従来、デジタル放送の分野では、大容量伝送への要求が高まるにつれてマルチキャリア伝送方式が注目されている。マルチキャリア伝送方式は、高速の信号を複数の低速の信号に分割し、直交性を利用することにより周波数軸上にて信号のオーバーラップを許容し、複数のサブチャネルにてデータを伝送するものである。このマルチキャリア伝送方式には、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、FBMC(Filter Bank based Multicarrier)がある。
OFDM(直交波周波数分割多重方式)では、サブチャネルの信号を多重するためにIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:高速逆フーリエ変換)を用いており、分離するためにFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を用いている。また、サブチャネルの信号を等化するためにCP(Cyclic Prefix:サイクリックプレフィックス、GI(Guard Interval:ガードインターバル)ともいう。)を用いており、等化は1タップの周波数領域において行われるから、マルチパス妨害に対して非常にロバストである。すなわち、CP期間以下の遅延波であれば、シンボル間干渉は発生しないため、各サブチャネルの信号はフラットフェージングの状態になったものとみなすことができ、複素係数を乗算してレベル及び位相を補正することにより、等化(1タップの周波数領域等化)を行うことが可能となる。
一方、FBMC(フィルターバンクを用いたマルチキャリア方式)にはOFDMでは得られないメリットがある。FBMCの第1のメリットは、サブチャネルの信号を多重及び分離するためにフィルターバンク(FB)を用いており、各サブチャネルの阻止域での減衰量を任意に設定したフィルターを設計することができる点にある。OFDMでは、阻止域の減衰量は13dBであり、任意に設計することができない。このため、FBMCでは、他の信号との間に必要なガードバンドを狭い範囲で生成することができ、周波数利用効率を良くすることができる。フィルターバンクとしてCMFB(Cosine-Modulated Filter Bank:コサイン変調フィルターバンク)を用いる場合、プロトタイプフィルターを設計すればよく、各サブチャネルのフィルターを個別に設計する必要がない(非特許文献1を参照)。
また、FBMCでは、等化のために、例えば、復調側でオーバーサンプルした分析フィルターバンクの出力信号(変調側に備えた合成フィルターバンクへの入力信号に対して2倍のサンプル数で処理を行う分析フィルターバンクの出力信号)に対し、サブチャネル毎に等化を行う等化器を用いている(非特許文献2を参照)。FBMCの第2のメリットは、等化のためにCPを必要としないため、周波数利用効率を良くすることができる点にある。
変調側に比べ2倍のサンプル数の信号に対しサブチャネル毎に等化を行う等化器の例として、FIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)形式の等化器がある。このFIR形式の等化器を用いて、平均二乗誤差の観点から等化係数を求める手法が開示されている(非特許文献3を参照)。しかし、この手法では、特にタップ数が大きくなるにつれて、実装コストが高くなるという問題があった。
また、各サブチャネルのうちの複数ポイントについて伝送路の周波数特性を求め、複数ポイントの周波数特性から各サブチャネルの等化係数を求める手法が開示されている(特許文献1、非特許文献4を参照)。この手法は、各サブチャネルについて複素3タップの等化係数を求める場合に、各サブチャネルの中心周波数に対する1ポイントと、隣接するサブチャネルとの境界にあたる中間地点の周波数に対する2ポイントとの合計3ポイントの周波数特性を用いて、等化係数を求めるものである。この手法によれば、等化係数を求める処理の複雑度を低減させながら、劣化の少ない等化を実現することができる。
しかし、この手法では、各サブチャネルの等化係数を求めるために、3ポイントの周波数特性が必要であるから、等化器は、フィルターバンクの周波数分解能よりも高い分解能で処理を行うことになる。このため、等化を行う手段とは別に周波数特性を求める手段が必要になり、全体として構成が複雑になるという問題があった。例えば、時間領域にて伝送路の伝達関数を求め、周波数特性を求める手法が開示されているが(非特許文献5を参照)、全体として構成が複雑になり実効コストが高くなるという問題があった。
一方、前述の非特許文献4を基本にして改良を加えた手法も開示されている(非特許文献6を参照)。この手法は、周波数特性を求める処理を簡略化するため、各サブチャネルに対して1タップの複素数乗算を行う等化器の等化係数を、既知のプリアンブルを用いてMSE(Mean Squared Error:平均自乗誤差)基準により求め、これをサブチャネルにおける中心周波数の等化器の周波数特性とする。そして、隣接サブチャネルの境界にあたる中間地点の等化器の周波数特性については、隣接サブチャネルの中心周波数における等化器の周波数特性を用いて内挿により求めるものである。
(従来の等化手法の例)
以下、従来技術における等化手法の例について、等価低域系モデルを用いて具体的に説明する。前述の非特許文献4と同様に、合成用のCMFB及びSMFB(Sine-Modulated Filter Bank:サイン変調フィルターバンク)を備えたマルチキャリア変調装置、及び分析用のCMFB及びSMFBを備えたマルチキャリア復調装置によるシステム構成において、図1に示すように、FBMCによりマルチキャリア伝送を行うものとする。図1に示す構成の詳細については後述する。サブチャネル毎の等化器は、複素3タップの等化係数を用いるものとする。また、FBのサイズMを128とし、プロトタイプフィルターについては、タップ長Lh=512、阻止域端周波数fS=1.5/Mとして、前述の非特許文献1に記載のアルゴリズムを用いて設計することとする。
(従来のマルチキャリア変調装置)
ガードバンドを確保するため、この等化手法では、PAM信号xk[m],x2M-1-k[m](mはシンボル番号を示し、kは対応するサブチャネルの位置をDCに近い方から数えた番号を示す。0≦k≦(M−1)=127である。) のうち、77<k<M=128についてはガードバンドとし、xk[m]=0,x2M-1-k[m]=0とする。サブチャネル番号は、0〜255であり、0〜127をkで表し、128〜255を2M−1−kで表す。
このようなPAM信号は、CMFB及びSMFBにて処理され直交変調されることにより、マルチキャリアの信号として、マルチキャリア変調装置から伝送路を介してマルチキャリア復調装置へ送信される。
ここで、伝送路のインパルス応答を[1 0 0 0 0 0 0 0.3*exp(jφ)]の(つまり遅延7サンプル、レベル0.3倍の遅延波のある)2波モデルとし、各サブチャネルの等化係数をMMSE(Minimum Mean Square Errors)規範に基づいて推定する手法(以下、mmse−ASCETという。)と、各サブチャネルにおける複数ポイント(ここでは3ポイント)の周波数特性から、各サブチャネルの等化係数を求める手法(以下、pointwise−ASCETという。)との間で比較を行う。具体的には、プリアンブル長を10,20,30シンボルと変化させ、それぞれの等化手法を用いた場合のC/N対BER特性をシミュレーションにより求める。尚、プリアンブルを含む1000シンボルを周期とするフレームがマルチキャリアの信号として送信されるものとし、反射波の位相φについては、0から20度ずつ変化させ、BER特性の悪いものを選択することとする。
図15は、従来技術を用いた場合のシミュレーション結果(1)を示すグラフである。このシミュレーション結果(1)は、入力データが16−PAMの信号であり、2波モデルの場合を示している。図中、「ptws−30」は、プリアンブル長を30シンボルとし、pointwise−ASCETにより等化係数を求めたときのC/N対BER特性を表しており、「mmse−30」は、プリアンブル長を30シンボルとし、mmse−ASCETにより等化係数を求めたときのC/N対BER特性を表している。「ptws−20」「ptws−10」は、プリアンブル長をそれぞれ20,10シンボルとし、pointwise−ASCETにより等化係数を求めたときのC/N対BER特性を表しており、「mmse−20」「mmse−10」は、プリアンブル長をそれぞれ20,10シンボルとし、mmse−ASCETにより等化係数を求めたときのC/N対BER特性を表している。
