人工爪は、長年に亘って、爪を長く美しく見せるために、また爪の補強の目的で使用されてきた。従来、人工爪を形成及び装着する方法としては、通常「ネイルチップ」と称される爪の形状を有する樹脂成形体(所謂「つけ爪」)を、両面テープや爪用接着剤を用いて爪の表面に貼り付ける方法、及びアクリル樹脂などを用いて自爪上に直接人工爪を形成する、「スカルプチュア」と称される方法などが一般的に知られている。
ネイルチップは、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ABS樹脂などの樹脂を爪の形に成形したものであり、様々な形状やサイズのネイルチップが市販されている。
このようなネイルチップの製造者・販売者は、様々な大きさ、湾曲、形状を有するネイルチップをあらかじめ用意しておく必要があった。なぜならネイルチップ使用者の自爪の大きさ、湾曲、形状は個々人により異なっているので、これらの個々人の爪の形状等に適合できるように多くのタイプのネイルチップを用意する必要があるためである。また、そのように多くのタイプのネイルチップが市販されているが、市販されている既製品のネイルチップを装着する場合、完全にフィットするものを入手することは実際には極めて困難である。自爪に合わないネイルチップを使用すると、ネイルチップ自体の弾性によって自爪が締め付けられたり、指に食い込むなどして、ネイルチップの使用者に苦痛を与え、ネイルチップの使用の障害となってしまう。また、通常、ネイルチップが爪に完全にフィットしていないと、十分な接着力が得られず、ネイルチップがはがれやすくなってしまうという問題もあった。
更には、従来のネイルチップは、一般に射出成形等により製造され、先端部から見て左右対称な湾曲形状を有している。しかし、自然の爪は、多くの場合、爪を有する指先からみた際に左右非対称の形状を有しており、その形状は、指の種類や個人によって様々である。従って、従来のネイルチップを装着すると、ネイルチップの左右対称な形状が不自然な印象を与えるという問題もあった。
上記のような問題を解決するために、様々な提案がなされている。例えば、日本国特公平7−7352号公報(特許文献1)は、個々の指先部の石膏模型を作製し、その先端部にワックスで、所望の長さ、形状、湾曲を有する延長台を設けてマスターモデルとし、該マスターモデルの印象を取り、その印象面の石膏模型を作製して複模型とし、複模型の爪部に所望の形状の人工爪模型を形成し、その印象型を取り、この印象型と、人工爪模型をとりのぞいた複模型の間で硬化性樹脂組成物を用いて人工爪を形成し、ついで、仕上げ処理することを特徴とする人工爪の作製方法が開示されている。しかし、この方法は、非常に煩雑であり、高度な技術を要し、費用も高くなってしまうという欠点があった。
米国特許第5,676,165号公報(特許文献2)には、爪の根元に対応する部分にX字型の切り欠きを設けたネイルチップが開示されている。この切り欠きは、ネイルチップの強度を向上させ、そして自爪へのフィットを容易にするために設けられている。しかし、このようなネイルチップは、製造工程が煩雑になるのみならず、自爪に装着後、この切り欠きを目立たなくすることは非常に困難であり、ファッション性・デザイン性に優れたネイルチップを得るのは難しい。また、人工爪に自然な湾曲を与える手段についても何ら記載されていない。
日本国特開2002−238652号公報(特許文献3)においては、40〜90℃のガラス転移温度を有する樹脂を用いてネイルチップを製造し、得られたネイルチップを自爪に押し当てた状態でドライヤー等で加熱することにより、ネイルチップに、自爪に適合した湾曲を与える技術が開示されている。しかし、この技術においては、自爪に押し当てた状態でネイルチップを加熱する必要があるため、火傷などの危険があり、実用的でない。
日本国特開2004−254877号公報(特許文献4)には、板状の光硬化性樹脂を用いてネイルチップを製造する方法が開示されている。より具体的には、特許文献4に開示された方法においては、完全に硬化する前の柔軟な状態の光硬化性樹脂からなるネイルチップ作成用プレートを爪の上に設置し、上記プレートを爪の形状に合わせて湾曲させた後、光照射することにより光硬化性樹脂を硬化させ、湾曲したプレートを爪の形に整えることによりネイルチップを得る方法が開示される。しかし、特許文献4には、硬化する前の柔軟な状態の光硬化性樹脂からなるプレートを製造するための方法に関する具体的な説明は一切ない。光硬化性樹脂の硬化度を適度に調節して、上記公報の目的に適した柔軟性を有するプレートを得ること、更に実際にネイルチップ作成を開始する時点までその柔軟性を維持することは困難である。従って、この文献に記載された方法は現実的ではない。
日本国特開2004−275736号公報(特許文献5)には、上層と下層とからなる人工爪であって、下層をシリコーンゴム等の弾性ポリマーで形成することにより、爪に対する適合性を高めた人工爪が開示されている。しかし、上層は、従来の人工爪と同様の方法で製造されるため、全体として不自然な外観となってしまう。
日本国特開2007−195569号公報(特許文献6)には、ほぼ長方形状の薄いアクリルの板よりなるチップの裏面を爪に接着した後、爪からはみ出したチップ先端部分の裏面に補強用の材料を塗布して厚みと強度を与える技術が開示されている。この技術においては、爪に直接接触する部分が、薄いアクリルの板であるため、爪に対する適合性が高いが、先端部分の形状を調節する手段は開示されていない。また、例えば、硬化性アクリル樹脂などを用いて、先端部分を所望の形状に維持しようとしても、樹脂塗布後、これが硬化するまで所望の形状を維持することは困難であり、人工爪を装着される人間に対する負担が大きくなってしまう。
日本国特開2008−509796号公報(特許文献7)には、爪の根本に対応する部分から爪先に対応する部分にかけて厚みが連続的に大きくなっている人工爪が開示されている。この人工爪は、爪の根本に対応する部分の厚みが小さいため、可撓性が高く、爪に適合させやすい一方、爪先に対応する部分の厚みが大きくなっているため十分な強度が確保できるとしている。しかし、特に厚みの大きい先端部は形状の自由度が低く、やはり不自然な外観となってしまう。
