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JP5332882B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
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JP5332882B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、III族窒化物半導体を用いた半導体発光素子およびその半導体発光素子の製造方法に関するものである。
GaN等のIII族窒化物半導体を用いた半導体発光素子は、通常、サファイア等の基板上に、発光層を含むIII族窒化物半導体層を形成して構成される。そして、このような半導体発光素子では、配線基板に対して半導体発光素子をフリップチップにて実装することで、発光層から出力される光を、基板を介して外部に出射するようにしたものが存在する。
公報記載の従来技術として、III族窒化物半導体層の基板との接触面と反対側となる面に、金属酸化物からなる透明導電層を形成するとともに、この透明導電層にさらに銀等からなる反射層を形成することで、発光層から基板とは反対側に出力される光を基板側に向けて反射するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
また、他の公報記載の従来技術として、III族窒化物半導体で構成されたp型半導体層の上に、p型コンタクト層を介して形成された正電極を備える半導体発光素子において、この正電極を、酸化物からなる第1の半導体膜、第1の半導体膜の上に形成される金属膜、酸化物からなり金属膜の上に形成される第2の半導体膜にて構成するものが知られている(特許文献2参照)。
特開2006−303430号公報 特開2005−259971号公報
ところで、反射層に用いられる銀は、マイグレーションを起こしやすい材料であることが知られている。このため、銀を含む反射層を保護するために反射層上に例えば金属層を形成した場合には、銀のマイグレーションによって反射層の界面に荒れが生じることで反射率が低下し、結果として光り取り出し効率の低下を招くおそれがあった。
本発明は、フリップチップにて実装される半導体発光素子における光取り出し効率の低下を抑制することを目的とする。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される半導体発光素子は、基板と、通電により発光する発光層を含んで基板に積層され、発光層から出射される光を、基板を介して外部に出力するIII族窒化物半導体層と、発光層から出射される光に対する光透過性および導電性を有する金属酸化物で構成され、III族窒化物半導体層の基板とは逆側に積層される透明導電層と、銀または銀を含む合金で構成され、発光層から透明導電層を介して入射する光を反射する金属層と、導電性を有する金属酸化物で構成され、金属層に積層されて外部との電気的な接続に用いられる導電層と、導電性を有する金属で構成され、積層される透明導電層と金属層と導電層とを、III族窒化物半導体層に対し覆うように設けられる被覆層とを有している。
このような半導体発光素子において、透明導電層が金属酸化物としてインジウム酸化物を含むことを特徴とすることができる。
また、透明導電層が金属酸化物としてさらに亜鉛酸化物を含むことを特徴とすることができる。
さらに、基板がサファイア単結晶で構成されることを特徴とすることができる。
また、導電層がIII族窒化物半導体層と非接触に形成されることを特徴とすることができる。
さらに、金属層と被覆層とが非接触に配置されることを特徴とすることができる。
そして、透明導電層、金属層および導電層のいずれか一層は、III族窒化物半導体層の面に沿って形成される上面と上面の周縁部からIII族窒化物半導体層に向かって傾斜する傾斜面とを備えていることを特徴とすることができる。
本発明によれば、フリップチップにて実装される半導体発光素子における光取り出し効率の低下を抑制することができる。
半導体発光素子の断面模式図の一例である。 半導体発光素子の平面模式図の一例である。 半導体発光素子を構成する積層半導体層の断面模式図の一例である。 半導体発光素子を基板にフリップチップ実装した発光装置の一例を示す図である。 半導体発光素子の製造工程の一例を示すフローチャートである。 半導体発光素子の断面模式図の他の一例である。 図6に示す半導体発光素子の第1の電極の製造方法の一例を説明するための図である。 図6に示す半導体発光素子の第1の電極の製造方法の一例を説明するための図(つづき)である。 図6に示す半導体発光素子の第1の電極の製造方法の一例を説明するための図(つづき)である。 図6に示す半導体発光素子の第1の電極の製造方法の一例を説明するための図(つづき)である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本実施の形態が適用される半導体発光素子(発光ダイオード)1の断面模式図の一例を示しており、図2は図1に示す半導体発光素子1を図1に示すII方向からみた平面模式図の一例を示しており、図3は半導体発光素子を構成する積層半導体層の断面模式図の一例を示している。
(半導体発光素子)
図1に示すように、半導体発光素子1は、透明基板の一例としての基板110と、基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130とを備える。また、半導体発光素子1は、下地層130上に積層されるn型半導体層140と、n型半導体層140上に積層される発光層150と、発光層150上に積層されるp型半導体層160とを備える。なお、以下の説明においては、必要に応じて、これらn型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160を、まとめて積層半導体層100と呼ぶ。
さらに、半導体発光素子1は、p型半導体層160の上面160cに形成される第1の電極170と、積層されたp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部を切り欠くことによって露出したn型半導体層140の半導体層露出面140cに形成される第2の電極180とを備える。さらにまた、半導体発光素子1は、第1の電極170および第2の電極180に積層される保護層190をさらに備える。ただし、保護層190は、第1の電極170および第2の電極180のそれぞれにおいて、図1において上方側となる面の一部を露出させるように形成されている。
このように、本実施の形態の半導体発光素子1は、一方の面側に第1の電極170および第2の電極180が形成された構造を有している。
なお、図2においては、保護層190の記載を省略しており、第1の電極170(より具体的には後述する被覆層174)および第2の電極180のうち、保護層190によって覆われない領域を破線で囲って示している。また、図2には、被覆層174の背面に設けられる第2導電層173(詳細は後述する)を一点鎖線で示している。
この半導体発光素子1においては、第1の電極170を正極、第2の電極180を負極とし、両者を介してIII族窒化物半導体層の一例としての積層半導体層100(より具体的にはp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140)に電流を流すことで、発光層150が発光するようになっている。
では次に、半導体発光素子1の各構成要素について、より詳細に説明する。
<基板>
基板110としては、III族窒化物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板であれば、特に限定されず、各種の基板を選択して用いることができる。ただし、本実施の形態の半導体発光素子1は、後述するように、基板110側から光を取り出すようにフリップチップ実装されることから、発光層150から出射される光に対する光透過性を有していることが好ましい。したがって、例えば、サファイア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン等からなる基板110を用いることができる。
また、上記材料の中でも、特に、C面を主面とするサファイアを基板110として用いることが好ましい。サファイアを基板110として用いる場合は、サファイアのC面上に中間層120(バッファ層)を形成するとよい。
