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JP5344816B2 - 変性された熱可塑性樹脂 - Google Patents
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Description

本発明は、種々の特性を改善した変性された熱可塑性樹脂に関する。
加熱することにより流動性を発現する熱可塑性樹脂は、非常に多くのものが開発され、産業のあらゆる分野で利用されている。熱可塑性樹脂の例を挙げると、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF―PET)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリァイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)等がある。更に近年では、熱可塑性エラストマーも数多くの製品が製造されている。
熱可塑性樹脂の多くのものは、ラジカル重合やアニオン重合の付加重合により、製造されている。熱可塑性樹脂の特性を改善するために、他のモノマーで変性することは、一般的であり、上述の例の中でもその結果生み出された共重合体が含まれている。変性の方法としては更に、グラフト化技術がある。一旦重合した熱可塑性樹脂に対し、ラジカル開始剤等で活性化し、そこに新たなモノマーを添加することにより、そのモノマーが重合したブロックが枝状に熱可塑性樹脂に結合したものが得られる。しかし、この方法では、添加したモノマーが残存したり、それだけが重合したポリマーが生成したりするために、正確に構造制御されたものを得にくい。
それに対し、重合性の基を有する重合体であるマクロモノマーの概念がMilkovichらによって示され、それを用いた樹脂の変性技術が開発された(例えば、特許文献1、5を参照。)。前述のモノマーによるグラフト化と同様に、一旦重合した樹脂を活性化し、そこにマクロモノマーを反応させることにより、グラフト化させることができ、残存モノマーも減少させることができる。しかし、この方法でも、マクロモノマーのみが重合したものや未反応のマクロモノマーが残存することが課題である。
主体となる樹脂の重合系において、同様に重合できる基を有するマクロモノマーを共重合させることにより、上記の課題を解決したグラフトポリマーを得ることができる(例えば、特許文献2、3、6を参照。)。既に様々なマクロモノマーが合成され、それを共重合したグラフトポリマーが合成されている。しかし、依然として、マクロモノマーを合成することは容易ではない。特に、一般にラジカル重合で重合されるビニル系重合体のマクロモノマーは、その重合の制御が困難なこともあり、ほとんど合成されていない。中でも、アクリル系重合体の重合制御は、その副反応のために容易でないため、末端に重合性の基を有するマクロモノマーの製造は困難である。
発明者らは、このような状況の中、よりよく構造制御されたビニル系重合体のマクロモノマーの製造法、及び、それを利用したグラフトポリマーの製造法を開発してきた(例えば、特許文献7〜13を参照。)。
上記のようにマクロモノマーを利用した熱可塑性樹脂の変性技術は開発されてきたが、そのマクロモノマーは基本的に重合性の官能基を1つのみ分子中に有するものである。重合性の官能基を2つ以上有するポリマーによる樹脂変性は知られていない。特に、ビニル系重合体の両末端に重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体は、その製造が困難であったためにそれを利用した樹脂変性用途は知られていない。発明者らは、このようなビニル系重合体の両末端に重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体を開発し、様々な用途に利用してきたが、基本的に硬化性組成物としてであり、熱可塑性樹脂を変性するものではなかった。このような重合体を重合系に添加すると、網目構造を作り、全体がゲル化してしまい、熱可塑性樹脂の特性が失われてしまうと考えられる。
特開昭49−30462号公報 特開昭61−200111号公報 特開昭60−238301号公報 USP4304705 USP3786116 特開昭62−64814 WO99/65963 特開2000−072816号公報 特開平12−136211号公報 特開平12−095826号公報 特開2001−055551号公報 特開2000−154205号公報 特開2000−186112号公報 アイピーシー出版部発行 「マクロモノマーの化学と工業」平成 元年発行 山下雅也監修
熱可塑性樹脂では、高強度化、靭性付与、耐熱性向上等、様々な課題が存在し、それを解決するために、モノマーやオリゴマーの共重合や、グラフト化が行われている。一つの方法として、マクロモノマーによるグラフトポリマー化があるが、依然として、より良い性能を発現するための変性技術及びそれにより製造された樹脂の開発が求められている。
上述の現状に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有するビニル系重合体により熱可塑性樹脂を変性することに成功し上述の課題を解決するに至った。
即ち、本発明は、付加重合性モノマーを付加重合させてなる熱可塑性樹脂において、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有する、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.8未満のビニル系重合体(I)を共重合させて変性されてなる、熱可塑性樹脂に関する。
上記ビニル系重合体(I)には、当該重合体主鎖がラジカル重合により製造されたものを使用することができる。中でも、当該重合体主鎖がリビングラジカル重合により製造されたもの、または、連鎖移動剤を用いたビニル系モノマーの重合により製造されたものを使用するのが好ましい。
上記リビングラジカル重合は、原子移動ラジカル重合であることが好ましい。
上記原子移動ラジカル重合では、触媒とする金属錯体は銅の錯体であることが好ましい。
上記ビニル系重合体(I)は、当該重合体主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されたものであることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルを主として重合して製造されたものであることがより好ましく、アクリル酸エステルを主として重合して製造されたものであることがさらに好ましい。
上記ビニル系重合体(I)の数平均分子量は、3000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、10000以上であることがさらに好ましい。
上記ビニル系重合体(I)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。
上記ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基は、一般式1:
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)
で表される基であることが好ましい。
上記一般式1中のRは、水素、または、メチル基であることが好ましい。
上記ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基は、他の炭素−炭素二重結合と共役した炭素−炭素二重結合、または、芳香族環と共役した炭素−炭素二重結合であってもよい。
上記ビニル系重合体(I)は、ビニル系重合体の末端ハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造されたものであることが好ましい。
上記ビニル系重合体(I)は、一般式2:
−CRX (2)
(式中、R、Rは、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
で表されるビニル系重合体の末端ハロゲン基を、一般式3
+−OC(O)C(R)=CH (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Mはアルカリ金属、また
は4級アンモニウムイオンを表す。)
で示される化合物で置換することにより製造されたものであることが好ましい。
上記ビニル系重合体(I)は、末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式4
XC(O)C(R)=CH (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
で示される化合物との反応を行って製造されたものであってもよい。
上記ビニル系重合体(I)は、末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式5
HO−R’− OC(O)C(R)=CH (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
で示される化合物との反応を行って製造されたものであってもよい。
上記ビニル系重合体(I)には、直鎖状重合体または枝分かれした重合体を使用できる。
上記付加重合性モノマーは、ラジカル重合性モノマーまたはアニオン重合性モノマーであることが好ましい。
上記ラジカル重合性モノマーは、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ハロゲン化ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主成分とすることが好ましい。