一方で、スカルプチュアは、アクリル樹脂などを用いて自爪上に直接人工爪を形成する技術である。スカルプチュアには、混合すると重合反応が起こり硬化するアクリルポリマー粉体と液状アクリルモノマーとを用いる技術が知られている(例えば、日本国特開昭55−108309号公報(特許文献8)参照)。この技術においては、アクリルポリマー粉体と液状アクリルモノマーとを混合すると硬化が始まってしまうので、アクリル樹脂製人工爪を形成する際に時間的制限があるので、所望の形状を有する人工爪を形成するのは難しい。また、硬化した樹脂中に気泡が入って美観が損なわれるという問題があった。
スカルプチュアに関しては、「ジェルネイル」と称される技術も知られている(例えば、WO00/076366号公報(特許文献9)参照)。この技術においてはゲル状の光硬化性樹脂を爪に塗布し、爪の形に整えた後、紫外線等の光線を照射して、光硬化性樹脂を硬化させる。この技術の場合、光照射しない限り、樹脂は硬化しないので、人工爪の形成の際の時間的制限がない。しかし、この方法で、ジェル状の光硬化性樹脂を所望の形状に整えるには、高い技術や熟練手技が要求される。従って、人工爪の装着に必要な費用が高くなってしまう。
また、上記のようなスカルプチュアは、以下のような問題を有していた:人工爪の自爪への接着を良くするために、自爪の表面をやすりで削ることから、爪が薄くなってしまい、爪への負担が大きい;人工爪の形成に用いる樹脂組成物中に含まれる光開始剤などが、爪や皮膚の損傷を招くことがある;人工爪の厚さや形状が不均一になり易い。
また、上記のネイルチップを用いる技術とスカルプチュア技術を組み合わせた技術として「チップオーバーレイ」と称される技術も知られている。この技術に関しては、例えば、日本国特開2001−353021号公報(特許文献10)を参照することができる。具体的には、チップオーバーレイは、爪の先端の形状を有する人工爪(ネイルチップ)を自爪の先端に接着し、その後硬化性樹脂を爪に塗布して、樹脂が硬化する前に形を整える技術である。しかしこの技術は、ネイルチップを用いる技術とスカルプチュア技術に関連して上記したのと同様の問題があった。
日本国特公平7−7352号公報
米国特許第5,676,165号公報
日本国特開2002−238652号公報
日本国特開2004−254877号公報
日本国特開2004−275736号公報
日本国特開2007−195569号公報
日本国特開2008−509796号公報
日本国特開昭55−108309号公報
WO00/076366号公報
日本国特開2001−353021号公報
本発明の1つの態様によれば、爪の形状を有する外層と、その下側に位置して外層に直接又は間接に取り付けられた内層とを含む多層構造を有する人工爪であって、
該外層と該内層とが協働して、全体として、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面が所望の湾曲形状に形成されてなる、ことを特徴とする人工爪
が提供される。
本発明の他の1つの態様によれば、人工爪の製造方法であって、
人工爪の形状を有する外層形成用薄片、及びその下側表面に下側から重なる形状を有する内層形成用薄片を提供し、但し外層形成用薄片及び内層形成用薄片の少なくとも1方が、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、そして
内層形成用薄片を、外層形成用薄片の下側表面に、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向にずらして、直接又は間接に取り付けて、外層と内層とを含む多層構造とし、該外層と該内層とを協働させて、全体として、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面を所望の湾曲形状に形成する、ことを特徴とする製造方法
が提供される。
次に、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
1.爪の形状を有する外層と、その下側に位置して外層に直接又は間接に取り付けられた内層とを含む多層構造を有する人工爪であって、
該外層と該内層とが協働して、全体として、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面が所望の湾曲形状に形成されてなる、ことを特徴とする人工爪。
2.人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が人工爪の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称である、ことを特徴とする前項1に記載の人工爪。
3.内層が外層に、人工爪の長手方向中心軸に沿って延びる層間結合体を介して間接に取り付けられている、ことを特徴とする前項1又は2に記載の人工爪。
4.人工爪の長手方向中心軸の両側縁部において内層が外層に取り付けられている、ことを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の人工爪。
5.人工爪の製造方法であって、
人工爪の形状を有する外層形成用薄片、及びその下側表面に下側から重なる形状を有する内層形成用薄片を提供し、但し外層形成用薄片及び内層形成用薄片の少なくとも1方が、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、そして
該内層形成用薄片を、該外層形成用薄片の下側表面に、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向にずらして、直接又は間接に取り付けて、外層と内層とを含む多層構造とし、該外層と該内層とを協働させて、全体として、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面を所望の湾曲形状に形成する、ことを特徴とする製造方法。