<積層半導体層>
積層半導体層100は、例えば、III族窒化物半導体からなる層であって、図1に示すように、基板110上に、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160の各層が、この順で積層されて構成されている。
また、図3に示すように、n型半導体層140、発光層150及びp型半導体層160の各層は、それぞれ、複数の半導体層から構成してもよい。さらにまた、積層半導体層100は、さらに下地層130、中間層120を含めて呼んでもよい。ここで、n型半導体層140は、電子をキャリアとする第1の導電型にて電気伝導を行うものであり、p型半導体層160は、正孔をキャリアとする第2の導電型にて電気伝導を行うものである。
なお、積層半導体層100は、MOCVD法で形成すると結晶性の良いものが得られるが、スパッタ法によっても条件を最適化することで、MOCVD法よりも優れた結晶性を有する半導体層を形成できる。以下、順次説明する。
<中間層>
中間層120は、多結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)のものがより好ましい。
中間層120は、上述のように、例えば、多結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。中間層120の厚みが0.01μm未満であると、中間層120により基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、中間層120の厚みが0.5μmを超えると、中間層120としての機能には変化が無いのにも関わらず、中間層120の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下する虞がある。
中間層120は、基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和し、基板110の(0001)面(C面)上にc軸配向した単結晶層の形成を容易にする働きがある。したがって、中間層120の上に単結晶の下地層130を積層すると、より一層結晶性の良い下地層130が積層できる。なお、本発明においては、中間層形成工程を行なうことが好ましいが、行なわなくても良い。
また、中間層120は、III族窒化物半導体からなる六方晶系の結晶構造を持つものであってもよい。また、中間層120をなすIII族窒化物半導体の結晶は、単結晶構造を有するものであってもよく、単結晶構造を有するものが好ましく用いられる。III族窒化物半導体の結晶は、成長条件を制御することにより、上方向だけでなく、面内方向にも成長して単結晶構造を形成する。このため、中間層120の成膜条件を制御することにより、単結晶構造のIII族窒化物半導体の結晶からなる中間層120とすることができる。このような単結晶構造を有する中間層120を基板110上に成膜した場合、中間層120のバッファ機能が有効に作用するため、その上に成膜されたIII族窒化物半導体は良好な配向性及び結晶性を有する結晶膜となる。
また、中間層120をなすIII族窒化物半導体の結晶は、成膜条件をコントロールすることにより、六角柱を基本とした集合組織からなる柱状結晶(多結晶)とすることも可能である。なお、ここでの集合組織からなる柱状結晶とは、隣接する結晶粒との間に結晶粒界を形成して隔てられており、それ自体は縦断面形状として柱状になっている結晶のことをいう。
<下地層>
下地層130としては、AlxGayInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いることができるが、AlxGa1-xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層130を形成できるため好ましい。
下地層130の膜厚は0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlxGa1-xN層が得られやすい。
下地層130の結晶性を良くするためには、下地層130は不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合は、アクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することができる。
<n型半導体層>
図3に示すように、第1の半導体層の一例としてのn型半導体層140は、nコンタクト層140aとnクラッド層140bとから構成されるのが好ましい。なお、nコンタクト層140aはnクラッド層140bを兼ねることも可能である。また、前述の下地層130をn型半導体層140に含めてもよい。
nコンタクト層140aは、第2の電極180を設けるための層である。nコンタクト層140aとしては、AlxGa1-xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましい。
また、nコンタクト層140aにはn型不純物がドープされていることが好ましく、n型不純物を1×1017〜1×1020/cm3、好ましくは1×1018〜1×1019/cm3の濃度で含有すると、第2の電極180との良好なオーミック接触を維持できる点で好ましい。n型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、GeおよびSn等が挙げられ、好ましくはSiおよびGeが挙げられる。
nコンタクト層140aの膜厚は、0.5〜5μmとされることが好ましく、1〜3μmの範囲に設定することがより好ましい。nコンタクト層140aの膜厚が上記範囲にあると、半導体の結晶性が良好に維持される。
nコンタクト層140aと発光層150との間には、nクラッド層140bを設けることが好ましい。nクラッド層140bは、発光層150へのキャリアの注入とキャリアの閉じ込めとを行なう層である。nクラッド層140bはAlGaN、GaN、GaInNなどで形成することが可能である。また、これらの構造のヘテロ接合や複数回積層した超格子構造としてもよい。nクラッド層140bをGaInNで形成する場合には、発光層150のGaInNのバンドギャップよりも大きくすることが望ましい。
nクラッド層140bの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.005〜0.5μmであり、より好ましくは0.005〜0.1μmである。nクラッド層140bのn型ドープ濃度は1×1017〜1×1020/cm3が好ましく、より好ましくは1×1018〜1×1019/cm3である。ドープ濃度がこの範囲であると、良好な結晶性の維持および発光素子の動作電圧低減の点で好ましい。
なお、nクラッド層140bを、超格子構造を含む層とする場合には、詳細な図示を省略するが、100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるn側第1層と、n側第1層と組成が異なるとともに100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるn側第2層とが積層された構造を含むものであっても良い。
また、nクラッド層140bは、n側第1層とn側第2層とが交互に繰返し積層された構造を含んだものであってもよく、GaInNとGaNとの交互構造又は組成の異なるGaInN同士の交互構造であることが好ましい。
<発光層>
n型半導体層140の上に積層される発光層150としては、単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造などを採用することができる。
図3に示すような、量子井戸構造の井戸層150bとしては、Ga1-yInyN(0<y<0.4)からなるIII族窒化物半導体層が通常用いられる。井戸層150bの膜厚としては、量子効果の得られる程度の膜厚、例えば1〜10nmとすることができ、好ましくは2〜6nmとすると発光出力の点で好ましい。
また、多重量子井戸構造の発光層150の場合は、上記Ga1-yInyNを井戸層150bとし、井戸層150bよりバンドギャップエネルギーが大きいAlzGa1-zN(0≦z<0.3)を障壁層150aとする。井戸層150bおよび障壁層150aには、設計により不純物をドープしてもしなくてもよい。