図15のシミュレーション結果(1)によれば、「mmse−30」の特性が「ptws−20」に近いから、mmse−ASCETにより30シンボルのプリアンブルを用いた場合の特性が、pointwise−ASCETにより20シンボルのプリアンブルを用いて得られることがわかる。また、「mmse−20」の特性が「ptws−10」に近いから、mmse−ASCETにより20シンボルのプリアンブルを用いた場合の特性が、pointwise−ASCETにより10シンボルのプリアンブルを用いて得られることがわかる。また、「ptws−10」「mmse−10」の特性から、10シンボルのプリアンブルを用いた場合であっても、pointwise−ASCETの方がmmse−ASCETよりも劣化が少ないことがわかる。したがって、pointwise−ASCETによる等化手法(各サブチャネルにおける複数ポイントの周波数特性から等化係数を求める手法)の方がmmse−ASCETよりも、少ないプリアンブルにより良好な特性を得ることができるから、有効であるといえる。
(従来のマルチキャリア復調装置)
一方、マルチキャリア復調装置としては、ダイレクトコンバージョン方式の受信回路を用いたものが多くの無線システムにて実用化されている。ダイレクトコンバージョン方式では、ヘテロダイン方式にて必要な中間周波数帯のBPF(SAWフィルター等)が不要であり、全半導体集積化に適した構成とすることができる。しかし、受信周波数と局部発振周波数が同じであるため、漏洩した局部発振波が自己検波によってDCオフセットとなってしまう。このため、DCオフセットが大きな課題になっている。そこで、広帯域な信号のシステムでは、HPF(High Pass Filter:高域通過RCフィルター)を用いてDCオフセットを除去する簡易な手法が用いられている。この手法は、W−CDMA用受信機等で実用化されている。例えば、遮断周波数がベースバンドIQ信号帯域の1%程度のHPF(AC結合なので1次RCフィルターの特性を有するフィルター)を用いている(非特許文献7を参照)。
(k=0(0番目及び255番目)のサブチャネル)
前述の従来技術における等化手法の例に挙げたシステムには、k=0(0番目及び255番目)のサブチャネルは使用しないこととし、前述のダイレクトコンバージョン方式の受信回路を適用して構成した場合を想定する。
図14は、従来技術において、k=0(0番目及び255番目)のサブチャネルは使用しない場合におけるフレーム内のデータ配置を示す図である。図14に示すように、マルチキャリア変調装置において構成されるフレームは、プリアンブル及びデータシンボルからなる。縦軸は時間(シンボル)の方向を示し、横軸は周波数(サブチャネル)の方向を示している。尚、横軸はk=0〜127であり、左から右へ向けて、0番目から127番目のサブチャネルのデータが配置されており、右から左へ向けて、128番目から255番目のサブチャネルのデータが配置されている。プリアンブル及びデータシンボルにおいて、最もDC寄りのサブチャネル(k=0(0番目及び255番目)のサブチャネル)のデータは0である(x0[m]=0,x255[m]=0)。ガードバンドは、k=78〜127,128〜177のサブチャネルに配置されている。
図16は、k=0(0番目及び255番目)のサブチャネルを使用しない従来技術におけるシミュレーション結果(2)を示すグラフである。このシミュレーション結果(2)は、入力データが16−PAMの信号であり、2波モデルの場合を示している。(a)は、マルチキャリア復調装置に備えたHPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の0.5倍の場合、(b)は、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の1倍の場合をそれぞれ示している。図中、「ptws−30」「mmse−30」「ptws−20」「mmse−20」「ptws−10」「mmse−10」は、図15と同様の等化手法及びプリアンブル長を示している。
図16のシミュレーション結果(2)によれば、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の0.5倍の場合(a)も1倍の場合(b)も、pointwise−ASCETによる等化手法の方がmmse−ASCETによる等化手法よりも、BER特性が大きく劣化していることがわかる。これは、pointwise−ASCETによる等化手法では、DCオフセットを除去するHPFが影響して、DC寄りの領域において内挿(k=0のサブチャネルとk=1のサブチャネルとの間の中間地点の周波数特性については外挿、またはk=1のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性で代用)による周波数特性の推定が正しく行われないため、等化係数の誤差が大きくなり、DC寄りのサブチャネルのBER特性が劣化するからである。
図17は、図16(a)の「ptws−30」において、C/N=45dBのときのシミュレーション結果(3)を示すグラフである。このシミュレーション結果(3)は、入力データが16−PAMの信号、2波モデル、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の0.5倍の場合において、「ptws−30」のC/N=45dBにおけるサブチャネル毎の誤り率を示している。横軸はサブチャネル番号に対応したk、縦軸はxk[m],x2M-1-k[m]の平均シンボル誤り率である。図17のシミュレーション結果(3)によれば、kの小さいDC付近のサブチャネルの領域(0番目及び255番目付近のサブチャネルの領域)で、シンボル誤り率が大きくなっていることがわかる。
図18は、k=0,1(0番目、1番目、254番目及び255番目)のサブチャネルは使用しない従来技術におけるシミュレーション結果(4)を示すグラフである。このシミュレーション結果(4)は、入力データが16−PAMの信号、2波モデル、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の2倍の場合を示している。図中、「ptws−30」「mmse−30」「ptws−20」「mmse−20」「ptws−10」「mmse−10」は、図15及び図16と同様の等化手法及びプリアンブル長を示している。
図18のシミュレーション結果(4)によれば、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の2倍の場合には、k=0に加えてk=1(0番目及び255番目に加えて1番目及び254番目)のサブチャネルを使用しなくても、BER=10−4において図15に示した特性と比較すると、BER特性が劣化していることがわかる。
本発明は、プリアンブル及びデータシンボルによりフレームを構成し、フレームを構成するサブチャネル毎のデータをFBにより多重し、直交変調してマルチキャリアの信号として送信するマルチキャリア変調装置と、マルチキャリア変調装置からマルチキャリアの信号を受信して直交復調し、フレームを構成するサブチャネル毎のデータに、FBにより分離し、プリアンブルデータを用いて伝送路の周波数特性を求め、周波数特性から等化係数を求めるマルチキャリア復調装置とを備えたシステムを前提にしている。マルチキャリア変調装置は、データシンボルにより実データが伝送されるサブチャネルに加え、それよりも外側のサブチャネルにもプリアンブルデータを配置する。マルチキャリア復調装置は、実データが伝送されるサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性については、そのサブチャネルのプリアンブルデータを用いて算出し、実データが伝送されるサブチャネルよりも外側のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性についても、そのサブチャネルのプリアンブルデータを用いて算出する。実データが伝送されるサブチャネル間の中間地点における周波数特性については、隣接する2つのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を用いて線形補間等の内挿により算出する。HPF等が影響して周波数特性が変化する領域のサブチャネルの中間地点における周波数特性については、隣接する2つのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を用いて内挿により算出した値と、外挿により算出した値とを用いて、所定の重み付き平均を算出する。
