JP5339322B2 - レーザによるシリコン結晶成長方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、可視光及び紫外光のレーザを用いて、アモルファスシリコンの溶融多結晶化を行う技術が記載されている。しかしながら、特許文献1は可視光パルスレーザ及び紫外光パルスレーザを同時に照射するものであり、多結晶シリコンの結晶成長の低温化については全く考慮されていない。
特許文献2には、異なる波長のレーザ光を異なるタイミングで照射するアニーリングが記載されている。しかしながら、アニーリングの目的が多結晶シリコンの結晶成長ではなく、それに伴い波長も異なっている。また、多結晶シリコンの結晶成長の低温化についても全く考慮されていない。
本発明は、多結晶シリコンにレーザ光を照射してシリコン結晶を成長させるシリコン結晶成長方法において、紫外光レーザ照射及び可視光レーザ照射の欠点を相補的に補い合い、従来より低い温度でシリコン結晶を成長させることを目的とする。
すなわち、多結晶シリコンにレーザ光を照射してシリコン結晶を成長させるシリコン結晶成長方法であって、前記レーザ光は、紫外領域の波長を有する第1パルスレーザ光と、可視領域の波長を有する第2パルスレーザ光とからなり、前記第2パルスレーザ光は、第1パルスレーザ光照射の前後に当該第1パルスレーザ光照射とは異なるタイミングで照射されて、結晶粒界のみを選択的に加熱することを特徴とするシリコン結晶成長方法。
また、前記多結晶シリコンは、非晶質シリコンに紫外光レーザを照射して生成されたものを用いることができる。
好ましくは、前記第1パルスレーザ光及び前記第2パルスレーザ光間の照射タイミングの間隔は、前記第1パルスレーザ光または前記第2パルスレーザ光の半値全幅におけるパルス幅以上の間隔をおいて照射することである。
また、前記レーザ光照射を複数回繰り返し行うことも好ましい。
図1は、多結晶シリコンに、紫外光レーザ(波長355nm)を照射した場合と可視光レーザ(波長532nm)を照射した場合の吸収状態を表す図である。図中の、Grain boundaryは結晶粒界、a-Siは非晶質シリコン、c-Siは結晶シリコン、poly-Siは多結晶シリコンを表す。図2は、多結晶シリコン、非晶質シリコン及び結晶シリコンの、レーザ光の吸収率の波長依存性を表すグラフである。図2からわかるように、非晶質シリコン(a-Si)は紫外光及び可視光で高い吸収特性を有するのに対し、結晶シリコン(c-Si)は紫外光では高い吸収特性を有するものの、可視光はほとんど吸収しない。
図1の上図は、紫外光レーザ(355nm)を多結晶シリコンに照射した際の概念図である。既に結晶成長した部分は結晶シリコン(c-Si)の特性、結晶粒界部分は非晶質シリコン(a-Si)の特性を有するが、紫外光は図2に示されるとおり結晶シリコン(c-Si)及び非晶質シリコン(a-Si)の両方に吸収されるため、全体にレーザ光エネルギーが吸収されて結晶成長は促進されるが、発熱量が大きい。
図1の下図は、可視光レーザ(532nm)を多結晶シリコンに照射した際の概念図である。可視光は、図2に示されるとおり、結晶シリコン(c-Si)部分ではほとんど吸収されないが、非晶質シリコン(a-Si)では多く吸収されるため、非晶質シリコン(a-Si)の特性を持つ結晶粒界部分のみに効率よくレーザが吸収され、発熱量も小さい。ただし、全体的な加熱量は小さいため、結晶成長には不十分である。紫外レーザ光照射による多結晶シリコン薄膜成長プロセスの低温化を図るため、可視レーザ光を紫外レーザ光の前後に照射する。可視レーザ光は、結晶粒界など非晶質Si様の一部の部位のみに選択的に吸収されるため多結晶シリコン薄膜全体の温度を上昇させることなく、結晶粒界近傍のみ加熱される。つまり、可視レーザ光照射により結晶粒界のみが活性化されるため、紫外レーザ光照射による結晶の横方向への成長が促進される。
1.結晶粒界の移動速度は、exp(-Q/kT)に比例する。ここで、Q、k、及びTは、粒界の活性化エネルギー、ボルツマン定数、温度である。可視光レーザを照射することにより、Tをあげることによる結晶粒界の移動速度の向上が期待される。