<p型半導体層>
図3に示すように、第2の半導体層の一例としてのp型半導体層160は、通常、pクラッド層160aおよびpコンタクト層160bから構成される。また、pコンタクト層160bがpクラッド層160aを兼ねることも可能である。
pクラッド層160aは、発光層150へのキャリアの閉じ込めとキャリアの注入とを行なう層である。pクラッド層160aとしては、発光層150のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層150へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、AlxGa1-xN(0<x≦0.4)のものが挙げられる。
pクラッド層160aが、このようなAlGaNからなると、発光層150へのキャリアの閉じ込めの点で好ましい。pクラッド層160aの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmであり、より好ましくは5〜100nmである。
pクラッド層160aのp型ドープ濃度は、1×1018〜1×1021/cm3が好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cm3である。p型ドープ濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
また、pクラッド層160aは、複数回積層した超格子構造としてもよく、AlGaNとAlGaNとの交互構造又はAlGaNとGaNとの交互構造であることが好ましい。
pコンタクト層160bは、第1の電極170を設けるための層である。pコンタクト層160bは、AlxGa1-xN(0≦x≦0.4)であることが好ましい。Al組成が上記範囲であると、良好な結晶性の維持および第1の電極170との良好なオーミック接触の維持が可能となる点で好ましい。
p型不純物(ドーパント)を1×1018〜1×1021/cm3の濃度、好ましくは5×1019〜5×1020/cm3の濃度で含有していると、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えば好ましくはMgが挙げられる。
pコンタクト層160bの膜厚は、特に限定されないが、0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2μmである。pコンタクト層160bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
<第1の電極>
次に、第1の電極170の構成について詳細に説明する。
第1の電極170は、p型半導体層160上に積層される第1導電層171と、この第1導電層171上に積層される反射層172(金属層とも呼ぶ)と、この反射層172上に積層される第2導電層173と、p型半導体層160に対しこれら第1導電層171、反射層172および第2導電層173を覆うように設けられる被覆層174とを有している。
<第1導電層>
図1に示すように、p型半導体層160の上には第1導電層171が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、第1導電層171(図1参照)は、第2の電極180を形成するために、エッチング等の手段によって一部が除去されたp型半導体層160の上面160cの周縁部を除くほぼ全面を覆うように形成されているが、このような形状に限定されるわけでなく、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよい。ただし、図2において、第1導電層171は、第2導電層173の背面側に形成されているため、その背後に隠れている。
第1導電層171は、p型半導体層160とオーミックコンタクトがとれ、しかもp型半導体層160との接触抵抗が小さいものを用いることが好ましい。また、この半導体発光素子1では、発光層150からの光を、反射層172を介して基板110側に取り出すことから、第1導電層171は光透過性に優れたものを用いることが好ましい。さらにまた、p型半導体層160の全面に渡って均一に電流を拡散させるために、第1導電層171は優れた導電性を有し、且つ、抵抗分布が少ないものを用いることが好ましい。また、本実施の形態では、第1導電層171の厚さが5nm(50Å)に設定されている。なお、第1導電層171の厚さは2nm〜18nmの範囲より選択することができる。ここで、第1導電層171の厚さが2nmよりも薄いと、p型半導体層160とオーミックコンタクトが取れにくい場合があり、また、第1導電層171の厚さが18nmよりも厚いと発光層150からの発光及び反射層172からの反射光の光透過性の点で好ましくない場合がある。
第1導電層171の一例としては透明導電層が挙げられる。例えば、本実施の形態では、第1導電層171として、酸化物の導電性材料であって、発光層150から出射される波長の光に対する光透過性のよいものが用いられる。特に、Inを含む酸化物の一部は、他の透明導電膜と比較して光透過性および導電性の両者がともに優れている点で好ましい。Inを含む導電性の酸化物としては、例えばITO(酸化インジウム錫(In23−SnO2))、IZO(酸化インジウム亜鉛(In23−ZnO))、IGO(酸化インジウムガリウム(In23−Ga23))、ICO(酸化インジウムセリウム(In23−CeO2))等が挙げられる。なお、これらの中に、例えばフッ素などのドーパントが添加されていてもかまわない。また、例えばInを含まない酸化物、例えばキャリアをドープしたSnO2、ZnO2、TiO2等の導電性材料を用いてもよい。
これらの材料を、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることによって、第1導電層171を形成できる。また、第1導電層171を形成した後に、第1導電層171の透明化と更なる低抵抗化とを目的とした熱アニールを施す場合もある。
本実施の形態において、第1導電層171は、結晶化された構造のものを使用してよく、特に六方晶構造又はビックスバイト構造を有するIn23結晶を含む透光性材料(例えば、ITOやIZO等)を好ましく使用することができる。
例えば、六方晶構造のIn23結晶を含むIZOを第1導電層171として使用する場合、エッチング性に優れたアモルファスのIZO膜を用いて特定形状に加工することができ、さらにその後、熱処理等によりアモルファス状態から結晶を含む構造に転移させることで、アモルファスのIZO膜よりも透光性の優れた電極に加工することができる。
また、第1導電層171に用いるIZO膜としては、比抵抗が最も低くなる組成を使用することが好ましい。
例えば、IZO中のZnO濃度は1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%の範囲であることが更に好ましい。10質量%であると特に好ましい。
第1導電層171に用いるIZO膜の熱処理は、O2を含まない雰囲気で行なうことが望ましく、O2を含まない雰囲気としては、N2雰囲気などの不活性ガス雰囲気や、またはN2などの不活性ガスとH2との混合ガス雰囲気などを挙げることができ、N2雰囲気、またはN2とH2との混合ガス雰囲気とすることが望ましい。なお、IZO膜の熱処理をN2雰囲気、またはN2とH2との混合ガス雰囲気中で行なうと、例えば、IZO膜を六方晶構造のIn23結晶を含む膜に結晶化させるとともに、IZO膜のシート抵抗を効果的に減少させることが可能である。
また、IZO膜の熱処理温度は、500℃〜1000℃が好ましい。500℃未満の温度で熱処理を行なった場合、IZO膜を十分に結晶化できない恐れが生じ、IZO膜の光透過率が十分に高いものとならない場合がある。1000℃を超える温度で熱処理を行なった場合には、IZO膜は結晶化されているが、IZO膜の光透過率が十分に高いものとならない場合がある。また、1000℃を超える温度で熱処理を行なった場合、IZO膜の下にある半導体層を劣化させる恐れもある。
アモルファス状態のIZO膜を結晶化させる場合、成膜条件や熱処理条件などが異なるとIZO膜中の結晶構造が異なる。しかし、本発明の実施形態においては、他の層との接着性の点において、第1導電層171は材料に限定されないが結晶性の材料の方が好ましく、特に結晶性IZOの場合にはビックスバイト結晶構造のIn23結晶を含むIZOであってもよく、六方晶構造のIn23結晶を含むIZOであってもよい。特に六方晶構造のIn23結晶を含むIZOがよい。