上記ラジカル重合性モノマーは、スチレンおよび/またはアクリロニトリルを主成分とすること、または、塩化ビニルを主成分とすること、または、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とすることが好ましい。
上記アニオン重合性モノマーは、(メタ)アクリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、及びジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマーを主成分とすることが好ましい。
上記アニオン重合性モノマーが、スチレンを主成分とすること、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とすること、若しくは、ブタジエンおよび/またはイソプレンを主成分とすることが好ましい。
上記付加重合は、ラジカル重合またはアニオン重合が好ましい。
上記ラジカル重合は、水系重合、溶液重合または塊状重合であってもよい。
上記水系重合としては、懸濁重合または乳化重合で実施してもよい。
上記ラジカル重合は、リビングラジカル重合であってもよく、原子移動ラジカル重合であってもよい。
上記ビニル系重合体(1)は、熱可塑性樹脂の構成成分全体の1重量%以上、50重量%以下を占めることが好ましい。
付加重合性モノマーを付加重合させて熱可塑性樹脂を製造する工程において、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有するビニル系重合体(I)を添加させることにより、容易に、機械物性や耐熱性等の特性を改善した熱可塑性樹脂を得ることができ、それらは、発泡体、繊維、成形体、フィルムに加工し、利用することができる。一般的なマクロモノマーのような重合性の基を分子中に一つだけ有するものと比べ、共重合ポリマーに取り込まれる可能性が高まり、重合の進行に伴い、ブリードアウトする可能性が低下する。また、低ガラス転移点を有するマクロモノマーで樹脂を変性した場合、内部可塑化し強度低下する場合があるが、同じ主鎖のポリマーでも本発明の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有するビニル系重合体(I)を用いた場合には、部分架橋構造をとるために強度低下を抑制できる。
本発明は、付加重合性モノマーを付加重合させてなる熱可塑性樹脂において、
重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有する、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.8未満のビニル系重合体(I)を共重合させて変性されてなることを特徴とする、熱可塑性樹脂、言い換えれば、付加重合性モノマーを付加重合させて熱可塑性樹脂を製造する工程において、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有するビニル系重合体(I)を添加させることにより変性された熱可塑性樹脂である。
以下に本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
<<ビニル系重合体(I)についての説明>>
<ビニル系重合体(I)の主鎖の重合>
本発明のビニル系重合体(I)の主鎖はラジカル重合によって製造される。ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題点がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報、WO98/01480号公報,WO98/40415号公報、あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報などが挙げられる。
本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、基本的には制御ラジカル重合が利用され、更に制御の容易さなどからリビングラジカル重合が好ましく、特に原子移動ラジカル重合法が好ましい。
まず、制御ラジカル重合のうちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合について説明する。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合としては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方法が例示される。
特開平4−132706号公報に示されているようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−271306号公報、特許2594402号公報、特開昭54−47782号公報に示されているような水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法である。
次に、リビングラジカル重合について説明する。
そのうち、まず、ニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モルが適当である。
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
Macromolecules 1995,28,2993で報告されているように、ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
Figure 0005344816
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の官能基を有するものを用いると末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
上記のニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わない。
次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について説明する。原子移動ラジカル重合技術を用いることにより、本発明に好適な、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有するビニル系重合体(I)を、高度に構造を制御した上で、容易に製造することができる。
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、
−CHX、C−C(H)(X)CH、C−C(X)(CH
(ただし、上の化学式中、Cはフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
−C(H)(X)−CO、R−C(CH)(X)−CO、R−C(H)(X)−C(O)R、R−C(CH)(X)−C(O)R
(式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
−C−SO
(上記の各式において、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に上記一般式2で表される構造を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。重合性の炭素−炭素二重結合の導入方法は後述するが、これらの末端官能基を変換することによっても導入することができる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式6に示す構造を有するものが例示される。
C(X)−R−R−C(R)=CH (6)
(式中、Rは水素、またはメチル基、R、Rは水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル、または他端において相互に連結したもの、Rは、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、Rは直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
置換基R、Rの具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。RとRは他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
一般式6で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCHC(O)O(CHCH=CH
CC(H)(X)C(O)O(CHCH=CH
(HC)C(X)C(O)O(CHCH=CH
CHCHC(H)(X)C(O)O(CHCH=CH
Figure 0005344816
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCHC(O)O(CHO(CHCH=CH
CC(H)(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH
(HC)C(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH
CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH
Figure 0005344816
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CH−CH=CH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH−CH=CH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH−CH=CH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CH−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH
