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JP5333380B2 - ドリリングタッピンねじ - Google Patents
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Description

本発明は、鋼材等の被締結物に対して、ねじの下穴を開けるためのドリル部位をタッピンねじの先端に一体化して形成されたドリリングタッピンねじに関する。
鋼材等を締結する方法として、ドリリングタッピンねじ(以下ドリルねじと略記する)を用いた方法が知られている。ドリルねじとは、例えば鋼材を締結する場合において、鋼材に下穴を開けることなく使用できるタッピンねじであり、その先端部にはドリル部が一体的に形成されている。またねじ先端の形状にはとがり先と切り刃先があり、締結する対象物が鋼材のように硬い場合には、先端がドリルの刃と同じ形状をした切り刃先のドリルねじを用いることが一般的である。
ドリルねじの先端は、穿孔性を確保するためにドリルの形状をしており、また、浸炭焼入れ・焼戻し処理により基材となる鋼の表面硬度を高くしている。しかし、鋼材のように硬い材料を締結する場合には、このドリルねじによる締結作業は必ずしも容易なものではない。特にめっきが施されたねじの締結性は困難であることが多く、その原因はねじの刃先にある。基材が鋼であるドリルねじには、防錆のための亜鉛めっきが施されている。例えば、JIS B1125(ドリルねじ)では、鋼ドリルねじには、原則として電気亜鉛めっきを施すように規定されている。めっきの厚みが薄い場合には締結作業への影響はほとんどないが、鋼材が長期防食用に厚めっきされている場合には、ねじも締結する鋼材と同等の耐食性をもつ必要があるため厚めっきすることになる。この厚めっきのために刃先形状が鈍り、鋼材への食い込みが悪くなることが締結性悪化の原因である。
例えば特許文献1には、ドリル性能向上のために、ドリルねじの全表面に亜鉛又は錫の電気めっきを施した後、加熱処理によって亜鉛−鉄系の合金層又は錫−鉄系の合金層を形成する技術が開示されている。
特許文献2には、冷間鍛造したドリルねじに浸炭焼入れ、焼戻し処理を施し、さらに380〜400℃の亜鉛40%−錫60%合金の溶融浴に約1分間浸漬し、引き上げて直ちに遠心分離機によってドリルねじ表面の余分な溶融合金を振り切る処理を施すことが開示されている。また特許文献3にも、ドリルねじを溶融亜鉛又は溶融亜鉛合金で溶融めっきした後、亜鉛又は亜鉛合金の融点以上の温度で加熱しながら遠心処理する方法が開示されている。
特許文献4には、ドリルねじの表面全体に電気亜鉛めっき等の耐食性皮膜を形成した後にドリル部のみ耐食性皮膜を除去するか、予めドリル部にコーティング処理をして耐食性皮膜が形成されないようにすることにより、穿孔性能を維持して作業時間の短縮を図る技術が開示されている。また特許文献5には、ドリル部表面に耐薬品性樹脂のマスキング皮膜を形成した後、該ドリル部以外の表面に耐食性皮膜を形成する技術が開示されている。
特開平3−149407号公報 特開平4−312207号公報 特開2000−266023号公報 特開2000−170730号公報 特開2002−323021号公報
特許文献1に記載の発明では、ドリルねじ表面に亜鉛皮膜を形成させた後、加熱処理を施し、さらに酸化物を除去する工程が必要となる。また、めっき成分として鉄を含有するため、裸耐食性(耐赤錆性)が劣るという問題も考えられる。
特許文献2、3に記載の発明では、めっき浴からドリルねじを引き上げた後、当該めっき融液が凝固しないうちに回転遠心力を付加したり、高温加熱しながら遠心処理したりするといった煩雑な工程が必要である。
また特許文献4に記載の発明では、ドリル部には耐食性皮膜が形成されず地鉄が露出するため、ドリル部の耐食性が劣り、錆等の生成により穿孔作業性が低下する虞がある。さらに特許文献5に記載の発明では、ドリルねじのドリル部表面を樹脂でマスキング処理する方法について、樹脂の種類、厚さ等を細かく規定しているが、膨大な数のドリルねじのドリル部のみについて、酸洗処理あるいはマスキング処理を行うのは大変な手間を伴うことが想像される。しかし特許文献5にはその具体的な方法については記述がなく、故にこれらの方法を現実に商業ベースで実施することは、相当な困難性が伴うと予想される。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、ドリルねじ全体の耐食性を維持しつつ、薄金属板等の被締結物に対するドリルねじの穿孔性・作業性を高め、ねじ込み作業効率が改善されたドリリングタッピンねじを提供することを目的とする。
