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JP5360766B2 - ダイヤモンド半導体デバイス - Google Patents
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Description

本発明は、ダイヤモンド基板を用いたダイヤモンド半導体デバイスに関する。
ダイヤモンド基板を用いた半導体デバイスとして、特開平8−88235号公報には、表面を水素原子で終端した水素終端ホモエピタキシャルダイヤモンド基板の表面に金からなるソース電極及びドレイン電極と、アルミニウムからなるゲート電極を設けてなる電界効果型トランジスタが開示されている。また、特開2004−109020号公報には、液体電解質をゲートとして使用し、オゾン処理により水素終端表面を部分的に酸化し、水素終端と酸素終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしてなるpチャネル電界効果型トランジスタが開示されている。
この種半導体デバイスでは、電極と基板の界面に基板の水素終端を存在させることで、その導電性を改善し、特性を良好にすることが行われている。
しかしながら、このような従来の半導体デバイスでは、電極設置箇所以外の基板表面にも水素終端が形成され、電極からダイヤモンド界面を介してダイヤモンド内部を伝導する電気伝導の他、電極間の基板表面での電気伝導、すなわち表面漏れ電流が発生する。この後者の表面漏れ電流は表面吸着物の種類や量に大きく依存して変化するため、デバイス動作を不安定化させてしまう。そして、この動作不安定化は高温等、厳しい環境下では特に顕著になるという問題があった。
本発明は、水素終端の有する機能を最大限に発揮しながら、表面漏れ電流の発生を防止し、デバイス動作の安定化、特に高温等の厳しい環境下でのデバイス動作の安定化を図ることができるダイヤモンド半導体デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1には、本発明のダイヤモンド半導体デバイスは、ダイヤモンド基板の表面に、電流を流す対をなす電極が固定されてなるダイヤモンド半導体デバイスであって、前記ダイヤモンド基板が、不純物をドープし、導電性を付与したダイヤモンド単結晶基板であり、前記ダイヤモンド基板の表面の内、前記対をなす両電極との界面の内少なくとも一方が水素終端を有し、かつ、少なくとも前記対をなす両電極間の基板表面を酸素終端又は無終端として基板内部よりも大きい電気抵抗値となるようにし、両電極間の基板表面の漏れ電流の発生を阻止させるようにしたことを特徴とする。
第2には、前記第1のダイヤモンド半導体デバイスにおいて、少なくとも両電極間の基板表面は、酸素終端表面であることを特徴とする。
第3には、前記第1のダイヤモンド半導体デバイスにおいて、少なくとも両電極間の基板表面は、無終端表面であることを特徴とする。
本発明のダイヤモンド半導体デバイスは、一対の電極間の基板表面の電気抵抗値が基板内部よりも大きく設定されているので、電極間の基板表面に漏れ電流が流れることはなく、電極間の導電性は安定したダイヤモンド基板内部の導電性を反映している。このため、常温においてはもちろん、高温等の厳しい環境下であっても、導電性の変化を伴わないのでダイヤモンド本来の安定した動作を保証することができる。
また、水素終端を電極と基板の界面に存在させることにより、電極と基板との界面の導電性の制御性を高め、金属の仕事関数、即ち金属の種類を変えることで、その導電性を調整して所望のデバイス特性を得ることができる。具体的には、金属とダイヤモンドの界面に形成されるショットキー障壁の高さを、金属の仕事関数を適切に選択することにより決定することができ、整流性のショットキー電極や通電性のオーミック電極を、熱処理などの特別な処理を施すことなく、容易に形成することができる。このため、例えば基板としてp型ダイヤモンドを用いた場合、電極材料として、仕事関数の大きい金を用いるとオーミック特性を、仕事関数の小さいアルミニウムを用いるとショットキー特性を得ることができる。
また、本発明のダイヤモンド半導体デバイスにおいて、ショットキー電極と基板の界面に水素終端が存在しない整流ダイオードを形成する場合、その表面を高エネルギー光線の照射で形成することにより、ダイオードの絶縁電圧を高耐圧化することができる。