O−(CHCH=CH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−CH=CH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−O−(CH−O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH
O−(CH−CH=CH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH
O−(CH−CH=CH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式7で示される化合物が挙げられる。
C=C(R)−R−C(R)(X)−R10−R (7)
(式中、R、R、R、R、Xは上記に同じ、R10は、直接結合、−C(O)O−(エ
ステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)Rは直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R10としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。Rが直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R10としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
一般式7の化合物を具体的に例示するならば、
CH=CHCHX、CH=C(CH)CHX、
CH=CHC(H)(X)CH、CH=C(CH)C(H)(X)CH
CH=CHC(X)(CH、CH=CHC(H)(X)C
CH=CHC(H)(X)CH(CH
CH=CHC(H)(X)C、CH=CHC(H)(X)CH
CH=CHCHC(H)(X)−COR、
CH=CH(CHC(H)(X)−COR、
CH=CH(CHC(H)(X)−COR、
CH=CH(CHC(H)(X)−COR、
CH=CHCHC(H)(X)−C
CH=CH(CHC(H)(X)−C
CH=CH(CHC(H)(X)−C
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、
o−,m−,p−CH=CH−(CH−C−SOX、
o−,m−,p−CH=CH−(CH−O−C−SOX、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
等である。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式8に示す構造を有するものが例示される。
C(X)−R−R−C(H)(R)CH
[Si(R112−b(Y)O]−Si(R123−a(Y) (8)
(式中、R、R、R、R、R、Xは上記に同じ、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R11またはR12が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
一般式8の化合物を具体的に例示するならば、
XCHC(O)O(CHSi(OCH
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(OCH
(CHC(X)C(O)O(CHSi(OCH
XCHC(O)O(CHSi(CH)(OCH
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(CH)(OCH
(CHC(X)C(O)O(CHSi(CH)(OCH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCHC(O)O(CHO(CHSi(OCH
CC(H)(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH
(HC)C(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH
CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH
XCHC(O)O(CHO(CHSi(CH)(OCH
CC(H)(X)C(O)O(CHO(CH
Si(CH)(OCH
(HC)C(X)C(O)O(CHO(CH
Si(CH)(OCH
CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CH
Si(CH)(OCH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CHSi(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH
o,m,p−XCH−C−(CHSi(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH
o,m,p−XCH−C−(CH−O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH
O−(CHSi(OCH
o,m,p−XCH−C−O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH
Si(OCH
o,m,p−XCH−C−O−(CH−O−(CH
Si(OCH
o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH
O−(CHSi(OCH
o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH
O−(CHSi(OCH
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式9で示される構造を有するものが例示される。
(R123−a(Y)Si−[OSi(R112−b(Y)
CH−C(H)(R)−R−C(R)(X)−R10−R (9)
(式中、R、R、R、R、R10、R11、R12、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CHO)SiCHCHC(H)(X)C
(CHO)(CH)SiCHCHC(H)(X)C
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−C
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−C
(CHO)Si(CHC(H)(X)−C
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−C
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
N−(CH−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
Figure 0005344816
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
本発明で使用するビニル系重合体(I)は、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有するものであるので、通常は開始剤としては、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を用いることが好ましい。具体的に例示するならば、
Figure 0005344816
Figure 0005344816
等があげられる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も、触媒として好適である。
重合は無溶剤または各種の溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。また、重合は室温〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜150℃である。
<ビニル系重合体(I)の主鎖>
本発明のビニル系重合体(I)の主鎖を構成するモノマーとしては特に制約はなく、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されたものであることが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを「主として」重合して製造されるものであることが好ましく、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合させても構わない。その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%含まれていることが好ましく、60%以上含まれていることがより好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
本発明のビニル系重合体(I)の数平均分子量は、限定はされないが、2000以上が好ましく、5000以上がより好ましく、10000以上がさらに好ましい。上限は、100000以下が好ましい。分子量が小さすぎると、低分子量他官能モノマーを共重合させたものと同様の効果しか得られず、ビニル系重合体(I)の特性を発現しずらい。また、低分子量の場合は、同じ量の重合体(I)で変性した場合に、官能基数が相対的に多くなり、結果としてゲル化してしまい、熱可塑性樹脂としての特性を失ってしまうことがある。分子量が大きすぎると、末端の官能基が少なく、変性する前に共重合する相手のポリマーからブリードアウトしてしまうことがある。