本願発明は、以下の通りである。
(1)外周にねじ山を有するシャンクと、該シャンクの軸方向の一端部に一体的に形成されたドリル部とを有し、少なくとも前記ドリル部の表面に亜鉛系めっきが施されたドリリングタッピンねじにおいて、ねじ先端のドリル部のめっき厚が30μm以下であって、且つ、ねじ先端部とねじ山形成部の間に、ねじ先端部めっき付着量制御のための補助陰極を有し、さらに、前記補助陰極がねじ接合時に脱離することを特徴とするドリリングタッピンねじ。
(2)前記補助陰極のドリル最先端に最も近い角部とドリルの中心線の距離が、ドリル部の半径に3mmを足した値以下であることを特徴とする(1)に記載のドリリングタッピンねじ。
(3)前記補助陰極の、ねじ最先端から補助陰極のドリル最先端に最も近い角部までの引込距離が、2mm以下であることを特徴とする請求項(1)又は(2)に記載のドリリングタッピンねじ。
(4)前記補助陰極を2つ以上有することを特徴とする、請求項(1)〜(3)のいずれか一に記載のドリリングタッピンねじ。
本発明によれば、ドリルねじの耐食性を低下させることなく、ドリルねじの先端部のめっき厚を低減し、鋼材接合等の作業性を改善することができる。
従来技術に係るリーマー付ドリリングタッピンねじのねじ部を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るドリリングタッピンねじのねじ部を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るドリリングタッピンねじのねじ部を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るドリリングタッピンねじのねじ部を示す図である。
本発明者らは、電気亜鉛めっきねじの穿孔性が劣る原因について検討を行った。発明者らが施工性を問題にしているのは、ねじ頭部のめっき厚を、厚目付けの亜鉛めっき鋼板のめっき厚である20μm以上にした場合のドリルねじである。耐食性が問題になるのは、主に鋼材と接触するねじの頭の部分である。この部分は、当然、鋼材と同等以上の耐食性が必要となる。しかし、バレル式の電気めっきでは、めっき厚のばらつきが大きく、特にドリル部の先端と切り刃部のめっき厚がねじの頭部よりも厚くなる。ねじ頭部部分のめっき厚を20μmにした場合、ドリルの先端と切り刃部めっき厚は最大で40μm以上と、頭部のめっき厚の2倍以上になることがわかった。加えて、電気亜鉛めっきにより施される純亜鉛めっきは、めっき層のビッカース硬度が50前後と非常に軟らかい。この2つの理由(ドリル部の先端と切り刃部が、軟らかい亜鉛めっきにより厚く覆われること)により、ドリルねじの作業性が非常に低下していることがわかった。
また、市販されているねじ頭部のめっき厚が10μm以下のドリルねじでは、めっきがない場合と比べて、作業性の低下はほとんどないことがわかった。この市販ねじの先端部めっき厚を調べたところ、最大で20〜30μmであり、この厚みであれば、ねじ締結の作業性に影響がないことが分かった。
そこで、発明者らは、穿孔性を確保するために必要なねじ先端のめっき厚の上限を見極めるとともに、ねじの先端のめっき厚をこの上限よりも薄く制御することを検討した。先ず、発明者らはドリル先端部、切り刃部のめっき厚みと穿孔性の関係について調査を行い、ドリル先端部のめっき厚みを30μm以下とすることで、実用上問題の無い穿孔性が得られることを確認した。この知見は市販ねじの調査結果とも一致する。なお、ドリル切り刃部のめっき厚みはドリル先端部のめっき厚みと同等、或いは先端部よりも薄いことから、ドリル先端部のめっき厚みを管理指標とすることで、ドリル切り刃部のめっき厚みの上限管理も可能であることが分かった。
次に、発明者らは、ドリルねじに必要とされる耐食性を確保したままドリルねじ先端部のめっき厚みを30μm以下に制御する方法について検討した。ここで、バレルめっきにおいてドリルねじ先端部のめっきが厚くなる理由は以下のようなものである。
(1)まず、バレルめっきにおいては、多数のねじをまとめて撹拌しながらめっきするため、球状または長方形状の塊になったねじの集合体では、その中央部にあるねじにはめっきが付きにくく、表面に分布しているねじにめっきが付着しやすい傾向がある。またねじのように細長い形状の物体にめっきする場合には、その両端がねじの集合体から飛び出すような状態になりやすいため、ねじ両端は、ねじの中央部に比べて通電量が多くなりめっきが厚くなる。