図1は、本発明による第1のタイプのダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明による第1のタイプの別のダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明による第1のタイプのさらに別のダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明による第1のタイプのさらに別のダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図5は、図1のダイヤモンド半導体デバイスの製造方法の説明図である。 図6は、本発明による第2のタイプのダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明による第2のタイプの別のダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図8は、本発明による第2のタイプのさらに別のダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図9は、本発明による第2のタイプのさらに別のダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図10は、図6のダイヤモンド半導体デバイスの製造方法の説明図である。 図11は、参考例のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図12は、実施例1のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図13は、実施例2のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図14は、実施例3のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図15は、実施例4のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図16は、比較例1のダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示す断面図である。 図17は、比較例1のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図18は、実施例6のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図19は、実施例7のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図20は、実施例8のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図21は、実施例9のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。 図22は、比較例2のダイヤモンド半導体デバイスの構造を模式的に示すグラフである。 図23は、比較例2のダイヤモンド半導体デバイスの通電特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係るダイヤモンド半導体デバイスについて説明する。
本発明のダイヤモンド半導体デバイスは、ダイヤモンド基板上に一対の電極が形成され、前記ダイヤモンド基板の表面のうち、一対の電極との界面の少なくとも一方が水素終端を有し、かつ、少なくとも両電極間の基板表面が絶縁領域となっていることを重要な特徴とする。
また、基板表面の絶縁領域は、酸素終端または無終端化により形成される。これらの絶縁領域は1原子層レベルの酸素終端面または無終端面であると考えられる。
図1ないし図4に、基板表面の絶縁領域を酸素終端により形成したダイヤモンド半導体デバイスの構成例を模式的に断面図で示す。
図1の例では、半導体性を有するダイヤモンド基板(1)の同一表面上に電極(3)と電極(4)が離間配置されており、ダイヤモンド基板(1)と電極(3)の界面においてダイヤモンド基板(1)の表面が水素終端(2)となっている。その他のダイヤモンド基板(1)の表面のうち、電極(3)が設置されている箇所以外の表面は、ダイヤモンド基板(1)と電極(4)の界面、および電極(3)と電極(4)との間を含め、酸素終端(5)による絶縁領域となっている。本明細書において「酸素終端による絶縁領域」とは、酸素終端(5)の処理によってその領域の電気抵抗がダイヤモンド基板(1)の内部の電気抵抗より大きくなった領域のことをいう。この例では、電極(3)と電極(4)の間に形成された絶縁領域が表面漏れ電流を阻止するため、高温や真空等、厳しい環境下においてもデバイスの動作を安定に維持する。
図2の例では、半導体性を有するダイヤモンド基板(1)の同一表面上に電極(3)と電極(4)が離間配置されており、ダイヤモンド基板(1)と電極(3)の界面と、ダイヤモンド基板(1)と電極(4)の界面の両方において、ダイヤモンド基板(1)の表面が水素終端(2)となっている。また、ダイヤモンド基板(1)の表面のうち、電極(3)と電極(4)が設置されている箇所以外の表面は、電極(3)と電極(4)との間を含め、酸素終端(5)による絶縁領域となっている。この例でも、電極(3)と電極(4)の間に形成された絶縁領域が表面漏れ電流を阻止するため、高温や真空等、厳しい環境下においてもデバイスの動作を安定に維持する。