6.人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が人工爪の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称である、ことを特徴とする前項5に記載の方法。
7.内層形成用薄片を外層形成用薄片に、人工爪の長手方向中心軸に沿って延びる層間結合体を介して間接に取り付ける、ことを特徴とする前項5又は6に記載の方法。
8.人工爪の長手方向中心軸の両側縁部において内層形成用薄片を外層形成用薄片に取り付ける、ことを特徴とする前項5〜7のいずれかに記載の方法。
9.外層形成用薄片及び内層形成用薄片の両方が、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、且つ外層形成用薄片の湾曲の曲率が、内層形成用薄片の湾曲の曲率と異なる、ことを特徴とする前項5〜8のいずれかに記載の方法。
10.人工爪の形状を有する外層形成用薄片、及び
該外層形成用薄片の下側表面に下側から重なる形状を有する内層形成用薄片
を含む人工爪製造用キットであって、
該外層形成用薄片及び該内層形成用薄片の少なくとも1方が、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、
該人工爪が、爪の形状を有する外層と、その下側に位置して外層に直接又は間接に取り付けられた内層とを含む多層構造を有し、該外層と該内層とが協働して、全体として、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面が所望の湾曲形状に形成されてなる、
ことを特徴とする人工爪製造用キット。
11.人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が人工爪の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称である、ことを特徴とする前項10に記載のキット。
12.外層形成用薄片及び内層形成用薄片の両方が人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、且つ外層形成用薄片の湾曲の曲率が、内層形成用薄片の湾曲の曲率と異なる、ことを特徴とする前項10又は11に記載の人工爪製造用キット。
以下、本発明について添付の図面に参照して詳細に説明する。
図1は、従来の人工爪1の斜視図である。図1に示すように、通常、人工爪1は、人間の爪を模した形状を有しており、接着剤等を用いて爪に取り付ける。
図2は、従来の人工爪1の断面図である(図1のI-I線での断面図)。従来の人工爪1は、一般に射出成形等により製造され、図2に示すように、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲が左右対称になっている。
これに対して、本発明の人工爪は、後述する図3(b)及び図3(c)に示すように、爪の形状を有する外層3と、その下側に位置して外層に直接又は間接に取り付けられた内層4とを含む多層構造を有する人工爪であって、該外層3と該内層4とが協働して、全体として、人工爪2の長手方向中心軸に垂直な断面が所望の湾曲形状に形成されてなる、ことを特徴とする人工爪である。具体的には、図3(b)は、外層のB及びCの位置に内層の両側縁部がそれぞれ取り付けられてなる本発明の人工爪の1つの態様の断面図であり、そして図3(c)は、上記(a)に示す外層のB及びDの位置に内層の両側縁部がそれぞれ取り付けてなる本発明の人工爪の他の1つの態様の断面図である(いずれも図1のI-I線の位置に対応する位置における断面図)。該外層3と該内層4との協働より、人工爪の断面を所望の湾曲形状にするための具体的な手段については、本発明の製造方法に関連して後述する。
また、本発明において「所望の湾曲形状」は、人工爪を取り付けようとする爪の湾曲に適合した湾曲形状であってもよいし、人工爪を取り付けようとする爪の湾曲とは異なる形状であってもよい。
本発明の人工爪2においては、外層3と内層4の各々の材料は、人工爪に一般に用いられる材料であれば、特に限定されないが、材料の例としては、透明又は不透明の可撓性樹脂製の薄片が挙げられる。可撓性樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、フルオロカーボン樹脂、アクリル系樹脂、ABS樹脂、及びウレタン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いることができる。また、外層と内層とを異なる材料を用いて形成してもよい。
本発明の人工爪2においては、外層3の厚みが50μm〜1,000μmの範囲であることが好ましく、内層4の厚みが50μm〜1,000μmの範囲であることが好ましい。外層3の厚みは、より好ましくは100μm〜600μmの範囲であり、特に好ましくは200μm〜500μmの範囲である。内層4の厚みは、より好ましくは100μm〜500μmの範囲であり、特に好ましくは200μm〜300μmの範囲である。また、外層3及び内層4の厚みについては、人工爪の根元から先端にかけて徐々に厚みを大きくすることが望ましく、また、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面において厚みを中央部から両側端部にかけて徐々に小さくすることが望ましい。なお、外層3の最適な厚みや内層4の最適な厚みは、各々、それ以外の製造条件(外層3や内層4の材質など)や人工爪2の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状の種類などに応じて適宜選択することができる。
