過膜S216との間に配置することによって、従来例3のセンサを作製した。
次いで、実施例8と同様の方法で調製した電解液(液相部S214を満たすための電解液)で、従来例3のセンサが備える液相部S214内を満たした。
次いで、実施例8と同様の方法で、ホルムアルデヒド濃度が100ppbのホルムアルデヒドガスを導入した際の、従来例3のセンサからの応答電流を計測した。その計測結果も図19に示す。
また、実施例8の酵素センサS2においては、酵素複合チューブ束T2が備える酵素はシリカチューブ2に高密度に固定されているため、飽和電流値が、比較例3のセンサよりも大きくなることが分かった。
その一方で、従来例3のセンサにおいては、応答の立ち上がりが、比較例3のセンサよりも鈍いことが分かった。これは、固定領域A1と拡散領域A2とが分離されておらず、かつ、細孔の配向がランダムな担体(FSM)に酵素が固定されているためであると考えられる。
以上の結果から、本発明のシリカチューブ2は、担持した反応物質3によって、従来の担体(従来のシリカ系メソ多孔体)よりも高速での反応を実現でき、かつ、遊離酵素と同等の反応速度での反応を実現できることが分かった。
したがって、シリカチューブ2の壁面部分が、反応物質3が固定される固定領域A1となって、シリカチューブ2の中空部分が、特定物質や生成物が拡散する拡散領域A2となる。すなわち、シリカチューブ2は、固定領域A1と拡散領域A2とが分離した構造になっているため、分子量の大きな反応物質3が固定された場合であっても、シリカチューブ2のアスペクト比(シリカチューブ2(拡散領域A2)の長さ/シリカチューブ2の外径)が高い場合であっても、シリカチューブ2には空洞状態の拡散領域A2が存在するため、シリカチューブ2内での特定物質や生成物の拡散性は、溶液中での拡散性と同程度に良好であり、担持した反応物質3によって、より高速での反応を実現することができる。
すなわち、シリカチューブ2が有する細孔2aの内部に、タンパク質等の生体物質しっかりと固定することができるため、生体物質の立体構造の変化を防止することができる。さらに、シリカチューブ2が有する細孔2aの内部に生体物質をしっかりと固定することで、生体物質は適度に分散された状態に維持されるため、生体物質が凝集を起こして失活する等を防止することができる。また、シリカチューブ2は多孔質であり、比表面積が非常に大きい。したがって、シリカチューブ2を用いると、シリカチューブ2よりも比表面積が小さい担体を用いる場合と比較して、より大きな固定量でより高濃度に反応物質3を固定することができる。
したがって、反応物質複合チューブ1は、長寿命で、優れた安定性を有するものとなり、また、反応物質複合チューブ1を適用したセンサやリアクターは、長寿命で、優れた安定性や感度を有するものとなって、好適である。
すなわち、担持した反応物質3によって、より高速で高感度な反応を実現することができるシリカチューブ2を、簡易な方法で製造することができる。
したがって、基材100は、互いに平行な複数の貫通孔100aが容易かつ確実に形成されているとともに、強度や安定性が高いため、基材として好適である。また、溶液は、基材100が陽極酸化アルミナ基板である場合に、当該基板を確実に溶かすことができるため、好適である。
また、シリカチューブ2が有する穴部は、シリカチューブ2の内壁面2bから外壁面2cにかけて貫通する細孔2aに限ることはなく、シリカチューブ2の壁面に形成されているのであれば任意であり、例えば、シリカチューブ2の内壁面2bに形成された凹部(すなわち、内壁面2b側が開口して外壁面2c側が閉口した穴)であっても良いし、シリカチューブ2の外壁面2cに形成された凹部(すなわち、外壁面2c側が開口して内壁面2b側が閉口した穴)であっても良い。
また、シリカチューブ2の製造方法において、界面活性剤除去の手法は、焼成法に限ることはなく、界面活性剤を除去できるのであれば、例えば、溶媒抽出法であっても良い。