特に、前述のように、熱処理によって結晶化したIZO膜は、アモルファス状態のIZO膜に比べて、p型半導体層160との密着性が良いため、本発明の実施形態において大変有効である。また、熱処理によって結晶化したIZO膜は、アモルファス状態のIZO膜に比べて、抵抗値が低下することから、半導体発光素子1を構成した際に、順方向電圧VFを低減できる点でも好ましい。
<反射層>
図1に示すように、第1導電層171の上には反射層172が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、反射層172(図1参照)は、第1導電層171の全域を覆うように形成されている。また、反射層172は、第1導電層171上に形成され、p型半導体層160上には形成されないようになっている。すなわち、p型半導体層160と反射層172とが直接接触しないように構成されている。ただし、図2において、反射層172は、上述した第1導電層171と同様、第2導電層173の背面側に形成されているため、その背後に隠れている。
金属層の一例としての反射層172はAg(銀)で構成されている。反射層172として銀を用いているのは、発光層150から出射される青色〜緑色の領域の波長の光に対して、高い光反射性を有しているためである。また、後述するように、反射層172は、第1導電層171を介してp型半導体層160に給電を行う機能も有していることから、その抵抗値が低く、しかも第1導電層171との接触抵抗を低く抑える必要があるためである。そして、本実施の形態では、反射層172の厚さが100nm(1000Å)に設定されている。この反射層172の厚さは、好ましくは50nm以上の範囲より選択することができる。ここで、反射層172の厚さが50nmよりも薄いと、発光層150からの光の反射性能が低下する点で好ましくない場合がある。
なお、本実施の形態では、反射層172として、Ag単体を用いているが、Agを含む合金を使用するようにしてもかまわない。
<第2導電層>
図1に示すように、反射層172の上には第2導電層173が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、第2導電層173は、反射層172の全域を覆うように形成されている。また、第2導電層173は、反射層172上に形成され、p型半導体層160上には形成されないようになっている。すなわち、p型半導体層160と第2導電層173とが直接接触しないように構成されている。
導電層の一例としての第2導電層173は、反射層172とオーミックコンタクトが取れ、しかも、反射層172との接触抵抗が小さいものを用いることが好ましい。ただし、後述するように、第2導電層173は発光層150からの光を透過させる機能を要しないので、上記第1導電層171とは異なり、光透過性を有している必要はない。また、後述するように、第2導電層173は、反射層172および第1導電層171を介してp型半導体層160に給電を行う機能も有していることから、優れた導電性を有し、且つ、抵抗分布が少ないものを用いることが好ましい。そして、本実施の形態では、第2導電層173の厚さが、50nm(500Å)に設定されている。本実施の形態においては、第2導電層173の厚さが50nm以上であれば、反射層172を構成する銀(Ag)のマイグレーションが抑制されやすくなる点で好ましい。これに対し、第2導電層173の厚さが50nmよりも薄いと、第2導電層173上に形成する被覆層174への銀(Ag)のマイグレーション防止の点で好ましくない。また、第2導電層173の厚さが5000nmよりも厚いと、材料のコストアップの点で好ましくない。なお、本実施の形態では、第1導電層171の厚さが第2導電層173の厚さよりも薄くなるように、それぞれの厚さが設定されている。
本実施の形態では、第2導電層173として、第1導電層171と同様に、IZOが用いられている。ただし、後述するように、第2導電層173を構成するIZOには熱処理が行われないことから、アモルファス状態のままとなっている。
なお、第2導電層173としては、IZOの他、ITO、IGO、ICO等を用いることができる。また、例えばキャリアをドープしたSnO2、ZnO2、TiO2等の導電性材料を用いてもよい。さらに、第2導電層173には、上述したように光透過性が要求されないことから、可視領域で光を吸収する公知の導電性金属酸化物を用いるようにしてもかまわない。
<被覆層>
図1に示すように、第2導電層173の上面および第1導電層171、反射層172および第2導電層173の側面には被覆層174が形成されている。
図2に示すように平面視したときに、被覆層174は、第1導電層171、反射層172および第2導電層173の全域を覆うように形成されている。また、被覆層174は、その端部がp型半導体層160と接するようになっている。
被覆層174は、最も内側すなわち第2導電層173等と接するように少なくとも1層以上の金属層が形成される。また、最も外側となる最表層の金属層には一般に金が用いられる。被覆層174の構成の一例として、第2導電層173に接して形成される第1層としてNi(ニッケル)層と、このNi層の外側に形成される第2層としてのPt(白金)層と、このPt層の外側であって最も外側に形成される第3層としてのAu(金)層とを有する構造を挙げることができる。そして、被覆層174の全体の厚さは、フリップチップ実装する際のパッド電極としての機能を有する厚さがあれば、厚さに制限なく使用することができるが、好ましくは50nm(500Å)〜8000nm(80000Å)に設定されている。
なお、被覆層174の第1層を構成する材料としては、上述したNi(ニッケル)の他、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、NiTi(ニッケルチタン)合金、およびこれらの窒化物を使用することができる。
<第2の電極>
第2の電極180については、公知な材料や構造、形状を採用することができ、例えば第1の電極170と同じ構成を採用することもできる。したがって、第2の電極180を単層で構成してもよいし、複数の材料を重ね合わせた積層で構成してもよい。
<保護層>
図1に示すように、保護層190は、第1の電極170の一部および第2の電極180の一部を除いてこれら第1の電極170および第2の電極180を覆うように積層されている。保護層190は、例えばSiO2等の材料で構成されており、外部から水等が第1の電極170および第2の電極180に浸入するのを抑制することでこれらを保護する機能を有している。
次に、図1に示す半導体発光素子1の使用方法について説明する。
図4は、図1に示す半導体発光素子1を配線基板10に実装した発光装置の構成の一例を示す図である。
配線基板10の一方の面には、正電極11と負電極12とが形成されている。
そして、配線基板10に対し、図1に示す半導体発光素子1の上下を反転させた状態で、正電極11には第1の電極170(具体的には被覆層174)を、また、負電極12には第2の電極180を、それぞれはんだ20を用いて電気的に接続すると共に機械的に固定している。このような配線基板10に対する半導体発光素子1の接続手法は、一般にフリップチップ接続と呼ばれるものである。フリップチップ接続においては、配線基板10からみて、半導体発光素子1の基板110が発光層150よりも遠い位置に置かれる。
では、図4に示す発光装置の発光動作について説明する。
配線基板10の正電極11および負電極12を介して、半導体発光素子1に正電極11から負電極12に向かう電流を流すと、半導体発光素子1では、第1の電極170からp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140を介して第2の電極180に向かう電流が流れ、発光層150は基板110側および第1の電極170側に向けて青色光を出力する。なお、このとき、第1の電極170では、被覆層174、第2導電層173、反射層172および第1導電層171を介して電流が流れ、p型半導体層160には、面上において均一化された状態の電流が供給される。