本発明のビニル系重合体(I)は、分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比が1.8未満であり、好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、さらに好ましくは1.5以下であり、特別に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。本発明におけるGPC測定の際には、通常は、クロロホルム又はテトラヒドロフラン等を移動相として、ポリスチレンゲルカラム等を使用し、分子量の値はポリスチレン換算値等で求めている。分子量分布が狭い方が、ビニル系重合体(I)の粘度は低くなり、また、本発明の方法により製造される熱可塑性樹脂の構造もよりよく制御されたものになり、狙った物性を発現させるのに有利となる。
<ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基の種類>
ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基は、限定はされないが、好ましくは、一般式1:
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)
で表される基であり、更に好ましくは、Rは、水素、または、メチル基である。すなわち、(メタ)アクリロイル基である。
また、ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基として、好ましいものとして、他の炭素−炭素二重結合と共役した炭素−炭素二重結合であるものが挙げられる。具体例としては、式10で示されるソルビン酸エステル基が挙げられる。
Figure 0005344816
また、ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基が、芳香族環と共役した炭素−炭素二重結合であるものも挙げられる。具体例としては、式11で示される桂皮酸エステル基が挙げられる。
Figure 0005344816
また、式12で示されるエクソメチレン型の基も例示される。
Figure 0005344816
これらの中で最も好ましいものは、(メタ)アクリロイル基である。
<ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基の導入法>
以下に、本発明のビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基の導入法について説明する。
ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基の導入法としては、限定はされないが、以下のような方法が挙げられる。
中でも、(ア)の方法が好ましい。
(ア)ビニル系重合体の末端ハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造する方法。具体例としては、一般式2で表される末端構造を有するビニル系重合体と、一般式3で示される化合物との反応による方法。
−CRX (2)
(式中、R、Rは、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
+−OC(O)C(R)=CH (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Mはアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
(イ)末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式4で示される化合物との反応による方法。
XC(O)C(R)=CH (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
(ウ)末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式5で示される化合物との反応による方法。
HO−R’− OC(O)C(R)=CH (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
以下にこれらの各方法について詳細に説明する。
「官能基導入法(ア)」
上記(ア)の方法について説明する。
(ア)一般式2で表される末端構造を有するビニル系重合体と、一般式3で示される化合物との反応による方法。
−CRX (2)
(式中、R、Rは、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
+−OC(O)C(R)=CH (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Mはアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式2で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式3で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CHOH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CHである。Mはオキシアニオンの対カチオンであり、Mの種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。一般式3のオキシアニオンの使用量は、一般式2のハロゲン末端に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行う。
「末端官能基の導入(イ)」
上記(イ)の方法について説明する。
(イ)末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式4で示される化合物との反応による方法。
XC(O)C(R)=CH (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
一般式4で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CHOH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CHである。
末端に水酸基を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法(原子移動ラジカル重合法)、あるいは、水酸基を持つ化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。これらの方法により末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する方法は限定されないが、以下のような方法が例示される。
(a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、下記一般式13等で表される一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
C=C(R13)−R14−R15−OH (13)
(式中、R13は炭素数1〜20の有機基で水素またはメチル基が好ましく、互いに同一であっても異なっていてもよい。R14は−C(O)O−(エステル基)、またはo−,m−もしくはp−フェニレン基を表す。R15は直接結合、または1個以上のエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R14がエステル基のものは(メタ)アクリレート系化合物、R14がフェニレン基のものはスチレン系の化合物である。)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式14に示される化合物等が挙げられる。
C=C(R13)−R16−OH (14)
(式中、R13は上述したものと同様である。R16は1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
上記一般式14に示される化合物としては特に限定されないが、入手が容易であるということから、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
(c)特開平4−132706号公報などに開示されるような方法で、原子移動ラジカ
ル重合により得られる一般式2で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
(d)原子移動ラジカル重合により得られる一般式2で表される炭素−ハロゲン結合を
少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式15に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
(R17)(R18)−R16−OH (15)
(式中、R16は上述したものと同様である。R17およびR18はともにカルバニオンCを安定化する電子吸引基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を表す。R17およびR18の電子吸引基としては、−COR(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R)(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニトリル基)、−NO(ニトロ基)等が挙げられる。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基である。R17およびR18としては、−COR、−C(O)Rおよび−CNが特に好ましい。)