尚、本発明においては、外層3及び内層4のそれぞれの厚みを、従来の人工爪(ネイルチップ)の厚みの半分程度とすることができるため、外層3及び内層4を湾曲させやすく、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面の形状の自由度が大きい。
本発明の人工爪2においては、人工爪2の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が、人工爪2の長手方向中心軸を通る垂線に関して対称であってもよいし、非対称であってもよい。しかし、自然の爪は、多くの場合、爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が、爪の長手方向中心軸を通る垂線(例えば、図4のA−A’線)に関して非対称である(言い換えると、爪を有する指先から見た際に左右非対称の形状を有している)。従って、より自然な形状を有する人工爪を提供するという観点からは、多くの場合、図3(b)や図3(c)に示すように、人工爪2の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が人工爪2の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称であることが好ましい。
本発明の人工爪2においては、図4に示すように、外層3の下側に、人工爪2の長手方向に延びる少なくとも1本の湾曲補助溝3'が設けられていることが好ましい。この湾曲補助溝3'を有する場合、人工爪2の長手方向の強度を維持したまま、湾曲形状調節の自由度を非常に大きくすることができる。この湾曲補助溝3'の数の範囲は、好ましくは1本から10本、更に好ましくは2本から10本、更に好ましくは3本から8本、更に好ましくは4本から6本である。複数の湾曲補助溝3'を用いる場合は、隣接する溝3'同士の間隔は特に限定されないが、一般に、1〜2mmの範囲が好ましい。また、この溝3'を設ける代わりに、溝3'の位置に相当する部分が外層3のそれ以外の部分の材料よりも可撓性の高い材料で構成されていてもよい。また、湾曲補助溝3'の深さは、通常、外層3の厚みの10〜90%であり、30〜70%であることが好ましく、40〜60%であることがより好ましい。湾曲補助溝3'の幅は、通常、0.1〜1mmであり、0.2〜0.8mmであることが好ましく、0.4〜0.7mmであることがより好ましい。
本発明の人工爪2においては、人工爪の強度の観点から、外層3の下側の全体若しくは大部分が内層4の上側全体と重なり合っていることが好ましい。また、外層3の下側の大部分が内層4の上側全体と重なり合っている場合、内層4と外層3が相似形状を有することが好ましい。尚、上記の「大部分」とは、外層3の下側の80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。しかし、本発明の人工爪2においては、内層4が外層3の下側の前方端部のみに位置していてもよい。
天然爪と内層4の位置関係としては、内層4は天然爪に対応する(接する)部分のみに位置していてもよいし、天然爪に対応しない(接しない)部分のみに位置していてもよいし、天然爪に対応する部分と天然爪に対応しない部分の両方にまたがる部分に位置していてもよい。
本発明の人工爪2においては、図8に示すように、内層4が外層3に、層間結合体3bを介して間接に取り付けられており、層間結合体3bは、人工爪2の長手方向中心軸に沿って延びており、層間結合体3bの上側と下側がそれぞれ外層3と内層4に取り付けられているのも好ましい態様の1つである。本発明の人工爪2が層間結合体3bを有する場合、人工爪2の製造において、人工爪2の長手方向中心軸の両側における人工爪2の湾曲形状を相互に独立的に調節しやすいので、好ましい。例えば、人工爪2の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状を人工爪2の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称にする場合と対称にする場合のいずれの場合も、より容易になる。
本発明の人工爪2の他の1つの好ましい態様においては、図4に示すように、外層3がその下側に、人工爪2の長手方向中心軸上又はその付近の少なくとも1箇所に取付け用突起3"を有し、内層4がその上側に該取付け用突起を嵌合受け入れ可能な孔部4'を有し、外層3の取付け用突起3"が内層4の孔部4'に挿入されることにより、内層4が外層3に取り付けられていてもよい。この態様の場合も、上記の層間結合体を用いる場合と同様に、人工爪2の長手方向中心軸の両側における人工爪2の湾曲形状を相互に独立的に調節しやすいので、好ましい。上記取付け用突起3"の数は特に限定されないが、通常は、2個か3個が好ましい。複数の取付け用突起3"を用いる場合、隣接する取付け用突起3"同士の間隔は特に限定されないが、一般に、2〜10mmの範囲が好ましい。外層3の下側から見た取付け用突起3"の形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形などから適宜選択できる。円形、楕円形、多角形などの形状の場合、その直径や最大径が、通常、0.5〜3mmであり、0.8〜2.5mmであることが好ましく、1〜2mmであることがより好ましい。単一の取付け用突起3"を用いる場合において、単一の取付け用突起3"を回転軸として内層4と外層3の一方又は両方が回転して位置関係が変わるのを防止することが望ましい場合は、外層3の下側から見た取付け用突起3"の形状が、幅1〜3mmの範囲で長さ2〜10mmの範囲の長方形であることが好ましく、長方形の取付け用突起3"が人工爪2の長手方向中心軸に沿って延びていることが更に好ましい。また、取付け用突起3"の高さは、通常、内層4の厚みの10〜100%未満であり、20〜90%であることが好ましく、40〜80%であることがより好ましい。孔部4'の形状や寸法については、取付け用突起3"を嵌合受け入れ可能であれば特に制限はない。また、上記とは逆に、内層4がその上側に、人工爪2の長手方向中心軸上又はその付近の少なくとも1箇所に上記の取付け用突起を有し、外層3がその下側に、上記の孔部を有していても良い。