2.粒界の移動量は結晶粒界の移動速度×時間となるので、粒界の移動量は加熱時間の延長により増加する。
<実験条件>
・非晶質シリコン(a-Si)
基板: 石英
蒸着法: LP-CVD
膜厚: 50[nm]
・Nd:YAGレーザ
可視光: 532nm(第2高調波、2ω)
紫外光: 355nm(第3高調波、3ω)
繰返周期: 11[Hz]
パルス持続時間: 5[nsec] (半値全幅)
・照射条件
基板加熱温度: 室温
雰囲気: 空気中
エネルギー密度: 2ω 66[mJ/cm2]
3ω 133[mJ/cm2](結晶化下限)
紫外光に対する可視光の遅延時間: -15ns〜+15ns
先駆体(Precursor): 3ω、133mJ/cm2、11shot
図4及び図5に実験結果を示す。図4は、紫外光に対する可視光の遅延時間を-15ns〜+15nsで変化させた場合の、それぞれの結晶成長状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果である。なお、「Precursor」は紫外光のみを照射した場合の結果である。この図からわかるように、紫外光のみの照射(Precursor)や紫外光・可視光同時照射(±0ns)に比べて、紫外光と可視光の照射タイミングを異ならせた(-15ns、-10ns、-5ns、+5ns、+10ns、+15ns)の方が結晶粒径が大きく、結晶成長が促進されていることがわかる。
図5に、紫外光及び可視光レーザ照射後の多結晶シリコンのラマン分光解析結果及び溶解時間のグラフを示す。単結晶シリコンのラマンピークシフト位置である521cm−1とそれぞれのラマンピークシフトの差(Dw)は内部応力に比例する(F=-kDw)。また、ラマンピーク半値全幅は結晶欠陥に関係する。ちなみに、単結晶シリコン(=結晶欠陥はほぼゼロ)を測定した場合のラマンピーク半値全幅は4.2 cm−1だった。結晶欠陥が多くなるとラマンピーク半値全幅は大きくなる。
図5(a)のラマンピークシフト、並びに図5(b)のラマンピーク半値全幅の結果より、多結晶シリコンの内部応力や結晶欠陥は2ω遅延照射(Delayが+)のほうが小さく、より単結晶Siに近くなる(結晶性が向上している)ことがわかる。
図5(c)にレーザ照射後の溶融時間を示す。照射されたレーザのエネルギー密度の大きさから考えると、溶融部位は、融点の低い粒界近傍である。溶融時間は、2ω遅延照射のほうが逆の場合よりも、長くなることがわかる。この結果は、図5(a)及び図5(b)に示したラマンの結果と一致する。
溶融時間の延長は、2ω遅延照射により粒界近傍の温度上昇が生じ、それに伴い、粒界近傍の粒界近傍の加熱時間が延長されたと考えられる。結晶性の向上は、(1)粒界近傍の温度上昇による結晶成長速度の加速、更に(2)粒界近傍の加熱時間の延長による結晶成長の進行、によるものであると考えられる。
Claims (4)
- 多結晶シリコンにレーザ光を照射してシリコン結晶を成長させるシリコン結晶成長方法であって、前記レーザ光は、紫外領域の波長を有する第1パルスレーザ光と、可視領域の波長を有する第2パルスレーザ光とからなり、前記第2パルスレーザ光は、第1パルスレーザ光照射の前後に当該第1パルスレーザ光照射とは異なるタイミングで照射されて、結晶粒界のみを選択的に加熱することを特徴とするシリコン結晶成長方法。
- 前記多結晶シリコンは、非晶質シリコンに紫外光レーザを照射して生成されたものである、請求項1記載のシリコン結晶成長方法。
- 前記第1パルスレーザ光及び前記第2パルスレーザ光間の照射タイミングの間隔は、前記第1パルスレーザ光または前記第2パルスレーザ光の半値全幅におけるパルス幅以上の間隔をおいて照射することを特徴とする請求項1又は2いずれか記載のシリコン結晶成長方法。
- 前記レーザ光の照射を複数回繰り返し行う請求項1乃至3のいずれか記載のシリコン結晶成長方法。
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