図3の例では、半導体性を有するダイヤモンド基板(1)の一方の表面上に電極(3)が配置され、反対側の表面に電極(4)が配置されている。そして、ダイヤモンド基板(1)と電極(3)の界面と、ダイヤモンド基板(1)と電極(4)の界面の両方において、ダイヤモンド基板(1)の表面が水素終端(2)となっている。また、ダイヤモンド基板(1)の両方の表面のうち、電極(3)が設置されている箇所以外の表面と、電極(4)が設置されている箇所以外の表面は、酸素終端(5)による絶縁領域となっている。このような構成の場合、酸素終端(5)による絶縁領域がないと、例えば電極(3)からその電極側の基板表面、基板側面、他方の基板表面、他方の電極(4)の経路で表面漏れ電流が流れるが、酸素終端(5)による絶縁領域により、この表面漏れ電流が阻止される。
図4の例は、図1の構成において、ダイヤモンド基板(1)の表面が水素終端(2)となっている上に設けられた電極(3)の上部を保護層(6)で覆った例である。この保護層(6)は、電極(3)の酸化の防止、機械的損傷の防止等を目的として必要に応じて設けることができる。
この実施形態の例では、オゾンあるいは活性酸素雰囲気中で高エネルギー光線を、水素終端(2)を有するダイヤモンド基板(1)の表面に照射することにより酸素終端(5)による絶縁領域が形成される。即ち、照射された高エネルギー線が水素終端を構成する水素とダイヤモンドの結合を切断し、オゾンあるいは活性酸素は、切断された水素に直接接触して酸化物(水)を生成するとともに、酸素終端(5)を形成する。
高エネルギー光線の波長としては、C−H結合エネルギーに対応する波長287nm以下である必要があり、C−H結合の切断断面積が最大となる100nm付近の紫外線が望ましく、例えば126nmや172nmの単色光源が望ましい。また、光放射照度は大きいことが望ましく、例えば1mW/cm以上であることが望ましい。照度は水素終端(2)を有するダイヤモンド基板(1)の面内で均一である必要があるため、光放射面積は4mm以上であることが望ましい。これを達成するにはエキシマランプを用いるのが容易である。
電極(3)、(4)の形成は、真空蒸着法等、公知の各種の方法を用いることができる。電極(3)、(4)の膜厚は目的、用途に応じて適宜設定されるが、通常、20〜500nm程度である。
本発明では、水素終端(2)を用いることで、熱処理なしに、通電性のオーミック電極あるいは整流性のショットキー電極を形成することができる。更に、ダイヤモンド基板の伝導部は、表面伝導層ではなく、ダイヤモンド内部の伝導としているため、高温等、厳しい環境下でも安定して動作することができる。
p型ダイヤモンドに対して、例えば金を電極に用いた場合、水素終端では通電特性が、酸素終端ではダイオード特性が得られることが分かっている。従来手法ではダイヤモンド基板表面に複数の電極を形成した場合、そのうちの一部の電極と基板の界面における終端構造を、別の電極と基板の界面における終端構造と異なるようにすることができなかった。
本発明では、同一基板表面上であっても、電極との界面の終端構造を異なるように形成することができ、同一金属でダイオード特性を示すショットキー接合と通電特性を示すオーミック接合が得られるため、同一金属を電極材料として使用してのイオードを作製することも可能となる。
ショットキー接合の場合、金属には、p型ダイヤモンドに対しては仕事関数が小さなアルミニウムやマグネシウムが望ましく、n型ダイヤモンドに対しては仕事関数の大きな金やプラチナが望ましい。オーミック接合の場合、金属には、p型ダイヤモンドに対しては仕事関数の大きな金やプラチナが望ましく、n型ダイヤモンドに対しては仕事関数が小さなアルミニウムやマグネシウムが望ましい。もちろん、その他の適宜の材料選択が可能である。
図4のように保護層(6)を設ける場合、保護層(6)は一種類の導電性材料からなる膜であってもよいし、二種類以上の導電性材料からなる積層構造の膜であってもよい。典型的には三層の積層構造のものとされるが、その場合、最下層はダイヤモンドとの密着性が高い材料、最上層は電極全体の酸化を防ぐ、あるいは後プロセスで行われるワイヤボンダーにおいてワイヤーとの密着性が高い材料からなっていることが好ましい。中間層としては、最上層の金属と最下層の金属が混合しないように障壁層としての機能があるものを使用することが好ましい。
保護層(6)の外周は電極(3)の外周より大きいため、最下層の一部はダイヤモンドに直接密着し、また最下層の一部は電極(3)を上部より覆うため、機械的衝撃や高温環境下においても、保護層(6)が破損を受けない限りは電極金属の剥離や凝集は生じず、安定に保持される。
