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JP5332821B2 - メソ細孔配向材料 - Google Patents
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Description

本発明は、メソ細孔配向材料に関し、さらに詳しくは、メソ細孔が規則的に配列した有機無機ハイブリッド型のメソ細孔配向材料に関する。
メソ細孔材料は、メソ細孔(ナノ空間)を有する材料であり、ナノ空間を反応場として、触媒、電解質、光反応等に利用することが可能である。特に、メソ細孔の配向が制御された材料は、高伝導材料、高活性触媒、高感度センサー、超高密度記録媒体等に用いられることが期待される。
メソ細孔を垂直配向させた報告例は、シリカ薄膜が中心である。メソポーラス膜における細孔の配向制御は、機能性分子やクラスターの配向固定、分離膜、ナノワイヤー、電子デバイス等に応用する上で極めて重要である。
細孔を制御する方法としては、
(1)ラビング処理したポリマー基板(非特許文献1参照)、Si基板の(110)面(非特許文献2参照)など、基板表面の構造を利用したミセルの配向制御、
(2)光(非特許文献3参照)、電場(非特許文献4参照)、磁場(非特許文献5、特許文献1参照)等によるミセルの直接配向、
が挙げられる。
また、陽極酸化アルミナ膜中で配向した細孔中でメソポーラス物質を合成し、膜面に垂直配向させたメソ細孔膜も報告されている(非特許文献6、特許文献2参照)。
さらに、上記以外の方法で通常の製膜法で基板上に垂直配向させたメソ細孔シリカ薄膜についての報告例もある(特許文献3参照)。ここで、「通常の製膜法」とは、例えば、ディップコーティング法によるメソポーラス薄膜の調製法をいう。エタノールに界面活性剤、少量の水及び塩酸を加えた溶液に有機シランを加えて攪拌すると、有機シランのオリゴマーからなるゾル溶液が得られる。このゾル溶液に基板を浸漬し、所定速度で引き上げると、ゾル溶液が基板に均一に塗布される。基板上のゾル溶液の溶媒が蒸発する過程で、界面活性剤が濃縮されて規則的なミセル構造が形成される。
しかしながら、基板上に細孔を立たせることは、基板自身が阻害因子となる(細孔入口から細孔出口へ反応物質が移動するような反応を利用できない)ので、産業上の利用が困難と思われる。
そこで、基板等によるデッドエンドにならない垂直配向材料が望まれる。
例えば、非特許文献7には、界面活性剤(P123)、テトラエトキシシラン(TEOS)、ZrOCl2・8H2O、HCl、及びH2Oを所定の比率で混合し、所定の温度で反応させ、析出した粒子から界面活性剤を燃焼除去することにより得られるメソポーラス材料が開示されている。
同文献には、
(1)このような方法により平均の幅が800〜1100nmであり、平均の厚さが150〜300nmである板状のメソポーラス材料が得られる点、及び、
(2)得られた板状粒子は、厚さ方向に沿って細孔が規則的に配列している点、
が記載されている。
特開2001−58812号公報 特開2008−195580号公報 特開2008−266049号公報
Miyata H., Kuroda K.: Chem.Mater.11, 1609(1999) Miyata H., Kuroda K.: J.Am.Chem.Soc.121, 7618(1999) Kawashima Y., Nakagawa M., Seki T., Ichimura K.: Chem.Mater.14, 2842(2002) Taru M., Yao N., Kim E., Xia Y., Whitesides G.M., Aksay I.A.: Nature, 390, 674(1997) Yamaguchi A., Sawada m., Noma T., Ito H., Furumi S., Sakka Y., Kuroda K.: J.Mater.Chem.15, 1137(2005) Yamaguchi A., Uejo F., Yoda T., Uchida T., Yanamura Y., Yamashita T., Teramae N.: Nature Mater.3, 337(2004) Chen S.Y. et al.: Chem. Mater.20, 3906(2008)
非特許文献7に開示されているように、原料中に陽イオン(ZrIV)を添加すると、陽イオン添加効果によって1次粒子のモルホロジー制御が可能となる。その結果、アスペクト比が2.6〜7.3程度の板状のメソポーラスシリカが得られる。しかも、細孔は、板面にほぼ垂直に配向している。