ここで、プリアンブルデータは、データシンボルにより実データが伝送されるサブチャネルに加え、それよりも外側のサブチャネルにも与えられるため、実データが伝送されるサブチャネル及びその外側のサブチャネルにおける全ての中間地点における周波数特性は、内挿により算出することができる。これにより、HPF等が影響して周波数特性が変化する領域のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性は、隣接する2つのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を用いた内挿による値及び外挿による値に基づいて算出することができるから、精度の高い値となる。したがって、等化係数の誤差を軽減することができ、BER特性の劣化を緩和することができる。つまり、DCオフセットを除去するHPF等をそのまま用いながら、本発明による少ない演算量の簡易な処理を追加するのみで、BER特性の劣化を改善することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔システム〕
まず、本発明の実施形態によるマルチキャリア変調装置及びマルチキャリア復調装置を含む全体システムについて説明する。図1は、全体システムの構成を等価低域系モデルにより示したブロック図である。このシステムは、パスバンド伝送を実現するマルチキャリア変調装置1及びマルチキャリア復調装置2により構成される。マルチキャリア変調装置1は、ビット列をフレーム化してプリアンブル及びデータシンボルからなるフレームを構成し、FBによりサブチャネル毎の信号を多重して直交変調し、マルチキャリアの信号を、伝送路3を介してマルチキャリア復調装置2へ送信する。マルチキャリア復調装置2は、マルチキャリア変調装置1から送信されたマルチキャリアの信号を、伝送路3を介して受信し、直交変調してFBによりサブチャネル毎の信号に分離し、等化を行ってデフレーム化し、元のビット列に復元する。
尚、図1は、等価低域系モデルにより示しているため、マルチキャリア変調装置1においてパスバンドの信号に変換する処理、マルチキャリア復調装置2においてパスバンドの信号をベースバンドIQ信号に変換する処理、周波数同期処理及びクロック同期処理等は省略してある。マルチキャリア復調装置2において、同期は確立されているものとする。また、マルチキャリア変調装置1及びマルチキャリア復調装置2において、CMFB及びSMFBのサイズをMとし、M=128とする。kは、対応するサブチャネルの位置をDCに近い方から数えた番号(サブチャネル番号に対応した番号)を示し、mは、シンボル番号を示す。
〔マルチキャリア変調装置〕
次に、図1に示したマルチキャリア変調装置1の構成について詳細に説明する。このマルチキャリア変調装置1は、フレーム化部10、減算器20−1、加算器20−2、乗算器30−1,30−2、合成CMFB40−1、合成SMFB40−2及び直交変調器50を備えている。
フレーム化部10は、ビット列を入力し、シリアル信号のビット列を、1フレームのデータシンボルに収容されるデータ毎にパラレル信号に変換し、プリアンブル及びデータシンボルを生成してフレームを構成する。そして、フレーム化部10は、2M個のPAM信号の両端から(k+1)番目(0≦k<M)のデータであるPAM信号xk[m],x2M-1-k[m]を組にして、減算器20−1及び加算器20−2に出力する。ここで、フレーム化部10は、プリアンブルを生成する際に、データシンボルにより実データが伝送されるサブチャネルにプリアンブルデータを配置し、それ以外のサブチャネルにもプリアンブルデータを配置する。フレーム化部10の詳細については後述する。以下、フレーム長を1000シンボルとする。
減算器20−1は、フレーム化部10からPAM信号xk[m],x2M-1-k[m]を入力し、PAM信号xk[m]からPAM信号x2M-1-k[m]を減算し、減算結果を乗算器30−1に出力する。乗算器30−1は、減算器20−1から減算結果を入力し、減算結果に1/2を乗算し、差分の乗算結果((xk[m]−x2M-1-k[m])/2)を合成CMFB40−1に出力する。
加算器20−2は、フレーム化部10からPAM信号xk[m],x2M-1-k[m]を入力し、PAM信号xk[m]及びPAM信号x2M-1-k[m]を加算し、加算結果を乗算器30−2に出力する。乗算器30−2は、加算器20−2から加算結果を入力し、加算結果に1/2を乗算し、和の乗算結果((xk[m]+x2M-1-k[m])/2)を合成SMFB40−2に出力する。
合成CMFB40−1は、乗算器30−1から差分の乗算結果((xk[m]−x2M-1-k[m])/2)を入力し、段階的なフィルター処理を施し、入力したサブチャネル毎の信号を合成して多重する。合成CMFB40−1により多重された信号は、直交変調器50に出力される。合成SMFB40−2は、乗算器30−2から和の乗算結果((xk[m]+x2M-1-k[m])/2)を入力し、段階的なフィルター処理を施し、入力したサブチャネル毎の信号を合成して多重する。合成SMFB40−2により多重された信号は、直交変調器50に出力される。
直交変調器50は、合成CMFB40−1及び合成SMFB40−2からFBを通過した信号をそれぞれ入力し、入力した信号を直交変調し、直交変調後のマルチキャリアの信号を、伝送路3を介してマルチキャリア復調装置2へ送信する。直交変調器50は、直交変調の処理を等価低域系の複素数で表現すると、乗算器51及び加算器52を備えている。乗算器51は、合成SMFB40−2からの信号にj(=√−1)を乗算し、加算器52は、乗算器51からの乗算結果の信号と、合成CMFB40−1からの信号とを加算する。加算器52による加算結果の信号は、マルチキャリアの信号として送信される。
(フレーム化部の構成)
次に、図1に示したマルチキャリア変調装置1のフレーム化部10について詳細に説明する。図2は、フレーム化部10の構成を示すブロック図である。このフレーム化部10は、プリアンブル生成部11、データシンボル生成部12及びフレーム構成部13を備えている。前述のとおり、フレーム化部10は、ビット列を入力し、シリアル信号のビット列を1フレーム毎のパラレル信号に変換し、プリアンブル及びデータシンボルからなるフレームを構成し、PAM信号xk[m],x2M-1-k[m]を組にして出力する。
フレーム化部10のプリアンブル生成部11は、予め設定されたサブチャネル番号及びシンボル番号の位置に、データシンボルにより実データが伝送されるサブチャネルに加え、それよりも外側のサブチャネルにもプリアンブルデータを与えるように、マルチキャリア復調装置2においてサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を算出するための有効データであるプリアンブルデータを配置し、それ以外の位置に無効データである“0”を配置してガードバンドを生成し、1フレーム毎にプリアンブルを生成する。プリアンブルデータは、予め設定されたデータが用いられる。そして、プリアンブル生成部11は、生成したプリアンブルをフレーム構成部13に出力する。
図4は、フレーム化部10により構成されるフレーム内のデータ配置を説明する図であり、従来技術におけるフレーム内のデータ配置を示す図14に対応している。プリアンブル生成部11は、図4に示すように、プリアンブルデータを配置し、プリアンブルを生成する。具体的には、プリアンブル生成部11は、データシンボルの領域に実データが配置されるk=1〜77(1番目から77番目及び178番目から254番目)のサブチャネルに、プリアンブルデータを配置し、さらに、実データが配置されるサブチャネルよりも外側のk=0(0番目及び255番目)のサブチャネル、すなわち、最もDC寄りのサブチャネルにもプリアンブルデータを配置する。また、プリアンブル生成部11は、k=78〜127(78番目から177番目)のサブチャネルに“0”を配置し、ガードバンドを生成する。
尚、プリアンブル生成部11は、実データが配置されるサブチャネルに加え、k=0(0番目及び255番目)のサブチャネルである最もDC寄りのサブチャネルにもプリアンブルデータを配置するようにしたが、これは、マルチキャリア復調装置2に備えたHPFを想定しているからである。本発明では、必ずしもDC寄りのサブチャネルにプリアンブルデータを配置する必要はなく、周波数特性が変化する原因となるフィルター等に応じて、必要な位置のサブチャネルにプリアンブルデータを配置すればよい。例えば、マルチキャリア復調装置2がLPF(Low Pass Filter)を備えている場合、プリアンブル生成部11は、実データが配置されるサブチャネルに加え、k=78,127(78番目、127番目、128番目及び177番目)のサブチャネルにもプリアンブルデータを配置するようにしてもよい。