例えば、チタン(最下層)、プラチナ(中間層)、金(最上層)の積層が代表的なものとして挙げられる。
これと同様に用いられる導電性材料としては、以下のようなものがある。最下層はダイヤモンドと反応して炭化物を形成する金属であり、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、クロム、ジルコニウム、ニオブ、ケイ素、バナジウム、マンガンがある。中間層と最上層は、ニッケル、パラジウム、プラチナ、金、銀、銅、コバルト、ロジウム、イリジウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、図1に示す構成を有するダイヤモンド半導体デバイスの製造方法の例について図5を用いて説明する。
ステップ1:半導体性を有するダイヤモンド基板(1)の上面を、例えばマイクロ波プラズマCVD法により水素終端処理を行い、水素終端(2)を形成する。
ステップ2:一般的な真空蒸着法による電極形成方法を用い、一方の電極(3)を、水素終端処理された基板表面上に形成する。
ステップ3:オゾンまたは活性酸素雰囲気(8)中で高エネルギー光線(7)を水素終端(2)で覆われたダイヤモンド基板(1)表面に照射し、酸素終端(5)による絶縁領域を形成する。尚、オゾンまたは活性酸素雰囲気(8)は、反応系内を酸素含有気体で満たし、ダイヤモンド基板(1)表面に照射する高エネルギー光線(7)をこの気体にも同時に照射することでも生成される。
ステップ4:もう一方の電極(4)を、一般的な真空蒸着法による電極形成方法を用い、所定の位置に形成する。
以上により、図1に示す構成のダイヤモンド半導体デバイスが作製される。
なお、図1に示す構成以外の構成のダイヤモンド半導体デバイスについても、プロセスは少し異なるが、基本的には同様な手法により作製することができる。
次に、基板表面の絶縁領域を無終端化により形成する場合について説明する。
図6ないし図9に、基板表面の絶縁領域を無終端化により形成したダイヤモンド半導体デバイスの構成例を模式的に断面図で示す。
図6の例では、半導体性を有するダイヤモンド基板(1)の同一表面上に電極(3)と電極(4)が離間配置されており、ダイヤモンド基板(1)と電極(3)の界面においてダイヤモンド基板(1)の表面が水素終端(2)となっている。また、ダイヤモンド基板(1)の表面のうち、電極(3)が設置されている箇所以外の表面は、ダイヤモンド基板(1)と電極(4)の界面、および電極(3)と電極(4)との間を含め、無終端化による絶縁領域となっている。本明細書において「無終端化」とは、表面に水素や酸素といった終端原子が存在しない表面とすることをいう。また、「無終端化による絶縁領域」とは、無終端化によってその領域の電気抵抗がダイヤモンド基板(1)の内部の電気抵抗より大きくなった領域のことをいう。この例では、電極(3)と電極(4)の間に形成された絶縁領域が表面漏れ電流を阻止するため、高温や真空等、厳しい環境下においてもデバイスの動作を安定に維持する。
図7の例では、半導体性を有するダイヤモンド基板(1)の同一表面上に電極(3)と電極(4)が離間配置されており、ダイヤモンド基板(1)と電極(3)の界面と、ダイヤモンド基板(1)と電極(4)の界面の両方において、ダイヤモンド基板(1)の表面が水素終端(2)となっている。また、ダイヤモンド基板(1)の表面のうち、電極(3)と電極(4)が設置されている箇所以外の表面は、電極(3)と電極(4)との間を含め、無終端化による絶縁領域となっている。この例でも、電極(3)と電極(4)の間に形成された絶縁領域が表面漏れ電流を阻止するため、高温や真空等、厳しい環境下においてもデバイスの動作を安定に維持する。
図8の例では、半導体性を有するダイヤモンド基板(1)の一方の表面上に電極(3)が配置され、反対側の表面に電極(4)が配置されている。そして、ダイヤモンド基板(1)と電極(3)の界面と、ダイヤモンド基板(1)と電極(4)の界面の両方において、ダイヤモンド基板(1)の表面が水素終端(2)となっている。また、ダイヤモンド基板(1)の両方の表面のうち、電極(3)が設置されている箇所以外の表面と、電極(4)が設置されている箇所以外の表面は、無終端化による絶縁領域となっている。このような構成の場合、無終端化による絶縁領域がないと、例えば電極(3)からその電極側の基板表面、基板側面、他方の基板表面、他方の電極(4)の経路で表面漏れ電流が流れるが、無終端化による絶縁領域により、この表面漏れ電流が阻止される。
図9の例は、図6の構成において、ダイヤモンド基板(1)の表面が水素終端(2)となっている上に設けられた電極(3)の上部を保護層(6)で覆った例である。この保護層(6)は、電極(3)の酸化の防止、機械的損傷の防止等を目的として必要に応じて設けることができる。