しかしながら、この方法は、原料中に添加したZrイオンが細孔表面に残存する欠点がある。また、成形性を考慮すると、さらなる高アスペクト比の材料が望まれる。
本発明が解決しようとする課題は、板状粒子からなり、板状粒子の厚さ方向にメソ細孔が配向しており、しかも、相対的にアスペクト比が大きいメソ細孔配向材料を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るメソ細孔配向材料は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記メソ細孔配向材料は、Si−O−Si結合を含む無機骨格と、炭素原子を1個以上有する2価の有機基とを備え、前記無機骨格を構成する異なるSi原子間が前記有機基で連結されている有機無機ハイブリッドからなる。
(2)前記メソ細孔配向材料は、(−O)3Si−CH2−CH2−Si(O−)3構造を含む。
(3)前記メソ細孔配向材料は、板状粒子からなり、前記板状粒子の板面に対してほぼ垂直に配向したメソ細孔を備えている。
前記板状粒子のアスペクト比は、8以上が好ましい。
メソ細孔配向材料を合成する場合において、有機無機ハイブリッドの骨格を形成するための前駆体として少なくともZ3Si−CH2−CH2−SiZ3(Zは、−OCH3、−OC25、又はハロゲン)を用い、かつ、塩基性条件下で合成を行うと、相対的に高いアスペクト比を有し、しかも、メソ細孔が厚さ方向に配向したメソ細孔配向材料が得られる。
実施例1で得られたメソ細孔配向材料(エタン架橋型有機無機ハイブリッド)のXRDパターン(左図)及びSEM像(右図)である。 図2(a)及び図2(b)は、それぞれ、実施例1で得られたメソ細孔配向材料の窒素吸着等温線及び細孔分布曲線である。 実施例1で得られたメソ細孔配向材料のSEM像(同一ロット、2視野)である。 実施例1で得られたメソ細孔配向材料のSTEM像である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. メソ細孔配向材料]
本発明に係るメソ細孔配向材料は、以下の構成を備えている。
(1)前記メソ細孔配向材料は、Si−O−Si結合を含む無機骨格と、炭素原子を1個以上有する2価の有機基とを備え、前記無機骨格を構成する異なるSi原子間が前記有機基で連結されている有機無機ハイブリッドからなる。
(2)前記メソ細孔配向材料は、(−O)3Si−CH2−CH2−Si(O−)3構造を含む。
(3)前記メソ細孔配向材料は、板状粒子からなり、前記板状粒子の板面に対してほぼ垂直に配向したメソ細孔を備えている。
[1.1. 有機無機ハイブリッド]
本発明に係るメソ細孔配向材料は、有機無機ハイブリッドからなる。本発明において「有機無機ハイブリッド」とは、Si−O−Si結合を含む無機骨格と、炭素原子を1個以上有する2価の有機基とを備え、無機骨格を構成する異なるSi原子間が有機基で連結されている材料をいう。
無機骨格は、酸素原子のみと結合しているSi原子と、酸素原子及び有機基と結合しているSi原子の双方を含むものでも良い。あるいは、無機骨格は、酸素原子及び有機基と結合しているSi原子のみを含むものでも良い。板面に対してほぼ垂直にメソ細孔が配向している板状粒子を得るためには、無機骨格は、酸素原子及び有機基と結合しているSi原子のみを含むものが好ましい。
有機無機ハイブリッドは、Si−O−Si結合と、Si−有機基−Si結合のみを含むものが好ましいが、不可避的不純物が含まれていても良い。
[1.2. 有機基]
本発明において、「有機基」とは、炭素原子を1個以上有する2価の基をいう。このような有機基としては、具体的には、−(CH2)n−(nは、1〜4の整数)、−CH=CH−、−CH=CH−CH2−などがある。
また、本発明に係るメソ細孔配向材料は、(−O)3Si−CH2−CH2−Si(O−)3構造を含む。すなわち、本発明に係るメソ細孔配向材料は、有機基として、少なくとも1つのエチレン基(−CH2−CH2−)を含み、少なくとも1つのエチレン基の両端にSi(O−)3が結合している構造を備えている。
メソ細孔配向材料は、エチレン基のみを含むものでも良く、あるいは、エチレン基以外の有機基を含んでいても良い。
メソ細孔配向材料がエチレン基とエチレン基以外の有機基を含む場合、その比率は、目的に応じて任意に選択することができる。有機基のすべてがエチレン基である場合、メソ細孔を厚さ方向に配列させるのが容易化する。
[1.3. 形状]
本発明に係るメソ細孔配向材料は、板状粒子からなる。
後述する方法を用いると、そのアスペクト比が8以上、9以上、あるいは、10以上である板状粒子が得られる。
また、後述する方法を用いると、その幅が400〜2000nmである板状粒子が得られる。
[1.4. メソ細孔]