発光層150から出力される光のうち基板110側に向かう光は、n型半導体層140、下地層130、中間層120および基板110を透過し、図4において矢印に示す方向に出射される。一方、発光層150から出射される光のうち第1の電極170側に向かう光は、p型半導体層160および第1導電層171を介して反射層172に到達し、反射層172で反射される。そして、反射層172で反射した光は、第1導電層171、p型半導体層160、発光層150、n型半導体層140、下地層130、中間層120および基板110を透過し、図4において矢印に示す方向に出射される。このように、本実施の形態では、半導体発光素子1に反射層172を設け、発光層150から基板110とは反対側に出射された光を反射させることで、半導体発光素子1からの光の取り出し効率を高めている。
次に、図1に示す半導体発光素子1の製造方法について説明する。
図5は、半導体発光素子1の製造工程の一例を示すフローチャートである。
半導体発光素子1は、基板110上に中間層120を形成する中間層形成工程(ステップ101)と、中間層120上に下地層130を形成する下地層形成工程(ステップ102)と、下地層130上にn型半導体層140を形成するn型半導体層形成工程(ステップ103)と、n型半導体層140上に発光層150を形成する発光層形成工程(ステップ104)と、発光層150上にp型半導体層160を形成するp型半導体層形成工程(ステップ105)と、p型半導体層160側からエッチングを行ってn型半導体層140に半導体層露出面140cを形成する半導体層露出面形成工程(ステップ106)と、p型半導体層160上に第1導電層171を形成する第1導電層形成工程(ステップ107)と、第1導電層171上に反射層172を形成する反射層形成工程(ステップ108)と、反射層172上に第2導電層173を形成する第2導電層形成工程(ステップ109)と、これら第1導電層171、反射層172および第2導電層173を覆うように被覆層174を形成する被覆層形成工程(ステップ110)と、保護層190を形成する保護層形成工程(ステップ111)とによって製造される。
以下、各工程について順番に説明する。
<中間層形成工程>
まず、サファイア基板等の基板110を用意し、前処理を施す。前処理としては、例えば、スパッタ装置のチャンバ内に基板110を配置し、中間層120を形成する前にスパッタするなどの方法によって行うことができる。具体的には、チャンバ内において、基板110をArやN2のプラズマ中に曝す事によって上面を洗浄する前処理を行なってもよい。ArガスやN2ガスなどのプラズマを基板110に作用させることで、基板110の上面に付着した有機物や酸化物を除去することができる。
次に、基板110の上面に、スパッタ法によって、中間層120を積層する。
スパッタ法によって、単結晶構造を有する中間層120を形成する場合、チャンバ内の窒素原料と不活性ガスの流量に対する窒素流量の比を、窒素原料が50%〜100%、望ましくは75%となるようにすることが望ましい。
また、スパッタ法によって、柱状結晶(多結晶)を有する中間層120を形成する場合、チャンバ内の窒素原料と不活性ガスの流量に対する窒素流量の比を、窒素原料が1%〜50%、望ましくは25%となるようにすることが望ましい。なお、中間層120は、上述したスパッタ法だけでなく、MOCVD法で形成することもできる。
<下地層形成工程>
次に、中間層120を形成した後、中間層120の上面に、単結晶の下地層130を形成する。下地層130は、スパッタ法で形成してもよく、MOCVD法で形成してもよい。
<n型半導体層形成工程>
下地層130の形成後、nコンタクト層140a及びnクラッド層140bを積層してn型半導体層140を形成する。nコンタクト層140a及びnクラッド層140bは、スパッタ法で形成してもよく、MOCVD法で形成してもよい。
<発光層形成工程>
発光層150の形成は、スパッタ法、MOCVD法のいずれの方法でもよいが、特にMOCVD法が好ましい。具体的には、障壁層150aと井戸層150bとを交互に繰り返して積層し、且つ、n型半導体層140側およびp型半導体層160側に障壁層150aが配される順で積層すればよい。
<p型半導体層形成工程>
また、p型半導体層160の形成は、スパッタ法、MOCVD法のいずれの方法でもよい。具体的には、pクラッド層160aと、pコンタクト層160bとを順次積層すればよい。
<半導体層露出面形成工程>
第1の電極170の形成に先立ち、公知のフォトリソグラフィーの手法によってパターニングして、所定の領域の積層半導体層100の一部をエッチングしてnコンタクト層140aの一部を露出させ、半導体層露出面140cを形成させる。
<第1導電層形成工程>
マスクで半導体層露出面140cをカバーして、エッチング除去せずに残したp型半導体層160上に、スパッタ法などの公知の方法を用いて第1導電層171を形成し、その後、例えば酸素雰囲気下において700℃で熱処理を施して第1導電層171の結晶性を高める。
なお、p型半導体層160上に先に第1導電層171を形成した後、第1導電層171を形成した状態で、所定の領域の第1導電層171および積層半導体層100の一部をエッチングすることで半導体層露出面140cを形成するようにしてもよい。なお、この場合においても、第1導電層171の形成を行った後、熱処理を施して第1導電層171の結晶性を高めることが好ましい。
<反射層形成工程>
マスクで半導体層露出面140cを引き続きカバーしたまま、p型半導体層160上に積層された第1導電層171上に、スパッタ法などの公知の方法を用いて反射層172を形成する。
なお、反射層形成工程は、上記第1導電層形成工程とは別に行うことが好ましい。これは、第1導電層形成工程では、上述したように熱処理が行われるためである。より具体的に説明すると、仮にp型半導体層160に第1導電層171および反射層172を形成した状態で熱処理を行うと、反射層172を構成するAgが、第1導電層171内に拡散してしまい、反射層172における反射率が低下するおそれがあるためである。
<第2導電層形成工程>
マスクで半導体層露出面140cを引き続きカバーしたまま、第1導電層171上に積層された反射層172上に、スパッタ法などの公知の方法を用いて第2導電層173を形成する。
なお、反射層形成工程および第2導電層形成工程は、例えばスパッタ法にて連続して1バッチで行うことが好ましく、この場合には、反射層172の構成材料と第2導電層173の構成材料とをそれぞれターゲットとしてスパッタ装置にセットしておき、成膜プロセスの最中にターゲットおよび雰囲気を変更することで、連続的に形成することが好ましい。
また、第2導電層形成工程の後には、熱処理を行わないことが好ましい。これは、第1導電層171に積層された反射層172の上に第2導電層173を形成した状態で熱処理を行うと、反射層172を構成するAgが、第1導電層171あるいは第2導電層173に拡散し、反射層172における反射率が低下するおそれがあるためである。
第2の電極180は第1の電極170と同じ構造とし、上述した半導体層露出面形成工程にて半導体層露出面140cを形成した後に、双方の電極を同時に形成することが可能である。また、第2の電極180として、公知の構造の電極を第1の電極170の形成工程の前、後、もしくは途中に形成することも可能である。
<被覆層形成工程>
マスクで半導体層露出面140cを引き続きカバーしたまま、p型半導体層160の上面160cに積層された第1導電層171、反射層172および第2導電層173に、スパッタ法を用いて、金属からなる被覆層174を積層し、p型半導体層160との間で、第1導電層171、反射層172及び第2導電層173を完全に被覆する。例えば、被覆層174として、ニッケル層、プラチナ層および金層を順次積層する。
なお、被覆層形成工程は、上述した第2導電層形成工程とは別に行うことが好ましい。この場合には、p型半導体層160の上面160cに第1導電層171、反射層172および第2導電層173が形成された状態でスパッタ装置等の成膜装置から取り出されることになるが、反射層172が第2導電層173で覆われているため、取り出し後に反射層172が大気中に晒されにくくなり、反射層172の劣化を抑制することができる。
<保護層形成工程>
半導体露出面140cをカバーするマスクを除去した後、例えばSiO2からなる保護層190を、図1のように上面及びエッチング側面に形成する。なお、第1の電極170の一部領域および第2の電極180の一部領域を露出させるためには、例えば保護層190を形成する前にレジストの塗布を形成しておくようにしてもよいし、保護層190を形成した後にドライエッチング等を用いて露出領域を形成するようにしてもよい。