(e)原子移動ラジカル重合により得られる一般式2で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(f)重合体末端のハロゲン、好ましくは一般式2で表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式16等で表される水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式17等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
HO−R16−O (16)
(式中、R16およびMは上述したものと同様である。)
HO−R16−C(O)O (17)
(式中、R16およびMは上述したものと同様である。)
本発明では(a)〜(b)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合、制御がより容易である点から(b)の方法がさらに好ましい。
また(c)〜(f)のような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合は、制御がより容易である点から(f)の方法がさらに好ましい。
「末端官能基の導入(ウ)」
上記(ウ)の方法について説明する。
(ウ)末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式5で示される化合物との反応による方法。
HO−R’−OC(O)C(R)=CH (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の
2価の有機基を表す。)
一般式5で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば
、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CHOH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CHである。具体的な化合物としては、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
末端に水酸基を有するビニル系重合体には、上述した製法で製造されるものを使用するのが好ましい。
ジイソシアネート化合物は、特に限定されないが、従来公知のものをいずれも使用することができ、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;等を挙げることができる。これらは、単独で使用しうるほか、2種以上を併用することもできる。またブロックイソシアネートを使用しても構わない。
よりすぐれた耐候性を生かすためには、多官能イソシアネート化合物(b)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
<ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基の位置と数>
本発明のビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基は、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上存在する。1つの末端にのみ2つ以上の基が存在する場合は、一官能のものと大差ない効果しか得られない。
ビニル系重合体(I)が直鎖状の場合と、枝分かれした場合がある。直鎖状の場合は、その両末端に重合性の炭素−炭素二重結合を有する基が存在する。枝分かれした場合は、その複数の末端の内、2つ以上の末端に重合性の炭素−炭素二重結合を有する基が存在する。
本発明のビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基の数は、限定はされないが、2個が好ましい。
なお、本発明でいう重合性の炭素−炭素二重結合を有する基の数は、平均値ではなく、ある特定の重合体分子中の数である。すなわち、例えば、主成分が重合体1分子中に炭素−炭素二重結合を有する基が2つの重合体の場合であっても、炭素−炭素二重結合を有する基が2つ未満の重合体が少量混入している場合などには、「平均値」としての炭素−炭素二重結合を有する基の数は2未満の値となることもあり得る。また重合体中の官能基数を算出するためにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量を用いる場合、分子量は標準ポリスチレン換算法により算出されるため若干の誤差を含むものである。このため「分析値」としての炭素−炭素二重結合を有する基の数は2未満の値となることもあり得る。
<<付加重合させて熱可塑性樹脂を製造する付加重合性モノマーについて>>
本発明で用いられる付加重合させて熱可塑性樹脂を製造する付加重合性モノマーは、限定はされないが、ラジカル重合性モノマーとアニオン重合性モノマーが好ましく、ラジカル重合性モノマーがより好ましい。
通常のラジカル重合可能なビニル系モノマーであればどのようなものでも用いることができ、先に述べたビニル系重合体(I)の主鎖を構成するモノマーを挙げることができる。限定はされないが、ラジカル重合性モノマーが、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ハロゲン化ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主成分とすることが好ましい。中でもモノマーの汎用性の観点から少なくとも一種は塩化ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレンが用いられていることが好ましい。これらのビニルモノマーは、1種類だけでなく2種類以上を混合したものを用いることは構わない。本発明における熱可塑性樹脂の改質方法の目的を勘案すれば、このビニルモノマーは、ビニル系重合体(I)を形成するモノマー成分とは異なる種類のモノマーを用いることが好ましい。
アニオン重合性モノマーとしては、限定はされないが、(メタ)アクリル系モノマー、
芳香族ビニル系モノマー、ジエン系モノマーが好ましい。より具体的には、スチレン、メタクリル酸エステル、ブタジエン、イソプレンが好ましい。
<<熱可塑性樹脂を製造する付加重合について>>
本発明の熱可塑性樹脂を製造する付加重合は、限定はされないが、ラジカル重合とアニオン重合が好ましく、ラジカル重合がより好ましい。
このラジカル重合としては特に限定されず、通常のフリーラジカル重合、連鎖移動ラジカル重合、リビングラジカル重合等のどの方法で実施しても構わない。
また、溶液重合、塊状重合、水系重合のどの方法で実施しても構わない。工業的な熱可塑性樹脂の重合法としては、水系重合が最も一般的であり、その系に本発明を適用することが、限定はされないが好ましい。更に水系重合としては、乳化重合と懸濁重合のどちらでも構わないが、重合体(I)は水溶性でない場合があるので、ミクロ懸濁重合を含む懸濁重合がより好ましい。
フリーラジカル重合に用いられる開始剤としては、特に限定されるものではないが、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物などのラジカル開始剤等が挙げられる。
連鎖移動ラジカル重合は前記フリーラジカル重合に連鎖移動剤を添加して行うものであり、開始剤としては、前記のものを用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されないが、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(HCO)Si−S−S−Si(OCH、CH(HCO)Si−S−S−SiCH(OCH、(CO)Si−S−S−Si(OC、CH(CO)Si−S−S−SiCH(OC、(HCO)Si−S−Si(OCH、(HCO)Si−S−Si(OCH、(HCO)Si−S−Si(OCH、α−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。特にアルコキシシリル基を分子中に有する連鎖移動剤、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いれば、末端にアルコキシシリル基を導入することができる。
リビングラジカル重合としては、限定はされないが、TEMPO(テトラメチルピペリジンオキシド)やコバルトポルフィリン錯体等により重合成長末端ラジカルを捕捉するSFRP(Stable Free Radical Polymerization:安定フリーラジカル重合)や、本発明のビニル系重合体(I)の製造に関して記述した原子移動ラジカル重合が挙げられる。これらの重合は、既に述べた条件で実施される。リビングラジカル重合でビニル系重合体(I)を重合させると、この重合により得られる重合体鎖の分子量及び分子量分布が制御されることが期待される。
本発明のラジカル重合させる方法は特に限定されないが、その温度は、使用するラジカル開始剤、ビニル系重合体(I)、ラジカル重合性モノマー及び添加される化合物等の種類により異なるが、通常50〜250℃の範囲内が好ましく、70〜200℃の範囲内がより好ましい。
本発明で懸濁重合を実施する場合に使用される懸濁安定剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、ピロリン酸マグネシウム、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト等の難溶性無機塩等を用いることができ、また界面活性剤を併用してもよい。なお,難溶性無機塩を用いる場合は、アルキルスルホン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアニオン性界面活性剤を併用するのが好ましい。
本発明におけるアニオン重合は公知の技術を利用することができる。