本発明に係るメソ細孔配向材料は、板状粒子の板面に対してほぼ垂直方向に配向したメソ細孔を備えている。
「メソ細孔」とは、ゼオライトに含まれる空間より大きなナノ空間(1.5〜50nm)をいう。後述するように、メソ細孔配向材料の骨格となる前駆体を縮重合させる場合において、界面活性剤を共存させると、界面活性剤がミセルを形成し、自己組織化する。その結果、メソ細孔が規則配列しているメソ細孔配向材料と、メソ細孔内に充填された界面活性剤とを備えた複合体が得られる。
この時、メソ細孔配向材料の骨格を形成するための前駆体として、少なくともZ3Si−CH2−CH2−SiZ3(Zは、−OCH3、−OC25、又はハロゲン)を用い、かつ、塩基性条件下で合成を行うと、相対的に高いアスペクト比を有し、しかも、メソ細孔が板面に対してほぼ垂直に配向したメソ細孔配向材料が得られる。「板面に対してほぼ垂直に配向する」とは、メソ細孔が板状粒子の厚さ方向に配向していることをいい、板面に対して垂直方向から多少ずれていても良いことを意味する。
[2. メソ細孔配向材料の製造方法]
本発明に係るメソ細孔配向材料の製造方法は、複合体製造工程と、界面活性剤除去工程とを備えている。
[2.1. 複合体製造工程]
複合体製造工程は、界面活性剤共存下及び塩基性条件下において、メソ細孔配向材料の骨格を形成するための前駆体を縮重合させ、メソ細孔配向材料のメソ細孔内に界面活性剤が充填された複合体を得る工程である。
[2.1.1 前駆体]
「前駆体」とは、メソ細孔配向材料の骨格を形成するための原料をいう。本発明において、前駆体には、次の(1)式で表されるシラン化合物を用いる。
3Si−R−SiZ3 ・・・(1)
但し、Zは、−OCH3、−OC25、又はハロゲン。
Rは、炭素数が1以上の2価の有機基。
(1)式中、Rは、互いに同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
2価の有機基Rとしては、具体的には、−(CH2)n−(nは、1〜4の整数)、−CH=CH−、−CH=CH−CH2−などがある。
メソ細孔が板面に対してほぼ垂直に配向している板状粒子を得るためには、前駆体として、少なくとも有機基Rがエチレン基であるもの、すなわち次の(1a)で表されるシラン化合物を用いる必要がある。
3Si−CH2−CH2−SiZ3 ・・・(1a)
但し、Zは、−OCH3、−OC25、又はハロゲン。
(1a)式で表されるシラン化合物の中でも、特に、(EtO)3Si−CH2−CH2−Si(OEt)3(ビストリエトキシシリルエタン:BTEE)が好ましい。
出発原料には、(1a)式で表される前駆体のみを用いても良く、あるいは、(1a)式で表される前駆体とエチレン基以外の有機基Rを含む前駆体と組み合わせて用いても良い。エチレン基を含む前駆体とエチレン基以外の有機基を含む前駆体を組み合わせて用いる場合、その比率は、目的に応じて任意に選択することができる。エチレン基を含む前駆体のみを用いた場合、メソ細孔を厚さ方向に配列させるのが容易化する。
さらに、前駆体には、(1)で表されるシラン化合物のみを用いても良く、あるいは、(1)式で表されるシラン化合物に加えて、2価の有機基を持たない前駆体(第2前駆体)を用いても良い。
第2前駆体には、具体的には、以下のようなものを用いることができる。
(1)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン。
(2)トリメトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン。
(3)ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシランなどのジアルコキシシラン。
(4)メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、オルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)、二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25)、四ケイ酸ナトリウム(Na2Si49)、水ガラス(Na2O・nSiO2、n=2〜4)などのケイ酸ナトリウム。
(5)カネマイト(NaHSi25・3H2O)、二ケイ酸ナトリウム結晶(α、β、γ、δ−Na2Si25)、マカタイト(Na2Si49)、アイアライト(Na2Si817・xH2O)、マガディアイト(Na2Si1417・xH2O)、ケニヤイト(Na2Si2041・xH2O)などの層状シリケート。
(6)Ultrasil(Ultrasil社)、Cab-O-Sil(Cabot社)、HiSil(Pittsburgh Plate Glass社)等の沈降性シリカ、コロイダルシリカ、Aerosil(Degussa-Huls社)等のフュームドシリカ。