図2に戻って、データシンボル生成部12は、ビット列を入力し、ビット列のシリアル信号をパラレル信号に変換し、例えば、8−PAM信号にグレイ(Gray)符号化し、予め設定されたサブチャネル番号及びシンボル番号の位置にグレイ符号列及び“0”を配置し、ガードバンドを生成し、1フレーム毎にデータシンボルを生成する。そして、データシンボル生成部12は、生成したデータシンボルをフレーム構成部13に出力する。
図4を参照して、データシンボル生成部12は、入力したビット列をグレイ符号化し、k=1〜77(1番目から77番目及び178番目から254番目)のサブチャネルにグレイ符号列を実データとして配置し、k=0(0番目及び255番目)のサブチャネルに“0”を配置する。また、データシンボル生成部12は、k=78〜127(78番目から177番目)のサブチャネルに“0”を配置し、ガードバンドを生成する。ここで、各シンボルに対する制限として、k=0(0番目及び255番目)のサブチャネルでは、DCオフセットを除去するために用いられるHPFの影響があるため、実データの伝送は行わない。すなわち、データシンボルについては、PAM信号x0[m],x255[m]=0とする。また、ガードバンドを確保するため、kが大きい部分でPAM信号xk[m],x2M-1-k[m]=0(77<k<128)とする。ここでの計算例では、サブチャネル間隔を0.75MHzとし、変調波の帯域が120MHzに収まるようにするため、77<k<128の範囲でPAM信号xk[m],x2M-1-k[m]=0としている。
図2に戻って、フレーム構成部13は、プリアンブル生成部11からプリアンブルを入力し、データシンボル生成部12からデータシンボルを入力し、図4に示すように、プリアンブル及びデータシンボルからなるフレームを構成する。そして、フレーム化部10は、2M個のPAM信号の両端から(k+1)番目(0≦k<M)のデータに相当するPAM信号xk[m],x2M-1-k[m]を組にして、減算器20−1及び加算器20−2に出力する。
(フレーム化部の処理)
次に、図1及び図2に示したフレーム化部10の処理について詳細に説明する。図5は、フレーム化部10の処理を示すフロー図である。フレーム化部10のデータシンボル生成部12は、ビット列を入力してシリアル/パラレル変換し、8−PAM信号にグレイ符号化し、グレイ符号列を生成する(ステップS501)。ここで、シリアル信号のビット列は、1フレームのデータシンボルに収容されるデータの数である(1000−10)×2×(128−51)×3ビット毎にパラレル信号に変換される。
データシンボル生成部12は、グレイ符号列の所定位置に“0”を挿入し、256個単位のデータシンボルを生成する(ステップS502)。具体的には、データシンボル生成部12は、k=1〜77(1番目から77番目及び178番目から254番目)のサブチャネルにグレイ符号列である実データを配置し、k=0(0番目及び255番目)のサブチャネルである最もDC寄りのサブチャネルに“0”を配置し(ステップS503)、k=78〜127(78番目から177番目)のサブチャネルに“0”を配置してガードバンドを生成する(ステップS504)。このようにして、データシンボル生成部12により、1フレームを構成する1000シンボルのうち990シンボル長のデータシンボルが生成される。
一方、プリアンブル生成部11は、データシンボルの領域に実データが配置されるk=1〜77(第1番目から77番目及び178番目から254番目)のサブチャネルに、プリアンブルデータを配置し、実データが配置されるサブチャネルよりも外側のk=0(0番目及び255番目)のサブチャネル、すなわち、最もDC寄りのサブチャネルにも、プリアンブルデータを配置する(ステップS505)。また、プリアンブル生成部11は、k=78〜127(78番目から177番目)のサブチャネルに“0”を配置し、ガードバンドを生成する(ステップS506)。このようにして、プリアンブル生成部11により、1フレームを構成する1000シンボルのうち10シンボル長のプリアンブルが生成される。ここで生成したプリアンブルは毎フレーム同じものを使用する。
フレーム構成部13は、データシンボル生成部12により生成されたデータシンボルの前に、プリアンブル生成部11により生成されたプリアンブルを挿入し、フレームを構成する(ステップS507)。このようにして、フレーム構成部13により、1000シンボル長のフレームが構成される。
以上のように、本発明の実施形態によるマルチキャリア変調装置1によれば、フレーム化部10のプリアンブル生成部11が、データシンボルにより実データが伝送されるサブチャネルに加え、それよりもDC寄りのサブチャネルにもプリアンブルデータを配置し、フレーム構成部13が、所定のサブチャネルに実データが配置されたデータシンボルと、プリアンブルデータが配置されたプリアンブルとによりフレームを構成するようにした。このように構成されたフレームは、サブチャネル毎にFBにて多重され直交変調され、マルチキャリアの信号としてマルチキャリア復調装置2へ送信される。これにより、マルチキャリア復調装置は、マルチキャリア変調装置1から送信されたマルチキャリアの信号を受信し、データシンボルにより実データが伝送される所定のサブチャネルのプリアンブルデータに加え、それよりもDC寄りのサブチャネルにも配置されたプリアンブルデータも用いることにより、HPF等が影響して周波数特性が変化する部分について、精度の高い周波数特性を算出することができる。マルチキャリア復調装置2の処理の詳細については後述する。したがって、等化係数の誤差を軽減することができ、BER特性の劣化を緩和することができる。
〔マルチキャリア復調装置〕
次に、図1に示したマルチキャリア復調装置2の構成について詳細に説明する。このマルチキャリア復調装置2は、直交復調器60、分析CMFB70−1,70−3、分析SMFB70−2,70−4、減算器80−1,80−4、加算器80−2、加算反転器80−3、等化器90−1,90−2、実部抽出部100−1,100−2及びデフレーム化部110を備えている。
マルチキャリア復調装置2は、マルチキャリア変調装置1により送信されたマルチキャリアの信号を、伝送路3を介して受信する。そして、直交復調器60は、受信したマルチキャリアの信号を入力し、ベースバンドIQ信号に変換する。直交復調の処理を等価低域系の複素数で表現すると、直交復調器60は、実部抽出部61(Re{・})及び虚部抽出部62(Im{・})を備えている。直交復調器60は、入力した信号を直交復調し、実部抽出部61において、入力した信号を実部判定して実部の信号を抽出し、虚部抽出部62において、入力した信号を虚部判定して虚部の信号を抽出する。すなわち、伝送路3を通過した信号を、等価低域系モデルにおいて実部の信号及び虚部の信号に分ける。
直交復調器60の出力である実部の信号及び虚部の信号は、図示しないHPFにより、DCオフセットが除去される。ここで、HPFは、例えば、抵抗及びコンデンサからなる1次RCフィルターを想定したIIR(Infinite Impulse Response:無限インパルス応答)フィルターである。そして、実部の信号は、分析CMFB70−1及び分析SMFB70−2に入力され、虚部の信号は、分析CMFB70−3及び分析SMFB70−4に入力される。
分析CMFB70−1は、直交復調器60から実部の信号を入力し、プロトタイプフィルターとコサイン変調行列から得られるフィルターバンクを用いて段階的なフィルター処理を施し、入力した信号を分析してサブチャネル毎の信号に分離する。分析CMFB70−1により分離された信号は、減算器80−1,80−4に出力される。分析SMFB70−2は、直交復調器60から実部の信号を入力し、プロトタイプフィルターとサイン変調行列から得られるフィルターバンクを用いて段階的なフィルター処理を施し、入力した信号を分析してサブチャネル毎の信号に分離する。分析SMFB70−2により分離された信号は、加算器80−2及び加算反転器80−3に出力される。
分析CMFB70−3は、直交復調器60から虚部の信号を入力し、プロトタイプフィルターとコサイン変調行列から得られるフィルターバンクを用いて段階的なフィルター処理を施し、入力した信号を分析してサブチャネル毎の信号に分離する。分析CMFB70−3により分離された信号は、加算器80−2及び加算反転器80−3に出力される。分析SMFB70−4は、直交復調器60から虚部の信号を入力し、プロトタイプフィルターとサイン変調行列から得られるフィルターバンクを用いて段階的なフィルター処理を施し、入力した信号を分析してサブチャネル毎の信号に分離する。分析SMFB70−4により分離された信号は、減算器80−1,80−4に出力される。