図6ないし図9に示す無終端化による絶縁領域を有するダイヤモンド半導体デバイスは、前記の酸素終端(5)による絶縁領域を有するダイヤモンド半導体デバイスとは、「酸素終端」と「無終端化」において相違しており、その他については共通しているので、以下、この相違する点を中心に述べる。
本発明では、真空中で高エネルギー光線を水素終端(2)を有するダイヤモンド基板(1)の表面に照射することにより無終端化された絶縁領域を得る。即ち、照射された高エネルギー光線が水素終端を構成する水素とダイヤモンドの結合を切断し、水素を表面から脱離させ、無終端化面を形成する。
この場合の高エネルギー光線の波長としては、前記と同様、C−H結合エネルギーに対応する波長287nm以下である必要があり、C−H結合の切断断面積が最大となる100nm付近の紫外線が望ましく、例えば126nmや172nmの単色光源が望ましい。また光放射照度は大きいことが望ましく、例えば1mW/cm以上であることが望ましい。照度は水素終端(2)を有するダイヤモンド基板(1)の面内で均一である必要があるため、光放射面積は4mm以上であることが望ましい。これを達成するにはエキシマランプを用いるのが容易である。また、真空紫外線や軟X線も使用可能である。
本発明において、酸素終端による絶縁領域と無終端化による絶縁領域は、電極間の暴露表面部では伝導性の安定化と、電極金属との界面部ではショットキーダイオードの高耐圧化ということから、ダイヤモンド半導体デバイスにおいて同様な作用効果を奏する領域に位置づけられる。
次に、図6に示す構成のダイヤモンド半導体デバイスの製造方法の例について図10を用いて説明する。
ステップ1:半導体性を有するダイヤモンド基板(1)の上面を、例えばマイクロ波プラズマCVD法により水素終端処理を行い、水素終端(2)を形成する。
ステップ2:一般的な真空蒸着法による電極形成方法を用い、一方の電極(3)を、水素終端処理された基板表面上に形成する。
ステップ3:真空中で高エネルギー光線(7)を照射し、無終端化された絶縁領域を形成する。
ステップ4:もう一方の電極(4)を、一般的な真空蒸着法による電極形成方法を用い、所定の位置に形成する。
以上により、図6に示す構成のダイヤモンド半導体デバイスが作製される。
なお、図6に示す構成以外の構成のダイヤモンド半導体デバイスについても、プロセスは少し異なるが、基本的には同様な手法により作製することができる。
なお、上記では、ダイヤモンド半導体デバイスを構成する各部に用いられる材料や性状、酸素終端処理や無終端化処理における望ましい値や範囲を例示したが、これらは目的、用途等において適切に設定することができるものである。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。
[参考例]
本参考例は、ダイヤモンド基板表面の絶縁化を説明するためのものである。
ダイヤモンドとして高抵抗ダイヤモンド単結晶(寸法:縦3mm×横3mm×厚み0.5mm)上に形成したノンドープの単結晶(寸法:縦3mm×横3mm×厚み10μm)を用い、マイクロ波プラズマCVD法により、下記の条件で単結晶基板の表面に水素終端処理を施した。
条件:反応ガス:水素、反応圧力:100Torr、基板温度:900℃、反応時間:1時間、マイクロ波出力:700Wである。
次に、酸素ガス含有雰囲気中でエキシマランプから放射された紫外線を以下の条件でそれぞれ水素終端されたダイヤモンド基板表面に照射した。
(A)波長172nm、放射照度10mW/cm、照射時間10分、雰囲気は酸素、圧力100Torrとした。
(B)波長172nm、放射照度10mW/cm、照射時間1分、雰囲気は大気、圧力760Torrとした。
(C)波長126nm、放射照度1mW/cm、照射時間10分、雰囲気は酸素、圧力1Torrとした。
上記処理を施した基板上に、チタン/金の積層膜(チタン:20nm厚、金:40nm厚)よりなる一対の電極を真空蒸着法により形成した。電極間間隔は150μmとした。電極形成後、真空中にて600で30分間熱処理して、サンプルを作製した。そしてこれらのサンプルの通電特性を室温で電流−電圧法により測定した。電流−電圧法とは、規格番号 JISC2525に記載の2端子による抵抗測定法と同じ測定回路において、抵抗計に変わり電圧源と電流計を用いてダイオード特性を評価する手法であり、電圧を走査して電流を測定法である。その結果を図11に示す。各データの電流値のゼロは右軸に記す。ゼロより上がプラス、下がマイナスとなっている。縦軸の矢印で示す範囲は0.1(pA)である。
図11より、電極間に500Vの電圧を印加しても、漏れ電流は計測器の測定限界以下であることから、ダイヤモンド表面が十分な絶縁性に変換されていることがわかる。