(7)テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、テトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シラン、テトラキス(2−ヒドロキシプロキシ)シラン、テトラキス(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)シランなどのテトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シラン。
(8)メチルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、エチルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−メルカプトプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−クロロプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シランなどのトリス(ヒドロキシアルコキシ)シラン。
第2前駆体には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。出発原料として第2前駆体を用いる場合、有機基を含む前駆体と第2前駆体の比率は、目的に応じて任意に選択することができる。
なお、第2前駆体として、アルコキシシラン、ヒドロキシアルコキシシラン等のシラン化合物を用いる場合には、これをそのまま出発原料として用いる。
一方、第2前駆体としてシラン化合物以外の化合物を用いる場合には、予め、水(又は、必要に応じてアルコールが添加されたアルコール水溶液)に第2前駆体を加えて、水酸化ナトリウム等の塩基性物質を加える。塩基性物質の添加量は、第2前駆体中のケイ素原子と等モル程度の量とするのが好ましい。シラン化合物以外の第2前駆体を含む溶液に塩基性物質を加えると、第2前駆体中に既に形成されているSi−(O−Si)4結合の一部が切断され、均一な溶液が得られる。溶液中に含まれる塩基性物質の量は、複合体の収量や気孔率に影響を及ぼすので、均一な溶液が得られた後、溶液に希薄酸溶液を加え、溶液中に存在する過剰の塩基性物質を中和させる。希薄酸溶液の添加量は、第2前駆体中のケイ素原子に対して1/2〜3/4倍モルに相当する量が好ましい。
[2.1.2 界面活性剤]
界面活性剤は、メソ細孔を形成するためのテンプレートとなる。本発明において、界面活性剤には、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれも使用することができる。
カチオン系界面活性剤としては、具体的には、次の(2)式で表されるアルキル4級アンモニウム塩などがある。
CH3−(CH2)n−N+(R1)(R2)(R3)X- ・・・(2)
(2)式中、R1、R2、R3は、それぞれ、炭素数が1〜3のアルキル基を表す。R1、R2、及び、R3は、互いに同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。アルキル4級アンモニウム塩同士の凝集(ミセルの形成)を容易化するためには、R1、R2、及び、R3は、すべて同一であることが好ましい。さらに、R1、R2、及び、R3の少なくとも1つは、メチル基が好ましく、すべてがメチル基であることが好ましい。
(2)式中、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の種類は特に限定されないが、入手の容易さからXは、Cl又はBrが好ましい。
(2)式中、nは7〜21の整数を表す。
アニオン系の界面活性剤としては、具体的には、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩などがある。
ノニオン系界面活性剤としては、具体的には、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、1級アルキルアミンなどがある。
複合体を合成する場合において、1種類の界面活性剤を用いても良く、あるいは、2種以上を用いても良い。しかしながら、界面活性剤は、複合体中にメソ細孔を形成するためのテンプレートとなるので、その種類は、メソ細孔の形状に大きな影響を与える。より均一なメソ細孔を有する複合体を合成するためには、1種類の界面活性剤を用いるのが好ましい。
[2.1.3 溶媒]