使用するアニオン重合開始剤は、限定はされないが、アルカリ金属の、モノ、ビ又は多官能アルキル、アリール又はアラルキル化合物;有機リチウム化合物、例えばエチル−、プロピル−、イソプロピル−、n−ブチル−、sec−ブチル−、tert−ブチル−、フェニル−、ジフェニルへキシル−、ヘキサメチレンジ−、ブタンジエニル−、イソプレニル−又はポリスチリルリチウム、或いはその多官能化合物、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−ブテン又は1,4−ジリチオベンゼン、を使用することが好ましい。アルカリ金属有機化合物の必要量は、製造する重合体の分子量、及び使用される他の金属有機化合物の種類及び量に依存し、更に重合温度にも依存する。その必要量は、全モノマー量に対して0.002〜5モル%が一般的である。
重合は、溶剤の非存在下又は存在下に行うことができる。溶剤としては、限定はされないが、好ましくは有機炭化水素又は炭化水素混合物、例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン又はクメンを挙げることができる。重合は、40質量%未満の溶剤含有量で行うことが好ましい。ここで、反応速度は、WO98/07766に記載されているような遅延剤として知られている、重合速度を低下させる化合物を添加することにより減少させることができる。使用される遅延剤としては、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、又は有機亜鉛化合物を、単独又は混合物として使用することができる。
<<ビニル系重合体(I)の添加量>>
付加重合性モノマーを付加重合させて熱可塑性樹脂を製造する工程において、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有するビニル系重合体(I)を添加させる量は、特に限定されない。ビニル系重合体(I)は、複数の重合性の基を有するので、添加量が多すぎると、変性された樹脂が熱可塑性を失ってしまうことがある。逆に少なすぎると変性の効果が得られない。よって、製造される樹脂全体の重量比、すなわち、熱可塑性樹脂の構成成分全体に対する重量比で1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上が更に好ましい。また、50%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。ここで、製造される樹脂全体の重量は、熱可塑性樹脂の構成成分である、付加重合性モノマーおよびビニル系重合体(I)の総量を指す。
同じ官能基数であれば、同じ添加量でも、重合体(I)の分子量は大きい方が製造される樹脂をゲル化させる傾向が小さい。同じ添加量でも、官能基数が多い方が製造される樹脂をゲル化させる傾向が大きい。
<<変性された熱可塑性樹脂のコンパウンドについて>>
本発明の変性された熱可塑性樹脂は、他の樹脂とブレンドしたり、他の樹脂の添加剤としても使用できる。より具体的には、耐衝撃性改良剤、加工性改良剤、相溶化剤、艶消し剤、耐熱性改良剤などとして使用できる。
本発明の変性された熱可塑性樹脂とブレンドする、あるいは、添加する熱可塑性樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の混合物、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のビニル系モノマー70〜100重量%とこれらのビニル系モノマーと共重合可能なたとえばエチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどの他のビニル系モノマーおよび(または)ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系モノマーなど0〜30重量%とを重合して得られる単独重合体または共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂の混合物などをあげることができるが、これらに限定されることなく、熱可塑性樹脂樹脂が広く使用可能である。特にポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などが耐候性、耐衝撃性などの特徴を出しやすく好ましい。
さらに他の添加剤として難燃剤、抗菌剤、光安定剤、着色剤、流動性改良剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、架橋剤、架橋助剤、改質剤、顔料、染料、導電性フィラー、各種の化学発泡剤、物理発泡剤などを添加することができ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用可能である。ブロッキング防止剤としては、たとえばシリカ、ゼオライトなどが好適であり、これらは天然、合成の何れでもよくまた架橋アクリル真球粒子などの真球架橋粒子も好適である。また帯電防止剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類やグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さらに、滑剤としては、脂肪酸金属塩系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪族アルコール系滑剤、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、パラフィン系滑剤などが好ましく用いられ、これらの中から2種以上を選択して用いてもよい。
本発明における樹脂組成物は、以下に例示する方法によって製造することができる。
たとえば、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどのような密閉型または開放型のバッチ式混練装置を用いて製造する場合は、あらかじめ混合した架橋剤以外の全ての成分を混練装置に投入し、均一になるまで溶融混練し、次いでそれに架橋剤を添加して架橋反応が充分に進行したのち、溶融混練を停止する方法があげられる。
また、単軸押出機、二軸押出機などのように連続式の溶融混練装置を用いて製造する場合は、架橋剤以外の全ての成分をあらかじめ押出機などの溶融混練装置によって均一になるまで溶融混練した後ペレット化し、そのペレットに架橋剤をドライブレンドした後、更に押出機やバンバリーミキサーなどの溶融混練装置で溶融混練して、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体を動的に架橋する方法や、架橋剤以外のすべての成分を押出機などの溶融混練装置によって溶融混練し、そこに押出機のシリンダーの途中から架橋剤を添加して更に溶融混練し、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体を動的に架橋する方法などがあげられる。
溶融混練を行なうに当たっては、140〜210℃の温度範囲が好ましく、150〜200℃の温度範囲がさらに好ましい。溶融混練温度が140℃よりも低いと、芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーおよびオレフィン系樹脂が溶融せず、充分な混合ができない傾向があり、210℃よりも高いと、イソブチレン系重合体の熱分解が起こりやすくなる傾向がある。
本発明の変性された熱可塑性樹脂をコンパウンド化する方法としては、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、二軸押出機等の公知の装置を用い、機械的に混合しペレット状に賦形する方法をあげることができる。押出賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成形可能であり、成形には、通常の射出成形機、ブロー成形機、押出成形機などが用いられる。
さらに、本発明の変性された熱可塑性樹脂には、必要に応じて耐衝撃性改良剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、顔料、充填剤などを配合し得る。具体的には、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリル系グラフト共重合体、アクリル−シリコーン複合ゴム系グラフト共重合体などの耐衝撃性改良剤;トリフェニルホスファイトなどの安定剤;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの滑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のホスフェート系難燃剤、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃剤;酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などの顔料;ガラス繊維、アスベスト、ウォラストナイト、マイカ、タルク、炭酸カルシウムなどの充填剤などがあげられる。
本発明の変性された熱可塑性樹脂には、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤を適宜用いることができる。
可塑剤としては物性の調整、性状の調節等の目的により、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;塩化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル等の炭化水素系油等を単独、または2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必要とするものではない。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。それらの溶剤は重合体の製造時に用いてもよい。