本発明の人工爪2の更に他の1つの好ましい態様においては、内層4が外層3に両面テープで取り付けられていてもよい。この場合、両面テープによる取り付け方法は特に限定されないが、取り付け方法の好ましい1例について、本発明の人工爪の製造方法に関連して後述する。
本発明の人工爪2においては、人工爪2に湾曲形状を与える容易性という観点からは、人工爪2の長手方向中心軸の両側縁部において内層4が外層3に取り付けられていることが好ましい。
また、人工爪2の上部表面(即ち、爪の形状を有する外層3の上側表面)が所望の二次元的又は立体的な装飾パターンを有していてもよい。装飾パターンは特に限定されないが、例えば、植物(花、葉、樹木など)、動物、天体(星、月、彗星など)、人物の画像やレリーフなどが挙げられる。また、外層の上側表面に、ガラスなどで形成された装飾品や宝石などを取り外し可能に取り付けるか、又は恒久的に固定されていても良い。
本発明の人工爪は、公知の人工爪の取り付け方法によって自爪に装着することができる。
次に本発明の人工爪を製造するための方法について説明する。
本発明の他の1つの態様によれば、人工爪の製造方法であって、
人工爪の形状を有する外層形成用薄片、及びその下側表面に下側から重なる形状を有する内層形成用薄片を提供し、但し外層形成用薄片及び内層形成用薄片の少なくとも1方が、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、そして
該内層形成用薄片を、該外層形成用薄片の下側表面に、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向にずらして、直接又は間接に取り付けて、外層と内層とを含む多層構造とし、該外層と該内層とを協働させて、全体として、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面を所望の湾曲形状に形成する、ことを特徴とする製造方法
が提供される。
外層形成用薄片と内層形成用薄片の各々の材料は、外層及び内層の材料として上記した通りである。また、外層形成用薄片と内層形成用薄片として用いる可撓性樹脂製フィルムの可撓性は、樹脂の分子量やフィルムの厚みなどを適宜選択することにより、調節することができる。また、内層形成用薄片及び外層形成用薄片の厚みに関しても、外層及び内層の厚みとして上記した範囲であればよい。
本発明の方法においては、このような内層形成用薄片と外層形成用薄片を提供してから、内層形成用薄片を、外層形成用薄片の下側表面に、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向にずらして、直接又は間接に取り付けて、外層と内層とを含む多層構造とし、該外層と該内層とを協働させて、全体として、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面を所望の湾曲形状に形成する。本発明において「ずらして」とは、内層形成用薄片を外層形成用薄片に取り付ける際に、(1)図3(b)及び図3(c)に示すように、外層と内層の長手方向の中心軸が重ならないようにする、又は(2)図4に示すように、外層と内層の長手方向の中心軸は重なるようにするが、外層に対する内層の両側縁部の取り付け位置を異ならせる(即ち、図4に示すように、外層側縁部から内層側縁部までの距離が、人工爪の片側の側縁部と、もう片側の側縁部とで異なるようにする)、ことを意味する。
また、内層形成用薄片の断面形状と外層形成用薄片の断面形状は、同じであっても異なっていてもよい(ここで、「断面形状」とは、内層形成用薄片及び外層形成用薄片のそれぞれについて、人工爪の長手方向中心軸に対応する中心軸に垂直な断面の形状を意味する)。
また、内層形成用薄片の断面形状と外層形成用薄片の断面形状が異なる場合、内層形成用薄片と外層形成用薄片の組合せの例としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)内層形成用薄片と外層形成用薄片のどちらが一方のみが、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲している。
(2)内層形成用薄片及び外層形成用薄片の両方が、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、且つ内層形成用薄片の曲率と外層形成用薄片の曲率が異なる。
(3)内層形成用薄片及び外層形成用薄片の両方が、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、且つ内層形成用薄片及び外層形成用薄片の少なくとも一方の曲率が不均一である(例えば、側縁部において曲率が大きく、中央部において曲率が小さくなっている内層形成用薄片及び/又は外層形成用薄片を使用する場合など)。
内層形成用薄片を外層形成用薄片の下側表面に取り付ける手段は、公知の多層構造人工爪の製造における多層化に用いるのと同様の公知の方法で行なうことができる。具体的には、例えば、両面テープや接着剤を用いて行なうことができる。