原料を溶解させる溶媒は、前駆体の種類に応じて最適なものを選択する。溶媒には、通常、水、アルコール、水とアルコールの混合溶媒などを用いる。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール、エチレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の3価のアルコールのいずれでも良い。
[2.1.4 触媒]
前駆体を縮重合させ、メソ細孔配向材料を得るためには、一般に、前駆体を含む溶液に触媒を加える。本発明においては、触媒として塩基性触媒を用いる。(1)式で表されるシラン化合物を含む前駆体を界面活性剤共存下で縮重合させる場合において、塩基性触媒を用いると、メソ細孔が厚さ方向に配向した板状粒子が得られる。
このような塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、アンモニア水などがある。
[2.1.5 溶液組成]
溶媒の種類、前駆体の種類及び濃度、界面活性剤の種類及び濃度、触媒の種類及び濃度などの溶液組成は、出発原料の種類やメソ細孔配向材料に要求される特性に応じて、最適なものを選択するのが好ましい。
例えば、溶媒中のアルコール含有量は、粒子の粒径、粒度分布、ミセル構造などに影響を与える。メソ細孔が板面に対してほぼ垂直に配向している板状粒子を合成するためには、溶媒には、水を用いるのが好ましい。
また、例えば、溶液中の前駆体の濃度が低すぎると、粒子の収率が低下し、あるいは、粒子の粒径や粒度分布の制御が困難となる。
一方、溶液中の前駆体の濃度が高すぎると、粒径及び粒度分布の制御が困難となり、粒径の均一性が低下する。
メソ細孔が板面に対してほぼ垂直に配向している板状粒子を合成するためには、溶媒は、前駆体0.1molに対して10〜80molが好ましい。
また、例えば、界面活性剤の量が少なすぎると、界面活性剤の量が不足し、連続したミセルを形成することができない。
一方、界面活性剤の量が過剰になると、ラメラ状物質が生成し、界面活性剤を除去するとシートの積層物が得られるのみで、メソ多孔体は得られない
メソ細孔が板面に対してほぼ垂直に配向している板状粒子を合成するためには、界面活性剤は、前駆体0.1molに対して、0.01〜0.1molが好ましい。
また、例えば、溶液中の塩基性触媒の濃度が低すぎると、粒子の収率が極端に低下する。
一方、溶液中の塩基性触媒の濃度が高すぎると、メソ細孔配向材料の合成が困難となる場合がある。
メソ細孔が板面に対してほぼ垂直に配向している板状粒子を合成するためには、塩基性触媒は、前駆体0.1molに対して、0.01〜1.0molが好ましく、さらに好ましくは、0.05〜0.5molである。
[2.1.6 複合体の作製]
板状の複合体は、界面活性剤及び塩基性触媒を含む溶液に前駆体を加え、所定の温度で反応させることにより得られる。
反応条件は、原料の種類や濃度に応じて最適な条件を選択する。例えば、(1a)式で表されるシラン化合物のみを用いてメソ細孔配向材料を合成する場合、まず、溶液を室温で攪拌し、次いで、溶液を加熱(還流)下で静置するのが好ましい。溶液を室温で攪拌すると、前駆体と界面活性剤が均一に分散した溶液が得られる。また、このような溶液を加熱下で静置すると、メソ細孔骨格の縮合を進行させることができる。
溶液を室温で攪拌する場合、攪拌時の回転数は、300〜500rpmが好ましく、攪拌時間は、2〜24時間が好ましい。また、溶液を加熱下で静置する場合、加熱温度は、80〜97℃が好ましく、静置時間は24〜48時間が好ましい。
前駆体を含む混合液に塩基性触媒を添加すると、前駆体の加水分解及び部分重合が起こる。この溶液に界面活性剤を添加すると、界面活性剤は、溶液中でミセルを形成する。このミセルが超分子鋳型となり、その周囲に加水分解又は部分重合した前駆体が吸着する。ミセルの内部には部分重合体が入り込まないため、ミセルの内部は、最終的には細孔部分となる。従って、界面活性剤の分子鎖長を制御することにより、メソ細孔配向材料内部の細孔径を制御することができる。
前駆体を吸着したミセルは、やがて安定な方向に配列する。しかも、(1)式で表されるシラン化合物を前駆体に用い、かつ塩基性条件下で反応させると、相対的に長さの短いミセルがほぼ平行に配列する。これを溶液中でさらに反応させると、配列したミセル間において前駆体が縮重合する。その結果、厚さ方向にメソ細孔が配列し、かつメソ細孔内に界面活性剤が充填された板状の複合体が得られる。
[2.2 界面活性剤除去工程]
界面活性剤除去工程は、複合体から界面活性剤を除去する工程である。界面活性剤の除去方法は、特に限定されるものではなく、界面活性剤の種類や複合体の構造等に応じて最適な方法を選択するのが好ましい。
界面活性剤の除去方法としては、具体的には、