(2)また、形状が大きく表面積が大きい頭部に対し、ねじの先端は細長くなっているため、通電量が等しく同一質量のめっきが付着した場合、表面積が小さい分ねじ先端部の方がめっき厚みは厚くなる。
(3)さらに、ねじの先端部、切り刃の部分はその機能上、鋭くとがった形状であるために、めっき電流が集中されやすい。そのため、本来鋭利であるべきであるねじの先端・切り刃の部分ほどめっきが厚くなってしまう。
以上のことから、ねじの先端のめっき厚を薄くするためには、上記(1)−(3)を考慮すればよい。しかし一方で、ねじが細長い形状であることと、先端部や切り刃部が鋭利であることは機能上変更できない。そこで発明者らは、めっき工程におけるねじ先端の通電面積を大きくすることでめっき厚を薄くすることを検討した結果、ねじ先端部とねじ山形成部の間に補助陰極を付加し、めっき電流の一部をこの補助陰極(以下「逃がし」と表記する)に逃がすことでねじ先端部のめっき厚を低減できることを見出した。但し、この「逃がし」はめっき工程においてのみ必要なものであって、ねじ接合時には不要である。そのため、ねじ接合時には速やかに、かつ簡便にこれを離脱させる必要がある。
ここで、ドリルねじに関し、本発明の逃がしと同じように、ねじの軸部に設けられ、ねじ接合時に離脱する構造として「リーマー」が知られている。例えば図1は、従来のリーマー付ドリルねじを示しており、切り刃2を先端に備えたドリル部1の側部に、リーマー3が設けられている。リーマーとは、ドリルねじの用途によって、ねじ先端部であけられる穴の径よりも径を広げるために付けられた羽根状突起であり、ねじ込み作業時には、石膏ボード等の柔らかい材料に大径穴をあけた後、鋼材などの硬質材料に穿孔する過程で最終的には脱落する構造になっている。
本発明は、このリーマー付きねじの製造技術を応用することで、ねじ先端部とねじ山形成部の間に「逃がし」を設置することが可能であり、またこうして得られた「逃がし」が補助電極として機能し、かつ、ねじ接合時には離脱することを確認し、上記の問題点を解消できることを見出し、本発明を完成したものである。
本発明の構成要素となる「逃がし」は、ねじ先端部の通電面積を大きくすると同時に、電解電流が流れやすい形状であることが必要である。また「逃がし」は、めっきの工程では脱落することなく、鋼材を接合する工程では確実に脱離することが求められる。さらに、その脱離は「逃がし」が鋼材表面に接触することで行われることから鋼材表面に疵を付ける可能性があるが、その鋼材についた疵はねじの座面によって隠れることが好ましい。加えて「逃がし」は、現行のリーマー付ねじの製造技術を応用して製造できることが好ましい。
ねじに求められるめっき厚は、一様に決定されるものではなく、必要とされる防食能によって異なる。また、ねじの施工性は、ねじ頭部の構造によっても異なり、たとえば6角頭ねじは、接合作業時のホールド性が良く作業性に優れるため、ねじ先端のめっき厚を極端に小さくする必要はない。逆に、皿頭ねじはホールド性に劣り作業性が悪いため、ドリルねじ先端のめっき厚は極力低減することが好ましい。
以下、本発明の好適な実施形態について、図2〜図4を参照して説明する。図2〜図4はいずれも本発明に係る逃がし付ドリルねじを示しており、該ドリルねじは、外周にねじ山を有するシャンク10と、シャンク10の軸方向の一端部に一体的に形成されたドリル部1と、シャンク10の他端部に一体的に形成された頭部(図示せず)とを有し、少なくともドリル部1の表面(通常は全体)に亜鉛系めっきが施されている。切り刃2を先端に備えたドリル部1の側部に、少なくとも1つ(図示例では2つ)の逃がし4が設けられており、逃がし4はねじ接合時に脱離するように構成されている。本発明では、ドリルねじの穿孔性を確保するためにドリル先端部めっき厚を30μm以下とする。また、平頭ねじなど、特にねじ頭部のビットによるホールド性が低く作業性に劣るねじに適用する場合には20μm以下とすることが好ましい。尚、穿孔性、作業性の観点からはドリル最先端部のめっき厚みに下限値はないが、耐食性確保の観点からは5μm以上確保することが好ましい。但し前述したように、ドリルねじ先端に求められるめっき厚は、使用環境だけでなく、ねじの種類毎に異なる。このため、逃がしの条件も一義的に決定されるものではない。このため、以下、逃がしが有効に働く条件を記す。