[実施例1]
ホウ素を2×1015cm−3の濃度でドープしたp型半導体性の単結晶(寸法:縦3mm×横3mm×厚み20μm)を高抵抗ダイヤモンド単結晶(寸法:縦3mm×横3mm×厚み0.5mm)上に形成した結晶を基板として用い、上記参考例と同様にして単結晶基板(1)の表面に水素終端処理を施した。
次に、金を電極材料として用い、水素終端(2)が形成された表面上に真空蒸着法により膜厚40nmの電極(3)を形成した。
次に、エキシマランプを用い紫外線を、波長172nm、放射照度10mW/cm、照射時間は10分、酸素雰囲気、酸素分圧100Torrの条件で、電極(3)が形成された基板(1)上に照射し、電極(3)が形成された箇所以外の基板(1)の表面に、酸素終端(2)による絶縁領域を形成した。
次に、金を電極材料として用い、酸素終端(2)が形成された表面上の適所に真空蒸着法により膜厚40nmの電極(4)を形成し、図1に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
上記で作製したダイヤモンド半導体デバイスについて、室温で電流−電圧測定法により通電特性を測定した。図12にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、良好なダイオード特性が得られていることがわかる。また、絶縁破壊電圧が400V以上と優れた耐圧特性を示した。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[実施例2]
実施例1において、金からなる電極(4)を水素終端(2)が形成された表面上に設けたこと以外は同様にして図2に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
このダイヤモンド半導体デバイスについて、実施例2と同様に、室温で電流−電圧測定法により通電特性を調べた。図13にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、良好な導電性が得られていることがわかる。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[実施例3]
ホウ素を1×1016cm−3の濃度でドープしたp型半導体性の単結晶(寸法:縦3mm×横3mm×厚み0.5mm)を基板として用い、上記参考例と同様にして単結晶基板(1)の両方の表面にそれぞれ水素終端処理を施した。
次に、金を電極材料として用い、水素終端(2)が形成された表面上に真空蒸着法により膜厚40nmの電極(3)を形成した後、同様に、金を電極材料として用い、水素終端(2)が形成された反対側の表面上に真空蒸着法により膜厚40nmの電極(4)を形成した。
次に、エキシマランプを用い紫外線を、波長172nm、放射照度10mW/cm、照射時間は10分、酸素雰囲気、酸素分圧100Torrの条件で、電極(3)が形成された基板(1)上に照射し、電極(3)が形成された箇所以外の基板(1)の表面に、酸素終端(2)による絶縁領域を形成した。また、同様にして、電極(4)が形成された箇所以外の基板(1)の表面に、酸素終端(2)による絶縁領域を形成した。これにより、図3に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
上記で作製したダイヤモンド半導体デバイスについて、室温で電流−電圧測定法により通電特性を測定した。図14にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、良好な導電性が得られたことがわかる。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[実施例4]
実施例2において、金からなる電極(4)の代わりにアルミニウムからなる電極(4)を設けたこと以外は同様にして図2に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
このダイヤモンド半導体デバイスについて、実施例2と同様に、室温で電流−電圧測定法により通電特性を測定した。図15にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、良好なダイオード特性が得られていることがわかる。この結果は、基板としてp型ダイヤモンドを用いた場合において、電極とダイヤモンドの界面のダイヤモンド表面が水素終端されている場合、電極材料として、仕事関数の大きい金を用いるとオーミック特性を、仕事関数の小さいアルミニウムを用いるとショットキー特性を得ることができる事を実証している。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[実施例5]