(1)複合体を大気中又は不活性雰囲気下において、300〜1000℃(好ましくは、300〜600℃)で、30分以上(好ましくは、1時間以上)焼成する焼成方法、
(2)複合体を界面活性剤の良溶媒(例えば、少量の塩酸を含むメタノール)中に浸漬し、所定の温度(例えば、50〜70℃)で加熱しながら攪拌し、複合体中の界面活性剤を抽出するイオン交換法、
などがある。
[3. メソ細孔配向材料の作用]
メソ細孔を特定の方向に配向させるための従来の方法は、高磁場、光電場、光などの特殊条件下で界面活性剤を直接配向させる必要があった。
一方、比較的穏和な条件下でメソ細孔を配向させる方法として、TEOSにZrOCl2・8H2Oを加え、さらに酸性条件下で縮重合させる方法が知られている。しかしながら、この方法は、Zrイオンが細孔表面に残存する欠点がある。また、合成可能な粉末のアスペクト比は、8未満に留まっている。
これに対し、メソ細孔配向材料を合成する場合において、有機無機ハイブリッドの骨格を形成するための前駆体として少なくともZ3Si−CH2−CH2−SiZ3を用い、かつ、塩基性条件下で合成を行うと、100℃以下の攪拌及び静置下で、相対的に高いアスペクト比を有し、しかも、メソ細孔が厚さ方向に配向したメソ細孔配向材料が得られる。製造条件を最適化すると、アスペクト比が8以上であり、細孔が底面に対して垂直に開いている板状粒子が得られる。
(実施例1)
[1. 試料の合成]
水(190.62g)、界面活性剤(オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド:C18TMA+Cl-)(5.95g)、NaOH(2.8g)を混合し、透明溶液になるまで室温下で攪拌した。その混合溶液にメソ細孔配向材料の骨格となるBTEE(10.63g)を投入し、室温下24時間、攪拌(500rpm)した。さらに、97℃の加熱(還流下)下で静置させた(24時間)。その結果、白濁溶液が生成した。溶液から粉末をろ過し、洗浄(水及びエタノール)した。
次に、生成物1gに対し、1wt%HCl溶液(エタノール希釈)500mLを加え、60℃−15hr下で界面活性剤を抽出した。
[2. 試験方法]
[2.1 X線回折]
得られたメソ細孔配向材料(エタン架橋型有機無機ハイブリッド)について、X線回折パターンを測定した。
[2.2 細孔構造]
得られたメソ細孔配向材料のBET比表面積、細孔容量、及び細孔サイズを測定した。また、メソ細孔配向材料のSEM像及びSTEM像を撮影した。
[3. 結果]
[3.1 X線回折パターン]
図1に、メソ細孔配向材料(エタン架橋型有機無機ハイブリッド)のX線回折パターン(左図)及びSEM像(右図)を示す。図1より、板状粒子が得られていることがわかる。図1左図中、4.8nm、2.82nm、及び2.46nmに相当する回折ピークは、それぞれ、d(10)、d(11)、及びd(20)に帰属されるピークであり、2D−ヘキサゴナル構造が形成されたことを示す。
[3.2 細孔構造]
図2(a)及び図b(b)に、それぞれ、メソ細孔配向材料の窒素吸着等温線及び細孔分布曲線を示す。
BET比表面積及び細孔容量は、それぞれ、751m2/g及び0.88cc/gであった。また、BJH法による平均細孔径は、3.2nmであった。
図3に、メソ細孔配向材料のSEM像(同一ロット、2視野)を示す。図3より、幅が1600〜2000nm、厚さが150〜200nm、アスペクト比が10〜11である板状粉末が得られていることがわかる。
図4に、メソ細孔配向材料のSTEM像を示す。図4より、約3nmの細孔が板状粒子の板面に対してほぼ垂直に配向していることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係るメソ細孔配向材料は、高伝導材料、高活性触媒、高感度センサー、超高密度記録媒体等に用いることができる。

Claims (2)

  1. 以下の構成を備えたメソ細孔配向材料。
    (1)前記メソ細孔配向材料は、Si−O−Si結合を含む無機骨格と、炭素原子を1個以上有する2価の有機基とを備え、前記無機骨格を構成する異なるSi原子間が前記有機基で連結されている有機無機ハイブリッドからなる。
    (2)前記メソ細孔配向材料は、(−O)3Si−CH2−CH2−Si(O−)3構造を含む。
    (3)前記メソ細孔配向材料は、板状粒子からなり、前記板状粒子の板面に対してほぼ垂直に配向したメソ細孔を備えている。
  2. 前記板状粒子のアスペクト比は、8以上であり、
    前記板状粒子の幅は、400〜2000nmである
    請求項1に記載のメソ細孔配向材料。
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