減算器80−1は、サブチャネル毎に、分析CMFB70−1により分析CMFB処理された実部の信号から、分析SMFB70−4により分析SMFB処理された虚部の信号を減算し、減算結果I1を等化器90−1に出力する。加算器80−2は、サブチャネル毎に、分析SMFB70−2により分析SMFB処理された実部の信号、及び分析CMFB70−3により分析CMFB処理された虚部の信号を加算し、加算結果Q1を等化器90−1に出力する。加算反転器80−3は、サブチャネル毎に、分析SMFB70−2により分析SMFB処理された実部の信号、及び分析CMFB70−3により分析CMFB処理された虚部の信号を加算して反転し、反転結果Q2を等化器90−2に出力する。減算器80−4は、サブチャネル毎に、分析SMFB70−4により分析SMFB処理された虚部の信号から、分析CMFB70−1により分析CMFB処理された実部の信号を減算し、減算結果I2を等化器90−2に出力する。
等化器90−1は、減算器80−1から信号I1を、加算器80−2から信号Q1をそれぞれ入力し、信号I1,Q1を組の信号(I1,Q1)として扱い、プリアンブルデータを用いて、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性及び隣接するサブチャネルの中間地点における周波数特性を算出し、これらの周波数特性に基づいてサブチャネルの等化係数を算出し、等化係数を用いて実データの信号(I1,Q1)を等化し、等化信号を実部抽出部100−1に出力する。等化器90−2は、減算器80−4から信号I2を、加算反転器80−3から信号Q2をそれぞれ入力し、信号I2,Q2を組の信号(I2,Q2)として扱い、プリアンブルデータを用いて、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性及び隣接するサブチャネルの中間地点における周波数特性を算出し、サブチャネルの等化係数を算出し、等化係数を用いて実データの信号(I2,Q2)を等化し、等化信号を実部抽出部100−2に出力する。等化器90−1,90−2の詳細については後述する。
実部抽出部100−1は、等化器90−1から等化信号を入力し、等化信号を実部判定して実部の信号を抽出し、抽出した実部の信号を元のPAM信号xk[m]に相当する受信信号としてデフレーム化部110に出力する。実部抽出部100−2は、等化器90−2から等化信号を入力し、等化信号を実部判定して実部の信号を抽出し、抽出した実部の信号を元のPAM信号x2M-1-k[m]に相当する受信信号としてデフレーム化部110に出力する。
デフレーム化部110は、実部抽出部100−1から受信信号xk[m]を、実部抽出部100−2から受信信号x2M-1-k[m]をそれぞれ入力し、2M個のサブチャネルの信号を1シンボルとしたフレームをデフレーム化し、プリアンブルとデータシンボルとに分けてデータシンボルから実データを抽出し、実データのグレイ符号列を復号し、復号した1フレーム毎のパラレル信号をシリアル信号に変換し、シリアル信号のビット列を出力する。
(等化器の構成)
次に、図1に示したマルチキャリア変調装置2の等化器90−1,90−2について詳細に説明する。図3は、等化器90−1の構成を示すブロック図である。この等化器90−1は、周波数特性算出部91、等化係数算出部92及び等化処理部93を備えている。前述のとおり、等化器90−1は、入力した信号I1,Q1を組の信号(I1,Q1)として扱い、プリアンブルデータを用いて、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性及び隣接するサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出し、サブチャネルの等化係数を算出し、組の信号(I1,Q1)を等化する。等化器90−2の構成は、等化器90−1の構成と同様である。
等化器90−1の周波数特性算出部91は、減算器80−1から信号I1を、加算器80−2から信号Q1をそれぞれ入力し、1タップの複素数乗算を行う等化器の等化係数を、入力したプリアンブルデータの信号(I1,Q1)と既知のプリアンブルデータを用いてMSE(Mean Squared Error:平均自乗誤差)基準により求め、その等化係数の逆数を算出し、サブチャネルにおける中心周波数の伝送路の周波数特性(伝送路周波数特性)ηk,i(i=1)を求める。図4に示したように、k=0〜77(0番目から77番目及び178番目から255番目)のサブチャネルにはプリアンブルデータが配置されているから、周波数特性算出部91は、プリアンブルデータを用いて、各サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を算出する。
そして、周波数特性算出部91は、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性に基づいて、隣接するサブチャネルにおける中間地点の周波数特性ηk,i(i=0,2)を算出する。具体的には、周波数特性算出部91は、HPF等によっても周波数特性がさほど変化しない周波数帯域について、隣接する2つのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を用いて、線形補間等の内挿により、隣接するサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する。また、周波数特性算出部91は、HPF等によって周波数特性が変化する周波数帯域について、隣接する2つのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を用いて、線形補間等の内挿により算出した値と、外挿により算出した値とに基づいて、所定の重み付きにて、隣接するサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する。尚、周波数特性算出部91の処理の詳細については後述する。
これにより、周波数特性算出部91は、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性に加え、隣接するサブチャネルにおける中間地点の周波数特性も算出するようにしたから、合成CMFB40−1、合成SMFB40−2、分析CMFB70−1,70−3、分析SMFB70−2,70−4の周波数分解能よりも高い分解能で、伝送路の周波数特性を算出することができる。
等化係数算出部92は、周波数特性算出部91から周波数特性ηk,i(i=0,1,2)、すなわち、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性ηk,i(i=1)及び隣接するサブチャネルにおける中間地点の周波数特性ηk,i(i=0,2)を入力し、これらの周波数特性ηk,i(i=0,1,2)に基づいて等化係数ekを算出し、等化処理部93に出力する。
等化処理部93は、減算器80−1から信号I1を、加算器80−2から信号Q1をそれぞれ入力し、ガードバンドを除去し、実データの信号I1,Q1を1つのサブチャネルの受信信号(I1,Q1)として扱い、等化係数算出部92から等化係数ekを入力し、受信信号(I1,Q1)及び等化係数ekに基づいてFIRにより等化信号を算出し、PAM信号xk[m]の複素データとして実部抽出部100−1に出力する。
(周波数特性と等化係数の関係)
次に、図3に示した等化器90−1における等化係数算出部92の処理について詳細に説明する。等化器90−2における等化係数算出部92の処理も同様である。
ここで、等化器90−1の等化処理部93による等化処理が、各サブチャネルについて、複素3タップの等化係数により行われるものとすると、k番目のサブチャネルにおける等化器90−1の伝達関数は以下の式で表される。
zはz変換の変数であり、c
k(−1),c
k(0),c
k(1)はそれぞれ等化係数e
k(−1),e
k(0),e
k(1)の実部データ、s
k(−1),s
k(0),s
k(1)はそれぞれ等化係数e
k(−1),e
k(0),e
k(1)の虚部データである。カッコ内の−1,0,1は、複素3タップの等化係数におけるタップ番号に対応している。
伝送路の伝達関数をH
ch(z)、伝送路の雑音のスペクトル密度をN
0とすると、kのサブチャネルの等化器の周波数特性及び隣接するサブチャネルとの中間地点における等化器の周波数特性(等化器周波数特性)χ