逃がし4の効果に影響する要素としては、図2〜図4に示す逃がし4の厚みa(紙面の厚さ方向のため図示せず)、逃がしの幅b、逃がしの先端5の角度c、ねじの先端6からの引込距離(逃がしの先端5とねじの先端6との軸方向距離)d、逃がしの軸方向長さe、及び、補助陰極(逃がし)のドリル最先端6に最も近い角部5とドリル中心線gとの半径方向距離fが挙げられる。また、逃がしの形状によっては、図3、図4に示すように、逃がしの幅bに変えて、ドリル部1の側面と逃がしの先端5との間の半径方向距離幅b1、及びドリル部1の側面と逃がしの半径方向最外部7との間の半径方向距離b2を用いてもよい。上記a〜f、b1、b2をパラメーターとして定義する。
上記パラメーターのうち最も重要なものは、補助陰極(逃がし)のドリル最先端に最も近い角部とドリル中心線との半径方向距離fであり、この距離fが短いほど補助陰極としての効果が大きい。fの値としては、(ドリル部1の半径+3mm)以下であることが好ましく、さらに好ましくは(ドリル部1の半径+2mm)以下である。
上記パラメーターで次に重要なものは、引込距離dであり、これが2mmを超える場合は逃がしの効果が極端に小さくなるため、2mm以内とする。また、dは0以上の範囲では小さいほど効果は大きいが、接合作業時の位置決めを考慮すると、0.5mm以上であることが好ましい。
なお、dがマイナス、すなわちねじ先端より突き出す形状にすることも可能であり、その場合は、逃がしの効果が非常に大きくなる。また、以下に記すような、形状等の条件を考慮する必要がなくなることさえある。ただし、逃がしがねじ先端より突き出すため施工時のねじの正確な位置決めに障害になるなど、施工性で別の問題が生じる可能性があるため、ねじの用途としては大きく限定される。
次に、逃がしの数は、多いほど効果が大きいことは言うまでもない。また、ねじを回転させる際のバランスから、複数個の逃がしを対照的に設置することが必要である。このため、逃がしの数は2つ以上であることが好ましい。ただし、本発明のねじを実際に大量生産するにあたっては、現行のリーマー付きねじの製造技術を応用するため、2つとすることが現実的であり、逃がしの効果はその数ではなく、形状・面積・設置位置等で制御することが好ましい。
逃がしの厚みaは、補助陰極としての面積を確保する点からは厚い方が好ましく、0.4mm以上であることが好ましい。一方、電流を集中させるための鋭利な形状、ねじ接合時の逃がし脱落の容易さ、及び、逃がしによる鋼材への疵付きにくさの点からは、逃がしの厚みaは薄い方が好ましく、1.2mm以下とすることが好ましい。厚みaは、上記範囲内で必要な効果とねじの大きさに応じて設定することが好ましい。また、ねじの締結工程での逃がしの離脱を容易にするためには、ドリルねじと逃がしの接合部の厚さを逃がしの厚みaよりも0.1〜0.5mmだけ薄くすることが好ましい。
逃がしの幅bは、1.5mm以上とすることが好ましい。1.5mm未満では、ドリルねじの大きさ・種類に関係なく、逃がしとしての効果が明確ではなかったためである。
図2の形状のねじの場合には、上述のfの条件より、bは3mm以下に限定される。逃がしの面積を大きくして逃がしの効果を大きくする場合には、例えば図3、図4に示す形状を選択すればよい。この場合には、逃がしの全幅b2とねじから逃がし先端部への距離b1を別々にパラメーターとして考慮する必要がある。逃がしの全幅b2は、必要な補助陰極効果が得られる大きさとする。また、図3、図4に示す形状の逃がし4については、「b1+ねじの半径」が「補助陰極の角部とドリル最先端の距離f」に相当するため、b1は3mm以下、好ましくは2mm未満とする。なお、このb1、fともに、接合時に鋼材等に疵が付いてもねじの座面で隠れる程度の大きさとすることが好ましい。尚、補助電極としての機能からはb2の上限に制約は無いが、効果、一体成形する際の製造上の点から、ねじのドリル部の直径の3倍以下とすることが好ましい。
逃がしの軸方向長さeについては、5mm以上15mm以下とすることが好ましい。補助陰極としての効果は、逃がしの形状や幅(b、b1、b2)の影響も受けるが、eを5mm以上とすることで十分に発現される。尚、長さeをこれ以上大きくしても効果は大きく変わるものではなく、逆に、長すぎると施工時に脱落しなくなる可能性が大きくなる、ドリル先端部以外のめっき厚が小さくなりねじの耐食性が低下する可能性が出る、等のデメリットがあるため、15mm以下とすることが好ましい。