実施例1において、金からなる電極(3)を設けた後に、チタン(最下層:20nm厚)、プラチナ(中間層:20nm厚)、金(最上層:20nm厚)の積層からなる保護層(6)を真空蒸着法により設けたこと以外は同様にして図4に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
このダイヤモンド半導体デバイスは、高温下でも安定に動作した。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[比較参考例]
参考例と同様に水素終端を表面に形成したノンドープダイヤモンド単結晶基板を用い、酸素ガス含有雰囲気中で超高圧水銀ランプから放射された紫外線ないし短波長の可視光を以下の条件でそれぞれ水素終端を有するダイヤモンド基板表面に照射した。
波長290nm以上(主な輝線波長365nm、405nm、および436nm)、放射照度(波長積分)6mW/cm、照射時間120分、雰囲気は酸素、圧力100Torrとした。
上記処理を施した基板上に、参考例と同様な一対の電極を真空蒸着法により形成した後、同様な熱処理を行い、サンプルを作製した。そしてこれらのサンプルの通電特性を室温で電流−電圧法により測定した。その結果、上記処理を施す前と比べて通電特性は変化せずに良好な導電性を示し、参考例に示すような絶縁特性は得られなかった。
[比較例1]
実施例2において、水素終端(2)を設けずに基板(1)の表面全体を酸素終端(5)により絶縁領域としたこと以外は同様にして図16に示す構造のデバイスを作製した。
このデバイスについて実施例1と同様に、室温で電流−電圧測定法により通電特性を測定した。図17にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、導電性が得られていないことがわかる。
[実施例6]
ホウ素を2×1015cm−3の濃度でドープしたp型半導体性の単結晶(寸法:縦3mm×横3mm×厚み20μm)を高抵抗ダイヤモンド単結晶(寸法:縦3mm×横3mm×厚み0.2mm)上に形成した結晶を基板として用い、上記参考例と同様にして単結晶基板(1)の表面に水素終端処理を施した。
次に、金を電極材料として用い、水素終端(2)が形成された表面上に真空蒸着法により膜厚40nmの電極(3)を形成した。
次に、エキシマランプを用い紫外線を、真空中で、波長172nm、放射照度10mW/cm、照射時間60分の条件で、電極(3)が形成された基板(1)上に照射し、電極(3)が形成された箇所以外の基板(1)の表面に無終端化による絶縁領域を形成した。
次に、金を電極材料として用い、無終端化による絶縁領域が形成された基板表面上の適所に真空蒸着法により膜厚40nmの電極(4)を形成し、図6に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
上記で作製したダイヤモンド半導体デバイスについて、室温で電流−電圧測定法により通電特性を測定した。図18にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、良好なダイオード特性が得られていることがわかる。また、絶縁破壊電圧が400V以上と優れた耐圧特性を示した。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[実施例7]
実施例6において、金からなる電極(4)を水素終端(2)が形成された表面上に設けたこと以外は同様にして図7に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
このダイヤモンド半導体デバイスについて、実施例6と同様に、室温で電流−電圧測定法により通電特性を測定した。図19にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、良好な導電性が得られていることがわかる。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[実施例8]
実施例7において、金からなる電極(4)の代わりにアルミニウムからなる電極(4)を設けたこと以外は同様にして図7に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
このダイヤモンド半導体デバイスについて、実施例5と同様に、室温で電流−電圧測定法により通電特性を測定した。図20にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、良好なダイオード特性が得られていることがわかる。この結果は、基板としてp型ダイヤモンドを用いた場合において、電極とダイヤモンドの界面のダイヤモンド表面が水素終端されている場合、電極材料として、仕事関数の大きい金を用いるとオーミック特性を、仕事関数の小さいアルミニウムを用いるとショットキー特性を得ることができる事を実証している。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[実施例9]