このようにして、半導体発光素子1が得られる。
そして、半導体発光素子1を用いて図4に示す発光装置を構成する際には、半導体発光素子1に設けられた第1の電極170および第2の電極180を、配線基板10に設けられた正電極11および負電極12にそれぞれはんだ20を用いて接続する。なお、このときのはんだ20の温度は、例えば300℃以下に設定されており、はんだ20を介して反射層172が過熱されることにより、反射層172を構成する銀が第1導電層171あるいは第2導電層173側に拡散するのを抑制している。
ところで、本実施の形態の半導体発光素子1の反射層172として用いているAgは、化学的、熱的要因に伴ってイオンとして溶出・還元された状態で移動するイオンマイグレーション(エレクトロケミカルマイグレーション)を起こすことが知られている。反射層172を構成するAgのイオンマイグレーションは、反射層172と接する材料によってその発生の程度が変わる。
本実施の形態では、反射層172の一方の面が第1導電層171に接触して形成され、その他方の面が第2導電層173に接触して形成されている。後述する実施例において説明するように、反射層172の他方の面に例えばNi、Ti等の金属からなる第2導電層173を形成した場合には、Agのマイグレーションにより、反射層172と第2導電層173との間にデンドライト状にAgが析出することが判明している。このように反射層172との界面にデンドライト状にAgが析出した場合、反射層172における光の反射率が低下し、その結果として、半導体発光素子1の基板110から出射される光の取り出し効率が著しく低下する。
これに対し、本実施の形態では、反射層172の上に、金属ではなく酸化物からなる第2導電層173を形成するようにした。後述する実施例において説明するように、反射層172の上に第2導電層173を形成した場合、Agのマイグレーションに伴うデンドライト状のAgの析出が生じにくくなることが判明している。したがって、反射層172の上に酸化物からなる第2導電層173を形成することにより、反射層172の反射性能が維持されることになり、半導体発光素子1における光取り出し効率の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態では、p型半導体層160の上に第1導電層171を形成し、この第1導電層171の上に反射層172を形成し、さらに反射層172の上に第2導電層173を形成することで、第2導電層173とp型半導体層160とが直接接触しないように構成した。第2導電層173は、必ずしも発光層150からの光に対して透明ではないため、例えば第2導電層173とp型半導体層160とを直接接触するように構成した場合には、発光層150からの光が第2導電層173に吸収されるおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、このような構成を採用することにより、第2導電層173の光吸収に起因する半導体発光素子1の光取り出し効率の低下を抑制することができる。
さらに、本実施の形態では、このようにしてp型半導体層160の上に順次形成された第1導電層171、反射層172および第2導電層173を、被覆層174を用いて覆うようにした。これにより、例えば銀からなる反射層172が、外気に晒されるという事態が回避されることになり、水や酸素等との反応に起因する銀の劣化およびこれに伴う半導体発光素子1の光取り出しの効率の低下を長期にわたって抑制することができる。
<第1の電極の他の構成例>
図6は、本実施の形態が適用される半導体発光素子1の断面模式図の他の一例を示している。この半導体発光素子1の基本構成は図1に示したものとほぼ同様であるが、第1の電極170の断面形状に特徴がある。
第1の電極170は、図1に示したものと同様に、第1導電層171、反射層172、第2導電層173および被覆層174を有している。なお、第1導電層171が酸化物透明導電材料で構成される点、反射層172が銀または銀を含む合金で構成される点、第2導電層173が酸化物導電材料で構成される点、および被覆層174が金属材料で構成される点については、上述したものと同じである。
第1導電層171は、p型半導体層160の上面160cの端部を除くほぼ全面を覆うように形成されている。そして、第1導電層171の中央部は一定の膜厚を有し上面160cに対しほぼ平坦に形成される一方、第1導電層171の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成される傾斜面171eとなっている。
反射層172は、第1導電層171のほぼ全面を覆い、且つ、p型半導体層160とほとんど接しないように形成されている。そして、反射層172の中央部は一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、反射層172の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成される傾斜面172eとなっている。
第2導電層173は、反射層172のほぼ全面を覆い、且つ、p型半導体層160および第1の導電層171とほとんど接しないように形成されている。そして、第2導電層173の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第2導電層173の端部側はp型半導体層160の上面160cに対して傾斜して形成される傾斜面173eとなっている。
被覆層174は、第2導電層173の上面および傾斜面173eを覆うように形成されており、その端部はp型半導体層160の上面160cと接するようになっている。
このように、本実施の形態では、第1導電層171と第2導電層173とによって、反射層172の端部が外部に露出しにくい状態で反射層172を挟み込むようになっている。そして、このように構成された第1導電層171、反射層172および第2導電層173を、p型半導体層160に対し被覆層174を用いて覆うようになっている。このため、本実施の形態では、反射層172と被覆層174とが直接接触し難い構成を実現している。
図7〜図10は、図6に示す半導体発光素子1における第1の電極170の製造方法の一例を説明するための図である。ここで、図7および図8は図5に示すフローチャートにおけるステップ107〜109に対応しており、図9および図10は図5に示すフローチャートにおけるステップ110に対応している。
では最初に、図7および図8を参照しつつ、第1導電層171、反射層172および第2導電層173の製造手順(第1工程と呼ぶ)について説明する。
<第1工程>
まず、図7(a)に示すように、例えばAZ5200NJ(製品名:AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)などレジストを用いて、p型半導体層160の上面160c上に不溶性レジスト部21を形成する。
次に、図7(b)に示すように、不溶性レジスト部21の前面に第1の電極170を形成する位置をカバーするように、横幅L、縦幅Lの第1のマスク25を配置し、不溶性レジスト部21が感度を有する波長の光を照射する。このとき、露光された不溶性レジスト部21は、光反応により、第1の可溶性レジスト部22とされる。また、光反応は光の強さに応じて進行するために、光照射面側では光反応の進行が早く、p型半導体層160側では光反応の進行が遅くなり、結果的に第1の可溶性レジスト部22は、図7(b)に示すように、その側面が下方(p型半導体層160側)に向かうほど後退した逆傾斜形状(逆テーパ形状)となるように形成される。逆に、第1のマスク25によって覆われた部分の不溶性レジスト部21は、側面が上方に向かうほど後退した傾斜形状(テーパ形状)となるように形成される。
次に、加熱を行うことにより、図7(c)に示すように可溶性レジスト部22を硬化レジスト部23とし、続いて全面露光を行うことにより、図8(a)に示すように一部露光において露光されなかった不溶性レジスト部21を第2の可溶性レジスト部24とする。