上記の条件を満たすように、逃がしをねじ先端部とねじ山形成部の間に設けることにより、ねじの先端部と切り刃部のめっき厚を30μm以下にすることができ、ねじの施工性は大幅に改善される。
以下に、実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
ねじ部の直径が4mmの鍋頭ドリルねじの先端部に、表1に示すような種々の寸法の逃がしを半田づけにより接合し、この逃がし付きねじを1、通常のドリルねじを5の割合で混合し、バレルめっき法によって亜鉛めっきを行った。めっき浴は、市販添加剤を用いた塩化物浴とした。電解電流、電解時間は、ねじ頭部のめっき厚が20μmになるように調整した。
めっき厚測定部は、ねじ頭は鍋状頭部側面の、鋼板と接触する部位の直上と、ドリルねじの最先端部とした。めっき厚の測定は、めっき終了後のねじを樹脂に埋め込んで研磨して測定対象部の断面観察用サンプルを調整し、ねじ頭部と最先端部のめっき厚を顕微鏡で観察により測定した。測定は条件ごとに3本のねじについて行い、その平均値を評価データとした。
耐食性は、ねじをめっき厚約20μmの溶融亜鉛めっき鋼板に電動ドライバーで接合し、ねじ頭が出ている方を試験面として塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を行い、ねじ近傍の赤錆発生を、市販のドリルねじ(純亜鉛めっき20μm、no.1)と比較し、耐食性に差異がないことを確認した。
作業性は、JIS B 1059に準じて、無負荷時2500rpm、最大トルク140N・mの電動ドライバーを用いて、10本のねじを、板厚1.0mm、ビッカース硬度120〜130の圧延鋼板に接合してその所要時間を測定し、市販のドリルねじ(純亜鉛めっき20μm、no.1)と比較した。評価の方法として、接合に要した時間が短縮した場合は改善、長時間化した場合は悪化と表示し所要時間の差異を%で示した。
Figure 0005333380
ねじ部の直径が4mmのフランジ付六角頭ドリルねじの先端部に、表2に示すような種々の寸法の図4の形状の逃がしを半田づけにより接合し、この逃がし付きねじを1、通常のドリルねじを5の割合で混合し、バレルめっき法によって亜鉛めっきを行った。めっき浴は、市販添加剤を用いた塩化物浴とした。
めっき厚測定部は、ねじ頭はねじ頭フランジの上平面部、ドリル先端部のめっき厚は実施例1と同様に埋め込み研磨により作成した断面サンプルの顕微鏡観察により測定した。種々の電解条件でめっきを行い、耐食性と作業性(穿孔性)を調査した。
耐食性については、ねじを、板厚1.0mm、めっき厚20μmのガルバリウムめっき鋼板に接合し、塩水噴霧試験を行い、ねじ頭部の赤錆発生時間を調べた。
作業性は、実施例1と同じ方法で評価した。
Figure 0005333380
1 ドリル部
2 切り刃
3 リーマー
4 逃がし
10 シャンク
b 逃がしの幅
c 逃がしの先端角
d 逃がしの引き込み深さ
e 逃がしの長さ
b1 ねじ−逃がし先端の距離
b2 逃がしの幅
f ねじ先端−逃がし角部の距離
g ドリルねじ中心線

Claims (4)

  1. 外周にねじ山を有するシャンクと、該シャンクの軸方向の一端部に一体的に形成されたドリル部とを有し、少なくとも前記ドリル部の表面に亜鉛系めっきが施されたドリリングタッピンねじにおいて、
    ねじ先端のドリル部のめっき厚が30μm以下であって、且つ、ねじ先端部とねじ山形成部の間に、ねじ先端部めっき付着量制御のための補助陰極を有し、さらに、前記補助陰極がねじ接合時に脱離することを特徴とするドリリングタッピンねじ。
  2. 前記補助陰極のドリル最先端に最も近い角部とドリルの中心線の距離が、ドリル部の半径に3mmを足した値以下であることを特徴とする請求項1に記載のドリリングタッピンねじ。
  3. 前記補助陰極の、ねじ最先端から補助陰極のドリル最先端に最も近い角部までの引込距離が、2mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のドリリングタッピンねじ。
  4. 前記補助陰極を2つ以上有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のドリリングタッピンねじ。
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