本発明の方法においては、製造される人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が、人工爪の長手方向中心軸を通る垂線に関して対称であってもよいし、非対称であってもよい。この点に関しては、本発明の人工爪の説明において述べたのと同様の説明が当てはまる。即ち、上記のように、自然の爪は、多くの場合、爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が、爪の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称である(言い換えると、爪を有する指先から見みた際に左右非対象の形状を有している)。従って、より自然な形状を有する人工爪を提供するという観点からは、多くの場合、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が人工爪の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称であることが好ましい。
本発明の方法においては、図4に示すように、外層形成用薄片の下側表面に、人工爪の長手方向に延びる少なくとも1本の湾曲補助溝3'が設けられていることが好ましい。この湾曲補助溝3'を有する場合、人工爪の長手方向の強度を維持したまま、湾曲形状調節の自由度を非常に大きくすることができる。この点に関しても、本発明の人工爪の説明において述べたのと同様の説明が当てはまる。
本発明の方法においては、内層形成用薄片と外層形成用薄片の寸法や形状、並びにこれらの薄片の取付け位置関係などを適宜選択することにより、得られる人工爪において、外層の下側表面の全体若しくは大部分(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上)が内層の上側全体と重なり合うようにすることが好ましい。しかし、内層形成用薄片を外層形成用薄片の下側表面の前方端部のみの位置に取り付けてもよい。また、内層形成用薄片の断面形状と外層形成用薄片の幅に関しては、内層形成用薄片をずらして人工爪の湾曲形状を調節する際に、下層の両側端部が上層の両側からはみ出さないようにするために、内層形成用薄片の幅を外層形成用薄片の幅より小さくすることが好ましい。この場合、内層形成用薄片の幅の外層形成用薄片の幅に対する比としては、0.60〜0.98であることが好ましく、0.65〜0.95であることがより好ましく、0.80〜0.90であることが特に好ましい。
また、本発明の方法は、天然爪に内層形成用薄片を取付けた後に実施してもよい。
天然爪と内層形成用薄片の位置関係に関しても、本発明の人工爪の説明において述べたのと同様の説明が当てはまる。
好ましくは、本発明の方法においては、内層形成用薄片を外層形成用薄片に、人工爪の長手方向中心軸に沿って延びる層間結合体を介して間接に取り付ける。この際、層間結合体の上側と下側をそれぞれ外層と内層に取り付ける。この点に関しても、本発明の人工爪の説明において述べたのと同様の説明が当てはまる。
本発明の方法の他の1つの好ましい態様においては、図4に示すように、外層形成用薄片の下側表面が、人工爪の長手方向中心軸に沿った少なくとも1箇所に取付け用突起を有し、内層形成用薄片の上側表面が該取付け用突起を嵌合受け入れ可能な孔部を有し、外層形成用薄片の取付け用突起を内層形成用薄片の孔部に挿入することにより、内層形成用薄片を外層形成用薄片に取り付けてもよい。この点に関しても、本発明の人工爪の説明において述べたのと同様の説明が当てはまる。
本発明の方法の更に他の1つの好ましい態様においては、内層形成用薄片を外層形成用薄片に両面テープで取り付けてもよい。この場合、両面テープによる取り付け方法は特に限定されないが、例えば、人工爪2の長手方向中心軸の両側における人工爪2の湾曲形状を相互に独立的に調節することの容易性の点で、以下の取り付け方法が好ましい。両面テープにより、内層形成用薄片の上側表面と外層形成用薄片の下側表面とを、まず、人工爪2の長手方向中心軸に沿った幅約1〜5mm程度の中央部領域にのみについて相互に貼り合わせ、人工爪2の長手方向中心軸の両側縁部についてはまだ相互に貼り合わさない状態にする。この状態においては、人工爪2の長手方向中心軸の両側における人工爪2の湾曲形状を相互に独立的に調節することが容易である。この状態で、両側縁部の各々において所望の湾曲形状を形成し、内層形成用薄片と外層形成用薄片の両側縁部を相互に両面テープで貼り合わせる。
本発明の方法においては、人工爪の長手方向中心軸の両側縁部において内層形成用薄片を外層形成用薄片に取り付けることが好ましい。この点に関しても、本発明の人工爪の説明において述べたのと同様の説明が当てはまる。
本発明の製造方法を図面に参照して以下に具体的に説明する。(尚、図面においては、便宜上、外層形成用薄片及びそれから形成される外層は共に参照番号3で示し、内層形成用薄片及びそれから形成される内層は共に参照番号4で示す。)
図3(a)は、本発明の方法で使用する外層形成用薄片3の1例、及び内層形成用薄片4の1例を示す。この図において、外層形成用薄片3は、内層形成用薄片4と比較して大きな曲率を有している。従って、内層形成用薄片4を外層形成用薄片3に取り付けた際には、内層形成用薄片4は、外層形成用薄片3の曲率を小さくするように作用する。
図3(b)に示す本発明の人工爪2は、図3(a)に示す外層形成用薄片3の1方の側縁部近辺のBの位置に、内層形成用薄片4の1方の側縁部を取り付け、その後、外層形成用薄片3の他の1方の側縁部近辺のCの位置に内層形成用薄片4の他の1方の側縁部を取り付けることによって製造されたものである。
一方、図3(c)に示す本発明の人工爪2は、図3(a)に示す外層形成用薄片3の1方の側縁部近辺のBの位置に、内層形成用薄片4の1方の側縁部を取り付け、その後、外層形成用薄片3の他の1方の側縁部近辺のDの位置に内層形成用薄片4の他の1方の側縁部を取り付けることによって製造されたものである。