ホウ素を1×1016cm−3の濃度でドープしたp型半導体性の単結晶(寸法:縦3mm×横3mm×厚み0.2mm)を基板として用い、上記参考例と同様にして単結晶基板(1)の表面に水素終端処理を施した。
次に、金を電極材料として用い、水素終端(2)が形成された表面上に真空蒸着法により膜厚40nmの電極(3)を形成した。また、金を電極材料として用い、反対側の表面上に真空蒸着法により膜厚40nmの電極(4)を形成した。
【0098】
次に、エキシマランプを用い紫外線を、真空中で、波長172nm、放射照度10mW/cm、照射時間60分の条件で、電極(3)が形成された基板(1)上に照射し、電極(3)が形成された箇所以外の基板(1)の表面に無終端化による絶縁領域を形成した。同様にして、電極(4)が形成された箇所以外の基板(1)の表面に無終端化による絶縁領域を形成した。図8に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
【手続補5】
【補正対象書類名】 図面
【補正対象項目名】 図10
【補正方法】 変更
【補正の内容】
【図10】
Figure 0005360766
上記で作製したダイヤモンド半導体デバイスについて、室温で電流−電圧測定法により通電特性を測定した。図21にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、良好な導電性が得られていることがわかる。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[実施例10]
実施例6において、金からなる電極(3)を設けた後に、チタン(最下層:20nm厚)、プラチナ(中間層:20nm厚)、金(最上層:20nm厚)の積層からなる保護層(6)を真空蒸着法により設けたこと以外は同様にして図9に示す構造のダイヤモンド半導体デバイスを作製した。
このダイヤモンド半導体デバイスは、高温下でも安定に動作した。また、表面漏れ電流の発生は見られなかった。
[比較例2]
実施例7において、水素終端(2)を設けずに基板(1)の表面全体を無終端化による絶縁領域としたこと以外は同様にして図22に示す構造のデバイスを作製した。
このデバイスについて実施例6と同様に、室温で電流−電圧測定法により測定を行った。図23にその測定結果をグラフで示す。このグラフより、導電性が得られていないことがわかる。
本発明における半導体デバイスは、ダイヤモンドを基盤としたパワーデバイスであり、低電力損失、高温動作、高速制御の点で従来デバイスに比べて優れた特性をもち、デバイスパッケージのサイズを小型化できる点が特徴である。応用分野には、産業モータや電気自動車などのインバーターに用いることが挙げられる。
また、高エネルギー荷電粒子やX線などの放射線、及び紫外線を検出するセンサーとして用いることができ、その優れた耐放射線特性と無冷却動作可能なことから、過酷な環境下において、小型・メンテナンスフリーでの使用が可能である。応用分野としては、原子炉や核処理施設、あるいは宇宙空間における放射線計測が挙げられる。
また、本発明で使用する表面処理法は、上記デバイスを作製する上での歩留まりを向上させ、更には特性を改善する。ダイヤモンド表面の酸素終端化はダイヤモンドを基盤としたデバイスの作製プロセスの根幹を成すものであり、従来法では不可避であった加熱処理を施すことなく、無終端な酸化表面の形成を可能とする本プロセスは、デバイス作製プロセス全体の手順に大きな自由度を与える。

Claims (3)

  1. ダイヤモンド基板の表面に、電流を流す対をなす電極が固定されてなるダイヤモンド半導体デバイスであって、
    前記ダイヤモンド基板が、不純物をドープし、導電性を付与したダイヤモンド単結晶基板であり、
    前記ダイヤモンド基板の表面の内、前記対をなす両電極との界面の内少なくとも一方が水素終端を有し、かつ、少なくとも前記対をなす両電極間の基板表面を酸素終端又は無終端として基板内部よりも大きい電気抵抗値となるようにし、両電極間の基板表面の漏れ電流の発生を阻止させるようにしたことを特徴とするダイヤモンド半導体デバイス。
  2. 請求項1に記載のダイヤモンド半導体デバイスにおいて、少なくとも両電極間の基板表面は、酸素終端表面であることを特徴とするダイヤモンド半導体デバイス。
  3. 請求項1に記載のダイヤモンド半導体デバイスにおいて、少なくとも両電極間の基板表面は、無終端表面であることを特徴とするダイヤモンド半導体デバイス。
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