次いで、所定の現像溶媒により第2の可溶性レジスト部24を溶解除去することで、図8(b)に示すような硬化レジスト部23が残る。この硬化レジスト部23は、p型半導体層160の上面160cを露出させる横幅L、縦幅Lの第1の開口部23cを備えている。第1の開口部23cの側面(内壁面)23dは、下方に向かうほど後退する逆傾斜形状(逆テーパ形状)であり、第1の開口部23cの開口長さはp型半導体層160に近づくほど大きく、また、第1の開口部23cの側面(内壁面)23dの傾斜角度はほぼ一定である。これを第1の逆傾斜型マスク23(第1のマスクに対応)と呼称する。
次に、スパッタ法により、第1の逆傾斜型マスク23を介して、p型半導体層160の上面160cに酸化物透明導電材料からなる第1導電層171を形成する。第1導電層171は、第1の逆傾斜型マスク23の第1の開口部23cの横幅L、縦幅Lを基本長さとして形成される。ただし、図8(c)に示すように、スパッタ方向から遠くなる(影となる)部分すなわち第1導電層171の外縁側には、外周側に向けて膜厚が漸次薄くなるような傾斜面171eが形成される。なお、傾斜面171eの傾斜角度は、膜厚に応じて決まる。
続いて、スパッタ法により、第1の逆傾斜型マスク23を介して、第1導電層171上に銀又は銀の合金からなる反射層172を形成する。反射層172は、第1の逆傾斜型マスク23の第1の開口部23cの横幅L、縦幅Lを基本長さとして形成されるが、図8(c)に示すように、スパッタ方向からみて影となる部分すなわち反射層172の外縁側には、外周側に向けてその膜厚が漸次薄くなるような傾斜面172eが形成される。なお、傾斜面172eの傾斜角度は、膜厚に応じて決まる。また、反射層172は、第1導電層171を完全に覆うように形成される。
さらに続いて、スパッタ法により、第1の逆傾斜型マスク23を介して、反射層172上に酸化物導電材料からなる第2導電層173を形成する。第2導電層173は、第1の逆傾斜型マスク23の第1の開口部23cの横幅L、縦幅Lを基本長さとして形成されるが、図8(c)に示すように、スパッタ方向からみて影となる部分すなわち反射層172の外縁側には、外周側に向けて膜厚が漸次薄くなるような傾斜面173eが形成される。なお、傾斜面173eの傾斜角度は、膜厚に応じて決まる。また、第2導電層173は、反射層172を完全に覆うように形成される。
その後、図8(d)に示すように、レジスト剥離剤などを用いて第1の逆傾斜型マスク23を除去することにより、p型半導体層160の上面160cに第1導電層171、反射層172および第2導電層173からなる3層構造体のみが残される。
なお、反射層172を形成する前に、第1導電層171の表面を洗浄する前処理を施しても良い。洗浄の方法としてはプラズマなどに曝すドライプロセスによるものと薬液に接触させるウェットプロセスによるものがあるが、工程の簡便さの観点より、ドライプロセスが望ましい。また、p型半導体層160上に第1導電層171を形成した後、熱処理を行って第1導電層171を結晶化させてから反射層172を形成してもよいことは勿論である。
続いて、図9および図10を参照しつつ、被覆層174の製造手順(第2工程と呼ぶ)について説明する。
<第2工程>
まず、図9(a)に示すように、第1工程に準じて、例えばAZ5200NJ(製品名:AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)などレジストを用いて、第1導電層171、反射層172および第2導電層173からなる3層構造体と、p型半導体層160の上面160cとを覆うように不溶性レジスト部31を形成する。
次に、図9(b)に示すように、不溶性レジスト部31の前面に第1の電極170を形成する位置をカバーするように、横幅L、縦幅Lの第2のマスク35を配置し、不溶性レジスト部31が感度を有する波長の光を照射する。なお、第2のマスク35の横幅Lは第1のマスク25の横幅Lよりも大きな値を有しており、第2のマスク35の縦幅Lは第1のマスク25の縦幅Lよりも大きな値を有している。また、第2のマスク35は、p型半導体層160上に順次積層される第1導電層171、反射層172および第2導電層173の全域を覆うように配置することが好ましい。このとき、露光された不溶性レジスト部31は、光反応により、第1の可溶性レジスト部32とされる。また、光反応は光の強さに応じて進行するために、光照射面側では光反応が早く、p型半導体層160側では光反応の進行が遅くなり、結果的に第1の可溶性レジスト部32は、図9(b)に示すように、その側面が下方(p型半導体層160側)に向かうほど後退した逆傾斜形状(逆テーパ形状)となるように形成される。逆に、第2のマスク35によって覆われた部分の不溶性レジスト部31は、側面が上方に向かうほど後退した傾斜形状(テーパ形状)となるように形成される。
次に、加熱を行うことにより、図9(c)に示すように可溶性レジスト部32を硬化レジスト部33とし、続いて全面露光を行うことにより、図10(a)に示すように一部露光において露光されなかった不溶性レジスト部31を第2の可溶性レジスト部34とする。
次いで、所定の現像溶媒により第2の可溶性レジスト部34を溶解除去することで、図10(b)に示すような硬化レジスト部33が残る。この硬化レジスト部33は、第1導電層171、反射層172および第2導電層173の3層構造体との間でp型半導体層160の上面160cを露出させる横幅L、縦幅Lの第2の開口部33cを備えている。第2の開口部33cの側面(内壁面)33dは、下方に向かうほど後退する逆傾斜形状(逆テーパ形状)であり、第2の開口部33cの開口長さはp型半導体層160に近づくほど大きく、また、第2の開口部33cの側面(内壁面)33dの傾斜角度はほぼ一定である。これを第2の逆傾斜型マスク33(第2のマスクに対応)と呼称する。
次に、スパッタ法により、第2の逆傾斜型マスク33を介して、p型半導体層160の上面160cおよび第2導電層173の上に一または複数の金属層からなる被覆層174を形成する。このとき、被覆層174を構成する金属は、第2導電層173の傾斜面173eと第2の逆傾斜型マスク33の側面33dとの間にも入り込んで積層されていく。これにより、被覆層174は、第2導電層173の上面および傾斜面173eを覆い、且つ、その端部がp型半導体層160の上面160cと接するように形成される。
その後、図10(d)に示すように、レジスト剥離剤などを用いて第2の逆傾斜型マスク33を除去することにより、第1導電層171、反射層172、第2反射層173および被覆層174を備えた第1の電極170が得られる。
図6に示す半導体発光素子1においては、第1の電極170において、銀または銀を含む合金からなる反射層172と金属からなる被覆層174とを第2導電層173を隔てて配置するようにしたので、銀が被覆層174側に拡散するのを抑制することができる。したがって、このような構成を採用することにより、図1に示す構成と比較して、反射層172の反射性能がさらに維持されることになり、半導体発光素子1における光の取り出し効率の低下をさらに抑制することが可能になる。
次に、本発明の実施例について説明を行うが、本発明は実施例に限定されない。
本発明者は、第1の電極170の構成材料を異ならせた半導体発光素子1の製造を行い、各半導体発光素子1から出力される光量に基づいて、各半導体発光素子1における反射層172の劣化について評価を行った。なお、ここでは、各半導体発光素子1の構造を、図1または図6に示すものとした。
以下に示す表1は、実施例1〜7および比較例1〜3における第1の電極170(より具体的には第1導電層171、反射層172、第2導電層173および被覆層174)の構成および各々の評価結果を示している。
Figure 0005332882
実施例1、3、4、7および比較例1、2では、第1導電層171はすべてIZO(酸化インジウム亜鉛)とし、その厚さは50Åとした。また、実施例5、6においても、第1導電層171はIZOとし、その厚さは100Åとした。これに対し、実施例2では第1導電層171はITO(酸化インジウム錫)とし、比較例3ではPt(白金)とし、いずれもその厚さは50Åとした。
また、実施例2を除く他の実施例および比較例では、反射層172はすべてAg(銀)とし、そのうち、実施例1、3、4、7および比較例1〜3ではその厚さは1000Åとする一方、実施例5および6ではその厚さは2000Åとした。これに対し、実施例2では、反射層172はAg(銀)、Pd(パラジウム)およびCu(銅)を含むAPC−TR合金(フルヤ金属製)とし、その厚さは1000Åとした。