図3(b)及び図3(c)共に、内層形成用薄片4は、外層形成用薄片3の位置Bの側にずらして取り付けられている。即ち、内層形成用薄片4の長手方向の中心軸A'は、外層形成用薄片3の長手方向の中心軸Aより、位置Bの側にずれており、内層取り付け位置Bから外層4側縁部のまでの距離は、内層取り付け位置C又はDから外層4側縁部までの距離よりも小さくなっている。また、図3(b)における内層取り付け位置Cと図3(c)における内層取り付け位置Dとの違いにより、図3(b)に示す人工爪2と図3(c)に示す人工爪2とでは、人工爪2の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が異なっている。即ち、図3(c)においては、図3(b)に示す人工爪2と比較して、外層形成用薄片3の曲率が大きい状態で、内層形成用薄片4を取り付けて、人工爪全体としても大きく湾曲した形状を維持している。外層形成用薄片3の長手方向の中心軸Aと内層形成用薄片4の長手方向の中心軸A'とのずれの程度や、外層形成用薄片3に対する内層形成用薄片4の側縁部の固定位置を適宜調節することにより、様々な断面形状を有する人工爪を製造することができる。
図4(a)は、内層形成用薄片4を外層形成用薄片3に、内層形成用薄片4の長手方向の中心軸A'が、外層形成用薄片3の長手方向の中心軸Aと重なるように取り付けた状態を示す図である。この図においては、図3とは逆に、外層形成用薄片3は、内層形成用薄片4と比較して小さな曲率を有している。従って、内層形成用薄片4を外層形成用薄片3に取り付けた際には、内層形成用薄片4は、外層形成用薄片3の曲率を大きくするように作用する。
図4(b)においては、図4(a)に示した内層形成用薄片4の上側表面の両側縁部を、外層形成用薄片3の下側表面の両側縁部近辺のEとFの位置に取り付けて本発明の人工爪2を形成している。取り付け位置Eの側は、取り付け位置Fの側と比較して、外層3を大きく湾曲させた状態で内層4を取り付けることにより、人工爪2の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が人工爪2の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称になっている。
また、図4(a)及び(b)においては、上記したように外層3の下側に湾曲補助溝3'が形成されているが、図4(a)及び(b)に示す態様のように外層形成用薄片3が内層形成用薄片4と比較して小さな曲率を有している場合(即ち、外層形成用薄片3を比較的大きく湾曲させる必要がある場合)に、湾曲補助溝3'は特に有効である。
図5(a)は、本発明の方法で使用する外層形成用薄片3の更に他の1例、及び内層形成用薄片4の更に他の1例を示す。図3及び図4に例示した外層形成用薄片3及び内層形成用薄片4の人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状は、側縁部や中央部などを含む全ての箇所における曲率が実質的に等しいものであるが、図5(a)に示すように、場所によって曲率が比較的大きくことなるものを用いることもできる。図5(a)に示す例においては、外層形成用薄片3及び内層形成用薄片4共に側縁部において曲率が大きく、中央部において曲率が小さくなっている。
図5(b)に示す本発明の人工爪2は、図5(a)に示す外層形成用薄片3の両側縁部に置けるG及びHの位置に、内層形成用薄片4の両側縁部をそれぞれ取り付けることによって製造されたものである。図5(b)においては、内層形成用薄片4は、外層形成用薄片3の位置Gの側にずらして取り付けられている。即ち、内層形成用薄片4の長手方向の中心軸A'は、外層形成用薄片3の長手方向の中心軸Aより、位置Gの方にずれており、内層取り付け位置Gから外層4側縁部までの距離は、内層取り付け位置Hから外層4側縁部までの距離よりも小さくなっている。
図6は、本発明の人工爪の更に他の1つの態様の断面図である。図6の人工爪は、上部表面の長手方向中心軸に沿って延びるように形成された湾曲補助突起4aを有する内層形成用薄片4を使用して製造されたものである。湾曲補助突起4aは、外層形成用薄片3を湾曲させる際に、てこの原理の支点として機能する。従って、湾曲補助突起4aを有する内層形成用薄片4の使用は、全体として比較的大きく湾曲した人工爪の製造が望まれる場合に特に有効である。湾曲補助突起4aの寸法や形状については特に制限はないが、通常、湾曲補助突起4aの高さは、内層形成用薄片4の厚みに対する比として、0.3〜1.5程度であり、0.5〜1.3であることが好ましく、0.8〜1.1であることがより好ましい。
図7は、本発明の人工爪の更に他の1つの態様の断面図である。図7の人工爪は、下側表面の長手方向中心軸に沿って延びるように形成された湾曲補助突起3aを有する外層形成用薄片3を使用して製造されたものである。湾曲補助突起3aの機能は、図6における上記の湾曲補助突起4aと同様である。湾曲補助突起3aの寸法や形状については特に制限はないが、通常、湾曲補助突起3aの高さは、外層形成用薄片3の厚みに対する比として、0.3〜1.5程度であり、0.5〜1.3であることが好ましく、0.8〜1.1であることがより好ましい。
図8は、本発明の人工爪の更に他の1つの態様の断面図である。図8の人工爪は、上記の層間結合体3bを使用した態様である。層間結合体の材料としては、内層及び外層の材料として上記したものを使用することができる。また、層間結合体の厚みは、外層形成用薄片の厚みに対する比として、0.3〜1.5程度であり、0.5〜1.3であることが好ましく、0.8〜1.1であることがより好ましい。
図9(a)は、本発明の人工爪を形成するために使用する外層形成用薄片の他の1例の下側表面を示す図であり、図9(b)は、本発明の人工爪を形成するために使用する内層形成用薄片の他の1例の上側表面を示す図であり、図9(c)は、上記(b)の内層を上記(a)の外層に取り付けて得られた本発明の人工爪の下側表面を示す図である。図9(a)に示す外層形成用薄片3は、その下側表面に粗化部分5、5を有しており、図9(b)に示す内層形成用薄片4は、その上側表面に粗化部分6、6を有している。また、図9(b)の内層形成用薄片4は、上記の粗化部分6、6のそれぞれの中心付近に、接着剤注入口7、7が形成されている。上記の粗化部分は、外層3と内層4の接着を強固にするためのものであり、紙やすり等で擦ることで形成することができる。図9(b)に示す内層形成用薄片4を、所望の湾曲形状が得られるような位置関係で、図9(a)に示す外層形成用薄片3と組み合わせて、その後、上記接着剤注入口7、7から接着剤を注入し、接着剤を硬化させることにより、図9(c)に示すような本発明の人工爪2を形成する。接着剤としては、公知のものを使用することができる。例えば、市販されているシアノアクリレート系の接着剤(所謂「瞬間接着剤」)などを使用することができる。市販されているシアノアクリレート系接着剤の具体例としては、日本国東亞合成株式会社製「アロンアルファ」(登録商標)などが挙げられる。