具体的には、反応物質3が酸化触媒である場合、例えば、製造したシリカチューブ2を金属アルコキシド等の溶液に浸漬して加水分解することで、シリカチューブ2に表面被覆を施し、その後、焼成することによって、金属粒子の酸化(酸化触媒の生成)を行い、反応物質複合チューブ1を製造することができる。或いは、例えば、界面活性剤と、シリカ源と、ルテニウムやマンガン、鉄、チタンなどの金属粒子と、を含む溶液を、所定の吸引速度で、基材100が有する貫通孔100a内に吸引導入して、吸引乾燥した後、焼成することによって、シリカ層からの界面活性剤の除去と、金属粒子の酸化(酸化触媒の生成)と、を同時に行い、反応物質複合チューブ1を製造するようにしても良い。
具体的には、例えば、ナノレベルの周期的な円柱構造をテンプレートとして用いて、高分子ポリマー、金属、セラミックス等の薄膜へ転写することによって、互いに平行な複数の貫通孔100aを有する基材100を作製することもできる。
また、基材100は、互いに平行な複数の貫通孔100aを有するものに限ることはなく、1又は複数の貫通孔100aを有する基板であれば任意である。
カーボン系材料としては、例えば、ケッチェンブラック等の高導電性材料の他に、カーボンナノチューブやフラーレンなどの機能性カーボン材料を用いることもできる。
金属系材料としては、チタン、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、金、白金等を用いることができる。
また、コーティングの方法としては、スプレー法、スパッタ法等の公知の方法を用いることができる。また、適当な結着剤を予め混ぜ込んだものをコーティングしても良い。
作製された多孔体導電材料は、ナノメートルオーダーの大きさの細孔2aを壁面に複数有するため、十分に大きな表面積(及び大きな固定表面積)を有した拡散性の良い中空糸状の導電性チューブ材料となる。例えば、この導電性チューブ材料を用いて電極を形成し、この電極に酵素等の触媒を固定化することで固定化電極を作製することができる。このようにして作製した電極は、電極上での酵素反応を高効率で行わせることができ、電極近傍での酵素反応現象を効率よく電気信号として捉えることが可能である。しかも、酵素等の生体物質を固定化した場合、その安定性が向上するため、例えば、高性能なバイオセンサやバイオ電池などへの応用に好適なものとなる。
2 シリカチューブ(担体)
2a 細孔(穴部)
2b 内壁面(壁面)
2c 外壁面(壁面)
3 反応物質
100 基材
100a 貫通孔
100a1 内壁
Claims (6)
- 特定物質と選択的に反応する反応物質を担持する担体において、
当該担体は、両端が開放された直線状の中空部分を有し、壁面部分にナノメートルオーダーの大きさの穴部が複数形成された中空糸状のシリカチューブであり、
前記穴部の内部に前記反応物質が固定されることを特徴とする担体。 - 請求項1に記載の担体において、
前記反応物質は生体物質であり、前記穴部の大きさは、当該生体物質のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする担体。 - 請求項1又は2に記載の担体と、
前記担体に担持された前記反応物質と、
を備えることを特徴とする反応物質複合体。 - 請求項1又は2に記載の担体の製造方法において、
所定の基材が有する貫通孔の内壁に、所定の界面活性剤を含むシリカ層を形成するシリカ層形成ステップと、
前記シリカ層から前記界面活性剤を除去して、前記シリカチューブを形成するシリカチューブ形成ステップと、
所定の溶液を用いて前記基材を溶解させる基材溶解ステップと、
を備えることを特徴とする担体の製造方法。 - 請求項4に記載の担体の製造方法において、
前記シリカ層形成ステップは、
前記界面活性剤を含むシリカ源溶液を所定の吸引速度で前記貫通孔内に吸引導入する吸引導入ステップと、
前記貫通孔内に導入された前記シリカ源溶液を所定の吸引速度で吸引乾燥させる吸引乾燥ステップと、
を備え、
前記シリカチューブ形成ステップは、前記シリカ層を焼成することによって、当該シリカ層から前記界面活性剤を除去することを特徴とする担体の製造方法。 - 請求項4又は5に記載の担体の製造方法において、
前記基材は、アルミニウムを含む基板を陽極酸化して得た陽極酸化アルミナ基板であり、
前記貫通孔は、前記陽極酸化によって形成された孔であり、
前記溶液は、リン酸又は硝酸を含む溶液であることを特徴とする担体の製造方法。
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