一方、第2導電層173については、実施例1、5、6および7ではIZO(酸化インジウム亜鉛)を、実施例2ではITO(酸化インジウム錫)を、実施例3ではICO(酸化インジウムセリウム)を、実施例4ではIGO(酸化インジウムガリウム)をそれぞれ用い、その厚さはそれぞれ500Åとした。また、比較例1では、第2導電層173はNi(ニッケル)とし、その厚さは1000Åとした。さらに、比較例2、3では、第2導電層173はPt(白金)とし、いずれもその厚さは500Åとした。
さらに、被覆層174については、実施例1〜7および比較例1〜3において、それぞれ複数の金属の積層構成とした。ここで、実施例1では、第2導電層173上に積層される第1層として厚さ100ÅのNi(ニッケル)を、第1層上に積層される第2層として厚さ1000ÅのPt(白金)を、第2層上に積層される第3層として厚さ3000ÅのAu(金)を、それぞれ用いた。また、実施例2では、第1層として厚さ200ÅのTa(タンタル)を、第2層として厚さ1000ÅのPt(白金)を、第3層として厚さ3000ÅのAu(金)を、それぞれ用いた。さらに、実施例3では、第1層として厚さ200ÅのTa(タンタル)を、第2層として厚さ1000ÅのW(タングステン)を、第3層として厚さ3000ÅのAu(金)を、それぞれ用いた。さらにまた、実施例4では、第1層として厚さ200ÅのNiTi(ニッケル・チタン)を、第2層として厚さ1000ÅのW(タングステン)を、第3層として厚さ3000ÅのAu(金)を、それぞれ用いた。実施例5では、第1層として厚さ100ÅのTi(チタン)を、第1層上に積層される第2層として厚さ1000ÅのPt(白金)を、第2層上に積層される第3層として厚さ4000ÅのAu(金)を、それぞれ用いた。実施例6では、第1層として厚さ100ÅのTaN(窒化タンタル)を、第2層として厚さ1000ÅのPt(白金)を、第3層として厚さ5000ÅのAu(金)をそれぞれ用いた。実施例7では、第1層として厚さ100ÅのNi(ニッケル)を、第2層として厚さ1000ÅのPt(白金)を、第3層として厚さ3000ÅのAu(金)をそれぞれ用いた。
一方、比較例1〜3では、第1層として厚さ1000ÅのPt(白金)を、第2層として厚さ3000ÅのAu(金)を、それぞれ用いた。
次に、各実施例および各比較例の半導体発光素子1の評価手法および評価結果について説明する。
各実施例および各比較例に示した電極構造をそれぞれ有する半導体発光素子1(ドミナント波長は460nmの発光素子構造)を準備し、常温(20℃)、並びにN2雰囲気下であって200℃、300℃および400℃のそれぞれの温度において、10分間保持した後、各半導体発光素子1の順方向電圧(Vf)の測定と発光出力(Po)の測定とを行った。
まず、前者については、各半導体発光素子1に対し、プローブ針による通電を行って電流印加値20mA(順方向)における順方向電圧の大きさを測定した。また、後者については、各半導体発光素子1をTO−18CANパッケージに実装した状態で、テスターによって電流印加値20mA(順方向)における発光出力を計測した。これらの評価結果は、上述した表1に示されている。
まず、実施例1〜7では、常温から400℃の温度範囲において、順方向電圧Vfの上昇も発光出力Poの低下もみられなかった。
これに対し、比較例1では、常温から300℃の温度範囲においては順方向電圧Vfの上昇も発光出力Poの低下もみられなかったが、400℃において発光出力Poの低下がみられた。比較例1の構成では、第2導電層173にNiを使用していることから、第2導電層173と接する反射層172に存在するAgのマイグレーションが生じ、反射層172の反射率が低下したことが原因ではないかと考えられる。ただし、比較例1では、400℃においても順方向電圧Vfの上昇は起こらなかった。なお、順方向電圧Vfの上昇が起こらなかったのは、第1導電層171としてIZOを用いたため、加熱が行われた場合であっても、第1導電層171と反射層172との間で良好なオーミックコンタクトが維持されることに起因するものと考えられる。
また、比較例2では、常温から200℃の範囲においては順方向電圧Vfの上昇も発光出力Poの低下もみられなかったが、300℃以上で発光出力Poの低下がみられた。比較例2の構成では、第2導電層173にPtを使用していることから、比較例1のようにNiを用いた場合よりも、より低温側でのAgのマイグレーションの発生が顕著になったものと考えられる。ただし、比較例2では、300℃〜400℃の範囲においても順方向電圧Vfの上昇は起こらなかった。なお、順方向電圧Vfの上昇が起こらなかったのは、比較例1と同様、第1導電層171としてIZOを用いたため、加熱が行われた場合であっても、p型半導体層160と第1導電層171との間でのオーミックコンタクトが良好に維持されることに起因するものと考えられる。
さらに、比較例3では、300℃以上で発光出力Poの低下および順方向電圧Vfの上昇がみられた。また、比較例3における発光出力Poの低下および順方向電圧Vfの上昇の度合いは、上記比較例1、2よりも顕著であった。ここで、発光出力Poの低下については、比較例3の構成では、第1導電層171および第2導電層173の両者にPtを用いているため、温度上昇に伴うAgのマイグレーションがより生じやすくなっていることに起因するものと考えられる。また、順方向電圧Vfの上昇については、比較例3の構成では、第1導電層171としてPtを用いたため、加熱が行われることに伴ってp型半導体層160と第1導電層171とのオーミックコンタクトが取りにくくなってしまうことに起因するものと考えられる。
1…半導体発光素子、10…配線基板、11…正電極、12…負電極、20…はんだ、100…積層半導体層、110…基板、120…中間層、130…下地層、140…n型半導体層、140a…nコンタクト層、140b…nクラッド層、150…発光層、150a…障壁層、150b…井戸層、160…p型半導体層、160a…pクラッド層、160b…pコンタクト層、170…第1の電極、171…第1導電層、172…反射層、173…第2導電層、174…被覆層、180…第2の電極、190…保護層

Claims (7)

  1. 基板と、
    通電により発光する発光層を含んで前記基板に積層され、当該発光層から出射される光を、前記基板を介して外部に出力するIII族窒化物半導体層と、
    前記発光層から出射される光に対する光透過性および導電性を有する金属酸化物で構成され、前記III族窒化物半導体層の前記基板とは逆側に積層される透明導電層と、
    銀または銀を含む合金で構成され、前記発光層から前記透明導電層を介して入射する光を反射する金属層と、
    導電性を有する金属酸化物で構成され、前記金属層に積層されて外部との電気的な接続に用いられる導電層と、
    導電性を有する金属で構成され、積層される前記透明導電層と前記金属層と前記導電層とを、前記III族窒化物半導体層に対し覆うように設けられる被覆層と
    を有する半導体発光素子。
  2. 前記透明導電層が前記金属酸化物としてインジウム酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 前記透明導電層が前記金属酸化物としてさらに亜鉛酸化物を含むことを特徴とする請求項2記載の半導体発光素子。
  4. 前記基板がサファイア単結晶で構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の半導体発光素子。
  5. 前記導電層が前記III族窒化物半導体層と非接触に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の半導体発光素子。
  6. 前記金属層と前記被覆層とが非接触に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の半導体発光素子。
  7. 前記透明導電層、前記金属層および前記導電層のいずれか一層は、前記III族窒化物半導体層の面に沿って形成される上面と当該上面の周縁部から当該III族窒化物半導体層に向かって傾斜する傾斜面とを備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の半導体発光素子。
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