k,iは、MSE基準では以下の式で表される。
*は複素共役を表す。i=0,1,2であり、i=1のときのχ
k,1は、kのサブチャネルにおける中心周波数の等化器の周波数特性である。i=0のときのχ
k,0は、k−1のサブチャネルにおける中心周波数とkのサブチャネルにおける中心周波数との間における中間地点の等化器の周波数特性である。i=2のときのχ
k,2は、kのサブチャネルにおける中心周波数とk+1のサブチャネルにおける中心周波数との間における中間地点の等化器の周波数特性である。偶数番目のサブチャネルに対してω = 0、π/2、π、奇数のサブキャリアに対してω = π、3π/2、2πでのE
k(exp(jω))の値が、i=0,1,2のときのχ
k,iの値となるように、等化係数e
k(−1),e
k(0),e
k(1)を定めることとする。
kのサブチャネルにおいて、等化係数e
k(−1),e
k(0),e
k(1)と等化器の周波数特性χ
k,i(i=0,1,2)との間の関係は、偶数番目のサブチャネルの場合、以下の式で表される。
また、奇数番目のサブチャネルの場合、以下の式で表される。
ここで、伝送路の周波数特性η
k,1をkのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性、η
k,0をk−1のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性η
k-1,1とkのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性η
k,1との間における中間地点の周波数特性、η
k,2をkのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性η
k,1とk+1のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性η
k+1,1との間における中間地点の周波数特性とする。伝送路の周波数特性η
k,i(i=0,1,2)と等化器の周波数特性χ
k,i(i=0,1,2)とを、以下の式により近似する。
以上の関係から、等化係数算出部92は、kのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性及びkのサブチャネル前後における中間地点の周波数特性、すなわち伝送路の周波数特性η
k,i(i=0,1,2)を用いて、kの等化係数e
k(−1),e
k(0),e
k(1)を算出することができ、周波数特性η
k,i(i=0,1,2)は、周波数特性算出部91により算出される。以下、周波数特性算出部91が周波数特性を算出する処理について説明する。
(等化器に備えた周波数特性算出部の処理)
図3に示した等化器90−1における周波数特性算出部91の処理について詳細に説明する。図6は、周波数特性算出部91の処理を示すフロー図であり、図7は、周波数特性算出部91により算出される周波数特性を説明する図である。等化器90−2における周波数特性算出部91の処理も同様である。図6を参照して、まず、周波数特性算出部91は、サブチャネルに配置されたプリアンブルデータを用いて、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性ηk,i(i=1)を算出する(ステップS601)。具体的には、周波数特性算出部91は、プリアンブルデータに基づいて、非特許文献2に記載された、1タップの等化係数を用いる等化器により等化係数を求める手順に従って、kのサブチャネルに配置された全てのプリアンブルデータを用いて、MMSEによってkのサブチャネルにおける等化係数を求め、この値を、伝送路の伝達関数の逆数に対応する周波数特性χk,i=1/ηk,i (i=1)の近似値とする。これにより、kのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性ηk,i(i=1)が算出される。同様に、周波数特性算出部91は、隣接するk−1のサブチャネル及びk+1のサブチャネルについても、その中心周波数の周波数特性ηk-1,i,ηk+1,i(i=1)の近似値を算出する。このようにして、プリアンブルデータが配置されたサブチャネルについて(k=0〜77(0番目から77番目及び178番目から255番目)のサブチャネル、図4を参照)、図7の黒塗りの丸印に示すように、中心周波数の周波数特性が算出される。
周波数特性算出部91は、隣接するサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出するにあたり、その中間地点が、HPF等の影響を受けて周波数特性が変化する領域であるか否かを判定する(ステップS602)。具体的には、HPF等の影響を受けて周波数特性が変化する周波数領域が予め設定されており、周波数特性算出部91は、予め設定された領域に基づいて、周波数特性を算出する中間地点の周波数が、予め設定された領域に含まれる場合、周波数特性が変化する領域であると判定し、中間地点の周波数が、予め設定された領域に含まれない場合、周波数特性が変化する領域でないと判定する。
図7では、HPF等の影響を受けて周波数特性が変化する領域であるか否かを判定するために予め設定される領域は、k<2の周波数帯域とする。図7から、k<2の範囲の周波数帯域において、DCオフセットを除去するHPF等の影響が現れており、他の範囲の周波数帯域よりも周波数特性が下がっていることがわかる。
図6に戻って、周波数特性算出部91は、ステップS602において、周波数特性が変化する領域でないと判定した場合(ステップS602:N)、図7に示すように、kのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性η
k,1、及び隣接するk−1,k+1のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性η
k-1,1,η
k+1,1を用いて、以下の式により内挿を行い、中間地点の周波数特性η
k,0,η
k,2を算出する(ステップS603)。
一方、周波数特性算出部91は、ステップS602において、周波数特性が変化する領域であると判定した場合(ステップS602:Y)、kのサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性η
k,1、及び隣接するk−1,k+1のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性η
k-1,1,η
k+1,1を用いて、前記式(6)により内挿を行い、中間地点の内挿による周波数特性を算出し、以下の式により外挿を行い、中間地点の外挿による周波数特性を算出する。
そして、周波数特性算出部91は、内挿により算出した中間地点の周波数特性と、外挿により算出した中間地点の周波数特性とを用いて、予め設定された内挿の重み及び外挿の重みにより重み付き平均を算出し、中間地点の周波数特性η
k,0,η
k,2を求める(ステップS604)。このようにして、図7に示すように、中間地点の周波数特性η
k,0,η
k,2が、図7の黒抜きの丸印が示す内挿により算出した中間地点の周波数特性と、バツ印が示す外挿により算出した中間地点の周波数特性とを用いて、重み付き平均により算出される。
図6に戻って、周波数特性算出部91は、ステップS601〜ステップS604において算出した周波数特性ηk,i(i=0,1,2)を等化係数算出部92に出力する(ステップS605)。そして、等化係数算出部92が周波数特性ηk,i(i=0,1,2)を用いて等化係数を算出し、等化処理部93が等化係数を用いて等化信号を算出する。
(内挿及び外挿の重み)
ここで、内挿により算出された周波数特性と、外挿により算出された周波数特性とを用いて、中間地点の周波数特性を算出する際の重みについて説明する。図8は、周波数特性をy=(a/x)+bの式で近似した場合における中間地点の周波数特性を算出する手法を説明する図である。DC寄りの所定領域の周波数特性は、1次RCフィルターの特性を有するHPFの影響によって変化する。このDC寄りの所定領域において変化する周波数特性が、図8に示すように、以下の式で表す曲線で近似できるものと仮定する。つまり、1次RCフィルターによる周波数除去特性が、以下の式に示す曲線に対応しているものと仮定する。
yは周波数特性であり、xはサブチャネル番号に対応した番号でありkに相当する。a,bは定数とする。
k−1,k,k+1の周波数特性をそれぞれy
1,y
2,y
3とし、隣接するk−1,kのサブチャネルにおける中間地点の周波数特性をy