<<用途>>
本発明の変性された熱可塑性樹脂は、様々な成形法により、所望の形状に賦型することができる。その成形体は、衝撃強度が高い等の特性を有する。成形法は制限されないが、具体例としては、カレンダー成形、射出成形、溶融紡糸、ブロー成形、押出し成形、熱成形、発泡成形、等が挙げられる。
本発明の変性された熱可塑性樹脂は、限定されないが、既存の熱可塑性樹脂と同等の用途に使用できる。好ましくは、射出成型品、シート、フィルム、中空成形体、パイプ、角棒、異形品、熱成形体、発泡体、繊維として利用される。
本発明の変性された熱可塑性樹脂は、軟質のものから硬質のものまで存在しうる。
本発明の熱可塑性樹脂及びそのコンパウンドが軟質の場合、以下のような用途に利用可能である。
(1)改質剤
樹脂改質剤(熱可塑性樹脂の耐衝撃性改質剤、制振性改質剤、ガスバリヤー性改質剤、軟化剤など、熱硬化性樹脂の耐衝撃性改質剤、低応力化剤など)、アスファルト改質剤(道路用アスファルト改質剤、防水シート用アスファルト改質剤、橋梁床版用防水材)、タイヤ改質剤(タイヤのウェットグリップ性向上剤)、ゴム改質剤。
(2)接着剤または粘着剤
ホットメルト系接着剤、水系接着剤、溶剤系接着剤、粘着剤。
(3)粘度調整剤
オイル、潤滑油などに添加する粘度調整剤。
(4)コーティング剤
塗料などに利用するベースレジン、シーラント。
(5)PVC代替などに使用される材料
ケーブル、コネクター、プラグなどの電線被覆材、人形などの玩具、養生用テープ、ロゴマーク(スポーツウェアやスポーツシューズ用)、キャリーバック、衣料用包装材、トラックの幌、農業用フィルム(ハウス栽培用)、消しゴム、業務用エプロン(ターポリン)、床材・天井材などの建物の内装材、レインコート、雨傘、ショッピングバッグ、椅子やソファーなどの表皮材、ベルトや鞄などの表皮材、ガーデンホース、冷蔵庫のガスケット(パッキング)、洗濯機や掃除機のフレキシブルホース、自動車用内装材。
(6)制振材、防振材、緩衝材
制振材、とくにアルミ、鋼板とともに多層に張り合わせた制振材、防振材、緩衝材(建
築用途、自動車用途、フロアー制振用途、フローリング用途、遊戯器具用途、精密機器用途、電子機器用途に使用)、
靴底、文具・玩具用品のグリップ、日用雑貨・大工用品のグリップ、ゴルフクラブ・バットなどのグリップや心材、テニスラケット・卓球ラケットなどのラバーおよびグリップ。
(7)防音材、吸音材
自動車内外装材、自動車天井材、鉄道車両用材、配管用材。
(8)パッキング材、シール材などの密封用材、包装材
ガスケット、建築用ガスケット、栓体、
合わせガラス用および複層ガラス用のガラスシール材、
包装材、シート、多層シート、容器、多層容器などのガスバリヤー用材、
土木シート、防水シート、包装輸送資材、シーラント。
(9)発泡体
ビーズ発泡、徐圧発泡、押出発泡による発泡体(配管被覆材、合成木材、木粉系発泡体など)、
化学発泡および物理発泡における発泡剤のキャリヤー。
(10)その他
衣料用途、難燃剤用途、
医療用途のチューブ、閉がい具、キャップ、バッグ、ガスケット、ホース、シューズ、運動用具類、
発泡性耐火シート、
エアバックカバー、バンパー、内装部品(インパネやシフトノブなどの表皮材)、ウェザーストリップ、ルーフモール、ドア下モールなどの自動車用部材、
電子レンジ用食品トレー、ポーション用食品容器、食品容器用ラミネートフィルム、食品容器用ポリスチレンシート(刺身容器・鶏卵パック)、カップラーメン容器、ポリスチレン系網目状発泡体、冷菓カップ、透明飲料カップなどの食品用容器、
ICトレー、CD−ROMシャーシ、ホイールキャップ、弾性糸、不織布、ワイヤーハーネス、紙おむつのバックシート、2色成形用コンパウンド材、水中ゴーグル、パソコン用マウス、クッション、ストッパー。
本発明の変性された熱可塑性樹脂は、電気、電子部品、機械部品用途にも利用される。具体的には、例えば、コネクター、コイルボビン、各種ソケット、コンデンサー、バリコン、光ピックアップ、各種端子盤、プラグ類、磁気ヘッドベース、自動車用パイプ類、エアーインテークノズル、インテークマニホールド、キャブレター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジングなどである。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
また、下記実施例中、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
下記実施例中、「平均末端アクリロイル基数」は、「重合体1分子当たりに導入されたアクリロイル基数」であり、H−NMR分析及びGPCにより求められた数平均分子量より算出した。
なお、下記実施例中の「部」は「重量部」を表す。
(製造例1)アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)の重合および精製
特開2004−203932の製造例2及び実施例2記載の方法に基づき実施した。すなわち、窒素雰囲気下で攪拌機付き反応槽にCuBr(4.2部)、アセトニトリル(44.0部)、アクリル酸n−ブチル(100部)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(8.8部)を添加し、80℃で攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以下、単に「トリアミン」と称することがある。)(0.17部)を添加し、重合を開始させた。途中、アクリル酸n−ブチル(400部)を連続的に滴下し、さらにトリアミンを適宜添加しながら反応溶液の温度が80℃〜90℃になるように加熱撹拌することにより、臭素基両末端重合体を得た。
得られた臭素基両末端重合体(100部)をN,N−ジメチルアセトアミド(100部
)に溶解し、アクリル酸カリウム(1.80部),4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン(0.01部)を加え、70℃で加熱攪拌し、アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体[1])を得た。精製後の重合体の数平均分子量は23000、分子量分布は1.15、平均末端アクリロイル基数は1.7であった。
(実施例1)
6Lの回転撹拌機付きオートクレーブ内に、蒸留水2250g、第三リン酸カルシウム3.5g、α―オレフィンスルホン酸ソーダ0.14gを仕込んだ。次いで、スチレン1778g、アクリロニトリル338g、製造例1で得られた両末端にアクリロイル基を有する重合体[1]135gの混合溶液にベンゾイルパーオキサイド6g、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン3.5g、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン4.5g、ヤシ油22.5gを溶解させ、オートクレーブに仕込んだ。次に、該オートクレーブを85℃の温度まで昇温し、同温度で4時間重合させ、ビーズ状の重合体[2]を得た。
(実施例2)
実施例1と同様の条件で、スチレン/アクリロニトリル/重合体[1]/ヤシ油の重量比を71.5/22.5/6/1として、ビーズ状の重合体[3]を得た。
(比較例1)
実施例1と同様の条件で、重合体[1]は添加せずに、スチレン/アクリロニトリル/
ヤシ油の重量比を76.1/23.9/1として、ビーズ状の重合体[4]を得た。
上記実施例1、2及び比較例1において得られた重合体[2]〜[4]を用いて、試験片を作製し、各重合体の物性を次のようにして評価した。
〔試験片の作製〕
実施例1、2及び比較例1において得られた重合体[2]〜[4]を、射出成形機(型締め力30ton射出成形機)にてノズル設定温度200℃、金型温度40℃、射出圧力40kg/cmの条件にて、JIS K 6251 3号ダンベル形状に成形し、試験片を作製した。
〔物性の評価〕
各重合体[2]〜[4]から作製された試験片を使用して、各重合体の物性を評価した。
(熱可塑性)
いずれの試験片とも、バリ、ヒケ、離型性共に問題なく、変性された樹脂も良好な熱可塑性を維持していることが目視で確認できた。
(柔軟性)
各試験片を、手で破壊する程度まで折り曲げて、重合体の柔軟性を評価した。重合体[4]は、90°曲げる前に破壊した。一方、重合体[2]及び[3]は、十分な強度を保ちながらも180°折り曲げても破断せず、柔軟性が付与されていることが確認できた。
この結果から、衝撃強度も向上していると考えられる。
(引張物性)
各試験片を、JIS K 7113に準拠して、オートグラフで、テストスピード200mm/min、23℃×55%R.H.の条件下で引張物性を測定した。その結果を表1に示す。
尚、表1中のTMは最大強度、EBは破断伸びを示す。
Figure 0005344816
この結果から、変性された重合体[2]及び[3]は、最大強度はあまり低下せずに伸びが向上していることが確認できた。
(耐衝撃性試験)
実施例1で得られた重合体[2]および比較例1で得られた重合体[4]を、射出成形機(型締め力30ton射出成形機)にてノズル設定温度200℃、金型温度40℃、射出圧力40kg/cmの条件にて、JIS−K−7110(硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法)の試験片形状に成形し、アイゾット衝撃試験を行った。試験条件は、測定温度23℃、ノッチ=Vノッチ、試験片厚み=3.2mmとした。結果を表2に示す。
Figure 0005344816
この結果から、変性された重合体[2]は衝撃強度が向上していることが確認できた。

Claims (38)

  1. ビニル系重合体(I)に付加重合性モノマーを付加重合させて得られる熱可塑性樹脂であって、