図10(a)は、本発明の人工爪を形成するために使用する外層形成用薄片3の更に他の1例の斜視図であり、図10(b)は、本発明の人工爪を形成するために使用する内層形成用薄片4の更に他の1例の斜視図である。図10(b)に示す内層形成用薄片4には、外層形成用薄片3に対する取り付け位置を調整する際に使用するガイド突起9が設けられており、図10(a)に示す外層形成用薄片3には、上記のガイド突起9を受けるためのガイド溝8が形成されている。内層形成用薄片4を、外層形成用薄片3に取り付ける際には、外層形成用薄片3のガイド突起9が、内層形成用薄片4のガイド溝8に収容されるように、内層形成用薄片4と外層形成用薄片3とを組合せ、位置を調節した後に接着剤などで固定する。この際、接着剤は、内層形成用薄片4と外層形成用薄片3のどちらか一方又は両方に塗布しておいてから内層形成用薄片4と外層形成用薄片3とを組み合わせてもよいが、内層形成用薄片4に、接着剤注入口を設けておいて、内層形成用薄片4の取り付け位置を決定してから接着剤を接着剤注入口から導入して固定を行うことが好ましい。
図11は、本発明の人工爪の更に他の1つの態様の下側表面を示す図である。この態様においては、比較的サイズの小さい内層4を使用している。この内層は、接着剤注入口7を3個有しており、これらを利用して3箇所で外層3に取り付ける。具体的な取り付け方法に関しては、内層4の中央部を外層3に取り付けた後に内層4の両側縁部を外層3に取り付けても良いし、内層4の側縁部の一方を外層に取り付けてから、内層4の中央部及び内層4の他の一方の側縁部に取り付けてもよい。人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面を所望の湾曲形状に形成する目的では、この図に示すような小型の内層4でも十分だが、この場合は、人工爪の先端部の強度に留意する必要がある。例えば、外層3の先端部分の厚みを大きくしたり、内層4を外層3に取り付けた後に、上記した「ジェルネイル」に通常使用されるような硬化性樹脂を塗布して硬化させるなどの方法により、先端部の強度を向上させることが望ましい。
図12 (a)は、内層形成用薄片の更に他の1例の裏面から見た斜視図であり、図12 (b)は、外層形成用薄片の更に他の1例の裏面から見た斜視図である。また、図13は、図12に示す内層形成用薄片と外層形成用薄片とを用いて製造した本発明の人工爪の裏面から見た斜視図であり、図14は、図13に示す人工爪のII-II線に沿った断面図である。この態様においては、外層形成用薄片3は、前方端部の下側表面に、人工爪の幅方向に沿って延びるガイド突起3bを有しており、内層形成用薄片4を外層形成用薄片3に取付けた際に、内層形成用薄片4を該ガイド突起3bに沿ってずらして湾曲を調節する。ガイド突部3bの高さは、図13に示すように、内層形成用薄片4の先端部の厚みと一致させることが望ましい。また、内層形成用薄片の幅と外層形成用薄片の幅に関しては、上記した通りである。
また、人工爪の上側表面に所望の立体的な装飾パターンを与えるために、爪の形状を有する外層形成用薄片の上側表面が所望の二次元的な又は立体的な装飾パターンを有していてもよい。装飾パターン特に限定されないが、例えば、植物(花、葉、樹木など)、動物、天体(星、月、彗星など)や人物の画像やレリーフなどが挙げられる。また、外層形成用薄片の上側表面に、ガラスなどで形成された装飾品や宝石などを取り外し可能に取り付けるか、又は恒久的に固定されていても良い。また、上記所望の装飾パターンの付与や装飾品や宝石やなどの取り付けや固定は、人工爪の製造前に外層形成用薄片に対して行なってもよいし、人工爪の製造後に外層に対して行なってもよい。
本発明の方法によって得られた人工爪は、所望によりファイリング(やすりがけ)などを施して形を調節し、公知の人工爪の取り付け方法によって自爪に装着することができる。
本発明の更に他の1つの態様によれば、
人工爪の形状を有する外層形成用薄片、及び
該外層形成用薄片の下側表面に下側から重なる形状を有する内層形成用薄片
を含む人工爪製造用キットであって、
該外層形成用薄片及び該内層形成用薄片の少なくとも1方が、人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、
該人工爪が、爪の形状を有する外層と、その下側に位置して外層に直接又は間接に取り付けられた内層とを含む多層構造を有し、該外層と該内層とが協働して、全体として、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面が所望の湾曲形状に形成されてなる、
ことを特徴とする人工爪製造用キットが提供される。
本発明の人工爪製造用キットに使用される上記の外層形成用薄片及び内層形成用薄片は、本発明の人工爪並びに製造方法に関連して上記したものを使用することができる。
また、本発明の人工爪に関連して上記したのと同様の理由で、本発明のキットは、人工爪の長手方向中心軸に垂直な断面の湾曲形状が人工爪の長手方向中心軸を通る垂線に関して非対称である人工爪の製造用であることが好ましい。また、本発明のキットにおいては、外層形成用薄片及び内層形成用薄片の両方が人工爪の長手方向中心軸を横切る方向に湾曲しており、且つ外層形成用薄片の湾曲の曲率が、内層形成用薄片の湾曲の曲率と異なることが好ましい。
更に、本発明のキットは、上記の層間結合体を含んでいても良い。