4とする。また、周波数特性y
1,y
2を用いて内挿により算出した周波数特性をz
1とし(黒抜きの丸印)、周波数特性y
2,y
3を用いて外挿により算出した周波数特性をz
2とする(バツ印)。これらのデータは以下の式により表される。
前記式(10)が示す中間地点の周波数特性y
4を、前記式(11)が示す内挿により算出した周波数特性z
1及び前記式(12)が示す外挿により算出した周波数特性z
2から求める。外挿に対する内挿の重み付けをA(0≦A≦1)、すなわち、内挿の重みをA、外挿の重みを1−Aとして、y
4との差をとると以下の式となる。
式(13)が0になるようにAを決定するものとする。k=0,1のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する場合は、(k=0のときの周波数):(k=1のときの周波数)=1:3であるから、x:Δx=3:2となる。したがって、式(13)が0になるのはA=3/8のときである。また、k=1,2のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する場合は、(k=1のときの周波数):(k=2のときの周波数)=3:5であるから、x:Δx=5:2となる。したがって、式(13)が0になるのはA=9/16のときである。
このように、1次RCフィルターの特性を有するHPFの影響によって変化する、DC寄りの領域における周波数特性が、式(8)の曲線で近似できるとすると、k=0,1のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する場合、重みは、内挿の重み:外挿の重み=3:5に設定されるのが望ましい。また、k=1,2のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する場合、重みは、内挿の重み:外挿の重み=9:7に設定されるのが望ましい。尚、本発明では、内挿の重み及び外挿の重みを前記の値に限定するものではなく、これ以外の値であってもよい。
以上のように、本発明の実施形態によるマルチキャリア復調装置2によれば、データシンボルにより実データが伝送されるサブチャネルよりもDC寄りのサブチャネルにもプリアンブルデータが配置されたマルチキャリアの信号をマルチキャリア変調装置1から受信する。そして、等化器90−1,90−2の周波数特性算出部91が、実データが伝送されるサブチャネル及びその外側のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を、プリアンブルデータを用いて算出する。また、周波数特性算出部91が、HPF等の影響を受けない領域のサブチャネルの中間地点における周波数特性を、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を用いて内挿により算出する。さらに、周波数特性算出部91が、HPF等の影響を受ける領域のサブチャネルの中間地点における周波数特性を算出する際に、サブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を用いて内挿により算出すると共に外挿により算出した後、内挿の結果と外挿の結果とを重み付き平均によって算出するようにした。ここで、プリアンブルデータは、データシンボルにより実データが伝送されるサブチャネルに加え、それよりも外側のサブチャネルにも配置されているから、これらの全てのサブチャネルにおける中間地点の周波数特性は内挿により算出することができる。これにより、HPF等が影響して周波数特性が変化するサブチャネルの中間地点における周波数特性は、隣接するサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性を用いた内挿による値と外挿による値とに基づいて算出されるから、外挿または代用により求めた従来技術に比べ、精度の高い値となる。したがって、等化係数の誤差を軽減することができ、BER特性の劣化を緩和することができる。
また、本発明の実施形態によるマルチキャリア復調装置2によれば、HPF等の影響を受けて周波数特性が変化する周波数帯域における中間地点の周波数特性の算出を、式(6)による内挿処理及び式(7)による外挿処理にて行うようにした。ここで、式(6)による内挿処理及び式(7)による外挿処理は、簡単な加減算、乗算及び除算にて演算することができる。これにより、DCオフセットを除去する簡易なHPF等をそのまま用いながら、少ない演算量の簡易な処理を追加するのみで、BER特性の劣化を改善することができる。
また、本発明によるマルチキャリア復調装置2によれば、HPF等の影響を受けて周波数特性が変化する周波数帯域における中間地点の周波数特性を算出する際に、内挿及び外挿の重みとして、k=0,1のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する場合、内挿の重み:外挿の重み=3:5を用いるようにした。また、k=1,2のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する場合、内挿の重み:外挿の重み=9:7を用いるようにした。この場合、1次RCフィルターの特性を有するHPFの影響によって変化するDC寄りの領域における周波数特性が、前記式(8)で表す曲線で近似できる場合、算出される中間地点の周波数特性は前記式(8)に近い値になる。これにより、算出される中間地点の周波数特性は、精度の高い値になる。したがって、等化係数の誤差を一層軽減することができ、BER特性の劣化も一層緩和することができる。
また、本発明によるマルチキャリア復調装置2によれば、前述のとおり、内挿及び外挿の重みとして、k=0,1のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する場合、内挿の重み:外挿の重み=3:5を用いるようにし、k=1,2のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性を算出する場合、内挿の重み:外挿の重み=9:7を用いるようにした。内挿の重み及び外挿の重みの合計は8,16であるから、それぞれ2のべき乗になっている。したがって、内挿処理及び外挿処理は、加減算、定数倍及びビットシフト((1/2)のべき乗倍の演算)にて演算することができる。つまり、内挿の重み及び外挿の重みの合計を2のべき乗の値にすることにより、DCオフセットを除去する簡易なHPF等をそのまま用いながら、一層少ない演算量の簡易な処理を追加するのみで、BER特性の劣化を改善することができる。
(シミュレーション結果)
以下、図1に示した本発明の実施形態によるマルチキャリア変調装置1及びマルチキャリア復調装置2を用いた場合のシミュレーション結果について説明する。以下に示す図9〜図13のシミュレーション結果(1)〜(5)は、プロトタイプフィルターのタップ長Lh=512、阻止域端周波数fS=1.5/Mとし、非特許文献1に記載のアルゴリズムにより求められたものである。また、以下に示す図9〜図11のシミュレーション結果(1)〜(3)において、本発明の実施形態によるマルチキャリア復調装置2の等化器90−1,等化器90−2に備えた周波数特性算出部91により、内挿及び外挿の重み付き平均が算出される際に、k=0,1のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性は、内挿の重み:外挿の重み=1:4にて算出されたものである。また、k=1,2及びk=2,3のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性は、内挿の重み:外挿の重み=1:1の均等にて算出されたものであり、それ以外の中間地点の周波数特性は、両側のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性から内挿により算出されたものである。