    前記付加重合性モノマーの付加重合は、ラジカル重合性モノマーのラジカル重合であるか、又は、アニオン重合性モノマーのアニオン重合であり、
    ビニル系重合体(I)は、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも2つの分子末端にそれぞれ1個以上有し、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.8未満のものであり、
    ビニル系重合体(I)の主鎖は、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されたものであり、
    前記付加重合性モノマーおよびビニル系重合体(I)の総量に対するビニル系重合体(I)の重量比が1〜20%である
    ことを特徴とする、熱可塑性樹脂。
  2. ビニル系重合体(I)の主鎖が、ラジカル重合により製造されたものである請求項1記載の熱可塑性樹脂。
  3. ビニル系重合体(I)の主鎖が、リビングラジカル重合により製造されたものである請求項2記載の熱可塑性樹脂。
  4. リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合である請求項3記載の熱可塑性樹脂。
  5. 原子移動ラジカル重合の触媒とする金属錯体が銅の錯体である請求項4記載の熱可塑性樹脂。
  6. ビニル系重合体(I)の主鎖が、連鎖移動剤を用いたビニル系モノマーの重合により製造されたものである請求項1記載の熱可塑性樹脂。
  7. ビニル系重合体(I)の主鎖が(メタ)アクリル酸エステルを主として重合して製造されたものである請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  8. ビニル系重合体(I)の主鎖がアクリル酸エステルを主として重合して製造されたものである請求項記載の熱可塑性樹脂。
  9. ビニル系重合体(I)の数平均分子量が3000以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  10. ビニル系重合体(I)の数平均分子量が5000以上である、請求項記載の熱可塑性樹脂。
  11. ビニル系重合体(I)の数平均分子量が10000以上である、請求項10記載の熱可塑性樹脂。
  12. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した、ビニル系重合体(I)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.5以下である、請求項1〜11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  13. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したビニル系重合体(I)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.3以下である、請求項12記載の熱可塑性樹脂。
  14. ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基が、一般式1:
    −OC(O)C(R)=CH (1)
    (式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)
    で表される基である請求項1〜13いずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  15. 前記一般式1中のRが水素、または、メチル基である請求項14記載の熱可塑性樹脂。
  16. ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基が、他の炭素−炭素二重結合と共役した炭素−炭素二重結合である請求項1〜13のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  17. ビニル系重合体(I)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基が、芳香族環と共役した炭素−炭素二重結合である請求項16記載の熱可塑性樹脂。
  18. ビニル系重合体(I)が、ビニル系重合体の末端ハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造されたものである請求項1〜17のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  19. ビニル系重合体(I)が、一般式2:
    −CRX (2)
    (式中、R、Rは、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
    で表されるビニル系重合体の末端ハロゲン基を、一般式3
    +−OC(O)C(R)=CH(3)
    (式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Mはアルカリ金属、また
    は4級アンモニウムイオンを表す。)
    で示される化合物で置換することにより製造されたものである請求項18記載の熱可塑性樹脂。
  20. ビニル系重合体(I)が、末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式4
    XC(O)C(R)=CH (4)
    (式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
    で示される化合物との反応を行って製造されたものである請求項1〜17のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  21. ビニル系重合体(I)が、末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式5
    HO−R’−OC(O)C(R)=CH (5)
    (式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
    で示される化合物との反応を行って製造されたものである請求項1〜17のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  22. ビニル系重合体(I)が、直鎖状重合体である請求項1〜21のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  23. ビニル系重合体(I)が、枝分かれした重合体である請求項1〜21のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  24. ラジカル重合性モノマーが、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ハロゲン化ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主成分とする請求項1〜23のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  25. ラジカル重合性モノマーが、スチレンおよび/またはアクリルニトリルを主成分とする請求項24記載の熱可塑性樹脂。
  26. ラジカル重合性モノマーが、塩化ビニルを主成分とする請求項24記載の熱可塑性樹脂。
  27. ラジカル重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする請求項24記載の熱可塑性樹脂。
  28. アニオン重合性モノマーが、(メタ)アクリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、及びジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマーを主成分とする請求項1〜23のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  29. アニオン重合性モノマーが、スチレンを主成分とする請求項28記載の熱可塑性樹脂。
  30. アニオン重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする請求項28記載の熱可塑性樹脂。
  31. アニオン重合性モノマーが、ブタジエンおよび/またはイソプレンを主成分とする請求項28記載の熱可塑性樹脂。
  32. ラジカル重合が、水系重合である請求項1〜27のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  33. 水系重合が、懸濁重合である請求項32記載の熱可塑性樹脂。
  34. 水系重合が、乳化重合である請求項32記載の熱可塑性樹脂。
  35. ラジカル重合が、溶液重合である請求項1〜27のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  36. ラジカル重合が、塊状重合である請求項1〜27のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  37. ラジカル重合が、リビングラジカル重合である請求項1〜27のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  38. リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合である請求項37記載の熱可塑性樹脂。
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