図9は、シミュレーション結果(1)を示すグラフである。このシミュレーション結果(1)は、入力データが16−PAMの信号、伝送路のインパルス応答が[1 0 0 0 0 0 0 0.3*exp(jφ)]の(つまり遅延7サンプル、レベル0.3倍の遅延波のある)2波モデル、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の0.5倍及び1倍の場合を示している。反射波の位相φについては、0から20度ずつ変化させ、BER特性の悪いものを選択することとする。(a)はプリアンブル長10の場合、(b)はプリアンブル長30の場合をそれぞれ示している。図中、「prop.−fc:0.5」は、本発明の実施形態を用いた場合において、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の0.5倍のときのC/N対BER特性を表している。「conv.−fc:0.5」は、従来技術を用いた場合において、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の0.5倍のときのC/N対BER特性を表している。「prop.−fc:1」は、本発明の実施形態を用いた場合において、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の1倍のときのC/N対BER特性を表している。「conv.−fc:1」は、従来技術を用いた場合において、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の1倍のときのC/N対BER特性を表している。
図9のシミュレーション結果(1)によれば、本発明の実施形態を用いることにより、(a)プリアンブル長が10の場合も(b)30の場合も、エラーフロア部分のBERが2/3程度に抑えられていることがわかる。また、組み合わせる誤り訂正の種類に依存するが、例えば、誤り訂正前の所要BERを10−4とすると、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の0.5倍の場合、(a)プリアンブル長10のときは4dB以上、(b)プリアンブル長30のときは0.5dB程度の所要C/Nを改善できることがわかる。
図10は、図9(b)のプリアンブル長30において、「prop.−fc:0.5」のC/N=45dBにおけるシミュレーション結果(2)を示すグラフである。図10のグラフは、入力データが16−PAMの信号、2波モデル、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の0.5倍の場合において、「prop.−fc:0.5」のC/N=45dBにおけるサブチャネル毎の誤り率を示している。横軸はサブチャネル番号に対応したk、縦軸はxk[m],x2M-1-k[m]の平均シンボル誤り率である。
図10のシミュレーション結果(2)によれば、図17に示した従来技術のシミュレーション結果(3)に比べ、シンボル誤り率が2/3程度に改善できることがわかる。
図11は、シミュレーション結果(3)を示すグラフである。このシミュレーション結果(3)は、入力データが8−PAMの信号、2波モデル、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の1倍、プリアンブル長10の場合を示している。図中、「prop.−fc:1」は、本発明の実施形態を用いた場合において、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の1倍のときのC/N対BER特性を表している。「conv.−fc:1」は、従来技術を用いた場合において、HPFの遮断周波数がサブチャネル間隔の1倍のときのC/N対BER特性を表している。
図11のシミュレーション結果(3)によれば、組み合わせる誤り訂正の種類に依存するが、例えば、誤り訂正前の所要BERを10−4とすると、0.5dB程度の所要C/Nを改善できることがわかる。
また、以下に示す図12、図13のシミュレーション結果(4)(5)において、本発明の実施形態によるマルチキャリア復調装置2の等化器90−1,等化器90−2に備えた周波数特性算出部91により、内挿及び外挿の重み付き平均が算出される際に、k=0,1のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性は、内挿の重み:外挿の重み=3:5にて算出されたものである。また、k=1,2のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性は、内挿の重み:外挿の重み=9:7にて算出されたものであり、k=2,3のサブチャネルにおける中間地点の周波数特性は、内挿の重み:外挿の重み=1:1の均等にて算出されたものである。また、それ以外の中間地点の周波数特性は、両側のサブチャネルにおける中心周波数の周波数特性から内挿により算出されるものとする。
図12は、シミュレーション結果(4)を示すグラフである。このシミュレーション結果(4)は、前述した非特許文献7のように、HPFの遮断周波数をベースバンド帯域の1%で設計し、RCの誤差により遮断周波数が1.3%にずれた場合(「渡辺、外4名、“ WCDMAダイレクトコンバージョン受信機に適したカットオフ周波数オートチューニングの高速化”、電子情報通信学会技術研究報告ICD 2006-148、(Dec 2006)」で想定されているのと同様、RCのばらつきを±30%と想定した場合)のBER特性への影響を示している。また、このシミュレーション結果(4)は、入力データが8−PAMの信号、2波モデル、プリアンブル長10の場合を示している。(a)は反射の遅延が7サンプル、レベルが−10dBの場合、(b)は反射の遅延が46サンプル、レベルが−26dBの場合をそれぞれ示している。図中、「prop.−1.3%」は、本発明の実施形態を用いた場合において、HPFの遮断周波数がベースバンド帯域の1.3%のときのC/N対BER特性を表している。「conv.−1.3%」は、従来技術を用いた場合において、HPFの遮断周波数がベースバンド帯域の1.3%のときのC/N対BER特性を表している。「prop.−1%」は、本発明の実施形態を用いた場合において、HPFの遮断周波数がベースバンド帯域の1%のときのC/N対BER特性を表している。「conv.−1%」は、従来技術を用いた場合において、HPFの遮断周波数がベースバンド帯域の1%のときのC/N対BER特性を表している。
図12のシミュレーション結果(4)によれば、組み合わせる誤り訂正の種類に依存するが、例えば、誤り訂正前の所要BERを10−4とすると、RCの誤差によりHPFの遮断周波数がベースバンド帯域の1.3%になったとしても、(a)の場合0.5dB以上、(b)の場合3dB以上の所要C/Nを改善できることがわかる。
図13は、シミュレーション結果(5)を示すグラフである。このシミュレーション結果(5)は、図12に示したシミュレーション結果(4)と同様に、入力データが8−PAMの信号、2波モデル、プリアンブル長10の場合を示している。(a)は、図12(a)に対応しており、反射の遅延が7サンプル、レベルが−10dBの場合を示している。また、(b)は、図12(b)に対応しており、反射の遅延が46サンプル、レベルが−26dBの場合を示している。横軸はベースバンド帯域幅で規格化したHPFの遮断周波数であり、縦軸は固定劣化量である。
図13のシミュレーション結果(5)によれば、(a)(b)のいずれの場合も、HPFの遮断周波数がずれたときの劣化量が改善されることがわかる。
尚、図3に示した等化器90−1の周波数特性算出部91は、HPF等の影響を受けるDC寄りの周波数帯域について、サブチャネルの中心周波数における伝送路の周波数特性を用いて、内挿処理、外挿処理及び重み付き処理を行うことにより、サブチャネルの中間地点における伝送路の周波数特性を求めるようにしたが、等化器の周波数特性を用いるようにしてもよい。すなわち、周波数特性算出部91は、各サブチャネルに対して1タップの複素数乗算を行う等化器の等化係数を、入力したプリアンブルデータと既知のプリアンブルデータとを用いてMSE基準により求め、これをサブチャネルの中心周波数における等化器の周波数特性とする。そして、HPF等の影響を受けるDC寄りの周波数帯域について、サブチャネルの中心周波数における等化器の周波数特性を用いて、伝送路の周波数特性と同様の内挿処理、外挿処理及び重み付き処理を行う。また、HPF等の影響を受けない周波数帯域については内挿処理を行うことにより、サブチャネルの中間地点における等化器の周波数特性を求める。そして、式(3)、(4)の関係から等化係数が導かれる。
前述したとおり、伝送路の周波数特性は、図7に示したように、DC寄りの周波数帯域ではHPF等の影響を受けて徐々小さくなる。これに対し、等化器の周波数特性は、前記式(5)のように伝送路の周波数特性との間で逆数の関係にあるから、DC寄りの周波数帯域では徐々に大きくなる。この徐々に大きくなる特性領域において、内挿処理、外挿処理及び重み付き処理が行われる。これにより、伝送路の周波数特性を求める場合と同様に、周波数特性を精度高く求めることができる。また、等化係数の誤差を軽減し、BER特性の劣化を緩和することができる